説明

表面処理装置

【課題】 コーナー部での搬送機構を簡易化して装置を小型化できる表面処理装置を提供すること。
【解決手段】 表面処理装置は、ワーク20を保持する搬送冶具30と、循搬送冶具が循環搬送される循環搬送路100と、循環搬送路100に設けられた表面処理槽200とを有する。循環搬送路は、第1,第2直線搬送路110,120と、第1直線搬送路の端部と第2直線搬送路の端部との間で搬送冶具を水平転回して受け渡す第1,第2転回装置130,140とを有する。第1,第2転回装置の各々は、2本の転回レール131,132,141,142と、搬送治具を支持した転回レールと空状態の転回レールを一体で180°ずつ間欠的に転回駆動する転回駆動部510〜514とを有する。第1,第2転回装置の各々の転回レールは、停止位置にて、第1,第2の直線搬送路の端部にそれぞれ配置された4本のガイドレール234,235,242,243の対応する各1本と一直線上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続メッキ装置等の表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面処理装置例えばワーク表面をメッキ処理する電解メッキ処理装置として、メッキ槽内にて回路基板等のワークを連続搬送する連続メッキ処理装置が知られている。ワークは、給電レールに沿って搬送される搬送治具に垂下して保持され、給電レールから搬送治具を介して給電されながらめっき槽内を連続搬送される。メッキ槽には、陰極となるワーク搬送経路の両側に陽極が配置され、陰極−陽極間に電界を形成してメッキ液を電気分解してワーク表面をメッキする。
【0003】
メッキ槽でワークを連続搬送するコンベアの前後に前処理コンベアと後処理コンベアを配置して、各コンベア間でワークを保持した搬送治具を受け渡す構造(特許文献1の図1)では、各コンベア間に受け渡し装置が必要であり、装置が大型化する。
【0004】
これに代えて、トラック形状の搬送経路にメッキ槽、前処理槽及び後処理槽を設けた構造がある(特許文献2の図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3025254号公報
【特許文献2】特開2002−363796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の構造は特許文献1よりも装置は小型化する。しかし、特許文献2の図2では、直線搬送路での搬送と比較してコーナー部での搬送機構が大掛かりであり、2つのプッシャー21a,21dによって駆動されるリンク機構に加え、昇降機構も必要となる。
【0007】
本発明の幾つかの態様では、コーナー部での搬送機構を簡易化して装置を小型化できる表面処理装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る表面処理装置は、
ワークをそれぞれ保持する複数の搬送冶具と、
循環搬送方向に沿って前記複数の搬送冶具が循環搬送される循環搬送路と、
前記循環搬送路に設けられ、前記複数の搬送冶具の各々に保持された前記ワークを表面処理する表面処理槽と、
前記表面処理槽よりも前記循環搬送路の上流に設けられ、未処理のワークを前記複数の搬送冶具に搬入する搬入部と、
前記表面処理槽よりも前記循環搬送路の下流に設けられ、処理済みのワークを前記複数の搬送冶具から搬出する搬出部と、
を有し、
前記循環搬送路は、
第1直線搬送路と、
前記第1直線搬送路と平行な第2直線搬送路と、
前記第1直線搬送路の一端より前記第2直線搬送路の一端に前記複数の搬送冶具の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第1転回装置と、
前記第2直線搬送路の他端より前記第1直線搬送路の他端に前記複数の搬送冶具の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第2転回装置と、
を有し、
前記第1,第2転回装置の各々は、
2本の転回レールと、
前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに前記少なくとも一つの搬送治具を支持した状態で、前記循環搬送方向の下流側に位置する他の1本の転回レールが空状態で、前記2本の転回レールを一体で180°ずつ間欠的に転回駆動する転回駆動部と、
を有し、
前記第1,第2転回装置の各々に設けられた前記2本の転回レールの各々は、停止位置にて、前記第1,第2の直線搬送路の前記一端及び前記他端にそれぞれ配置された4本のガイドレールの対応する各1本と一直線上に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、第1,第2転回装置の各々は、2本の転回レールのうち、循環搬送方向の上流側に位置する一方に搬送治具を支持し、循環搬送方向の下流側に位置する他方は空状態で、2本の転回レールを一体で180°ずつ間欠的に転回駆動する。これにより、第1,第2直線搬送路間で搬送治具を上流側から下流側に受け渡すことができる。
【0010】
本発明の一態様では、前記第1,第2転回装置の各々に設けられた前記2本の転回レールは、平面視にて両端が面取りされ、前記4本のガイドレールの前記各1本は、前記各一本と一直線上に配置される前記転回レールの前記両端部の一方と対向する端部は、前記2本の転回レールの転回時に前記2本の転回レールの前記両端部と干渉しないように面取りされも良い。
【0011】
転回レールの転回時には、転回レールの両端部に面取り部が存在することで、転回レールは最大半径の回転軌跡が、固定レールの端部と干渉しないようにすることができる。しかも、面取り部を形成することで、転回レールと固定レールとの間の隙間δを小さくすることができる。
