説明

被覆性組成物、それらから製造した研磨物品、およびその製造および使用方法

【目的】 本発明は研磨物品の製造に有用な被覆性組成物を提供する。特に、本発明はフリーラジカル硬化性組成物、特にそれらに着色研磨剤粒子および/または着色剤を含むものを含有する被覆性組成物を用いて製造する研磨物品を提供する。
【構成】 本発明は研磨剤粒子;フリーラジカル重合可能な組成物;および光開始剤系;を組合せることを特徴とする、研磨物品の製造に使用するのに適する被覆性組成物であって、その光開始剤系がα-開裂を介して開裂する化合物を含み、その化合物が約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する被覆性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は研磨物品の製造に有用な被覆性組成物に関する。特に、本発明はフリーラジカル硬化性組成物、特にそれらに着色研磨剤粒子および/または着色剤を含むものを含有する被覆性組成物を用いて製造する研磨物品に関する。
【0002】
【従来の技術】3種の通常の研磨物品は、被覆研磨材、接着研磨材および不織研磨材である。被覆研磨材は、研磨剤粒子をバインダー、通常は大型ループ乾燥機内で硬化した熱硬化性バインダーを用いて接着した支持体から成る。その支持体は、例えば、紙、布、フィルム、バルカンファイバーおよびそれに類するもの、またはこれら材料の1種以上の組合せまたはそれらの処理したものから選択されてもよい。研磨剤粒子は通常、フリント、ざくろ石、酸化アルミニウム、アルミナジルコニア、セラミック酸化アルミニウム、ダイアモンド、炭化ケイ素(緑色または黒色のどちらか)、立方晶窒化ホウ素およびそれに類するものから選択される。接着研磨材では、樹脂および研磨剤粒子から成るスラリーを調製する。そのスラリーを金型に入れ、通常は熱および圧力を用いて樹脂を硬化し、研磨剤粒子を共に保持し、3次元の目的物を作製する。接着研磨材の例として、研削ホイール、ホーニングスティック、ドレッサースティックおよびシャープニングスティックが挙げられる。不織研磨材は、接触点でバインダーにより結合された繊維の目の荒い(open)、ロフティな(lofty)、3次元ウェブから成る。これには、研磨剤粒子を含んでも含まなくてもよい。
【0003】前述の研磨物品は、バインダー先駆物質としての別の重合性組成物を用いて製造してもよく、その場合重合は、例えば過酸化物の熱分解、放射線(粒子または非粒子)または両方の組合せを含む様々な方法により開始されてもよい。生長反応段階での鎖状キャリアーは、イオン性であっても、フリーラジカルを有してもよい。
【0004】別の重合性組成物、特にフリーラジカル重合性組成物は、研磨物品の製造に有用である。フリーラジカル重合性組成物は、被覆研磨材の製造での大型ループ熱硬化乾燥機の必要性をかなり縮小または完全に排除する。しかし、これら物品の研磨性能は硬化条件、例えば非粒子放射線の波長、製造される物品のタイプおよび構造、用いた光開始系の化合物、研磨物品の色等に大きく依存する。
【0005】例えば、多数の研磨物品の色があり、放射線硬化に最も適したそれら研磨物品は、切削に最も有用な研磨物品を提供し得ない。これに反して、暗色のそれら研磨物品(例えば褐色の熱処理酸化アルミニウム)は放射線を、有用な研磨物品を得るのに必要な硬化度を得るように、透過させない。
【0006】更に、研磨物品を、ウェブプロセス、即ちロールに巻いた大型シート状構造(しばしば「ウェブス(webs)」と表現される)を用いて製造するなら、硬化度は硬化する被膜の暴露時間および厚さに依存する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、研磨材業者間では、高生産速度で有用な研磨物品を製造する、研磨粒子(特に着色研磨粒子)、フリーラジカル硬化性組成物および光開始剤系から成る被覆性組成物(即ち、従来の手段、例えばナイフコーターにより被覆を可能とする粘度を有する組成物)に対する要求がある。
【0008】コール(Caul)等の米国特許第4,588,419号には、アクリレートエポキシ樹脂および熱硬化性樹脂の組合せにより製造した被覆研磨材が開示されている。その樹脂には、炭酸カルシウム充填材および沈殿防止剤を含んでいてもよく、好ましい沈殿防止剤は明らかにヒュームドシリカである。ピーパー(Pieper)等の米国特許第5,152,917号には、本発明に有用である技術を用いて構造化した研磨材の製造が開示されている。しかし、ピーパー(Pieper)等およびコール(Caul)等は、本発明に有用である光開始剤系の使用またはそれらの使用が、どのようにより有用な研磨物品またはより高生産速度を提供し得るかを開示していない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明により、光開始剤系を含む新しい被覆組成物およびそれらを用いて製造した研磨物品を提供する。驚くべきことに、前述の範囲内のモル吸光係数を有する化合物を含む光開始剤系を、従来のフリーラジカル硬化性組成物に加えることにより、被覆組成物のより速い硬化を可能とする(被覆組成物のより速いウェブ速度およびより良好な硬化度を可能とする)。更に、その研磨製品は、以下の本明細書中の実施例に例示したように、既知の光開始剤を用いて製造した物品以上に改良した性能を示す。
【0010】従って、本発明のある態様は、(a)研磨剤粒子;(b)フリーラジカル重合可能な組成物;および(c)光開始剤系;を組合せることを特徴とする、研磨物品の製造に使用するのに適する被覆性組成物であって、該光開始剤系がα-開裂を介して開裂する化合物を含み、該化合物が約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する被覆性組成物である。
【0011】本明細書中において、モル吸光係数を議論する際には「約4リットル/モル-cm」の語により4±1を表し、紫外/可視スペクトルを議論する際には「約395nm」の語により395±5を表す。本明細書中において、モル吸光係数を議論する際には「希釈メタノール溶液中のモル吸光係数」の語により周囲温度(約20℃)でのメタノールの約1.0〜10ミリモル溶液内での吸光係数を表す。
【0012】特に好ましい被覆組成物は、光開始剤系の化合物がα-アミノアセトフェノン、特にニューヨーク州アーズレイ(Ardsley)のチバガイギー(Ciba-Geigy)社から商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で市販の2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノンであるようなものである。
【0013】本発明に有用な光開始剤系が(約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有するα-開裂化合物に加えて)a)非-α-開裂光開始剤;b)二分子光開始剤;c)約4リットル/モルcm以下の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する単分子α-開裂光開始剤;およびd)約4004リットル/モルcm以上の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する単分子α-開裂光開始剤;から成る群から選択される光開始剤をも含有してもよい。
【0014】本明細書中において、本発明の組成物を記載するのに用いる場合は、「被覆組成物(coatable composition)」の語により、フリーラジカル重合性組成物内に分散した研磨粒子および光開始剤系を含有する組成物を表す。その語により、従来の被覆装置、例えばナイフコーターによって被覆し得る組成物を含むことを意味する。その語はまた、例えば熱および/または剪断力を加えて被覆性と成り得る組成物を含むことも意味する。
【0015】「フリーラジカル重合性組成物」には、フリーラジカルにより重合が開始し生長するモノマー状およびオリゴマー状化合物および樹脂を含み、「重合性(polymerizable)」および「重合した(polymerized)」樹脂には鎖生長反応および架橋反応の両方によって生成した樹脂を含むことを意味する。これらの化合物または樹脂は、少なくとも1つのエチレンの不飽和基を有するものを含む。
【0016】「分散体(dispersion)」および「分散した(dispersed)」は、均一または均質な分散体を意味する必要はないが、フリーラジカル重合性組成物内の研磨粒子および光開始剤系両方の均一分散体が好ましい。
