説明

表面改良成形品

本発明は、(A)熱可塑性樹脂99.91〜85重量%および(B)マルチウォール・カーボンナノチューブ0.09〜15重量%を含有する組成物から得られる成形品であって、Byk−Gardnerヘーズ−光沢装置を使用してISO 2813に従って測定される20°光沢レベルが104〜20であり、かつ、60°光沢レベルが103〜50である成形品、並びにこれらの光沢レベルを有する成形品の製造へのこれらの組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリカーボネートは、エンジニアリング熱可塑性樹脂である。エンジニアリング熱可塑性樹脂は、電気および電子分野において、ランプのケーシング用材料として、並びに特定の機械的特性を要求する用途において、多種多様な用途を有する。これらの用途において、必要とされるものは、ほぼ常に、良好な熱的特性および機械的特性、例えばビカーポイント、ガラス転移温度および耐衝撃性、である。ここで使用される材料は、濃いかまたは不透明な着色用のカーボンブラックを含む。これらの組成物の欠点は、しばしば、それらから製造される物品/成形品が光沢面を有することである。この欠点を克服するために成形面を粗面化しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従って、本発明の目的は、上記欠点を有さない成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
熱可塑性樹脂およびマルチウォール・カーボンナノチューブ(MWCNT)で構成される成形品が前記欠点を有さないことがわかった。
【0004】
EP−A 1770126は、フッ素含有有機金属塩、並びに難燃剤、脂肪酸エステル、紫外線吸収剤、PTFEファイアバー、充填剤、ケイ酸塩鉱物および二酸化チタン顔料からなる群からの少なくとも1種類の別の成分を含有するポリカーボネート組成物を記述している。言及されている充填剤は、多種多様の充填剤であり、その中でMWCNT(マルチウォール・カーボンナノチューブ)として知られている充填剤も言及されている。MWCNTを含有する具体例は記述されていない。
【0005】
特開2006−291081、特開2006−193649、特開2006−016553およびWO 2008/078850 Aは、ポリカーボネートにおけるMWCNTの使用を記述している。しかしながら、上記特許出願は、ポリカーボネートとMWCNTとで構成される、特定の光沢レベルを有する成形品を記述していない。
【0006】
従って、本発明は、
A) 熱可塑性樹脂、99.91〜85重量%、好ましくは99.90〜88重量%、特に好ましくは99.88〜93重量%、より特に好ましくは99.70〜93重量%、特別には98〜94重量%および
B) マルチウォール・カーボンナノチューブ、0.09〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、特に好ましくは0.12〜7重量%、より特に好ましくは0.3〜7重量%、特別には2〜6重量%
を含有する組成物から得られる成形品であって、ISO 2813に従ってByk−Gardnerヘーズ−光沢装置を使用して測定される20°光沢レベルが104〜20、好ましくは100〜20、特に好ましくは40〜22であり、かつ、60°光沢レベルが103〜50、好ましくは100〜50、特に好ましくは80〜55である成形品を提供する。
【0007】
本発明は、更に、ISO 2813に従ってByk−Gardnerヘーズ−光沢装置を使用して測定される20°光沢レベルが104〜20、好ましくは100〜20、特に好ましくは40〜22であり、かつ、60°光沢レベルが103〜50、好ましくは100〜50、特に好ましくは80〜55である成形品の製造への、
A) 熱可塑性樹脂、99.91〜85重量%、好ましくは99.90〜88重量%、特に好ましくは99.88〜93重量%、より特に好ましくは99.70〜93重量%、特別には98〜94重量%および
B) マルチウォール・カーボンナノチューブ、0.09〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、特に好ましくは0.12〜7重量%、より特に好ましくは0.3〜7重量%、特別には2〜6重量%
を含有する組成物の使用も提供する。
【0008】
特に好適な熱可塑性樹脂は、透明熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリオレフィン、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレンおよびポリアクリレート、である。好ましい熱可塑性樹脂は、ポリカーボネートである。しかしながら、不透明組成物もまた好適であり、その例はポリカーボネートベースの、例えばポリエステル、SAN、ABS、および/またはポリラクテートとの、ブレンドである。
【0009】
マルチウォール・カーボンナノチューブ(MWCNT)は、好ましくは炭素含量が95%よりも多く、アモルファスカーボンを含有しない円筒状カーボンチューブである。カーボンナノチューブは、好ましくは、外径が3〜80nm、特に好ましくは5〜20nmである。平均外径は、好ましくは13〜16nmである。円筒状カーボンナノチューブの長さは、好ましくは0.1〜20μm、特に好ましくは1〜10μmである。カーボンナノチューブは、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜15のグラファイト状副層(graphitic sublayers)(更に、「層」や「ウォール」ともいう。)で構成されており、その最小内径は2〜6nmである。前記カーボンナノチューブに使用される別の用語の例は、「カーボンファイバー」および「中空カーボンファイバー」である。
