表面に溝があるシュープレスベルト
【課題】アーチ状プレッシャーシューのある長いニッププレスに用いるベルトの提供。
【解決手段】ベルトは、その層の少なくとも一方の面に高分子樹脂材料を含浸した少なくとも1つの層を含む。その高分子樹脂コーティングは、複数の溝を備える。それらの溝は、その樹脂コーティングの中に配列されており、それらたくさんの溝の長さがアーチ状プレッシャーシューの長さよりも短くなっている。それにより、入口ニップスプレーを低減する。
【解決手段】ベルトは、その層の少なくとも一方の面に高分子樹脂材料を含浸した少なくとも1つの層を含む。その高分子樹脂コーティングは、複数の溝を備える。それらの溝は、その樹脂コーティングの中に配列されており、それらたくさんの溝の長さがアーチ状プレッシャーシューの長さよりも短くなっている。それにより、入口ニップスプレーを低減する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2003年11月18日出願の米国仮特許出願第60/523,135号(発明の名称:「表面に溝があるシュープレスベルト」)、および2004年11月15日出願の米国特許出願第10/988,903号を基礎にするものであり、それによる利益を主張し、それらが明らかにした内容を参照によってここに組み入れる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、材料ウェブ、さらに詳しくは、製紙機械上で紙製品に加工する繊維状のウェブから水を排水するメカニズムあるいは技術に関する。
【背景技術】
【0003】
製紙プロセスにおいて、セルロースを含む繊維状のウェブは、製紙機械の成形部分における成形布(成形ワイヤ)上に繊維状のスラリーを堆積させることによって形作られる。成形部分において、スラリーから多量の水が排水され、その後、新しく作られたウェブは、成形部分からプレス部分へと移る。プレス部分には、一連のプレスニップがある。それらのプレスニップにおいて、繊維状のウェブは、圧縮力を受けて水が取り除かれる。ウェブは、最後に乾燥部分に移る。乾燥部分には、加熱乾燥ドラムがあり、その周りをウェブが進む。加熱乾燥ドラムは、蒸発によってウェブの水分量を望ましいレベルまで低減し、紙製品を作り出す。
【0004】
エネルギーコストの上昇から、ウェブが乾燥部分に入る前にそのウェブからできるだけ多くの水分を取り除くことがますます求められる。乾燥ドラムの加熱は、しばしば内部のスチームによって行うため、特にウェブから大量の水を取り除くことが必要なときに、スチームを得るための関連コストが大きくなる。
【0005】
プレス部分は、伝統的には、隣り合う一対の円筒形のプレスロールで構成した一連のニップを備えていた。しかし、近年では、そのような隣り合った一対のプレスロールを使用するよりも、シュータイプの長いプレスニップを使用する方が有利であることが判明している。これは、プレスロールで構成したものの場合よりも長いプレスニップの場合の方がニップ中をウェブが長い時間通過することになるからである。ウェブがニップ中で圧力を受ける時間が長くなればなるほど、そこでの水の除去量が多くなる。それにより、ウェブ中に残る水は少なくなり、その少ない水を乾燥部分で蒸発によって取り除くことになる。
【0006】
この発明は、シュータイプの長いニッププレスに関する。さまざまな長いニッププレスにおいて、ニップは、円筒形のプレスロールとアーチ状のプレッシャーシューとの間に形作られる。後者のプレッシャーシューは円筒形の凹面をもち、その凹面の曲率半径は円筒形のプレスロールのそれに近い。ロールとシューを互いに物理的に接近させて配置するとき、そのニップの縦方向の長さは、2つのプレスロールの間のものよりも5倍から10倍も長い。長いニップが今までの2つのロールプレスのものよりも5倍から10倍長いことから、繊維状ウェブの長いニップ中でのいわゆるドウェル時間が相対的に長くなる。その際、1平方インチ当たりの圧力レベルは2つのロールプレスを用いたときの圧力と同じである。このような長いニップ技術によって、製紙機械の今までのニップに比べて、長いニップにおける繊維状ウェブの脱水量が劇的に増加することとなった。
【0007】
シュータイプの長いニッププレスには、たとえば米国特許第5,238,537号が示すような特別なベルトが必要である。このベルトは、繊維状ウェブを支持、運搬および脱水するプレス布を保護するように設計する。それは、プレス布が静止状態のプレッシャーシュー上に直接スライドするように接触することから、摩耗が加速度的に進むからである。そのようなベルトについては、潤滑油塗膜上の静止状態のシューの上に乗る、あるいはスライドする面を滑らかであり、不浸透性にしなければならない。ベルトは、プレス布とほぼ同様の速度でニップを通過する。それにより、ベルトはプレス布に対し最小限の表面摩擦を生じるだけである。
【0008】
米国特許第5,238,537号が示すさまざまなベルトは、無端のループ形態の織りベース布に合成高分子樹脂を含浸させて作る。好ましくは、樹脂については、ベルトの少なくとも内側面に所定の厚さの被膜となるようにし、それにより、ベース布の織り糸が長いニッププレスのアーク状プレッシャーシューに直接接触しないようにするのが良い。特に、この被膜は、滑らかで不浸透性の面をもつようにしなければならない。それは、潤滑されたシューの上を容易にスライドさせるためであり、しかもまた、潤滑油がベルトの構造に浸透し、一つあるいは複数のプレス布、および繊維状ウェブを汚染しないようにするためからである。
【0009】
米国特許第5,238,537号が示すベルトのベース布は、モノフィラメントによる単層あるいは多層の織り構成である。織りに際しては、充分に目を粗くし、織りの全体に含浸材料が充満するようにすべきである。それによって、最終のベルトに空隙が生じるおそれをなくす。そのような空隙があれば、ベルトとシューとの間に用いる潤滑油がベルトを通過し、単一あるいは複数のプレス布および繊維状のウェブを汚染することになる。ベース布については、平織りにし、その後に無端の形態に縫合するか、あるいは管状の形態に織る。
【0010】
含浸材料が固体状態に硬化するとき、初めは機械的な結合によりベース布に束縛され、硬化した含浸材料はベース布の糸(ヤーン)を取り囲む。さらに、硬化した含浸材料とベース布の糸材料との間に化学的な結合あるいは接着も一部生じるであろう。
【0011】
米国特許第5,238,537号が示すような長いニッププレスベルトは、それを据え付ける長いニッププレスの規模によるが、その無端ループの周りを縦(長手)方向に測った長さがおよそ13〜35フィート(つまり、約4〜11m)であり、また、無端ループを横断する方向に測った幅はおよそ100〜450インチ(つまり、250〜1125cm)である。そのようなベルトを製造するとき、合成高分子樹脂で含浸するに先立ってベース布を無端にしなければならないことから、その製造が面倒であることが理解されるであろう。
【0012】
ベルトの内側面だけでなく外側面にもある所定の厚さの樹脂コーティングを施すことは、しばしば好ましい。ベルトの両面に被覆をすることによって、織りベース布は、それが一致していないとき、ベルトの曲げ中立軸により近くなるであろう。そうすることによって、ベルトが製紙機械のロールあるいはロール状のものの周りを通って曲がるときに内部応力が生じたとしても、その内部応力によってベルトの各側の被膜を剥がす可能性が小さくなる。
【0013】
さらに、ベルトの外側面にある所定の厚さの樹脂コーティングがあれば、織りベース布のどの部分をも露出することなく、その表面に溝、貫通しない止まり穴または凹みあるいは空所を形成することができる。そのような特徴によって、プレスニップ中のウェブから出る水を一時的に貯えることができる。事実、ニッププレスの中には、ベルトの外側面に溝や止まり穴などを設けることにより、ある空隙容積を必須とした構成のものがある。
【0014】
複数の溝をもつ長いニッププレスは公知である。たとえば、ダットの米国特許第4,946,731号は、そのような長いニッププレスベルトを示し、そのベルトは縦方向および横方向の少なくとも一方に、ステープルの紡績糸を含むベース布を備えている。そのベース布に高分子樹脂をコーティングすると、個々のステープルが紡績糸から外側に広がり周囲の被覆材料の中に伸びる。その後に、縦方向の溝を、ベルトの外側面のコーティング中に加工する。それらのステープルが、溝を互いに分離する、いわゆるランド領域をベルトに固定し、それによって、ランド領域の剥がれが生じにくくする。
【0015】
別の例である、マガハーンほかの米国特許第4,946,731号は、シュータイプの長いニッププレス用の樹脂含浸した無端ベルトを示し、高分子樹脂材料で含浸したベース構造によって、ベルトが油、水および空気などの流体を通さないようになっている。高分子樹脂材料は、ベース構造の内側および外側の上に層を形作っている。内側面はなめらかであるが、外側面の方には、紙ウェブから出る水を一時的に貯えるための一次溝がある。それら一次溝は、ランド領域によって分離されている。ランド領域には、それを横切って伸びる二次溝があり、曲げ疲労や応力亀裂を生じる応力を緩和するようになっている。
【0016】
したがって、溝付きの表面を備えるシュープレスベルトには、溝なしのベルトに対して多くの利点(たとえば、水除去の改良、紙の外形の改良、フェルト状態およびフェルト寿命の改良)がある。しかし、多くの適用、特には、低速の製紙機械において、溝付きのベルトを用いる利点は明確とはいえない。特に、プレスに入口ニップスプレーを用いる場合(特には、倒立プレスの場合)には、上述した溝付きのベルトよりもベルトの表面に止まりの円形穴を加工したものを用いる方が有利である。プレス布がプレスニップに入るとき、入口ニップスプレーが生じる。プレスロールがウェブからプレス布、ついで溝の中へと水を押し出す。溝はベルトの長さにわたって連続しているので、水は入口および出口のニップ端で噴霧される。入口ニップスプレーは、プレス布における有効な空隙容積を減少し、ウェブの脱水を減じることになる。
【0017】
この発明は、この問題に対する別の解決策を提供するものであり、たくさんの溝の長さは連続しておらず、長いニッププレスにおけるアーチ状のプレッシャーシューの長さよりも小さい。最も高いニップ圧(および最も大きな水除去)に関係するプレスニップの領域は、ニップ出口に先立つところに位置する。溝がニップを出るとき、溝の開口がニップ入口に位置していないか、あるいはニップ入口がふさがれているだろう。というのは、溝の長さが、アーチ状のプレッシャーシューの長さよりも短く、それによりプレッシャーニップの長さよりも短いからである。ニップ入口がふさがれている(外気に通気せずに)ので、入口ニップスプレーは減じられるか排除され、プレス布内部の水圧は増大し、ベルト表面の溝部分がニップを出るとき、ウェブから水を有効に排出することになる。したがって、この発明による不連続な溝は、入口ニップスプレーを減じるか排除し、脱水効率を増し、紙の横方向(CD)乾燥プロフィールを均一にし、たとえばエネルギー節約や製紙業者における生産量増大といった利益をもたらす。
【0018】
上述したこの発明によるベルトの溝は、実質的に縦方向(MD)に平行に伸びる。それとは別に、この発明のベルトの溝は、横方向(CD)に方向付け、連続にすることも不連続にすることもできる。
【発明の概要】
【0019】
したがって、この発明は、長いニップシュープレスに用いるベルトの技術である。そのベルトは、無端のループの形態にすることができる、少なくとも1つの層(たとえば、ベース構造あるいはベースファブリック)を備える。長いニッププレスは、アーチ状のプレッシャーシューを備える。ベルトの層の少なくとも一方の表面には、高分子樹脂材料を含浸し、その上に外側の層あるいはコーティングを形作る。その外側の層は、一般的には、縦方向(MD)に向いた複数の溝を含み、それら複数の溝の長さはアーチ状のプレッシャーシューの長さよりも短い。
