説明

表面処理装置

【課題】ワークの表面や孔部の内側に付着した気泡を物理的に除去して、処理能力を向上することができる表面処理装置を提供する。
【解決手段】ワーク20の表面を処理する表面処理装置は、ガイドレール231(232)と、ガイドレールに案内され、ガイドレールに沿った搬送方向Aに沿って搬送されるワークを保持した搬送治具30と、搬送治具に保持されたワークを表面処理する表面処理槽と、表面処理槽よりも搬送方向の上流側に配置され、搬送治具に保持されたワークを処理液290中に浸漬して処理する前処理槽230Aと、前処理槽にて処理液に浸漬されるワークを保持した搬送治具に振動を付与して、処理液中にてワークを振動させる振動付与部500と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理槽と前処理槽とを有する表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面処理装置例えばワーク表面をメッキ処理する電解メッキ処理装置として、メッキ槽内にて回路基板等のワークを連続搬送する連続メッキ処理装置が知られている。ワークは、給電レール(ガイドレール)に沿って搬送される搬送治具に垂下して保持され、給電レールから搬送治具を介して給電されながらめっき槽内を連続搬送される。メッキ槽には、陰極となるワーク搬送経路の両側に陽極が配置され、陰極−陽極間に電界を形成してメッキ液を電気分解してワーク表面をメッキする。
【0003】
ここで、メッキ槽の上方に給電レールを配置した構造(特許文献1)や、メッキ槽の上方から外れた位置にて、メッキ槽の長手方向と平行に給電レールを延設した構造が知られている(特許文献2)。後者の構造では、給電レール上を搬送治具が摺動する時に発生する粉塵が、メッキ槽内に落下混入することを防止できる点で優れている。
【0004】
ワークは、電子機器や半導体装置に用いられる基板等であり、貫通孔であるスルーホールや、非貫通孔であるビアホール等の孔部が形成されることがある。表面処理装置は、これらの孔部の内側も表面処理例えばメッキ処理する必要がある。スルーホールは基板の表裏面を導通させる貫通孔であり、ビアホールは内部配線を表層に導通させるための非貫通孔であり、孔部の内側をメッキ配線する必要があるからである。
【0005】
これらの孔部に気泡が存在すると、その気泡によって孔部の内側が表面処理されない問題が指摘されている(特許文献3〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3025254号公報
【特許文献2】特許第3591721号公報
【特許文献4】特開平11−350187号公報
【特許文献5】特開2004−111893号公報
【特許文献6】特開2008−308708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3では、二流体スプレーノズル、あるいは超音波を用いて発生させた霧化した液体をワークの表面に当てて微細孔内部を濡らし、その後にメッキ処理している。特許文献4では、アニオン系界面活性剤を添加することによって表面張力を300〜600μN/cmとした水溶液中にワークを浸漬しながら超音波を印加することにより、ワークの非貫通孔内の気泡を除去している。特許文献5では、ワークに対する表面張力がメッキ処理液よりも小さい前処理溶液にワークを浸漬して、前処理溶液は微細孔の内面との接触角が小さいため、微細孔の内面と気泡との間に前処理溶液が進入して、微細孔の内側に充満している気泡を微細孔の内面から離脱している。
【0008】
しかし、スルーホールやビアホール等の孔部の径はさらに微細化する等、ワークの濡れ性を高めるだけでは、孔部の内側に入りこんだ気泡の除去がより困難な状況にある。
【0009】
本発明の幾つかの態様では、ワークに付着した気泡を物理的に除去して、表面処理能力を向上することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、
ガイドレールと、
前記ガイドレールに案内され、前記ガイドレールに沿った搬送方向に沿って搬送される、ワークを保持した搬送治具と、
前記搬送治具に保持された前記ワークを表面処理する表面処理槽と、
前記表面処理槽よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記搬送治具に保持された前記ワークを処理液中に浸漬して処理する前処理槽と、
前記前処理槽にて前記処理液に浸漬される前記ワークを保持した前記搬送治具に振動を付与して、前記処理液中にて前記ワークを振動させる振動付与部と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様によれば、前処理槽にて処理液に浸漬されるワークを保持した搬送治具に振動を付与している。それにより、処理液中にてワークが振動する。その結果、ワークに付着していた気泡をワークから除去することができる。ワークに付着した気泡とは、ワーク表面に付着した気泡を含む。よって、本発明は必ずしも孔付きのワークに限らない。ワークの表面に気泡が付着すると、その部分の表面処理能力が劣るからである。この他、ワークに貫通または非貫通の孔部が形成されている場合には、その孔部に滞留している気泡も、ワークの振動により孔部から排出される。また、孔部から除去された気泡がワーク表面に再付着しても、その気泡をワークの振動によりワーク表面から除去することができる。こうして、前処理にてワークから気泡を除去できるので、その後の表面処理工程では、孔部の内面も表面処理することができる。
