説明

表面掃除機

【課題】掃除機に対してホース及びワンドアセンブリの一部として設けることが可能な伸張可能な可撓性ホース又はいわゆる「ストレッチ」ホースを有する表面掃除機を提供する。
【解決手段】特に家庭用直立真空掃除機で用いるための移送中の流体を運ぶための可撓性ホース。ホースは、ホースに印加された引張力の下で後退長さから伸張長さまで長さ方向に伸張可能であるストレッチホースであり、伸張長さは、後退長さよりも少なくとも25%長い。長いホースは、少なくとも部分的に織物の層によって形成されたホース壁を有し、これは密封されて、ホースによって運ばれる流体に対して不透過障壁を形成し、従って不透過性であり、繰返し疲労に対して高い耐性を有する層を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、掃除機に対してホース及びワンドアセンブリの一部として設けることが可能な伸張可能な可撓性ホース又はいわゆる「ストレッチ」ホースを有する表面掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用真空掃除機、すなわち、家庭用途を意図するこれらの真空掃除機は、一般的には、「円筒形」掃除機及び「直立」掃除機の2つのカテゴリに分類される。
図1に示すような典型的な円筒形掃除機では、掃除機aの本体bは、ホース及びワンドアセンブリを通じて床ツールcに流体的に接続される。ホース及びワンドアセンブリは、本体b上の吸引入口に一端で接続した比較的伸張不能な可撓性ホースdと、可撓性ホースdの反対端を床ツールcに接続する堅い中空の伸縮性ワンドeとから成る。掃除機aの通常作動中に、ユーザは、ワンドeを手で把持して床を横切って床ツールcを操作し、本体bを伸張不能な可撓性ホースdで後方に引きずる。
【0003】
図2aに示す典型的な直立掃除機fでは、掃除機ヘッドgは、真空掃除機の本体hに恒久的に取り付けられ、ユーザは、ハンドルiを用いて床を横切って掃除機ヘッドg及び本体hを一緒に操作する。従来的に、円筒形掃除機だけに吸引ホースが設けられ、直立掃除機は、専ら掃除機の本体に恒久的に取り付けられた掃除機ヘッドに依存していた。より最近になって、製造業者は、直立掃除機を任意的に円筒形掃除機の方式で作動させることができるように、掃除機ヘッドに加えてホース及びワンドアセンブリを備えた直立真空掃除機を提供し始めた。図2bは、伸縮性のワンドjがハンドルiと一体化されてキャッチを作動させることによって本体hから解除することができる一般的に直立真空掃除機の「ダイソン」部類からのモデルに対して用いる特に小型の形態のホース及びワンドアセンブリを示している。いわゆる「ストレッチ」ホースkは、ワンドjを本体h上の吸引入口(図示せず)に取り付け、ストレッチホースkは、後退位置で本体hに搭載されて格納され、次に、ワンドjの有効到達範囲を増大させるためにワンドjの解除後(ハンドルiによる)に必要に応じて手動で伸張させるか又は「ストレッチ」することができる。適切な床ツールlは、必要に応じてワンドj上の吸引入口に取り付けることができる。
【0004】
円筒形掃除機の初期モデルのためのホースは、多くの場合にゴムを用いて構成され、その例は、英国特許第836407号に説明されている。これらのゴム又はゴムベースホースは、しかし、必要に応じてホースに必要な可撓性を提供するために一連の波形を有する成形熱可塑性ホース壁を典型的に含むプラスチック吸引ホースに比較的急速に取って代わられた。プラスチックの使用は、対応するゴム又はゴムベースホースに比較してホースの重量を有意に低減し、成形プラスチック吸引ホースは、円筒形掃除機に対する比較的伸張不能な吸引ホース又は最新の直立掃除機に対するストレッチホースの形態に関わらず、家庭用真空掃除機のための確立された業界水準になっている。