【0010】
本発明において使用されるMWCNTの製造はよく知られている(例えば、US−A 5,643,502およびDE 10 2006 017 695 A1参照。好ましい製造プロセスは、DE 10 2006 017 695 A1の製造プロセスであり、特にDE 10 2006 017 695 A1の実施例3の方法である。)。
【0011】
本発明の目的に関して、熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、ホモポリカーボネートだけでなく、コポリカーボネートでもある。知られているように、ポリカーボネートは直鎖であっても分枝ポリカーボネートであってもよい。
【0012】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネートを含めて、熱可塑性ポリカーボネートの平均モル質量Mは、12000〜120000g/mol、好ましくは15000〜80000g/mol、特に18000〜60000g/mol、より特に好ましくは18000〜40000g/molである(ポリカーボネート較正を伴うゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。)。
【0013】
本発明に好適なポリカーボネート中のカーボネート基の一部、80mol%以下、好ましくは20mol%〜50mol%が、芳香族ジカルボン酸エステル基によって置換されていてもよい。分子鎖中に炭酸由来の酸部分だけでなく芳香族ジカルボン酸由来の酸部分も組み込むポリカーボネートを芳香族ポリエステルカーボネートという。本明細書は、簡潔のために、それらも包括的用語「熱可塑性芳香族ポリカーボネート」内に包含する。
【0014】
ポリカーボネートは、ジフェノール、炭酸誘導体、および適切である場合、連鎖停止剤、および適切である場合、分枝剤、から既知の方法で製造され、本明細書中のポリエステルカーボネートの製造は、炭酸誘導体の一部を芳香族ジカルボン酸またはジカルボン酸の誘導体によって置換すること含み、実際、芳香族ポリカーボネート中のカーボネート構造ユニットが置換される程度に芳香族ジカルボン酸エステル構造ユニットによって置換する。
【0015】
ポリカーボネートの製造に好適なジヒドロキシアリール化合物は、式(2)
HO−Z−OH (2)
(式中、
Z は、炭素原子を6〜30個有する芳香族部分であり、1以上の芳香環を含んでいてもよく、かつ、置換を有していてもよく、脂肪族または脂環式部分および、それぞれ、ブリッジメンバーとしてのアルキルアリール部分またはヘテロ原子を含んでいてもよい。)
のジヒドロキシアリール化合物である。
【0016】
式(2)中のZは、好ましくは式(3)
【化1】

(式中、
およびR は、互いに独立して、H、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルコキシ、ハロゲン、例えばClもしくはBr、または、それぞれ任意に置換されていてもよいアリールもしくはアラルキル、好ましくはHまたはC〜C12−アルキル、特に好ましくはHまたはC〜C−アルキル、より特に好ましくはHまたはメチルであり、かつ、
X は、単結合、−SO−、−CO−、−O−、−S−、C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデンまたはC〜C−シクロアルキリデンであって、C〜C−アルキル、好ましくはメチルもしくはエチルによる置換を有していてもよいものであるか、または、Xは、C〜C12−アリーレンであって、適切である場合、ヘテロ原子を含む別の芳香環と縮合していてもよいC〜C12−アリーレンである。)
の部分である。
【0017】
Xが単結合、C〜C−アルキレン、C〜C−アルキリデン、C〜C−シクロアルキリデン、−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO−または式(3a)もしくは(3b)
【化2】

(式中、
およびR は、各Xに関して個々に選択可能であり、互いに独立して、水素またはC〜C−アルキル、好ましくは水素、メチルまたはエチルであり、かつ、
は、炭素であり、かつ、
n は、4〜7の整数、好ましくは4または5であり、
但し、少なくとも1つの原子Xにおいて、RとRとは、同時にアルキルである。)
の部分であることが好ましい。
【0018】
ジヒドロキシアリール化合物(ジフェノール)の例は、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシビフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)アリール化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、1,1’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、およびこれらに関連する環アルキル化および環ハロゲン化化合物である。
【0019】
本発明に使用されるポリカーボネートの製造に好適なジフェノールの例は、ヒドロキノン、レソルシノール、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、および更にこれらに関連するアルキル化、環アルキル化および環ハロゲン化化合物である。
【0020】
好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,3−ビス[2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0021】
