説明

表面除染方法

本発明は、加圧水型原子炉の一次循環系の金属部材の酸化物層を有する表面を化学的に除染する方法であって、前記方法が2つの段階に分けられていて、更に次のように構成されている方法に関する。−第1の段階では、酸化工程、還元工程及びそれに引き続く第1の除染工程を有する少なくとも1つの処理サイクルを実施し、その際、前記酸化工程では、前記部材を、前記酸化物層中に含まれる三価クロムを六価クロムに変換させる酸化剤を含有する水性洗浄液で、処理し、前記還元工程では、前記部材を、前記酸化工程からの過剰量の酸化剤を還元する還元剤を含有する水溶液で、処理し、前記第1の除染工程では、前記部材を、前記水溶液中に含まれる金属イオン、特に二価の金属イオン、との間で難溶性沈殿物を形成しない少なくとも1種の除染酸をもっぱら又は優勢な割合で含有する水溶液で、処理し、そして、前記溶液を、前記酸化物層及び/又は前記部材の基材金属に由来する、前記溶液中に含まれる金属イオンの除去のために、イオン交換体に通し、−第2の段階では、前記部材を、除染酸としてシュウ酸をもっぱら又は優勢な割合で含有する水溶液で、処理する第2の除染工程を有する少なくとも1回の処理サイクルを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水型原子炉の冷却剤循環路の部材の表面除染方法に関する。冷却剤循環路の主要部分は原子炉圧力容器であり、この原子炉圧力容器内に核燃料を含む燃料要素が配置されている。この原子炉圧力容器には、たいていは、それぞれ1つの冷却剤ポンプ及び1つの蒸気発生器を備えた複数の冷却ループが接続されている。
【背景技術】
【0002】
288℃の範囲内の温度を有する加圧水型原子炉の出力運転の条件下で、例えば冷却ループの管系を構成する不銹性オーステナイトのFeCrNi鋼、例えば蒸気発生の交換管を構成するNi合金、及びその他の、例えば冷却剤ポンプ用に使用される、例えばコバルトを含有する、部材でさえ、水中で所定の溶解度を示す。上記の合金から溶け出した金属イオンは、冷却剤流と共に原子炉圧力容器に達し、この場所で、これらの金属イオンは、この箇所で生じる中性子線により部分的に放射性核種に変換される。これらの核種は、同様に、冷却剤流により全体の冷却剤系中に分散され、運転中に冷却剤系の部材の表面上に形成される酸化物層中に沈積する。運転時間の増加と共に、この沈積される放射性核種の量も増加するため、この冷却剤系の部材表面で放射能又は線量出力が増大する。この酸化物層は、部材のために使用される合金の種類に応じて、主成分として二価及び三価の鉄を有する酸化鉄、及び上述の鋼中に合金成分として存在する他の金属、特にクロム及びニッケル、の酸化物を含む。この場合、ニッケルは常に二価の形(Ni2+)で存在し、クロムは三価の形(Cr3+)で存在する。
【0003】
この冷却剤系の検査措置、メンテナンス措置、修理措置及び解体措置を行なう前に、従業員の放射線負荷を低下させるために、それぞれの部材及びコンポーネントの放射線を低減する必要がある。この低減は、部材の表面上に存在する酸化物層を除染方法によってできる限り完全に除去することにより行われる。この種の除染の場合に、全体の冷却剤系又はこの冷却剤系から、例えばバルブによって、分離されている部材を、水性洗浄溶液で満たすか又はこの系の個々の部材をこの洗浄溶液を含む個別の容器中で処理する。この酸化物層は、例えば加圧水型原子炉の事例において、クロムを含有する部材の場合に、まず酸化処理され(酸化工程)、引き続き、この酸化物層が、酸性条件下で、いわゆる除染工程において、酸(この酸を、以後、除染酸又は汚染除去酸という)を用いて溶解される。この際に酸化物層から溶液中へ入り込んだ金属イオンを、この溶液をイオン交換器に通すことにより、この溶液から除去することができる。酸化工程の過剰な酸化剤は、還元工程において還元剤の添加により中和、即ち、還元される。除染工程でのこの酸化物層の溶解又は金属イオンの溶出は、従って酸化剤の不在で行われる。この過剰量の酸化剤の還元は独立した処理工程であってもよく、この場合、この洗浄溶液には、還元の目的のためだけに利用する還元剤、例えばアスコルビン酸、クエン酸又は過酸化水素、が過マンガン酸塩イオン及び軟マンガン鉱の還元のために添加される。この過剰量の酸化剤の還元は、しかしながら、除染工程の範囲内でも行なうことができ、この場合、更に、還元剤に加えて、酸化物層の溶解に作用する除染酸、又は、過剰量の酸化剤、例えば、何倍も使用された過マンガン酸塩イオン及びそこから生じる軟マンガン鉱を還元することができる酸、を使用する。上記の場合に、この溶液に、一方で過剰量の酸化剤を中和し且つ他方で酸化物を溶解するのに十分な量の除染酸が、添加される。一般に、十分な成果を達成するために、一連の処理「酸化工程−還元工程−除染工程」又は「酸化工程−還元を同時に行なう除染工程」が数回行われる。この場合、除染工程においては、常に、同じ除染酸又は除染酸の混合物が使用される。
