説明

袋口結束用テープ付きフィルム袋

【課題】 袋口結束用テープの表面に必要事項を記入する場合、筆記具を使用する必要がなく、表面の掻き削り用インキ層を先が尖った硬質物(例えば、竹串、箸、楊枝、人の爪先、フォーク、ヘアピン等)によって掻き削って文字を書くことができる袋口結束用テープ付きフィルム袋の提供。
【解決手段】 プラスチックフィルム袋1の外面に袋口結束用テープ2が添着され、袋口結束用テープは、テープ本体20の裏面に易剥離性を有する粘着層21が形成され、かつ表面に掻き削り用インキ層22が形成され、テープ本体の表面がグラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面20aに形成され、掻き削り用インキ層が非処理表面に対して接着相性が劣る処理表面用インキ22aで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム袋(以下、「フィルム袋」と略称する)の口部を結束するための結束用テープを、そのフィルム袋の外面に添着させている袋口結束用テープ付きフィルム袋に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や飲食店等において食品を小分けしたり、調理済み食品を冷蔵保存や冷凍保存したりする場合、また、外出先や旅行先で使用するものを予め小分けしておくような場合、その物をフィルム袋に収容することが一般に行われている。
その際、フィルム袋の口部を結んだり、輪ゴムや紐等で結束したりして密封することになるが、従来、このような口部を結束するための袋口結束用テープを、そのフィルム袋の外面に添着させている袋口結束用テープ付きフィルム袋が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来の袋口結束用テープ付きフィルム袋は、テープ本体の裏面に易剥離性を有する粘着層が形成され、かつテープ本体の表面に、油性インクによる特殊な筆記具は勿論、鉛筆やボールペン等の簡易な筆記具で必要事項(収容品名や収容日時や注意書き等)を記入することができるように形成されたものであった。
【0004】
従って、袋口結束用テープは、これをフィルム袋から剥がす際に、裏面に形成した易剥離性を有する粘着層によって容易に剥がすことができるし、特に、表面に鉛筆やボールペン等の筆記具を使用して必要事項を記入することができるという利点がある。
【0005】
しかしながら、従来では、袋口結束用テープの表面に必要事項を記入する場合、必ず鉛筆やボールペン等の筆記具が必要になるため、筆記具がない場合には、袋口結束用テープの表面に必要事項を記入することができず、本来の機能を発揮できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−67111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、袋口結束用テープの表面に必要事項を記入する場合、筆記具を使用する必要がなく、袋口結束用テープの表面に形成された掻き削り用インキ層を先が尖った硬質物(例えば、竹串、箸、楊枝、人の爪先、フォーク、ヘアピン等)によって掻き削ることで、便利かつ容易に文字等を描くことができるようにした袋口結束用テープ付きフィルム袋を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載の袋口結束用テープ付きフィルム袋は、
フィルム袋(1)の外面に袋口結束用テープ(2)が添着されている袋口結束用テープ付きフィルム袋であって、
前記袋口結束用テープ(2)は、プラスチックフィルムにより形成されたテープ本体(20)の裏面に易剥離性を有する粘着層(21)が形成され、かつテープ本体(20)の表面に掻き削り用インキ層(22)が形成されており、
前記テープ本体(20)の表面がグラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面(20a)に形成され、
前記掻き削り用インキ層(22)が前記非処理表面(20a)に対して接着相性が劣る処理表面用インキ(22a)で形成されている構成とした。
【0009】
また、本発明の請求項2記載の袋口結束用テープ付きフィルム袋は、
フィルム袋(1)の外面に袋口結束用テープ(2)が添着されている袋口結束用テープ付きフィルム袋であって、
