説明

表面実装型コンデンサケース及びそれを用いた表面実装型コンデンサ

【課題】 半田フィレットの形成される端子の張り出し量が均一で信頼性が高くコンデンサ特性を確保できる表面実装型コンデンサケース及びそれを用いた表面実装型コンデンサを提供すること。
【解決手段】 端子3が形成されたリードフレーム上にインサートモールド工法により底面部と側壁部を持つ上方が開放された箱形のモールド樹脂を成形してなる素子ケース1と、素子ケース1の少なくとも上方を覆うケース蓋2とを備える表面実装型コンデンサケースであり、素子ケース1及びケース蓋2の各々には互いに当接し嵌め合わされるテーパー面8が形成された表面実装型コンデンサケースを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面実装型コンデンサケース及びそれを用いた表面実装型コンデンサに関し、特にCPUに接続される安定化電源のためのデカップリング回路用として好適に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
伝送線路型素子あるいは伝送線路型ノイズフィルタとも呼ばれ、数100μFの容量を持ち、100MHzの周波数帯域でのESR(等価直列抵抗)が5mΩ以下であり、更にESL(等価直列インダクタンス)が1pH程度の、コンデンサとフィルタの特性を併せ持つ表面実装型コンデンサが開発されている。この素子はCPUに接続される電源ラインのデカップリング回路用として特に適している。また、その単層素子を積層し並列接続して静電容量を高めた素子も開発され、それらは、高速化・高周波化の進む、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバー、デジタル家電機器、通信機器などの電源ラインにおいて、高性能な表面実装型コンデンサとして動作する。
【0003】
表面実装型コンデンサは、弁作用金属の板又は箔を拡面化するエッチング層及び誘電体被膜を形成した後、端部を絶縁樹脂により分離して陽極部を設けると共に中央部の誘電体被膜上には固体電解質層及び導電性物質層を形成して陰極部を設けてコンデンサ素子を作製し陽極部に接続用の帯状板を溶接しコンデンサ素子とする。
【0004】
図11は従来技術による単層素子型の表面実装型コンデンサの分解斜視図である。素子ケース1としては、端子が形成されたリードフレーム上にインサートモールド工法により底面部と側壁部を有する上方が開放された箱形で、底面部と側壁部が交わる角部には肉厚を増加させた補強部を設けたモールド樹脂ケースを成形し、コンデンサ素子4に溶接された帯状板及びコンデンサ素子4の陽極、陰極部をモールド樹脂ケース内のリードフレームに接続し、そのモールド樹脂ケースの少なくとも上側を覆うケース蓋2又は外装ケースを備える表面実装型コンデンサである。
【0005】
特許文献1の図面を参照して更に説明する。図12は特許文献1の図13(b)に対応する従来例の積層素子型の表面実装型コンデンサの側面図であり、図13は特許文献1の図13(a)に対応する従来例の積層素子型の表面実装型コンデンサでの正面からの内部透視図である。1は素子ケース、2はケース蓋、3は端子、3aは陽極端子、3bは陰極端子、4はコンデンサ素子を示す。このような構造で積層又は単層タイプの表面実装型コンデンサが実現されるが、図12から分かるように、従来の表面実装型コンデンサでは、端子の先端部は半田フィレットを形成するために鋭角形状に加工されているが、その先端部がケース蓋2の側面から張り出すことはなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−128247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、ケース蓋幅寸法と、陽極、陰極からなる半田フィレットが形成される端子の切断幅とが同一であり、どちらか一方を基準に素子ケースとケース蓋を組み合わせれば、ケース蓋の側面より端子が張り出すことがなく、端子とケース蓋の位置関係が、ずれることはなかった。
【0008】
しかし、市場の要求により、半田フィレットの形成される端子が、外装ケース(ケース蓋の側面)より僅かに突き出すことで、半田付けの視認性を高めることが求められようになった。そのときの半田付けの様子を図14に示す。すなわち、図14は従来型の表面実装型コンデンサを回路基板に実装した状態を示す部分断面図であり、1は素子ケース、2はケース蓋、3は端子、5は半田、6は回路基板である。尚、半田5と回路基板6のみは断面で示した。
【0009】
