説明

袋体

【課題】本発明の課題は、粉漏れ性、熱シール加工性、シール強度などに優れる袋体を提供する。
【解決手段】第1層の熱可塑性合成繊維層、第2層の極細繊維層、第3層が第1層の構成繊維の融点より30℃以上低融点である熱可塑性合成繊維を含む層を積層し、熱圧着で一体化した積層不織布を、さらに前記第3層を内側にして重ね合わせ、袋体になる周辺を熱シールして形成した袋体であって、該袋体を形成する前記積層不織布の通気性が1〜100cc/cm2/sec、最大開孔径が50μm以下、粉漏れ率が10%以下、破裂強度が100kPa以上、前記第3層のシール強度が10N/25mm以上である袋体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体に関し、特に粉末、粒状物などの包装に用いることができる、粉漏れ防止性、熱シール性に優れた袋体、該粒状物を充填、密閉した袋体、および該袋体に用いる積層不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカゲルや酸化チタンなどの除湿、消臭効果のある粒子の包装シートとして、熱可塑性合成繊維不織布が広く使用されている。しかし、従来の不織布では、繊維間隙が大きすぎるため、内容物の細かい粒子が漏れてしまうという問題があった。例えば、文献1には、通気性及び透光性を有する2枚のシートを重ね合わせ、複数個所を一体的に接合して吸収室を設け、この吸収室に消臭剤と除湿剤を充填した、敷き布団等などに用いられる消臭除湿シートが提案されている。しかし、充填する物質の粒子が細かい場合や、粒子が砕かれ易い場合には、粉漏れが発生するなどの問題がある。このため、充填する除湿剤、消臭剤が粒子径が大きいものに制限され、また粒子が砕けやすい炭などの場合は充填できないなどの問題があった。
【特許文献1】特開2000−202011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上記問題を解決し、粉末や細かい粒子などを充填包装することができる袋体、粒剤入り袋体、および該袋体に用いる積層不織布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、熱可塑性繊維、及び極細繊維の繊維の融点、繊維径、素材、積層方法などを選定することにより、前記課題を達成できることを見出し、本発明に到達した。本願で特許請求する発明は、以下の通りである。
(1)第1層の熱可塑性合成繊維層、第2層の極細繊維層、第3層が第1層の構成繊維の融点より30℃以上低融点である熱可塑性合成繊維を含む層を積層し、熱圧着で一体化した積層不織布を、さらに前記第3層を内側にして重ね合わせ、袋体になる周辺を熱シールして形成した袋体であって、該袋体を形成する前記積層不織布の通気性が1〜100cc/cm2/sec、最大開孔径が50μm以下、粉漏れ率が10%以下、破裂強度が100kPa以上、前記第3層のシール強度が10N/25mm以上であることを特徴とする袋体。
(2)前記第3層を構成する繊維の融点が、第1層を構成する繊維の融点よりも、50〜150℃の範囲で低いことを特徴とする(1)に記載の袋体。
(3)前記第3層の熱可塑性繊維が鞘芯型複合繊維であり、芯部が高融点成分で、鞘部の成分が芯部より30℃以上低融点であることを特徴とする(1)または(2)に記載の袋体。
(4)前記第3層の熱可塑性繊維が芳香族ポリエステル系共重合体からなることを特徴とする(1)または(2)に記載の袋体。
(5)請求項1ないし4のいずれかに記載の袋体に、粉末状又は顆粒状の粒剤を充填し、密封してなることを特徴とする粒剤入り袋体。
(6)袋体が連包状であり、各連包単位で、粉末状又は顆粒状の粒剤を充填し、密封してなることを特徴とする(5)に記載の粒剤入り袋体。
(7)前記粒剤が、コーヒー粉末、茶葉、シリカゲル、天然ゼオライト、合成ゼオライト、活性炭、乾燥剤、消臭剤、発熱組成物およびダシ粉末から選ばれた物であることを特徴とする(5)または(6)に記載の粒剤入り袋体。