【0017】本明細書中において、「光開始剤系」の語は、フリーラジカル重合にかなり有害な影響を与える(または完全に終わらせる)材料を除外することを意味する。「光開始剤系」の語は、イオン発生化合物も除外するが、「被覆性組成物」の語は、イオン発生化合物を除外せず、本発明の被覆性組成物の重要な成分と相溶性である熱硬化性樹脂、充填材、希釈剤等を除外しない。本発明の特定の場合において、このことにより、本発明の被覆性組成物は好ましくは、水を5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の量で含み、および最も好ましくは水を含まないことを意味する。
【0018】「バインダー先駆物質」が未硬化組成物を意味するのに対して、「バインダー」の語により、硬化組成物を意味する。「硬化生成物」はバインダーを含有する生成物を意味する。
【0019】本発明に関連して、「研磨物品の製造に用いるのに適する」の句は、被覆、接着および不織研磨材の場合、本発明の被覆性組成物は、組成物を連続的に撹拌することなしに、それらを支持体上または金型内に被覆、スプレー、塗布または注入し得る流動特性を有することを意味する。
【0020】ある本発明の使用に好ましいフリーラジカル重合性組成物は、アクリレートイソシアヌレートモノマーおよび/またはオリゴマーを含むものである。本明細書中において、「樹脂」の語はモノマーおよびオリゴマーを包含する。
【0021】本発明の他の態様として、本発明の被覆性組成物を用いて製造した研磨物品があり、その物品は光開始剤系を含有するフリーラジカル重合性組成物から誘導したバインダーにより接着した多数の研磨粒子から成り、その光開始剤系は前述のモル吸光係数を有する化合物を含有する。本発明の他の態様では、本発明の被覆性組成物内に含まれる研磨粒子は顔料によってる暗着色されていてもよく、即ちそれらは非白色および不透明であってもよい。
【0022】本発明の他の態様として、研磨材被膜を有する支持体から成るタイプの被覆研磨材であって、研磨材被膜が本発明の被覆性組成物から誘導される被覆研磨材がある。本明細書中において、「被覆した(coated)」研磨材の語により支持体に接着した研磨材被膜から成る物品を意味する。本発明の被覆研磨材の好ましい研磨材被膜には、酸化アルミニウム研磨粒子を含有し、すべての重量%は該被覆性組成物の総乾燥重量をベースとして、その光開始剤系は研磨材組成物の約0.1〜約10重量%から成り、その研磨粒子は約50〜約85重量%から成り、更なる重合性樹脂が約10〜約45重量%から成る。
【0023】本発明の他の態様として、(a)支持体材料を本発明の被覆性研磨組成物で被覆すること;および(b)(a)の被覆支持体を、被覆性組成物内のフリーラジカル重合性樹脂を硬化するのに十分なだけ、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分に露光すること;の段階から成る被覆研磨材の製造方法がある。
【0024】この方法の変法として、(a)支持体材料をメイク被膜バインダー先駆物質で被覆すること;(b)研磨粒子をメイク被膜先駆物質に適用すること;(c)メイク被膜先駆物質を少なくとも一部分は硬化して、第1中間物品を製造するのに充分な条件にメイク被膜先駆物質を暴露すること;(d)サイズ被膜先駆物質を第1中間物品上に適用して、第2中間物品を製造すること;(e)サイズ被膜を硬化および要すればメイク被膜先駆物質をより完全に硬化し、研磨物品を製造するのに充分な条件に第2中間物品を暴露すること;から成る被覆研磨材の製造方法であって、該メイクまたはサイズ被膜先駆物質の少なくとも一方がフリーラジカル硬化性組成物および光開始剤系を含有し、該光開始剤系が、α-開裂を介して開裂する化合物を含有し、前述のようなモル吸光係数を有し、暴露することの少なくとも1つに該物品をUV/可視スペクトルの少なくともある部分に暴露することを含む被覆研磨材の製造方法がある。
【0025】本発明の更に他の態様には、1)本発明の被覆性組成物を3次元パターンを有する製造道具上に被覆すること;2)2つの主要表面を有する支持体の主要表面を被覆性組成物と接触し、その被覆性組成物が支持体の少なくとも1つの主要表面を湿潤させ、その結果第1中間物品を製造すること;3)被覆性組成物を、被覆性組成物内のフリーラジカル重合性樹脂を少なくとも一部分を硬化し第2中間物品を製造するのに十分なだけ、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分の放射線を放射する線源に暴露すること;および4)第2中間物品を製造道具から除去し、研磨物品を提供すること;から成る研磨物品の製造方法がある。
【0026】本発明の他の態様として、(a)表面および裏面を有する支持体;(b)支持体の表面上に存在するメイク被膜;(c)該メイク被膜によって支持体に接着した多数の研磨剤粒子;および該研磨剤粒子上に存在するサイズ被膜;から成る被覆研磨材であって、該メイク被膜またはサイズ被膜の少なくとも一方が、前述の付加重合性樹脂および光開始剤系を含有する被覆性組成物の硬化生成物である被覆研磨材がある。
【0027】不織研磨物品も本発明の範囲内であり、接触点でバインダーによって結合された繊維の目の荒い、ロフティな(lofty)、3次元網目から成り、そのバインダーは本発明の被覆性組成物から誘導される。
【0028】本発明の他の有用性および態様を、以下の好ましい態様の説明に記述する。
【0029】本発明は被覆性組成物、それを用いて製造した研磨物品、および研磨物品の製造および使用方法に関し、該物品は既知の研磨物品と同等またはそれ以上に改良された性能特性を有する。
【0030】被覆研磨材において、「バインダー」の語はどんな被膜を表していてもよい。不織研磨材において、バインダーは、研磨粒子を多孔性でロフティな繊維状ウェブの繊維に接合し、そして同一または異なるバインダーがその繊維をそれらの接触する点で接合する。
【0031】(光開始剤系)本発明に有用な光開始剤系を、フリーラジカル重合性樹脂および研磨粒子から成る従来の(即ち、既知の)バインダー先駆物質、および要すれば既知の光開始剤系と組合せる。
【0032】本発明のその組成物に有用な光開始剤系は、1)α-開裂により開裂し、2)約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する化合物を含むことを必要とする。
【0033】光開始剤のモル吸光係数は、溶媒の濃度およびタイプにより変化し得る。本発明の目的に対して、光開始剤のUV/可視スペクトルデータが必要なモル吸光係数を有し、光開始剤の例が、本発明に有用な光開始剤系の狭い部分を含有し得るこの範囲外のモル吸光係数を有することを、実施例の部分の表I〜表VIIIに示す。これらの表には、370nm〜500nmの範囲の波長での種々の光開始剤のモル吸光係数を示す。どんな所定の波長での光開始剤のモル吸光係数の差も、異なる溶媒中のスペクトルを測定することによって簡単に観察し得るので、単一溶媒、メタノールをすべての光開始剤のスペクトルの測定に使用した。また、1つの目的は0〜400リットル/モルcmの範囲のモル吸光係数を正確に測定することであるので、その溶液濃度を約1.0〜10ミリモルとし、測定誤差を減少した。本発明の目的に対して、「希釈メタノール溶液」の語は、前記の特定濃度範囲内の光開始剤系のメタノール溶液を表す。(モル吸光係数が容易に10,000〜50,000となり得る光開始剤の吸収の最大での情報を収集するために、より低い濃度のメタノール溶液でさえ適当であろう。)