【0020】
他の実施例において、この発明のベルトは、実質的に横方向(CD)に向き、連続するかあるいは不連続な複数の溝を含む。
【0021】
この発明の詳細について、図面を参照しながらさらに詳しく説明しよう。図面には、対応する構成部分には、同じ符号を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】長いニッププレスの側断面図である。
【図2】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図3】図1の断面図であり、ニップに入る溝を示す。
【図4】図1の断面図であり、ニップに囲まれた溝を示す。
【図5】図1の断面図であり、ニップから出る溝を示す。
【図6】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図7】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図であり、溝が千鳥足状になった例である。
【図7a】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図であり、溝のパターンが群れになった例である。
【図7b】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図であり、溝が重なった例である。
【図8】連続した溝をもつベルトの機械速度およびプレス荷重に対する、入口および出口ニップスプレーの水容積を示すグラフである。
【図9】連続した溝をもつプレスベルトの荷重に対する、入口ニップスプレーが見えなくなる時点の速度を示すグラフである。
【図10】この発明のベルトの機械速度および荷重に対する、入口および出口ニップスプレーの水容積を示すグラフである。
【図11】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図11a】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図12】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図13】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図14】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図15】この発明の一実施例によるベルトの上面図である。
【図16】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図17】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図18】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図19】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図20】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図21】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図22】この発明の他の実施例によるシューニッププレスおよびベルトの断面図である。
【図23】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図24】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図25】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図26】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図27】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図28】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図29】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の断面図は、製紙機械上で繊維状ウェブを脱水し紙製品に加工するための長いニッププレスを示す。プレスニップ10を定めるのは、なめらかな円筒形プレスロール12とアーチ状のプレッシャーシュー14である。アーチ状プレッシャーシュー14の曲率半径は、円筒形プレスロール12とほぼ同じである。円筒形プレスロール12とアーチ状プレッシャーシュー14との距離については、アーチ状プレッシャーシュー14に付属させた液圧手段によって調整することができる。その液圧手段は、ニップ10の荷重を制御するためのものである。なめらかな円筒形プレスロール12として、アーチ状プレッシャーシュー14に適合させた制御クラウンロールを用いることによって、横方向のニップ圧プロフィールを一様にすることができる。
【0024】
長いニッププレスベルト16は、ニップ10を通る閉じループ内に伸び、円筒形プレスロール12をアーチ状プレッシャーシュー14から分離する。プレス布(プレスファブリック)18および紙製品に加工される繊維状ウェブ20は、図1に矢印で示すようにニップ10を一緒に通る。繊維状ウェブ20はプレス布18に支持され、ニップ10のなめらかな円筒形プレスロール12に直接接触する。それとは別に、繊維状ウェブ20を2つのプレス布18(図示しない第2のプレス布)の間にサンドイッチ状に挟んでニップ10を通過させることができる。長いニッププレスベルト16もまた、図1に矢印で示すように、すなわち、時計回りに動き、プレス布18がアーチ状プレッシャーシュー14に対して直接スライド接触することがなく、潤滑油層上アーチ状プレッシャーシュー14の上方をスライドするようにする。したがって、長いニッププレスベルト16は油を通さず、それにより、プレス布18および繊維状ウェブ20は汚染されないであろう。
【0025】
図2は、この発明の一実施例によるベルト16の上面図である。ベルト16は外側面24をもつ。外側面24には複数の溝26がある。それらの溝26は、ベルト16の周りを縦方向に伸びており、ニップ10の中の繊維状ウェブ20から出る水を一時的に貯える。溝26について、以下に詳しく説明する。
【0026】
図3〜5は、シュープレスニップ10における脱水メカニズムを3つの状態で示す。そこでは、溝の一群がプレスニップ10に入り出ていく。図3は、溝26がニップ10に入るときのベルト16の断面図である。図3〜5の進みから分かるように、溝26はニップ入口36でニップ10に入り、ニップ出口38でニップ10から出る。
【0027】
図3は、また、ベルト16の断面を示す。ベルト16は、少なくとも1つのベース層(ベースファブリック)28を含む。しかし、ベルト16は、高分子樹脂コーティング(被膜)34のほかに、付加的な層を含むことができる。
【0028】
層28については、横断する、つまり横方向糸30(図3の側面から見て)と、縦に沿った縦方向糸32とによって織ることができる。層28を織るとき、横断する糸30を縦方向糸32の上、下および間に織り合わさるように織ることができる。横糸はシングルウィーブである。しかし、層28については、平織りにし、その後に縫い合わせによって無端の形態に結合することができる。さらに、層28を2重織り、あるいは製紙機械布ベルトの製造で用いる他の織りで織ることができる。
【0029】
また、層28は、横方向糸と縦方向糸との組み立て形態となった不織構造にすることができる。横方向糸と縦方向糸とは、互いの交差点で接着し、布(ファブリック)を作る。さらに、層28は、編みあるいは組み布、または、ゴーシアの米国特許第4,567,077号が示すようならせんリンクベルトでも良い。その特許の教えを参照によってここに組み込む。層28については、また、高分子樹脂材料をシートあるいは膜の形態に押出し成形した後、孔をあけたものを用いることができる。さらにまた、少なくとも1つの層28を不織のメッシュ生地で構成することができる。そのような不織のメッシュ生地は、ジョンソンの米国特許第4,427,734号(この発明の譲受人に譲渡された)が示すので、その特許の教えを参照によってここに組み込む。
【0030】
さらに、層28について、レックスフェルトほかの米国特許第5,360,656号(この発明の譲受人に譲渡された)が示す方法によって、織り、不織、編み、組み、押出しあるいは不織のメッシュ材料の細片をらせん状に巻くことによって作ることができる。その’656号特許の教えを参照によってここに組み込む。それで、層28はらせん巻きの細片(ストライプ)を備えるが、らせんの各巻きは連続した縫い合わせによって次のものと結合し、縦方向に無端のベース構造28を作る。このタイプのベース構造をもつプレスベルトは、米国特許第5,792,323号および5,837,080号(いずれも、この発明の譲受人に譲渡された)が示すので、それらの特許の教えを参照によってここに組み込む。
【0031】
たとえば高分子樹脂などの樹脂34を、ベルト16の少なくとも一面にコーティング、含浸、あるいはその他の方法で配置する。高分子樹脂34は、ベルト16の外側面24にコーティング、あるいはその他の方法で配置する。外側面とは、ベルト16を長いニッププレス上で使用するとき、プレス布18に接触する表面である。さらに、高分子樹脂層23をベルト16の内側面22にコーティング、あるいはその他の方法で配置することができる。内側面とは、ベルト16を長いニッププレス上で使用するとき、アーチ状プレッシャーシュー14上をスライドする表面である。高分子樹脂層23は、層28に含浸し、油、水その他を通さなくなる。高分子樹脂コーティング34および23として、ポリウレタンを用いることができ、それの100%固体構成物を用いることができる。100%固体樹脂方式を用いることにより、層28に施すときの硬化処理の際、溶媒材料を欠くことから、高分子樹脂中に泡が生じることを避けることができる。
【0032】
内側面22および/または外側面24については、高分子樹脂が硬化しなめらかで均一な面になった後で、研削およびバフ研磨を施すこともできる。
【0033】
高分子樹脂が硬化した後、ベルト16の外側面24に溝26を切り込む。また、溝26については、高分子樹脂が硬化する前に圧縮タイプの装置によって外側面24に押して加工するか、あるいは、外側面24に成形加工(たとえば、ベルト16を成形によって製造するとき)することができる。当業者であれば、その他の方法で溝26を作ることもできることを容易に理解するであろう。
【0034】
さらに、この発明の少なくとも一実施例において、溝26は不連続である。すなわち、溝26は、隣接する(およびそれが継続する)溝の間に溝を切らないランド区域42によって分離している。溝26は、ベルトの縦方向あるいは横方向のいずれかに作ることができる。図3〜5は、縦方向に溝を作った好適な実施例を示すが、縦方向の溝の長さはシュー14(図1の)の長さよりも短い値である。その値は、シューの長さの、たとえば1/3、1/2、2/3ほどである。一例を挙げると、典型的なアーチ状プレッシャーシューの長さが約250mmであるとき、溝26の長さ40は約125mmである。同様に、図11には、溝26を横方向に作った例を示す。
【0035】
溝26の形状、大きさ、間隔および方向は、長いニッププレスへの適用、ならびに/または必要な入口ニップスプレーリリーフおよび脱水処理の能力に応じて異なる。
