説明

被覆ポリオキシメチレン

少なくとも1つのポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーA)、並びに場合により他の添加剤B)を含む被覆ポリオキシメチレン成形品であって、前記成形部材は、少なくとも1つの結合剤C)及び1つのホルムアルデヒド捕捉剤D)で表面が被覆されており、ポリアルキレンオキシドC若しくはポリビニルエステルC、又はCとCから作製されるグラフトポリマーC、又はこれらの混合物を結合剤C)として使用し、少なくとも1つのヒドラジン化合物をホルムアルデヒド捕捉剤D)として使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの結合剤C)及び1つのホルムアルデヒド捕捉剤D)で表面が被覆されており、少なくとも1つのポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーA)を、場合により更なる添加剤B)を含む被覆ポリオキシメチレン成形品に関し、本発明は、結合剤C)として、ポリアルキレンオキシドC若しくはポリビニルエステルC、又はC及びCからなるグラフトポリマーC、又はこれらの混合物が使用され、かつホルムアルデヒド捕捉剤D)として、少なくとも1つのヒドラジド化合物が使用されることを特徴とする。
【0002】
本発明は、更に、任意の種類のこれらの被覆ポリオキシメチレン成形品の製造方法に関する。
【0003】
低ホルムアルデヒド放出を有するポリオキシメチレンは、多くの用途、特に自動車用途に関連する。
【0004】
ホルムアルデヒド捕捉剤の例は、FA(ホルムアルデヒド)を物理的に吸収するゼオライトである。
【0005】
他のホルムアルデヒド捕捉剤は、FAと化学的に反応するN含有化合物である。
【0006】
アミン、アミノ置換トリアジン及びヒドラジド成分が、EP−A1637557、EPA1522554、JP−A11/140272、JP−A06/80619、JP−A04/345648及びJP2002/35098に例として開示されている。記述された全ての明細書において、FA捕捉剤は、いわゆる(二次的な)更なる方法によって組み込まれている。ここでFA添加剤は、従来の液化方法が完了する前でも反応により消費されるので、比較的高含有用のFA捕捉剤が成形組成物において必要である。
【0007】
主にN含有FA捕捉剤の存在は、ポリマーに黄色の着色効果ももたらしうる。液化方法中に生成されるモノマーは、存在するN化合物が重合方法を妨げるので、精製することなく重合方法に戻すことができない。
【0008】
したがって、上記の欠点を有さない、FA放出を低減したポリオキシメチレンを提供することが本発明の目的であった。
【0009】
序文において定義された被覆POM成形品が結果的に見出された。更に、被覆ポリオキシメチレンの製造方法が見出された。
【0010】
好ましい実施態様は、下位クレームにおいて見出される。
【0011】
本発明の成形品は、成分A)として、10〜100質量%、好ましくは30〜98質量%、特に40〜90質量%のポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーを含む。
【0012】
これらのポリマーは、それ自体当業者にとって既知であり、文献に記載されている。
【0013】
これらのポリマーは、一般に、ポリマー主鎖に少なくとも50mol%の−CHO−反復単位を有する。
【0014】
ホモポリマーは、一般に、好ましくは適切な触媒の存在下でホルムアルデヒド又はトリオキサンを重合することによって製造される。
【0015】
本発明の目的において、成分Aは、好ましくはポリオキシメチレンコポリマーであり、特に、−CHO−反復単位の他に、50mol%まで、好ましくは0.1〜20mol%、特に0.3〜10mol%、とりわけ好ましくは0.2〜2.5mol%の反復単位も有する
【化1】

[式中、R〜Rは、互いに独立して、水素原子、C〜Cアルキル基又は1〜4個の炭素原子を有するハロゲン置換アルキル基であり、Rは、−CH−、−CHO−、C〜Cアルキル−若しくはC〜Cハロアルキル置換メチレン基又は対応するオキシメチレン基であり、そしてnは、0〜3の範囲である]である。これらの基は、有利には、環状エーテルの開環によりコポリマーに導入されうる。好ましい環状エーテルは、下記式
【化2】

[式中、R〜R及びnは、上記に定義されたとおりである]を有する。単なる例として、エチレンオキシド、プロピレン1,2−オキシド、ブチレン1,2−オキシド、ブチレン1,3−オキシド、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン及び1,3−ジオキセパンを環状エーテルとして、またポリジオキソラン又はポリジオキセパンのような直鎖オリゴホルマール及びポリホルマールをコモノマーとして記述することができる。
【0016】
他の適切な成分A)は、例えば、トリオキサンと、上記の環状エーテルのうちの1つと、第3モノマー、好ましくは、下記式
【化3】

[式中、Zは、化学結合、−O−、−ORO−(R=C〜Cアルキレン又はC〜Cシクロアルキレン)である]の二官能化合物とを反応させて製造される、オキシメチレンターポリマーである。
【0017】
この種類の好ましいモノマーは、エチレンジグリシド、ジグリシジルエーテル、並びにグリシジル化合物及びホルムアルデヒド、ジオキサン又はトリオキサンからモル比2:1で作製されるジエーテル、また、2molのグリシジル化合物及び2〜8個の炭素原子を有する1molの脂肪族ジオールから作製されるジエーテルであり、単に幾つかの例を挙げると、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−シクロブタンジオール、1,2−プロパンジオール又は1,4−シクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテルである。
【0018】
上記のホモポリマー及びコポリマーの製造方法は、当業者には既知であり、文献に記載されており、したがって更なる詳細は、本明細書においては不要である。
【0019】
好ましいポリオキシメチレンコポリマーは、少なくとも160℃〜170℃の融点(DSC、ISO3146)及び5000〜300000、好ましくは7000〜250000の範囲の分子量(重量平均)Mw(GPC、PMMA基準)を有する。