前記袋口結束用テープ(2)は、プラスチックフィルムにより形成されたテープ本体(20)の裏面に易剥離性を有する粘着層(21)が形成され、かつテープ本体(20)の表面に中間インキ層(23)を介して掻き削り用インキ層(22)が形成されており、
前記テープ本体(20)の表面がグラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面(20a)に形成され、
前記中間インキ層(23)が前記非処理表面(20a)に対して接着相性が優れた非処理表面用インキ(23a)で形成され、
前記インキ掻き削り層(22)が前記非処理表面用インキ(23a)に対して接着相性が劣る処理表面用インキ(22a)で形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の袋口結束用テープ付きフィルム袋は、袋口結束用テープのテープ本体の裏面に易剥離性を有する粘着層を形成させているので接着力が弱く、このため袋口結束用テープをフィルム袋の外面に添着させておいても必要なときに簡単に剥がして使用することができるし、使用中に手に付着することもない。
【0011】
従って、例えば、旅行先や外出先で使用するものを予め小分けしておくような場合や食品を小分けしたり、調理済み食品を冷蔵保存や冷凍保存したりする場合に、フィルム袋の外面から剥がした袋口結束用テープを用いてフィルム袋の口部に巻き付ければ、簡単にフィルム袋の口部を縛って封じることができる。
【0012】
特に、テープ本体の表面に掻き削り用インキ層が形成されているため、この掻き削り用インキ層を、例えば、竹串、箸、楊枝、人の爪先、フォーク、ヘアピン等の先が尖った硬質物によって掻き削ることで、容易に文字等を描くことができ、便利に使用することができる。
【0013】
従来、プラスチックフィルムにグラビア印刷を施す場合、その印刷に使用するインキがフィルム表面に確実に接着するように、フィルム表面に機械的処理、化学的処理、物理化学的処理を施してフィルム表面に微細な凹凸面を形成させると共に、インキについても前記処理済み表面に対して接着相性の優れたインキ(処理表面用インキ)を使用することが広く行われている。
【0014】
一方、プラスチックフィルムに微細な凹凸面を形成させない非処理表面にグラビア印刷を施す場合には、その印刷に使用するインキがフィルム表面に確実に接着するように、非処理表面に対して接着相性の優れたインキ(非処理表面用インキ)を使用する。
【0015】
従って、本発明の請求項1では、テープ本体(20)の表面を非処理表面(20a)に形成させ、この非処理表面(20a)に対して接着相性が劣る処理表面用インキ(22a)を用いて掻き削り用インキ層(22)を形成させたので、処理表面用インキ(22a)の非処理表面(20a)に対する接着力が弱くなり、この処理表面用インキ(22a)を用いた掻き削り用インキ層(22)を容易に掻き削ることができる。
【0016】
又、本発明の請求項2では、テープ本体(20)の表面を非処理表面(20a)に形成させ、この非処理表面(20a)に対して接着相性が優れた非処理表面用インキ(23a)を用いて中間インキ層(23)を形成させ、さらに、この中間インキ層(23)の上に、この中間インキ層(23)を形成する非処理表面用インキ(23a)に対して接着相性が劣る処理表面用インキ(22a)を用いて掻き削り用インキ層(22)を形成させたので、処理表面用インキ(22a)の非処理表面用インキ(23a)に対する接着力が弱くなり、この処理表面用インキ(22a)を用いた掻き削り用インキ層(22)を容易に掻き削ることができる。
【0017】
尚、テープ本体の表面を処理表面に形成させ、この処理表面に対して接着相性が劣る非処理表面用インキを用いて掻き削り用インキ層を形成させることも可能である。
或いは、テープ本体の表面を処理表面に形成させ、この処理表面に対して接着相性が優れた処理表面用インキを用いて中間インキ層を形成させ、さらに、この中間インキ層の上に、この中間インキ層を形成する処理表面用インキに対して接着相性が劣る非処理表面用インキを用いて掻き削り用インキ層を形成させることも可能である。
【0018】
ただ、本発明の請求項1、2では、テープ本体(20)の表面を非処理表面(20a)に形成させているため、テープ本体(20)の表面に機械的処理、物理化学的処理、化学的処理を施すといった手間が不要になり、製造設備や製造コストの面で有利になる。
【0019】
尚、フィルム表面の処理方法として挙げた前記機械的処理は、例えば、表面に砂をたたき付けたり、金属ブラシやサンドペーパーなどで磨いたりして表面に微細な凹凸面を形成させるものである。