【0036】
上に述べ、そして図3に示すように、溝26はニップ入口36でニップ10に入り、ニップ出口38でニップ10から出る。ニップ入口36は、低圧ゾーンとしての特徴がある。繊維状ウェブ20がニップ10に入るとき、ロール12およびシュー14から加わる圧力がウェブ20中の水を押し、ベルト16に接触しているプレス布18に流出する。ついで、溝26がプレス布18から水を受け取る。
【0037】
図4は、ニップ10が溝26を囲んだベルト16の断面図である。溝26は、その時、液圧ゾーンに入り、ウェブ20およびプレス布18からの水は加圧状態である。溝26は、その空の部分を完全に満たすまで水を受ける。
【0038】
図5は、溝26がニップ10から出るときのベルト16の断面図である。ニップ出口38は、高圧ゾーンとしての特徴がある。最大の圧力、したがって最大の水除去を行う部分が、ニップ出口38の近くである。溝26が不連続であって、その長さがアーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも短いため、溝はニップ入口まで伸びておらず、言い換えると、ニップ入口36はふさがれている。ウェブ20から除去され、プレス布18を通してベルト16に押される水は、図4に関連して上述したように、液圧を増している。この高くなった液圧によって、水はニップ出口38でニップ10から出るとき、溝26から出る。したがって、高圧がウェブ20およびプレス布18から水を流し、溝26を露出させる。
【0039】
図2、6および7、ならびに7aおよび7bは、溝の配列の例を示す。図2に示すように、溝26は等しい数の列になった配列であり、列の各溝の端を直線が交差している。その直線は縦方向に対して大体直交している。しかし、溝の列の数、およびベルト16の縦方向に隣り合う列の間隔については、長いニッププレスへの適用、および/または必要な入口ニップスプレーリリーフおよび脱水処理の能力に応じて異ならせることができる。上に述べたように、溝26は縦方向における長さが不連続であり、アーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも短い。また、溝26は、図2に示すように、ランド区域42によって互いに分離している。
【0040】
図6は、この発明の他の実施例によるベルト16’の上面図である。この例では、MD溝26が等しくオフセットした千鳥足状の列をなしている。オフセットについて、各αで示す。各αは、たとえば25〜30°である。
【0041】
図7は、この発明の他の実施例によるベルト16”の上面図である。ここでは、MD溝26は、横に並んだパターンが繰り返しとはならない千鳥足状の列を作っている。他の実施例として、千鳥足状の列が繰り返し起こるパターンを含むようにすることもできる。
【0042】
図7aは縦方向溝パターンのさらに他の例であり、複数の溝が群れとなったパターン100を繰り返している。図7aが示すように、不連続な溝26の群れ100は、たとえばほぼ縦方向ではあるが角度をもって伸びる10本の溝を備える。そのような溝については、「ギャングカッター」と称するもので切削、一般的にはらせん形態に切削することができる。ベルトには、適正な脱水特性にかなう多くの溝の群れ100を含むようにする。縦方向の角度をもたせた溝の群を示しているが、この発明の考え方の範囲内で横方向を含む他の配置方向にすることができる。また、溝の群れ100の配置方向が同じになっているが、この発明はそれに限定されるわけではない。同じベルト上に、いろいろな配置方向をもつ溝の群を含ませることができる。図7bは、この発明のさらに他の実施例であり、ベルトは重なり状になった溝26をもつ。重なり合う溝26は、不連続ではあるが、繰り返しパターンの中で、ベルトの全体を取り巻くことになる。また、図7bには縦方向に対して角度をもった溝26を示しているが、横方向を含むどの配置方向にも溝を形作ることができる。いくつかの溝をベルトの長さ方向に異なる距離をもたせるようにすれば、溝のないベルトの部分のマーキング発生率が減る。
【0043】
この発明の一実施例において、溝26の縦方向の長さは、ほぼシューの長さに至るまでのどの大きさにもすることができる。たとえば、溝26の長さを約50mm、長手方向における溝26間の間隔を約25mmにすることができる。更に、溝26およびランド領域42については、紙シートに対し流体圧の乱れあるいはマーキングを生じる可能性をできるだけ少なくするパターンになるように配置することができる。図2、6および7には、等しい幅の溝26およびランド領域42を示すが、それは必ずしも必要ではない。それにもかかわらず、ランド領域42について、硬化高分子樹脂による狭い柱状物をベルトの外側面24に縦方向に配列したものと考えることができる。
【0044】
今までの説明において、MD溝26は、縦方向つまり長手方向に配置するものとして示してきた。溝26については、外側面24にらせん状に進む不連続な溝を切ることによって提供することができる。そのような場合、溝26の配置方向は、縦方向つまり長手方向から小さな角度だけ逸れる。さらに、溝26について、外側面24上を反対方向にらせん状に進む、隣接する2あるいはそれより多い不連続な溝を切ることによって提供することができる。すなわち、一方は右回りのらせんであり、他方は左回りのらせんである。カッターをベルト面から間欠的に移動させ、横方向のランド領域となる短い平面ストライプ(CDストライプ)を形作る。CDストライプは、ベルトの長さ、溝の長さおよびランド領域の長さに応じて、ベルト面に任意に配列する。
【0045】
この発明の有利な一実施例において、溝26は、深さが約1.4mm、幅が0.5mm〜2.0mmである。各溝26は、隣のものとの間に1.0mm〜2.5mmの横方向の距離(ランド幅)をもって分離されている。しかし、ランド領域42の幅だけでなく、溝26の正確な数、深さ、幅および形については、求められる使用に応じて異なることになる。したがって、ランド領域に対する溝の比は広い幅をもつ。
【0046】
溝を長手方法つまり縦方向に走るように説明してきたが、この発明はそれに限定されない。すなわち、溝については、いずれの方向、たとえば、横方向つまりCD方向、あるいは、縦方向に対して角度θ(たとえば0<θ<90°)の方向に配置することができる。そのような場合、溝26の「長さ」は、たとえば図11および12に示すシューの幅よりも小さい。
【0047】
図11に示すように、溝26を多数の列(コラム)状に配列することができ、その場合、各溝はほぼ横方向つまりCD方向に形作られている。しかし、各列における溝の数、およびベルト17上のCD方向つまり横方向に隣接する列間の間隔は、適用、ならびに/または必要な入口ニップスプレーリリーフおよび脱水処理の能力に応じて異なる。そのような溝26は、横方向の長さが不連続であると考えることができ、その幅(MD構成部分)がアーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも小さい。また、図11aに示すように、CD溝を連続させることができ、その場合、溝26はベルト17のほぼ横方向全体にわたって伸びる。さらに他の例において、溝26を図12に示すベルト17’のように、千鳥足状に作ることができる。
【0048】
CDつまり横方向の溝をもつシューニップベルトには、容積移送式ポンプにおける羽根車あるいはギアのように作用するという有利な効果がある。溝26がシューに入るときがウェブ20から水が押し出され、ベルト17の溝26に入る。溝26は水を通さない樹脂で形作られているので、水は溝26から流出しない。プレスロール12とシューとの間の圧力が増すにつれて、繊維状ウェブ20からの水で溝26が充満する。そのとき、ベルト17の動きによって、水は繊維状ウェブ20から離れて溝26の中に押されて運ばれる。
【0049】
溝26の幅(MD構成部分)がシューの長さよりも小さいため、溝に入る水は流出することができず、一部がプレスロール12による高圧という理由で水は溝中に保たれる。そのような実施例は、伝統的に平らで溝のないベルトを用いる低速の適用に非常に有用であることが分かった。しかし、この発明は、それに限定されることなく、事実、いろいろな速度で用いることができる。
【0050】
さらに、この発明のベルトは、不連続の溝の他のパターンをもつことができる。一例として、図13を参照すると、この発明のベルトは、多数の第1の溝(たとえば、+形の溝44)および/または多数の第2の溝(たとえば、x形の溝46)をもつことができる。そのような溝のそれぞれは、端から端までの長さおよび幅がアーチ状プレッシャーシュー14のそれよりも小さい。溝44および46については、どのような形状にすることもでき、限定はされないが、正方形、長方形、三角形、z字形、円形、多角形およびそれらの組み合わせを含む。三角形の形の溝の例を図23および24に示す。それらの溝は分離のための、および構造物の端の間にランド領域をもつが、それは必ずしも必要ではない。それぞれの形の頂部が結ばれるときには、形の周囲に沿って連続する溝を形作る。さらに他の例を図25に示す。そこでは、溝を六角形の形あるいはハチの巣状の構造に形作っている。ハチの巣状の構造の1あるいは2以上の六角形を、樹脂コーティングで完全に満たす。また、ベルトは、その縦方向および/または横方向の連続したおよび不連続の溝の組合わせを含む。図26が一例を示し、連続した横方向の溝101と連続した縦方向の溝102に対し、不連続の縦方向の溝103と不連続の横方向の溝104が組み合わさった構成である。上の形の溝のいくつかあるいは全部を、ベルトの縦方向および/または横方向に沿って、異なる深さおよび/または異なる幅をもたせるようにすることができる。
【0051】
ベルト(図2)を標準タイプの連続した溝をもつベルトと比較する場合であり、両ベルトの溝の深さが1.4mm、幅が0.8mm、ランド領域の幅(隣り合う溝間の間隔)が2.1mmの場合において、入口ニップスプレーと出口ニップスプレーとを測定し、機械の速度およびニップの加圧力に対してプロットした。
【0052】
図8に示すように、標準の連続した溝のベルトでは、300m/min以上の機械速度で入口ニップスプレーがある。さらに、機械速度が増すと入口ニップスプレーもまた大きくなり、その後で減少している。また、プレス荷重が増すにつれて入口ニップスプレーが大きくなる。したがって、標準の溝のシュープレスベルトを作動することが望ましくない作動範囲が存在する。
【0053】
図9は、ベルトがシューニッププレスに入るとき、入口ニップスプレーが本質的に除去される作動速度を示す。グラフは、連続した溝をもつシュープレスベルトにおける異なるプレス荷重での速度を比較している。プレス荷重が大きくなれば、入口ニップスプレーを除去するために必要な速度が増すことが分かる。たとえば、600kN/mのプレス荷重において、入口ニップスプレーが消失するのに必要な速度は約650m/minであるのに対し、1200kN/mのプレス荷重では、入口ニップスプレーを除去するのに必要な速度は約810m/minである。
【0054】
図8および9が示すように、標準タイプの連続したMD溝のベルトを伴う長いニップシュープレスにおいて、600kN/m〜1200kN/mのプレス荷重で作動するとき、約650m/minより速いか、あるいは810m/minより遅い速度で走らせると、入口ニップスプレーが存在する。入口ニップスプレーは、紙ウェブの脱水効率を減じるため、既知の溝ベルトにおける好ましからざる特性である。
【0055】
それとは異なり、図10に示すように、この発明のベルトは、600kN/m〜1000kN/mのプレス荷重、250m/min〜1000m/minの速度において、入口ニップスプレーはないか、ないに等しい。したがって、不連続の溝のベルトは、入口ニップスプレーを減じるので、ウェブの脱水効率を高める。