【0012】
ここで、搬送治具に保持されて処理液中を搬送中のワークに振動を付与しても良いが、処理液中にて停止中のワークであると、搬送治具への振動付与がし易い点で好ましい。ワークが処理液中で振動されると、ワークの表面や孔部の壁部の規制から解除される気泡は、浮力が作用して上昇するので、気泡をワークから物理的に排出させることができる。なお、振動付与部は、前処理槽のほか、後処理槽にも設置することができる。
【0013】
本発明の一態様では、前記搬送治具は、前記ガイドレールに案内される被案内部と、前記ワークを垂下状態にて保持する保持部と、前記被案内部と前記保持部とを連結する連結部と、を有し、前記振動付与部は、前記搬送治具の前記連結部に振動を付与することができる。
【0014】
被案内部は、ガイドレールに係合しているために振動が減衰されやすい。保持部は、ワークの保持状態が振動により悪影響を受けやすい。その点、連結部であれば連結機能が保持される限り弊害はない。
【0015】
本発明の一態様では、前記ガイドレールは、前記表面処理槽及び前記前処理槽の上方から外れた位置にて、前記前処理槽から前記表面処理槽に向う方向と平行に延設され、前記搬送治具の前記連結部は、前記被案内部側の基端部から自由端部に向けて水平方向に延びる水平部と、前記水平部の前記自由端部から前記保持部に向けて垂下する垂下部と、
を含み、前記振動付与部は、前記垂下部に振動を付与することができる。
【0016】
振動が付与される垂下部は、ガイドレールに支持される被案内部の基端部から延びる水平部の自由端部に連結されている。このため、片持ち梁の自由端を振動させる要領により、処理液中にてワークを効果的に振動させることができる。
【0017】
本発明の一態様では、前記振動付与部は、前記搬送治具を打撃する打撃部を含むことができる。振動付与には種々の方法が考えられ得るが、振動付与部の打撃部は、少なくとも1回だけ搬送治具を打撃することで、搬送治具に振動を付与することができる。特に、搬送治具の連結部、その連結部の中でも錘下部を打撃することで、片持ち梁構造の搬送治具を効果的に振動されることができる。この振動はワークに伝達されるので、処理液中にてワークを振動させることができる。
【0018】
本発明の一態様では、前記打撃部は、前記ワークの表面と交差する方向に移動して前記搬送治具を打撃することができる。好ましくは、打撃部はワークの表面と直交する方向に移動して搬送治具を打撃することができる。いずれの場合も、ワークの両表面には処理液の圧力が作用するので、処理液が緩衝材となって搬送治具への過度な衝撃を和らげることができる。
【0019】
本発明の一態様では、前記振動付与部は、前記打撃部を、支点廻りに回動自在に保持する第1アーム部と、前記第1アーム部を、前記支点廻りで打撃位置と待機位置とに往復回動駆動する駆動部と、を含むことができる。
【0020】
このように、打撃部を駆動部により第1アーム部を介して回動させることで、打撃部を打撃位置と待機位置とに往復移動させることができる。打撃部が待機位置にあれば、打撃部は搬送治具の搬送路と干渉しないので、搬送治具を搬送路に沿って搬送できる。搬送治具の搬送が停止された後に打撃部を駆動すれば、搬送治具を打撃することができる。
【0021】
本発明の一態様では、前記振動付与部は、前記打撃位置にて前記第1アーム部に当接するストッパー部をさらに含むことができる。
【0022】
こうすると、打撃位置にて打撃部を確実に停止させることができる。ストッパー部を設けることで、仮に搬送治具が存在しない場合でも、打撃部を所定の位置にて停止させることができ、安全性が高まる。
【0023】
本発明の一態様では、前記打撃部は、前記第1アーム部に固定された固定部と、前記固定部に摺動可能に支持され、前記第1アーム部が前記ストッパー部に当接して停止された際の慣性力で前記固定部よりも前方に突出される摺動部と、を含み、前記摺動部が前記搬送治具を打撃してもよい。
【0024】
このように、摺動部が慣性力で前方移動する途中または移動端に搬送治具が存在すれば、摺動部が搬送治具に衝突して搬送治具を打撃することができる。こうすることで、振動付与力を増大させることができる。
【0025】
本発明の一態様では、前記振動付与部は、前記駆動部により駆動されて、前記支点廻りに前記第1アーム部と一体移動する第2アーム部をさらに有し、前記打撃部が保持される前記第1アーム部の作用点から前記支点までの第1距離を、前記駆動部からの駆動力が前記第2アーム部に伝達される力点から前記支点までの第2距離よりも長くすることができる。
【0026】
こうすると、駆動部の駆動力で第2アーム部を駆動した時の打撃部の移動速度が速くなり、摺動部に付与される慣性力を増大できる。それにより、摺動部により搬送治具に付与される衝撃力を増大できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る連続メッキ装置の概略平面図である。
【図2】メッキ槽への搬送治具を間欠搬送し、メッキ槽内にて搬送治具を連続搬送する動作を説明する図である。
【図3】前処理槽の一部にて搬送治具を間欠搬送する動作を説明する図である。
【図4】前処理槽の他の一部にて搬送治具を間欠搬送する動作を説明する図である。
【図5】メッキ槽の概略縦断面図である。