【0020】
特に好ましいものは、鎖の末端にC−C結合を有する末端基安定ポリオキシメチレンポリマーである。
【0021】
本発明のポリオキシメチレン成形品は、70質量%まで、好ましくは50質量%まで(A)及びB)の100質量%に基づく)の他の添加剤を含むことができる。適切な添加剤の例は以下の通りである。
【0022】
−タルク、
−ポリアミド、特にコポリアミド、
−アルカリ土類金属ケイ酸塩及びアルカリ土類金属グリセロリン酸塩、
−飽和脂肪族カルボン酸のエステル又はアミド、
−アルコールから及びエチレンオキシドから誘導されるエーテル、
−非極性ポリプロピレンワックス、
−核剤、
−好ましくは相乗剤としてホウ酸又はその誘導体を有する、ガラス繊維、ナノチューブ、珪灰石、チョークのような充填剤、
−衝撃改質ポリマー、特に、エチレン−プロピレンゴム(EPMゴム)に基づいた又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMゴム)に基づいた又は熱可塑性ポリウレタンに基づいたもの、
−難燃剤、
−可塑剤、
−カップリング剤、
−染料及び顔料、
−D)と異なる又はゼオライト若しくはポリエチレンイミン若しくはメラミン−ホルムアルデヒド縮合物である更なるホルムアルデヒド捕捉剤、
−酸化防止剤、特に、フェノール構造を有するもの、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、アクリル酸塩、安息香酸塩、オキサニリド及び立体障害アミン(HALS=ヒンダードアミン光安定剤)。
【0023】
これらの添加剤は既知であり、Gaechter/Mueller, Plastics Additives Handbook, Hanser Verlag Munich, 4th edition, 1993, reprint 1996に例として記載されている。
【0024】
添加剤の量は、使用される添加剤及び所望の効果によって決まる。従来の量は当業者には既知である。添加剤を併用する場合、これらは従来の方法、例えば、個別に又は一緒に、未希釈で又は溶液若しくは懸濁液の形態で又は好ましくはマスターバッチの形態で添加される。
【0025】
完成POM成形組成物は、例えばPOM及び添加剤を押出機、混練機若しくは混合機、又は他の好適な混合装置により混合し、POMを溶融し、混合物を排出し、次にそれを通常はペレット化する、単一工程によって製造することができる。しかし、成分の一部又は全てを「冷たいままで」乾燥混合機又は別の混合装置により予備混合することより開始し、押出機又は他の混合装置により、場合により更なる成分を添加して、得られた混合物を、POMを溶融する第2工程により均質化することが有利であることが証明されている。少なくともPOM及び酸化防止剤(併用する場合)の予備混合が特に有利でありうる。
【0026】
押出機又は混合装置は、例えば残留モノマー又は他の揮発性成分を除去する簡単な方法を提供するために、液化装置を有することができる。均質化混合物は、通常排出され、好ましくはペレット化される。
【0027】
液化装置からの排出と、添加剤が添加される混合装置への導入との間の滞留時間を最小限にするために、添加剤の添加のために特に穏やかな条件を設計することが可能である。このためには、例として、液化容器を、添加剤のブレンドに使用される押出機の取入れ口に直接取り付けることができる。
【0028】
本発明のポリオキシメチレン成形品は、上記に記載されているように、成分A)及び場合によりB)を含み、少なくとも1つの結合剤C)及び1つのホルムアルデヒド捕捉剤D)で被覆されており、ここで結合剤C)として、少なくとも1つのポリアルキレンオキシドC)若しくは1つのビニルエステルC)、又はC)及びC)からなる1つのグラフトポリマーC)、又はこれらの混合物が使用される。
【0029】
本発明の成形品は、チップ、粉末、微粉末、ビーズ又はレンズ状顆粒の形態、好ましくはペレットの形態で使用することができる。
【0030】
ポリアルキレンオキシドを、好ましい結合剤C)の第1群として記述することができる。
【0031】
これらの例は、下記の一般式
【化4】

の非イオン性化合物である、ポリエチレングリコールである。
【0032】
ポリエチレングリコールは、ほとんどの場合に少量の水(あるいは、ナトリウムメトキシド又はアルカリ金属水酸化物)の存在下での、エチレンオキシド(オキシラン)のアニオン性開環重合を介して工業的に製造される。反応を実施するための関数として、これらのモル質量は、約200〜5000000g/molの範囲であり、約5〜>100000の重合度Pに対応する。P=2〜4の生成物(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール)も、より広い意味においてポリエチレングリコールに数えられ、これらは、均一モル質量で製造することができ、一方、高モル質量のポリエチレングリコールは、多分散される。nの関数によって、生成された物質は、軟質ペースト又はワックスの形態をとる。
【0033】
モル質量が約<25000g/molである液体生成物は、実際はポリエチレングリコールと呼ばれ、PEGと略され、一方、高モル質量の固体材料(融点約65℃)は、ポリエチレンオキシドと呼ばれ、PEOXと略される。高モル質量ポリエチレンオキシドは、極めて低い濃度の反応性ヒドロキシ末端基を有し、したがって、低いレベルの保持グリコール特性のみ示す。ポリエチレングリコールという用語は、多価アルコールへのエチレングリコールの分岐鎖ポリ付加物にも使用される。
【0034】
ポリエチレングリコールは、固体に対して液体又はワックスの形態をとる生成物であり、約100℃まで及び多くの有機溶媒において良好な水溶性を有する。水溶液は、顕著な流動学的特性を有し、多様な溶液は、時々、高レベルの粘弾性を示す。
【0035】
平均モル質量(DIN53240によりOH数から計算)は、好ましくは100〜15000g/mol、好ましくは150〜10000g/molであり、融点は、一般に−50〜100℃、好ましくは−40〜80℃である。
【0036】
DIN51562による20℃での動粘度は、10〜150mm/s、好ましくは80〜120mm/sである。
【0037】
