説明

被検査電極板の検査方法

【目的】 被検査電極板の被検査電極と検査用電極板の検査用電極との間の位置ずれの状態を正確に求めることができる方法を提供すること。
【構成】 粗位置合わせがなされた被検査電極板と検査用電極板について、各検査電極対の導通状態を検出する初期状態検出工程と、被検査電極板と検査用電極板とを予め設定された角度だけ相対的に回転させて各検査電極対の導通状態を検出する回転後状態検出工程と、回転操作によって導通状態が変化した検査電極対について、回転軸を基準位置とする座標上の位置、各工程で得られた導通状態の有無、回転の方向および回転角度の大きさに基づいて、初期の検査用電極板と被検査電極板間の位置ずれの状態を数学的解析手段によって求める解析工程とを含んでなる。また、回転後状態検出工程が、回転操作における回転角度が異なる状態で複数回実行される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被検査電極板の検査方法、特に多数の電極を有するプリント回路基板などの被検査電極板について、当該電極の電気的接続状態を検査するための検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリント回路基板においては多数の電極が形成されているが、斯かるプリント回路基板については、これに各種の機能部品が実装される前の段階において、多数の電極が所期の電気的な導通状態または絶縁状態を有するか否かを検査することが必要である。そして、この検査のためには、プリント回路基板などの被検査電極板の被検査電極に対応して検査用電極が配列されてなる検査用電極板を、位置合わせが達成された状態で、当該被検査電極板に重なり合うよう配置して両者の電気的な接続を達成することが必要である。
【0003】以上のような目的で、従前から、例えば検査用電極板に設けられた位置決めピンに被検査電極板の対応するピン孔を嵌合させる手段、その他のいわば機械的な位置決め機構により、被検査電極板と検査用電極板との位置合わせを達成することが行われてきた。
【0004】然るに、近年においては、プリント回路基板などにおける素子集積度の増大およびパターンの高密度化に伴って、被検査電極板の電極の微小化および配列の高密度化が進められている。しかしながら、このような被検査電極板に対しては、検査用電極板との位置合わせを機械的な位置決め機構によって行うのみでは、概略的な位置合わせ状態が得られるに過ぎず、すべての被検査電極とこれに対応する検査用電極とによる検査電極対について、電気的な接続を十分に達成することはできない。
【0005】その理由は、被検査電極板の被検査電極と検査用電極板の検査用電極とが基本的に相当するパターンによるものであっても、当該被検査電極板の製造上の理由による微小の誤差またはそれ自体の変形などによる誤差が原因となって、被検査電極板における被検査電極が実際には設計上の位置とは微小ながらも変位した位置に存在することとなるからであり、また同様の事情が検査用電極板の検査用電極においてもあるからである。また、位置決めピンを利用するものにおいては、実際上、対応するピン孔との間にいわゆる遊びが必要であってこれが検査電極対における位置ずれの原因の一つとなる。
【0006】以上のような事情から、検査すべき被検査電極板を、検査用電極板に対する一応の規定位置に例えば機械的な位置決め機構によって保持し、これによって粗位置合わせを行い、その上で更に被検査電極板の被検査電極と検査用電極板の検査用電極との位置の整合を達成するための微小位置合わせを行うことが必要とされている。
【0007】従来、このような微小位置合わせを行うための手段として、被検査電極板において被検査電極と特定の位置関係をもって適宜のアライメントマークを形成すると共に、検査用電極板においても検査用電極と同一の位置関係をもって対照アライメントマークを形成し、また被検査電極板を縦方向、横方向および回転方向に移動可能な可動ステージ上に保持しておき、被検査電極板および検査用電極板の両アライメントマークの重なり状態を適宜の検出機構によって検出し、これによって得られる位置ずれの状態が解消されるよう、可動ステージを介して被検査電極板を検査用電極板と相対的に変位させ、両アライメントマークが一致した状態を得る方法が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような微小位置合わせ手段によれば、被検査電極板および検査用電極板に形成されたアライメントマーク自体についてもその形成に伴う位置または形状上の誤差を完全に除去することができず、またアライメントマークの整合状態の検出にもある程度の誤差が含まれるため、目的とする微小位置合わせが十分に達成された状態となるまでに煩雑な操作が必要とされ、しかもアライメントマークが完全に一致する状態が得られた場合であってもなお実際の検査電極対においては所要の電気的な接続状態が達成されていない場合が生じるおそれがある。
【0009】また、被検査電極板と検査用電極板におけるアライメントマークを検出するために、例えばアライメントマーク観察用カメラ、その他のアライメントマーク検出機構を設けることが必要である。しかも、そのようなアライメントマーク検出機構は、被検査電極板と検査用電極板とが重なる方向において配置される必要があると共に、検査用電極板は当然のことながら被検査電極板の表面を覆うよう配置される必要性があるため、実際にはアライメントマーク検出機構と検査用電極板を共に同じ場所に設けることが必要となり、結局、両者を共に好適に配置することが非常に困難である、という問題がある。