(8)(1)に記載の袋体に用いる積層不織布。
【発明の効果】
【0005】
本発明の袋体によれば、第1層および第3層の熱可塑性繊維と第2層の極細繊維とを積層することで、太い繊維間隙層に極細繊維層が被覆及び/または混合繊維化されるように重なり、構成繊維間隙がきわめて小さい積層不織布となるため、細かい粒子の漏れを防ぐことができる。さらに、積層する熱可塑性繊維の第1層と第3層に融点差を設けることと、これらの間に極細繊維層を介在させることの相乗効果で、部分熱圧着が良好に行われ、層間の接合がより強固になる。さらに、袋体を形成するための第3層面同志の熱シール加工が、広い温度範囲において可能になるため、安定したシール強度が得られる。従って、粉末、粒状の内容物を充填した袋体は、粉漏れが少なく、密封性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の袋体を形成する不織布は、第1層が高融点の熱可塑性繊維(S)、第2層が極細繊維(M)、第3層が第1層繊維の融点より30℃以上低融点の熱可塑性繊維(W)を積層し、熱圧着で一体化したS/M/Wの構造を有する積層不織布である。
特に、第2層の極細繊維を介在させる積層構造にすることで、第一に、繊維間隙を小さくでき、第二に、部分熱圧着により、層間の接合が強固にでき、第三に、第1層と第3層の融点差を設け、且つ、極細繊維層を介在させることで、熱シール強度及び温度範囲が広くできるなどの特徴が得られる。
【0007】
第一の特徴である小さい繊維間隙は、熱可塑性繊維の比較的大きい繊維間隙層に、極細繊維が被覆及び/または混合繊維化されて積層するためである。さらに、積層を多層化すると、さらに繊維間隙が小さくなり、粉漏れし難い構造となる。
第二の特徴の部分熱圧着性は、軟化温度が低い極細繊維を介在させることで、接合温度範囲が広くできるため、接合が強固になり、層間の剥離強度が高くなる。
第三の特徴の熱シール性は、第1層と第3層の融点差を設け、さらに、軟化温度の範囲が広く、低い極細繊維を介在させた積層構成であるため、低融点繊維面の接合が強固にでき、高融点繊維面がシール部と接触するため、シール部に融着しないで、広い温度範囲で安定した熱シール加工ができる。
【0008】
本発明に用いる第1層の高融点の熱可塑性合成繊維層は、通常、繊維径が10〜30μmの太い繊維から成り、強度、通気性に優れ、磨耗強度が大きいことが好ましい。このような構成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド繊維などのポリアミド系繊維などの合成繊維があげられる。
【0009】
本発明に用いる第3層の熱可塑性合成繊維層は、第1層の繊維より30℃以上低融点の繊維からなり、袋構造体の熱シール面となる。繊維径は10〜30μmの太い繊維が好ましい。構成繊維としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレンなどのオレフイン系繊維、ポリエチレンテレフタレートにフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールの1種又は2種以上の化合物を共重合した芳香族ポリエステル共重合体、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系繊維、共重合ポリアミド繊維などの合成繊維が用いられる。さらに、芯鞘構造、サイドバイサイドなどの2成分からなる複合繊維、例えば、芯が高融点で鞘が低融点の複合繊維で、具体的には、芯がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミドなどの高融点繊維、鞘が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレン、脂肪族ポリエステルなどの低融点繊維が好ましい。
【0010】