【0012】
本発明の一態様では、前記第1,第2転回装置の各々に設けられた前記2本の転回レールは、平面視にて両端に第1,第2斜辺を持つ台形に形成され、前記停止位置にて、前記台形の長辺が前記台形の短辺よりも回転半径方向の内側に配置され、前記4本のガイドレールの前記各1本は、前記各一本と一直線上に配置される前記転回レールの前記第1,第2斜辺の一方と対向する端部に、前記第1,第2斜辺の一方と実質的に平行な斜辺を有することができる。
【0013】
このような形状により、転回レールの最大回転半径を短くして、転回レールと固定レールとの干渉を防止できると共に、転回レールと固定レールとの間の隙間を最小にできる。
【0014】
本発明の一態様では、前記長辺と前記斜辺との交点を第1角部とし、前記短辺と前記斜辺との交点を第2角部とし、前記転回レールの回転中心から前記第1,第2角部までの各長さが実質的に等しくすることができる。
【0015】
この場合、転回レールの回転中心Oから第1,第2角部P1,P2までの各長さが最大半径となる。よって、第1,第2角部P1,P2の回転軌跡が固定レールと干渉しないように、転回レールと固定レールとの間の隙間δを最小に設定することができる。
【0016】
本発明の一態様では、前記転回駆動部は、前記2本の転回レールを同一の転回方向に繰り返し転回駆動し、前記少なくとも一つの搬送治具を支持した前記1本の転回レールは、前記第1,第2直線搬送路の前記一端または前記他端よりも外側を通過して転回され、前記空状態の前記他の1本の転回レールは、前記第1,第2直線搬送路の間を通過して転回することができる。
【0017】
こうすると、第1,第2直線搬送路間で搬送治具に保持されたワークを上流側から下流側に受け渡す際に、ワークが第1,第2直線搬送路間の部品と干渉することがない。
【0018】
本発明の一態様では、前記第1,第2転回装置の各々は、前記2本の転回レールを、前記停止位置にて位置決め固定する位置決め固定部をさらに有することができる。
【0019】
こうすると、固定レールとの間で搬送治具が搬入出される転回レールを位置決め固定部により位置決め固定することで、転回レールの位置を一定として搬入出動作を円滑に行うことができる。
【0020】
本発明の一態様では、前記位置決め固定部は、前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに前記少なくとも一つの搬送治具を受け渡す前に、前記2本の転回レールを前記停止位置にて位置決め固定することができる。
【0021】
こうすると、固定レールから転回レールに向けて搬送治具が搬入される際に転回レールに外力が作用しても、転回レールが外力によって移動することを位置決め固定部により防止できる。
【0022】
本発明の一態様では、前記転回駆動部は、駆動源と、前記2本の転回レールが両端に固定され、前記駆動源により駆動される転回アームを有し、
前記位置決め固定部は、
前記転回アームに設けられた少なくとも一つの被位置決め部と、
前記停止位置にある前記少なくとも一つの被位置決め部に向けて駆動されて前記少なくとも一つの被位置決め部を位置決め固定する位置決め駆動部と、
を含むことができる。
【0023】
こうすると、少なくとも一つの被位置決め部に向けて位置決め駆動部を駆動することで、転回アーム及びその両端の転回レールが位置決めされる。
【0024】
本発明の一態様では、前記少なくとも一つの被位置決め部は、前記転回アームの回転中心から等距離にある2箇所に配置され、前記位置決め駆動部は、前記回転中心よりも、前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに近い位置に配置することができる。
【0025】
2つの被位置決め部に対して、2つの位置決め駆動部を設けても良いが、一つの位置決め駆動部522のみを設けて部品点数を削減できる。この位置決め駆動部は、回転中心よりも、循環搬送方向の上流側に位置する転回レールに近い位置に配置される。一方の被位置決め部を位置決め駆動部によって位置決めしても、2つの転回レールは一体として位置決めされる。特に、搬送治具30が搬入される側の展開レールには、搬入時に転回レール141を転回させる外力が作用するので、外力が作用する側に位置決め駆動を配置している。
【0026】
本発明の一態様では、
前記第1,第2転回装置の各々は、
前記2本の転回レールと一体で転回駆動される第1の被検出部と、
前記第1の被検出部の転回位置を検出する位置検出部と、
をさらに有し、
前記転回駆動部は、前記位置検出部からの出力に基づいて前記2本の転回レールを前記停止位置に停止させることができる。
【0027】
こうすると、転回駆動部は常に一定の位置にて転回レールを停止制御することができ、固定レールと転回レールとの間での搬送部材の受け渡しが円滑になる。
【0028】
本発明の一態様では、前記転回駆動部は、ブレーキ付モーターを含み、
前記位置検出部は、前記停止位置を検出する第1位置検出部と、前記転回方向にて前記停止位置よりも上流位置の減速開始位置を検出する第2位置検出部とを含むことができる。
【0029】
こうすると、転回レールの停止位置精度がさらに高まり、固定レールと転回レールとの間での搬送部材の受け渡しがさらに円滑になる。
【0030】
本発明の一態様では、前記複数の搬送治具の各々は、第2の被検出部を有し、
前記第1,第2転回装置の各々は、
前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに搬入される前記少なくとも一つの搬送治具の前記第2の被検出部の有無を検出する第1治具検出部と、