【0010】以上のように、従来の微小位置合わせの方法は、いずれも、被検査電極板の被検査電極と検査用電極板の検査用電極との位置の整合を目的とするものであるにもかかわらず、それらと特定の位置関係にある間接的な位置ずれ検出手段を利用するものであるため、被検査電極板と検査用電極板との間に実際に生じている位置ずれの状態を正確に検出することができない、という問題点がある。
【0011】また、以上の結果、的確な微小位置合わせ操作を行うことが困難であって、位置ずれを解消して所期の位置合わせが達成された状態が得られるまでに煩瑣な作業と長い時間が必要となり、結局所期の被検査電極板の検査を高い信頼性をもってしかも高い効率で達成することができない。
【0012】本発明の目的は、特別な位置ずれ検出機構を利用することなしに、被検査電極板の被検査電極とこれに対応する検査用電極板の検査用電極との間、すなわち検査電極対において生じている実際の位置ずれの状態をきわめて正確に求めることができ、従って、所期の微小位置合わせをきわめて容易に達成することができ、その結果、非常に高い効率で被検査電極板について所期の検査を高い信頼性で行うことのできる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の被検査電極板の検査方法は、互いに重なり合うよう配置された、複数の被検査電極を有する被検査電極板と、この被検査電極板の被検査電極に対応する検査用電極を有する検査用電極板とについて、粗位置合わせがなされた状態で、被検査電極板の被検査電極とこれに対応する検査用電極板の検査用電極とによる検査電極対における電気的な接続状態を検出する初期状態検出工程と、この粗位置合わせがなされた状態における被検査電極板と検査用電極板とを、被検査電極板および検査用電極板に垂直な回転軸の周りに、予め設定された大きさの角度だけ相対的に回転させる回転操作を行い、その後、各検査電極対に係る被検査電極と検査用電極との間の電気的な接続状態を検出する回転後状態検出工程と、少なくとも回転操作によって電気的な接続状態が変化した複数の検査電極対の各々について、当該検査電極対に係る被検査電極または検査用電極が占める、前記回転軸を基準位置とする座標上の位置、初期状態検出工程および回転後状態検出工程において検出された、当該検査電極対における電気的な接続状態の内容、並びに回転後状態検出工程における回転操作に係る回転の方向および回転角度の大きさに基づいて、粗位置合わせがなされた状態における検査用電極板と被検査電極板との間に生じている位置ずれの状態を数学的解析手段によって求める解析工程と、を含んでなる位置ずれ検出操作が行われることを特徴とする。
【0014】また、本発明は、上記の被検査電極板の検査方法において、回転後状態検出工程が、回転操作における回転角度および/または回転軸の位置が異なる状態で複数回実行され、初期状態検出工程および複数の回転後状態検出工程の各々において検出された結果と条件とに基づいて、粗位置合わせがなされた状態における検査用電極板と被検査電極板との相対的な位置ずれの状態を数学的解析手段によって求める解析工程が実行されることにより、位置ずれ検出操作が行われることを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明に係る被検査電極板の検査方法においては、粗位置合わせがなされた状態にある被検査電極板と検査用電極板とについて、相対的に設定された大きさの回転角度(φ)だけ回転させる回転操作を行い、この回転操作前の状態(以下、これを「第1状態」という。)および回転操作後の状態(以下、これを「第2状態」という。)の各々において、被検査電極板の被検査電極とこれに対応する検査用電極板の検査用電極とによる検査電極対における電気的な接続状態、すなわち両者間の電気的な導通の有無を検出することにより、下記の(1)〜(3)の情報が得られ、または特定される。
【0016】(1)回転操作によって電気的な接続状態が変化した検査電極対の回転軸を基準とする座標位置、(2)当該検査電極対における電気的な接続状態の変化の具体的内容、すなわち導通状態から非導通状態への変化であるかまたは非導通状態から導通状態への変化であるか、(3)回転操作における回転角度の大きさおよび回転の方向
【0017】そして、上記(1)〜(3)の情報をファクターとして利用することにより、第1状態における被検査電極板と検査用電極板との間に生じている位置ずれの状態を、各検査電極対における変位の状態を基礎として数学的解析手段によって求めることができる。従って、ここに求められた位置ずれの状態に基づいて、当該位置ずれが解消する方向に必要な距離および/または角度だけ、被検査電極板と検査用電極板とを相対的に移動させることにより、容易にかつ確実に、被検査電極板と検査用電極板との間の微小位置合わせを達成することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の方法について、具体的に説明する。先ず、本発明の基本的な技術的背景について説明する。通常、被検査電極板についての実際の検査においては、被検査電極板の被検査電極とこれに対応する検査用電極板の検査用電極との間の電気的な接続、すなわち検査電極対における電気的な接続に関しては、或る程度の接続許容幅がある。すなわち、被検査電極板と検査用電極板との位置合わせにおいては、検査電極対を構成する被検査電極の中心に検査用電極の中心が一致することは必ずしも必要ではなく、被検査電極および検査用電極の各々の接続有効面積に応じた接続可能範囲があり、位置ずれの程度がこの接続可能範囲内であれば、両者の中心が厳密に一致していなくても、実際には電気的な導通状態が達成されているので、検査のための位置合わせとしては十分である。