本発明の積層不織布は、第1層と第3層の繊維に融点差を有することであるが、第3層を構成する繊維の融点差は、好ましくは、50〜150℃、さらに50〜130℃の範囲で第1層より低温であることが好ましい。その結果、部分熱圧着時のロール温度範囲が広く設定できる。熱圧着ロール温度の上下差が150℃を超える場合は、高融点側のロール温度の影響を受けて低融点繊維の劣化が生じ易くなる。一方、第1層と第3層との融点差がない場合は、熱圧着温度範囲が狭くなり、ロール温度の条件により強度、摩擦毛羽強度が影響を受け易くなる。
【0011】
本発明の第2層の極細繊維の繊維径は好ましくは7μm以下、より好ましくは1〜5μmであり、繊維間隙、及び最大開孔径を小さくし、粉漏れ性を少なくする役目を有する。特に太い繊維間隙に、極細繊維が被覆するように積層されることにより、少ない極細繊維比率で繊維間隙を小さくできる。繊維径が7μmを超えると繊維間隙の被覆効果が低下する。
極細繊維の目付けは、好ましくは1g/m2以上、より好ましくは2〜15g/m2、さらに好ましくは3〜10g/m2である。
【0012】
第1層および第3層の熱可塑性繊維に対する第2層の極細繊維の比率は、通常、5〜50%、好ましくは10〜40%である。極細繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系繊維、複合繊維などの多成分繊維などの合成繊維が用いられる。
【0013】
本発明の積層不織布を熱圧着で一体化するとは、例えば公知のエンボスロールと平滑ロール間で加熱、圧着して接合することである。加熱温度は、繊維の軟化温度以上の温度から融点以下の温度範囲である。しかし、低融点繊維の熱劣化を考慮した場合、上下ロールの温度差を150℃以下、好ましくは130℃以下が好ましい。熱圧着の圧力は10〜1000kPa/cm、好ましくは50〜700kPaである。また圧着面積率は、5〜30%、好ましくは7〜25%である。圧着面積率が5%未満では、接合面積が少なくなり、磨耗強度が低下する。一方、30%超えると、磨耗強度が高くなるが、風合いがペーパーライクとなる。
【0014】
本発明の袋体の製袋加工は、前記積層不織布の第3層をシール面として、公知のシール法によりシールすることによって行われる。例えば、3包シール機、4包シール機などの熱シール法、超音波シール機などの超音波シール法などで行うことができる。さらに、2個以上の多数個連続の連包袋状に製袋加工することもできる。
【0015】
本発明の袋体は、例えば、袋内に充填した充填物が落下や、重量物が載った時に破袋しないため、高いシール強度が必要である。従って、袋体のシール強度は、10N/25mm以上、好ましくは15N/25mm以上、より好ましくは20〜50N/25mmである。剥離強度が10N未満では、シール部分が剥離し易くなり、内容物が外部に漏れるなどの問題が生じる。
【0016】
さらに製袋加工を安定に行うためには、シール温度範囲が広いことが必要である。例えば、温度範囲が50℃以上、150℃以下が好ましい。これは、シール機のシール部の温度が開始時から少しずつ上昇し、さらに環境温度により変化するなど、一定温度にコントロールすることが難しいからである。温度範囲が50℃未満の狭い範囲の設定が必要な場合は、環境温度、ヒーター部の蓄熱などの影響でシール強度が変化するなどの問題が生じる。一方、150℃を超える温度範囲では、低融点繊維の熱劣化などで物性低下などを生じる。
【0017】
本発明の積層不織布のシール温度範囲が広くとることができ、且つシール強度が高く安定していることは、第1層と第3層などの繊維の層間で融点差を30℃以上設けているため、低融点層の繊維が軟化または融解しても、高融点繊維が所定の繊維形状を維持しているためである。
【0018】
本発明の積層不織布の目付けは、目的とする強度、通気性から15〜120g/m2、好ましくは、20〜100g/m2である。目付けが15g/m2未満では、強度が低下する。一方、120g/m2越えると、強度が大きくなるが、風合い、通気性が低下する。
【0019】