【0056】
不連続の溝を備えるものとして、この発明のベルトを説明したが、この発明はそれに限定されない。すなわち、この発明のベルトには、標準タイプではない連続した溝を含む。一例として、図14を参照すると、ベルト47は、各溝が直線部分48とz字形(ジグザグ形)部分50とを含む、たくさんの連続した溝49を備え、直線部分48はz字形部分50に連なり、そのz字形部分50は別の直線部分48に連なるようになっている。別の例では、たとえば、図27に示すように、溝49は直線部分がなく、z字形部分50だけを含む。それらのz字形部分50は、ベルトの縦方向および/または横方向に連続および/または不連続(図28)とすることができるし、ベルトの縦方向あるいは横方向に角度をもたせるようにすることができる。直線部分および/またはz字形部分の溝の長さは、それぞれアーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも小さい。また、別の例として、図15を参照すると、ベルト51は、1または2以上の溝52を備え、各溝が、第1の幅のたくさんな第1の部分54と、第1の幅よりも小さい第2の幅のたくさんな第2の部分56を備える。第2のあるいは制限部分56の長さは、アーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも小さい。さらにまた、ベルトの溝については、図29に示すように、サイン曲線あるいは「S」形状にすることができる。留意すべきは、それらの溝の長さがプレッシャーシュー14の長さよりも小さいことである。
【0057】
そしてまた、すでに述べたように、この発明のベルトに適用する溝の形は、いろいろな断面形状にすることができる。図16〜21は、そのような断面形状の例を示す。勿論、この発明のベルトの溝の形は、それらの形状に限定されるわけではない。
【0058】
図22に、この発明のさらに有利な実施例を示す。図22において、溝26は、異なる深さをもち、深い溝部分60と浅い溝部分62とを含む。深さの変化が、上に述べた不連続な溝における溝端のように作用する。すなわち、溝26の浅い部分62が、溝の深い部分60から水が容易には流出しないようにし、それによって、縦方向の反対方向に水が流れる傾向を著しく減じ、ニップスプレーを最小限にする。
【0059】
この実施例の溝26は連続しているが、その有利な実施例において、溝26の深い溝部分60の長さは、シューの加圧ゾーンの長さよりも小さい。そのことは、溝26の深さと一緒に圧力曲線64を示す図22から分かるであろう。プレスロール12の入口には、溝26の浅い部分62に対応する低圧領域36がある。その後、圧力は速やかに上がり、そこでの溝26の深さは増大する。最大の圧力は、溝26の深い部分60が終わる少し前の時点で生じる。
【0060】
浅い部分62の領域で圧力が劇的に落ちることに留意されたい。こうして、最大の圧力が生じる溝26の一番深い部分において、最大量の水が繊維状ウェブ20から除去される。明白にするため、図22には繊維状ウェブ20を運ぶプレス布(図1中の符号18)を示さないが、当業者であれば、そのような布が一般的にウェブ20とシュープレスベルト16の間に位置することを容易に理解するであろう。
【0061】
当業者は、上に説明したことを変形することができるが、その変形はこの発明の考え方を示すクレームの内容を越えることはない。
【符号の説明】
【0062】
10 プレスニップ
12 プレスロール
14 プレッシャーシュー
16,16’,16” ニッププレスベルト
18 プレス布(プレスファブリック)
20 繊維状ウェブ
22 内側面
24 外側面
26 溝
28 ベース層(ベースファブリック)
30 横方向糸
32 縦方向糸
23,34 高分子樹脂コーティング
36 ニップ入口
38 ニップ出口
42 ランド領域
47 ベルト
49 溝
50 z字形部分(ジグザグ形の部分)
51 ベルト
52 溝
54 第1の部分
56 第2の部分
60 深い溝部分
62 浅い溝部分
64 圧力曲線
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2003年11月18日出願の米国仮特許出願第60/523,135号(発明の名称:「表面に溝があるシュープレスベルト」)、および2004年11月15日出願の米国特許出願第10/988,903号を基礎にするものであり、それによる利益を主張し、それらが明らかにした内容を参照によってここに組み入れる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、材料ウェブ、さらに詳しくは、製紙機械上で紙製品に加工する繊維状のウェブから水を排水するメカニズムあるいは技術に関する。
【背景技術】
【0003】
製紙プロセスにおいて、セルロースを含む繊維状のウェブは、製紙機械の成形部分における成形布(成形ワイヤ)上に繊維状のスラリーを堆積させることによって形作られる。成形部分において、スラリーから多量の水が排水され、その後、新しく作られたウェブは、成形部分からプレス部分へと移る。プレス部分には、一連のプレスニップがある。それらのプレスニップにおいて、繊維状のウェブは、圧縮力を受けて水が取り除かれる。ウェブは、最後に乾燥部分に移る。乾燥部分には、加熱乾燥ドラムがあり、その周りをウェブが進む。加熱乾燥ドラムは、蒸発によってウェブの水分量を望ましいレベルまで低減し、紙製品を作り出す。
【0004】
エネルギーコストの上昇から、ウェブが乾燥部分に入る前にそのウェブからできるだけ多くの水分を取り除くことがますます求められる。乾燥ドラムの加熱は、しばしば内部のスチームによって行うため、特にウェブから大量の水を取り除くことが必要なときに、スチームを得るための関連コストが大きくなる。
【0005】
プレス部分は、伝統的には、隣り合う一対の円筒形のプレスロールで構成した一連のニップを備えていた。しかし、近年では、そのような隣り合った一対のプレスロールを使用するよりも、シュータイプの長いプレスニップを使用する方が有利であることが判明している。これは、プレスロールで構成したものの場合よりも長いプレスニップの場合の方がニップ中をウェブが長い時間通過することになるからである。ウェブがニップ中で圧力を受ける時間が長くなればなるほど、そこでの水の除去量が多くなる。それにより、ウェブ中に残る水は少なくなり、その少ない水を乾燥部分で蒸発によって取り除くことになる。
【0006】
この発明は、シュータイプの長いニッププレスに関する。さまざまな長いニッププレスにおいて、ニップは、円筒形のプレスロールとアーチ状のプレッシャーシューとの間に形作られる。後者のプレッシャーシューは円筒形の凹面をもち、その凹面の曲率半径は円筒形のプレスロールのそれに近い。ロールとシューを互いに物理的に接近させて配置するとき、そのニップの縦方向の長さは、2つのプレスロールの間のものよりも5倍から10倍も長い。長いニップが今までの2つのロールプレスのものよりも5倍から10倍長いことから、繊維状ウェブの長いニップ中でのいわゆるドウェル時間が相対的に長くなる。その際、1平方インチ当たりの圧力レベルは2つのロールプレスを用いたときの圧力と同じである。このような長いニップ技術によって、製紙機械の今までのニップに比べて、長いニップにおける繊維状ウェブの脱水量が劇的に増加することとなった。
【0007】
シュータイプの長いニッププレスには、たとえば米国特許第5,238,537号が示すような特別なベルトが必要である。このベルトは、繊維状ウェブを支持、運搬および脱水するプレス布を保護するように設計する。それは、プレス布が静止状態のプレッシャーシュー上に直接スライドするように接触することから、摩耗が加速度的に進むからである。そのようなベルトについては、潤滑油塗膜上の静止状態のシューの上に乗る、あるいはスライドする面を滑らかであり、不浸透性にしなければならない。ベルトは、プレス布とほぼ同様の速度でニップを通過する。それにより、ベルトはプレス布に対し最小限の表面摩擦を生じるだけである。
【0008】
米国特許第5,238,537号が示すさまざまなベルトは、無端のループ形態の織りベース布に合成高分子樹脂を含浸させて作る。好ましくは、樹脂については、ベルトの少なくとも内側面に所定の厚さの被膜となるようにし、それにより、ベース布の織り糸が長いニッププレスのアーク状プレッシャーシューに直接接触しないようにするのが良い。特に、この被膜は、滑らかで不浸透性の面をもつようにしなければならない。それは、潤滑されたシューの上を容易にスライドさせるためであり、しかもまた、潤滑油がベルトの構造に浸透し、一つあるいは複数のプレス布、および繊維状ウェブを汚染しないようにするためからである。
【0009】
米国特許第5,238,537号が示すベルトのベース布は、モノフィラメントによる単層あるいは多層の織り構成である。織りに際しては、充分に目を粗くし、織りの全体に含浸材料が充満するようにすべきである。それによって、最終のベルトに空隙が生じるおそれをなくす。そのような空隙があれば、ベルトとシューとの間に用いる潤滑油がベルトを通過し、単一あるいは複数のプレス布および繊維状のウェブを汚染することになる。ベース布については、平織りにし、その後に無端の形態に縫合するか、あるいは管状の形態に織る。
【0010】
含浸材料が固体状態に硬化するとき、初めは機械的な結合によりベース布に束縛され、硬化した含浸材料はベース布の糸(ヤーン)を取り囲む。さらに、硬化した含浸材料とベース布の糸材料との間に化学的な結合あるいは接着も一部生じるであろう。
【0011】
米国特許第5,238,537号が示すような長いニッププレスベルトは、それを据え付ける長いニッププレスの規模によるが、その無端ループの周りを縦(長手)方向に測った長さがおよそ13〜35フィート(つまり、約4〜11m)であり、また、無端ループを横断する方向に測った幅はおよそ100〜450インチ(つまり、250〜1125cm)である。そのようなベルトを製造するとき、合成高分子樹脂で含浸するに先立ってベース布を無端にしなければならないことから、その製造が面倒であることが理解されるであろう。
【0012】
ベルトの内側面だけでなく外側面にもある所定の厚さの樹脂コーティングを施すことは、しばしば好ましい。ベルトの両面に被覆をすることによって、織りベース布は、それが一致していないとき、ベルトの曲げ中立軸により近くなるであろう。そうすることによって、ベルトが製紙機械のロールあるいはロール状のものの周りを通って曲がるときに内部応力が生じたとしても、その内部応力によってベルトの各側の被膜を剥がす可能性が小さくなる。
【0013】
さらに、ベルトの外側面にある所定の厚さの樹脂コーティングがあれば、織りベース布のどの部分をも露出することなく、その表面に溝、貫通しない止まり穴または凹みあるいは空所を形成することができる。そのような特徴によって、プレスニップ中のウェブから出る水を一時的に貯えることができる。事実、ニッププレスの中には、ベルトの外側面に溝や止まり穴などを設けることにより、ある空隙容積を必須とした構成のものがある。
【0014】
複数の溝をもつ長いニッププレスは公知である。たとえば、ダットの米国特許第4,946,731号は、そのような長いニッププレスベルトを示し、そのベルトは縦方向および横方向の少なくとも一方に、ステープルの紡績糸を含むベース布を備えている。そのベース布に高分子樹脂をコーティングすると、個々のステープルが紡績糸から外側に広がり周囲の被覆材料の中に伸びる。その後に、縦方向の溝を、ベルトの外側面のコーティング中に加工する。それらのステープルが、溝を互いに分離する、いわゆるランド領域をベルトに固定し、それによって、ランド領域の剥がれが生じにくくする。