【0004】
この酸化物層の酸化処理は必須である。何故ならば、酸化クロム(III)及び特にスピネル型の三価のクロムを含有する混合酸化物は、除染のために使用される酸に難溶性であるからである。従って、この溶解性を高めるために、まずこの酸化物層を、Ce4+、HMnO4、H228、KMnO4等の酸化剤の水溶液、酸若しくはアルカリ液とKMnO4との混合物、又はO3で、処理する。この処理の結果として、Cr(III)はCr(VI)に酸化され、これはCrO42-として溶解する。
【0005】
除染工程での還元剤の存在により、酸化工程中で生じ、クロム酸塩として洗浄液中に存在するCr(VI)は、再び、Cr(III)に還元される。除染工程の終わりには、この洗浄液中に、Cr(III)、Fe(II)、Fe(III)、Ni(II)及びその他に、例えばCo−60等の、放射性同位体が存在する。これらの金属イオンは、この洗浄液からイオン交換体を用いて除去することができる。除染工程において頻繁に使用される除染酸は、シュウ酸である。何故ならば、このシュウ酸によって、部材表面から除去した酸化物層を溶解できるためである。
【0006】
しかしながら、シュウ酸は、Ni2+、Fe2+、Co2+、Cu2+等の二価の金属イオンとの間で難溶性のシュウ酸塩沈殿物を生じ、このシュウ酸塩沈殿物が全体の冷却剤系に分散され、配管及びコンポーネント、例えば蒸気発生器、の内壁に沈着するという欠点がある。このため、これらの沈殿物が方法全体の遂行を困難にしている。溶液の種々の有機成分は、酸化剤による処理及びUV照射によって、二酸化炭素及び水に変換され、それによりこの溶液から除去される。しかしながら、この沈殿物により、溶液は曇り、UV照射の有効性は、かなり低下してしまう。同様に、放射性核種の共沈が生じ、従って部材表面の再汚染が起こる。この再汚染の危険は、体積に対する表面積の割合の大きいコンポーネントの場合に、特に著しい。これには、特に、小さな直径を有する極めて多数の交換器管を有している蒸気発生器が該当する。シュウ酸を使用することの他の欠点は、シュウ酸塩沈殿物が濾過装置、例えばイオン交換器の前方に配置されたフィルター及び循環ポンプの多孔板又は保護フィルター、を閉塞しかねないことである。更なる欠点は、結局、上述の酸化工程及び除染工程からなる処理サイクルを繰り返すこと、つまり除染工程に引き続き新たな酸化工程を行なうこと、にある。先行する除染工程中でシュウ酸塩沈殿物が生じる場合に、相応する金属イオン、例えばシュウ酸ニッケル沈殿物の場合のNi、は、イオン交換体を用いて洗浄液から除去することはできない。この結果、引き続く酸化工程で、この沈殿物のシュウ酸塩残基は、二酸化炭素と水とに酸化され、これにより酸化剤は消費されて役に立たなくなる。それに対して、このシュウ酸塩が溶液中に存在する場合、つまり、沈殿物の形で結合されていない場合、には、このシュウ酸塩は、例えば洗浄液をイオン交換体に通す前に、簡単で低コストの方法で、例えばUV光を用いて、簡単に、破壊する、例えば二酸化炭素と水とに転換する、ことができる。要するに、シュウ酸塩沈殿物により生じる濁りが、例えば測光による、この方法の監視を損なうことが欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このことを前提として、本発明の課題は、上記の欠点が改善された除染方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に記載の2つの段階を有する除染方法により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の段階では、酸化工程、還元工程及びそれに引き続く第1の除染工程を有する少なくとも1つの処理サイクルを実施する。