袋状デバイス装置とその制御方法
【課題】小型な装置構成で感覚を反応速度よく提示することを可能とする。
【解決手段】袋状デバイス装置100は、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3とを備える。袋状デバイス1は、ビニール素材で構成され、気体が封入された親袋11と、この親袋11の一部に形成され、気体が封入され親袋11より容積が小さい子袋12を備える。CPU31は、外部入力I/F32により入力された値を、ピストン21の目標位置として子袋体積調節部2に送信する。子袋体積調節部2では、この値に基づいてピストン21がモータ22によって動かされる。その結果、子袋12の内部の気体の体積が変化することで、親袋11の形状が変化する。
【解決手段】袋状デバイス装置100は、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3とを備える。袋状デバイス1は、ビニール素材で構成され、気体が封入された親袋11と、この親袋11の一部に形成され、気体が封入され親袋11より容積が小さい子袋12を備える。CPU31は、外部入力I/F32により入力された値を、ピストン21の目標位置として子袋体積調節部2に送信する。子袋体積調節部2では、この値に基づいてピストン21がモータ22によって動かされる。その結果、子袋12の内部の気体の体積が変化することで、親袋11の形状が変化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ユーザに触覚や視覚等の感覚を提示する袋状デバイス装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークによる通信が発達したことにより、従来の音声や画像以外のメディアを使った通信方法が研究開発されている。例えば、音声、音楽やテキストから動きに関する情報を抽出し、モータ等によってぬいぐるみをあたかも生き物のように動作させる手法が提案されている(特許文献1を参照。)。この手法を用いることで、通信される音声、音楽やテキストに同期したぬいぐるみの肢体の動きをネットワーク越しに伝達しあうことが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−150186公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、さらに、より豊かな人と人の感覚を利用した通信を実施するには、やわらかさや感触といったものを実現することが非常に重要である。上記手法では、音声、音楽やテキストに同期した動きを再現することは可能であるが、感触や動きを遠隔地で再現することはできない。このため、遠隔地にもやわらかさや感触といった感覚を伝達可能な方法が必要となる。また、上記手法のようなロボット装置では、多自由度の動作ができるようにモータを多数使うため、装置構成が複雑で大型になり、動作音も大きくなってしまう。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、小型な装置構成で感覚を反応速度よく提示することが可能な袋状デバイス装置とその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる袋状デバイス装置とその制御方法は、気体が封入された第1の袋と、前記第1の袋の一部に形成され、気体が封入され、前記第1の袋より容積が小さい第2の袋と、前記第2の袋の内部の気体の体積を入力情報に基づいて調節する調節手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
このように構成すると、第1の袋に第2の袋が貼り付けられているため、第2の袋の内部の気体の体積を増加させると、第1の袋の表面に圧力がかかる。これにより、第1の袋の形状を変化させることができる。これを利用することで、同程度の空気量で第1の袋内の体積を直接調節するよりも、反応速度がよく、人に感覚が伝わりやすい袋状デバイス装置を提供することができる。
【0008】
また、この発明は次のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋の外側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする。このように構成することで、第2の袋の体積の変化と第2の袋の形状変化を第1の袋に直接伝達しやすくし、反応速度の良い袋状デバイス装置を提供することができる。
【0009】
第2の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋の内側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする。このように構成することで、第2の袋の体積の変化と第2の袋の形状変化を第1の袋に直接伝達しやすくし、反応速度の良い袋状デバイス装置を提供することができる。
【0010】
第3の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋と独立した袋で構成され、一部が前記第1の袋に接着されることを特徴とする。第1の袋と第2の袋を別の袋にして構成にすることで、従来の空気袋を利用した人形やクッションをそのまま利用して容易に袋状デバイス装置実現することができる。
【0011】
第4の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋の複数箇所に形成されることを特徴とする。多数の第2の袋を第1の袋に貼り付けて構成することで、より微妙な感覚を再現可能な袋状デバイス装置を提供することができる。
第5の構成は、さらに、音声情報を取得する取得手段を備え、前記調節手段は、前記取得手段が取得した音声情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする。このようにすると、例えば、入力された音声の大きさに応じた感覚をユーザに提示することが可能となる。
【0012】
第6の構成は、さらに、文字情報を取得する取得手段を備え、前記調節手段は、前記取得手段が取得した文字情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする。これにより、例えば、入力された文字情報の入力速度などに応じた感覚をユーザに提示することができるようになる。
【0013】
第7の構成は、さらに、前記第2の袋又は第1の袋の少なくとも一方の内部の気体の圧力を測定する測定手段と、この測定手段により測定された圧力情報を通信回線を介して送信する送信手段と、前記通信回線を介して圧力情報を受信する受信手段とを備え、前記調節手段は、前記受信手段が受信した圧力情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする。
【0014】
上記構成では、第2の袋内の気圧を測定する手段あるいは、第1の袋内の気圧を測定する手段をさらに備え、測定された気圧情報を通信回線を介して相手側に送信し、受信された気圧情報に基づいて第2の袋の体積を調節する。これにより、感覚による双方向通信を可能にするものである。
【0015】
第8の構成は、前記第1の袋は、窪み部分を有し、前記第2の袋は、前記窪み部分に形成され、前記調節手段で前記第2の袋の内部の気体の体積を変化させ、前記第1の袋を窪み部分で曲げ伸ばしすることを特徴とする。このように構成することで、例えばぬいぐるみの関節部分に第2の袋を配置し、リンク部分を第1の袋として構成することで、人形やぬいぐるみの手足を自然な動作で動かすことが可能なアクチュエータとして応用することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