このように半田付けの視認性を高めるために、素子ケース1にケース蓋2を装着したとき、半田フィレットの形成される端子3が外装ケース端(ケース蓋2の側端)より長くなり、その先端が外装ケース(ケース蓋2)よりはみ出ることになった。その結果、端子の張り出し具合が均一でなく、コンデンサとしての外観が不揃いになる場合があった。
【0010】
また、ケース蓋より半田フィレットの形成される端子が突き出ているため、その張り出し量が大き過ぎると、誤って端子をぶつけたりした場合、端子の変形あるいは端子と樹脂成形継ぎ部からの亀裂等の懸念があり、コンデンサ特性の劣化に繋がる場合もあった。
【0011】
そこで、上部に溝を形成し更に端子長さにあった段を形成した治工具を用い、ケース蓋、素子ケースを逆さにした状態で接着するという方法がとられる。図16は、ケース蓋からの端子の張り出し量を均一に保つための接着工程を示し、図16(a)は素子ケースとケース蓋の接着工程を示す部分断面図、図16(b)は接着前の表面実装型コンデンサを治工具に設定する際の斜視図である。このように、治工具16にケース蓋2及び素子ケース1を逆さにした状態で接着するので、通常よりも工程が増えた上に冶工具類も増えコストアップとなった。
【0012】
ところで、上部開放箱形の素子ケースの上側及び側壁を、ケース蓋で覆う構造上どうしても素子ケース寸法の外周はマイナス公差、ケース蓋寸法はプラス公差をとらざるを得ず、組み合わせた場合に、ケース相互の公差ギャップにより隙間を生じてしまう。図15はケース蓋の、ずれ状態を示す側面図である。
【0013】
相互の樹脂ケースの仕上がり公差を極限あるいは、少々の「しまりばめ公差」で製作した場合にはケース蓋を被せる場合に樹脂角部より亀裂等が入ったりして、製品外観を著しく損なうばかりでなく、素子ケース側壁の亀裂、又は陽極及び陰極を形成している端子部への亀裂となる場合もあった。図17は樹脂角部に亀裂17ができた状態を示す表面実装型コンデンサの斜視図である。
【0014】
亀裂発生により端子及び樹脂ケースの接続強度の低下、リフロー半田工程での熱膨張等の応力を受け陽極端子及び陰極端子からコンデンサ素子への接続までもが懸念されコンデンサ特性のLC(漏れ電流)、オープン、ショート、ESR(等価直列抵抗)等の低下及び信頼性が損なわれる問題があった。
【0015】
すなわち、端子が形成されたリードフレーム上にインサートモールド工法により底面部と側壁部を有する上方が開放された箱形で、更に側壁が交わる角部には肉厚を増加させた補強部を設けたモールド樹脂製の素子ケースを成形し、この素子ケースの少なくとも上側を覆うケース蓋を形成してなる表面実装型コンデンサケースに、コンデンサ素子を収納した表面実装型コンデンサでは、外装ケース(ケース蓋)の装着時に、端子の不均一又は部品仕上がり精度のばらつきによる端子の偏り、あるいはケース蓋及び素子ケースの亀裂の発生、製品特性及び外観の不良を招く欠点があった。
【0016】
従って本発明の目的は、半田フィレットの形成される端子の張り出し量が均一で信頼性が高くコンデンサ特性を確保できる表面実装型コンデンサケース及びそれを用いた表面実装型コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、端子部が形成されたリードフレーム上にインサートモールド工法により底面部と側壁部を有する上方が開放された箱形で更に側壁が交わる角部には肉厚を増加させた補強部を設けたモールド樹脂製の素子ケースを成形し、そのとき側壁外周部がケース開放部上端からリードフレーム面に向かって外側に広がるテーパーを形成し、ケース蓋が素子ケースのテーパーと合致するテーパーを持つように、素子ケース及びケース蓋を形成し表面実装型コンデンサケースとすることで、ケース蓋とケース素子の嵌め合わせ時のセルフアライメント機能が付加された表面実装型コンデンサケースが得られる。
【0018】
また、上部開放の箱形素子ケースの側壁上面外周から、素子ケース下端であるリードフレーム面に向かって側壁外周部にテーパーを設け、ケース蓋も素子ケースに合致したテーパーを設けることにより、素子ケースにケース蓋を被せた状態で、素子ケースとケース蓋との、ずれは回避され、外観上のケース蓋からの端子の張り出し量の不均一、あるいはケース蓋の亀裂及び端子の変形等は発生しなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、端子が形成されたリードフレーム上にインサートモールド工法により底面部と側壁部を有する上方が開放された箱形で更に4つの側壁が交わる角部には肉