前記循環搬送方向の下流側に位置する他の1本の転回レールより搬出される前記少なくとも一つの搬送治具の前記第2の被検出部の有無を検出する第2治具検出部と、
をさらに有し、
前記転回駆動部は、前記第1,第2治具検出部の出力に基づいて前記2本の転回レールの転回駆動を開始することができる。
【0031】
転回駆動部は、第1,第2治具検出部の出力に基づいて転回レールの転回駆動を開始する。つまり、第1治具検出部で上流側に位置する転回レールに搬送治具が搭載されたことが確認され、かつ、第1治具検出部で下流側に位置する転回レールから搬送治具が搬出されたことが確認されて、転回駆動部は駆動開始となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態に係る連続メッキ装置の概略平面図である。
【図2】メッキ槽への搬送治具を間欠搬送し、メッキ槽内にて搬送治具を連続搬送する動作を説明する図である。
【図3】前処理槽の一部にて搬送治具を間欠搬送する動作を説明する図である。
【図4】前処理槽の他の一部にて搬送治具を間欠搬送する動作を説明する図である。
【図5】転回装置の正面図である。
【図6】転回装置の側面図である。
【図7】転回装置の平面図である。
【図8】メッキ槽の概略縦断面図である。
【図9】搬送治具の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0034】
1.表面処理装置の概要
図1は、表面処理装置例えば連続メッキ処理装置の平面図である。連続メッキ処理装置10は、回路基板等のワーク20をそれぞれ保持する複数の搬送冶具30が、図1の例えば右回りの循環搬送方向Aに沿って循環搬送される循環搬送路100を有する。なお、図1では一部のワーク20や一部の搬送治具30は図示が省略されている。
【0035】
循環搬送路100には、複数の搬送冶具30の各々に保持されたワーク20を表面処理例えばメッキ処理するメッキ槽(広義には表面処理槽)200と、メッキ槽200よりも循環搬送路100の上流に設けられて未処理のワーク20複数の搬送冶具30に搬入する搬入部210と、メッキ槽200よりも循環搬送路100の下流に設けられて処理済みのワーク20を複数の搬送冶具30から搬出する搬出部220とが設けられている。
【0036】
循環搬送路100は、第1直線搬送路110と、第1直線搬送路110と平行な第2直線搬送路120と、第1直線搬送路110の一端より第2直線搬送路120の一端に複数の搬送冶具30の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第1転回装置130と、第2直線搬送路120の他端より第1直線搬送路110の他端に複数の搬送冶具30の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第2転回装置140とを有する。
【0037】
本実施形態では、メッキ槽200は第2直線搬送路120に沿って設けられ、搬入部210及び搬出部220は第1直線搬送路110に設けられている。循環搬送路100には、メッキ槽200の上流側に配置される前処理槽群230と、メッキ槽200の下流側に配置される後処理槽群240とをさらに設けることができる。
【0038】
前処理槽群230は、搬入部210とメッキ槽200との間に、上流側から順に、例えば脱脂槽230A、湯洗槽230B、水洗槽230C、シャワー槽230D及び酸洗槽230Eを配置することで構成される。後処理槽240は、メッキ槽200と搬出部220との間に、上流側から順に、例えばシャワー槽240A及び水洗槽240Bを配置することで構成される。なお、前処理槽群230及び後処理槽群240の数や種類は適宜変更可能である。また、本実施例装置では、第1転回装置130により転回されるワーク20は、転回中にシャワー槽230Dで洗浄される。同様に、第2転回装置140により転回されるワーク20は、転回中にシャワー槽240Aで洗浄される。
【0039】
前処理槽群230及び後処理槽群240では、搬送治具30は間欠搬送される。このために、前処理槽群230及び後処理槽群240では、搬送治具30を搬送ガイドする2種類のガイドレールが設けられる。一つは、同一処理槽内で搬送治具30を間欠搬送させるための固定レール232,234,235,242,243である。他の一つは、異なる処理槽間で、仕切り壁を越えて搬送治具30を間欠搬送可能な昇降レール231,233,236,241である。
【0040】
前処理槽群230及び後処理槽群240のシャワー槽230D,240A以外の第1,第2直線搬送路110,120では、この2種類のガイドレールと、ガイドレールに沿って1または複数の搬送治具30を単位距離だけ移動させるプッシャーとにより、搬送治具30が間欠搬送される。なお、間欠搬送動作については図3及び図4を用いて後述する。
【0041】
前処理槽群230及び後処理槽群240中のシャワー槽230D,240Aでは、第1,第2転回装置130,140により、搬送治具30が間欠搬送される。このために、第1転回装置130は一体的に転回駆動される2本の転回レール131,132を有し、第2転回装置140は一体的に転回駆動される2本の転回レール141,142を有する。
【0042】
例えば第1転回装置130では、2本の転回レール131,132のうち、循環搬送方向の上流側に位置する一方に搬送治具30を支持し、循環搬送方向の下流側に位置する他方は空状態で、2本の転回レール131,132を一体で180°ずつ間欠的に転回駆動する。第2転回装置140も同様である。第1,第2転回装置130,140にて転回される搬送治具30に保持されたワーク20は、シャワー槽230Dまたはシャワー槽240Aにてシャワー洗浄される。この際、シャワー槽230D,240Aではワーク20を浸漬させる液を収容する必要がないので、隔壁があったとしても低くてよく、ワーク20の水平搬送に支障とならない。