要するにこの発明によれば、小型な装置構成で感覚を反応速度よく提示することが可能な袋状デバイス装置とその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係わる袋状デバイス装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
袋状デバイス装置100は、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3とを備える。袋状デバイス1は、気体の封入された親袋11と、親袋11の一部に形成され、親袋11の容積より小さく、気体の封入された子袋12とで構成される。
【0018】
図2は、袋状デバイス装置100の構成を示すブロック図である。袋状デバイス1は、1つの親袋11と、1つの子袋とで構成される。図3に、袋状デバイス1の構成を示す。親袋11は、例えば、ビニール素材で構成され、空気等の気体が封入される。子袋12は、親袋11の一部に形成され、ビニール素材のシート状部材の周縁が親袋11の外側または内側に圧着される。
【0019】
子袋体積調節部2は、ピストン21と、ピストン21の位置を制御するモータ22と、ピストン21の位置を検出するポテンショメータ23とから構成される。ピストン21と子袋12は、空気チューブで連結され、一つの空間を形成する。
【0020】
デバイス制御部3は、CPU(Central Processing Unit)31と、外部入力インタフェース(外部入力I/F)32とを備える。外部入力I/F32には、例えば、ユーザからの入力を受け付けるボリュームダイアルが接続される。外部入力I/F32により該ダイアルから入力される値は取り込まれ、CPU31は、子袋体積調節部2にピストン21の目標位置として送信する。この値に基づいてピストン21がモータ22によって動かされる。その結果、子袋12の内部の気体の体積が変化することで、親袋11の形状が変化する。この様子を図4に示す。子袋体積調節部2により子袋12の気体の体積が増加すると、親袋11の子袋12に接する面にかかる圧力が上昇し、親袋11の形状が変化する。
【0021】
図5は、袋状デバイス1をぬいぐるみに埋め込んだものである。このようにすると、例えば、ぬいぐるみを抱くユーザにぬいぐるみが動くような感覚を与えることができる。また、同様に枕、クッションといった物にも埋め込むことが可能である。これによって、眠っている人の頭部に感覚を与えたり、クッションを抱いたり、クッションの上に座っている人に感覚を与えるといったことが可能となる。
【0022】
以上述べたように、上記第1の実施形態では、袋状デバイス装置100は、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3とを備える。袋状デバイス1は、ビニール素材で構成され、気体が封入された親袋11と、この親袋11の一部に形成され、気体が封入され親袋11より容積が小さい子袋12を備える。CPU31は、外部入力I/F32により入力された値を、ピストン21の目標位置として子袋体積調節部2に送信する。子袋体積調節部2では、この値に基づいてピストン21がモータ22によって動かされる。その結果、子袋12の内部の気体の体積が変化することで、親袋11の形状が変化するものである。
【0023】
例えば、エアーポンプなどで直接親袋11の内部の体積を制御しようとすると、親袋11に比較してエアーポンプが巨大であるため装置構成が大型化し、エアーポンプを制御する際に騒音が発生するという利用面での問題点がある。また、袋内を減圧する場合、袋内から空気を抜くという手法を利用せねばならず、その制御が非常に難しいという問題点もある。また、単純に親袋11にピストンを連結し、ピストンの動きによって、親袋11の内部の体積を制御する手法では、袋が大きくなると、ピストンが巨大になり、装置構成が大型化してしまう問題点がある。また、袋が大きくなると加減圧の反応速度が遅くなり、人の呼吸や微妙な振動感覚を伝えることが難しいと言った問題点もある。
【0024】
これに対し、上記第1の実施形態では、親袋11の一部に子袋12を備え、子袋12の体積を変化させることで、同程度の空気量で直接親袋11の内部の体積を変化させるよりも、反応速度がよく、静音で、人に感覚が伝わりやすい袋状デバイス装置100を提供することが可能となる。
【0025】
また、袋状デバイス1を次のように構成することもできる。例えば、図6に示すように、親袋11と子袋12とがそれぞれ独立の袋で構成され、親袋11と子袋12とを貼り合わせて袋状デバイス1を形成することも可能である。これによって、市販されているビニール素材等の袋形状の部材を単純に貼り合わせるだけで、本発明を簡単に実施することができる。
【0026】
上記第1の実施形態では、直方体の親袋11および子袋12を用いて、袋状デバイス1を構成したが、これは、他の形状を用いて構成することもできる。例えば、親袋にビニール素材でできたぬいぐるみなどを利用しても良い。また、図7に示すように、円、楕円、正方形、特殊図形などの形状の任意のサイズの子袋12を用いて、袋状デバイス1を構成するようにする。これにより、市販のビニール素材のぬいぐるみ等を利用して、そのまま袋状デバイス1として応用したり、ピストン21の動きに即応性のある形状を利用して袋状デバイス1を構成したりすることが可能となる。
【0027】
また、親袋11に複数の子袋12を備えるように形成することもできる。具体的には、例えば、図8に示すように、ぬいぐるみの頭部と腹部にそれぞれ子袋12を備えた親袋11を利用した装置構成とすることができる。このようにすることで、ぬいぐるみの頭部と腹部とでそれぞれ独立に感覚を提示することができ、部位に応じた感覚提示が可能となる。
【0028】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、入力がボリュームダイアル、つまり直接的な入力手段によって、袋状デバイス1を制御するものであった。本発明の第2の実施形態では、袋状デバイス装置を既存の電話による音声通信に応用することで、音声に感覚を加えた通信装置を構成することができる。図9は、音声に反応するように袋状デバイス装置を構成することで、電話による音声通話に感覚提示を追加したシステムの概略図である。図9に示すように、電話回線を介して双方で袋状デバイス装置をそれぞれ備える。
【0029】
図10は、この発明の第2の実施形態を示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図である。なお、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。袋状デバイス装置100Aには、無線あるいは有線回線により電話端末が接続され、電話回線を介して相手側から送られてくる音声が入力される。
【0030】
袋状デバイス装置100Aは、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3Aとを備える。袋状デバイス1は、クッション等に埋め込まれ、ユーザはクッションを通して袋状デバイス1から伝達される感覚を受け取る。デバイス制御部3Aは、CPU31と、音声感覚抽出部33とを備える。音声感覚抽出部33は、CPU31制御の下、入力された音声の大きさを検出し、大きさに基づいて子袋体積調節部2を制御する。