特に好ましいジフェノールは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)である。
【0022】
これらの、および別の、好適なジフェノールは、一例として、US−A 2 999 835、3 148 172、2 991 273、3 271 367、4 982 014および2 999 846、ドイツ国公開出願1 570 703、2 063 050、2 036 052、2 211 956および3 832 396、フランス国特許1 561 518、H.Schnellによるモノグラフ“Chemistry and Physics of Polycarbonates”,Interscience Publishers,ニューヨーク 1964年,28頁以降;102頁以降およびD.G.Legrand,J.T.Bendler,“Handbook of Polycarbonate Science and Technology”,Marcel Dekker New York 2000年,72頁以降に記述されている。
【0023】
ホモポリカーボネートの場合、1種類のジフェノールのみが使用されるが、コポリカーボネートの場合、2種類以上のジフェノールが使用される。使用されるジフェノールは、この合成反応に添加される他の薬品および助剤の全てにも当てはまるが、それ自体の合成、取り扱いおよび貯蔵に由来する混入物を有していてもよい。しかしながら、最大限の純度の原料を使用することが望ましい。
【0024】
分子量調節に必要とされる単官能性連鎖停止剤、例えばフェノールまたはアルキルフェノール、特にフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、クミルフェノール、これらの塩化カルボニルエステルもしくはモノカルボン酸の塩化アシル、または前記連鎖停止剤の混合物、は、ビスフェノレートと共に、または、ホスゲンもしくは塩化カルボニル末端基が反応混合物中に存在する合成反応中の任意の所望の時点において、または、連鎖停止剤として塩化アシルおよび塩化カルボニルエステルの場合、十分な形成されるポリマーのフェノール性末端基が利用可能な限り、反応に導入される。
【0025】
しかしながら、ホスゲン化反応後に残留ホスゲンが存在しない場所または時点において、触媒の添加前に、連鎖停止剤を添加することが好ましい。連鎖停止剤は、触媒の前に、触媒と共に、またはそれと平行して添加される。
【0026】
使用される任意の分枝剤または分枝剤混合物を合成反応に添加するために同じ方法が使用されるが、それらは、通常、連鎖停止剤の前に添加される。通常使用される化合物は、トリスフェノール(trisphenol)、第四級フェノール(quaterphenol)またはトリ−もしくはテトラカルボン酸の塩化アシル、またはこれらのポリフェノールもしくは塩化アシルの混合物である。
【0027】
3以上のフェノール性ヒドロキシ基を有する分枝剤として使用されうる化合物のいくつかの例は、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプト−2−エン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノールおよびテトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタンである。
【0028】
別の3官能性化合物のいくつかは、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌルおよび3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。
【0029】
好ましい分枝剤は、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールおよび1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンである。
【0030】
適切である場合、使用される分枝剤の量も、使用されるそれぞれのジフェノールのモルに対して、0.05mol%〜2mol%である。
【0031】
分枝剤は、有機溶媒における溶解後に、水性アルカリ相中にジフェノールおよび連鎖停止剤と共に初期装入量として使用されるか、またはホスゲンの前に添加される。
【0032】
前記ポリカーボネートの製造手段は全て当業者によく知られている。
【0033】
ポリエステルカーボネートの製造に好適な芳香族ジカルボン酸の例は、オルトフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、tert−ブチルイソフタル酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,2−ビス(4−カルボキシルフェニル)プロパン、およびトリメチル−3−フェニルインダン−4,5’−ジカルボン酸である。
【0034】
芳香族ジカルボン酸の中で、テレフタル酸および/またはイソフタル酸が特に好ましく使用される。
【0035】
ジカルボン酸の誘導体は、ジアシル二ハロゲン化物およびジアルキルジカルボキシレート、特にジアシル二塩化物およびジメチルジカルボキシレートである。
【0036】
芳香族ジカルボン酸エステル基によるカーボネート基の置換は、実質的に化学量論的にかつ定量的に行われ、従って、反応物のモル比が最終ポリエステルカーボネートに反映される。芳香族ジカルボン酸エステル基は、ランダムに組み込まれても、ブロックで組み込まれてもよい。
【0037】