これらの生成物は、商標Pluriol(登録商標)EでBASF Aktiengesellschaftから得られる。
【0038】
更なる好ましい結合剤C)の群は、下記一般式
【化5】

[式中Mは、250〜4000である]のポリプロピレングリコールにより提供され、これらの低モル質量の代表例は水混和性であり、一方、高モル質量のポリプロピレングリコールは、対照的に、非常に難水溶性である。非常に高いモル質量のポリプロピレングリコールは、ポリプロピレンオキシドと呼ばれる。ポリプロピレングリコールは、メチルオキシランの開環重合を介して生成される。グリコールエーテルは、より広い意味においてポリエーテルとして数えられる。ポリプロピレングリコールの最も簡単な代表例は、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びテトラプロピレングリコールである。
【0039】
好ましいポリプロピレングリコールの平均モル質量(OH数から計算)は、200〜10000g/mol、好ましくは400〜5,000g/molであり、DIN51562による20℃での動粘度は、50〜2000mm/s、好ましくは80〜1200mm/sである。
【0040】
これらの生成物は、商標Pluriol(登録商標)PでBASF Aktiengesellschaftから市販されている。
【0041】
別の好ましい結合剤C)の群は、以下などの、アルキルポリアルキレングリコールにより提供される。
【0042】
メチルポリエチレングルコール
CHO(CHCHO)H (Pluriol(登録商標)A...E等級)
ブチルポリプロピレングリコール
R−O[CH(CH)CHO]H (Pluriol(登録商標)A...P等級)
ブチルポリアルキレングリコールコポリマー
R−O[(CHCHO)(CH(CH)CHO)]H (Pluriol(登録商標)A...PE等級)
アリルジオール及びブチンジオールポリアルキレングリコール、
また、テトラメチルデシンジオール (Pluriol(登録商標)A...R等級)
アリルアルコールエトキシレート
CH=CHCHO(CHCHO)H (Pluriol(登録商標)A 010 R)
アリルアルコールアルコキシレート
CH=CHCHO[(CHCHO)(CH(CH)CHO)]H (Pluriol(登録商標)A 23 R)
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール (Pluriol(登録商標)A 104 R)
メチル末端基でキャップされているアリルアルコールアルコキシレート
CH=CHCHO[(CHCHO)(CH(CH)CHO)]CH (Pluriol(登録商標)A 111 R)
ブチン−1,4−ジオールポリエトキシレート
H(OCHCH−OCH−C≡C−CHO−(CHCHO)H (Pluriol(登録商標)A 308 R)
トリメチロールプロパン又はグリセロールに基づいた多官能ポリアルキレングリコール (Pluriol(登録商標)A TE等級)
DIN53240によるヒドロキシ数は、好ましくは、3〜1000mgKOH/g未満であり、好ましいものは、3〜800mgKOH/g未満であり、平均モル質量は、200〜7000、好ましいものは、350〜5000g/molである。
【0043】
当然のことながら、上記の結合剤C)の混合物の使用も可能である。
【0044】
結合剤C)として好ましくは、ポリビニルエステルが使用され、好ましいものは、本明細書において、ポリ酢酸ビニル及び/又はポリプロピオン酸ビニルである。
【0045】
特に好ましいものは、酢酸ビニルのフリーラジカル重合を介して得られるポリ酢酸ビニルである。ポリマー鎖のビルドアップの際のモノマーの結合は、大体において(最大98%)頭−尾結合重合の形態で生じ、僅かな程度で頭−頭結合重合の形態で生じ、ポリ酢酸ビニルの巨大分子の特徴的な基本単位は、主にI型(頭−尾)基を含み、僅かなII型(頭−頭)基しか含まない。
【化6】

【0046】
ポリ酢酸ビニルは、バルク、溶液若しくは懸濁(ビーズ)重合の方法により、又は工業目的には好ましい乳化重合の方法により製造することができる。ポリ酢酸ビニルのモル質量は、10000〜1500000g/molである。これらは、臭気及び味覚のない非晶質生成物であり、高い耐光堅牢度及び耐候性を有し、不水溶性であるが、多くの有機溶媒(エステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素など)に可溶性である。ポリ酢酸ビニルは、粉末、顆粒若しくはペレットの形態又は水性分散液の形態で市販されている。
【0047】
好ましい商品は、商標Vinnapas(登録商標)でWacker Polymer Systems GmbH & Co. KGから入手可能である。これらの製品の粘度は、好ましくは1.0〜60mPa・s、好ましくは1.2〜55mPa・s(DIN53015による20℃での酢酸エチル中の濃度10%)である。
【0048】
当然のことながら、上記の結合剤C)の混合物の使用も可能である。
【0049】
)及びC)からなるグラフトポリマーを、特に好ましい結合剤C)として記述することができ、これらは、DE−A1077430及びEP−A219048に例として記載されており、これらは参考として本明細書に明示的に援用される。
【0050】
これらは、狭いモル質量分布が特に特徴的であり、したがって多分散性M/Mは、一般に≦4、特に≦3、好ましくは≦2.5である。これらの多分散性M/Mは、とりわけ好ましくは1.0〜2.3の範囲である。グラフトポリマーの多分散性は、例として、狭分布ポリメチルメタクリレートを基準として使用するゲル浸透クロマトグラフィーにより決定することができる。
【0051】
グラフトポリマーの平均分子量Mは、3000〜100000、好ましくは6000〜45000、特に好ましくは7000〜30000である。
【0052】
グラフトポリマーは、好ましくは、
A)20〜70質量%の水溶性ポリアルキレンオキシド、並びに
B)(B1)70〜100質量%の酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニル及び
(B2)0〜30質量%の更なるエチレン性不飽和モノマー、からなる30〜80質量%のビニルエステル成分、からなる構造を有する。
【0053】