厚を増加させた補強部を設けたモールド樹脂製の素子ケースを成形し且つ側壁外周部がケース開放上部からリードフレーム面に向かって外側に広がるテーパーを形成した素子ケースを用い、少なくともその上側を覆うケース蓋の内側が素子ケース側壁に合致するテーパーを有することで、まず半田フィレットが形成される端子の位置ずれを防止し、更に素子ケースとケース蓋にテーパー部を形成することにより、嵌め合わせのときに求芯され、例えば、素子ケースの4つの側壁とケース蓋内側の接触、及び側壁上方端面とケース蓋内側面との接触により、素子ケース中心にそのケース蓋中心が一致するように正確な位置決めができ、その結果、端子の張り出し量は均一となり、特別な冶工具を必要とせず工程も簡略化できる。
【0020】
更に素子ケースに設けたテーパーのゆえに端子付け根部分の側壁が肉厚となり素子ケースの強度は増し、より堅固なコンデンサ素子収納ケースとなり、コンデンサ特性を損なうことなく外観不良のない高性能な表面実装型コンデンサを提供できる。
【0021】
すなわち本発明によれば、コンデンサ特性の劣化、及び半田付け状態の視認性の低下に関わる外観不良をなくすることができる表面実装型コンデンサケース及び表面実装型コンデンサを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
始めに本発明の実施の形態に係る全般的な表面実装型コンデンサケースについて、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態での素子ケース及びケース蓋のテーパー部を示し、図1(a)は素子ケースとケース蓋の嵌め合わせ前の断面図(切り口のみで表示)、図1(b)は嵌め合わせ後の側面図である。また、図2は本発明の実施の形態での素子ケースの断面図である。また、図3は本発明の実施の形態での表面実装型コンデンサケースを示し、図3(a)はそのケース蓋を示す斜視図、図3(b)は素子ケースを示す斜視図、図3(c)は素子ケースのA−A断面図である。また、図4は本発明及び従来例に係る表面実装型端子のリードフレームを示す斜視図であり、1個の表面実装型コンデンサに対応する部分が示されている。また、図5は本発明の実施の形態での表面実装型コンデンサケースを示す斜視図である。
【0024】
図4の陽極端子3a、陰極端子3bが形成されたリードフレーム上に、図2、図3(b)及び図3(c)のように、インサートモールド工法により底面部と側壁部を有する上方が開放された箱形で、更に側壁が交わる隅部9(角部)には肉厚を増加させた補強部を設けたモールド樹脂製の素子ケース1を成形する。このとき、側壁外周部が素子ケース1の開放上部からリードフレーム面(端子3の面)に向かって外側に広がるテーパー面8を設けた素子ケース1を形成する。更に、図1、図3のように、素子ケース1に嵌め合わされるテーパー面8を持つケース蓋2を形成する。
【0025】
すなわち、図1、図3のように、ケース蓋2の内面を素子ケース外周テーパー部に合致するように形成し、素子ケース1上面及び外周に覆い被せることができるケース蓋2が用いられ、素子ケース1にケース蓋2を嵌め合わせたときに4辺に設けたテーパー部が接触作用し、素子ケース中心とケース蓋中心が一致し、横ずれは起こらず、半田フィレットが形成される端子3の先端とケース蓋2の外側面との位置関係が適正に保たれる。
【0026】
一般に、素子ケース1及びケース蓋2のそれぞれの形成する外周面、湾曲稜線、更にテーパー面等での複合要素が加わることで、より正確な位置決めが可能となる。
【0027】
また、図4のリードフレームの陽極端子3aと陰極端子3bの対向部には、図2のように、底面突部が設けられ素子ケースの底面部に食い込んでアンカー構造が形成され、モールド樹脂の底面が肉厚になると共に、側壁下部にはリブが形成され、より堅固な素子ケースが得られる。
【0028】
上述のような表面実装型コンデンサケースに、公知の技術で作製したコンデンサ素子を収納することで、コンデンサ素子を確実に保護でき、コンデンサ特性を損ねることなく、端子の張り出しに係る外観の良好な表面実装型コンデンサが得られる。
【0029】
次に個々の実施の形態について説明する。
【0030】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。図4の如く素子ケースは一枚のリードフレーム、一般には銅板下地にニッケルメッキを施し、更に片面は銀メッキを施し、もう片面は錫メッキ等を施したリードフレームに1つの陰極端子3bと2つの陽極端子3aを形成すると共にリードフレーム底面部は、図2のように、切り欠きを形成し更に上方へ曲げ加工等を施す。絶縁性樹脂を用い上記リードフレーム上にインサートモールド工法より、図3(b)のような上方が開放された箱形のモールド樹脂ケース(素子ケース1)を成形する。