【図6】搬送治具の概略斜視図である。
【図7】前処理槽と振動付与部とを示す側面図である。
【図8】打撃部が待機位置にある振動付与部の平面図である。
【図9】第1アーム部がストッパー部に当接する直前の状態を示す振動付与部の平面図である。
【図10】第1アーム部がストッパー部に当接した直後の打撃状態を示す振動付与部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
1.表面処理装置の概要
図1は、表面処理装置例えば連続メッキ処理装置の平面図である。連続メッキ処理装置10は、回路基板等のワーク20をそれぞれ保持する複数の搬送冶具30が、図1の例えば右回りの循環搬送方向Aに沿って循環搬送される循環搬送路100を有する。なお、図1では一部のワーク20や一部の搬送治具30は図示が省略されている。
【0030】
循環搬送路100には、複数の搬送冶具30の各々に保持されたワーク20を表面処理例えばメッキ処理するメッキ槽(広義には表面処理槽)200と、メッキ槽200よりも循環搬送路100の上流に設けられて未処理のワーク20複数の搬送冶具30に搬入する搬入部210と、メッキ槽200よりも循環搬送路100の下流に設けられて処理済みのワーク20を複数の搬送冶具30から搬出する搬出部220とが設けられている。
【0031】
循環搬送路100は、第1直線搬送路110と、第1直線搬送路110と平行な第2直線搬送路120と、第1直線搬送路110の一端より第2直線搬送路120の一端に複数の搬送冶具30の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第1転回装置130と、第2直線搬送路120の他端より第1直線搬送路110の他端に複数の搬送冶具30の少なくとも一つを水平転回して受け渡す第2転回装置140とを有する。
【0032】
本実施形態では、メッキ槽200は第2直線搬送路120に沿って設けられ、搬入部210及び搬出部220は第1直線搬送路110に設けられている。循環搬送路100には、メッキ槽200の上流側に配置される前処理槽群230と、メッキ槽200の下流側に配置される後処理槽群240とをさらに設けることができる。
【0033】
前処理槽群230は、搬入部210とメッキ槽200との間に、上流側から順に、例えば脱脂槽230A、湯洗槽230B、水洗槽230C、シャワー槽230D及び酸洗槽230Eを配置することで構成される。後処理槽240は、メッキ槽200と搬出部220との間に、上流側から順に、例えばシャワー槽240A及び水洗槽240Bを配置することで構成される。なお、前処理槽群230及び後処理槽群240の数や種類は適宜変更可能である。また、本実施例装置では、第1転回装置130により転回されるワーク20は、転回中にシャワー槽230Dで洗浄される。同様に、第2転回装置140により転回されるワーク20は、転回中にシャワー槽240Aで洗浄される。
【0034】
前処理槽群230及び後処理槽群240では、搬送治具30は間欠搬送される。このために、前処理槽群230及び後処理槽群240では、搬送治具30を搬送ガイドする2種類のガイドレールが設けられる。一つは、同一処理槽内で搬送治具30を間欠搬送させるための固定レール232,234,235,242,243である。他の一つは、異なる処理槽間で、仕切り壁を越えて搬送治具30を間欠搬送可能な昇降レール231,233,236,241である。
【0035】
前処理槽群230及び後処理槽群240のシャワー槽230D,240A以外の第1,第2直線搬送路110,120では、この2種類のガイドレールと、ガイドレールに沿って1または複数の搬送治具30を単位距離だけ移動させるプッシャーとにより、搬送治具30が間欠搬送される。なお、間欠搬送動作については図3及び図4を用いて後述する。
【0036】
前処理槽群230及び後処理槽群240中のシャワー槽230D,240Aでは、第1,第2転回装置130,140により、搬送治具30が間欠搬送される。このために、第1転回装置130は一体的に転回駆動される2本の転回レール131,132を有し、第2転回装置140は一体的に転回駆動される2本の転回レール141,142を有する。
【0037】
例えば第1転回装置130では、2本の転回レール131,132のうち、循環搬送方向の上流側に位置する一方に搬送治具30を支持し、循環搬送方向の下流側に位置する他方は空状態で、2本の転回レール131,132を一体で180°ずつ間欠的に転回駆動する。第2転回装置140も同様である。第1,第2転回装置130,140にて転回される搬送治具30に保持されたワーク20は、シャワー槽230Dまたはシャワー槽240Aにてシャワー洗浄される。この際、シャワー槽230D,240Aではワーク20を浸漬させる液を収容する必要がないので、隔壁があったとしても低くてよく、ワーク20の水平搬送に支障とならない。
【0038】
図1に示すように、第1,第2転回装置130,140の各々に設けられた2本の転回レール131,132,141,142の各々は、停止位置にて、第1,第2の直線搬送路110,120の両端にそれぞれ配置された4本のガイドレール234,235,242,243の対応する各1本と一直線上に配置される。
【0039】