これらは、特に好ましくは、25〜60質量%の成分(A)及び40〜75質量%のポリビニルエステル成分(B)を含む。
【0054】
グラフトベース(A)を形成するのに適した水溶性ポリアルキレンオキシドは、原則的には、エチレンオキシドを重合導入された形で少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは75質量%含む、C〜Cアルキレンオキシドに基づいた任意のポリマーである。
【0055】
ポリアルキレンオキシド(A)は、好ましくは低多分散性M/Mを有する。これらの多分散性は、好ましくは≦1.5である。
【0056】
ポリアルキレンオキシド(A)は、遊離形態の、すなわちOH末端基を有する対応するポリアルキレングリコールでありうるが、一端又は両端が末端基でキャップされているものでもありうる。適切な末端基の例は、C〜C25アルキル基、フェニル基及びC〜C14アルキルフェニル基である。
【0057】
特に適切なポリアルキレンオキシド(A)を記述することができる個々の例は、以下の通りである。
【0058】
(A1)一端又は両端が特にC〜C25アルキル基で末端キャップされているが、好ましくはエーテル化されておらず、平均分子量Mが好ましくは1000〜20000、特に好ましくは2500〜15000である、ポリエチレングリコール、
(A2)エチレンオキシド含有量が少なくとも50質量%であり、一端又は両端が同様に特にC〜C25アルキル基で末端キャップされているが、好ましくはエーテル化されておらず、平均分子量Mが好ましくは1000〜20000、特に好ましくは2500〜15000である、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドのコポリマー、
(A3)平均分子量が特に2500〜20000であり、平均分子量Mが200〜5000のプロピレングリコール(A1)又は平均分子量Mが200〜5000のコポリマー(A2)と、C〜C12ジカルボン酸又はC〜C12ジカルボン酸エステル又はC〜C18ジイソシアネートとの反応を介して得られる、鎖延長生成物。
【0059】
好ましい成分(A)は、ポリエチレングリコール(A1)である。
【0060】
ビニルエステル成分(B)は、有利には、(B1)酢酸ビニル若しくはプロピオン酸ビニルから又は酢酸ビニルとプロピオン酸ビニルの混合物からなっていてよく、酢酸ビニルは、本明細書においてビニルエステル成分(B)として特に好ましい。
【0061】
しかし、グラフトポリマーを、酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニル(B1)、並びに更なるエチレン性不飽和モノマー(B2)の共重合を介して形成することもできる。ビニルエステル成分(B)におけるモノマー(B2)の割合は、本明細書において、30質量%までであることができ、グラフトポリマーにおける(B2)の24質量%の含有量に相当する。
【0062】
適切なコモノマー(B2)の例は、モノエチレン性不飽和カルボン酸及びジカルボン酸とこれらの誘導体、例えばエステル、アミド及び無水物、並びにスチレンである。当然のことながら、多様なコモノマーの混合物の使用も可能である。
【0063】
記述することができる個々の例は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のC〜C12アルキル及びヒドロキシ−C〜C12アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、N−C〜C12アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(C〜Cアルキル)(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸、並びにマレイン酸のモノ(C〜C12アルキル)エステルである。
【0064】
好ましいモノマー(B2)は、(メタ)アクリル酸のC〜Cアルキルエステル及びヒドロキシエチルアクリレートであり、特に好ましいものは、本明細書において、(メタ)アクリル酸のC〜Cアルキルエステルである。
【0065】
とりわけ好ましいモノマー(B2)は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、特にn−ブチルアクリレートである。
【0066】
本発明のグラフトポリマーがビニルエステル成分(B)としてモノマー(B2)を含む場合、グラフトポリマーにおける(B)の含有量は、好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜15質量%、とりわけ好ましくは2〜10質量%である。
【0067】
これらのグラフトポリマーの製造方法及び更なる詳細については、DE−A1077430及びEP−A219048が、参考として本明細書に明示的に援用される。
【0068】
POM成型品の被覆では、結合剤C)がFA捕捉剤D)と組み合わされて使用され、本明細書で使用されるFA捕捉剤は、少なくとも1つのヒドラジド化合物を含む。
【0069】
カルボン酸ヒドラジドが好ましく、特に脂肪族若しくは芳香族ジヒドラジド又はそれらの混合物である。
【0070】
下記一般式
【化7】

[式中、
n=1又は2であり、
=H又は5〜6個の炭素原子を有する芳香族残基であり、
Y=2〜30個の炭素原子を有するアルキル残基又は5〜8個の炭素原子を有する芳香族残基又はアミノ若しくはヒドラジド基(−NH−NH)であり、ここでアルキル残基又は芳香族残基は、場合により、酸素基、アミノ基、硫黄基、窒素基又はヒドラジド基を置換基として含むことができる]のヒドラジド化合物が一般に使用される。
【0071】
好ましいヒドラジドは、2〜30個の炭素原子、好ましくは2〜25個の炭素原子を有するカルボン酸ヒドラジドであり、すなわち、ペラルゴン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸、ベヘン酸、カプリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、プロピオン酸、吉草酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、チオカルボン酸のヒドラジド、又はコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、エイコサン二酸、7,11−オクタデカジエン−1、18−ジカルボン酸のヒドラジド(モノヒドラジド又はジヒドラジド)であり、好ましくは、本明細書では、バレロヒドラジド、アジピン酸のモノヒドラジド及びジヒドラジド、またセミカルバジド及びカルボノヒドラジドである。