この種の処理サイクルは、部材表面上での酸化物形成の規模及び種類に応じて、1回だけ又は数回実施することができる。酸化工程では、酸化物層中に含まれる三価クロムを六価クロムに変換させるのに十分な酸化力を有する酸化剤を含有する水性洗浄液で、この部材を処理する。既に上述したように、この工程により、部材上に存在する酸化物層の溶解性が高められる。還元工程では、還元剤を含有する溶液でこの部材を処理して、酸化工程からの過剰の酸化剤を還元する。第1の除染工程では、例えばシュウ酸の場合にそうであるような、溶液中に含まれる金属イオン、特にNi(II)、Fe(II)、Co(II)及びMn(II)等の二価の金属イオン、との間で難溶性沈殿物を形成するということがない少なくとも1種の除染酸を、もっぱら又は優勢な割合で、つまり50モル%よりも多くの割合で、含有する水溶液で、この部材を処理する。三価以上の酸との間でも難溶性沈殿物を形成しない除染酸を使用するのが有利であり、これには、問題の除染のために通常使用されている酸、例えばギ酸及びグリオキシル酸、が該当する。この方法によれば、特に難溶性のシュウ酸ニッケル沈殿物の形成が抑制される。除染工程の間に又は終わりに、この溶液は、その中に含まれる、酸化物層及び/又は部材の基材金属に由来する金属イオンの除去のためにイオン交換体に通される。
【0010】
この還元工程及び除染工程は、既に説明したように、一緒に又は同時に実施することもできる。
【0011】
第1の段階で、提案された方法で、難溶性沈殿物の形成の危険を生じることなしに、難溶性沈殿物の形成に関して危険な金属イオン、つまり特にNi(II)、Fe(II)及びCo(II)、のかなりの部分を洗浄液から、ひいては除染すべき部材表面から除去することができる。今や、第2の段階において、特に酸化物層中に存在するFe(III)及びFe(II)を溶出させるために高効率のシュウ酸を問題なく使用できる、第2の除染工程を実施する可能性が提供される。何故ならば、この洗浄液中には、危険な二価のイオン、特にNi(II)、は、もはや存在しないか又は沈殿を引き起こす濃度では存在しないからである。本発明方法の場合、従って2つの異なる除染態様を適用し、その際、第1の態様又は第1の除染工程で難溶性のシュウ酸塩沈殿物を形成するイオンを除去し、次いで、残留するFe(III)、Fe(II)イオン等を、酸化物溶解に関して効率の高いシュウ酸を用いて溶解させることができる。この場合、酸化物層からのFe(II)又はFe(III)の溶解のために第1の段階で添加された「危険でない」除染酸が有効であるか否かは重要でない。何故ならば、これは第2の段階で、シュウ酸を用いて有効な方法で、行なうことができるためである。
【0012】
第2の除染工程では、シュウ酸だけを使用するのが有利である。しかしながら、1種以上の他の除染酸との混合物を使用することも考えられ、この場合、しかしながら、シュウ酸が優勢である、つまり、50モル%以上存在する。
【0013】
従って、要約すれば、本発明方法は、除染の有効性を損なうことなく、難溶性沈殿物の形成を抑制するか又は少なくとも著しく低下させる可能性を提供する。
【0014】
この方法は、第1の段階で、先ず、少なくとも1つの処理サイクルを実施し、引き続く第2の段階で、第2の除染工程を、前記の酸化なしに、部材表面に実施する、つまり、この部材の酸化物層をシュウ酸で処理するように、実施することができる。しかしながら、第2の段階において、酸化物層を、先ず、例えば上記の他の酸化剤で処理し、次いで、初めてこの酸化物層のシュウ酸による溶解を実施することも考えられる。この場合、勿論、同様に、上述のように、更に還元工程が必要である。
【0015】
第1の除染工程では有機酸を使用するのが有利である。何故ならば、この有機成分は、それが炭素、水素及び酸素からなる限り、二酸化炭素と水とに変換され、それにより実質的に残留物なく除去することができる。何故ならば、二酸化炭素は、この溶液からガスとして出て行くからである。この有機成分の除去は、過酸化水素等の酸化剤が添加された溶液にUV光を照射する、自体公知の方法で、行われる。もっぱら炭素、水素及び酸素だけからなる酸を使用するのが有利である。その結果、イオン交換体を用いて、そして、二次廃棄物(廃棄処理しなければならない付加的な交換材料)を生じさせながら、除去しなければならない窒素のような元素は、溶液中には残留しない。