【0015】
別の例である、マガハーンほかの米国特許第4,946,731号は、シュータイプの長いニッププレス用の樹脂含浸した無端ベルトを示し、高分子樹脂材料で含浸したベース構造によって、ベルトが油、水および空気などの流体を通さないようになっている。高分子樹脂材料は、ベース構造の内側および外側の上に層を形作っている。内側面はなめらかであるが、外側面の方には、紙ウェブから出る水を一時的に貯えるための一次溝がある。それら一次溝は、ランド領域によって分離されている。ランド領域には、それを横切って伸びる二次溝があり、曲げ疲労や応力亀裂を生じる応力を緩和するようになっている。
【0016】
したがって、溝付きの表面を備えるシュープレスベルトには、溝なしのベルトに対して多くの利点(たとえば、水除去の改良、紙の外形の改良、フェルト状態およびフェルト寿命の改良)がある。しかし、多くの適用、特には、低速の製紙機械において、溝付きのベルトを用いる利点は明確とはいえない。特に、プレスに入口ニップスプレーを用いる場合(特には、倒立プレスの場合)には、上述した溝付きのベルトよりもベルトの表面に止まりの円形穴を加工したものを用いる方が有利である。プレス布がプレスニップに入るとき、入口ニップスプレーが生じる。プレスロールがウェブからプレス布、ついで溝の中へと水を押し出す。溝はベルトの長さにわたって連続しているので、水は入口および出口のニップ端で噴霧される。入口ニップスプレーは、プレス布における有効な空隙容積を減少し、ウェブの脱水を減じることになる。
【0017】
この発明は、この問題に対する別の解決策を提供するものであり、たくさんの溝の長さは連続しておらず、長いニッププレスにおけるアーチ状のプレッシャーシューの長さよりも小さい。最も高いニップ圧(および最も大きな水除去)に関係するプレスニップの領域は、ニップ出口に先立つところに位置する。溝がニップを出るとき、溝の開口がニップ入口に位置していないか、あるいはニップ入口がふさがれているだろう。というのは、溝の長さが、アーチ状のプレッシャーシューの長さよりも短く、それによりプレッシャーニップの長さよりも短いからである。ニップ入口がふさがれている(外気に通気せずに)ので、入口ニップスプレーは減じられるか排除され、プレス布内部の水圧は増大し、ベルト表面の溝部分がニップを出るとき、ウェブから水を有効に排出することになる。したがって、この発明による不連続な溝は、入口ニップスプレーを減じるか排除し、脱水効率を増し、紙の横方向(CD)乾燥プロフィールを均一にし、たとえばエネルギー節約や製紙業者における生産量増大といった利益をもたらす。
【0018】
上述したこの発明によるベルトの溝は、実質的に縦方向(MD)に平行に伸びる。それとは別に、この発明のベルトの溝は、横方向(CD)に方向付け、連続にすることも不連続にすることもできる。
【発明の概要】
【0019】
したがって、この発明は、長いニップシュープレスに用いるベルトの技術である。そのベルトは、無端のループの形態にすることができる、少なくとも1つの層(たとえば、ベース構造あるいはベースファブリック)を備える。長いニッププレスは、アーチ状のプレッシャーシューを備える。ベルトの層の少なくとも一方の表面には、高分子樹脂材料を含浸し、その上に外側の層あるいはコーティングを形作る。その外側の層は、一般的には、縦方向(MD)に向いた複数の溝を含み、それら複数の溝の長さはアーチ状のプレッシャーシューの長さよりも短い。
【0020】
他の実施例において、この発明のベルトは、実質的に横方向(CD)に向き、連続するかあるいは不連続な複数の溝を含む。
【0021】
この発明の詳細について、図面を参照しながらさらに詳しく説明しよう。図面には、対応する構成部分には、同じ符号を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】長いニッププレスの側断面図である。
【図2】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図3】図1の断面図であり、ニップに入る溝を示す。
【図4】図1の断面図であり、ニップに囲まれた溝を示す。
【図5】図1の断面図であり、ニップから出る溝を示す。
【図6】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図7】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図であり、溝が千鳥足状になった例である。
【図7a】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図であり、溝のパターンが群れになった例である。
【図7b】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図であり、溝が重なった例である。
【図8】連続した溝をもつベルトの機械速度およびプレス荷重に対する、入口および出口ニップスプレーの水容積を示すグラフである。
【図9】連続した溝をもつプレスベルトの荷重に対する、入口ニップスプレーが見えなくなる時点の速度を示すグラフである。
【図10】この発明のベルトの機械速度および荷重に対する、入口および出口ニップスプレーの水容積を示すグラフである。
【図11】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図11a】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図12】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図13】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図14】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図15】この発明の一実施例によるベルトの上面図である。
【図16】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図17】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図18】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図19】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図20】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図21】この発明の一実施例による溝の断面図である。
【図22】この発明の他の実施例によるシューニッププレスおよびベルトの断面図である。
【図23】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図24】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図25】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図26】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図27】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図28】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【図29】この発明の一実施例にしたがって配置した複数の溝をもつベルトの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1の断面図は、製紙機械上で繊維状ウェブを脱水し紙製品に加工するための長いニッププレスを示す。プレスニップ10を定めるのは、なめらかな円筒形プレスロール12とアーチ状のプレッシャーシュー14である。アーチ状プレッシャーシュー14の曲率半径は、円筒形プレスロール12とほぼ同じである。円筒形プレスロール12とアーチ状プレッシャーシュー14との距離については、アーチ状プレッシャーシュー14に付属させた液圧手段によって調整することができる。その液圧手段は、ニップ10の荷重を制御するためのものである。なめらかな円筒形プレスロール12として、アーチ状プレッシャーシュー14に適合させた制御クラウンロールを用いることによって、横方向のニップ圧プロフィールを一様にすることができる。
【0024】
長いニッププレスベルト16は、ニップ10を通る閉じループ内に伸び、円筒形プレスロール12をアーチ状プレッシャーシュー14から分離する。プレス布(プレスファブリック)18および紙製品に加工される繊維状ウェブ20は、図1に矢印で示すようにニップ10を一緒に通る。繊維状ウェブ20はプレス布18に支持され、ニップ10のなめらかな円筒形プレスロール12に直接接触する。それとは別に、繊維状ウェブ20を2つのプレス布18(図示しない第2のプレス布)の間にサンドイッチ状に挟んでニップ10を通過させることができる。長いニッププレスベルト16もまた、図1に矢印で示すように、すなわち、時計回りに動き、プレス布18がアーチ状プレッシャーシュー14に対して直接スライド接触することがなく、潤滑油層上アーチ状プレッシャーシュー14の上方をスライドするようにする。したがって、長いニッププレスベルト16は油を通さず、それにより、プレス布18および繊維状ウェブ20は汚染されないであろう。
【0025】
図2は、この発明の一実施例によるベルト16の上面図である。ベルト16は外側面24をもつ。外側面24には複数の溝26がある。それらの溝26は、ベルト16の周りを縦方向に伸びており、ニップ10の中の繊維状ウェブ20から出る水を一時的に貯える。溝26について、以下に詳しく説明する。
【0026】
図3〜5は、シュープレスニップ10における脱水メカニズムを3つの状態で示す。そこでは、溝の一群がプレスニップ10に入り出ていく。図3は、溝26がニップ10に入るときのベルト16の断面図である。図3〜5の進みから分かるように、溝26はニップ入口36でニップ10に入り、ニップ出口38でニップ10から出る。
【0027】
図3は、また、ベルト16の断面を示す。ベルト16は、少なくとも1つのベース層(ベースファブリック)28を含む。しかし、ベルト16は、高分子樹脂コーティング(被膜)34のほかに、付加的な層を含むことができる。
【0028】
層28については、横断する、つまり横方向糸30(図3の側面から見て)と、縦に沿った縦方向糸32とによって織ることができる。層28を織るとき、横断する糸30を縦方向糸32の上、下および間に織り合わさるように織ることができる。横糸はシングルウィーブである。しかし、層28については、平織りにし、その後に縫い合わせによって無端の形態に結合することができる。さらに、層28を2重織り、あるいは製紙機械布ベルトの製造で用いる他の織りで織ることができる。
【0029】
また、層28は、横方向糸と縦方向糸との組み立て形態となった不織構造にすることができる。横方向糸と縦方向糸とは、互いの交差点で接着し、布(ファブリック)を作る。さらに、層28は、編みあるいは組み布、または、ゴーシアの米国特許第4,567,077号が示すようならせんリンクベルトでも良い。その特許の教えを参照によってここに組み込む。層28については、また、高分子樹脂材料をシートあるいは膜の形態に押出し成形した後、孔をあけたものを用いることができる。さらにまた、少なくとも1つの層28を不織のメッシュ生地で構成することができる。そのような不織のメッシュ生地は、ジョンソンの米国特許第4,427,734号(この発明の譲受人に譲渡された)が示すので、その特許の教えを参照によってここに組み込む。