【0031】
このように構成される袋状デバイス装置100Aの動作を説明する。図11は、袋状デバイス装置100Aの処理手順と内容を示すフローチャートである。
CPU31は、ステップS11aにおいて電話端末から音声情報を取得すると、取得された音声情報をもとに音声の大きさを抽出する。ステップS11bにおいて、音声感覚抽出部33はCPU31制御の下、上記抽出された大きさ情報に基づき、袋状デバイス1で提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成する。CPU31は、この生成された感覚パラメータを子袋体積調節部2に送信する(ステップS11c)。子袋体積調節部2は、受信した感覚パラメータにしたがって子袋12の内部の気体の体積を調節する(ステップS11d)。これによって、ユーザに通話相手の音声に基づいた感覚を提示する。
【0032】
このように第2の実施形態よれば、入力された音声に基づいた感覚を袋状デバイス1によりユーザに提示することができる。例えば、音声が大きいときには、会話の盛り上がりと判断し、袋状デバイス1を早く振動させたり、変形度合いを大きくする。これにより、袋状デバイス1による振動や形状変化などの感覚を加えた音声通信を行うことが可能となる。なお、音声感覚抽出部33は、音声の大きさだけでなく、音声の高低などによって、提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成するようにしても良い。
【0033】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態は、袋状デバイス装置を既存の文字チャットによる通信に応用することで、文字に感覚を加えた通信装置を構成することができる。図12は、パーソナル・コンピュータ(PC)による文字チャットに反応するように袋状デバイス装置を構成することで、チャット通信に感覚提示を追加したシステムの概略図である。図12に示すように、インターネット等の通信ネットワークを介して双方で袋状デバイス装置をそれぞれ備える。
【0034】
図13は、この発明の第3の実施形態を示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図である。なお、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。袋状デバイス装置100Bには、無線あるいは有線回線によりPCが接続され、通信ネットワークを介して相手側から送られてくる文字情報が入力される。
【0035】
袋状デバイス装置100Bは、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3Bとを備える。袋状デバイス1は、クッション等に埋め込まれ、ユーザはクッションを通して袋状デバイス1から伝達される感覚を受け取る。デバイス制御部3Bは、CPU31と、文字感覚抽出部34とを備える。文字感覚抽出部34は、CPU31制御の下、入力された文字情報から文字の入力速度を検出し、その速度に基づいて子袋体積調節部2を制御する。
【0036】
このように構成される袋状デバイス装置100Bの動作を説明する。図14は、袋状デバイス装置100Bの処理手順と内容を示すフローチャートである。
CPU31は、PCから文字情報が入力されると、ステップS14aにおいて、入力された文字情報から文字の入力数を取得する。次に、CPU31は、取得された入力数をもとに文字感覚抽出部34により文字の入力速度を算出する(ステップS14b)。さらに、ステップS14cにより、文字感覚抽出部34は算出された入力速度に基づき、袋状デバイス1で提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成する。CPU31は、この生成された感覚パラメータを子袋体積調節部2に送信する(ステップS14d)。子袋体積調節部2は、受信した感覚パラメータにしたがって子袋12の内部の気体の体積を調節する(ステップS14e)。これにより、ユーザにチャットの通信相手から到来する文字情報に基づいた感覚を提示する。
【0037】
このように第3の実施形態よれば、入力された文字情報に基づいた感覚を袋状デバイス1によりユーザに提示することができる。これにより、袋状デバイス1による振動や形状変化などの感覚を加えた文字チャット通信を行うことが可能となる。例えば、入力速度が速いときには、チャットでのやり取りの盛り上がりと判断し、袋状デバイス1を早く振動させたり、変形度合いを大きくすることもできる。なお、文字感覚抽出部34は、文字の入力速度だけでなく、文字の内容などによって、提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成するようにしても良い。
【0038】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態は、袋状デバイス装置に子袋内の気圧を測定する手段あるいは親袋内の気圧を測定する手段をさらに備え、測定された気圧情報を相手側に送信することで、袋状デバイスによる双方向通信を可能にするものである。
図15は、袋状デバイスを用いて双方向通信を行うシステムの概略図である。袋状デバイス装置は、ネットワークで接続されたユーザ間で使用するもので、ユーザ間でクッションの押下感覚を共有できるものである。具体的には、クッションXをユーザXが抱きしめると、相手側のユーザYのクッションYが膨らむ。つまり、仮想的につながった二つの風船を押し合いする操作感覚である。なお、平衡状態は、それぞれのクッションX、Yを制御する子袋体積調節部2のピストン21の位置が中央で静止する状態とする。
【0039】
図16は、この発明の第4の実施形態を示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図である。なお、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。袋状デバイス装置100Cは、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3Cとを備える。袋状デバイス1は、図15に示したようにクッション等に埋め込まれ、ユーザはクッションを通して袋状デバイス1から伝達される感覚を受け取る。
【0040】
デバイス制御部16は、CPU31と、通信インタフェース(通信I/F)35と、子袋気圧測定部26とを備える。通信I/F35は、通信ネットワークを介して相手側の袋状デバイス装置との間で子袋12の気圧情報の送受信を行う。子袋気圧測定部36は、気圧センサであり、逐次測定した子袋12内の気圧情報をCPU31に送信する。CPU31は、子袋気圧測定部36から気圧情報を受け取ると、通信I/F35により通信ネットワークを介して相手側の袋状デバイス装置に受け取った気圧情報を逐次送信する。
【0041】
このように構成される袋状デバイス装置100Cの動作について説明する。図17は、袋状デバイス装置100Cの処理手順と内容を示すフローチャートである。
ステップS17aにおいて、CPU31は、通信I/F35により相手側の袋状デバイス装置から到来する気圧情報を取得する。また、ステップS17bにおいて、CPU31は、子袋気圧測定部36により測定された子袋12内の気圧情報を取得する。
【0042】