【0019】この接続許容幅の最大値は、被検査電極板における被検査電極の配列、各被検査電極の寸法、その他の実際上の要因により、検査用電極板との関係において、現実に即して定められるものである。
【0020】図1は、被検査電極の一例における接続許容幅についての説明図である。この図1に示すように、半径aの円形の被検査電極Pが、離間距離2a、電極ピッチ4aで並んでいる場合においては、検査用電極Dが同一の半径aを有するものとされているときは、所要の接続が達成される範囲はtで示される半径2aの円内の領域となり、接続許容幅Tは2aに等しい大きさとなる。従って、例えば電極ピッチが0.3mmであり、被検査電極および検査用電極の幅がいずれも150μmである場合においては、通常、接続許容幅は150μmとなる。
【0021】ただし、上記の例においても、接続許容幅は単に被検査電極の寸法および配列の態様によって一義的に定まるものではなく、当該被検査電極の製造上の誤差の最大値、検査用電極の位置の誤差の最大値、その他の要因を更に考慮して一層高い信頼性が得られるよう、接続許容幅が小さく定められる場合もある。実際上、或る種のプリント回路基板の一例における接続許容幅は、例えば50μm以下である。
【0022】以上の説明から理解されるように、被検査電極板と検査用電極板との微小位置合わせが達成された状態とは、要するに、被検査電極板のすべての被検査電極が対応する検査用電極板の検査用電極に対して接続許容幅以下の状態で位置された状態である、ということとなる。
【0023】本発明においては、以下に述べる初期状態検出工程、回転後状態検出工程および解析工程が実行されることにより、粗位置合わせされた被検査電極板と検査用電極板について、それらの間に生じている位置ずれの状態を求める。
【0024】初期状態検出工程初期状態検出工程においては、先ず、被検査電極板と検査用電極板とが概略的に粗位置合わせされる。この粗位置合わせのための手段は特に制限されるものではなく、例えば従来の位置合わせ手段をそのまま利用することができる。具体的には、位置決めピンと対応するピン孔とによる機械的な位置合わせ手段、アライメントマークを利用する光学的な位置合わせ手段、あるいは特定の微小ピッチで被検査電極板と検査用電極板とを相対的に移動させて最良とされる位置状態を発見する試行錯誤式の位置合わせ方法、その他を利用することができる。このようにして、被検査電極板と検査用電極板は第1状態となる。
【0025】而して、被検査電極板と検査用電極板が単に粗位置合わせされただけの第1状態においては、被検査電極板と検査用電極板との間には僅かではあるが位置ずれ(以下、「初期の位置ずれ」という。)が生じているのが通常であって、多数の検査電極対のうちのあるものにおいては位置ずれが接続許容幅以下であって当該検査電極対が導通状態にあるが、他の検査電極対は位置ずれが接続許容幅を越えているために当該検査電極対は非導通状態にある。
【0026】図2は、被検査電極板と検査用電極板について、粗位置合わせがなされた状態の一例を模式的に示す説明図である。この図2に示すように、第1状態においては被検査電極板PBと検査用電極板DB間に初期の位置ずれΔDPが生じていることにより、検査電極対DP1を構成する被検査電極P1と検査用電極D1では導通状態が得られているが、検査電極対DP2を構成する被検査電極P2と検査用電極D2では非導通状態となっている。そして、この第1状態において、すべての検査電極対についての第1回の電気的な接続状態の検査が行われる。
【0027】上記の初期の位置ずれの大きさは、粗位置合わせがなされた後の状態であるので或る一定の程度以下であり、位置ずれの程度が最も大きい検査電極対であっても、その検査電極対における変位量(検査用電極に対する被検査電極の変位量)Δdpの大きさは例えば最大70μmである。この初期の位置ずれΔDP並びに各検査電極対における変位量Δdpの大きさは、勿論、粗位置合わせのための手段によって異なり、例えば位置決めピンによる場合には、最大100μm程度となる。
【0028】回転後状態検出工程以上の初期状態検出工程に続いて、回転後状態検出工程が行われる。この回転後状態検出工程においては、回転操作が行われる。例えば図3に示すように、被検査電極板PBを検査用電極板DBに対し、例えば検査用電極板DBの中心位置に定められた垂直な回転軸Cの周りに微小角度φだけ反時計方向に回転されて、第2状態とされる。この回転操作は、被検査電極板PBを検査用電極板DBに対して回転させることによらずに、検査用電極板DBを被検査電極板PBに対して回転させること、または被検査電極板PBと検査用電極板DBの両方を回転させることのいずれによっても行うことができ、実際の検査装置の具体的な構成に応じて選択することができる。そして、この回転操作がなされた後の第2状態状態において、第1回の電気的検査と全く同様にして第2回の電気的な接続状態の検査が行われる。
【0029】解析工程以上の初期状態検出工程において得られた第1回の電気的検査の結果および回転後状態検出工程において得られた第2回の電気的検査の結果と、第2回の電気的検査の前になされた回転操作の態様、すなわち回転角度の大きさ(φ)とその方向とにより、次のようにして、各検査電極対について、第1状態における被検査電極板と検査用電極板とに生じている位置ずれの状態が数学的解析手段によって計算される。