メッキ槽200には、メッキ槽200の上方から外れた位置にて、図1の平面図にてメッキ槽200の長手方向と平行に延設される給電レール(広義にはガイドレール)201が設けられている。給電レール201に支持される複数の搬送冶具30は、メッキ槽200内に配置させてワーク20をそれぞれ保持する。また、複数の搬送冶具30を給電レール201に沿って連続搬送させる連続搬送手段400が、給電レール201に沿って設けられる。なお、連続搬送動作については図2を用いて後述する。
【0040】
循環搬送路100は、第1直線搬送路110の搬出部220から搬入部210に亘って、治具戻し搬送路150をさらに有する。治具戻し搬送路150は、例えば2本の無端状チェーン151,152を有する。治具戻し搬送路150は、空状態の搬送治具30を搬出部220から搬入部210に戻し搬送する機能と、搬入部210の上流側で空状態の搬送治具30を待機させる機能を有する。
【0041】
2.搬送治具の間欠搬送と連続搬送
図2は、メッキ槽200内での搬送治具30の連続搬送動作と、酸洗槽230Eとメッキ槽200との間での搬送治具30の間欠搬送動作とを示している。図2は、昇降レール236に支持されていた3個の搬送治具30のうち、鎖線で示す先頭の搬送治具30が昇降レール236から給電レール201上の実線で示す位置に受け渡された直後の状態を示している。
【0042】
図2において、昇降レール236は昇降モーター250の駆動により昇降軸252に沿って昇降可能である。この昇降レール236は、4個の搬送治具30を支持できる長さを有し、実際の駆動では2個または3個の搬送治具30が支持される。よって、少なくとも1個の搬送治具30を支持するスペースを、空きスペースとして有している。
【0043】
図2の状態から昇降レール236が上昇される前に、シャワー槽230Dにあった1個の搬送治具30(図2では図示せず)が昇降レール236に支持されるように送り動作される。こうして、3個の搬送治具30を搭載した昇降レール236が上昇される。上昇位置には、上部プッシャー260が配置されている。この上部プッシャー260は、ロッド262に3個の送りコマ264を有する。ロッド262は、送りモーター266により駆動される送りボールねじ268によって、前後進可能である。
【0044】
一方、昇降レール236に指示された3個の搬送治具30の各々には、第1駆動片320が固定されている。昇降レール236が上昇すると、上部プッシャー260の3個の送りコマ264の前方に3個の第1駆動片320が配置される。その後ロッド262を前進させると、ロッド262と共に前進する3個の送りコマ264が3個の第1駆動片320を押動して、3個の搬送治具30が単位距離だけ前進される。こうして、先頭の搬送治具30は、酸洗槽230Eの上方からメッキ槽200の上方へと移動される。
【0045】
その後、昇降レール236が下降される。それにより、先頭の搬送治具30は、図2にて鎖線で示すようメッキ槽200内に配置される。このように、異なる処理槽間の隔壁237を乗り越えるために、昇降レール236と上部プッシャー260とを用いて、搬送治具30は間欠搬送される。
【0046】
昇降レール236上に支持された先頭の搬送治具30(鎖線で図示)は、下部プッシャー270により、昇降レール236から給電レール201へと受け渡される。下部プッシャー270は、ロッド272に支持された送りコマ274を有する。一方、搬送治具30は、送りコマ274に当接可能な第2駆動片321を有し、昇降レール236上に支持された先頭の搬送治具30の第2駆動片321は送りコマ274の前方に配置される。その後ロッド272を前進させると、ロッド272と共に前進する送りコマ274が第2駆動片321を押動して、搬送治具30が単位距離だけ矢印A方向に前進される。こうして、先頭の搬送治具30は、酸洗槽230Eの上方からメッキ槽200の上方へと移動される。昇降レール236から給電レール201へと受け渡される。
【0047】
この際、ロッド272のシーケンシャル制御により、ロッド272にて前進された後行の搬送治具30に支持されたワーク20は、給電レール201上にて低速度で連続搬送中の先行の搬送治具30に支持されたワーク20と僅かなギャップGだけ隔てて配置される。ギャップGは狭いほどよいが、先行及び後行のワーク20同士の干渉を防止する必要があり、設計値として10mmまたはその前後の寸法に設定される。ギャップGが大きいと、ワーク20の両端に電解が集中して、いわゆるドッグボーン(犬の骨)と称されるようにワーク20の両端でのメッキ厚が厚くなり、面内均一性が確保できないからである。
【0048】
次に、図3及び図4を参照して、前処理槽群230で搬送治具30を間欠搬送する動作について説明する。図3及び図4でも、図2での間欠搬送動作と同様に、同一槽内のみでの間欠搬送動作は下部プッシャー280,284,286と固定レール232,234,235を用いて実施され、異なる槽間で隔壁237を超える間欠搬送動作を含む場合には、上部プッシャー282と昇降レール233を用いて間欠搬送動作が実施される。なお、図4は水洗槽230Cから酸洗槽230Eまでを展開した図として示しているが、シャワー槽230D内での間欠搬送は、固定レールに代えて、水平に転回される転回レール131または転回132が用いられ、転回レール131(132)とその前後の固定レール234,235との間の間欠搬送は、下部プッシャー284,286により実施される。また、後処理槽群240での間欠搬送動作については説明を省略するが、上記と同様にして、転回レール141,142、固定レール242,243と図示しない下部プッシャーを用いて実施される。