【0072】
脂環式酸の記述することができるヒドラジドは、シクロヘキサノヒドラジド、例えばシクロヘキサントリカルボン酸のモノヒドラジド、ジヒドラジド又はトリヒドラジドである。ヒドラジドとジカルボン酸又はそれらの塩化物との重縮合を介して得られるポリマーヒドラジド
【化8】

[式中、R及びRは、同一又は異なる、2〜30個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族残基であることができる]を使用することも可能である。
【0073】
記述することができる適切な芳香族ヒドラジドは、ベンジルカルバジド、o−、m−若しくはp−メチルベンジルヒドラジド、3−アミノベンジルヒドラジド、1,5−ジフェニルカルバジド、2−メトキシベンジルヒドラジド、2,4/3,4/3,5/2,5−ジメチルベンジルヒドラジド、o/m/p−ヒドロキシベンジルヒドラジド、o/m/p−アセトキシベンジルヒドラジド、4−ヒドロキシ−3−フェニルベンジルヒドラジド、α,β−ナフチルヒドラジド、イソフタル酸及び/若しくはテトラフタル酸のジ−ヒドラジド及びモノヒドラジドのような芳香族ジカルボン酸ヒドラジド、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸ヒドラジド又はこれらの混合物である。複素環ヒドラジドの例は、ピリジン−4−カルボン酸ヒドラジドのようなピリジンカルボン酸ヒドラジドである。
【0074】
好ましくは、芳香族カルボン酸ヒドラジドの群の化合物[例としては、モノカルボン酸ヒドラジド(例えば、ベンゾヒドラジド及びそれに官能基を導入することにより得られる化合物(例えば、フェニル残基が、置換基としてアルキル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基、アミノ基、アセトアミノ基、ニトリル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、クミル基又はヒドロキシフェニル基のような1〜5つの官能基を有するベンゾグアナミン誘導体、例えば、o−、m−又はp−メチルベンゾヒドラジド、2,4−、3,4−、3,5−又は2,5−ジメチルベンゾヒドラジド、o−、m−又はp−ヒドロキシベンゾヒドラジド、o−、m−又はp−アセトキシベンゾヒドラジド、4−ヒドロキシ−3−フェニルベンゾヒドラジド、4−アセトキシ−3−フェニルベンゾヒドラジド、4−フェニルベンゾヒドラジド、4−(4’−フェニル)ベンゾヒドラジド、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾヒドラジド及び4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゾヒドラジド)、α−又はβ−ナフトヒドラジド及びそれに官能基を導入することにより得られる化合物(例えば、3−ヒドロキシ−2−ナフトヒドラジド及び6−ヒドロキシ−2−ナフトヒドラジド)、並びにポリカルボン酸ヒドラジド(例えば、イソフタル酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、テトラフタル酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ナフタレン−1,4−又は2,6−ジカルボンサンモノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェニル−3,3’−ジカルボン酸又は−3,4’−ジカルボン酸又は4,4’−ジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェニルエーテルジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェニルメタンジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェニルエタンジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェノキシエタンジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェニルスルホンジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ジフェニルケトンジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ターフェニル−4,4’’−ジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、クオーターフェニル−4,4’’’−ジカルボン酸モノヒドラジド又はジヒドラジド、ベンゼン1,2,4−ジカルボン酸モノヒドラジド〜トリヒドラジド、ピロメリト酸モノヒドラジド〜テトラヒドラジド及び1,4,5,8−ナフトエ酸モノヒドラジド〜テトラヒドラジド))]、ヘテロ原子含有カルボン酸ヒドラジドの群の化合物[例えば、ジオキサン環を含むカルボン酸ヒドラジド(例えば、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサンのモノヒドラジド又はジヒドラジド)、テトラオキサスピロ環を含むカルボン酸ヒドラジド(例えば、3,9−ビス(2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンのモノヒドラジド又はジヒドラジド、3,9−ビス(2−メトキシカルボニルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンのモノヒドラジド又はジヒドラジド、3,9−ビス(1,1−ジメチル−1−カルボキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンのモノヒドラジド又はジヒドラジド及び3,9−ビス(1,1−ジメチル−1−メトキシカルボニルメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンのモノヒドラジド又はジヒドラジド)、イソシアヌル酸環を含むカルボン酸ヒドラジド(例えば、1,3,5−トリス[2−カルボキシエチル]イソシアヌレートのモノヒドラジド〜トリヒドラジド、1,3,5−トリス(3−カルボキシプロピル)イソシアヌレートのモノヒドラジド〜トリヒドラジド)、並びにヒダントイン環を含むカルボン酸ヒドラジド(例えば、1,3−ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)]、ポリマーカルボン酸ヒドラジドの群の化合物[例えば、架橋されていることができる、ポリ(メタ)アクリル酸ヒドラジドのホモポリマー又はコポリマー(例えば、オレフィンコポリマー、ビニルモノマーのコポリマー、スチレンモノマーのコポリマー、ジビニルベンゼンによる架橋化合物及びビス(メタ)アクリレートによる架橋化合物)、日本公開明細書番号145529/1980(JP−55−145529A)及び105905/1981(JP−56−105905A)、Otsuka Chemical Co. Ltd.により製造された市販製品「APAアミノポリアクリルアミド」、並びに米国特許第3,574,786号に記載されているコポリマー]である。
【0075】
更なる可能性のあるヒドラジドは、EP−A1522554において見出すことができ、これは、参考として本明細書に明示的に援用される。
【0076】
本発明によると、被覆PMO成形品は、前もって成分C)及びD)から溶液、エマルション又は分散液を製造し、次にこれをPOM成形品に適用し、乾燥させることにより得られる。
【0077】
結合剤C)及びFA捕捉剤D)からなる溶液が好ましい。特に、C)に適した溶媒は水であり、一方、主にC)は不水溶性である。C)に適した溶媒は、ケトン、エーテル、エステル又はハロゲン化炭化水素のような有機溶媒であり、好ましくは本明細書ではケトン性溶媒、特にアセトンである。
【0078】
これらの溶液は、溶液の全構成成分の100質量%に基づいて、0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、特に1〜15質量%のそれぞれのC)及びD)、また選択的に0〜10質量%、好ましくは5質量%までの顔料E)を含む。
【0079】
これらの添加剤の一つの好ましい例は、例としては動物の焼成した又は摩砕した骨から得られる骨炭である。粗動物炭の適切な粉砕及び後処理は、多様な色の強さ及び粒径を有する生成物を与えることができる。
【0080】
従来の骨炭の構成成分は、一般におよそ以下の通りである。
【0081】
85〜90質量%のリン酸カルシウム、
7.5〜12質量%の炭素、
1.5質量%の水。
【0082】
pHは、一般に7〜9、特に7.5〜8.5の範囲であり、密度は、一般に1.8〜3.0g/cm、好ましくは2.1〜2.5g/cmの範囲である。
【0083】
本発明の成形組成物に適した骨炭の例は、Hoover Color Corporationから「Bone Black」として得ることができる。
【0084】
カーボンブラックとして適した主な生成物は、例としてEncyclopedia of Chemical Technology, Vol. 3, pp. 34 ff (Interscience Encyclopedia, New York)に記載されたものである。
【0085】
更に適切な顔料は、黒色酸化鉄(Fe)、スピネルブラック(Cu(CrFe))及びマンガン黒(二酸化マンガン、二酸化ケイ素及び酸化鉄の混合物)である。銅フタロシアニン顔料を使用することもできる。
【0086】
適切な赤色顔料は、商標Paliogen(登録商標)RedでBASF Aktiengesellschaftから市販されているものであり、例は下記、
【化9】

であり、上記のようにして得られた溶液(≒100質量%)中の0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、特に0.2〜2質量%をPOM成形品(1kg)に適用する。
【0087】
温度は、好ましくは室温から60℃、好ましくは室温から50℃である。
【0088】
室温である溶液は、一般に霧化される(噴霧技術)。その粘度を低減するために、溶液を高温で噴霧する必要がありうる。しかし霧化温度は、一般にそれぞれの溶媒の沸点よりも低い。
【0089】
霧化方法としては、空気噴霧器、例えば、多流体ノズル、特に二流体ノズルなどを使用することができる。記述することができるこれらの例は、二系統又は三系統流れ二流体ノズルである。回転運動を生じる又は流れを方向付けるために、二流体ノズルは、内部構造を含むことができる。これらを、ガス側又は液体側のどちらかに取り付けられる。超音波噴霧器を使用することも可能である。
【0090】
質量全体にわたる噴霧器ガスと質量全体にわたる液体の比は、一般に2を超える。全体にわたる噴霧器ガスと全体にわたる液体の特に有利な比は、3〜10であることが証明されている。5bar以上のガス圧力が一般に必要である。100barを超えるガス圧力は、ほとんど必要ない。ガス圧力は、一般に10〜70barである。
【0091】
霧化方法の後、液滴を乾燥チャンバ、例えば既知の設計の噴霧タワー(例えば、 K. Maters: Spray Drying Handbook, Leonard Hill Books, London 1972を参照)により乾燥することができる。溶媒を、大気圧、あるいは真空下で蒸発させることができる。溶媒を蒸発させるために本明細書において必要となる熱は、好ましくは、不活性乾燥ガスを介してタワーの最上部から導入される。特に適切な乾燥ガスは窒素である。しかし、他のガス、例えば二酸化炭素又は空気などを使用することもできる。乾燥タワーの最上部のガス温度は、好ましくは溶媒の蒸発温度よりも高く、室温〜500℃であることができる。一般に100℃以上である。好ましくは200℃〜300℃の範囲である。
【0092】
乾燥ガスは液滴と共に乾燥タワーの中を流れ、タワーの出口から吸引によって乾燥生成物と共に除去される。タワーの出口のガス温度は、粉末の所望の残留溶媒含有量によって決まる。室温から乾燥タワーの頭部のガス温度をほんの少し下回るまでであることができる。一般に50℃を超え、例えば120℃〜170℃である。200℃を超える温度は、一般に必要ではない。