化学的処理は、表面に化学薬品を塗布して化学変化を生じさせることで表面に微細な凹凸面を形成させるものである。
物理化学的処理は、コロナ放電、プラズマ放電、火炎処理、紫外線処理等による物理変化や化学変化を利用して表面に微細な凹凸面を形成させるものであり、中でもコロナ放電が一般的である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例の袋口結束用テープ付きフィルム袋を示す正面図である。
【図2】袋口結束用テープでフィルム袋の口部を縛った状態を示す図である。
【図3】請求項1に対応した袋口結束用テープの模式断面図である。
【図4】請求項2に対応した袋口結束用テープの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施例の袋口結束用テープ付きフィルム袋は、図1に示すように、フィルム袋1の外面に袋口結束用テープ2が、裏面の易剥離性を有する粘着層21によって添着(粘着)されたものである。
前記フィルム袋1としては、食品収容袋や携帯用小分け袋、その他の収容袋等として形成することができる。
実施例のフィルム袋1は上端に開口部10が形成され、底部がシール11によって閉鎖され、両側にガゼット12を折り込んだ袋体に形成しているが、そのサイズ、ガゼットの有無、フィルムの材質等は適宜である。
【0022】
前記袋口結束用テープ2は、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムにより、フィルム袋1の長さとほぼ同一長さのテープ本体20が形成され、このテープ本体20の裏面に易剥離性を有する感圧性接着剤を上端から下端まで帯状に連続して塗布した粘着層21が形成されている。
【0023】
この粘着層21をテープ本体20の裏面に形成する構造としては、粘着層21をテープ本体20の片側に沿ってテープ本体20より細幅に形成するほか、粘着層21を断続的に形成したり、粘着層21を連続した波形に形成したり、粘着層21を上下に1ヶ所づつ形成したりして、粘着層21をテープ本体20の裏面の一部に形成させてもよい。
【0024】
又、前記粘着層21は、テープ本体20のほぼ全面に形成してもよいが、この場合、裏面の一部に袋口結束用テープ2を剥がす際の指掴み部となるような無接着層部分を形成するのが好ましい。
【0025】
又、粘着層21としては、易剥離性に加えて再接着性を有する感圧性接着剤で形成するのが、結束をやり直すような場合、何度でも繰り返し剥がして使用することができる点で好ましい。
【0026】
又、テープ本体20の表面には掻き削り用インキ層22が形成されている。
この場合、図3で示す例(請求項1に対応した例)は、前記テープ本体20の表面を、グラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面20aに形成させ、その上に前記非処理表面20aに対して接着相性が劣る処理表面用インキ22aを用いて前記掻き削り用インキ層22を形成させたものである。
【0027】
即ち、テープ本体20の表面を非処理表面20aに形成させ、この非処理表面20aに対して接着相性が劣る処理表面用インキ22aを用いて掻き削り用インキ層22を形成させたものである。
これにより処理表面用インキ22aの非処理表面20aに対する接着力が弱くなるため掻き削り用インキ層22を容易に掻き削ることができる。
そして、この掻き削り用インキ層22を掻き削ることによって下の非処理表面20aが露出するため、文字等を描くことができる。
【0028】
又、図4で示す例(請求項2に対応した例)は、前記テープ本体20の表面を、グラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面20aに形成させ、その上に前記非処理表面20aに対して接着相性が優れた非処理表面用インキ23aで中間インキ層23を形成させ、その上に前記中間インキ層23で使用した非処理表面用インキ23aに対して接着相性が劣る処理表面用インキ22aを用いて前記掻き削り用インキ層22を形成させたものである。
【0029】
即ち、テープ本体20の表面を非処理表面20aに形成させ、この非処理表面20aに対して接着相性が優れた非処理表面用インキ23aを用いて中間インキ層23を形成させ、さらに、この中間インキ層23の上に、この中間インキ層23を形成する非処理表面用インキ23aに対して接着相性が劣る処理表面用インキ22aを用いて掻き削り用インキ層22を形成させたものである。