【0049】
3.メッキ槽
図5は、メッキ槽200の概略断面図である。メッキ槽200は、上部が開口した枠体202を有する。枠体202内には、2つの陽極ボックス203が対向して配置され、陽極ボックス203内には消耗品である陽極ボール203Aが収容される。2つの陽極ボックス203の間には、2列のノズル管204が配置される。2列のノズル管204の各々には、縦列にて複数のノズル204Aが固定され、メッキ液をワーク20の両面に向けて噴出可能である。2列のノズル管204の下端は、分配配管205にそれぞれ固定されている。
【0050】
ワーク20の両側には、ワーク20を搬送ガイドするガイド部材や、ワーク20の上下端部をマスクするマスク部材を設けることができる。さらに、ワーク20の全長に合わせてガイド部材及びマスク部材の高さ位置を調整できる。マスク部材がワーク20の上下端部をマスクすることで、ワーク20の下端に電界が集中してメッキ厚が厚くなることを防止できる。
【0051】
4.搬送治具
ワーク20を保持する搬送治具30は、図6に示すように、被案内部300、連結部330及び保持部340を有する。被案内部300は給電レール201に案内される部分である。保持部340はワーク20を垂下状態にて保持する部分である。連結部330は、被案内部300と保持部340とを連結する部分である。
【0052】
ここで、被案内部300を案内する給電レール201は、図6に示すように、縦断面が、上面201Aと、下面201Bと、メッキ槽200側の第1側面201Cと、第1側面201Cと対向する第2側面201Dとを有する矩形断面である。なお、給電レール201の形状は、メッキ槽200以外で搬送治具30を間欠搬送するガイドレール(固定レール232,234,235,242,243、昇降レール231,233,236,241または転回レール131,132,141,142)の形状と一致している。
【0053】
連続搬送手段400は、例えば図6に示すように、チェーン410と、チェーン410に固定された複数の歯付きブロック420を有する。
【0054】
被案内部300は、給電レール201の上面201Aと接触する被給電部301と、給電レール201の第1側面201Cと転接する少なくとも一つ、例えば2つの第1ローラー302と、給電レール201の第2側面201Dと転接する少なくとも一つ、例えば3つの第2ローラー303と、連続搬送手段400の歯付きブロック420に噛合される被噛合部304と、を有する。さらに、給電レール201の下面201Bに転接する少なくとも一つ、例えば2つの第3ローラー305を設けることができる。このように、給電レール201の上面201Aと自重により接触する被給電部301を有する被案内部300は、給電レール201の両側面201C,201Dを挟持するように転接する第1,第2ローラー302,303によって給電レール201に案内される。さらに、給電レール201の下面201Bに転接する第3ローラー305を設けることで、搬送治具30の上下動を規制できる。転回レール131,132,141,142も給電レール201と同一形状であるので、これらの転回レールに搬送治具30を保持した転回動作中でも、搬送治具30は水平方向または上下方向に変動することがない。
【0055】
給電レール201に案内される被案内部300自体に、連続搬送手段400の歯付きブロック420と噛合して被案内部300に搬送力を作用させる被噛合部304を設けているので、被案内部300は給電レール201上を円滑に搬送される。この被案内部300には、図6に示すように、上述した第1,第2駆動片320,321と、搬送治具30の有無をセンシングするための被検出片(第2の被検出部)322が設けられている。
【0056】
搬送治具30の連結部330は、図6に示すように、互いに隔離して配置される被案内部300と保持部340とを連結するものである。本実施形態では、搬送治具30が図6に示す形状を有することで、連結部330を有することで、図5に示すように、搬送治具30の被案内部300を案内する給電レール201は、メッキ槽200の上方から外れた位置とすることができる。これにより、被案内部300が給電レール201を摺動した時に発生する粉塵がメッキ槽200に落下することがない。本実施形態では、連結部330は、被案内部300側の基端部から自由端部に向けて水平方向に延びる水平部331と、水平部331の自由端部から保持部340に向けて垂下する垂下部332と、を有する。
【0057】
連結部330の水平部331は、図1に示す戻し搬送路150の2つのチェーン151,152上に載置され、搬送治具30が戻し搬送路150に沿って戻し搬送される。
【0058】
保持部340は、図6に示すようにワーク20の上部をチャックする複数例えば3つのチャック部341を有する。幅が広いワーク20を保持できるように、標準装備としてまたはオプションとして、3つのチャック部341の両側に可動チャック部を設けることができる。可動チャック部は、ワーク20の幅に合わせてスライド移動可能とすることができる。
【0059】
5.前処理槽と振動付与部
5.1.前処理槽