【0031】
充填された絶縁性樹脂は、ここでは液晶ポリマー等の熱可塑性、あるいは熱硬化性の樹脂により、注入したときにリードフレーム曲げ部が樹脂に食い込むよう4辺の側壁を作る。4辺の側壁内面コーナー(隅部9)に肉厚を増加させ、互いの側壁が補完できる構造にし、より堅固なケースを製作する。
【0032】
更に上方が開放された箱形の素子ケース1の上面より、下面であるリードフレーム(端子3)に向かって側壁外周がリードフレーム面で肉厚となるようにテーパーをなし(図2)、4辺の側壁が、図3(c)のように、横断面形状で台形をなすように側壁を成形する。このテーパー角度は樹脂成形金型の離型及び肉厚を考慮した角度が好ましいが、この角度については特に限定しない。
【0033】
ケース蓋2は、図1、図3(a)のように、下方開放の箱形で内側には開放下端からケース蓋上面に向かって側壁が次第に肉厚となるようにテーパー(傾斜)を設ける。このときテーパーは素子ケース側壁外周に合致するテーパー角度とする。
【0034】
図2の素子ケース1内の陽極端子3a及び陰極端子3bに導電性接着剤を塗布し、コンデンサ素子を挿入し、加温状態で加重固着する。更に素子ケース1側壁上面に樹脂接着剤を塗布しケース蓋を被せ加温状態で加重固着して表面実装型コンデンサが完成する。ここでは接着概略図は省略する。
【0035】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2を説明する。実施の形態1とは、素子ケースとケース蓋の嵌め合わせ構造が異なるが、素子ケース1及びケース蓋2については実施の形態1とほぼ同様に成形する。図6は本実施の形態2での素子ケース1の形状を切り口のみで示した断面図である。素子ケース1の4つの側壁での上方開口部の内面に、開口部上端から下方に向けてテーパー面81を設ける。テーパー角度はケース蓋2がスムーズに入る程度とする。角度については実施の形態1と同様特に限定しない。
【0036】
他方、ケース蓋2は素子ケース1内側に沿うように4辺に桟21を設け、桟21の外周面に素子ケース1のテーパーと合致し、素子ケース1の中心にケース蓋2の中心が一致するように、テーパー面81を設け、嵌め合わせ時にはテーパー面81が相互に接する。
【0037】
ケース蓋2に設ける4辺の桟21はケース蓋本体のねじれ、そり等の防止を兼ねテーパー部相互の接触でアライメント機能を果たす。また素子ケース1に接着する場合は実施の形態1と同様とする。
【0038】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3を説明する。リードフレーム上に箱形のモール樹脂製の素子ケースを作製する点などは実施の形態1と同様であり、省略する。図7はテーパーを持つ凸部が形成された素子ケースの側壁部を示し、図7(a)はテーパーを持つ半円柱状の凸部が形成された場合を示す斜視図、図7(b)はテーパーを持つ三角柱状の凸部が形成された場合を示す概略の斜視図である。
【0039】
図7のように素子ケース上部開放型の箱形で直線と湾曲(図7(a))、あるいは略三角(図7(b))で外周方向に凸部10を形成し、且つ素子ケース1上方端面より下方リードフレームの端子3に向かってテーパー(傾斜)を持つ。ここではケース蓋の図示は省略するがケース蓋形状は素子ケース1の形状に合わせた凹部を持つものとする。また、素子ケース1に接着する場合は実施の形態1と同様とする。尚、凸部は側壁の一面に1ないし2つ図示しているが、1つ以上あればアライメント機能(ケース蓋の装着位置を定める機能)を有するので数についてはこれに限定するものではない。
【0040】
一般に、素子ケース1及びケース蓋2の嵌め合わせでは、セルフアライメント機能(自動でケース蓋中心を素子ケース中心に合わせる機能)を有する種々の形状があるが、図8、図9、図10にその代表例を示す。
【0041】
図8は、凸部及び凹部のそれ自体にはテーパーを付けずに、嵌め合わされ位置決めされる表面実装型コンデンサケースを示す斜視図であり、図8(a)は第1例の斜視図、図8(b)は第2例の斜視図、図8(c)は第3例の斜視図である。
【0042】