これにより非処理表面用インキ23aの非処理表面20aに対する接着力が強められ、一方、処理表面用インキ22aの非処理表面用インキ23aに対する接着力が弱くなるため、掻き削り用インキ層22を容易に掻き削ることができる。
そして、この掻き削り用インキ層22を掻き削ることによって下の中間インキ層23が露出するため、文字等を描くことができる。
【0030】
この実施例では、テープ本体20をポリエチレン樹脂によるフィルムで形成させ、前記掻き削り用インキ層22を形成する処理表面用インキ22aとして、例えば東洋インキ製造株式会社製「ポリエチキング」(商標)を使用し、また、中間インキ層23を形成する非処理表面用インキ23aとして、例えば東洋インキ製造株式会社製「コスモトーン」(商標)を使用している。
【0031】
尚、グラビア印刷用インキは、樹脂、溶剤、着色剤、助剤を成分とし、このうち助剤は印刷安定性や接着性を向上させるための添加剤となる。
そして、非処理表面に対する接着相性を高めるように必要な成分の種類や配合比率を設定したものが非処理表面用インキであり、処理表面用に対する接着相性を高めるように必要な成分の種類や配合比率を設定したものが処理表面用インキである。
【0032】
本実施例の袋口結束用テープ付きフィルム袋は、図1に示すように、袋口結束用テープ2が裏面の粘着層21によってフィルム袋1の外面に添着(粘着)されたもので、使用時には袋口結束用テープ2を剥ぎ取り、フィルム袋1の内部に所定の物を収容した状態で、図2に示すようにフィルム袋1の口部に袋口結束用テープ2を巻き付けることで封をする。
【0033】
そして、収容した内容物の名前や収容日時等を記録する場合、前記袋口結束用テープ2の表面に掻き削り用インキ層22が形成されているため、この掻き削り用インキ層22を、例えば、竹串、箸、楊枝、人の爪先、フォーク、ヘアピン等の先が尖った硬質物によって掻き削れば容易に文字等を描くことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 プラスチックフィルム袋
2 袋口結束用テープ
20 テープ本体
20a 非処理表面
21 粘着層
22 掻き削り用インキ層
22a 処理表面用インキ
23 中間インキ層
23a 非処理表面用インキ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム袋(1)の外面に袋口結束用テープ(2)が添着されている袋口結束用テープ付きフィルム袋であって、
前記袋口結束用テープ(2)は、プラスチックフィルムにより形成されたテープ本体(20)の裏面に易剥離性を有する粘着層(21)が形成され、かつテープ本体(20)の表面に掻き削り用インキ層(22)が形成されており、
前記テープ本体(20)の表面がグラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面(20a)に形成され、
前記掻き削り用インキ層(22)が前記非処理表面(20a)に対して接着相性が劣る処理表面用インキ(22a)で形成されていることを特徴とする袋口結束用テープ付きフィルム袋。
【請求項2】
プラスチックフィルム袋(1)の外面に袋口結束用テープ(2)が添着されている袋口結束用テープ付きフィルム袋であって、
前記袋口結束用テープ(2)は、プラスチックフィルムにより形成されたテープ本体(20)の裏面に易剥離性を有する粘着層(21)が形成され、かつテープ本体(20)の表面に中間インキ層(23)を介して掻き削り用インキ層(22)が形成されており、
前記テープ本体(20)の表面がグラビア印刷用の表面処理を施していない非処理表面(20a)に形成され、
前記中間インキ層(23)が前記非処理表面(20a)に対して接着相性が優れた非処理表面用インキ(23a)で形成され、
前記インキ掻き削り層(22)が前記非処理表面用インキ(23a)に対して接着相性が劣る処理表面用インキ(22a)で形成されていることを特徴とする袋口結束用テープ付きフィルム袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−12092(P2012−12092A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151664(P2010−151664)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(592182311)日本フィルム株式会社 (19)
【Fターム(参考)】