次に、CPU31は、ステップS17cにおいて、取得された両方の気圧情報を比較し、測定された子袋12内の気圧情報と相手側の気圧情報との差分を計算する(ステップS17d)。そして、ステップS17eにおいて、測定された子袋12内の気圧が大きい場合は、計算された差分情報に基づいて子袋体積調節部2にピストン21を引くように指示する。また反対に、相手側の気圧が大きい場合には、差分情報に基づいて子袋体積調節部2にピストン21を押し込むように指示する。
【0043】
これによって、クッションを抱きかかえるという感覚を共有できる通信装置を実現することができる。上記第3の実施形態では、子袋12の気圧情報を用いたが、同様に親袋11の気圧情報を利用することも可能である。より精度の高い制御を行う場合は、親袋11および子袋12の気圧情報を同時に利用して制御するようにすると良い。この場合、CPU31は、親袋気圧測定部および子袋気圧測定部から、親袋気圧情報及び子袋気圧情報を受け取り、圧力の変化が出やすい方の気圧に重み付けをするなどして、気圧情報を生成し、相手側から到来する気圧情報とそれぞれ比較し、ピストンを制御するように構成する。
【0044】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態では、子袋12の形状変化を呼吸をしているような感覚、あるいはネットワークを介して通信相手側への震動や抱きしめる感覚を伝える手段として本発明を利用している。さらに、本発明は、関節部分に子袋を入れ、リンク部分を親袋として構成することで、人形やぬいぐるみの手足を自然な動作で動かすことが可能なアクチュエータとして応用することも可能である。
【0045】
図18は、子袋の形状を収縮させることで、親袋の軸上部を手間に傾かせた動作例、およびその構成例を示している。具体的には、親袋11は窪み部分を有し、その窪み部分に子袋12を形成するようにする。このように袋状デバイス1を構成することで、子袋体積調節部2により子袋12の内部の気体の体積を減少させ子袋12の形状を収縮させることで、親袋11を窪み部分を中心に曲げることができる。反対に、子袋12の内部の気体の体積を増加させて子袋12の形状を膨張させることで、窪み部分を中心に親袋11を伸ばすことができる。袋状デバイス装置をこのように用いることによって、呼吸のような感覚、および手足の動きをぬいぐるみ等で表現可能なシステムを構築することができる。その他、袋状デバイス1の素材、形状や構成、袋状デバイス1の制御手順と制御内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0046】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明に係わる袋状デバイス装置の第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図3】袋状デバイスの構成の一例を示す図。
【図4】袋状デバイスの形状が変化する様子を示す図。
【図5】袋状デバイスをぬいぐるみに埋め込んだ様子を示す図。
【図6】袋状デバイスの他の構成を示す図。
【図7】袋状デバイスの他の構成を示す図。
【図8】袋状デバイス装置の他の構成を示す図。
【図9】第2の実施形態に係わる袋状デバイス装置を用いた通信システムの概略構成図。
【図10】第2の実施形態に係わる袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図11】図10に示す袋状デバイス装置の処理手順とその内容を示すフローチャート。
【図12】第3の実施形態に係わる袋状デバイス装置を用いた通信システムの概略構成図。
【図13】第3の実施形態に係わる袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図14】図13に示す袋状デバイス装置の処理手順とその内容を示すフローチャート。
【図15】第4の実施形態に係わる袋状デバイス装置を用いた通信システムの概略構成図。
【図16】第4の実施形態に係わる袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図17】図16に示す袋状デバイス装置の処理手順とその内容を示すフローチャート。
【図18】アクチュエータとして利用する場合の袋状デバイスの構成を示す図。
【符号の説明】
【0048】
100,100A,100B,100C…袋状デバイス装置、1…袋状デバイス、2…子袋体積調節部、3,3A,3B,3C…デバイス制御部、11…親袋、12…子袋、21…ピストン、22…モータ、23…ポテンションメータ、31…CPU、32…外部入力I/F、33…音声感覚抽出部、34…文字感覚抽出部、35…通信I/F、36…子袋気圧測定部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ユーザに触覚や視覚等の感覚を提示する袋状デバイス装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークによる通信が発達したことにより、従来の音声や画像以外のメディアを使った通信方法が研究開発されている。例えば、音声、音楽やテキストから動きに関する情報を抽出し、モータ等によってぬいぐるみをあたかも生き物のように動作させる手法が提案されている(特許文献1を参照。)。この手法を用いることで、通信される音声、音楽やテキストに同期したぬいぐるみの肢体の動きをネットワーク越しに伝達しあうことが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−150186公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、さらに、より豊かな人と人の感覚を利用した通信を実施するには、やわらかさや感触といったものを実現することが非常に重要である。上記手法では、音声、音楽やテキストに同期した動きを再現することは可能であるが、感触や動きを遠隔地で再現することはできない。このため、遠隔地にもやわらかさや感触といった感覚を伝達可能な方法が必要となる。また、上記手法のようなロボット装置では、多自由度の動作ができるようにモータを多数使うため、装置構成が複雑で大型になり、動作音も大きくなってしまう。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、小型な装置構成で感覚を反応速度よく提示することが可能な袋状デバイス装置とその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明に係わる袋状デバイス装置とその制御方法は、気体が封入された第1の袋と、前記第1の袋の一部に形成され、気体が封入され、前記第1の袋より容積が小さい第2の袋と、前記第2の袋の内部の気体の体積を入力情報に基づいて調節する調節手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
このように構成すると、第1の袋に第2の袋が貼り付けられているため、第2の袋の内部の気体の体積を増加させると、第1の袋の表面に圧力がかかる。これにより、第1の袋の形状を変化させることができる。これを利用することで、同程度の空気量で第1の袋内の体積を直接調節するよりも、反応速度がよく、人に感覚が伝わりやすい袋状デバイス装置を提供することができる。
【0008】
また、この発明は次のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋の外側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする。このように構成することで、第2の袋の体積の変化と第2の袋の形状変化を第1の袋に直接伝達しやすくし、反応速度の良い袋状デバイス装置を提供することができる。