本発明において使用されるポリカーボネート(ポリエステルカーボネートを含む。)の好ましい製造方法は、既知の界面法および既知の溶融エステル交換法である(例えば、WO 2004/063249 A1、WO 2001/05866 A1、WO 2000/105867、US−A 5,340,905、US 5,097,002、US−A 5,717,057参照。)。
【0038】
前者の場合においては、ホスゲンおよび、適切である場合、ジアシル二塩化物が好ましく酸誘導体の役割を果たし、後者の場合においては、ジフェニルカーボネートおよび、適切である場合、ジカルボン酸ジエステルが好ましく酸誘導体の役割を果たす。いずれの場合も、ポリカーボネートの製造またはポリエステルカーボネートの製造に関する触媒、溶媒、ワークアップ(work−up)、反応条件など、は広く記述されており、よく知られている。
【0039】
ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、およびポリエステルは、既知の方法でワークアップされ、例えば押出または射出成形によって処理されて任意の所望の成形品を生じうる。
【0040】
常套の量の、これらの熱可塑性樹脂に常套の添加剤、例えば充填剤、紫外線安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、染料および顔料、離型剤、赤外線吸収剤および難燃剤、をポリカーボネート組成物に添加してもよい。材料の透明度を損なわないもののみの使用が特に好ましい。
【0041】
好適な添加剤の例は、“Additives for Plastics Handbook”,John Murphy,Elsevier,Oxford 1999年、および“Plastics Additives Handbook”,Hans Zweifel,Hanser,ミュンヘン,2001年に記述されている。
【0042】
好適な酸化防止剤や熱安定剤の例は、
アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O−、N−、およびS−ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロネート、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アシルアミノフェノール、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、好適なチオ相乗剤(thiosynergist)、二次酸化防止剤、ホスファイトおよびホスホナイト、ベンゾフラノン、およびインドリノン
である。
【0043】
有機ホスファイト、ホスホネート、およびホスファンであって、ほとんど有機部分が完全にまたはある程度まで任意に置換されていてもよい芳香族部分で構成されるものが好ましい。
【0044】
2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル(2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジイル)ホスファイトが熱安定剤としてより特に好ましい。
【化3】

【0045】
ホスファイトは単独で使用されてもよいが、別のリン化合物との組み合わせで使用されてもよく、本明細書中の別のリン化合物は、異なる酸化数のリン原子を有するリン化合物であってもよい。従って、例えば本発明のホスファイトと、別のホスファイト、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、ホスホナイト、ホスフェート、ホスホネートなどと、の組み合わせが使用されうる。ホスフィンは、単独で使用されてもよく、例は、トリフェニルホスフィンまたはトリトリルホスフィンである。
【0046】
使用されるホスファイトはよく知られているかまたは既知のホスファイトとの類推によって製造されうる。2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル(2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジイル)ホスファイトが一例としてEP−A 702 018およびEP 635514に記述されている。
【0047】
ポリマー混合物中に一般的に存在するリン化合物の割合は、10〜5000ppm、好ましくは10〜1000ppm、特に好ましくは20〜700ppm、より特に好ましくは50〜500ppmである。
【0048】
離型剤、リン化合物、およびホルマールの熱可塑性成形組成物への好ましい添加方法の一例において、それらは、製造プロセス後かつポリカーボネートのワークアップ中に、例えばポリカーボネートポリマー溶液、または熱可塑性成形組成物の溶融物への添加によって、材料に計量添加される。最終製品(成形品)の製造中に全ての成分が存在することを確実にする限り、これらの成分を材料に互いに独立して異なる操作で計量添加する(例えばこれらの成分の1つをポリマー溶液のワークアップ中に計量添加し、別の成分を溶融物に計量添加する。)こともまた可能である。
【0049】
より特に好適な添加剤は、IRGANOX 1076(登録商標)(上記参照)およびグループ2.1のベンゾトリアゾール(“Tinuvins”)、特に互いの混合物、およびトリフェニルホスフィン(TPP)である。
【0050】