すなわち、図8(a)は素子ケース1側壁に半円柱形状の凸部11を形成し、ケース蓋2側壁には逆の凹部を形成した例(第1例)である。図8(b)は同じく半球状の凸部11を形成し、ケース蓋2は逆の凹部を形成した例(第2例)である。図8(c)は同じく三角柱形状の凸部11を形成し、ケース蓋2は逆の凹部を形成した例(第3例)である。但し、これらは代表的な形状であり、これらに限定するものではない。
【0043】
ところで、凸部と凹部にテーパーを付けた嵌め合わせ構造は、すでに、図7で説明し、凸部及び凹部のそれ自体にテーパーを付けない嵌め合わせ構造は、図8で説明したが、それらの変形例を図9及び図10に基づいて説明する。
【0044】
まず、図9は図10の変形例の説明を補助するための分解斜視図である。図10は6種類の変形例を示し、図10(a)は第1変形例の平面図、図10(b)はそのB−B断面図、図10(c)は第2変形例の平面図、図10(d)はそのC−C断面図、図10(e)は第3変形例の平面図、図10(f)はそのD−D断面図、図10(g)は第4変形例の平面図、図10(h)はその正面図、図10(i)は第5変形例の平面図、図10(j)はその正面図、図10(k)は第6変形例の平面図、図10(l)はその正面図である。
【0045】
図10(a)、図10(b)に示す第1変形例は、素子ケース1の側壁にV形状の張り出し部が形成され、それに対応する凹部がケース蓋2に形成され、且つ下端リードフレーム面に向かってテーパーを有する例である。図7(b)と類似の例であるが、図10(a)では、ケース蓋2が素子ケース1に嵌め合わされる状態が断面図で示されている。尚、図17(b)の端子3は、図10(a)では図示を省略した。
【0046】
図10(c)、図10(d)に示す第2変形例は、素子ケース1に、第1変形例のV形状の張り出し部に代えて半円状の断面を持つ張り出し部が形成され、図10(d)に示すテーパーが形成された例である。図7(a)と類似の例であるが、図10(d)では、ケース蓋が素子ケースに嵌め合わされる状態が断面図で示されている。
【0047】
図10(e)、図10(f)に示す第3変形例は、隅部(角部)にテーパーを持つ例である。すなわち、ケース蓋内側の4隅の補強部にテーパーを付けている。
【0048】
図10(g)、図10(h)に示す第4変形例は、素子ケース1の側壁上部に矩形状の切り込みを設け、ケース蓋2の内側には、それに合わせる凸部を形成した例である。尚、本例では、対向する2つの側壁部に切り込みを設けた場合を示したが、4つの側壁の全てに切り込みを形成してもよく、側壁部の1つに2つ以上の切り込みを設けてもよい。また、1つの側壁部のみに1つの切り込みを設けてもよい。更に、切り込みを入れた側壁部の外周にはテーパーを付けない場合も、付けた場合も可能である。
【0049】
図10(i)、図10(j)に示す第5変形例は、第4変形例の矩形状に代えて側壁に逆台形の切り込みを形成し、ケース蓋には内側に逆台形の凸部を形成した例である。
【0050】
図10(k)、図10(l)に示す第6変形例は、第4変形例の矩形状に代えて、U字形状の切り込みを側壁に形成し、その切り込み形状に対応する凸部をケース蓋に形成した例である。尚、U字状に代えてV字状にすることもできる。
【0051】
上記第1、第2変形例は素子ケースの外周に凸形状とテーパーを併せ持つ例であり、第3変形例は4隅の補強部にテーパーを持たせた例であり、第4〜第6変形例は素子ケース側壁の外周及び側壁上端部での切り込み要素で位置決めをする例である。切り込み量については、例示したものに限定しない。また、第1〜第3変形例と、第4〜第6変形例とを相互に組み合わせた形状の表面実装型コンデンサケースも可能である。例えば、ケース蓋の内側隅部には第3変形例のテーパー付き補強部を持ち、且つ、素子ケース側壁部の上部には第6変形例のU字状の切り込みを持つ場合などである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の表面実装用コンデンサケースは、コンデンサ用のみならず、種々の電気回路用素子を収納する表面実装用のケースとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態での素子ケース及びケース蓋のテーパー部を示し、図1(a)は素子ケースとケース蓋の嵌め合わせ前の断面図、図1(b)は嵌め合わせ後の側面図。
【図2】本発明の実施の形態での素子ケースの断面図。
【図3】本発明の実施の形態での表面実装型コンデンサケースを示し、図3(a)はそのケース蓋を示す斜視図、図3(b)は素子ケースを示す斜視図、図3(c)は素子ケースのA−A断面図。
【図4】本発明及び従来例に係る表面実装型端子のリードフレームを示す斜視図。
【図5】本発明の実施の形態での表面実装型コンデンサケースを示す斜視図。