【0043】
図1に示すように、第1,第2転回装置130,140の各々に設けられた2本の転回レール131,132,141,142の各々は、停止位置にて、第1,第2の直線搬送路110,120の両端にそれぞれ配置された4本のガイドレール234,235,242,243の対応する各1本と一直線上に配置される。
【0044】
メッキ槽200には、メッキ槽200の上方から外れた位置にて、図1の平面図にてメッキ槽200の長手方向と平行に延設される給電レール201が設けられている。給電レール201に支持される複数の搬送冶具30は、メッキ槽200内に配置させてワーク20をそれぞれ保持する。また、複数の搬送冶具30を給電レール201に沿って連続搬送させる連続搬送手段400が、給電レール201に沿って設けられる。なお、連続搬送動作については図2を用いて後述する。
【0045】
循環搬送路100は、第1直線搬送路110の搬出部220から搬入部210に亘って、治具戻し搬送路150をさらに有する。治具戻し搬送路150は、例えば2本の無端状チェーン151,152を有する。治具戻し搬送路150は、空状態の搬送治具30を搬出部220から搬入部210に戻し搬送する機能と、搬入部210の上流側で空状態の搬送治具30を待機させる機能を有する。
【0046】
2.搬送治具の間欠搬送と連続搬送
図2は、メッキ槽200内での搬送治具30の連続搬送動作と、酸洗槽230Eとメッキ槽200との間での搬送治具30の間欠搬送動作とを示している。図2は、昇降レール236に支持されていた3個の搬送治具30のうち、鎖線で示す先頭の搬送治具30が昇降レール236から給電レール201上の実線で示す位置に受け渡された直後の状態を示している。
【0047】
図2において、昇降レール236は昇降モーター250の駆動により昇降軸252に沿って昇降可能である。この昇降レール236は、4個の搬送治具30を支持できる長さを有し、実際の駆動では2個または3個の搬送治具30が支持される。よって、少なくとも1個の搬送治具30を支持するスペースを、空きスペースとして有している。
【0048】
図2の状態から昇降レール236が上昇される前に、シャワー槽230Dにあった1個の搬送治具30(図2では図示せず)が昇降レール236に支持されるように送り動作される。こうして、3個の搬送治具30を搭載した昇降レール236が上昇される。上昇位置には、上部プッシャー260が配置されている。この上部プッシャー260は、ロッド262に3個の送りコマ264を有する。ロッド262は、送りモーター266により駆動される送りボールねじ268によって、前後進可能である。
【0049】
一方、昇降レール236に指示された3個の搬送治具30の各々には、第1駆動片320が固定されている。昇降レール236が上昇すると、上部プッシャー260の3個の送りコマ264の前方に3個の第1駆動片320が配置される。その後ロッド262を前進させると、ロッド262と共に前進する3個の送りコマ264が3個の第1駆動片320を押動して、3個の搬送治具30が単位距離だけ前進される。こうして、先頭の搬送治具30は、酸洗槽230Eの上方からメッキ槽200の上方へと移動される。
【0050】
その後、昇降レール236が下降される。それにより、先頭の搬送治具30は、図2にて鎖線で示すようメッキ槽200内に配置される。このように、異なる処理槽間の隔壁237を乗り越えるために、昇降レール236と上部プッシャー260とを用いて、搬送治具30は間欠搬送される。
【0051】
昇降レール236上に支持された先頭の搬送治具30(鎖線で図示)は、下部プッシャー270により、昇降レール236から給電レール201へと受け渡される。下部プッシャー270は、ロッド272に支持された送りコマ274を有する。一方、搬送治具30は、送りコマ274に当接可能な第2駆動片321を有し、昇降レール236上に支持された先頭の搬送治具30の第2駆動片321は送りコマ274の前方に配置される。その後ロッド272を前進させると、ロッド272と共に前進する送りコマ274が第2駆動片321を押動して、搬送治具30が単位距離だけ矢印A方向に前進される。こうして、先頭の搬送治具30は、酸洗槽230Eの上方からメッキ槽200の上方へと移動される。昇降レール230Eから給電レール201へと受け渡される。
【0052】
この際、ロッド272のシーケンシャル制御により、ロッド272にて前進された後行の搬送治具30に支持されたワーク20は、給電レール201上にて低速度で連続搬送中の先行の搬送治具30に支持されたワーク20と僅かなギャップGだけ隔てて配置される。ギャップGは狭いほどよいが、先行及び後行のワーク20同士の干渉を防止する必要があり、設計値として10mmまたはその前後の寸法に設定される。ギャップGが大きいと、ワーク20の両端に電解が集中して、いわゆるドッグボーン(犬の骨)と称されるようにワーク20の両端でのメッキ厚が厚くなり、面内均一性が確保できないからである。
【0053】