【0009】
第2の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋の内側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする。このように構成することで、第2の袋の体積の変化と第2の袋の形状変化を第1の袋に直接伝達しやすくし、反応速度の良い袋状デバイス装置を提供することができる。
【0010】
第3の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋と独立した袋で構成され、一部が前記第1の袋に接着されることを特徴とする。第1の袋と第2の袋を別の袋にして構成にすることで、従来の空気袋を利用した人形やクッションをそのまま利用して容易に袋状デバイス装置実現することができる。
【0011】
第4の構成は、前記第2の袋は、前記第1の袋の複数箇所に形成されることを特徴とする。多数の第2の袋を第1の袋に貼り付けて構成することで、より微妙な感覚を再現可能な袋状デバイス装置を提供することができる。
第5の構成は、さらに、音声情報を取得する取得手段を備え、前記調節手段は、前記取得手段が取得した音声情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする。このようにすると、例えば、入力された音声の大きさに応じた感覚をユーザに提示することが可能となる。
【0012】
第6の構成は、さらに、文字情報を取得する取得手段を備え、前記調節手段は、前記取得手段が取得した文字情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする。これにより、例えば、入力された文字情報の入力速度などに応じた感覚をユーザに提示することができるようになる。
【0013】
第7の構成は、さらに、前記第2の袋又は第1の袋の少なくとも一方の内部の気体の圧力を測定する測定手段と、この測定手段により測定された圧力情報を通信回線を介して送信する送信手段と、前記通信回線を介して圧力情報を受信する受信手段とを備え、前記調節手段は、前記受信手段が受信した圧力情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする。
【0014】
上記構成では、第2の袋内の気圧を測定する手段あるいは、第1の袋内の気圧を測定する手段をさらに備え、測定された気圧情報を通信回線を介して相手側に送信し、受信された気圧情報に基づいて第2の袋の体積を調節する。これにより、感覚による双方向通信を可能にするものである。
【0015】
第8の構成は、前記第1の袋は、窪み部分を有し、前記第2の袋は、前記窪み部分に形成され、前記調節手段で前記第2の袋の内部の気体の体積を変化させ、前記第1の袋を窪み部分で曲げ伸ばしすることを特徴とする。このように構成することで、例えばぬいぐるみの関節部分に第2の袋を配置し、リンク部分を第1の袋として構成することで、人形やぬいぐるみの手足を自然な動作で動かすことが可能なアクチュエータとして応用することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
要するにこの発明によれば、小型な装置構成で感覚を反応速度よく提示することが可能な袋状デバイス装置とその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係わる袋状デバイス装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
袋状デバイス装置100は、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3とを備える。袋状デバイス1は、気体の封入された親袋11と、親袋11の一部に形成され、親袋11の容積より小さく、気体の封入された子袋12とで構成される。
【0018】
図2は、袋状デバイス装置100の構成を示すブロック図である。袋状デバイス1は、1つの親袋11と、1つの子袋とで構成される。図3に、袋状デバイス1の構成を示す。親袋11は、例えば、ビニール素材で構成され、空気等の気体が封入される。子袋12は、親袋11の一部に形成され、ビニール素材のシート状部材の周縁が親袋11の外側または内側に圧着される。
【0019】
子袋体積調節部2は、ピストン21と、ピストン21の位置を制御するモータ22と、ピストン21の位置を検出するポテンショメータ23とから構成される。ピストン21と子袋12は、空気チューブで連結され、一つの空間を形成する。
【0020】
デバイス制御部3は、CPU(Central Processing Unit)31と、外部入力インタフェース(外部入力I/F)32とを備える。外部入力I/F32には、例えば、ユーザからの入力を受け付けるボリュームダイアルが接続される。外部入力I/F32により該ダイアルから入力される値は取り込まれ、CPU31は、子袋体積調節部2にピストン21の目標位置として送信する。この値に基づいてピストン21がモータ22によって動かされる。その結果、子袋12の内部の気体の体積が変化することで、親袋11の形状が変化する。この様子を図4に示す。子袋体積調節部2により子袋12の気体の体積が増加すると、親袋11の子袋12に接する面にかかる圧力が上昇し、親袋11の形状が変化する。
【0021】
図5は、袋状デバイス1をぬいぐるみに埋め込んだものである。このようにすると、例えば、ぬいぐるみを抱くユーザにぬいぐるみが動くような感覚を与えることができる。また、同様に枕、クッションといった物にも埋め込むことが可能である。これによって、眠っている人の頭部に感覚を与えたり、クッションを抱いたり、クッションの上に座っている人に感覚を与えるといったことが可能となる。
【0022】
以上述べたように、上記第1の実施形態では、袋状デバイス装置100は、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3とを備える。袋状デバイス1は、ビニール素材で構成され、気体が封入された親袋11と、この親袋11の一部に形成され、気体が封入され親袋11より容積が小さい子袋12を備える。CPU31は、外部入力I/F32により入力された値を、ピストン21の目標位置として子袋体積調節部2に送信する。子袋体積調節部2では、この値に基づいてピストン21がモータ22によって動かされる。その結果、子袋12の内部の気体の体積が変化することで、親袋11の形状が変化するものである。
【0023】
例えば、エアーポンプなどで直接親袋11の内部の体積を制御しようとすると、親袋11に比較してエアーポンプが巨大であるため装置構成が大型化し、エアーポンプを制御する際に騒音が発生するという利用面での問題点がある。また、袋内を減圧する場合、袋内から空気を抜くという手法を利用せねばならず、その制御が非常に難しいという問題点もある。また、単純に親袋11にピストンを連結し、ピストンの動きによって、親袋11の内部の体積を制御する手法では、袋が大きくなると、ピストンが巨大になり、装置構成が大型化してしまう問題点がある。また、袋が大きくなると加減圧の反応速度が遅くなり、人の呼吸や微妙な振動感覚を伝えることが難しいと言った問題点もある。
【0024】