成形プラスチックホースはまた、業界の(非家庭用)表面掃除機の吸引又は吹出パイプとして一般的に用いられ、生産するのに比較的軽量及び低価格であるホースを提供することが同じく望ましい他の分野で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第836407号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、直立家庭用真空掃除機に対して一般的に用いる従来の成形プラスチックストレッチホースの有利な代替を提供する、掃除機のためのホース及びワンドアセンブリの一部であることが可能な改良されたストレッチホースを組み込む表面掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、表面掃除機、好ましくは、可撓性ホースを含む家庭用真空掃除機が提供され、長いホースが、ホースに印加された引張力の下で後退長さから伸張長さまで長さ方向に伸張可能であり、伸張長さは、後退長さよりも少なくとも25%長く、この長いホースは、少なくとも部分的に織物の1つ又はそれよりも多くの層によって形成された伸張可能ホース壁を有し、織物の少なくとも1つの層は、密封されて、ホースによって運ばれる流体に対して不透過障壁を形成する。
【0008】
本発明は、ストレッチホースに関し、これらは、ホースの使用の関連においてそれらの後退長さよりも有意に長い伸張長さを有する。従って、伸張長さは、後退長さよりも少なくとも25%長い(例えば、100cmの後退長さに対して125cmの伸張長さ)ことになるが、典型的には、ホースの後退長さの2から6倍、及び場合によってホースの後退長さの最大20倍の範囲にすることができる。
ホースは、手動引張力、例えば、真空掃除機のユーザにより手動によってもたらされる力に応答して伸張可能にすることができる。
【0009】
織物ストレッチホースの使用は、特に、殆ど例外なく従来の成形プラスチックホースに依存し続けている家庭用真空掃除機に対して長年かけて確立された業界水準を破る。そのような従来の成形プラスチックストレッチホースでは、ホース壁は、ホースの伸張及び後退を繰り返すことによって引き起こされる繰返し疲労を受け、ホース断裂の危険性を増大させる場合があることが見出されている。ホースの疲労寿命は、ホース壁の厚みを増加させることによって増大する場合があるが、これは、多くの場合、厚みと共に重量上の欠点をもたらし、ある一定の用途においてホースの可撓性及び/又は伸張性を決定的に低減する場合もある。本発明による流体密封織物層の使用は、不透過性で高度に可撓性であり、かつ繰返し疲労に対して比較的高い耐性を有する層を設けることを目標とし、従って、ホースの可撓性又は重量に決定的に影響を及ぼすことなく、同程度の従来のプラスチックホースに比べてホースの耐用寿命を有利に改良する。
【0010】
ホース壁は、織物ホース壁、すなわち、専ら織物の1つ又はそれよりも多くの層から構成することができる。この種の比較的簡単な織物構造は、同程度の疲労寿命を提供する従来の成形プラスチックホースの軽量で高度に可撓性の代替物を提供する。
織物の層の1つ又はそれよりも多くは、実質的に非弾性にすることができ、かつ後退長さから伸張長さまでホース壁の非弾性の長さ方向延長に対して十分な弛みを組み込むことができる。弛みの少なくとも一部は、従来織物の一連の波形又はひだによって好都合に提供することができる。
織物ホース壁は、織り、編組み又は編み込みプラスチック、又はプラスチック被覆フィラメントを含むことができる。
【0011】
ホース壁は、強化糸のパターン、典型的には平行模様パターンを織り込み、かつその結果、織物のほころび及びほつれの形成、並びに広がりに高い抵抗性を示す織物であるリプストップ織物の少なくとも1つの層を組み込むことができる。リプストップ織物は、リプストップナイロン又はリプストップポリエステルとすることができるが、本発明は、いずれの特定の織物にも限定されない。リプストップ織物の強化糸は、必ずしもバルク織物と同じ材料にする必要はない。
リプストップ織物の層は、ホース壁にほころび及び穿刺抵抗層をもたらす。リプストップ織物自体の層は、比較的薄く、家庭用真空掃除機のためのホースの場合は0.1mm未満とすることができ、従って、どのような有意な重量もホースに加えない。リプストップ織物はまた、高度に可撓性である。
【0012】
ホース壁は、1つ又はそれよりも多くのフレーム要素に支持され、ホースに対する粉砕強度及び剛性の増大をもたらすことができる。これは、ホースを通る開放流路を維持するのに役立つ。
フレーム要素は、互いに対する長さ方向の移動のために配置され、後退長さから伸張長さまで織物壁の延長に適合する。フレーム要素は、復元力を提供するために互いに弾力的に接続され、織物壁を伸張長さから後退長さまで戻すことができる。
フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、フレーム要素が、ホース壁の外側に露出されないように、ホース壁の織物の2つの別々の層、又は代替的に織物の2つのプライ(これらは、織物の単層を2つに折ることによって形成することができる)のいずれかの半径方向中間に挟むことができる。
【0013】
ホースの使用中に、織物の摩擦磨耗が、主にフレーム要素と織物の間の接触界面に沿って起こる場合があり、これは、最後にホース壁の裂け目(及び表面掃除機のための吸引ホースの場合に結果として起こる吸引力の損失)をもたらす場合がある。織物の2つのサンドイッチ層又はプライの具備は、ホース壁の有効厚みを増加させることによってこの摩擦磨耗の影響を低減する。同時に、フレーム要素の内側の内部サンドイッチ層(又はプライ)を設けることは、この内部サンドイッチ層が、典型的にはフレーム要素の外側の周囲に起こる比較的高いレベルの摩擦磨耗に露出されないという利点を有する。
【0014】
織物の層又はパイルは、それぞれのフレーム要素の軸線方向両側に互いに結合され、織物の層又はパイル間にフレーム要素を封入し、従って、都合よくこれらの所定の位置にフレーム要素を保持することができる。ホース壁を構成する織物が、追加的に又は代替的に配置され、フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲に多重プライ又は多重層の重なり部を形成することができる。
比較的柔軟な又は低摩擦の材料(すなわち、フレーム要素を構成する材料に対して柔軟又は低摩擦)でフレーム要素を被覆することは、ホースの磨耗抵抗に対して有意な影響を有することも見出されている。例えば、フレーム要素が鋼である場合、ホースの磨耗抵抗は、プラスチック、例えば、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でフレーム要素を被覆することによって有意に改良することができる。
【0015】
ホース壁は、巻き布テープを含むことができる。特定の実施形態では、ホース壁は、巻き布テープを含み、フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、巻き布テープの2つの軸線方向重なり通路(パス)の半径方向中間に挟まれる。織物のそれぞれの重なり通路は、フレーム要素を封入するように、対応するフレーム要素の軸線方向両側に互いに結合することができる。追加的に又は代替的に、巻き布テープは、布テープが、フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲にそれぞれの多重プライの重なり部を形成する場合に、2つ又はそれよりも多くの軸線方向重なり通路のように配置することができる。これらの巻線配置は、摩擦磨耗の影響を低減するのに特に有効であると考えられ、これは、特に典型的な家庭用真空掃除機の使用中に当て嵌まり、上述の方式でリプストップ布テープを巻くことは、従来の成形プラスチックホースに比べてホースの寿命を著しく増大することができることを予備試験が示している。上述の巻き配置はまた、ホースに対して比較的滑らかな内面を呈し、ホースを通る境界層流の厚みを制限する傾向がある。
【0016】
ホース壁は、フレーム要素に例えば接着剤を用いて結合することができる。フレーム要素が導電材料から形成される場合、接着剤は、フレーム要素を抵抗加熱することによって硬化することができる。
フレーム要素は、螺旋状金属ワイヤとすることができる螺旋状支持部材上のコイルとすることができる。織物は、都合よくあらゆる適切な巻き配置を用いて螺旋状支持部材に包み込むことができる。
ここで、添付図面を参照して本発明の実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】可撓性吸引ホースを組み込む従来の円筒形掃除機の概略斜視図である。
【図2a】可撓性吸引ホースを組み込む従来の直立掃除機の概略側部図である。
【図2b】可撓性吸引ホースを組み込む従来の直立掃除機の概略側部図である。
【図3】本発明による可撓性の伸張可能ホースの後退長さの概略斜視図である。