【0030】図4は、被検査電極と検査用電極とによる検査電極対における初期の位置ずれと、回転による変位とについての説明図である。図4に示すモデルでは、回転操作における回転軸を原点Oとする二次元X−Y座標軸が設定されており、その座標位置が(xn ,yn )で表される検査用電極Pn を基準として、第1状態では、この検査用電極Pn と検査電極対を構成する被検査電極Dn の座標位置が初期の位置ずれにより(dx,dy,dθ)である場合が示されている。すなわち、被検査電極Dn は、検査用電極Pn の座標位置(xn ,yn )を基準位置として、この基準位置から、角度dθだけ反時計方向に回転され、更にx方向にdx、y方向にdyだけ変位した位置に存在する状態である。
【0031】回転後状態検出工程における回転操作によって被検査電極Dn が角度φだけ回転された場合において、第2状態における被検査電極Dn の座標位置の基準位置(xn ,yn )からのずれ量をΔrn とすると、このΔrn に関しては、i番目の検査電極対について、次の式(1)および式(2)が成立する。
式(1) Δxi =dx−yi (φ+dθ)
式(2) Δyi =dy+xi (φ+dθ)
【0032】ここで、回転操作における回転角度φは、計算の便宜上、次の式(3)のように定められている。
式(3) φ=arctan(T/R)
ここに、Tは接続許容幅、Rは当該被検査電極群の原点Oからの距離の平均値である。
【0033】以上の条件下において、第1回の電気的検査および第2回の電気的検査の結果から、次の(イ)〜(ハ)の各場合における被検査電極について、下記式(4)〜(9)が近似的に成立するものと見做すことができる。
【0034】(イ)第1状態では接続許容幅以下であり、第2状態でも接続許容幅以下である被検査電極 式(4) Σi r×(φ/2)(−sinθ)=Σi Δxi 式(5) Σi r×(φ/2)( cosθ)=Σi Δyi
【0035】(ロ)第1状態では接続許容幅以下であったが、第2状態では接続許容幅を越えた被検査電極 式(6) Σi (T+ri ・φ/2)(−sinθ)=Σi Δxi 式(7) Σi (T+ri ・φ/2)( cosθ)=Σi Δyi
【0036】(ハ)第1状態では接続許容幅を越えていたが、第2状態では接続許容幅以下となった被検査電極 式(8) Σi (T−ri ・φ/2)(−sinθ)=Σi Δxi 式(9) Σi (T−ri ・φ/2)( cosθ)=Σi Δyi
【0037】以上の(ロ)および(ハ)の場合の被検査電極については、当該被検査電極の電気的な接続状態が変化していることから、被検査電極の回転操作による移動量の平均が、(ロ)の場合および(ハ)の場合のいずれにおいても、それぞれTに等しいものと見做されている。
【0038】また、式(3)は、被検査電極の50%のものの回転操作による移動量が接続許容幅以下となり、かつ残りの50%のものの回転操作による移動量が接続許容幅を越えた状態となる条件を、接続許容幅を50μmと定めることによって設定したものである。
【0039】そして、上記の式(1)〜(9)を用い、例えば最小二乗法により、各式に最も適合するdx、dyおよびdθの数値をすべての被検査電極Dn について求めることができるので、その結果をすべての被検査電極について総括処理することにより、検査用電極板DBに対する被検査電極板PBの初期の位置ずれの状態を具体的に求めることができる。
【0040】以上においては、すべての被検査電極についての結果が考慮されているが、回転操作によって電気的な接続状態が変化した被検査電極、すなわち(イ)の被検査電極についての情報を除外して、(ロ)および(ハ)の被検査電極についての情報のみを考慮することによっても、信頼性は若干低くなるが、同様に適合するdx、dyおよびdθの数値を求めることが可能である。
【0041】また、以上においては、検査用電極板を基準とし、検査電極対における検査用電極に対して位置ずれが生じている被検査電極について、その位置ずれを検出する場合を説明したが、逆に、被検査電極板を基準として被検査電極に対して位置ずれが生じている検査用電極について、その位置ずれの状態を検出する操作も、全く同様に行うことができる。
【0042】以上のようにして求められた初期の位置ずれの状態から、当該初期の位置ずれが解消される方向に必要な量だけ、被検査電極板と検査用電極板とを相対的に移動させることにより、当該初期の位置ずれを解消して両者の微小位置合わせを達成することができる。そして、その結果、きわめて高い信頼性で当該被検査電極板についての検査を実行することができる。
【0043】以上のように、本発明は、被検査電極板と検査用電極板とが相対的に回転されることにより、少なくとも、電気的な接続状態が変化した検査電極対について、当該変化の状態を分析してその結果を総合することにより、回転操作による被検査電極板と検査用電極板との相対的な回転が、両者の間の初期の位置ずれを大きくするものであるか逆に小さくするものであるかによって初期の位置ずれの方向を求めることができると共に、各検査電極対の回転による移動距離は、当該検査電極対の回転中心からの距離の大きさによって異なることを利用して、回転中心を基準とする当該検査電極対の座標位置と、その電気的な接続状態の変化の内容に基づいて、被検査電極板と検査用電極板との間に生じている初期の位置ずれの状態を近似的ではあるが十分に高い精度で、数学的解析手段によって求めることができることを基本的な原理とするものである、ということができる。