本発明の袋体の積層不織布の通気性は、袋体の中に充填する消臭剤、除湿剤等の粉漏れを生じない程度に、その効果を十分に発揮するため、1〜100cc/cm2/sec、好ましくは、5〜90cc/cm2/secである。通気性が1cc/cm2/sec未満では、空気の流通が少なくなり、消臭剤、除湿剤の効果が低下する。一方、100cc/cm2/sec超えると空気の流通は十分であるが粉漏れし易くなる。
【0020】
本発明の積層不織布の最大開孔径は、50μm以下、好ましくは1〜40μm、より好ましくは3〜30μmである。最大開孔径が50μmを超えると、繊維間隙が大きいために粉漏れし易くなり、特に、粒状のものが破壊された場合に粉漏れしやすくなる。
【0021】
本発明の積層不織布の破裂強度は100kPa以上、好ましくは120〜1000kPaである。
これは、本発明の積層不織布を用いて熱シールなどで袋体にして、内部に粒径の消臭剤、除湿剤などを充填して、落下した場合、人が乗った場合など、破れないために必要である。
【0022】
本発明の積層不織布の引張強力は50N/5cm以上、好ましくは60N/5cm以上である。これは、本発明の積層不織布を用いて袋状物にし、内容物を充填しても破袋しないため必要である。引張強力が50N/5cm未満では、強度が不足して、破袋し易くなる。
【0023】
本発明の袋体(積層不織布)の粉漏れ率は10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。粉漏れ率は、JIS規格の標準ダストの7種を約10g採取し、重量を測定(W0)、振るい器を用いて、測定試料の上に定量したダストを載せ、セットした後、10分間振動して、振るい器の下の測定試料を通過したダスト重量(W1)を測定して、W1/W0×100 の式から求める。
【0024】
本発明の袋体に充填する内容物は、粉末形状、粒形状シート状物などの固形物であれば特に制限ないが、空気中の水分を吸収して、潮解、液状物になるものは除く。例えば、シルカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、天然ゼオライト、合成ゼオライトなどの水分を吸着して液体にならない乾燥剤、活性炭、ヤシガラ活性炭、備長炭、酸化亜鉛、酸化チタン、多孔質紛体等のガス吸着性、ガス分解性などの粉末、粒状物、鉄粉と塩などの空気中の酸素と反応する発熱組成物、コーヒー粉末、茶葉、鰹節,煮干などのだし粉末、羽毛などがあげられる。
【0025】
本発明における袋体は、内容物の機能回復の処理で数回繰り返し使用できることができる。例えば、敷き布団の下に本発明の除湿・消臭剤袋体を用いた場合、人体から発生した汗、臭いなどを袋体内部の除湿剤、消臭剤などが吸収する。臭い、水分などを十分吸収した袋体を天日で乾燥することで、元の状態の本発明の除湿・消臭剤袋体に回復する。従って、本発明の除湿・消臭剤袋体の表面層は繰り返し使用に耐える摩擦強度が必要である。本発明の袋体は、耐磨耗性が3級以上あることが好ましい。耐磨耗性が3級未満では、繰り返し使用で毛羽立ちが発生しやすくなる。
【実施例】
【0026】
本発明を実施例に基づいて説明する。
測定方法は以下のとおりである。
(1)目付(g/m2):縦20cm×横25cmの試料を3カ所切り取り、重量を測定し、その平均値を単位当たりの質量に換算して求める。(JIS-L-1906)
(2)平均繊維径(μm):顕微鏡で500倍の拡大写真を取り、10本の平均値で求める。
(3)通気性:JIS-L-1906フラジュール法に準拠。
(4)粉漏れ率(%):JIS-Z-8901試験用紛体7種ダストを約10g取り、重量W1を正確に測定し、25cm角の試料を切り取り、振動機に取り付け、10分間振動し、試料の通過したダスト重量W2を測定し、下記の式から求める。
粉漏れ率(wt%) =W2/W1 ×100
(5)破裂強度(kPa):JIS-L-1906に準じ、ミューレン型試験機で3ヶ所以上測定し、その平均値で示した。
(6)最大開孔径(μm):バブルポイント法 (JIS-K-3832)に準じる。