【図4a】A−A線に沿った図3に示すホースの断面図である。
【図4b】伸張構成のホースを示す4aに対応する断面図である。
【図5】ホース壁が多重層の織物構成を有する本発明によるホースの代替の形態を示す断面図である。
【図6】ホース壁が巻き布テープから成るホースの代替の形態を示す断面図である。
【図7】図6に示す織物ホース壁の一部による断面図である。
【図8】巻き布テープを利用して代替のホース壁構成を示す、ホースの長さを通る断面図である。
【図9】巻き布テープを利用して別の代替のホース壁構成を示す、ホースの長さを通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に図3を参照すると、伸張可能長さのホース1は、螺旋状支持部材3に支持されたホース壁2を含む。
螺旋状支持部材3は、図4aに示す後退長さLrから図4bに示す伸張長さLeまで長さ方向に弾力的に伸張可能である(図3の軸Xに沿って)。
ホース壁2は、密封されてホース壁2を通る流体の放出を阻止する実質的に非弾性織物の単層から成る。ホース壁2は、従って、図4bのホース1を通って流れ矢印Aによって示す移送中の流体を収容するための不透過障壁を表している。織物は、リプストップ織物、例えば、リプストップ「ナイロン」又はポリエステルとすることができる。
【0019】
織物ホース壁2は、螺旋状支持部材3に固定されるが、後退長さLrから伸張長さLeまで実質的に非弾性の長さ方向延長に適合するように十分な軸線方向弛みが設けられる。すなわち、その後退長さLrにおける螺旋状支持部材3により、織物ホース壁は、螺旋状支持部材3の連続コイル間に一連の波形を形成し、その波形は、図4bに示すように、伸張長さLeまでホース壁の長さ方向伸張中に利用される。織物ホース壁2は、ホース壁が、図4aに示すより「緩い」波形ではなくて螺旋状支持部材3の連続コイル間に一連のより密な所定のひだを形成する傾向があるように、所定の線に沿って折り畳むように配置することができる。
織物ホース壁2は、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又はポリ塩化ビニル(PVC)のようなシーラントで織物を含浸、スプレーコーティング又は浸漬コーティングすることにより、又は一般的にあらゆる適切な樹脂加工工程を用いることによって密封することができる。
【0020】
織物は、シート織物が、螺旋状支持部材3の外側に包み込まれて、管状ホース壁2を形成することができる場合に、例えば、織り、編組み、又は編み込みによって生成されたシート織物とすることができる。織物は、緊密にくるまれて、螺旋状支持部材3上に圧縮嵌めを形成することができる(しかし、依然としてホース壁2の長さ方向延長に対して必要な軸線方向弛みをもたらす)。ホース壁2は、場合によって織物の包装前の予備コーティングとして、ホース壁2及び螺旋状支持部材3の一方又は両方に付加することができる例えば適切な溶剤ベース又はエポキシ接着剤のような熱硬化性接着剤を用いて螺旋状支持部材3に安全に結合することができる。螺旋状支持部材3が、金属ワイヤのコイルの形態である場合には、接着剤は、都合よく適切な電流を用いてワイヤを抵抗加熱することによって熱硬化させることができる。
【0021】
代替の配置では、リプストップ織物が、例えば、管状織り、管状編組、又は管状編み込みによって生成されたシームレスの管状織物として生成され、ホース壁2は、螺旋状支持部材3上に長さ方向に織物管を圧延することによって形成される。プリフォーム織物管はまた、最初に織物を円筒形マンドレルに包み込んで、シームに沿ってシート織物を結合して管を形成することにより、シート織物から生成することができる。更に、ホース壁2の相対直径は、螺旋状支持部材3上に僅かな圧縮嵌めを形成するように制御することができ、ホース壁は、熱硬化性接着剤を用いて螺旋状支持部材3に安全に結合することができる。
【0022】
図4a及び4bでは、螺旋状支持部材3の連続コイル3a、3b、3cは、ホース壁2を支持するための連続的な1組のフレーム要素を構成する。図5は、ある一定の長さのストレッチホース10が、ホース壁20の内側に別々に結合された個々のフレームリング30の形態で、非連続的な1組のフレーム要素に支持されたホース壁20を有する代替の配置を示している。