【0030】
さらに、層28について、レックスフェルトほかの米国特許第5,360,656号(この発明の譲受人に譲渡された)が示す方法によって、織り、不織、編み、組み、押出しあるいは不織のメッシュ材料の細片をらせん状に巻くことによって作ることができる。その’656号特許の教えを参照によってここに組み込む。それで、層28はらせん巻きの細片(ストライプ)を備えるが、らせんの各巻きは連続した縫い合わせによって次のものと結合し、縦方向に無端のベース構造28を作る。このタイプのベース構造をもつプレスベルトは、米国特許第5,792,323号および5,837,080号(いずれも、この発明の譲受人に譲渡された)が示すので、それらの特許の教えを参照によってここに組み込む。
【0031】
たとえば高分子樹脂などの樹脂34を、ベルト16の少なくとも一面にコーティング、含浸、あるいはその他の方法で配置する。高分子樹脂34は、ベルト16の外側面24にコーティング、あるいはその他の方法で配置する。外側面とは、ベルト16を長いニッププレス上で使用するとき、プレス布18に接触する表面である。さらに、高分子樹脂層23をベルト16の内側面22にコーティング、あるいはその他の方法で配置することができる。内側面とは、ベルト16を長いニッププレス上で使用するとき、アーチ状プレッシャーシュー14上をスライドする表面である。高分子樹脂層23は、層28に含浸し、油、水その他を通さなくなる。高分子樹脂コーティング34および23として、ポリウレタンを用いることができ、それの100%固体構成物を用いることができる。100%固体樹脂方式を用いることにより、層28に施すときの硬化処理の際、溶媒材料を欠くことから、高分子樹脂中に泡が生じることを避けることができる。
【0032】
内側面22および/または外側面24については、高分子樹脂が硬化しなめらかで均一な面になった後で、研削およびバフ研磨を施すこともできる。
【0033】
高分子樹脂が硬化した後、ベルト16の外側面24に溝26を切り込む。また、溝26については、高分子樹脂が硬化する前に圧縮タイプの装置によって外側面24に押して加工するか、あるいは、外側面24に成形加工(たとえば、ベルト16を成形によって製造するとき)することができる。当業者であれば、その他の方法で溝26を作ることもできることを容易に理解するであろう。
【0034】
さらに、この発明の少なくとも一実施例において、溝26は不連続である。すなわち、溝26は、隣接する(およびそれが継続する)溝の間に溝を切らないランド区域42によって分離している。溝26は、ベルトの縦方向あるいは横方向のいずれかに作ることができる。図3〜5は、縦方向に溝を作った好適な実施例を示すが、縦方向の溝の長さはシュー14(図1の)の長さよりも短い値である。その値は、シューの長さの、たとえば1/3、1/2、2/3ほどである。一例を挙げると、典型的なアーチ状プレッシャーシューの長さが約250mmであるとき、溝26の長さ40は約125mmである。同様に、図11には、溝26を横方向に作った例を示す。
【0035】
溝26の形状、大きさ、間隔および方向は、長いニッププレスへの適用、ならびに/または必要な入口ニップスプレーリリーフおよび脱水処理の能力に応じて異なる。
【0036】
上に述べ、そして図3に示すように、溝26はニップ入口36でニップ10に入り、ニップ出口38でニップ10から出る。ニップ入口36は、低圧ゾーンとしての特徴がある。繊維状ウェブ20がニップ10に入るとき、ロール12およびシュー14から加わる圧力がウェブ20中の水を押し、ベルト16に接触しているプレス布18に流出する。ついで、溝26がプレス布18から水を受け取る。
【0037】
図4は、ニップ10が溝26を囲んだベルト16の断面図である。溝26は、その時、液圧ゾーンに入り、ウェブ20およびプレス布18からの水は加圧状態である。溝26は、その空の部分を完全に満たすまで水を受ける。
【0038】
図5は、溝26がニップ10から出るときのベルト16の断面図である。ニップ出口38は、高圧ゾーンとしての特徴がある。最大の圧力、したがって最大の水除去を行う部分が、ニップ出口38の近くである。溝26が不連続であって、その長さがアーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも短いため、溝はニップ入口まで伸びておらず、言い換えると、ニップ入口36はふさがれている。ウェブ20から除去され、プレス布18を通してベルト16に押される水は、図4に関連して上述したように、液圧を増している。この高くなった液圧によって、水はニップ出口38でニップ10から出るとき、溝26から出る。したがって、高圧がウェブ20およびプレス布18から水を流し、溝26を露出させる。
【0039】
図2、6および7、ならびに7aおよび7bは、溝の配列の例を示す。図2に示すように、溝26は等しい数の列になった配列であり、列の各溝の端を直線が交差している。その直線は縦方向に対して大体直交している。しかし、溝の列の数、およびベルト16の縦方向に隣り合う列の間隔については、長いニッププレスへの適用、および/または必要な入口ニップスプレーリリーフおよび脱水処理の能力に応じて異ならせることができる。上に述べたように、溝26は縦方向における長さが不連続であり、アーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも短い。また、溝26は、図2に示すように、ランド区域42によって互いに分離している。
【0040】
図6は、この発明の他の実施例によるベルト16’の上面図である。この例では、MD溝26が等しくオフセットした千鳥足状の列をなしている。オフセットについて、各αで示す。各αは、たとえば25〜30°である。
【0041】
図7は、この発明の他の実施例によるベルト16”の上面図である。ここでは、MD溝26は、横に並んだパターンが繰り返しとはならない千鳥足状の列を作っている。他の実施例として、千鳥足状の列が繰り返し起こるパターンを含むようにすることもできる。
【0042】
図7aは縦方向溝パターンのさらに他の例であり、複数の溝が群れとなったパターン100を繰り返している。図7aが示すように、不連続な溝26の群れ100は、たとえばほぼ縦方向ではあるが角度をもって伸びる10本の溝を備える。そのような溝については、「ギャングカッター」と称するもので切削、一般的にはらせん形態に切削することができる。ベルトには、適正な脱水特性にかなう多くの溝の群れ100を含むようにする。縦方向の角度をもたせた溝の群を示しているが、この発明の考え方の範囲内で横方向を含む他の配置方向にすることができる。また、溝の群れ100の配置方向が同じになっているが、この発明はそれに限定されるわけではない。同じベルト上に、いろいろな配置方向をもつ溝の群を含ませることができる。図7bは、この発明のさらに他の実施例であり、ベルトは重なり状になった溝26をもつ。重なり合う溝26は、不連続ではあるが、繰り返しパターンの中で、ベルトの全体を取り巻くことになる。また、図7bには縦方向に対して角度をもった溝26を示しているが、横方向を含むどの配置方向にも溝を形作ることができる。いくつかの溝をベルトの長さ方向に異なる距離をもたせるようにすれば、溝のないベルトの部分のマーキング発生率が減る。
【0043】
この発明の一実施例において、溝26の縦方向の長さは、ほぼシューの長さに至るまでのどの大きさにもすることができる。たとえば、溝26の長さを約50mm、長手方向における溝26間の間隔を約25mmにすることができる。更に、溝26およびランド領域42については、紙シートに対し流体圧の乱れあるいはマーキングを生じる可能性をできるだけ少なくするパターンになるように配置することができる。図2、6および7には、等しい幅の溝26およびランド領域42を示すが、それは必ずしも必要ではない。それにもかかわらず、ランド領域42について、硬化高分子樹脂による狭い柱状物をベルトの外側面24に縦方向に配列したものと考えることができる。
【0044】
今までの説明において、MD溝26は、縦方向つまり長手方向に配置するものとして示してきた。溝26については、外側面24にらせん状に進む不連続な溝を切ることによって提供することができる。そのような場合、溝26の配置方向は、縦方向つまり長手方向から小さな角度だけ逸れる。さらに、溝26について、外側面24上を反対方向にらせん状に進む、隣接する2あるいはそれより多い不連続な溝を切ることによって提供することができる。すなわち、一方は右回りのらせんであり、他方は左回りのらせんである。カッターをベルト面から間欠的に移動させ、横方向のランド領域となる短い平面ストライプ(CDストライプ)を形作る。CDストライプは、ベルトの長さ、溝の長さおよびランド領域の長さに応じて、ベルト面に任意に配列する。
【0045】
この発明の有利な一実施例において、溝26は、深さが約1.4mm、幅が0.5mm〜2.0mmである。各溝26は、隣のものとの間に1.0mm〜2.5mmの横方向の距離(ランド幅)をもって分離されている。しかし、ランド領域42の幅だけでなく、溝26の正確な数、深さ、幅および形については、求められる使用に応じて異なることになる。したがって、ランド領域に対する溝の比は広い幅をもつ。
【0046】
溝を長手方法つまり縦方向に走るように説明してきたが、この発明はそれに限定されない。すなわち、溝については、いずれの方向、たとえば、横方向つまりCD方向、あるいは、縦方向に対して角度θ(たとえば0<θ<90°)の方向に配置することができる。そのような場合、溝26の「長さ」は、たとえば図11および12に示すシューの幅よりも小さい。
【0047】
図11に示すように、溝26を多数の列(コラム)状に配列することができ、その場合、各溝はほぼ横方向つまりCD方向に形作られている。しかし、各列における溝の数、およびベルト17上のCD方向つまり横方向に隣接する列間の間隔は、適用、ならびに/または必要な入口ニップスプレーリリーフおよび脱水処理の能力に応じて異なる。そのような溝26は、横方向の長さが不連続であると考えることができ、その幅(MD構成部分)がアーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも小さい。また、図11aに示すように、CD溝を連続させることができ、その場合、溝26はベルト17のほぼ横方向全体にわたって伸びる。さらに他の例において、溝26を図12に示すベルト17’のように、千鳥足状に作ることができる。
【0048】
CDつまり横方向の溝をもつシューニップベルトには、容積移送式ポンプにおける羽根車あるいはギアのように作用するという有利な効果がある。溝26がシューに入るときがウェブ20から水が押し出され、ベルト17の溝26に入る。溝26は水を通さない樹脂で形作られているので、水は溝26から流出しない。プレスロール12とシューとの間の圧力が増すにつれて、繊維状ウェブ20からの水で溝26が充満する。そのとき、ベルト17の動きによって、水は繊維状ウェブ20から離れて溝26の中に押されて運ばれる。
【0049】
溝26の幅(MD構成部分)がシューの長さよりも小さいため、溝に入る水は流出することができず、一部がプレスロール12による高圧という理由で水は溝中に保たれる。そのような実施例は、伝統的に平らで溝のないベルトを用いる低速の適用に非常に有用であることが分かった。しかし、この発明は、それに限定されることなく、事実、いろいろな速度で用いることができる。
【0050】