【0034】本明細書中で用いる「光開始剤(photoinitiator)」「α-開裂(cleavage)光開始剤」「増感剤(sensitizer)」「二分子(bimolecular)光開始剤系(system)」「芳香族ケトン/共開始剤(aromatic ketone/coinitiator)系」の語および、種々の開始剤化合物および系は、K.ダイエットライカー(Dietliker)の「ケミストリーアンドテクノロジーオブUVアンドEBフォーミュレーションフォーコーティングス、インクス、アンドペインツ(Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings、Inks、and Paints)」第III巻、115〜324頁(1991年)、SITAテクノロジー(Technology)社より出版に定義されている。光開始剤は単に、放射線を照射することによりフリーラジカルを発生し得る化合物である。「α-開裂光開始(photoinitiation)」の語は実際に、フリーラジカルを生成する反応を表す。通常、α-開裂光開始剤は(照射により)カルボニル基およびカルボニル基の「α」位置の炭素、リンまたは硫黄原子の間の位置で、均一開裂を行う。「二分子光開始剤系」は、ハロゲンドナーと反応するカルボキシル基を有する化合物を含有する開始剤系(本明細書中では「共開始剤」と表す)であり、カルボニル基がアルコールに還元される生成物を生じる。「芳香族ケトン/共開始剤系」は、カルボニル基を有する化合物が芳香族ケトンである1種の光開始剤系である。この系のある例として、ベンゾフェノン誘導体/アミン系があり、空気の存在下で本発明の被覆性組成物を硬化するのに特に有用である。他の有用な二分子光開始剤系には、1,2-ジケトン/共開始剤系(例えば、ショウノウキノン/4-N,N-ジメチルアミノエチルベンゾエート)およびケトクマリン/共開始剤系が挙げられる。
【0035】二分子光開始剤系の場合で放射線を吸収する種は、このような関係においては時には増感剤と呼ぶ。しかし、「増感剤」の語は本明細書中では、エネルギーを化学反応なしにその励起状態から他の分子へ伝達する化合物だけを表す。増感剤は一般に光開始剤化合物より長波長での光を吸収し、そのエネルギーを光開始剤に伝達する。増感剤は、約300nm〜約1000nm、より好ましくは約400nm〜約700nmおよび最も好ましくは約395nm〜約500nmの波長の範囲内のどこででも光吸収し得るべきである。好ましい増感剤の例として、チオキサントン誘導体がある。その増感剤は、通常または好ましくは約50重量%以下の光開始剤系を含有する。
【0036】好ましくは、本発明の被覆性組成物は、α-アミノアセトフェノンを必須成分として含有するものである。好ましいα-アミノアセトフェノン類の例として、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエチルチオ)フェニル]-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-(4-メルカプトフェニル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-(4-アリルチオフェニル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-[4-(2-メトキシカルボニルエチルチオ)-フェニル]-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、1-[4-(ジメチルアミノメチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルスルフィニル)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-ピペリジノプロパン-1-オン、および米国特許第5,145,885号の段落7〜11に開示の他のものが挙げられる。
【0037】本発明のその他の好ましい被覆性組成物は、α-アミノアセトフェノンが2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-プロパン-1-オン、および更にチオキサントンを含有する光開始剤系であるものである。好ましいチオキサントン類には、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオキサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-チオキサントン、4-ブトキシカルボニルチオキサントン、3-ブトキシカルボニル-7-メチルチオキサントン、1-シアノ-3-クロロチオキサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、および米国特許第5,145,885号の段落17に開示の他のキサントン類であるものである。特に好ましくは、2-イソプロピルチオキサントンである。
【0038】本発明の範囲内の更なる他の好ましい被覆性組成物は、光開始剤系の化合物が、好ましくは酸化モノアシルホスフィン類および酸化ジアシルホスフィン類から成る群から選択される酸化アシルホスフィンである。本発明に有用な酸化アシルホスフィン類には、酸化ジベンジル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィン、酸化ビス(2-フェニルエチル)-(2,6-ジクロロベンゾイル)-ホスフィン、酸化ビス(2-フェニルプロピル)-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-ホスフィン、酸化ビス(2-フェニルプロピル)-(2,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィン、酸化ブチル-(2-メチル-2-フェニルブチリル)-ホスフィン、6-(2,6-ジクロロベンゾイル)-6-ホスファビシクロ[2.1.1]ヘキサン-6-オキシド、酸化ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィン、酸化ビス(メチルチオ-2-フェニルブチリル)-シクロヘキシルホスフィン、酸化ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィン、および1991年2月20日公開の欧州特許出願第0413657A2号(その記載をここに挿入する)に開示の他のものが挙げられる。本発明の特に好ましい被覆性組成物は、第1化合物が酸化ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンであるものである。
【0039】好適な増感剤には、ケトン類、クマリン染料(例えば、ケトクマリン類)、キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料および米国特許第4,735,632号第4段落、第30行〜第5段落、第11行に例示の他のもののような化合物が挙げられる。好ましい1,2-ジケトンはショウノウキノンである。
【0040】本発明の被覆性組成物には、二分子光開始剤と組合せた増感剤を含有していてもよい。例えば、α-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンをイソプロピルチオキサントンを用いて増感してもよく、そしてその組成物にはベンゾフェノン/アミン系を含んでいてもよい。
【0041】その樹脂系の一部がカチオン硬化し得、または塩化物ラジカルを生じるハロメチル-s-トリアジン類であるなら、スルホニウム塩またはヨードニウム塩にシクロペンタジエニル鉄(II)アレーン+XF6-塩を含むことも、本発明の範囲内であると考えられる。そのような開始剤およびそれに類するものが、ダイエットライカー(Dietliker)329〜478頁に開示され、それらを増感剤との結合にも使用し得る。
【0042】本発明に有用な光開始剤系には、(約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有するα-開裂化合物に加えて)オックスマン(Oxman)等の米国特許第4,735,632号に開示の3成分の光開始剤を含有し、その光開始剤系には光化学的に有効量の(i)ジアリールヨードニウム塩、(ii)300〜1000nmの範囲内のどこでも光を吸収し、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンを増感し得る増感剤、および(iii)増感剤とは異なり、0<EOX(ドナー)≦EOX(p-ジメトキシベンゼン)の関係を有する電子ドナー化合物;を含有する。
【0043】本発明の被覆性組成物は好ましくは、被覆性組成物の総重量をベースとして、必須成分としての約0.1〜約10重量%の光開始剤系(より好ましくは約0.1〜約2重量%);約50〜約85重量%の研磨粒子;および約10〜約45重量%のフリーラジカル重合性樹脂;から成る。