好適な難燃剤C)は、脂肪族または芳香族スルホン酸の誘導体のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩であり、かつ、それぞれ、スルホンアミドおよびスルホンイミドであり、例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸カリウム、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドのカリウム塩、およびN−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド(N−(N’−benzylaminocarbonyl)sulfanylimide)のカリウム塩である。
【0051】
適切である場合、成形組成物中で使用される塩の例は、
ペルフルオロブタン硫酸ナトリウムまたはカリウム(sodium or potassium perfluorobutane sulfate)、ペルフルオロメタンスルホン酸ナトリウムまたはカリウム、ペルフルオロオクタン硫酸ナトリウムまたはカリウム、2,5−ジクロロベンゼン硫酸ナトリウムまたはカリウム、2,4,5−トリクロロベンゼン硫酸ナトリウムまたはカリウム、メチルホスホン酸ナトリウムまたはカリウム、(2−フェニルエチレン)ホスホン酸ナトリウムまたはカリウム、ペンタクロロ安息香酸ナトリウムまたはカリウム、2,4,6−トリクロロ安息香酸ナトリウムまたはカリウム、2,4−ジクロロ安息香酸ナトリウムまたはカリウム、フェニルホスホン酸リチウム、ジフェニルスルホンスルホン酸ナトリウムまたはカリウム、2−ホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはカリウム、(N−ベンゼンスルホニル)ベンゼンスルホンアミドナトリウムまたはカリウム、ヘキサフルオロアルミン酸三ナトリウムまたは三カリウム、ヘキサフルオロチタン酸二ナトリウムまたは二カリウム、ヘキサフルオロケイ酸二ナトリウムまたは二カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸二ナトリウムまたは二カリウム、ピロリン酸ナトリウムまたはカリウム、メタリン酸ナトリウムまたはカリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウムまたはカリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウムまたはカリウム、リン酸ナトリウムまたはカリウムまたはリチウム、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドのカリウム塩、およびN−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩
である。
【0052】
ペルフルオロブタン硫酸ナトリウムまたはカリウム、フルオロオクタン硫酸ナトリウムまたはカリウム、ジフェニルスルホンスルホン酸ナトリウムまたはカリウム、および2,4,6−トリクロロ安息香酸ナトリウムまたはカリウム、およびN−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルフィミドのカリウム塩、およびN−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのカリウム塩が好ましい。ペルフルオロブタン硫酸カリウムおよびジフェニルスルホンスルホン酸ナトリウムまたはカリウムがより特に好ましい。
【0053】
これらの塩の混合物もまた好適である。
【0054】
成形組成物におけるこれらの有機難燃化塩の使用量は、0.01〜0.1重量部、好ましくは0.01〜0.08重量部、特に好ましくは0.01〜0.06重量部、より特に好ましくは0.01〜0.03重量部である(ポリマー組成物に対する。)。
【0055】
これらの組成物は、更に、好適なPTFEブレンドも含有しうる。これらの全てがPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)と、層の形態をとり、かつ、ポリカーボネートおよび、それぞれ、ポリエステルカーボネートおよびPTFEと相溶性であり、かつ、PTFE鎖の繊維構造を保持する物質と、の物理的混合物である。好適な物質の例は、スチレン−アクリロニトリルコポリマー(SAN)およびポリアクリレートである。前記ブレンド中のPTFEの割合は、20〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より特に好ましくは30〜60重量%である。これらのブレンドは、例えばGE Speciality Chemicalsから商標Blendex(登録商標)B449で市販されているかまたは三菱レイヨン株式会社からMetablen(登録商標)A製品ラインで市販されている。これらのブレンドは、PTFEエマルジョンを好適なブレンド相手のエマルジョンと混合することによって製造される。生じる混合物に好適なプロセス、例えば凝集、凍結乾燥、噴霧乾燥、などを使用してブレンドを得る。
【0056】
アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩が難燃性ポリカーボネートの製造に知られている(一例として、US−A 3 775 367、3 836 490、3 933 734、3 940 366、3 953 399、3 926 908、4 104 246、4 469 833、4 626 563、4 254 015、4 626 563および4 649 168参照。)。
【0057】
これらの物質は、多くの刊行物、例えばAdditives for Plastics Handbook,John Murphy,1999年、で見られ、市販されている。
【0058】
1. 好適な酸化防止剤の例を以下に挙げる。