【図6】本発明の他の実施の形態での素子ケースの形状を示す断面図。
【図7】本発明に係る、テーパーを持つ凸部が形成された素子ケースの側壁部を示し、図7(a)はテーパーを持つ半円柱状の凸部が形成された場合を示す斜視図、図7(b)はテーパーを持つ三角柱状の凸部が形成された場合を示す斜視図。
【図8】本発明に係る、凸部及び凹部のそれ自体にはテーパーを付けずに位置決めされる表面実装型コンデンサケースを示し、図8(a)は第1例の斜視図、図8(b)は第2例の斜視図、図8(c)は第3例の斜視図。
【図9】図10の変形例の説明を補助するための分解斜視図。
【図10】本発明に係る6種類の変形例を示し、図10(a)は第1変形例の平面図、図10(b)はそのB−B断面図、図10(c)は第2変形例の平面図、図10(d)はそのC−C断面図、図10(e)は第3変形例の平面図、図10(f)はそのD−D断面図、図10(g)は第4変形例の平面図、図10(h)はその正面図、図10(i)は第5変形例の平面図、図10(j)はその正面図、図10(k)は第6変形例の平面図、図10(l)はその正面図。
【図11】従来例の単層素子型の表面実装型コンデンサの分解斜視図。
【図12】従来例の表面実装型コンデンサの側面図。
【図13】従来例の積層素子型の表面実装型コンデンサでの正面からの内部透視図。
【図14】従来型の表面実装型コンデンサを回路基板に実装した状態を示す部分断面図。
【図15】従来例の、ケース蓋のずれ状態を示す側面図。
【図16】従来例の、ケース蓋からの端子の張り出し量を均一に保つための接着工程を示し、図16(a)は素子ケースとケース蓋の接着工程を示す部分断面図、図16(b)は接着前の表面実装型コンデンサを治工具に設定する際の斜視図。
【図17】従来例の樹脂角部に亀裂ができた状態を示す表面実装型コンデンサの斜視図。
【符号の説明】
【0054】
1 素子ケース
2 ケース蓋
3 端子
3a 陽極端子
3b 陰極端子
4 コンデンサ素子
5 半田
6 回路基板
8,81 テーパー面
9 隅部
10,11 凸部
16 治工具
17 亀裂
21 桟

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子部が形成されたリードフレーム上にインサートモールド工法により底面部と側壁部を持ち上方が開放された箱形のモールド樹脂を成形してなる素子ケースと、この素子ケースの少なくとも上方を覆うケース蓋とを備える表面実装型コンデンサケースにおいて、
前記素子ケース及びケース蓋の各々には互いに嵌め合わされるテーパー部が形成されたことを特徴とする表面実装型コンデンサケース。
【請求項2】
前記素子ケースの側壁部の外周には上端開放部から下端のリードフレーム面に向かって外側に広がりを持つ平面状のテーパー部が形成され、
前記ケース蓋には前記素子ケースのテーパー部と合致する平面状のテーパー部が形成されたことを特徴とする、請求項1記載の表面実装型コンデンサケース。
【請求項3】
前記素子ケースの側壁部の外周には、上下方向に延びた半円柱状又は角柱状の凸部が形成され、
前記凸部は前記側壁部の上端開放部より下方に向かって断面積が増加する形状のテーパーを持ち、
前記ケース蓋には前記素子ケースの凸部に嵌め合わされる凹部が形成されたことを特徴とする、請求項1記載の表面実装型コンデンサケース。
【請求項4】
前記素子ケースの側壁部の上端部に、逆台形、V字又はU字状の切り込みが形成され、
前記ケース蓋には前記切り込みに嵌め合わされる凸部が形成されことを特徴とする、請求項1記載の表面実装型コンデンサケース。
【請求項5】
前記素子ケースの側壁部の上部内側に平面状のテーパー部が形成され、
前記ケース蓋には前記素子ケースのテーパー部に当接する桟が形成され、
前記桟は前記素子ケースのテーパー部と合致する傾斜平面を持つことを特徴とする、請求項1記載の表面実装型コンデンサケース。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面実装型コンデンサケースに、コンデンサ素子が収納されてなることを特徴とする表面実装型コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−98393(P2008−98393A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278419(P2006−278419)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)