さらに、この発明のベルトは、不連続の溝の他のパターンをもつことができる。一例として、図13を参照すると、この発明のベルトは、多数の第1の溝(たとえば、+形の溝44)および/または多数の第2の溝(たとえば、x形の溝46)をもつことができる。そのような溝のそれぞれは、端から端までの長さおよび幅がアーチ状プレッシャーシュー14のそれよりも小さい。溝44および46については、どのような形状にすることもでき、限定はされないが、正方形、長方形、三角形、z字形、円形、多角形およびそれらの組み合わせを含む。三角形の形の溝の例を図23および24に示す。それらの溝は分離のための、および構造物の端の間にランド領域をもつが、それは必ずしも必要ではない。それぞれの形の頂部が結ばれるときには、形の周囲に沿って連続する溝を形作る。さらに他の例を図25に示す。そこでは、溝を六角形の形あるいはハチの巣状の構造に形作っている。ハチの巣状の構造の1あるいは2以上の六角形を、樹脂コーティングで完全に満たす。また、ベルトは、その縦方向および/または横方向の連続したおよび不連続の溝の組合わせを含む。図26が一例を示し、連続した横方向の溝101と連続した縦方向の溝102に対し、不連続の縦方向の溝103と不連続の横方向の溝104が組み合わさった構成である。上の形の溝のいくつかあるいは全部を、ベルトの縦方向および/または横方向に沿って、異なる深さおよび/または異なる幅をもたせるようにすることができる。
【0051】
ベルト(図2)を標準タイプの連続した溝をもつベルトと比較する場合であり、両ベルトの溝の深さが1.4mm、幅が0.8mm、ランド領域の幅(隣り合う溝間の間隔)が2.1mmの場合において、入口ニップスプレーと出口ニップスプレーとを測定し、機械の速度およびニップの加圧力に対してプロットした。
【0052】
図8に示すように、標準の連続した溝のベルトでは、300m/min以上の機械速度で入口ニップスプレーがある。さらに、機械速度が増すと入口ニップスプレーもまた大きくなり、その後で減少している。また、プレス荷重が増すにつれて入口ニップスプレーが大きくなる。したがって、標準の溝のシュープレスベルトを作動することが望ましくない作動範囲が存在する。
【0053】
図9は、ベルトがシューニッププレスに入るとき、入口ニップスプレーが本質的に除去される作動速度を示す。グラフは、連続した溝をもつシュープレスベルトにおける異なるプレス荷重での速度を比較している。プレス荷重が大きくなれば、入口ニップスプレーを除去するために必要な速度が増すことが分かる。たとえば、600kN/mのプレス荷重において、入口ニップスプレーが消失するのに必要な速度は約650m/minであるのに対し、1200kN/mのプレス荷重では、入口ニップスプレーを除去するのに必要な速度は約810m/minである。
【0054】
図8および9が示すように、標準タイプの連続したMD溝のベルトを伴う長いニップシュープレスにおいて、600kN/m〜1200kN/mのプレス荷重で作動するとき、約650m/minより速いか、あるいは810m/minより遅い速度で走らせると、入口ニップスプレーが存在する。入口ニップスプレーは、紙ウェブの脱水効率を減じるため、既知の溝ベルトにおける好ましからざる特性である。
【0055】
それとは異なり、図10に示すように、この発明のベルトは、600kN/m〜1000kN/mのプレス荷重、250m/min〜1000m/minの速度において、入口ニップスプレーはないか、ないに等しい。したがって、不連続の溝のベルトは、入口ニップスプレーを減じるので、ウェブの脱水効率を高める。
【0056】
不連続の溝を備えるものとして、この発明のベルトを説明したが、この発明はそれに限定されない。すなわち、この発明のベルトには、標準タイプではない連続した溝を含む。一例として、図14を参照すると、ベルト47は、各溝が直線部分48とz字形(ジグザグ形)部分50とを含む、たくさんの連続した溝49を備え、直線部分48はz字形部分50に連なり、そのz字形部分50は別の直線部分48に連なるようになっている。別の例では、たとえば、図27に示すように、溝49は直線部分がなく、z字形部分50だけを含む。それらのz字形部分50は、ベルトの縦方向および/または横方向に連続および/または不連続(図28)とすることができるし、ベルトの縦方向あるいは横方向に角度をもたせるようにすることができる。直線部分および/またはz字形部分の溝の長さは、それぞれアーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも小さい。また、別の例として、図15を参照すると、ベルト51は、1または2以上の溝52を備え、各溝が、第1の幅のたくさんな第1の部分54と、第1の幅よりも小さい第2の幅のたくさんな第2の部分56を備える。第2のあるいは制限部分56の長さは、アーチ状プレッシャーシュー14の長さよりも小さい。さらにまた、ベルトの溝については、図29に示すように、サイン曲線あるいは「S」形状にすることができる。留意すべきは、それらの溝の長さがプレッシャーシュー14の長さよりも小さいことである。
【0057】
そしてまた、すでに述べたように、この発明のベルトに適用する溝の形は、いろいろな断面形状にすることができる。図16〜21は、そのような断面形状の例を示す。勿論、この発明のベルトの溝の形は、それらの形状に限定されるわけではない。
【0058】
図22に、この発明のさらに有利な実施例を示す。図22において、溝26は、異なる深さをもち、深い溝部分60と浅い溝部分62とを含む。深さの変化が、上に述べた不連続な溝における溝端のように作用する。すなわち、溝26の浅い部分62が、溝の深い部分60から水が容易には流出しないようにし、それによって、縦方向の反対方向に水が流れる傾向を著しく減じ、ニップスプレーを最小限にする。
【0059】
この実施例の溝26は連続しているが、その有利な実施例において、溝26の深い溝部分60の長さは、シューの加圧ゾーンの長さよりも小さい。そのことは、溝26の深さと一緒に圧力曲線64を示す図22から分かるであろう。プレスロール12の入口には、溝26の浅い部分62に対応する低圧領域36がある。その後、圧力は速やかに上がり、そこでの溝26の深さは増大する。最大の圧力は、溝26の深い部分60が終わる少し前の時点で生じる。
【0060】
浅い部分62の領域で圧力が劇的に落ちることに留意されたい。こうして、最大の圧力が生じる溝26の一番深い部分において、最大量の水が繊維状ウェブ20から除去される。明白にするため、図22には繊維状ウェブ20を運ぶプレス布(図1中の符号18)を示さないが、当業者であれば、そのような布が一般的にウェブ20とシュープレスベルト16の間に位置することを容易に理解するであろう。
【0061】
当業者は、上に説明したことを変形することができるが、その変形はこの発明の考え方を示すクレームの内容を越えることはない。
【符号の説明】
【0062】
10 プレスニップ
12 プレスロール
14 プレッシャーシュー
16,16’,16” ニッププレスベルト
18 プレス布(プレスファブリック)
20 繊維状ウェブ
22 内側面
24 外側面
26 溝
28 ベース層(ベースファブリック)
30 横方向糸
32 縦方向糸
23,34 高分子樹脂コーティング
36 ニップ入口
38 ニップ出口
42 ランド領域
47 ベルト
49 溝
50 z字形部分(ジグザグ形の部分)
51 ベルト
52 溝
54 第1の部分
56 第2の部分
60 深い溝部分
62 浅い溝部分
64 圧力曲線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構成および特徴を備えるニップシュープレス用のベルト。
・ベースファブリック
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に形成した樹脂コーティング層であり、そのベースファブリックと同様の広がりをもつ
・前記樹脂コーティング層に形作った複数の連続した溝であり、それらの溝の少なくとも1つがジグザグ形の部分を含む
【請求項2】
前記溝は、縦方向に形作られている、請求項1のベルト。
【請求項3】
前記溝は、横方向に形作られている、請求項1のベルト。
【請求項4】
前記溝は、縦方向あるいは横方向に対して角度をもって形作られている、請求項1のベルト。
【請求項5】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項2のベルト。
【請求項6】
前記溝の横方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の横方向長さよりも小さい、請求項3のベルト。
【請求項7】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項6のベルト。
【請求項8】
すべての前記溝は、第2の溝部分の幅よりも大きい幅をもつ第1の溝部分を含む、請求項1のベルト。
【請求項9】
前記溝は、その溝の第2の部分よりも深い深さをもつ第1の部分を含む、請求項1のベルト。
【請求項10】
前記溝は、互いに平行であり、互いに等しい距離だけ縦方向あるいは横方向にオフセットしている、請求項1のベルト。
【請求項11】
前記ジグザグ形の部分は間欠的である、請求項1のベルト。
【請求項12】
前記溝は、互いに平行であり、繰り返しパターンの中で、互いに千鳥足状になっている、請求項1のベルト。
【請求項13】
前記溝は、縦方向に同じか、あるいは異なる長さをもつ、請求項1のベルト。
【請求項14】
次の構成および特徴を備えるニップシュープレス用のベルト。
・ベースファブリック
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に形成した樹脂コーティング層であり、そのベースファブリックと同様の広がりをもつ
・前記樹脂コーティング層に形作った複数の不連続の溝であり、それらの溝の形が正方形、長方形、ジグザグ形、三角形、円形、サイン曲線あるいは多角形である
【請求項15】
前記溝は、ランド領域をもち、そのランド領域は溝の形の周囲の間に位置し溝を分離する、請求項14のベルト。
【請求項16】
前記溝は、六角形あるいはハチの巣状の形であり、それらの溝は六角形あるいはハチの巣状の形の周囲に沿って形作られている、請求項14のベルト。
【請求項17】
次の構成および特徴を備えるニップシュープレス用のベルト。
・ベースファブリック
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に形成した樹脂コーティング層であり、そのベースファブリックと同様の広がりをもつ
・前記樹脂コーティング層に横方向に形作った、1もしくは2以上の連続した溝
・前記樹脂コーティング層に横方向および/縦方向に形作った、不連続な複数の溝
【請求項18】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う幅が異なる、請求項1、14、16あるいは17のベルト。
【請求項19】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う深さが異なる、請求項1、14、16あるいは17のベルト。
【請求項20】
シュープレスベルトにおける入口ニップスプレーを最小限にする方法であり、次の各工程を備える方法。
・プレスベルトのベースファブリックを供給する工程
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に高分子樹脂を被覆する工程
・前記高分子樹脂に連続した複数の溝を形作る工程であり、その際、前記溝の少なくとも1つがジグザグ形の部分を含むようにする
【請求項21】
前記溝の少なくとも1つは、第2の溝部分の幅よりも大きい幅をもつ第1の溝部分を含む、請求項20の方法。
【請求項22】
前記溝の少なくとも1つは、第2の溝部分の深さよりも深い深さの第1の溝部分を含む、請求項20の方法。
【請求項23】