1.1. アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖または分枝側鎖を有するノニルフェノール、例えば2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシ−1’−イル)フェノール。
1.2. アルキルチオメチルフェノール
1.3. ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン
1.4. トコフェロール
1.5. ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル
1.6. アルキリデンビスフェノール
1.7. O−、N−、およびS−ベンジル化合物
1.8. ヒドロキシベンジル化マロネート
1.9. 芳香族ヒドロキシベンジル化合物
1.10. トリアジン化合物
1.11. アシルアミノフェノール
1.12. β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル、本明細書中、より特に好適であり、好ましい化合物は、オクタデカノールとのエステル(Ciba Spec.製のIRGANOX 1076(登録商標))である。
1.13. β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.14. β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.15. 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価または多価アルコールとのエステル
1.16. β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド
1.17. アスコルビン酸(ビタミンC)
1.18. アミン系酸化防止剤
1.19. 好適なチオ相乗剤の例はジラウリルチオジプロピオネートおよび/またはジステアリルチオジプロピオネートである。
【0059】
2. 組成物の重量に対する量、0.1〜15重量%、好ましくは3〜8重量%、の紫外線吸収剤および光安定剤を本発明の組成物に使用してもよい。好適な紫外線吸収剤および光安定剤の例を以下に挙げる。
2.1. 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R−CHCH−COO−CHCH−]−(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル)、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール。
2.2. 2−ヒドロキシベンゾフェノン
2.3. 置換および非置換安息香酸のエステル
2.4. アクリレート
2.5. ニッケル化合物
2.6. 立体的に込み合ったアミン
2.7. オキサミド
2.8. 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
【0060】
これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0061】
例えば、WO 06/012993は、化合物クラス1および2の例を挙げている。
【0062】
3. 好適な金属奪活剤の例は、N,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラール−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドである。これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0063】
4. 好適な過酸化物掃去剤の例は、β−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチル、またはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール、または2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバメート亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(ドデシルメルカプト)プロピオネートである。これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0064】
5. 好適な塩基性共安定剤の例は、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウムおよびパルミチン酸カリウム、アンチモンピロカテコレート、または亜鉛ピロカテコレートである。これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0065】
6. 好適な成核剤の例は、無機物質、例えばタルク、金属酸化物、例えば二酸化チタンもしくは酸化マグネシウム、ホスフェート、カーボネート、またはスルフェート、好ましくはアルカリ土類金属のホスフェート、カーボネート、またはスルフェート;有機化合物、例えばモノ−またはポリカルボン酸およびそれらの塩、例えば4−tert−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、コハク酸ナトリウム、または安息香酸ナトリウム;高分子化合物、例えばイオン性コポリマー(イオノマー)である。1,3:2,4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−:2,4−ジ(パラメチルジベンジリデン)ソルビトール、および1,3:2,4−ジ(ベンジリデン)ソルビトールが特に好ましい。これらの化合物を単独でしてもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0066】