試料:直径40mmの円形
(1)試料を液体で満たし、毛細管現象を用いて、試料の全細孔に液体が入っている状態にする。
(2)この試料下面から次第に空気圧をかけていき、気体圧力が毛細管内の液体表面張力に打ち勝った時、気泡がでてくる。
(3)この時最初に気泡がでるのは最も大きな細孔からであり、その時の気体圧力を測定することで、最大開孔径を算出することができる。
(7)表面磨耗強度(級):学振型摩耗試験機を用いて、摩擦側に測定試料を取り付け、荷重500g、100回摩擦した状態の観察状態で判定する。
5級:繊維の毛羽立ちがない。 4級:繊維の毛羽立ちが少しあるが目立たない。
3級:繊維の小さい毛羽立ちがあるが目立たない
2級:繊維の毛羽立ちが全体にあり目立つ。1級:繊維の毛羽立ちが甚だしい。
(8)引張強力(N/5cm):定長引張試験機を用い、試料幅5cm長さ30cmを切り取り、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minで、引張強度をタテ、ヨコ各々3カ所測定し、最大強度(タテ+ヨコ)/2の平均値で示す。
(9)シール強度(N):定長引張試験機を用い、試料幅25mm長さ200mmを切り取り、熱シール部分を約50mm上下方向に剥離し、180度剥離するように各々取り付け、つかみ間隔100mm、引張速度10cm/minで、剥離強度をタテ、ヨコ各々3カ所測定し最大強度の平均値で示す。
但し、シール温度150℃、時間1秒間、圧力5500kPa、シール面積7mm×25mm
【0027】
[実施例1〜2]
本発明の積層不織布の第3層となる熱可塑繊維ウェブは、スパンボンド用の2成分紡糸口金から、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘が高密度ポリエチレンからなる芯鞘構造の平均繊径16μm、目付け量を変えた複合繊維ウエブを作成し、第2層のポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/c 0.50)を用い、変化させて捕集ネット上に熱可塑性繊維ウェブとして捕集し、メルトブロー用噴射口金から、紡糸温度300℃、加熱エアは320℃で1000Nm/hrで、平均繊径2μm、目付け量を変えた極細繊維ウエブを吐出して積層し、その上に第1層の一般的なポリエチレンテレフタレートをスパンボンド用紡糸口金から、紡糸温度300℃で平均繊径14μm、目付け量を変えた熱可塑性繊維ウェブを捕集ネット上に積層繊維ウエブとして積層し、これを圧着面積率が,12、25%エンボスロールで、腺圧350N/cm、上下温度を220℃/110℃で熱圧着して実施例1〜2の袋体を得た。その特性を表1に記載した。
【0028】
[実施例3〜4]
本発明の積層不織布の第3層となる熱可塑繊維ウェブは、スパンボンド用紡糸口金から、芳香族ポリエステル共重合体(融点165℃)の平均繊径15μm、目付け量を変えた繊維ウエブを作成し、第2層のポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/c 0.50)を用い、メルトブロー用噴射口金から、紡糸温度300℃、加熱エアは320℃で1000Nm/hrで、平均繊径2μm、目付け量を変えた極細繊維ウエブを吐出して積層し、その上に第1層の一般的なポリエチレンテレフタレートをスパンボンド用紡糸口金から、紡糸温度300℃で平均繊径14μm、目付け量を変えた熱可塑性繊維ウェブを捕集ネット上に積層繊維ウエブとして積層し、さらに圧着面積率が,12、25%エンボスロール、腺圧350N/cm、上下温度を230℃/145℃で熱圧着して実施例3〜4の袋体を得た。その特性を表1に記載した。
【0029】
[実施例5]