ストレッチホース10は、図5に伸張長さLeで示され、ホース壁20は、引張力Tを受けてフレームリング30間で緊密に引っ張られる。フレームリング30は、互いに離れ、従って、ホースを後退長さまで戻すためのいかなる復元力も提供しない。適切な復元力は、それにも関わらず、ホース壁2の弾性織物を用いることによって必要に応じて提供することができる。ホース10の長さがその後退長さまで戻ると、ホース壁20は、図4aに示すホース壁2のプロフィール(輪郭)と同様に波形プロフィールを取る。
【0023】
ホース壁20は、織物20b、20cの内側層と外側層の間に挟まれた織物20aの中間層から成る多重層の織物壁構成を有する。織物20a、20b、20cの層は、同じ織物から成る必要はなく、例えば、層20aは、リプストップ織物とすることができるのに対して、層20b及び20cは、ホース壁に望ましい特性、例えば、耐化学性又は耐火性を与えるように想定されている何らかの他の織物とすることができる。層20a、20b、20cの少なくとも1つは、密封されてホース壁20を通る流体の放出を阻止する。
【0024】
織物20a、20b、20cの層の各々は、シート織物又は管状織物のいずれかから形成することができる。例えば、織物層20aは、シームレスの管状織物として形成することができ、層20b及び20cは、内側管状織物層20aに連続的に包み込まれたシート織物から形成することができる。織物層20a、20b、20cは、場合によって何らかの種類のスイッチング回路を用いて、各フレームリング30を別々に抵抗加熱することによって硬化することができる熱硬化性接着剤を用いて互いに結合することができる。代替的に、織物20a、20b、20cの単層又は複数の層の表面密封が含浸による場合は、含浸シーラントも、織物層20a、20b、20cを結合するのに有効に用いることができる。
【0025】
図6は、2つのリプストップ布テープ200及び201を用いて形成された多重層織物ホース壁を示す断面図である。
布テープ200及び201の各々は、包み込まれて螺旋状支持部材3の長さに沿ってそれぞれの織物層を形成する。布テープ200の場合には、これは、織物200a、200b、200cなどの一連の軸線方向重なり通路から成る螺旋状支持部材3の外側にそれぞれの織物層210を形成する。布テープ201の場合には、これは、織物201a、201b、201cなどの一連の重なり通路から成る螺旋状支持部材3の内側にそれぞれの織物層211を形成する。
【0026】
螺旋状支持部材3のコイル3a、3b、3cなどは、2つの織物層210、211の半径方向中間に挟まれる。例えば、コイル3aは、通路200a、201a間に挟まれ、コイル3bは、通路200b、201bの間に挟まれる等々である。更に、布テープ200の重なり通路は、コイル3a、3b、3cなどの外側に一連の二重プライ重なり部を形成する。例えば、重なり通路200a及び200bは、コイル3aの外側に二重プライ重なり部を形成し、重なり通路200b及び200cは、コイル3bのような外側に二重プライ重なり部を形成する。図6に示す配置では、布テープ201の重なり通路は、付加的にコイル3a、3b、3cの内側に対応する二重プライ重なり部を形成するが、螺旋状支持部材3の外側の二重プライ重なり部は、これらが、典型的には比較的高い摩擦磨耗を受けるホース壁の領域に関連付けられるので、家庭用掃除機に対する吸引ホースに特に有利であると考えられる。
【0027】
布テープ200、201は、場合によって布テープの予め巻かれた構成を強固にするように織物の重なり通路の結合の後にプリフォーム織物管と類似の方式でマンドレル上に予め巻かれ、次に、螺旋状支持部材3上に装着することができる。
重なり通路200a、201aは、布テープ200、201間にコイル3aを封入するために、図7の垂直点線によって示すようにコイル3aの軸線方向両側に互いに結合される。更に、通路200a、201aは、それぞれ通路200b、201bに結合される。
布テープ200、201は、印加された引張力の下で図6に示すその伸張長さLeまで伸張された螺旋状支持部材で螺旋状支持部材3の周囲に巻かれる。布テープ200、201を巻いた後、印加された引張力は、次に取り除かれて、螺旋状支持部材は、その後退長さまで戻り、ホース壁は、図4aのホース壁2のプロフィールと類似のほぼ波形プロフィールを取る。