7. 好適な充填剤および強化剤の例は、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、グラスファイバー、グラスバルーン(glass balloon)、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物および金属水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、ウォラストナイト、木粉、および別の天然物から誘導された粉または繊維、および合成繊維である。これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0067】
8. 好適な別の添加剤の例は、可塑剤、滑剤、乳化剤、顔料、粘度改良剤、触媒、流動剤、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、および発泡剤である。
【0068】
9. 好適なベンゾフラノンおよびインドリノンの例は、U.S.4,325,863;U.S.4,338,244;U.S.5,175,312;U.S.5,216,052;U.S.5,252,643;DE−A−4316611;DE−A−4316622;DE−A−4316876;EP−A−0589839、またはEP−A−0591102に開示されているベンゾフラノンおよびインドリノン、または3−[4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−tert−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラン−2−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−オン]、5,7−ジ−tert−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−tert−ブチルベンゾフラン−2−オン、およびラクトン酸化防止剤、例えば
【化4】

である。これらの化合物は、例えば酸化防止剤の役割を果たす。これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0069】
10. 好適な蛍光可塑剤は、“Plastics Additives Handbook”,R.GaechterおよびH.Mueller編,Hanser Verlag,第3版,1990年,775〜789頁に挙げられている蛍光可塑剤である。
【0070】
11. 好適な難燃添加剤は、リン酸エステル、すなわち、トリフェニルホスフェート、レソルシノールジホスフェート、臭素含有化合物、例えば臭化リン酸エステル、臭化オリゴカーボネート、およびポリカーボネート、および更に塩、例えばCSONaである。
【0071】
12. 好適な耐衝撃性改良剤は、グラフトスチレン−アクリロニトリルまたはメチルメタクリレートを有するブタジエンゴム、グラフト無水マレイン酸を有するエチレン−プロピレンゴム、グラフトメチルメタクリレートまたはスチレン−アクリロニトリルを有するエチルおよびブチルアクリレートゴム、およびグラフトメチルメタクリレートまたはスチレン−アクリロニトリルを有するシロキサンとアクリレートとの相互浸透ネットワークである。
【0072】
13. 好適な帯電防止剤は、スルホン酸塩、例えばC1225SO3−またはC17SO3−のテトラエチルアンモニウム塩またはホスホニウム塩である。
【0073】
14. 好適な着色剤は、顔料並びに有機および無機染料である。
【0074】
15. エポキシ基を含む化合物、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、グリシジルメタクリレートのコポリマーおよびエポキシシラン。
【0075】
16. 無水物基を含む化合物、例えば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水安息香酸、および無水フタル酸。
【0076】
17. 安定剤として好適なホスファイトおよびホスホナイト。これらの化合物を単独で使用してもよく、同一物の混合物を使用してもよい。
【0077】
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168,Ciba−Geigy)またはトリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0078】
本発明の成形品は、通常、組成物から開始して常套の機械、例えば押出機または射出成形機、中で加工されて任意の所望の成形品、ホイル、またはパネルを生じる。
【0079】
可能な成形品は、安全グレージングパン(safety−glazing panes)であって、建築物、乗物、および航空機の多くの領域において必要とされることが知られている安全グレージングパン、並びにヘルメットのシールドである。押出ホイルおよび溶液ベースのディスプレイ用フィルム、ブリスターパック、または電気モーター、ブロー製品(例えば、米国特許第2,964,794号参照。)、半透明パネル、特にキャビティを有するパネル、例えば建築物(例えば鉄道駅、温室)の保護カバー用のもの、および照明システム、交通標識ケーシング、交通標識、照明用成形品(例えば、DE−A 1 554 020参照。)、および保護ゴーグルの製造。導電体用およびプラグケーシング用の電気絶縁材料、およびプラグコネクタとして。有機光伝導体、ランプ、もしくは光散乱パネル用の基材、またはランプカバー、ケーシング部品、例えば配電キャビネット、電気装置、家庭用デバイスとして。家庭用品、電気装置、および電子装置の構成部品、単車ヘルメットおよび安全ヘルメット、自動車部品、例えばグレージング、サンルーフ、ダッシュボード、車体部品、および電子部品用の運搬骨組(transportation frames)およびの収納容器。