上述の通り、本実施形態の前処理槽群230は、メッキ槽200の上流側に、脱脂槽230A、湯洗槽230B、水洗槽230C、シャワー槽230D及び酸洗槽230Eを有している。このうち、以下にて説明する振動付与部500が配置される前処理槽は、ワーク20を処理液中に浸漬して処理する前処理槽であり、シャワー槽230Dを除く槽230A,230B,230C,230Eの少なくとも一つである。これらの中でいずれか一つに振動付与部500を設けるとすれば、好ましくは界面活性剤を含む処理液が用いられる槽、例えば脱脂槽230Aである。以下、前処理槽230Aとして説明するが、脱脂槽230A以外の他の前処理槽230B,230C,230Eのいずれかに振動付与部500を設ける場合も同様である。振動付与部500は、前処理槽に加えて、処理液を用いる後処理槽240Bにも設置することができる。
【0060】
5.2.振動付与部の役割
図7は、前処理槽230Aにて処理液に浸漬されるワーク20を保持した搬送治具30に振動を付与して、処理液290中にてワーク20を振動させる振動付与部500を示している。図7に示すように、前処理槽270Aに搬入された搬送治具30は、図1に示すガイドレール(昇降レールまたは固定レール)231または232上にて例えば停止中に、振動付与部500より振動が付与される。それにより、処理液290中にてワーク20が振動する。
【0061】
処理液290中にてワーク20を振動させると、ワーク20の表面に付着していた気泡は、ワーク20から物理的に除去される。ワーク20にスルーホール(貫通孔)またはビアホール(非貫通孔)等の孔部が形成されている場合には、その孔部に滞留している気泡と、ワーク20の孔部との相対位置が振動周期に応じて変化する。ワーク20の孔部はワーク20と一体で振動するのに対して、気泡には浮力による上昇力が付与されるからである。こうして、孔部の壁部の規制から解除される気泡は、浮力が作用して上昇するので、気泡を孔部内から物理的に排出させることができる。ワーク20の孔部から除外されてワーク20の表面に再付着した気泡も、ワーク20の振動により物理的にワーク20の表面から除去される。処理液290中の界面活性剤は、ワーク20の表面や孔部に処理液を接触し易くして、上述した気泡の除去作用を促進できる。
【0062】
このように、前処理槽230Aにてワーク20の表面や孔部から気泡を除去できるので、その後のメッキ槽200でのメッキ工程(表面処理工程)では、ワーク20の表面や孔部の内面もメッキ処理(表面処理)することができる。こうして、ワーク20の表面の一部や孔部にメッキ無しの不良が発生することを防止できる。なお、搬送治具30に保持されて処理液290中を搬送中のワークに振動を付与しても良いが、処理液290中にて停止中のワーク20であると、搬送治具30への振動付与がし易い点で好ましい。さらに、ワーク20の曲げ剛性が低いと、処理液290中にて搬送中にワーク20が振動すると、搬送に伴いワーク20に作用する液圧が増大し、ワーク20が折れ曲がる等の変形をきたす虞がある。この意味からも、処理液290中にて停止中のワーク20を振動させることが好ましい。
【0063】
5.3.搬送部材に振動を付与する部位
次に、振動付与部500が搬送治具30に振動を付与する部位について説明する。上述した通り、搬送治具30は、ガイドレール(昇降レールまたは固定レール)231または232に案内される被案内部300と、ワーク20を垂下状態にて保持する保持部340と、被案内部300と保持部340とを連結する連結部330とを含む。本実施形態では、振動付与部500は、搬送治具30の連結部330に振動を付与している。被案内部300は、ガイドレール(固定レール)231または232に係合しているために振動が減衰されやすい。保持部340は、ワーク20の保持状態が振動により悪影響を受けやすい。その点、連結部300であれば連結機能が保持される限り弊害はない。
【0064】
ここで、本実施形態では、図1及び図7に示すように、ガイドレール(昇降レールまたは固定レール)231または232は、前処理槽230Aの上方から外れた位置にて、搬送治具30の搬送方向と平行に延設されている。このために、搬送治具30の連結部300は、上述した通り、被案内部300側の基端部から自由端部に向けて水平方向に延びる水平部331と、水平部331の自由端部から保持部340に向けて垂下する垂下部332と、を有している。この場合、振動付与部500は、図7に示すように垂下部332に振動を付与することができる。
【0065】
ここで、振動が付与される垂下部332は、図7に示すように、ガイドレール(昇降レールまたは固定レール)231または232に支持される被案内部300の基端部から延びる水平部331の自由端部に連結されている。このため、片持ち梁の自由端を振動させる要領により、処理液290中にてワーク20を効果的に振動させることができる。
【0066】
なお、前述したとおり、処理槽とガイドレールとの位置関係として、上述した特許文献1のように、処理槽の上方にガイドレールを配置するものもある。本発明は特許文献1の配置構造にも適用できる。この場合にも、搬送治具は上述と同様の機能を有する被案内部、保持部及び連結部を有するが、この場合の連結部は水平部331を持たずに垂下部332だけで形成される。よって、振動付与部500は搬送治具の連結部(垂下部)に振動を付与することができる。
【0067】
5.4.振動付与部の振動付与方式
本実施形態の振動付与部500は、図7に示すように、搬送治具30を打撃する打撃部510を含むことができる。振動付与には種々の方法が考えられ得るが、振動付与部500の打撃部510は、少なくとも1回だけ搬送治具30を打撃することで、搬送治具30に振動を付与することができる。特に、搬送治具30の連結部330、その連結部330の中でも垂下部332を打撃することで、片持ち梁構造の搬送治具30を効果的に振動させることができる。この振動はワーク20に伝達されるので、処理液290中にてワーク20を振動させることができる。