【0044】従って、初期状態検出工程が実行された後に、上記のようにして回転後状態検出工程を行った後、更にこの回転後状態検出工程における回転操作に係る回転角度および/または回転軸の位置とは異なる回転角度および/または回転軸の位置の回転操作による第2回目の回転後状態検出工程を実行すると、その結果、初期状態から異なる角度で回転されたときの複数の回転後状態検出工程による情報が得られることとなり、これらを用いて同様の解析工程を実行することにより、更に一層信頼性の高い状態で、初期の位置ずれの状態を検出することができる。
【0045】図5は、本発明の被検査電極板の検査方法の実施に用いることのできる装置の一例における全体のシステムを示すブロック図であって、10は検査装置本体、11は検査装置本体10に設けられた多数のスイッチボード(図示せず)を有するテスター、12はこのテスター11のための制御コンピュータ、13は位置制御用コンピュータ、14は制御機構である。
【0046】検査装置本体10は、水平方向に並ぶ第1ステージ、第2ステージおよび第3ステージの3つの区域に分けられており、搬送テーブル15がこれらの各ステージ間を移動するよう設けられている。そして、この搬送テーブル15上には、被検査電極板を水平に保持するための被検査電極板ホルダー(図示せず)が、x方向、y方向および回転方向に移動可能に設けられている。
【0047】第1ステージにおいては、被検査電極板である例えばプリント回路基板が、搬送テーブル15上の被検査電極板ホルダーに装着され、またこれより取り外される。第2ステージは検査ステージであり、ここにおいて、後述するように、被検査電極板と検査用電極板について電気的な接続状態の検査がなされる。
【0048】第3ステージにおいて、搬送テーブル15上で、被検査電極板ホルダー(図示せず)がx方向、y方向および回転方向に制御された量だけ移動されることにより、テーブル15が第2ステージに到達したときに検査用電極板に対して粗位置合わせが達成された状態が得られるよう、テーブル15に対する被検査電極板の位置が調整される。そして、この第3ステージにおいては、2系統の粗位置合わせ用カメラ17が配置されており、これにより、被検査電極板に形成されたアライメントマークを監視することにより、上述の粗位置合わせがなされる。
【0049】図6は、第2ステージである検査ステージにおける、検査用電極板を有する検査用電極板装置の具体的な構成を示す説明図である。この検査用電極板装置は、上部ユニット21と、下部ユニット22とからなり、上部ユニット21と下部ユニット22との間に、搬送テーブルの被検査電極板ホルダー18に保持された回路基板30が配置される。
【0050】上部ユニット21は、回路基板30の上面側において、下から順に、アダプターボード23、異方導電性エラストマーシート24および上部ベース25が積層された状態に配設されて構成され、下部ユニット22は、回路基板30の下面側において、上から順に、アダプターボード26、異方導電性エラストマーシート27および下部ベース28がこの順に積層された状態に配設されて構成されている。
【0051】上部ユニット21におけるアダプターボード23においては、図7に示すように、絶縁性のボード本体41の下面に接続用エラストマー層42が一体に形成されてなり、ボード本体41の上面部には、上部ベース25の接続電極25Aの配列に対応した配列で接続電極43が形成されている。そして、接続用エラストマー層42には、被検査電極板である回路基板30の上面の被検査電極の配列に対応した配列で、互いに絶縁された導電性領域44が形成されており、この導電性領域44の各々は、適宜の接続配線部45を介して、いずれかの接続電極43に電気的に接続されている。
【0052】また、下部ユニット22におけるアダプターボード26は、回路基板30に対して、上部ユニット21のアダプターボード23と全く同様の構成を有するものである。
【0053】以上のアダプターボード23における接続用エラストマー層42の導電性領域44が、回路基板30の上面の被検査電極に対する検査用電極となるが、このようなエラストマー層に形成された導電性領域44は、相当に大きな接続面積を有するものとすることができるため、被検査電極との関係において、接続許容幅が大きなものとなる点で好ましい。
【0054】そして、図5に示したように、上部ユニット21の上部ベース25は、装置本体に固定状態に設けられており、一方、下部ユニット22の下部ベース28は、装置本体に固定された押圧機構29の上部に、上下方向に移動されるよう設けられている。
【0055】図示の異方導電性エラストマーシート24、27は、いずれも、弾性のエラストマーシートの一面に多数の突起部24Aを有し、この突起部の内部には金属などよりなる導電性粒子が分散されており、厚み方向に圧縮されると、当該突起部にによって厚み方向の導電路が形成されるものである。
【0056】以上のような構成の装置において、搬送テーブル15の被検査電極板ホルダーに保持された回路基板30について、第3ステージにおいて、カメラ17によって被検査電極板に形成されたアライメントマークを監視することにより、アダプターボード23の検査用電極である導電性領域44に対して一応の概略的な位置合わせが行われ、これにより、搬送テーブル15が第2ステージに移動されたときには、被検査電極板である回路基板30と、検査用電極板であるアダプターボード23との粗位置合わせが行われた第1状態が得られる。
【0057】この第1状態において、第1回の電気的な検査は、次のようにして行われる。すなわち、押圧機構29により、下部ユニット22を上方に移動させて回路基板30を上部ユニット21との間に挟圧すると、これにより、回路基板30の上面がアダプターボード23の接続用エラストマー層42に押圧される。そして、接続許容幅以下である回路基板30の上面の被検査電極のすべてが、検査用電極である接続用エラストマー層42における導電性領域44に押圧されて電気的に導通された状態となる。そして、すべての検査電極対についての電気的な接続状態が、制御コンピュータ12に記憶される。
【0058】次に、回路基板30とアダプターボード23とが相対的に回転され、これにより両者は第2状態とされる。具体的には、この回転操作は、搬送テーブル15に対して被検査電極板ホルダーを移動させることによって行われる。そして、この回転操作における回転軸の位置、回転の方向および回転角度の大きさが位置制御コンピュータ13に記憶される。また、この第2状態で第2回の電気的検査が行われ、得られる第2回の電気的検査の結果が、同様に位置制御コンピュータ13に記憶される。
【0059】そして、当該位置制御コンピュータ13において、例えば上述した例に従って必要な数学的解析手段による計算がなされ、第1状態において、回路基板30とアダプターボード23との間に生じていた初期の位置ずれの状態が求められる。その後、微小位置合わせがなされて当該位置ずれが解消され、その結果得られるすべての被検査電極がこれに対応する検査用電極に導通した状態が得られ、この状態で当該被検査電極板について所期の検査が実行される。
【0060】図示の例においては、回路基板30はその上面と下面の両方に電極を有するものであるが、下部ユニット22のアダプターボード26における接続電極の配置を上部ユニット21のアダプターボード23における接続電極43と完全に上下方向に一致した状態としておくことにより、回路基板30との位置合わせにおいては、単に当該回路基板30を移動させることのみにより、その両面の電極を上部ユニット21および下部ユニット22のアダプターボード23および26に対してそれぞれ同時に位置合わせを達成することができる。
【0061】本発明の回転後状態検出工程において、回転操作における回転軸の位置は、理論的にはいずれの位置であってもよい。しかし、当該回転軸の位置を、検査電極対が配置されている領域の中心に選ぶと、回転角度φの絶対値をある程度大きくすることが必要となる場合がある。それは、当該回転角度が小さい場合には、回転によって電気的な接続状態が変化する検査電極対の割合が低くなるからである。
【0062】一方、当該回転軸の位置を、検査電極対が配置されている領域より遠隔した位置とすると、多くの検査電極対に対して回転によって与えられる変位の状態が、互いに同一の平行移動による場合と殆ど同様な変位となってしまい、検査電極対の位置による差異が小さいものとなるため、回転を前提とする解析を行っても、初期の位置ずれの状態を十分に信頼性の高いものとして検出することの困難性が大きくなる。
【0063】また、回転操作における回転角度φの大きさは、理論的には任意の大きさでよいが、得られる結果について合理的な数学的解析を行うことができて初期の位置ずれの状態が具体的な変位量として得られるよう、例えば既述の式(3)のように、接続許容幅をファクターとして含む形で定義された大きさとすることが便利である。理論的に十分な数学的解析が可能であれば、他の定義による角度であってもよいことは勿論である。実際上、この回転角度の大きさは、例えば0.01度〜1.0度の範囲とされることが好ましい。
【0064】本発明の方法を実施するためには、すべての被検査電極板について、その被検査電極のあるべき電気的な状態、すなわち、当該被検査電極と電気的に接続されているべき被検査電極および電気的に接続されていてはならない被検査電極の状況がすべて知られていることが必要である。
【0065】本発明によって検出されるべき初期の位置ずれの量があまり大きいものである場合には、得られる検出結果は信頼性の高いものとはならない。従って、本発明の初期状態検出工程における粗位置合わせが必要であり、その程度は、例えば接続許容幅の2倍程度以下である。
【0066】本発明の解析工程を実行するために、被検査電極板におけるすべての被検査電極についてのあるべき位置の情報、すなわち、座標位置の情報が得られていることが必要である。
【0067】本発明の被検査電極板の検査方法は、以上のように、初期状態検出工程、回転後状態検出工程および解析工程が行われればよいが、初期状態検出工程における粗位置合わせは、すべてのこの種の検査に必須の作業であり、また解析工程の計算は、実際にはコンピュータを利用することにより、きわめて短時間のうちに実行可能である。そして、電気的な接続状態の検査および回転操作のための所要時間は、いずれも短時間で十分であるから、結局、本発明においては、全体としてきわめて短い時間のうちに、初期の位置ずれの状態を検出することができる。
【0068】また、本発明によれば、検出される初期の位置ずれの状態を、被検査電極板と検査用電極板との間の具体的な変位量として求めることができる。従って、この結果に基づいて、直ちに両者の微小位置合わせを実行し、確実に目的とする位置合わせを達成することができる。
【0069】しかも、本発明においては、アライメントマーク、その他の間接的な位置合わせ手段を利用するものではないため、当該位置合わせ手段自体によって不可避的に導入される誤差が含まれるおそれがなく、位置合わせをなすべき被検査電極板の被検査電極と検査用電極板の検査用電極との変位によって初期の位置ずれの状態を求めるものであるため、非常に高い信頼性が得られる。
【0070】以上のことから、本発明による初期の位置ずれの検出は、繰り返して行われる順次の各被検査電極板の検査の度毎に、その電気的な接続状態の検査に先行して実施することができる。そして、この場合にも、各被検査電極板毎に要する検査時間が長くなる程度は、きわめてわずかである。