次に、図3及び図4を参照して、前処理槽群230で搬送治具30を間欠搬送する動作について説明する。図3及び図4でも、図2での間欠搬送動作と同様に、同一槽内のみでの間欠搬送動作は下部プッシャー280,284,286と固定レール232,234,235を用いて実施され、異なる槽間で隔壁237を超える間欠搬送動作を含む場合には、上部プッシャー282と昇降レール233を用いて間欠搬送動作が実施される。なお、図4は水洗槽230Cから酸洗槽230Eまでを展開した図として示しているが、シャワー槽230D内での間欠搬送は、固定レールに代えて、水平に転回される転回レール131または転回132が用いられ、転回レール131(132)とその前後の固定レール234,235との間の間欠搬送は、下部プッシャー284,286により実施される。また、後処理槽群240での間欠搬送動作については説明を省略するが、上記と同様にして、転回レール141,142、固定レール242,243と図示しない下部プッシャーを用いて実施される。
【0054】
3.転回装置
図1に示す第1,第2の転回装置130,140の詳細を、図5〜図7を参照して説明する。なお、図5〜図7は第2の転回装置140を示すが、第1の転回装置130も同一の構造を有する。
【0055】
連続メッキ装置10の正面側から見た図5において、第2の転回装置140は、連続メッキ装置10の機台10A上にチャンネル状(コ字状)の取付金具500を有し、取付金具500の上部に駆動源であるモーター、例えばブレーキ付モーター510を有する。モーター510により駆動される転回軸512が、モーター510から垂直下方に延びている。
【0056】
この転回軸512には、連続メッキ装置10を側面から見た図6に示すように、水平に延びる転回アーム514が固定されている。転回アーム514の両端に、図1に示す2本の転回レール141,142が固定されている。よって、モーター510、転回軸512及び転回アーム514は、転回レール141,142を転回駆動する転回駆動部を構成する。
【0057】
3.1.面取り部
ここで、平面視である図7に示すように、2本の転回レール141,142は、平面視にて両端が面取りされている。例えば、図7のB部拡大図に示すように、転回レール141の一端には面取り部141Aが形成され、本実施形態では面取り部141Aは斜辺にて形成されている。転回レール141は平面視で線対称形状であり、転回レール141の他端にも斜辺で形成された面取り部141Bが形成されている。もう一つの転回レール142の両端にも斜辺で形成された面取り部142A,142Bが形成されている。
【0058】
さらに、図7において、転回レール141または転回レール142と一直線上に配置される固定レール242にも、転回レール141,142の面取り部141A,142Aと対向する端部が、面取り部141A,142Aと平行な斜辺で形成される面取り部242Aを有する。図7のB部拡大図で示すように、対向する面取り部141A,242A間には隙間δが生じている。固定レール243にも同様な面取り部243Aが形成されている。
【0059】
ここで、転回レール141,142は図7の矢印C方向に180゜ずつ間欠的に回転される。つまり、2本の転回レール141,142を同一の転回方向Cに繰り返し転回駆動し、搬送治具32を支持した側の転回レール(図7では転回レール141)は、第2直線搬送路120の端部の固定レール242よりも外側を通過して転回される。搬送治具30を支持していない空状態の転回レール(図7では転回レール142)は、第1,第2直線搬送路110,120の間を通過して転回される。
【0060】
その転回時には、面取り部141A,141B,142A,142B,242A,243Aが存在することで、転回レール141,142は最大半径の回転軌跡Dが、固定レール242,243の端部と干渉しない。しかも、面取り部を形成することで、図7のB部拡大図で示す隙間δを最小にすることができる。
【0061】
換言すれば、転回レール141は、図7に示す平面視にて両端に第1,第2斜辺(面取り部)141A,141Bを持つ台形に形成され、転回レール141の停止位置にて、台形の長辺141Cが台形の短辺141Dよりも回転半径方向の内側に配置される。転回レール142も同様に、第1,第2斜辺(面取り部)142A,142Bと、長辺142Cと、短辺142Dとを有する平面視で台形である。このような形状により、転回レール141,142の最大回転半径を短くして、転回レール141,142と固定レール242,243との干渉を防止できると共に、隙間δを最小にできる。
【0062】
ここで、図7に示すように、長辺142Cと斜辺142A(142B)との交点を第1角部P1とし、短辺142Dと斜辺142A(142B)との交点を第2角部P2とする。転回レール141,142の回転中心Oから第1,第2角部P1,P2までの各長さを実質的に等しくすることができる。この場合、転回レール141,142の回転中心Oから第1,第2角部P1,P2までの各長さが最大半径となる。よって、第1,第2角部P1,P2の回転軌跡が固定レール242,243と干渉しないように、隙間δを最小に設定することができる。
【0063】
図7に示す下部プッシャー284の駆動片284Aを移動することで、搬送治具30の第2駆動片321(図2参照)を押動して、搬送治具30が固定レール242から転回レール141または142に移送される。その際に、隙間δが最小であると、搬送治具30の移送が円滑になる。
【0064】
3.2.位置決め固定部
第2の転回装置140は、2本の転回レール141,142を、停止位置にて位置決め固定する位置決め固定部520を有することができる。位置決め固定部520は、循環搬送方向Aの上流側に位置する転回レール(図7では転回レール141)に搬送治具30を受け渡す前に、2本の転回レール141,142をその停止位置にて位置決め固定する。
【0065】
位置決め固定部520は、転回アーム514に設けられた少なくとも一つ、例えば2つの被位置決め部521と、停止位置にある一方の被位置決め部521に向けて駆動、例えば上昇駆動されて被位置決め部521を位置決め固定する位置決め駆動部522と、を有することができる。