【0044】約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分における希釈メタノール溶液中のモル吸光係数が、約4〜約400リットル/モルcmの範囲となる他の光開始剤を、被覆性組成物に依存して、本発明の被覆性組成物と組合せてもよい。放射線または熱に暴露することによりフリーラジカルを生じる有用な従来の開始剤の例として、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン類、ベンゾフェノン類、ニトロソ化合物、ハロゲン化アクリル類、ヒドロゾン類、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、トリアクリルイミダゾール類、ビスイミダゾール類、クロロアルキルトリアジン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、アセトフェノン誘導体、およびそれらの混合物が挙げられる。可視線を照射するとフリーラジカルを生じる従来の光開始剤の例が、米国特許第4,735,632号に開示されている。
【0045】酸源を生じて付加重合性樹脂の重合を開始するカチオン光開始剤を、本発明の被覆性組成物と組合せて使用してもよい。カチオン光開始剤には、オニウムカチオンを有する塩、および金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを含み得る。他の有用なカチオン光開始剤には、有機金属錯体カチオン、および金属またはメタロイドのハロゲン含有錯体アニオンを含み得、それらは更に米国特許第4,751,138号に開示されている。更なる他の有用なカチオン光開始剤は、有機金属塩およびオニウム塩であり、米国特許第4,985,340号および1989年3月8日公開の欧州特許出願第306,161号および同306,162号に開示されている。更なる他の有用なカチオン光開始剤には、金属が周期律表のIVB、VBN、VIB、VIIBVおよびIIIB族元素から選択される有機金属錯体のイオン性塩を含み、そのような塩は(1984年5月30日公開の)欧州特許出願第109,581号に開示されている。
【0046】(重合性樹脂)本発明に有用な重合性樹脂は、研磨剤業者間で一般的に用いられるものから選択されてもよい。研磨物品の所望の用途用に所望の特性を有する研磨物品を製造し得るように、その樹脂を選択すべきである。所望の特性には、例えば強靭性、耐熱性、バインダーの支持体への良好な接着性、高切削量、およびそれに類するものを含んでもよい。ある場合には、ワークピースが滑らかな表面仕上を有することも望ましい。
【0047】本発明の実施に有用な付加重合性樹脂には、放射線照射により開始し得るそれらの樹脂、光開始剤、熱開始剤、またはこれらの組合せがある。好適な線源には、紫外線、赤外線および可視光を発するものを含む。
【0048】付加重合性樹脂は、フリーラジカル機構またはイオン性機構により重合する。フリーラジカルまたはイオンを、光開始剤または熱開始剤をその樹脂に加えることにより発生してもよい。光開始剤だけを使用する場合、またはそれに非粒子放射線、例えば紫外線または可視光を照射する場合、光開始剤はフリーラジカルを発生する。そのフリーラジカルはその樹脂の重合を開始する。
【0049】本発明のバインダー先駆物質に用いる典型的および好ましい付加重合性樹脂の例として:エチレン不飽和のポリマー、オリゴマーおよびモノマー、例えば少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアヌレート樹脂のようなアクリル酸樹脂(イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)のトリアクリレートが1例である)、アクリレートウレタン樹脂、アクリレートエポキシ樹脂、および少なくとも1つのアクリレート側基を有するイソシアネート誘導体が挙げられる。前記樹脂の混合物も使用し得ると解されるべきである。「アクリレート(acrylated)」の語により、モノアクリレート、モノメタクリレート、マルチアクリレートおよびマルチメタクリレートモノマー、オリゴマーおよびポリマーが挙げられることを表す。低分子量アクリル酸樹脂はある好ましい種類の反応性希釈剤である。本発明の用途に好ましいアクリル酸反応性希釈剤は通常、約100〜約500の範囲の分子量を有し、ジアクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸エチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、トリアクリル酸ペンタエリトリトールジアクリル酸ヘキサンジオール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸グリセロール、トリメタクリル酸ペンタエリトリトール、テトラアクリル酸ペンタエリトリトールおよびテトラメタクリル酸ペンタエリトリトールが挙げられる。メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸エチルを使用してもよい。本発明の化合物には付加重合性モノマー類、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、アクリルアミド類およびそれに類するものも含んでもよい。
【0050】好適な低分子量希釈化合物と組合せるなら、室温で固形のモノマー類を使用し得るという記載には注目すべきである。このことは、室温で固形の1つの特に好ましい樹脂、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)のトリアクリレート(「TATHEIC」)を用いる場合である。このモノマーを用いる場合、粘度を低減する「重合性樹脂」には、そのモノマーと反応してもしなくてもよいが、好ましくはそのモノマーと反応性の化合物(そしてその結果重要な他のモノマーとなる)が挙げられる。室温で固形のアクリレートモノマー用のある好ましい低分子量希釈剤は、トリアクリル酸トリメチロールプロパン(「TMPTA」)であるが;その重合性樹脂が既に室温(即ち、約25℃)で液状の場合、これらのような希釈剤はより正しく反応性希釈剤として表される。TATHEICを用いるなら、本発明のスラリーまたは分散体中の重合性樹脂としてTATHEIC/TMPTAの組合せが考えられる。TATHEIC:TMPTAの重量比は、約1:3〜約3:1、より好ましくは約1:2.5〜約2.5:1、最も好ましくは約1:2.33の範囲であってもよい。
【0051】本発明のスラリーおよび分散体内に、希釈剤を用いてもよい。本明細書中で用いるように、「希釈剤(diluent)」の語は、それらを加えたバインダー先駆物質の粘度を低減してもしなくてもよい低分子量(500以下)有機材料を表す。希釈剤はその樹脂と反応性を有しても、不活性であってもよい。
【0052】イソシアヌル酸アクリレートオリゴマー樹脂は現在、好ましい付加重合性樹脂である。本発明に有用なイソシアヌル酸樹脂には、少なくとも1つのアクリレート側基を有するものが挙げられ、それらは米国特許第4,652,274号に開示されている。前述のように、ある特に好ましいイソシアヌル酸材料はTMPTAと組合せたTATHEICである。アクリレートウレタンオリゴマー樹脂は好ましくは、低分子量(500以下)アクリル酸樹脂(例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート)でエステル化した、ヒドロキシ末端のアクリル酸エステル類、イソシアヌル酸伸長ポリエステルまたはポリエーテルポリオール類である。好ましいアクリレートウレタンオリゴマー樹脂の数平均分子量は、約300〜約10,000、より好ましくは約400〜約7,000の範囲である。市販のアクリレートウレタンオリゴマー樹脂の例として、商品名「ユービタン(UVITHANE)782」(モートンチオコールケミカル(Morton Thiokol Chemical)から市販)および「CMD 6600」、「CMD 8400」および「CMD 8805」(ラッドキュアスペシャルティーズ(Radcure Specialties)から市販)で販売されているものがある。
【0053】アクリレートエポキシオリゴマー樹脂はエポキシ樹脂のアクリル酸エステル類、例えばビスフェノール-Aエポキシ樹脂のジアクリル酸エステル類である。市販のアクリレートエポキシオリゴマー樹脂の例として、ラッドキュアスペシャルティーズ(Radcure Specialties)から市販の商品名「CMD 3500」、「CMD 3600」および「CMD 3700」で公知のものがある。