【0080】
特に好ましい成形品は、
安全グレージングパン、半透明パネルまたは建築部門用の成形品、特にキャビティを有するパネル、光散乱パネル、およびランプカバー、サンルーフ、自動車部品、ケーシング部品、および電気産業用包装材料
である。
【実施例】
【0081】
使用されるマルチウォール・カーボンナノチューブ(MWCNT)はドイツ国51368レーフェルクーゼンのBayer MaterialScience製のBaytubes(登録商標)DP−HPであった。それらは、最小内径2〜6nm、チューブ長1〜10μm、かつ、チューブの外径5〜20nm(平均値13〜16nm)で、3〜15のグラファイト状副層で構成される。
【0082】
使用されるカーボンブラックは、Degussa AG(ドイツ国デュッセルドルフ)から購入した(lamp black 101)かまたはCabot Corp.(アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン)から購入した(Black Pearls 800)。
【0083】
MVR 9.5cm/(10分)(ISO 1133に従って測定(300℃、1.2kg)。)のビスフェノールAベースのポリカーボネート(Makrolon(登録商標)2805、ドイツ国51368レーフェルクーゼンのBayer MaterialScience製)を、ZSK 25(ドイツ国カッセルのPaul Beier KG製)を使用する配合によって、様々な含量の上記MWCNTおよびカーボンブラックと共に提供した。表1および2は、試験片の構成をガラスレベル値と共に載せている。
【0084】
試験片(60×40×4mm)を、研磨面を有する金型を用いるAllrounder 370C 800−250(ドイツ国ロースブルク製のArburg GmbH & Co.KG製)における射出成形によって製造した。
【0085】
光沢値を、Byk−Gardnerヘーズ−光沢装置においてISO 2813(ASTM D523)に従って角度20°と60°において測定した。
【0086】
下記表は、結果をまとめる(重量%における定量データ)。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
表1は、Baytubes DP−HP充填レベルの上昇に伴う光沢レベルの低減(すなわち、表面の艶消し度合いの増加)を明確に示している。表2(実施例4)のデータとの比較は、Black Pearls 800の添加が光沢値の明確にわずかな低減をもたらすことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 熱可塑性樹脂、99.91〜85重量%および
B) マルチウォール・カーボンナノチューブ、0.09〜15重量%
を含有する組成物から得られる成形品であって、ISO 2813に従ってByk−Gardnerヘーズ−光沢装置を使用して測定される20°光沢レベルが104〜20であり、かつ、60°光沢レベルが103〜50である成形品。
【請求項2】
熱可塑性樹脂99.90〜88重量%およびマルチウォール・カーボンナノチューブ0.1〜12重量%を含有する、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
熱可塑性樹脂98〜94重量%およびマルチウォール・カーボンナノチューブ2〜6重量%を含有する、請求項2に記載の成形品。
【請求項4】
20°光沢レベルが100〜20であり、かつ、60°光沢レベルが100〜50である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項5】
20°光沢レベルが40〜22であり、かつ、60°光沢レベルが80〜55である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項6】
該熱可塑性樹脂がポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリスチレン、およびポリアクリレートの群からの少なくとも1種類から選択されている、請求項1に記載の成形品。
【請求項7】
請求項1に記載の安全グレージングパン、パネル、建築部門用の成形品、光散乱パネル、ランプカバー、サンルーフ、ケーシング部品、または電気および電子産業用の包装材料並びに自動車部品。
【請求項8】
A) 熱可塑性樹脂、99.91〜85重量%および
B) マルチウォール・カーボンナノチューブ、0.09〜15重量%
を含有する組成物の、ISO 2813に従ってByk−Gardnerヘーズ−光沢装置を使用して測定される20°光沢レベルが104〜20であり、かつ、60°光沢レベルが103〜50である成形品の製造への使用。

【公表番号】特表2010−537012(P2010−537012A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522224(P2010−522224)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006794
【国際公開番号】WO2009/030357
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】