【0066】
被位置決め部521は例えば頂点を下端とする円錐形状であり、位置決め駆動部522には円錐部分を受け入れるテーパー溝を有する。よって、被位置決め部521に向けて位置決め駆動部522を上昇駆動すると、円錐部分とテーパー溝とのセンタリング機能により、転回アーム514及びその両端の転回レール141,142が位置決めされる。
【0067】
2つの被位置決め部521は、転回アーム514の回転中心から等距離にある。本実施形態では、2つの被位置決め部521に対して、2つの位置決め駆動部522を設けても良いが、一つの位置決め駆動部522のみを設けている。この位置決め駆動部522は、回転中心よりも、循環搬送方向Aの上流側に位置する転回レール(図7では転回レール141)に近い位置に配置される。一方の被位置決め部521を位置決め駆動部522によって位置決めしても、転回レール141,142は一体として位置決めされる。ただし、図7に示す転回レール141には、搬送治具30が搬入され、この搬入時に転回レール141を転回させる外力が作用する。よって、外力が作用する側に位置決め駆動522を配置している。そして、位置決め固定部520は、循環搬送方向Aの上流側に位置する転回レール141または142に固定レール242から搬送治具30を受け渡す前に、転回レール141,142を停止位置にて位置決め固定する。これにより、搬送治具30の搬入時に転回レール141,142がモーター510からの出力以外の外力によって転回されることがない。
【0068】
なお、一つの被位置決め部521を転回アーム514の回転中心に設けても良い。この場合、一つの位置決め駆動部522が転回アーム514の回転中心線上に設ければよい。
【0069】
3.3.シーケンス制御
転回装置140は、転回開始から転回停止までをシーケンシャルに制御される。先ず、転回装置140の転回動作の終了制御について説明する。転回装置140は、2本の転回レール141,142と一体で転回駆動される第1の被検出部530と、第1の被検出部530の転回位置を検出する位置検出部531(532)をさらに有することができる。
【0070】
第1の被検出部530は、転回軸512から水平に延びる帯状部材とすることができる。位置検出部531(532)は、第1の被検出部530を例えば光または容量値の変化によって非接触で検出することができる。モーター510は、位置検出部531(532)からの出力に基づいて2本の転回レール141,142を停止位置に停止させる。
【0071】
本実施形態では、ブレーキ付モーター510を採用している。この場合、位置検出部は、停止位置を検出する第1位置検出部531と、転回方向Cにて停止位置よりも上流位置の減速開始位置を検出する第2位置検出部532とを含むことができる。こうすると、ブレーキ付モーター510は、第2位置検出部532の出力により減速を開始し、第1の位置検出部531の出力に基づいて停止される。
【0072】
次に、転回装置140の転回動作の開始制御について説明する。図9に示す通り、複数の搬送治具30の各々は、搬送治具30の有無をセンシングするための被検出片(第2の被検出部)322を有する。一方、転回装置140は、循環搬送方向Aの上流側に位置する転回レール(図7では転回レール141)に搬入される搬送治具30の被検出片(第2の被検出部)322の有無を検出する第1治具検出部540を有する。転回装置140はさらに、循環搬送方向Aの下流側に位置する転回レール(図7では転回レール142)より搬出される搬送治具30の被検出片(第2の被検出部)322の有無を検出する第2治具検出部541を有する。
【0073】
モーター510は、第1,第2治具検出部540,541の出力に基づいて転回レール141,142の転回駆動を開始する。つまり、第1治具検出部540で上流側に位置する転回レール141,142の一方に搬送治具30が搭載されたことが確認され、かつ、第1治具検出部540で下流側に位置する転回レール141,142の他方から搬送治具30が搬出されたことが確認されて、モーター510は駆動開始となる。位置決め駆動部520を備える場合には、位置決め駆動部522が下降駆動されて位置決めが解除されていることも、モーター510の駆動開始条件となる。
【0074】
4.メッキ槽
図8は、メッキ槽200の概略断面図である。メッキ槽200は、上部が開口した枠体202を有する。枠体202内には、2つの陽極ボックス203が対向して配置され、陽極ボックス203内には消耗品である陽極ボール203Aが収容される。2つの陽極ボックス203の間には、2列のノズル管204が配置される。2列のノズル管204の各々には、縦列にて複数のノズル204Aが固定され、メッキ液をワーク20の両面に向けて噴出可能である。2列のノズル管204の下端は、分配配管205にそれぞれ固定されている。
【0075】
ワーク20の両側には、ワーク20を搬送ガイドするガイド部材や、ワーク20の上下端部をマスクするマスク部材を設けることができる。さらに、ワーク20の全長に合わせてガイド部材及びマスク部材の高さ位置を調整できる。マスク部材がワーク20の上下端部をマスクすることで、ワーク20の下端に電界が集中してメッキ厚が厚くなることを防止できる。
【0076】
5.搬送治具
ワーク20を保持する搬送治具30は、図9に示すように、給電レール201に案内される被案内部300と、被案内部300側の基端部から自由端部に向けて水平方向に延びる連結部330と、連結部330の自由端部に連結されてワーク20を垂下状態にて保持する保持部340とを有する。
【0077】