【0093】
粉末は、一般に、フィルター又はサイクロンを介してガス流から従来のように単離することができる。本発明のPOM成形品の製造のために、フィルターを使用して固体を単離することが好ましい。
【0094】
後乾燥することなく、POM成形品の残留溶媒含有量は、一般に5%以下、特に2%未満である。残留溶媒含有量の更なる低減を達成するために、可能であれば後冷却と組み合わせた後乾燥を、噴霧乾燥方法の下流において実施することができる。後乾燥は、例として、流動層又は移動層において実施することができる。
【0095】
乾燥方法の後、成形品は、全成分A、B、C及びDの100質量%に基づいて、0.01〜0.3質量%、好ましくは0.02〜0.2質量%のC及び0.01〜0.3質量%、好ましくは0.02〜0.2質量%のDを含む。
【0096】
任意の種類の成型品(半完成品、箔、膜及び泡状物を含む)を、成形組成物から製造することができる。成形組成物は、良好な機械的特性及び加工性を伴い、また熱安定性も伴う、非常に低い残留ホルムアルデヒド含有量を特徴とする。特に非常に少量の添加剤を被覆として適用することができ、同時にFA捕捉剤としての有効性は、同等であるか又はより良いものである(より良好な分布及び良好な接着力)。
【0097】
これらの成形組成物からなる成型品は、押しボタン、引き手、サンルーフフレーム、スピーカー格子部、衛生器具、ビデオカセット、玩具部品、窓装付属品、ドア付属品、クリップ、固定用部材、スナップ結合材、ボールソケット、タンク挿入部品、歯車、ガイド部材、コンベヤーベルト、運搬系、噴霧弁、エスプレッソマシーン用煎じ部品、コーヒーマシーン、連結部、ローラー、ベアリング、滑りレール、ポンプ部品及びフィルターハウジング、駆動系、ばね要素及び締め付け要素、ボビン、変向ローラー、伝動装置部材、並びに振り子支持体としての用途に特に適している。
【0098】
実施例
使用された成分は下記であった。
【0099】
成分A/1
97.3質量%のトリオキサン及び2.7質量%のブタンジオールホルマールを含むポリオキシメチレンコポリマー。この生成物は、依然として、約3質量%の未反応トリオキサン及び5質量%の熱不安定画分を含んでいた。熱不安定画分を分解した後、コポリマーの融解容量速度は、7〜8cm/10分であった(ISO1133により190℃、2.16kg)。
【0100】
成分A/2
MVRが1.8〜2.6ml/10分であるPOMコポリマー(ISO1133により190℃、2.16kg)。
【0101】
成分A/3
MVRが5.7〜8.3ml/10分であるPOMコポリマー(ISO1133により190℃、2.16kg)。
【0102】
成分B/1
CognisからのLoxiol(登録商標)P 1206(グリセロールジステアレート)。
【0103】
成分B/2
DE−A2540207の実施例1のメラミン−ホルムアルデヒド縮合物(MFK)。
【0104】
成分B/3
(Ciba−GeigyからのIrganox(登録商標)245)
【化10】

【0105】
成分B/4
US−A3,960,984の実施例(「PA−ジキャップ」)に基づいた方法により(モル質量調整剤として)カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸及びプロピオン酸から調製した、モル質量が約3000g/molのポリアミドオリゴマー。
【0106】
成分B/5
以下の特性を有する合成ケイ酸マグネシウム(PQ FranceからのAmbosol(登録商標))、
MgOの含有量 ≧14.8質量%
SiOの含有量 ≧59質量%
SiO:MgO比 2.7mol/mol
嵩密度 20〜30g/100ml
燃焼による損失 <25質量%
成分B/6
カーボンブラック(Degussa AGからのPrintex(登録商標)90)。
【0107】
成分B/7
ショアA硬度が83である熱可塑性ポリウレタン(Elastogran GmbHからのElastollan(登録商標)B 85 A)。
【0108】
成形組成物を生成するために、成分A)を、記載された量の成分B)と、乾燥混合機により23℃の温度で混合した。得られた混合物を、液化装置を有する二軸スクリュー押出機(Werner & PfleidererのZSK 30又はZSK 53)に導入し、230℃で均質化し、液化し、均質混合物を押出機ダイからストランドの形態で排出し、ペレット化するか又は水中でダイを通してペレット化して、ビーズ/レンズ形状の材料を得た。
【表1】

【0109】
成分C
11
メチルポリエチレングリコール、平均モル質量2000g/mol(BASF AGからのPluriol(登録商標)A 2000 E)
12
11を参照すること、3000g/mol(BASF AGからのPluriol(登録商標)A 3010 E)
成分C
21
粘度が1.9〜2.3mPa・s(10%酢酸エチル中20℃、DIN53015)、Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KGからのVinnapas(登録商標)B 14 spのポリ酢酸ビニルホモポリマー
22
21を参照すること、η=3.0〜3.5mPa・s(Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KGからのVinnapas(登録商標)B 30 sp)
23
21を参照すること、η=5.0〜6.5mPa・s(Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KGからのVinnapas(登録商標)B 100)
24
21を参照すること、η=8.0〜11.0mPa・s(Wacker Polymer Systems GmbH & Co. KGからのVinnapas(登録商標)UW 1)
+CからなるグラフトポリマーC(DE−A1077430によるフリーラジカル重合を介して得た)
31
40質量%のポリエチレングリコールPEG(モル質量:6000g/mol)及び
60質量%のPVA(ポリ酢酸ビニル)
32
モル質量が6000g/molの40質量%のPEG
60質量%のPVA、からなるグラフトポリマー
33
モル質量が6000g/molの20質量%のPEG
80質量%のPVA、からなるグラフトポリマー