【0054】要すれば、非放射線硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂、ユリアアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂およびそれらの組合せから選択される加熱硬化性樹脂を、光開始剤系に有害であるかもしれない濃度で存在する間は、本発明の被覆性組成物に使用してもよい。
【0055】要すれば、有用な市販のフェノール樹脂の例として、オクシデンタルケミカルズ(Occidental Chemicals)社からの商品名「デューレッツ(Durez)」および「バーカム(Varcum)」;モンサント(Monsanto)からの「レジノックス(Resinox)」;およびアッシュランドケミカル(Ashland Chemical)社からの「アロフェン(Arofene)」および「アロタップ(Arotap)」;で公知のものが挙げられる。
【0056】本発明に有用なウレタン類には、米国特許第4,933,373号に開示のものが挙げられ、それらは短鎖の活性化水素機能モノマー、例えばトリメチロールプロパンモノアリルエーテル、エタノールアミン、およびそれに類するもの;長鎖の活性化水素機能ジエンプレポリマー、例えばアトケム(Atochem)社から商品名「Polybd R-45HT」で市販のヒドロキシ末端ポリブタジエン;ポイソシアネートおよび架橋開始剤である。好適な架橋開始剤は、有機過酸化物、例えば過酸化ベンゾイルおよびそれに類するものがある。必須ではないが、ウレタン触媒、例えば米国特許第4,202,957号に開示のものを用いてもよい。
【0057】エポキシ樹脂はオキシラン(エポキシ)環を有し、開環により重合される。エチレン不飽和結合の不足するエポキシ樹脂は、光開始剤を使用することが必要である。これら樹脂は、その骨格および置換基の性質により、大きく異なり得る。例えば、その骨格は、エポキシ樹脂、および室温でオキシラン環と反応性を有する(または反応性を有するようになり得る)活性化水素原子をもたないどんな基もなり得る置換基と、一般に会合するどんな種類に属してもよい。適当な置換基の代表例として、ハロゲン類、エステル基、エーテル基、スルホン酸基、シロキサン基、ニトロ基およびリン酸基が挙げられる。エチレン不飽和結合の不足する好ましいエポキシ樹脂の例として、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)およびシェルケミカル(Shell Chemical)社から販売の商品名「Epon 828」および「Epon 1001F」、ダウケミカル(Dow Chemical)社から販売の商品名「DER-331」、「DER-332」および「DER-334」で市販の材料が挙げられる。他の好適なエチレン不飽和結合の不足する好ましいエポキシ樹脂には、フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂のグリシジルエーテル類(例えば、ダウケミカル(Dow Chemical)社から市販の「DER-431」および「DER-438」)が挙げられる。
【0058】他の有用な反応性希釈剤には、モノアリル、ポリアリル、およびポリメタリルエステル類およびカルボン酸のアミド類(例えば、フタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリルおよびN,N-ジアリルアジパミド);イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイル-オキシエチル)、1,3,5-トリ(2-メタクリルオキシエチル)-s-トリアジン、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルピペリドンが挙げられる。
【0059】本明細書中に記載の光開始剤系によって光開始されない重合性樹脂を、本発明の物品、例えば被覆性および不織研磨物品に使用してもよいと解されるべきである。
【0060】(硬化条件)本発明の被覆性組成物の硬化条件の詳細な例を実施例部分に示す。用いる放射線には約395nm〜約500nmの範囲の「UV/可視」スペクトルの少なくともある部分を含むことが本発明の目的には好ましい。UV(紫外)線は約200〜約400nm、好ましくは約250〜約400nmの範囲内の波長を有する電磁線を表す。可視線は約400〜約800nm、好ましくは約400〜約550nmの範囲内の波長を有する電磁線を表す。
【0061】フリーラジカルおよび他の付加重合性樹脂は、開始剤、例えば光開始剤および/または放射線エネルギーを必要とする。好ましくは、光開始剤および放射線エネルギーを同時に使用する。
【0062】加熱硬化性樹脂、例えばフェノール樹脂およびユリアホルムアルデヒド樹脂、および非フリーラジカル付加重合性樹脂は本発明の被覆性組成物内に存在し、付加重合速度は一般に温度と共に増加するので被覆性速度は同時におよび/または伴って放射線エネルギーおよび熱エネルギーに暴露されてもよい。熱エネルギーに対して、その温度は通常および好ましくは約50〜約250℃の範囲であり、滞留時間は約15〜約16時間の範囲である(より長い滞留時間にはより低い温度が必要)。熱の不在下のフリーラジカル付加重合において、すべてのエチレン不飽和モノマーをより完全に重合するために、UVまたは可視線を単独で照射する間、UVまたは可視線レベルは少なくとも約100ミリジュール/cm2、より好ましくは約100〜約700ミリジュール/cm2、特に好ましくは約400〜約600ミリジュール/cm2の範囲であるべきである。必要な総エネルギー量は、第1に樹脂接着剤化合物、第2にバインダー先駆物質の厚さおよび光学濃度に依存する。
【0063】(研磨物品のラッピングおよび製造方法)本発明の被覆性組成物を用いる発明の研磨物品の製造の必須段階は、本明細書中で「スラリー(slurry)」とも表している被覆性組成物を調製することである。そのスラリーを、どんな好適な混合技術によっても、どんな希釈剤でも含む、フリーラジカル重合性樹脂、研磨粒子、光開始剤系および光学添加剤を組合せることによって作製する。混合技術の例として、低剪断および高剪断混合が挙げられ、高剪断混合が好ましい。超音波エネルギーを、その混合方法と組合せて用い、研磨材スラリーの粘度を低下してもよい。通常、使用される研磨粒子および研削補助剤は、徐々にバインダー先駆物質に加えていく。スラリー内の気泡量は、混合および/または被覆段階の間に(または、混合および被覆段階の間に)減圧することにより低減し得る。ある場合には、一般に30〜70℃の範囲で加熱し、スラリー粘度を低下することが好ましい。そのスラリーは、スラリーをうまく被覆し得る流動学的特性を有し、研磨粒子および他の光学粒子材料、例えば研削補助剤粒子がスラリーの外部には保持されないことが重要である。
【0064】そのスラリーを少なくとも支持体の表面に被覆する。この被覆は、グラビア被覆、ナイフ被覆、吹付被覆、転写被覆、真空しごき被覆、しごき(die)被覆およびそれに類するもののようなどんな従来の方法によっても行い得る。
【0065】スラリーを支持体に被覆した後、そのスラリーを、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分に放射線を発する線源、および他の光学エネルギー源に暴露し、重合を開始し、バインダー先駆物質を硬化し、そして研磨複合材を作製する。得られた研磨物品は一般に、すぐに使用し得る準備ができている。しかし、ある場合には、他のプロセス、例えば加湿または屈曲がなお必要となるかもしれない。その研磨物品はどんな所望の形状、例えば円錐形、エンドレスベルト、シート、ディスク、およびそれに類するものにも加工し、その研磨物品を使用し得る。
【0066】ラッピング研磨材、例えば図1および図2に示したものは1種の研磨物品である。その図に関して、図1は、少なくとも支持体表面17と接合した研磨材被膜16を有する支持体11を有する本発明の範囲内のラッピング研磨物品10の(拡大)図である。研磨材被膜16には、多数の研磨粒子13、バインダー14および光学的な研削補助剤15の均質混合物から成る。そのバインダー14は、研磨材被膜16を支持体11の表面17に接着もする。研磨粒子は本質的に、バインダーおよび研削補助剤の混合物全体に均一に分散している。