これに対し、上記第1の実施形態では、親袋11の一部に子袋12を備え、子袋12の体積を変化させることで、同程度の空気量で直接親袋11の内部の体積を変化させるよりも、反応速度がよく、静音で、人に感覚が伝わりやすい袋状デバイス装置100を提供することが可能となる。
【0025】
また、袋状デバイス1を次のように構成することもできる。例えば、図6に示すように、親袋11と子袋12とがそれぞれ独立の袋で構成され、親袋11と子袋12とを貼り合わせて袋状デバイス1を形成することも可能である。これによって、市販されているビニール素材等の袋形状の部材を単純に貼り合わせるだけで、本発明を簡単に実施することができる。
【0026】
上記第1の実施形態では、直方体の親袋11および子袋12を用いて、袋状デバイス1を構成したが、これは、他の形状を用いて構成することもできる。例えば、親袋にビニール素材でできたぬいぐるみなどを利用しても良い。また、図7に示すように、円、楕円、正方形、特殊図形などの形状の任意のサイズの子袋12を用いて、袋状デバイス1を構成するようにする。これにより、市販のビニール素材のぬいぐるみ等を利用して、そのまま袋状デバイス1として応用したり、ピストン21の動きに即応性のある形状を利用して袋状デバイス1を構成したりすることが可能となる。
【0027】
また、親袋11に複数の子袋12を備えるように形成することもできる。具体的には、例えば、図8に示すように、ぬいぐるみの頭部と腹部にそれぞれ子袋12を備えた親袋11を利用した装置構成とすることができる。このようにすることで、ぬいぐるみの頭部と腹部とでそれぞれ独立に感覚を提示することができ、部位に応じた感覚提示が可能となる。
【0028】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、入力がボリュームダイアル、つまり直接的な入力手段によって、袋状デバイス1を制御するものであった。本発明の第2の実施形態では、袋状デバイス装置を既存の電話による音声通信に応用することで、音声に感覚を加えた通信装置を構成することができる。図9は、音声に反応するように袋状デバイス装置を構成することで、電話による音声通話に感覚提示を追加したシステムの概略図である。図9に示すように、電話回線を介して双方で袋状デバイス装置をそれぞれ備える。
【0029】
図10は、この発明の第2の実施形態を示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図である。なお、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。袋状デバイス装置100Aには、無線あるいは有線回線により電話端末が接続され、電話回線を介して相手側から送られてくる音声が入力される。
【0030】
袋状デバイス装置100Aは、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3Aとを備える。袋状デバイス1は、クッション等に埋め込まれ、ユーザはクッションを通して袋状デバイス1から伝達される感覚を受け取る。デバイス制御部3Aは、CPU31と、音声感覚抽出部33とを備える。音声感覚抽出部33は、CPU31制御の下、入力された音声の大きさを検出し、大きさに基づいて子袋体積調節部2を制御する。
【0031】
このように構成される袋状デバイス装置100Aの動作を説明する。図11は、袋状デバイス装置100Aの処理手順と内容を示すフローチャートである。
CPU31は、ステップS11aにおいて電話端末から音声情報を取得すると、取得された音声情報をもとに音声の大きさを抽出する。ステップS11bにおいて、音声感覚抽出部33はCPU31制御の下、上記抽出された大きさ情報に基づき、袋状デバイス1で提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成する。CPU31は、この生成された感覚パラメータを子袋体積調節部2に送信する(ステップS11c)。子袋体積調節部2は、受信した感覚パラメータにしたがって子袋12の内部の気体の体積を調節する(ステップS11d)。これによって、ユーザに通話相手の音声に基づいた感覚を提示する。
【0032】
このように第2の実施形態よれば、入力された音声に基づいた感覚を袋状デバイス1によりユーザに提示することができる。例えば、音声が大きいときには、会話の盛り上がりと判断し、袋状デバイス1を早く振動させたり、変形度合いを大きくする。これにより、袋状デバイス1による振動や形状変化などの感覚を加えた音声通信を行うことが可能となる。なお、音声感覚抽出部33は、音声の大きさだけでなく、音声の高低などによって、提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成するようにしても良い。
【0033】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態は、袋状デバイス装置を既存の文字チャットによる通信に応用することで、文字に感覚を加えた通信装置を構成することができる。図12は、パーソナル・コンピュータ(PC)による文字チャットに反応するように袋状デバイス装置を構成することで、チャット通信に感覚提示を追加したシステムの概略図である。図12に示すように、インターネット等の通信ネットワークを介して双方で袋状デバイス装置をそれぞれ備える。
【0034】
図13は、この発明の第3の実施形態を示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図である。なお、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。袋状デバイス装置100Bには、無線あるいは有線回線によりPCが接続され、通信ネットワークを介して相手側から送られてくる文字情報が入力される。
【0035】
袋状デバイス装置100Bは、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3Bとを備える。袋状デバイス1は、クッション等に埋め込まれ、ユーザはクッションを通して袋状デバイス1から伝達される感覚を受け取る。デバイス制御部3Bは、CPU31と、文字感覚抽出部34とを備える。文字感覚抽出部34は、CPU31制御の下、入力された文字情報から文字の入力速度を検出し、その速度に基づいて子袋体積調節部2を制御する。
【0036】
このように構成される袋状デバイス装置100Bの動作を説明する。図14は、袋状デバイス装置100Bの処理手順と内容を示すフローチャートである。
CPU31は、PCから文字情報が入力されると、ステップS14aにおいて、入力された文字情報から文字の入力数を取得する。次に、CPU31は、取得された入力数をもとに文字感覚抽出部34により文字の入力速度を算出する(ステップS14b)。さらに、ステップS14cにより、文字感覚抽出部34は算出された入力速度に基づき、袋状デバイス1で提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成する。CPU31は、この生成された感覚パラメータを子袋体積調節部2に送信する(ステップS14d)。子袋体積調節部2は、受信した感覚パラメータにしたがって子袋12の内部の気体の体積を調節する(ステップS14e)。これにより、ユーザにチャットの通信相手から到来する文字情報に基づいた感覚を提示する。
【0037】