34
モル質量が6000g/molの30質量%のPEG
70質量%のPVA、からなるグラフトポリマー
35
モル質量が4000g/molの30.8質量%のPEG
69.2質量%のPVA、からなるグラフトポリマー
成分D
アジピン酸ジヒドラジド
顔料E
BASF AGからのPaliogen(登録商標)Red 3911 HD(CAS No. 3049−71−6)。
【0110】
溶液及び被覆の製造
10質量%の結合剤Cを水に溶解し、結合剤Cでは、アセトンを溶媒として使用し、結合剤Cを水に60〜70℃で溶解した。
【0111】
10質量%のFA捕捉剤D)の量を加え、明澄な溶液が生成されるまで撹拌した。3質量%の顔料E)を選択的に溶液に加えた。
【0112】
1質量%のこの溶液を、遠心分離機の高速で回転しているディスクに加えた。遠心分離機は、(N下で)それぞれのPOMペレットを含み、それらは遠心力により溶液で被覆された。滞留時間は、約30秒間であった。遠心分離機を5分間稼働し続け、ペレットを取り出した。これらをオーブンにより真空下、80℃で乾燥した。分散及び接着力は乾燥ペレットを目視により評価した。ホルムアルデヒドの放出は、VDA275により決定した。
【0113】
以下の成分を上記の手順に従って使用した:
実施例1
ペレット1、C11、D、E
実施例2
ペレット1、C12、D、E
実施例3
ペレット1、C21、D、E
実施例4
ペレット1、C22、D、E
実施例5
ペレット1、C23、D、E
実施例6
ペレット1、C24、D、E
実施例7
ペレット1、C31、D、E
実施例8
ペレット1、C32、D、E
実施例9
ペレット1、C33、D、E
実施例10
ペレット1、C34、D、E
実施例11
ペレット1、C35、D、E
実施例12
ペレット2、C35、D
実施例13
ペレット2、C31、D
実施例14
ペレット3、C35、D
実施例15
ペレット4、C35、D、E。
【0114】
表は、測定の結果を示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結合剤C)及び1つのホルムアルデヒド捕捉剤D)で表面が被覆されており、少なくとも1つのポリオキシメチレンホモポリマー又はコポリマーA)、並びに場合により更なる添加剤B)を含む、被覆ポリオキシメチレン成形品において、
結合剤C)として、ポリアルキレンオキシドC若しくはポリビニルエステルC、又はC及びCからなるグラフトポリマーC、又はこれらの混合物が使用され、かつホルムアルデヒド捕捉剤D)として、少なくとも1つのヒドラジド化合物が使用されることを特徴とする、被覆ポリオキシメチレン成形品。
【請求項2】
前記成形品が、チップ、ペレット、粉末、微粉末、ビーズ、レンズ状顆粒又はこれらの混合物からなることを特徴とする、請求項1に記載のPOM成形品。
【請求項3】
ホルムアルデヒド捕捉剤D)として、一般式
【化1】

[式中、
n=1又は2であり、
1=H又は5〜6個の炭素原子を有する芳香族残基であり、
Y=2〜30個の炭素原子を有するアルキル残基又は5〜8個の炭素原子を有する芳香族残基又はアミノ基若しくはヒドラジド基(−NH−NH)であり、ここでアルキル残基又は芳香族残基は、場合により、酸素基、アミノ基、硫黄基、窒素基又はヒドラジド基を置換基として含むことができる]
のヒドラジド化合物が使用されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPOM成形品。
【請求項4】
脂肪族若しくは芳香族ジヒドラジドD)又はこれらの混合物が使用されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のPOM成形品。
【請求項5】
結合剤Cとして、エチレンオキシドを重合導入された形で少なくとも50質量%含むC〜Cアルキレンオキシドに基づいたポリアルキレンオキシドが使用されるか、又は結合剤Cとして、ポリ酢酸ビニル若しくはポリプロピオン酸ビニル、又はこれらのコポリマー、又はこれらの混合物が使用されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のPOM成形品。
【請求項6】
結合剤Cとして、
A)20〜70質量%の水溶性ポリエチレンオキシドと、
B)B1)70〜100質量%の酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニル及び
B2)0〜30質量%の更なるエチレン性不飽和モノマー
からなる30〜80質量%のビニルエステル成分と
からなる構造を有する、CとCからなるグラフトポリマーが使用されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のPOM成形品。
【請求項7】
前もって成分C)及びD)から溶液、エマルション又は分散液を調製し、次にこれをPOM成形品に適用し、乾燥させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の被覆POM成形品の製造方法。
【請求項8】
水性又はアセトン性溶液がC)及びD)から調製されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
付加的に最大10質量%の顔料E)が、C)及びD)からなる溶液に添加されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
C)及びD)からなる被覆が噴霧(スプレー)技術によって適用されることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
被覆が室温から60℃で適用されることを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2011−510145(P2011−510145A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543472(P2010−543472)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050573
【国際公開番号】WO2009/092698
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】