【0067】図1に示したラッピング研磨物品の態様は、本発明の範囲内である被覆性組成物を支持体上に前述のどんな適する方法により被覆することによって製造してもよく、より粗いまたは異なった表面を形成してもよいと解される。次いで、その組成物を、用いた樹脂に依存して約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分に放射線を発する線源、および他の光学エネルギー源に暴露し、バインダー先駆物質を硬化し、そして研磨複合材を作製する。更に、被覆性組成物をスクリーンを通して支持体に適用し、パターン付研磨材表面を形成し得る。
【0068】ある場合には、その研磨材被膜は図2に示す正確に形作られた研磨複合材として存在することが好ましい。この種の研磨物品を製造するためには、一般に生産用具が必要である。
【0069】その生産用具は多数のキャビティーを有する。これらキャビティーは本質的に研磨複合材の逆の形状であり、その研磨複合材の形状を形成する。キャビティーの寸法を選択することにより、所望の形状および寸法の研磨複合材を提供する。キャビティーの形状または寸法を正確に作製しないときには、得られる生産用具により所望の寸法の研磨複合材は得られない。
【0070】そのキャビティーは隣接するキャビティー間に間隙を有するドット状パターンで存在するか、またはキャビティー互いに接合し得る。キャビティーが互いに接合していることが好ましい。更に、キャビティー形状は、支持体からの研磨複合材の断面積が減少するように選択される。
【0071】その生産用具は、ベルト、シート、連続シートまたはウェブ、グラビアロールのような被覆ロール、被覆ロール上に搭載したスリーブ、またはダイであってもよい。その生産用具は、金属(例えば、ニッケル)、合金またはプラスチック製であってもよい。金属生産用具を、彫刻(engraving)、ホッビング、電鋳(electroforming)、ダイアモンド旋削(turning)およびそれに類するもののようなどんな従来の技術によって製造してもよい。金属生産用具のある好ましい技術はダイアモンド旋削である。
【0072】シート状の熱可塑性生産用具は、原型金属用具から複製を作製し得る。原型用具は、所望の生産用具の形状とは逆のパターンを有する。原型用具は、その金属生産用具と同様の方法で作製し得る。その原型用具は好ましくは金属、例えばプラスチック原型上に電気めっきした銅製であり、後者はダイアモンド旋削により作製する。熱可塑性シート材料を加熱しても、要すれば熱可塑性材料が2ついっしょにプレスすることにより原型用具パターンにエンボス加工されるように原型用具と共に加熱してもよい。熱可塑性材料を原型用具上に押出しても、注型してもよい。両方の場合、熱可塑性材料をその溶融流れ温度以下まで冷却し、生産用具を作製する。好ましい熱可塑性生産用具材料の例として、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびそれらの組合せが挙げられる。熱可塑性生産用具を用いるなら、その用具を変形するかもしれない過剰の熱が発生しないように注意すべきである。
【0073】生産用具には、生産用具からの研磨物品の剥離をより容易にする剥離被膜を含んでいてもよい。金属生産用具用のそのような剥離被膜の例として、硬質カーバイド、窒化物またはホウ化物被膜が挙げられる。熱可塑性樹脂用剥離被膜の例として、シリコーン類およびフルオロケミカル類、どちらかを熱可塑性プラスチックに融合または含浸したもの、または熱可塑性プラスチックにオーバーレイしたものが挙げられる。
【0074】特に図2には、多数の正確に形作られた研磨複合材22が境界25により分離されている支持体21を有する研磨物品態様20を拡大断面図として示した。その境界または複合材形状に付随した境界は、結果として他の隣接した研磨複合材からある程度分離されているある研磨複合材となる。個々の研磨複合材を形成するために、研磨複合材の形状を形成する境界の一部分は互いに分離されてなければならない。図2に示した物品内で、支持体に最も近接した基材または研磨複合材の1部は、その近隣の研磨複合材と接触し得ることを示す。(「近隣の(neighboring)」は「隣接した(adjacent)」を表す必要はないことを示す。)研磨複合材22は、要すれば研削補助剤粒子26を含むバインダー23内に、分散された多数の研磨粒子24を含有する。他の研磨複合材が互いの間にに空間を有する一方、研磨複合材のいくらかが接触している支持体と、接着した研磨複合材の組合せを有することも本発明の範囲内である。
【0075】図2に示すようなラッピング研磨物品のある好ましい製造方法は、前述の好適な技術の1つを用いて適用した本発明の範囲内の被覆性組成物を、少なくとも支持体の片面に最初に被覆することである。ある好ましい支持体21はポリマーフィルム、例えばエチレンアクリル酸コポリマープライマーを含むポリエステルフィルムである。第2に、スラリー被覆支持体をパターン付生産用具の外側面と接触させる。そのスラリーはそのパターン付面を湿潤させ、中間物品を作製する。第3に、スラリーを、スラリー内の樹脂を少なくとも部分的に硬化またはゲル化し、中間物品を生産用具の外側面から除去する前述のように、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分の放射線、および他の光学エネルギー源に暴露する。第4に、中間物品を生産用具から除去する。その4段階を好ましくは連続的に行う。
【0076】更に、そのスラリーを最初に、図3および図4に示した方法で生産用具に適用してもよい。図3では、支持体41は巻出ステーション42を出て、同時に生産用具46が巻出ステーション45を出る。生産用具46、を被覆ステーション44でスラリーを被覆する。スラリーを加熱および/または被覆前に超音波処理し、粘度低下することができる。被覆ステーションはどんな従来の被覆方法、例えばナイフ被覆、流し(curtain)被覆、しごき被覆、ドロップしごき被覆または真空しごき被覆であってもよい。被覆の間に気泡の発生が最少となるべきである。好ましい被覆技術は、例えば米国特許第3,594,865号、同4,959,265号および同5,077,870号に開示の真空流れ支持ダイ(vacuum fluid bearing die)である。生産用具を被覆した後、支持体およびスラリーをどんな方法によってでも接触させ、そのスラリーが支持体の表面を湿潤させる。図3において、スラリーを、接触ニップロール47で支持体の「表(front)」面と接触させる。接触ニップロール47は得られた構造を支持ドラム43に押付け接触させる。約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分に放射線を発するエネルギー源48、および他の光学エネルギー源は、少なくとも部分的にバインダー先駆物質を硬化するのに充分な量のエネルギーをスラリーに伝達する。「部分的硬化(partial cure)」の語により、バインダー先駆物質が硬化したスラリーが生産用具から剥離するような状態まで重合していることを表す。一旦、生産用具から剥離すれば、そのバインダー先駆物質を適当なエネルギー源によってより完全に硬化してもよい。この後、その生産用具をマンドレル49に再巻取し、生産用具を再利用し得る。更に、研磨物品120をマンドレル121に巻取る。バインダー先駆物質を部分的に硬化するなら、次いで、そのバインダー先駆物質をエネルギー源、好ましくはUV/可視放射線および熱エネルギーの組合せに暴露することにより、更に完全に硬化し得る。
【0077】更に、本発明の被覆性組成物を、支持体上に被覆し得、そして生産用具のキャビティー内には被覆し得ない。次いで、スラリー被覆支持体を生産用具と接触させ、そのスラリーを生産用具のキャビティーに流し込む。研磨物品を製造する残りの手順は、前述のものと同様である。
【0078】他の方法を図4に示している。支持体51は巻出ステーション52を出て、スラリー54を被覆ステーション53で生産用具55のキャビティー内に被覆する。そのスラリーをその用具上に、前述の多くの技術の内のどの1つを用いて、被覆してもよい。更に、スラリーを加熱および/または被覆前に超音波処理し、粘度低下することができる。被覆の間に気泡の発生が最少となるべきである。次いで、研磨スラリーを含む支持体および生産用具をニップロール56により接触させ、そのスラリーが支持体の表面を湿潤させる。次いで、そのスラリーを、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分に放射線を発するエネルギー源57、および他の光学エネルギー源に暴露することにより、少なくとも部分的に硬化する。この少なくとも部分的な硬化後、そのスラリーは支持体と接合または接着した研磨複合材59に加工される。得られた研磨物品をニップロール58で生産用具から剥離し、再巻付ステーション60で巻き取る。この方法では、好ましい支持体はポリエステルフィルムである。