本発明の積層不織布の第3層が、スパンボンド用の2成分紡糸口金から、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘が芳香族ポリエステル共重合体(融点165℃)の芯鞘構造の平均繊径17μm、目付け量を変えた複合繊維ウエブを作成し、第2層のポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/c 0.50)を用い、メルトブロー用噴射口金から、紡糸温度300℃、加熱エアは320℃で1000Nm/hrで、平均繊径2μm、目付け量を変えた極細繊維ウエブを吐出して積層し、その上に第1層の一般的なポリエチレンテレフタレートをスパンボンド用紡糸口金から、紡糸温度300℃で平均繊径14μm、目付け量を変えた熱可塑性繊維ウェブを捕集ネット上に積層繊維ウエブとして積層し、さらに圧着面積率が,25%エンボスロール、腺圧350N/cm、上下温度を230℃/145℃で熱圧着して実施例5の袋体を得た。その特性を表1に記載した。
【0030】
[比較例1]
一般的なポリエチレンテレフタレートを用い、実施例1と同じメルトブロー法で、紡糸温度300度で平均化繊維径14μm、目付け50g/m2の熱可塑性繊維ウェブを捕集ネット上に作成し、圧着面積率が12%エンボスロールで、腺圧350N/cm、上下温度を230℃/235℃で熱圧着して不織布を得た。
[比較例2]
熱可塑繊維ウェブとしては、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘が高密度ポリエチレンからなる芯鞘構造の平均繊径16μm、目付け量を変えた複合繊維ウエブを、捕集ネット上に作成し、圧着面積率が25%エンボスロールで、腺圧350N/cm、上下温度を120℃/110℃で熱圧着して不織布を得た。
本発明の実施例1〜5の積層不織布は、粉漏れ性、強度、熱シール強度、通気性などに優れていた。一方、比較例1は、粉漏れ性が大きく、熱シール加工し難い不織布であった。また比較例2も、粉漏れ性が大きく、且つ、熱シールができるがシール部に低融点繊維が融着するなどの問題があった。
【0031】
【表1】

【0032】
[実施例6〜8]
実施例1〜2と同様の繊維構成で目付け20、30、50g/m2の熱シール温度違いのシール強度を測定した。
[実施例9〜11]
実施例5と同様の繊維構成で目付け20、30、50g/m2の熱シール温度違いのシール強度を測定した。
【0033】
[比較例3〜5]
比較例2の繊維構成で目付け20、30、50g/m2の熱シール温度違いのシール強度を測定した。表2の実施例6〜11は、熱シール温度範囲が広くでき、繊維目付けが変化しても安定して加工でき、且つシール強度の優れた結果が得られた。
一方、比較例3の低目付けの場合は、熱シール部に融着し易くなり、安定した製袋加工がし難くなる。比較例4〜5では、製袋加工できるがシール部に繊維融着物が付着した。
【0034】
【表2】

【0035】
[実施例12]
実施例2の幅50cm、長さ80cmの積層不織布2枚を用い、幅方向に10等分する間隔、長さ方向のピッチ8cm間隔、シール幅1cm、加熱165℃、接触時間1秒、圧力5000kPaの条件で製袋加工した。その時に袋内に、顆粒処理した粒径0.5〜3mmのシリカゲルを95%、顆粒処理した粒径が200〜500μmのヤシガラ活性炭を5%の混合粒子を、袋体1個当たり約4g入れた連続包装の本発明の除湿剤又は/消臭剤の袋体を作成した。得られた、袋体のシール強度を測定したら、35N/25mmあり、敷き布団とシーツの間に本発明の袋体を使用した。10回繰り返し使用した結果は、破袋せず、表面の毛羽立ち、粉漏れもなく、快適に使用できた。
【0036】
[実施例13]
実施例5の幅50cm長さ80cmの積層不織布2枚を用い、幅方向に10等分する間隔、長さ方向のピッチ8cm間隔、シール幅1cm、加熱190℃、接触時間1.5秒、圧力55000kPaの条件で製袋加工した。その時に袋内に、粒径が0.5〜3mmのシリカゲルを90%、顆粒処理した粒径が200〜500μmのヤシガラ活性炭を5%、銀を担持させた合成ゼオライトの粒径が100〜500μm5%の混合した粒子を約4g入れた連続包装の本発明の除湿剤又は/消臭剤の袋体を作成した。