前記溝は、前記高分子樹脂に形作ったランドによって分離される、請求項20の方法。
【請求項24】
前記溝は、縦方向に形作られている、請求項20の方法。
【請求項25】
前記溝は、横方向に形作られている、請求項20の方法。
【請求項26】
前記溝は、縦方向に対して角度をもって形作られている、請求項20の方法。
【請求項27】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項24の方法。
【請求項28】
前記溝の横方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の横方向長さよりも小さい、請求項25の方法。
【請求項29】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項28の方法。
【請求項30】
前記溝は、互いに平行であり、互いに等しい距離だけ横方向にオフセットしている、請求項20の方法。
【請求項31】
前記溝は、互いに平行であり、互いに異なる距離だけ横方向にオフセットしている、請求項20の方法。
【請求項32】
前記溝は、互いに平行であり、繰り返しパターンの中で、互いに千鳥足状になっている、請求項20の方法。
【請求項33】
前記溝は、互いに平行であり、非繰り返しパターンの中で、互いに千鳥足状になっている、請求項20の方法。
【請求項34】
シュープレスベルトにおける入口ニップスプレーを最小限にする方法であり、次の各工程を備える方法。
・プレスベルトのベースファブリックを供給する工程
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に高分子樹脂を被覆する工程
・前記高分子樹脂に不連続の複数の溝を形作る工程であり、その際、それらの溝の形を正方形、長方形、ジグザグ形、三角形、円形、サイン曲線あるいは多角形にする
【請求項35】
前記溝は、ランド領域をもち、そのランド領域は溝の形の周囲の間に位置し溝を分離する、請求項34の方法。
【請求項36】
前記溝は、六角形あるいはハチの巣状の形であり、それらの溝は六角形あるいはハチの巣状の形の周囲に沿って形作られている、請求項34の方法。
【請求項37】
シュープレスベルトにおける入口ニップスプレーを最小限にする方法であり、次の各工程を備える方法。
・プレスベルトのベースファブリックを供給する工程
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に高分子樹脂を被覆する工程
・前記高分子樹脂の被覆層に1または2以上の連続した溝を形作る工程
・前記高分子樹脂の被覆層に横方向および/または縦方向の不連続な複数の溝を形作る工程
【請求項38】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う幅が異なる、請求項20、34、36あるいは37の方法。
【請求項39】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う深さが異なる、請求項20、34、36あるいは37の方法。
【請求項1】
次の構成および特徴を備えるニップシュープレス用のベルト。
・ベースファブリック
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に形成した樹脂コーティング層であり、そのベースファブリックと同様の広がりをもつ
・前記樹脂コーティング層に形作った複数の連続した溝であり、それらの溝の少なくとも1つがジグザグ形の部分を含む
【請求項2】
前記溝は、縦方向に形作られている、請求項1のベルト。
【請求項3】
前記溝は、横方向に形作られている、請求項1のベルト。
【請求項4】
前記溝は、縦方向あるいは横方向に対して角度をもって形作られている、請求項1のベルト。
【請求項5】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項2のベルト。
【請求項6】
前記溝の横方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の横方向長さよりも小さい、請求項3のベルト。
【請求項7】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項6のベルト。
【請求項8】
すべての前記溝は、第2の溝部分の幅よりも大きい幅をもつ第1の溝部分を含む、請求項1のベルト。
【請求項9】
前記溝は、その溝の第2の部分よりも深い深さをもつ第1の部分を含む、請求項1のベルト。
【請求項10】
前記溝は、互いに平行であり、互いに等しい距離だけ縦方向あるいは横方向にオフセットしている、請求項1のベルト。
【請求項11】
前記ジグザグ形の部分は間欠的である、請求項1のベルト。
【請求項12】
前記溝は、互いに平行であり、繰り返しパターンの中で、互いに千鳥足状になっている、請求項1のベルト。
【請求項13】
前記溝は、縦方向に同じか、あるいは異なる長さをもつ、請求項1のベルト。
【請求項14】
次の構成および特徴を備えるニップシュープレス用のベルト。
・ベースファブリック
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に形成した樹脂コーティング層であり、そのベースファブリックと同様の広がりをもつ
・前記樹脂コーティング層に形作った複数の不連続の溝であり、それらの溝の形が正方形、長方形、ジグザグ形、三角形、円形、サイン曲線あるいは多角形である
【請求項15】
前記溝は、ランド領域をもち、そのランド領域は溝の形の周囲の間に位置し溝を分離する、請求項14のベルト。
【請求項16】
前記溝は、六角形あるいはハチの巣状の形であり、それらの溝は六角形あるいはハチの巣状の形の周囲に沿って形作られている、請求項14のベルト。
【請求項17】
次の構成および特徴を備えるニップシュープレス用のベルト。
・ベースファブリック
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に形成した樹脂コーティング層であり、そのベースファブリックと同様の広がりをもつ
・前記樹脂コーティング層に横方向に形作った、1もしくは2以上の連続した溝
・前記樹脂コーティング層に横方向および/縦方向に形作った、不連続な複数の溝
【請求項18】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う幅が異なる、請求項1、14、16あるいは17のベルト。
【請求項19】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う深さが異なる、請求項1、14、16あるいは17のベルト。
【請求項20】
シュープレスベルトにおける入口ニップスプレーを最小限にする方法であり、次の各工程を備える方法。
・プレスベルトのベースファブリックを供給する工程
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に高分子樹脂を被覆する工程
・前記高分子樹脂に連続した複数の溝を形作る工程であり、その際、前記溝の少なくとも1つがジグザグ形の部分を含むようにする
【請求項21】
前記溝の少なくとも1つは、第2の溝部分の幅よりも大きい幅をもつ第1の溝部分を含む、請求項20の方法。
【請求項22】
前記溝の少なくとも1つは、第2の溝部分の深さよりも深い深さの第1の溝部分を含む、請求項20の方法。
【請求項23】
前記溝は、前記高分子樹脂に形作ったランドによって分離される、請求項20の方法。
【請求項24】
前記溝は、縦方向に形作られている、請求項20の方法。
【請求項25】
前記溝は、横方向に形作られている、請求項20の方法。
【請求項26】
前記溝は、縦方向に対して角度をもって形作られている、請求項20の方法。
【請求項27】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項24の方法。
【請求項28】
前記溝の横方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の横方向長さよりも小さい、請求項25の方法。
【請求項29】
前記溝の縦方向の長さは、前記ニップシュープレスのシュー部分の縦方向長さよりも小さい、請求項28の方法。
【請求項30】
前記溝は、互いに平行であり、互いに等しい距離だけ横方向にオフセットしている、請求項20の方法。
【請求項31】
前記溝は、互いに平行であり、互いに異なる距離だけ横方向にオフセットしている、請求項20の方法。
【請求項32】
前記溝は、互いに平行であり、繰り返しパターンの中で、互いに千鳥足状になっている、請求項20の方法。
【請求項33】
前記溝は、互いに平行であり、非繰り返しパターンの中で、互いに千鳥足状になっている、請求項20の方法。
【請求項34】
シュープレスベルトにおける入口ニップスプレーを最小限にする方法であり、次の各工程を備える方法。
・プレスベルトのベースファブリックを供給する工程
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に高分子樹脂を被覆する工程
・前記高分子樹脂に不連続の複数の溝を形作る工程であり、その際、それらの溝の形を正方形、長方形、ジグザグ形、三角形、円形、サイン曲線あるいは多角形にする
【請求項35】
前記溝は、ランド領域をもち、そのランド領域は溝の形の周囲の間に位置し溝を分離する、請求項34の方法。
【請求項36】
前記溝は、六角形あるいはハチの巣状の形であり、それらの溝は六角形あるいはハチの巣状の形の周囲に沿って形作られている、請求項34の方法。
【請求項37】
シュープレスベルトにおける入口ニップスプレーを最小限にする方法であり、次の各工程を備える方法。
・プレスベルトのベースファブリックを供給する工程
・前記ベースファブリックのシート側つまり外側面に高分子樹脂を被覆する工程
・前記高分子樹脂の被覆層に1または2以上の連続した溝を形作る工程
・前記高分子樹脂の被覆層に横方向および/または縦方向の不連続な複数の溝を形作る工程
【請求項38】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う幅が異なる、請求項20、34、36あるいは37の方法。
【請求項39】
前記溝は、ベルトの縦方向および/または横方向に沿う深さが異なる、請求項20、34、36あるいは37の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11a】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11a】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2011−522136(P2011−522136A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511752(P2011−511752)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/045144
【国際公開番号】WO2009/146299
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/045144
【国際公開番号】WO2009/146299
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(597098947)オルバニー インターナショナル コーポレイション (31)
【Fターム(参考)】
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