【0028】
図6は、布テープを用いて1つの可能な巻き配置を示すが、他の配置も可能である。従って、図8では、単一リプストップ布テープ203は、方向Xに沿って螺旋状支持部材3上に巻かれ、布テープ203の後方部分は、コイル3a、3b、3cの外側の回りに延び、布テープ203の前方部分は、コイル3a、3b、3cの内側の回りに延びる。この場合には、コイル3a、3b、3cの各々は、第2の布テープの必要なく単一布テープ203の重なり通路の半径方向中間に挟まれる。例えば、コイル3bは、重なり通路203aと203bの間に挟まれ、これらは、コイル3bを適切な位置に封入するようにコイル3bの軸線方向両側に互いに結合することができる。
【0029】
単一リプストップ布テープは、付加的に巻かれて、フレーム要素の外側に多重プライ重なり部を形成することができる。図9は、そのような「二重機能」巻き配置を示し、図9に示す配置は、図8に示す配置と類似しているが、比較的広いリプストップ布テープ204を付加的に利用して、コイル3a、3b、3cの外側に一連の二重プライ重なり部を形成する。この場合には、リプストップ布テープ204は、コイル3a、3b、3cの各々が布テープ204の第1及び第2の重なり通路の半径方向中間に挟まれるが、第2の重なり通路は、付加的に巻物テープ204の第3の通路と重なり合って、コイルの外側に二重プライ層重なり部を形成する。例えば、コイル3aは、連続重なり通路204aと204bの間に挟まれるが、通路204bは、付加的に連続重なり通路204cと二重プライ重なり部を形成する。重なり通路204a及び204bは、コイル3aの軸線方向両側に互いに結合して、コイルを適切な位置に封入することができる。更に、重なり通路204b及び204cは、それぞれの二重プライ重なり部の領域において互いに結合することができる。
【0030】
説明した実施形態では、フレーム要素は、ホース壁の内側に位置決めされるか又はその内部に封入されるが、本発明は、そのような配置に限定されるものではなく、フレーム要素は、代替的にホース壁の外側に設けることができる。
本発明は、表面掃除機、好ましくは、家庭用真空掃除機に関する。ホースは、掃除機に対するホース及びワンドアセンブリの一部として組み込むことができ、いずれの場合も、従来の取り付け具を用いて掃除機の本体に装着することができる。掃除機の本体は、特に、図2a及び2bの本体hのような家庭用直立掃除機に対する従来の直立体とすることができる。
【0031】
説明した実施形態では、ホースは、織物ホース壁、すなわち、織物の1つ又はそれよりも多くの層から全体的に構成されたホース壁を組み込むが、最も広い意味では、本発明は、ストレッチホースが織物ホース壁を有する配置に限定されない。ホース壁は、例えば、押し出し又は射出成形プラスチック保護シース又はライニングを付加的に組み込むことができる。それにも関わらず、ホース壁の不透過織物層の使用は、繰返し疲労に対するホース壁の抵抗性を改良することになり、従って、従来の押し出し又は射出成形プラスチックストレッチホースと比べてホースの耐用寿命を改良すると考えられる。
【符号の説明】
【0032】
1 ホース
2 ホース壁
3 螺旋状支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ホースを含む表面掃除機であって、長いホースが、該ホースに印加された引張力の下で後退長さから伸張長さまで長さ方向に伸張可能であり、該伸張長さは、該後退長さよりも少なくとも25%長く、
前記長いホースは、織物の1つ又はそれよりも多くの層によって少なくとも部分的に形成された伸張可能ホース壁を有し、少なくとも1つの織物の層が密封されて、該ホースによって運ばれる流体に対して不透過障壁を形成する、
ことを特徴とする表面掃除機。
【請求項2】
前記ホース壁は、織物の1つ又はそれよりも多くの層から成る織物ホース壁であり、前記織物層の少なくとも1つが密封されて前記ホースによって運ばれる前記流体に対して不透過障壁を形成することを特徴とする請求項1に記載の表面掃除機。
【請求項3】