得られた、袋体のシール強度を測定したら、48N/25mmあり、敷き布団とシーツの間に本発明の袋体を使用した。10回繰り返し使用した結果は、破袋せず、表面の毛羽立ち、粉漏れもなく、快適に使用できた。
【0037】
[実施例14]
実施例2の積層不織布を幅6cmのスリット品を公知の三方シール機を用い、シール幅1cm、温度165℃、接触時間1.3秒、圧力5000kPaの製袋加工条件で、幅6cm、長さ26cmの袋体に粒径が0.5〜3mmのシリカゲルを150g充填して、靴用乾燥材を作り婦人用ブーツの乾燥に使用した。破袋、粉漏れ、表面毛羽などの問題がなく使用できた。
【0038】
[実施例15]
四面体形状の立体成形方式のヒートシール機を用いて、実施例5の積層不織布を幅150mmのテープ状にスリットしてから、760dtexのポリプロピレン糸の撚り糸と、タッグを温度180℃で接着し、150mmを折り畳み、端部を幅1mm、温度185℃条件で熱シールし、まず筒状にしてから70mmの間隔で筒の底部を熱シールし、袋形状としてから、袋の中にレギラーコーヒ粉末を10g入れ、さらに70mm長さ毎に、底部に直交するよう直角方向に袋開口部を熱シールして1辺が70mmの四面体形状のコーヒーパックを得た。
本発明のコーヒーパックいれた抽出カップに、約200ccのお湯を注ぎ、約30秒間後に取り出した。コーヒーを飲んだところ、香りのある、美味しいコーヒーを飲むことができた。カップの底部に粉末が殆ど残らなかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の袋体は、粉漏れ性、熱シール加工性、シール強度などに優れ、粉末、粒状物などの内容物の包装材として広い用途に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層の熱可塑性合成繊維層、第2層の極細繊維層、第3層が第1層の構成繊維の融点より30℃以上低融点である熱可塑性合成繊維を含む層を積層し、熱圧着で一体化した積層不織布を、さらに前記第3層を内側にして重ね合わせ、袋体になる周辺を熱シールして形成した袋体であって、該袋体を形成する前記積層不織布の通気性が1〜100cc/cm2/sec、最大開孔径が50μm以下、粉漏れ率が10%以下、破裂強度が100kPa以上、前記第3層のシール強度が10N/25mm以上であることを特徴とする袋体。
【請求項2】
前記第3層を構成する繊維の融点が、第1層を構成する繊維の融点よりも、50〜150℃の範囲で低いことを特徴とする請求項1に記載の袋体。
【請求項3】
前記第3層の熱可塑性繊維が鞘芯型複合繊維であり、芯部が高融点成分で、鞘部の成分が芯部より30℃以上低融点であることを特徴とする請求項1または2に記載の袋体。
【請求項4】
前記第3層の熱可塑性繊維が芳香族ポリエステル系共重合体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の袋体。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の袋体に、粉末状又は顆粒状の粒剤を充填し、密封してなることを特徴とする粒剤入り袋体。
【請求項6】
袋体が連包状であり、各連包単位で、粉末状又は顆粒状の粒剤を充填し、密封してなることを特徴とする請求項5に記載の粒剤入り袋体。
【請求項7】
前記粒剤が、コーヒー粉末、茶葉、シリカゲル、天然ゼオライト、合成ゼオライト、活性炭、乾燥剤、消臭剤、発熱組成物およびダシ粉末から選ばれた物であることを特徴とする請求項5または6に記載の粒剤入り袋体。
【請求項8】
請求項1に記載の袋体に用いる積層不織布。



【公開番号】特開2007−197028(P2007−197028A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15881(P2006−15881)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】