このように第3の実施形態よれば、入力された文字情報に基づいた感覚を袋状デバイス1によりユーザに提示することができる。これにより、袋状デバイス1による振動や形状変化などの感覚を加えた文字チャット通信を行うことが可能となる。例えば、入力速度が速いときには、チャットでのやり取りの盛り上がりと判断し、袋状デバイス1を早く振動させたり、変形度合いを大きくすることもできる。なお、文字感覚抽出部34は、文字の入力速度だけでなく、文字の内容などによって、提示する感覚の大きさに対応する感覚パラメータを生成するようにしても良い。
【0038】
(第4の実施形態)
この発明の第4の実施形態は、袋状デバイス装置に子袋内の気圧を測定する手段あるいは親袋内の気圧を測定する手段をさらに備え、測定された気圧情報を相手側に送信することで、袋状デバイスによる双方向通信を可能にするものである。
図15は、袋状デバイスを用いて双方向通信を行うシステムの概略図である。袋状デバイス装置は、ネットワークで接続されたユーザ間で使用するもので、ユーザ間でクッションの押下感覚を共有できるものである。具体的には、クッションXをユーザXが抱きしめると、相手側のユーザYのクッションYが膨らむ。つまり、仮想的につながった二つの風船を押し合いする操作感覚である。なお、平衡状態は、それぞれのクッションX、Yを制御する子袋体積調節部2のピストン21の位置が中央で静止する状態とする。
【0039】
図16は、この発明の第4の実施形態を示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図である。なお、前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。袋状デバイス装置100Cは、袋状デバイス1と、子袋体積調節部2と、デバイス制御部3Cとを備える。袋状デバイス1は、図15に示したようにクッション等に埋め込まれ、ユーザはクッションを通して袋状デバイス1から伝達される感覚を受け取る。
【0040】
デバイス制御部16は、CPU31と、通信インタフェース(通信I/F)35と、子袋気圧測定部26とを備える。通信I/F35は、通信ネットワークを介して相手側の袋状デバイス装置との間で子袋12の気圧情報の送受信を行う。子袋気圧測定部36は、気圧センサであり、逐次測定した子袋12内の気圧情報をCPU31に送信する。CPU31は、子袋気圧測定部36から気圧情報を受け取ると、通信I/F35により通信ネットワークを介して相手側の袋状デバイス装置に受け取った気圧情報を逐次送信する。
【0041】
このように構成される袋状デバイス装置100Cの動作について説明する。図17は、袋状デバイス装置100Cの処理手順と内容を示すフローチャートである。
ステップS17aにおいて、CPU31は、通信I/F35により相手側の袋状デバイス装置から到来する気圧情報を取得する。また、ステップS17bにおいて、CPU31は、子袋気圧測定部36により測定された子袋12内の気圧情報を取得する。
【0042】
次に、CPU31は、ステップS17cにおいて、取得された両方の気圧情報を比較し、測定された子袋12内の気圧情報と相手側の気圧情報との差分を計算する(ステップS17d)。そして、ステップS17eにおいて、測定された子袋12内の気圧が大きい場合は、計算された差分情報に基づいて子袋体積調節部2にピストン21を引くように指示する。また反対に、相手側の気圧が大きい場合には、差分情報に基づいて子袋体積調節部2にピストン21を押し込むように指示する。
【0043】
これによって、クッションを抱きかかえるという感覚を共有できる通信装置を実現することができる。上記第3の実施形態では、子袋12の気圧情報を用いたが、同様に親袋11の気圧情報を利用することも可能である。より精度の高い制御を行う場合は、親袋11および子袋12の気圧情報を同時に利用して制御するようにすると良い。この場合、CPU31は、親袋気圧測定部および子袋気圧測定部から、親袋気圧情報及び子袋気圧情報を受け取り、圧力の変化が出やすい方の気圧に重み付けをするなどして、気圧情報を生成し、相手側から到来する気圧情報とそれぞれ比較し、ピストンを制御するように構成する。
【0044】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態では、子袋12の形状変化を呼吸をしているような感覚、あるいはネットワークを介して通信相手側への震動や抱きしめる感覚を伝える手段として本発明を利用している。さらに、本発明は、関節部分に子袋を入れ、リンク部分を親袋として構成することで、人形やぬいぐるみの手足を自然な動作で動かすことが可能なアクチュエータとして応用することも可能である。
【0045】
図18は、子袋の形状を収縮させることで、親袋の軸上部を手間に傾かせた動作例、およびその構成例を示している。具体的には、親袋11は窪み部分を有し、その窪み部分に子袋12を形成するようにする。このように袋状デバイス1を構成することで、子袋体積調節部2により子袋12の内部の気体の体積を減少させ子袋12の形状を収縮させることで、親袋11を窪み部分を中心に曲げることができる。反対に、子袋12の内部の気体の体積を増加させて子袋12の形状を膨張させることで、窪み部分を中心に親袋11を伸ばすことができる。袋状デバイス装置をこのように用いることによって、呼吸のような感覚、および手足の動きをぬいぐるみ等で表現可能なシステムを構築することができる。その他、袋状デバイス1の素材、形状や構成、袋状デバイス1の制御手順と制御内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0046】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明に係わる袋状デバイス装置の第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】図1に示す袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図3】袋状デバイスの構成の一例を示す図。
【図4】袋状デバイスの形状が変化する様子を示す図。
【図5】袋状デバイスをぬいぐるみに埋め込んだ様子を示す図。
【図6】袋状デバイスの他の構成を示す図。
【図7】袋状デバイスの他の構成を示す図。
【図8】袋状デバイス装置の他の構成を示す図。
【図9】第2の実施形態に係わる袋状デバイス装置を用いた通信システムの概略構成図。
【図10】第2の実施形態に係わる袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図11】図10に示す袋状デバイス装置の処理手順とその内容を示すフローチャート。
【図12】第3の実施形態に係わる袋状デバイス装置を用いた通信システムの概略構成図。
【図13】第3の実施形態に係わる袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図14】図13に示す袋状デバイス装置の処理手順とその内容を示すフローチャート。
【図15】第4の実施形態に係わる袋状デバイス装置を用いた通信システムの概略構成図。
【図16】第4の実施形態に係わる袋状デバイス装置の構成を示すブロック図。
【図17】図16に示す袋状デバイス装置の処理手順とその内容を示すフローチャート。
【図18】アクチュエータとして利用する場合の袋状デバイスの構成を示す図。
【符号の説明】
【0048】
100,100A,100B,100C…袋状デバイス装置、1…袋状デバイス、2…子袋体積調節部、3,3A,3B,3C…デバイス制御部、11…親袋、12…子袋、21…ピストン、22…モータ、23…ポテンションメータ、31…CPU、32…外部入力I/F、33…音声感覚抽出部、34…文字感覚抽出部、35…通信I/F、36…子袋気圧測定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が封入された第1の袋と、