【0079】後者の方法では、スラリーを更に直接、支持体の表面に被覆してもよい。次いで、スラリー被覆支持体を生産用具に接触させ、そのスラリーが生産用具のキャビティー内を湿潤させる。研磨物品を製造する残りの手順は、前述のものと同様である。
【0080】フリーラジカル重合性樹脂を、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分の放射線エネルギーにより硬化することが好ましい。その放射線エネルギーは、生産用具がその放射線エネルギーをあまり吸収しない限りは、生産用具を通して伝達し得る。更に、放射線エネルギー源により、生産用具をあまり分解すべきではない。
【0081】パターン付用具をスラリーで被覆する方法のそれぞれにおいて、スラリーが、パターン付表面のくぼみまたはキャビティーにスラリーを充填し得る粘度を有するなら、それが最も有用である。
【0082】生産用具のパターンが本発明の研磨物品にパターンを提供するので、これらの方法は「構造化した(structured)」研磨物品の製造に特に有用である。構造化した研磨物品は、バインダー内に分布した研磨粒子を含有する複合材が精密な形状を有する研磨物品である。
【0083】ある場合には、その形状を形成している境界線は平面である。平面を有する形状に関して、少なくとも3平面がある。所定の形状の平面数は、所望の形態に依存して変化し得、例えばその平面数は3から20以上の範囲となり得る。一般に、3〜10平面、好ましくは3〜6平面である。これら平面が交差して所望の形状を形成し、これら平面が交差する角度がその形状寸法を決定する。
【0084】研磨複合材形状はどんな形状であってもよいが、幾何学的形状、例えば長方形、円錐形、半円形、円形、三角形、正方形、六角形、ピラミッド形、八角形およびそれに類するものが好ましい。好ましい形状はピラミッド形および切頭ピラミッド形であり、そのベースは3または4面のどちらかである。その支持体からの研磨複合材の断面積が減少することも好ましい。この変動表面積により、使用時に研磨複合材が摩耗する際に不均一圧力となる。加えて、研磨物品の製造時に、この変動表面積により、生産用具から研磨複合材を剥離するのが容易になる。一般に、cm2当たり少なくとも5個の独立した研磨複合材が存在する。ある場合には、cm2当たり少なくとも500個の独立した研磨複合材が存在し得る。
【0085】これら方法に従って研磨物品を製造する更なる段階が、米国特許第5,152,917号および1993年1月14日出願の米国特許出願第08/004,929号(スパージヨン(Spurgeon)等)に更に開示されている。不規則な形状の研磨複合材を、1993年9月13日出願の米国係属特許出願第08/120,300号に開示の工具および方法によって製造し得る。本発明のこの態様では、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、および最も好ましくは少なくとも60%の研磨複合材が、異なった寸法の隣接する研磨複合材を有する。これら異なる寸法は、研磨複合材形状、平面境界間の角度または研磨複合材の寸法に関係する。近隣の研磨複合材がこれら異なる寸法となることにより、研磨または精錬するワークピースを比較的細かい表面仕上にする研磨物品となる。
【0086】(本発明の他の研磨物品の製造方法)本発明は、被覆研磨物品、および研磨粒子を含むまたは含まない本発明の被覆性組成物を用いて製造した研磨物品の製造方法に関する。
【0087】研磨粒子を用いない組成物を使用する本発明のある方法では、含浸剤被膜先駆物質を部分的に硬化(「予備硬化(precured)」)した後、支持体を含浸剤被膜先駆物質を用いて、どんな従来の技術、例えば浸漬(dip)被覆またはロール被覆によって含浸させてもよい。
【0088】含浸剤被膜先駆物質を部分的に硬化した後、本発明の被覆性組成物を、支持体の「裏(back)」側(接着した研磨粒子を含まない支持体側)に適用し裏面被膜を形成しても、支持体の「表(front)」側(接着した研磨粒子を含む支持体側)に適用しプレサイズ(presize)被膜を形成してもどちらでもよい。これら被膜を多くの従来の技術の内のどんな1つ、例えばロール被覆、しごき被覆またはナイフ被覆によって適用してもよい。次いで、表面および/または裏面被覆支持体を、前述のようなUV/可視スペクトルの少なくともある部分および要すれば他のエネルギー源に暴露し、プレサイズ被膜およびバックサイズ(back size)被膜内の重合性樹脂を少なくとも部分的に硬化またはゲル化する。
【0089】更に、メイク(make)被膜先駆物質を支持体に適用し、多くの方法の内のどんな1つ、例えば静電塗装(projection)、ドロップ被覆およびそれに類するものによりメイク被膜先駆物質上に研磨粒子を突出させ得る。次いで、メイク被膜先駆物質を部分的に硬化または固化する条件に暴露し、サイズ被膜先駆物質を適用し得る。
【0090】前記2種の態様それぞれに対して、サイズ被膜先駆物質を、どんな前記の従来技術によってでも研磨粒子上に適用し、そして部分的または完全硬化する条件に暴露する。また、1種以上のスーパーサイズ(supersize)被膜先駆物質をどんな従来技術によってサイズ被膜上に適用してもよい。それぞれの被膜は、適用前に完全硬化、部分的硬化または乾燥してもよい。最後の被膜先駆物質を適用した後に、要すれば、残ったどんな部分的硬化または乾燥した被膜も完全硬化する。
【0091】これら方法では、メイク被膜先駆物質、サイズ被膜先駆物質およびスーパーサイズ先駆物質組成物は、被覆研磨材業者間で通常用いられるバインダー先駆物質材料(例えば、レゾールフェノール樹脂)を含有してもよく、(約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有するα-開裂化合物を含有する光開始剤系を含む)研磨粒子を全く含有しない組成物を含有してもよい。その組成物をどのような被膜にも用いるなら、エネルギー源は前述のようなUV/可視放射線を放射しなければならない。
【0092】(被覆研磨材用支持体材料)その支持体として、被覆研磨材の製造で支持体として通常用いられるかなり多くの様々な材料、例えば紙、布、フィルム、バルカンファイバー、織物および不織材料、およびそれに類するもの、または2種以上のこれら材料の組合せまたはそれらの処理した変種がある。研磨物品の所望の用途によって支持体材料を選択する。支持体の強度は使用時の引き剥がしまたは他の損傷に耐えるのに十分であるべきであり、支持体の厚さおよび平滑性は用途に対して所望の厚さおよび平滑性を提供し得るべきである。本発明の被覆性組成物または他のバインダーの支持体への接着性も、通常使用時の個々の研磨粒子または研磨材被膜のかなりのシェリング(shelling)を防止するのに十分でなければならない。ある用途では、支持体が防水性であることも好ましい。支持体の厚さは、その用途に対する所望の強度を提供するのに十分でなければならない;しかしながら、被覆研磨材製品の所望の可撓性に悪影響を与えるほど厚くてはならない。ラッピング被覆研磨材用として、ある好ましい支持体はポリエステルフィルムのようなポリマーフィルムであり、そしてそのフィルムをある材料、例えばエチレンアクリル酸コポリマーで下塗りし、本発明のスラリーまたは分散体および得られた研磨複合材のフィルムへの接着性を増大する。UV/可視放射線が透過する支持体を使用することは好ましいかもしれない。
【0093】織物支持体の場合には、本発明の被覆性組成物の適用前に、支持体の隙間に少なくとも1種の被膜を充填することが時には好ましい。この目的に使用した被膜は、支持体のどのようなまたは何の表面に、その被膜を適用したかによって、前述のように含浸剤裏面被膜または含浸剤プレサイズ被膜と呼ばれる。
【0094】その支持体は、2層以上の同様または異なる支持体材料のどちらかを積層することにより作製した支持体のラミネートから成ってもよい。例えば、その支持体はより剛性の、より硬質の基材、例えば金属板に積層し、硬質基材上に保持された研磨材被膜を有する被覆研磨物品を製造する。
【0095】研磨材被膜を有する支持体表面には、感圧接着剤または1組のフックおよび環状取付システムからなってもよく、その研磨物品をバックアップパッド(back-uppad)に固定し得る。この目的に適する感圧接着剤の例として、ゴムベース接着剤、アクリレートベース接着剤、およびシリコーンベース接着剤が挙げられる。