ここで、被案内部300を案内する給電レール201は、図9に示すように、縦断面が、上面201Aと、下面201Bと、メッキ槽200側の第1側面201Cと、第1側面201Cと対向する第2側面201Dとを有する矩形断面である。なお、給電レール201の形状は、メッキ槽200以外で搬送治具30を間欠搬送するガイドレール(固定レール232,234,235,242,243、昇降レール231,233,236,241または転回レール131,132,141,142)の形状と一致している。
【0078】
被案内部300は、給電レール201の上面201Aと接触する被給電部301と、給電レール201の第1側面201Cと転接する少なくとも一つ、例えば2つの第1ローラー302と、給電レール201の第2側面201Dと転接する少なくとも一つ、例えば3つの第2ローラー303と、連続搬送手段400に噛合される被噛合部304と、を有する。さらに、給電レール201の下面201Bに転接する少なくとも一つ、例えば2つの第3ローラー305を設けることができる。このように、給電レール201の上面201Aと自重により接触する被給電部301を有する被案内部300は、給電レール201の両側面201C,201Dを挟持するように転接する第1,第2ローラー302,303によって給電レール201に案内される。さらに、給電レール201の下面201Bに転接する第3ローラー305を設けることで、搬送治具30の上下動を規制できる。転回レール131,132,141,142も給電レール201と同一形状であるので、これらの転回レールに搬送治具30を保持した転回動作中でも、搬送治具30は水平方向または上下方向に変動することがない。
【0079】
給電レール201に案内される被案内部300自体に、連続搬送手段400と噛合して被案内部300に搬送力を作用させる被噛合部304を設けているので、被案内部300は給電レール201上を円滑に搬送される。この被案内部300には、図9に示すように、上述した第1,第2駆動片320,321と、搬送治具30の有無をセンシングするための被検出片(第2の被検出部)322が設けられている。
【0080】
搬送治具30の連結部330は、図9に示すように、互いに隔離して配置される被案内部300と保持部340とを連結するものであ。搬送治具30が連結部330を有することで、図5に示すように、搬送治具30の被案内部300を案内する給電レール201は、メッキ槽200の上方から外れた位置となる。これにより、被案内部300が給電レール201を摺動した時に発生する粉塵がメッキ槽200に落下することがない。
【0081】
連結部330は、図1に示す戻し搬送路150の2つのチェーン151,152上に載置され、搬送治具30が戻し搬送路150に沿って戻し搬送される。
【0082】
保持部340は、図9に示すようにワーク20の上部をチャックする複数例えば3つのチャック部341を有する。幅が広いワーク20を保持できるように、標準装備としてまたはオプションとして、3つのチャック部341の両側に可動チャック部342を設けることができる。可動チャック部342は、ワーク20の幅に合わせてスライド移動可能となっている。
【0083】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
20 ワーク、30 搬送治具、100 循環搬送路、110 第1直線搬送路、120 第2直線搬送路、 130 第1の転回装置、131,132 転回レール、140 第2の転回装置、141,142 転回レール、141A,141B,142A,142B 面取り部(第1,第2斜辺)、141C,142C 長辺、141D,142D 短辺、200 表面処理槽(メッキ槽)、201 給電レール、234,235,242,243 ガイドレール(固定レール)、242A,243A 面取り部、300 被案内部、322 第2の被検出部、330 連結部、340 保持部、400 連続搬送手段、510,512,514 転回駆動部、520 位置決め固定部、521 被位置決め部、522 位置決め駆動部、530 第1の被検出部、531,532 位置検出部(第1,第2位置検出部)、540,541 第1,第2治具検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをそれぞれ保持する複数の搬送冶具と、
循環搬送方向に沿って前記複数の搬送冶具が循環搬送される循環搬送路と、
前記循環搬送路に設けられ、前記複数の搬送冶具の各々に保持された前記ワークを表面処理する表面処理槽と、
前記表面処理槽よりも前記循環搬送路の上流に設けられ、未処理のワークを前記複数の搬送冶具に搬入する搬入部と、
前記表面処理槽よりも前記循環搬送路の下流に設けられ、処理済みのワークを前記複数の搬送冶具から搬出する搬出部と、
を有し、
前記循環搬送路は、
第1直線搬送路と、
前記第1直線搬送路と平行な第2直線搬送路と、
前記第1直線搬送路の一端より前記第2直線搬送路の一端に前記複数の搬送冶具の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第1転回装置と、
前記第2直線搬送路の他端より前記第1直線搬送路の他端に前記複数の搬送冶具の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第2転回装置と、
を有し、
前記第1,第2転回装置の各々は、
2本の転回レールと、
前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに前記少なくとも一つの搬送治具を支持した状態で、前記循環搬送方向の下流側に位置する他の1本の転回レールが空状態で、前記2本の転回レールを一体で180°ずつ間欠的に転回駆動する転回駆動部と、
を有し、