前記第1の袋の一部に形成され、気体が封入され、前記第1の袋より容積が小さい第2の袋と、
前記第2の袋の内部の気体の体積を入力情報に基づいて調節する調節手段と
を具備することを特徴とする袋状デバイス装置。
【請求項2】
前記第2の袋は、前記第1の袋の外側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項3】
前記第2の袋は、前記第1の袋の内側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項4】
前記第2の袋は、前記第1の袋と独立した袋で構成され、一部が前記第1の袋に接着されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項5】
前記第2の袋は、前記第1の袋の複数箇所に形成されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項6】
さらに、音声情報を取得する取得手段を備え、
前記調節手段は、前記取得手段が取得した音声情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項7】
さらに、文字情報を取得する取得手段を備え、
前記調節手段は、前記取得手段が取得した文字情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項8】
さらに、前記第2の袋又は第1の袋の少なくとも一方の内部の気体の圧力を測定する測定手段と、
この測定手段により測定された圧力情報を通信回線を介して送信する送信手段と、
前記通信回線を介して圧力情報を受信する受信手段とを備え、
前記調節手段は、前記受信手段が受信した圧力情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項9】
前記第1の袋は、窪み部分を有し、
前記第2の袋は、前記窪み部分に形成され、
前記調節手段で前記第2の袋の内部の気体の体積を変化させ、前記第1の袋を窪み部分で曲げ伸ばしすることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項10】
気体が封入された第1の袋と、前記第1の袋の一部に形成され、気体が封入され、前記第1の袋より容積が小さい第2の袋とを備える袋状デバイス装置に用いられ、
前記第2の袋の内部の気体の体積を入力情報に基づいて調節することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
さらに、音声情報を取得し、
前記取得した音声情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【請求項12】
さらに、文字情報を取得し、
前記取得した文字情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【請求項13】
さらに、前記第2の袋の内部の気体の圧力を測定し、
前記測定した圧力情報を通信回線を介して送信し、
前記通信回線を介して圧力情報を受信し、
前記受信した圧力情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【請求項1】
気体が封入された第1の袋と、
前記第1の袋の一部に形成され、気体が封入され、前記第1の袋より容積が小さい第2の袋と、
前記第2の袋の内部の気体の体積を入力情報に基づいて調節する調節手段と
を具備することを特徴とする袋状デバイス装置。
【請求項2】
前記第2の袋は、前記第1の袋の外側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項3】
前記第2の袋は、前記第1の袋の内側にシート状の部材の周縁を貼り付けることで形成されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項4】
前記第2の袋は、前記第1の袋と独立した袋で構成され、一部が前記第1の袋に接着されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項5】
前記第2の袋は、前記第1の袋の複数箇所に形成されることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項6】
さらに、音声情報を取得する取得手段を備え、
前記調節手段は、前記取得手段が取得した音声情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項7】
さらに、文字情報を取得する取得手段を備え、
前記調節手段は、前記取得手段が取得した文字情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項8】
さらに、前記第2の袋又は第1の袋の少なくとも一方の内部の気体の圧力を測定する測定手段と、
この測定手段により測定された圧力情報を通信回線を介して送信する送信手段と、
前記通信回線を介して圧力情報を受信する受信手段とを備え、
前記調節手段は、前記受信手段が受信した圧力情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項9】
前記第1の袋は、窪み部分を有し、
前記第2の袋は、前記窪み部分に形成され、
前記調節手段で前記第2の袋の内部の気体の体積を変化させ、前記第1の袋を窪み部分で曲げ伸ばしすることを特徴とする請求項1記載の袋状デバイス装置。
【請求項10】
気体が封入された第1の袋と、前記第1の袋の一部に形成され、気体が封入され、前記第1の袋より容積が小さい第2の袋とを備える袋状デバイス装置に用いられ、
前記第2の袋の内部の気体の体積を入力情報に基づいて調節することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
さらに、音声情報を取得し、
前記取得した音声情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【請求項12】
さらに、文字情報を取得し、
前記取得した文字情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【請求項13】
さらに、前記第2の袋の内部の気体の圧力を測定し、
前記測定した圧力情報を通信回線を介して送信し、
前記通信回線を介して圧力情報を受信し、
前記受信した圧力情報に基づいて、前記第2の袋の内部の気体の体積を調節することを特徴とする請求項10記載の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−52441(P2008−52441A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226844(P2006−226844)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591076257)株式会社ココロ (11)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591076257)株式会社ココロ (11)
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