【0068】
ここで、打撃部510は、図7に示すようにワーク20の表面と交差する方向B、好ましくはワーク20の表面と直交する方向Bに移動して搬送治具30を打撃することができる。こうすると、ワーク20の両表面は処理液290の圧力が作用するので、処理液290が緩衝材となって搬送治具30への過度な衝撃を和らげることができる。よって、搬送治具30を打撃しても、その打撃力の大半は処理液290が受け止めることができ、搬送治具30の破損が防止される。換言すれば、ワーク20の表面と平行な方向には打撃しないことが好ましい。この場合には処理液290が緩衝材として機能することが期待できないからである。ただし、振動効果は大きいので、ワーク20の表面と平行な方向には打撃することを否定するものではない。
【0069】
5.5.振動付与部の駆動方式
図8〜図10は、振動付与部500の平面図であり、それぞれが振動付与部500の異なる状態を示している。図8は打撃部510の待機位置を示し、図9及び図10は打撃部510が待機位置から打撃位置へ向けて移動した状態を示している。
【0070】
図8〜図10に示すように、振動付与部500は、打撃部510を、支点522の廻りに回動自在に保持する第1アーム部520と、第1アーム部520を、支点522の廻りで打撃位置と待機位置とに往復回動駆動する駆動部例えばエアーシリンダ530とを有することができる。このように、打撃部510を駆動部530により第1アーム部520を介して回動させることで、打撃部510を打撃位置と待機位置とに往復移動させることができる。打撃部510が待機位置にあれば、打撃部510は搬送治具30の搬送方向A(搬送路100)と干渉しないので、搬送治具30を搬送方向A(搬送路100)に沿って搬送できる。搬送治具30の搬送が停止された後に打撃部510を駆動すれば、搬送治具30を打撃することができる。
【0071】
ここで、振動付与部500は、打撃位置にて第1アーム部に当接するストッパー部540をさらに含むことができる。こうすると、図9及び図10に示すように搬送治具30の搬送方向Aと打撃部510とが交差例えば直交する打撃位置にて、打撃部510を確実に停止させることができる。ストッパー部540は、第1アーム部520に接触して打撃部510を停止させることができる。ストッパー部510を設けることで、仮に搬送治具30が存在しない場合でも、打撃部510を所定の位置にて停止させることができ、安全性が高まる。
【0072】
エアーシリンダ530により回動される第1アーム部520に保持された打撃部510は、図8に示す回動軌跡RT1に沿って移動する。図9及び図10に示すように搬送治具30の搬送方向Aと打撃部510とが例えば直交する位置で打撃部510を停止させるために、ストッパー部540を設けている。これにより、打撃部510は、図7に示すようにワーク20の表面と交差する方向B、好ましくはワーク20の表面と直交する方向に移動して搬送治具30を打撃することができる。
【0073】
ここで、ストッパー部540を単に停止させる機能だけに限らず、打撃部510の一部に慣性力を付与するために用いることもできる。このために、打撃部510は、図8〜図10に示すように、第1アーム部520に固定された固定部512と、固定部512に摺動可能に支持され、第1アーム部520がストッパー部540に当接して停止された際の慣性力で固定部512よりも前方に突出される摺動部514と、を含むことができる。この場合、摺動部514が搬送治具30を打撃することになる。
【0074】
打撃部510が待機位置にある図8と、打撃部510がストッパー部540により停止される直前の状態を示す図9では、摺動部514は後退位置にある。打撃部510がストッパー部540により停止されると、固定部512も停止されるが、図10に示すように摺動部514は慣性力により前方に移動する。図10の位置から図8の位置に打撃部510が移動し、第1アーム部520が移動停止されると、摺動部514は慣性力により図8に示す元の位置に復帰される。
【0075】
ここで、軸状の固定部512の先端にはフランジ部512Aを形成することができる。一方、軸状の固定部512が挿通される筒状の摺動部514には段付孔を形成することができる。摺動部514は、固定部512のフランジ部512Aが段付孔の段差面と係合するまで、前方に突出される。図9の位置から図10の位置に摺動部514が前方移動する途中または移動端に搬送治具30が存在すれば、摺動部514が搬送治具30に衝突して搬送治具30を打撃することができる。こうすることで、振動付与力を増大させることができる。
【0076】
なお、図8に示す待機位置に打撃部510が存在することを検出するセンサ550を設けることができる。このセンサ550は、例えば光または容量値の変化によって非接触で検出することができるが、接触式であっても良い。センサ550で打撃部510を検出する工程を、打撃部510の駆動シーケンスに組み込むことができる。
【0077】
本実施形態では、振動付与部500は、図10に示すように、駆動部530により駆動されて、支点522の廻りに第1アーム部520と一体移動する第2アーム部524をさらに有し、打撃部510が保持される前記第1アームの作用点から前記支点までの第1距離L1が、駆動部530からの駆動力が第2アーム部524に伝達される力点から支点522までの第2距離L2よりも長くすることができる。