【0071】実験例1この実験例は、本発明の効果を確認するためのシミュレーションである。このシミュレーションにおいては、図8R>8に示すように、一辺が9mmの正方形の被検査電極板PBであって、その各辺に沿って、各々の直径が50μmである円形の被検査電極Dがピッチpが0.3mmとなる状態で2列に合計170個の被検査電極Dが形成されている被検査電極板PBを用いると共に、当該被検査電極板PBにおける被検査電極Dに対応する配列を有する検査用電極板を用い、解析工程においては、既述の式(1)〜(9)によって処理することとした。この場合の接続許容幅(上記式(3)におけるT)は50μmである。
【0072】下記の表1は、検査用電極板を固定したままで、完全に被検査電極板が検査用電極板に一致した状態(完全に位置合わせが達成された状態)から、被検査電極板を意図的に−0.2度だけ回転し(dθ=−0.2度)、更に種々の大きさのdxおよびdyだけ微小に変位させて初期の位置ずれが生じた状態を実現した場合の各々における、合計170個の各検査電極対についての変位量(ΔD)を計算し、最大の変位量を示す検査電極対における当該変位量の大きさをまとめたものである。ここに、変位量(ΔD)は、検査電極対に係る検査用電極と被検査電極との間の直線的距離である。また、dxおよびdyの値としては、各々、−100μmから20μm毎に+100μmまでの全11個を選んだ。
【0073】また、表2は、表1の状態から、既述の図4R>4に関して説明した例に従って、回転軸を被検査電極板PBの中心に選び、回転角度φを0.589度に設定して被検査電極板を検査用電極板に対して回転させ、検出された初期の位置ずれの状態に基づいて微小位置合わせを実行し、その状態で、表1の場合と同じ手続きによって各検査用電極板についての変位量の最大値をまとめたものである。
【0074】
【表1】


【0075】
【表2】


【0076】表1および表2において、太い実線で囲まれた数値が50μm以下である領域は、すべての検査電極対における位置ずれの量が接続許容幅以下であって電気的な導通状態が確保されていることを意味する。また、表2において、「X」は、上記の数学的解析手段によっては解析ができなかった領域を示す。
【0077】表1から、接続許容幅の50μm以下となる領域はdxが−20μm〜+20μmであってかつdyが−20μm〜+20μmの範囲であること、しかもこの範囲内であっても接続許容幅を越える場合があることが理解される。一方、表2から、接続許容幅以下となる可能性のある領域はdxが−60μm〜+60μmであってかつdyが−60μm〜+60μmの範囲であること、並びにdxが−40μm〜+40μmであってかつdyが−40μm〜+20μmの範囲では、位置ずれの量が確実に接続許容幅以下であることが理解される。
【0078】そして、例えば表1において、dx=40μm、dy=−40μmの場合は、170個の検査電極対のうちの最も大きい位置ずれの量を有するものの当該位置ずれの量の大きさは81μmである。従って、表1の初期の位置ずれが生じている状態から、本発明に従って検出された初期の位置ずれの状態に基づいて微小位置合わせを実行した後は、表2に示すように、位置ずれの量の最大値は24μmであって接続許容幅以下となっており、目的とする検査が可能であることが理解される。
【0079】表3および表4は、上記の場合と条件を変更し、dθを+0.2度、回転軸の位置を被検査電極板のコーナー位置、回転角度φを0.394度とした場合についての、表1および表2と同様のシミュレーションの結果を示す。この表3および表4からも、上記と同様に、本発明による初期の位置ずれの状態の検出結果に基づいて微小位置合わせを実行することにより、確実に高い精度で所期の位置合わせ状態が得られることが理解される。
【0080】
【表3】


【0081】
【表4】


【0082】実験例2この実験例においては、実験例1と同様の構成の被検査電極板を用い、接続許容幅が40μmとされた条件で、下記の操作を行った。すなわち、検査用電極板に対して被検査電極板を微小距離づつ移動させて電気的な接続状態の検査を繰り返し、最も安定した検査が実行される被検査電極板の位置状態を求めてこれを目標位置状態とした。
【0083】次に、表5に示されるdx、dyおよびdθだけ被検査電極板を移動させた。ここに得られる状態は、粗位置合わせがなされた第1状態と見做すことのできる状態であり、この状態で第1回の電気的検査を実行した。そして、この事実上の第1状態において生じている各検査電極対における変位量を計算し、最大の変位量が生じている検査電極対の当該変位量を求めた。これが表5の「位置合わせ前のずれ量」である。
【0084】次に、この準第1状態から被検査電極板を角度φだけ回転させた。ここに回転角度φの大きさは0.392度であり、回転軸の位置は正方形の一辺の中心とした。そして、この状態で第2回の電気的検査を実行した。
【0085】以上のようにして得られる第1回の電気的検査および第2回の電気的検査の結果と、用いた被検査電極板の被検査電極の配置状態、具体的には検査装置から得られる接続不良の報告および被検査電極板の設計データに基づいて、当該被検査電極板の位置ずれの量を式(1)〜(9)によって計算し、初期の位置ずれの状態を求めた。そして、ここに検出された初期の位置ずれの状態に基づいて微小位置合わせを行った後における各検査電極対における変位量を計算し、その最大値を「位置合わせ後のずれ量」として求めた。結果は表5に示すとおりである。