【0016】
多くの国々、例えば日本では、除染処置の過程において、上述の種類のイオン交換体を、錯生成する酸又はこのような酸の錯体で、処理することは、許されない。従って、この場合、金属イオンとの間で錯化合物を形成しない酸を使用することが有利である。
【0017】
第1の除染工程で、最大で2つの炭素原子を有する酸を使用するのが有利である。このような酸の二酸化炭素と水とへの分解は、3つ以上の炭素原子を有する酸の分解よりもより迅速に進行し、その結果、時間、エネルギー及び酸化剤を、最終的にコストを、節約することができる。
【0018】
第1の段階での除染工程のために、HNO3、HBF4及びH2SO4等の無機酸;ギ酸、酢酸、モノヒドロキシ酢酸及びジヒドロキシ酢酸等の錯生成しないモノカルボン酸;EDTA、ニトリロ三酢酸及びタルトロン酸等の錯生成酸;が適している。廃棄物回避の観点で有利なのは、ギ酸及びグリオキシル酸であり、この場合、第1の段階でグリオキシル酸だけを使用するときに、最良の除染係数が達成された。この酸は、金属イオン、特に酸化物層のニッケル、との間で、可溶性の塩を形成する。このような塩を含む溶液をカチオン交換体に通す場合、この金属イオンは留め置かれ、酸アニオンは溶液中に残留し、上述のように、後で、残留物なしに酸化分解することができる。例えば、窒素原子を含有するグリシン又は無機酸の場合には、これは該当しない。
【実施例】
【0019】
この提案された方法の有効性を試すために、加圧水型原子炉の一次循環系からの試料を用いて試験を実施する(表1参照)。この試料を、容器中で1リットルの体積でかつ約90℃の温度を有する洗浄液中に浸漬する。更に、上述のように、1つの除染方法では、酸化物層から溶け出した金属イオンを、イオン交換体を用いて、洗浄液から除去する。簡素化のために、この試験では、イオン交換を実施せず、それぞれの洗浄溶液を処理サイクル(酸化工程及び除染工程)の終わりに廃棄し、新たな洗浄液を使用した。次に記載する全ての方法では、酸性領域、約pH値2、で作業する。
【0020】
表1〜3による試料を用いて、それぞれ3つの処理サイクルを行なう3つの異なる方法態様を実施する。各処理サイクルは、1つの酸化工程及び1つの除染工程を有する。酸化物層の酸化のために、この試料を含む容器をHMnO4溶液(濃度=240ppm)で満たす。作用時間は、それぞれ16時間である。最初の2つのサイクルでは、除染工程のために、シュウ酸は使用せず、ギ酸及び/又はグリオキシル酸を使用する(表1〜3を参照)。それぞれの酸化工程の後で、過剰の酸化剤(HMnO4)を、相応する量の還元剤の添加により中和し、引き続き、それぞれ除染工程で使用された酸を添加する。除染工程での酸の作用時間は、それぞれ5時間である。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
この試料について、それぞれ最初のCo60−ガンマ放射能及び除染工程の後に存在するCo60ガンマ放射能(ベクレル即ちBq)を測定し、この全体の除染係数(DF)、つまり試料の最初の放射能の、サイクルの後に存在する放射能に対する、比率を決定する。この結果は、表4にまとめられている。
【0025】
【表4】

【0026】
この結果の評価では、一般に約10の除染係数で既に十分であることを考慮しなければならない。このような係数は、第2サイクルの後に既に達成される。更に、グリオキシル酸が、除染又は酸化物層の溶解のために、特にこの第1の段階での複数の、有利には全ての、除染サイクルにおいてこの酸を用いて作用する場合に、最も有効であることが確認される。
【0027】