前記第1,第2転回装置の各々に設けられた前記2本の転回レールの各々は、停止位置にて、前記第1,第2の直線搬送路の前記一端及び前記他端にそれぞれ配置された4本のガイドレールの対応する各1本と一直線上に配置されることを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1,第2転回装置の各々に設けられた前記2本の転回レールは、平面視にて両端が面取りされ、
前記4本のガイドレールの前記各1本は、前記各一本と一直線上に配置される前記転回レールの前記両端部の一方と対向する端部は、前記2本の転回レールの転回時に前記2本の転回レールの前記両端部と干渉しないように面取りされていることを特徴とする表面処理装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1,第2転回装置の各々に設けられた前記2本の転回レールは、平面視にて両端に第1,第2斜辺を持つ台形に形成され、前記停止位置にて、前記台形の長辺が前記台形の短辺よりも回転半径方向の内側に配置され、
前記4本のガイドレールの前記各1本は、前記各一本と一直線上に配置される前記転回レールの前記第1,第2斜辺の一方と対向する端部に、前記第1,第2斜辺の一方と実質的に平行な斜辺を有することを特徴とする表面処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記長辺と前記斜辺との交点を第1角部とし、前記短辺と前記斜辺との交点を第2角部とし、前記転回レールの回転中心から前記第1,第2角部までの各長さが実質的に等しいことを特徴とする表面処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記転回駆動部は、前記2本の転回レールを同一の転回方向に繰り返し転回駆動し、前記少なくとも一つの搬送治具を支持した前記1本の転回レールは、前記第1,第2直線搬送路の前記一端または前記他端よりも外側を通過して転回され、前記空状態の前記他の1本の転回レールは、前記第1,第2直線搬送路の間を通過して転回されることを特徴とする表面処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1,第2転回装置の各々は、前記2本の転回レールを、前記停止位置にて位置決め固定する位置決め固定部をさらに有することを特徴とする表面処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記位置決め固定部は、前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに前記少なくとも一つの搬送治具を受け渡す前に、前記2本の転回レールを前記停止位置にて位置決め固定することを特徴とする表面処理装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記転回駆動部は、駆動源と、前記2本の転回レールが両端に固定され、前記駆動源により駆動される転回アームを有し、
前記位置決め固定部は、
前記転回アームに設けられた少なくとも一つの被位置決め部と、
前記停止位置にある前記少なくとも一つの被位置決め部に向けて駆動されて前記少なくとも一つの被位置決め部を位置決め固定する位置決め駆動部と、
を含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記少なくとも一つの被位置決め部は、前記転回アームの回転中心から等距離にある2箇所に配置され、
前記位置決め駆動部は、前記回転中心よりも、前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに近い位置に配置されることを特徴とする表面処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記第1,第2転回装置の各々は、
前記2本の転回レールと一体で転回駆動される第1の被検出部と、
前記第1の被検出部の転回位置を検出する位置検出部と、
をさらに有し、
前記転回駆動部は、前記位置検出部からの出力に基づいて前記2本の転回レールを前記停止位置に停止させることを特徴とする表面処理装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記転回駆動部は、ブレーキ付モーターを含み、
前記位置検出部は、前記停止位置を検出する第1位置検出部と、前記転回方向にて前記停止位置よりも上流位置の減速開始位置を検出する第2位置検出部とを含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記複数の搬送治具の各々は、第2の被検出部を有し、
前記第1,第2転回装置の各々は、
前記循環搬送方向の上流側に位置する1本の転回レールに搬入される前記少なくとも一つの搬送治具の前記第2の被検出部の有無を検出する第1治具検出部と、
前記循環搬送方向の下流側に位置する他の1本の転回レールより搬出される前記少なくとも一つの搬送治具の前記第2の被検出部の有無を検出する第2治具検出部と、
をさらに有し、
前記転回駆動部は、前記第1,第2治具検出部の出力に基づいて前記2本の転回レールの転回駆動を開始することを特徴とする表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−46783(P2012−46783A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188337(P2010−188337)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(507264549)アルメックスPE株式会社 (8)