【0086】
【表5】


【0087】表5から明らかなように、微小位置合わせを行った後の状態は、ずれ量が接続許容幅の40μmより小さく、すべての検査電極対において良好な導通状態が達成されていることが理解される。
【0088】本発明において、検査装置としては、被検査電極板と検査用電極板とを相対的に回転させることのできるものであれば、特に制限されるものではなく種々のものを用いることができる。
【0089】
【発明の効果】本発明の被検査電極板の検査方法によれば、きわめて簡単な操作により、粗位置合わせがなされたときに被検査電極板と検査用電極板との間に生じている初期の位置ずれの状態を、直接の対象である当該被検査電極板の被検査電極と検査用電極板の検査用電極との変位量に基づいて、従って高い信頼性で検出することができ、しかも、所要時間はきわめて短時間である。そして、初期の位置ずれの状態は、被検査電極板と検査用電極板との間における具体的な変位量として得られるので、これによって直ちに微小位置合わせを実行し、確実に目的とする位置合わせが達成され、結局、高い効率で所期の被検査電極板の検査を達成することができる。
【0090】また、初期状態検出工程が実行された後に、複数回にわたって回転後状態検出工程を行う場合には、更に一層信頼性の高い状態で、初期の位置ずれの状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被検査電極の一例における接続許容幅についての説明図である。
【図2】本発明の初期状態検出工程における、被検査電極板と検査用電極板について、粗位置合わせがなされた状態の一例を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の回転後状態検出工程における、被検査電極板と検査用電極板とに対する回転操作がなされた状態を示す説明図である。
【図4】本発明の方法における、被検査電極と検査用電極とによる検査電極対における初期の位置ずれと、回転による変位とについての説明図である。
【図5】本発明の被検査電極板の検査方法の実施に用いることのできる装置の一例における全体のシステムを示すブロック図である。
【図6】図5の例における、検査ステージの検査用電極板を有する検査用電極板装置の具体的な構成を示す説明図である。
【図7】図6の例における、上部ユニットにおけるアダプターボードの構成を示す説明用断面図である。
【図8】本発明のシミュレーションにおいて用いられた回路基板の電極の配列状態を示す説明図である。
【符号の説明】
P,P1,P2 被検査電極 D,D1,D2 検査用電極
PB 被検査電極板 DB 検査用電極板
DP1,DP2 検査電極対 10 検査装置本体
11 テスター 12 制御コンピュータ
13 位置制御用コンピュータ 14 制御機構
15 搬送テーブル 17 粗位置合わせ用カメラ
18 被検査電極板ホルダー 21 上部ユニット
22 下部ユニット 23 アダプターボード
24 異方導電性エラストマーシート 24A 突起部
25 上部ベース 25A 接続電極
26 アダプターボード 27 異方導電性エラストマーシート
28 下部ベース 29 押圧機構
30 回路基板 41 ボード本体
42 接続用エラストマー層 43 接続電極
44 導電性領域 45 接続配線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに重なり合うよう配置された、複数の被検査電極を有する被検査電極板と、この被検査電極板の被検査電極に対応する検査用電極を有する検査用電極板とについて、粗位置合わせがなされた状態で、被検査電極板の被検査電極とこれに対応する検査用電極板の検査用電極とによる検査電極対における電気的な接続状態を検出する初期状態検出工程と、この粗位置合わせがなされた状態における被検査電極板と検査用電極板とを、被検査電極板および検査用電極板に垂直な回転軸の周りに、予め設定された大きさの角度だけ相対的に回転させる回転操作を行い、その後、各検査電極対に係る被検査電極と検査用電極との間の電気的な接続状態を検出する回転後状態検出工程と、少なくとも回転操作によって電気的な接続状態が変化した複数の検査電極対の各々について、当該検査電極対に係る被検査電極または検査用電極が占める、前記回転軸を基準位置とする座標上の位置、初期状態検出工程および回転後状態検出工程において検出された、当該検査電極対における電気的な接続状態の内容、並びに回転後状態検出工程における回転操作に係る回転の方向および回転角度の大きさに基づいて、粗位置合わせがなされた状態における検査用電極板と被検査電極板との間に生じている位置ずれの状態を数学的解析手段によって求める解析工程と、を含んでなる位置ずれ検出操作が行われることを特徴とする被検査電極板の検査方法。
【請求項2】 請求項1に記載の被検査電極板の検査方法において、回転後状態検出工程が、回転操作における回転角度および/または回転軸の位置が異なる状態で複数回実行され、初期状態検出工程および複数の回転後状態検出工程の各々において検出された結果と条件とに基づいて、粗位置合わせがなされた状態における検査用電極板と被検査電極板との相対的な位置ずれの状態を数学的解析手段によって求める解析工程が実行されることにより、位置ずれ検出操作が行われることを特徴とする被検査電極板の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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