上記の、本発明による方法に従った試験では、有機酸の例として、グリオキシル酸及びギ酸を使用した。しかしながら、この第1の段階の除染工程のためには、無機酸も適している。この有効性を証明するために、上記の試料に相当するサイズの、加圧水型原子炉の一次循環系からの試料を、酸化工程及び除染工程からなる1つのサイクルにかける試験を実施する。600mlの洗浄液の体積及び約95℃の温度で、先ず、試料上に存在する酸化物層の酸化を、HMnO4(300ppm)で、20時間の期間で実施する。この段階の後に存在する残りの酸化剤を、過酸化水素及び硝酸からなる混合物で中和するが、その際、前者は酸化工程でHMnO4から形成される軟マンガン鉱(MnO2)を溶解させるために必要である。引き続き、5時間の除染を行い、この場合に、既に溶液中に含まれる硝酸(HNO3)が、除染酸として、つまり、試料上に存在する酸化物層の溶解のために、作用する。この除染工程の後に、試料のガンマ放射能は、2.18E+4Bqの値に低下する。この試料の初めの放射能6.88E+4Bqと比較して、これは、3.16の除染係数を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧水型原子炉の一次循環系の金属部材の酸化物層を有する表面を化学的に除染する方法であって、2つの段階に分けられていて、次のように構成されている方法。
− 第1の段階では、酸化工程、還元工程及びそれに引き続く第1の除染工程を有する少なくとも1つの処理サイクルを実施し、その際、
−− 前記酸化工程では、前記部材を、前記酸化物層中に含まれる三価クロムを六価クロムに変換させる酸化剤を含有する水溶液で、処理し、
−− 前記還元工程では、前記部材を、前記酸化工程からの過剰量の酸化剤を還元する還元剤を含有する水溶液で、処理し、
−− 前記第1の除染工程では、前記部材を、前記水溶液中に含まれる金属イオン、特に二価の金属イオン、との間で難溶性沈殿物を形成しない少なくとも1種の除染酸を、もっぱら又は優勢な割合で、含有する水溶液で、処理し、そして
−− 前記溶液を、前記酸化物層及び/又は前記部材の基材金属に由来する、前記溶液中に含まれる金属イオンの除去のために、イオン交換体に通し、
− 第2の段階では、前記部材を、除染酸としてシュウ酸をもっぱら又は優勢な割合で含有する水溶液で、処理する第2の除染工程を有する少なくとも1回の処理サイクルを実施する。
【請求項2】
前記第2の段階の処理サイクルが前記第2の除染工程の前に行われる酸化工程を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の除染工程において有機酸が使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
炭素、酸素及び水素だけからなる除染酸が使用されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の除染工程で金属イオンとの間で錯化合物を生成しない有機酸が使用されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の除染工程において、分子中に多くても2個の炭素原子を有する、少なくとも1種の、除染酸が使用されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ギ酸及び/又はグリオキシル酸の使用を特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
それぞれの第1の除染工程においてグリオキシル酸が使用されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
酸化工程の終了時に洗浄液中に存在する酸化剤の残りを、前記溶液に添加された還元剤により、中和し、こうして処理された洗浄液を引き続き除染工程で使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
除染工程で使用された除染酸を還元剤として利用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2013−513098(P2013−513098A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541479(P2012−541479)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068602
【国際公開番号】WO2011/067271
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(501315289)アレヴァ エンペー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (61)