前記織物の層の1つ又はそれよりも多くは、実質的に非弾性であり、かつ前記後退長さから前記伸張長さまで前記ホース壁の非弾性の長さ方向延長に対して十分な弛みを組み込むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面掃除機。
【請求項4】
前記弛みの少なくとも一部は、前記織物の一連の波形又はひだによって設けられることを特徴とする請求項3に記載の表面掃除機。
【請求項5】
前記織物の層の少なくとも1つは、少なくとも部分的にプラスチックフィラメントから織られ、編組みされ、又は編まれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表面掃除機。
【請求項6】
前記ホース壁は、リプストップ織物の少なくとも1つの層を組み込むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表面掃除機。
【請求項7】
前記ホース壁は、前記後退長さから前記伸張長さまでの該ホース壁の延長に適合するように、互いに対する長さ方向移動のために配置された1つ又はそれよりも多くの強化フレーム要素に固定されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表面掃除機。
【請求項8】
前記フレーム要素は、復元力を与えて前記ホース壁を前記伸張長さから前記後退長さまで戻すために互いに弾力的に接続されることを特徴とする請求項6に記載の表面掃除機。
【請求項9】
前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、前記ホース壁の一部を形成する織物の層又はパイルの半径方向中間に挟まれることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の表面掃除機。
【請求項10】
前記織物の層又はパイルは、それぞれの前記フレーム要素の軸線方向両側に互いに結合され、該織物の層又はパイル間に該フレーム要素を封入することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の表面掃除機。
【請求項11】
前記ホース壁における前記織物は、前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲に多重プライ又は多重層重なり部を形成するように配置されることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の表面掃除機。
【請求項12】
前記ホース壁は、巻き布テープから成る層を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の表面掃除機。
【請求項13】
前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くは、前記巻き布テープの2つの軸線方向重なり通路の半径方向中間に挟まれることを特徴とする請求項12に記載の表面掃除機。
【請求項14】
前記巻き布テープの2つ又はそれよりも多くの軸線方向重なり通路が、前記フレーム要素の1つ又はそれよりも多くの外側の周囲にそれぞれの多重プライ重なり部を形成することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の表面掃除機。
【請求項15】
前記フレーム要素は、弾性螺旋状支持部材上のコイルであることを特徴とする請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の表面掃除機。
【請求項16】
前記ホースは、ホース及びワンドアセンブリの一部として表面掃除機上に設けられることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の表面掃除機。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−25040(P2011−25040A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166316(P2010−166316)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】