【0078】
こうすると、駆動部530の駆動力で第2アーム部524を駆動した時の打撃部510の移動速度が速くなり、摺動部514に付与される慣性力を増大できる。それにより、摺動部514により搬送治具30に付与される衝撃力を増大できる。
【0079】
ここで、図9及び図10に示すように、第2アーム部524は支点522の廻りの回動軌跡RT2を移動する。そこで、駆動部であるエアーシリンダ530は、シリンダ531の後端が支点532に回動自在に支持され、シリンダ532により進退駆動されるロッド533は、支点534を介して第2アーム部524と連結されている。
【0080】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
20 ワーク、30 搬送治具、100 循環搬送路、200 表面処理槽(メッキ槽)、201 ガイドレール(給電レール)、231〜236 ガイドレール(固定レールまたは昇降レール)、300 被案内部、330 連結部、331 水平部、332 垂下部、340 保持部、500 振動付与部、510 打撃部、520 第1アーム部、522 支点、524 第2アーム部、530 駆動部(エアーシリンダ)、540 ストッパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、
前記ガイドレールに案内され、前記ガイドレールに沿った搬送方向に沿って搬送される、ワークを保持した搬送治具と、
前記搬送治具に保持された前記ワークを表面処理する表面処理槽と、
前記表面処理槽よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記搬送治具に保持された前記ワークを処理液中に浸漬して処理する前処理槽と、
前記前処理槽にて前記処理液に浸漬される前記ワークを保持した前記搬送治具に振動を付与して、前記処理液中にて前記ワークを振動させる振動付与部と、
を有することを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記搬送治具は、
前記ガイドレールに案内される被案内部と、
前記ワークを垂下状態にて保持する保持部と、
前記被案内部と前記保持部とを連結する連結部と、
を有し、
前記振動付与部は、前記搬送治具の前記連結部に振動を付与することを特徴とする表面処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記ガイドレールは、前記表面処理槽及び前記前処理槽の上方から外れた位置にて、前記前処理槽から前記表面処理槽に向う方向と平行に延設され、
前記搬送治具の前記連結部は、
前記被案内部側の基端部から自由端部に向けて水平方向に延びる水平部と、
前記水平部の前記自由端部から前記保持部に向けて垂下する垂下部と、
を含み、
前記振動付与部は、前記垂下部に振動を付与することを特徴とする表面処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記振動付与部は、前記搬送治具を打撃する打撃部を含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記打撃部は、前記ワークの表面と交差する方向に移動して前記搬送治具を打撃することを特徴とする表面処理装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記振動付与部は、
前記打撃部を、支点廻りに回動自在に保持する第1アーム部と、
前記第1アーム部を、前記支点廻りで打撃位置と待機位置とに往復回動駆動する駆動部と、
を含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記振動付与部は、
前記打撃位置にて前記第1アーム部に当接するストッパー部をさらに含むことを特徴とする表面処理装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記打撃部は、
前記第1アーム部に固定された固定部と、
前記固定部に摺動可能に支持され、前記第1アーム部が前記ストッパー部に当接して停止された際の慣性力で前記固定部よりも前方に突出される摺動部と、
を含み、
前記摺動部が前記搬送治具を打撃することを特徴とする表面処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記振動付与部は、
前記駆動部により駆動されて、前記支点廻りに前記第1アーム部と一体移動する第2アーム部をさらに有し、
前記打撃部が保持される前記第1アーム部の作用点から前記支点までの第1距離が、前記駆動部からの駆動力が前記第2アーム部に伝達される力点から前記支点までの第2距離よりも長いことを特徴とする表面処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−62555(P2012−62555A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209743(P2010−209743)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(507264549)アルメックスPE株式会社 (8)