【0096】(研磨粒子)各研磨粒子は研磨材業者間で通常用いられるものから選択されるが、その研磨粒子(大きさおよび組成)は研磨物品の所望の用途により選択する。適当な研磨粒子の選択において、特性、例えば光吸収、硬度、所望のワークピースとの適合性、粒子径、ワークピースとの反応性、および熱伝導性を考慮する。本発明の重要な態様として、暗色すぎて付加重合性バインダー系には有用でないと以前には考えられていた研磨粒子を現在、非常に実質的な重量百分率で使用し得ることがある。このことは、通常、同グレードの白色酸化アルミニウムより高切削量を可能とする暗色の鉱物、例えば褐色熱処理酸化アルミニウムとして非常に重要である。(黒色炭化ケイ素を、ほんの少量またはより淡色の研磨粒子、例えば緑色炭化ケイ素を組合せてであるが、本発明のその組成物に使用し得る。)
【0097】本発明に有用な研磨粒子の組成物は、天然研磨剤および人造研磨剤の2組に分けることができる。有用な天然研磨剤の例として:ダイヤモンド、コランダム、エメリー粉、ざくろ石(オフレッド(off-red)色)、ブーアストン、チャート、石英、砂岩、玉髄、フリント、ケイ岩、シリカ、長石、軽石およびタルクが挙げられる。人造研磨剤の例として:炭化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、溶融アルミナ、セラミック酸化アルミニウム、熱処理酸化アルミニウム(褐色およびダークグレーの両方)、アルミナジルコニア、ガラス、炭化ケイ素(少量の黒色は許容され得るが、好ましくは緑色)、酸化鉄、炭化タンタル、酸化セリウム、酸化錫、炭化チタン、合成ダイヤモンド、二酸化マンガン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素が挙げられる。
【0098】本発明に有用な研磨粒子は、通常および好ましくは約0.1〜約1500μm、より好ましくは約0.1〜約1300μmの範囲の粒子径を有する。本発明に用いる研磨粒子は少なくとも8、より好ましくは9以上のモース(Moh's)硬度を有することが好ましいが、特定用途に対しては8以下のモース硬度を有する粒子を使用し得る。
【0099】「研磨粒子(abrasive particle)」の語には、各研磨粒子の凝集物を含む。研磨剤凝集物は、多数の研磨粒子をバインダーを用いて共に接合し、特定の粒子構造を有し得るより大きな研磨粒子を形成するときに、形成される。研磨剤凝集物を形成する多くの粒子は1種以上の研磨粒子をから成り、用いるバインダーは凝集物を支持体と接合するのに用いるバインダーと同様であっても異なっていてもよい。
【0100】精密形状の研磨粒子を用いてもよい。これら精密形状の研磨粒子を:研磨粒子およびバインダー先駆物質から成るスラリーを用いて構造化研磨物品の製造用として本明細書中に記載したものと同様にして、構造化用具を被覆すること;バインダー先駆物質を硬化すること;および得られた複合材を、用具を約20,000Hzで操作する超音波ホーン(horn)に暴露することによって、用具から分離すること;により実質的に作製する。
【0101】(任意のバインダー先駆物質添加剤)研磨粒子を有するまたは全く含まないのどちらかの本発明の被覆性組成物、およびそのような硬化バインダーは、要すれば研磨材業者間で公知の添加剤、例えば繊維、滑剤、湿潤剤、界面活性剤、顔料、染料、可塑剤、沈殿防止剤、充填材(研削補助剤を含む)、レオロジー改質剤、カップリング剤およびそれに類するものを含有してもよい。これら材料の量は、バインダーの所望の性質および製造する研磨物品の最終用途に依存する。
【0102】A.充填材多くの研削補助剤研磨物品を製造するのに用いるバインダーには、好ましくは充填材を含有していてもよい。充填材は通常、樹脂中に分散した有機または無機粒子であり、バインダー先駆物質またはその硬化バインダーの特性のどちらか、または両方を改良し得、また単純にコスト低下するのに用いられ得る。
【0103】少なくともある範囲以上の充填材の添加することにより、通常、硬化バインダーの硬度および靭性が増大する。その充填材は、通常および好ましくは、約1〜約100μm、好ましくは約5〜約50μm、および最も好ましくは約10〜約25μmの範囲の平均粒径を有する無機粒子である。更に、その充填材は好ましくは1.5〜4.50の範囲の比重を有し、充填材の平均粒子径は好ましくは、その物品の極限用途に依存して、研磨粒子の平均粒子径以下である。
【0104】本発明に有用な非反応性充填材の例として、金属カーボネート類、例えば炭酸カルシウム(白亜、方解石、泥灰岩、トラバーチン、大理石または石灰石の形の)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸マグネシウム;シリカ類、例えば石英、ガラスビーズ、ガラスバブルおよびガラス繊維;シリケート類、例えばタルク、クレー、長石、マイカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム;金属スルフェート類、例えば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウムおよび硫酸アルミニウム;石膏;ひる石;木粉;アルミニウム三水和物;カーボンブラック;金属酸化物類、例えば酸化カルシウム(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン、アルミナ水和物、アルミナ一水和物;および金属スルフィット類、例えば亜硫酸カルシウムが挙げられる。
【0105】一般に、充填材は、研磨材により活性化された研削表面に関して、実質的に不活性または非反応性である材料を含有する無機粒子材料である。しかし時には、研磨材業者間で研削補助剤として表される活性(即ち、反応性)充填材を使用する。これら充填材は使用時に研削表面と有用に相互作用する。特に、研削補助剤は、1)研磨粒子および研磨されるワークピースとの間の摩擦を小さくし、2)研磨粒子の「キャッピング(capping)」を防止、即ち金属粒子が研磨粒子の上部に溶接されるのを防止し、3)研磨粒子およびワークピース間の界面温度を低下し、または4)必要研削力を減少する;と当業者間で考えられている。
【0106】研削補助剤には広く様々な異種材料が包含され、無機物または有機物をベースとし得る。本発明に有用な研削補助剤の化合物群の例として、ワックス類、有機ハロゲン化合物、ハロゲン化物塩類および金属類およびそれらの合金が挙げられる。有機ハロゲン化合物は通常、研磨中に分解し、ハロゲン酸または気体ハロゲン化合物を発生する。そのような材料の例として、塩素化ワックス類、例えばテトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレン;およびポリ塩化ビニルが挙げられる。ハロゲン化物塩類の例として、塩化ナトリウム、カリウム氷晶石、ナトリウム氷晶石、アンモニウム氷晶石、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウム、塩化マグネシウムが挙げられる。金属類の例として、錫、鉛、ビスマスネコバルト、アンチモン、カドミウム、鉄およびチタンが挙げられる。他の種々のものから成る研削補助剤として、硫黄、有機硫黄化合物、グラファイトおよび金属硫化物が挙げられる。研削補助剤の前記の例は、研削補助剤の代表例であり、すべての研削補助剤を包含する意ではない。
【0107】研削補助剤を好ましくは、バインダー先駆物質溶液の総重量に対して約0.1〜約10乾燥重量%、より好ましくは約0.5〜約5.0重量%の範囲で、本発明のスラリーおよびバインダー先駆物質分散体に使用する。非反応性充填材を使用するのなら、それらを50乾燥重量%まで使用し得る。
【0108】前記のものの内、ある種のクレーは、本発明の被覆性組成物から作製したバインダーの制御浸蝕(erosion)を示す傾向があり、それはラッピング被覆研磨材に特に重要である。
【0109】B.レオロジー改質剤レオロジー改質剤粒子を本発明の被覆性組成物に加えてもよく、それは組成物粘度を低下する作用を有し、バインダー先駆物質内の研磨材および/または充填材粒子の沈降速度を低下する。平均粒径が好ましくは研磨剤または充填材粒子の平均粒径より小さい改質剤粒子の添加により、被覆性組成物の粘度を低下し、研磨剤または充填材粒子を懸濁液中に撹拌せずに長時間保持する。
【0110】好ましくは、改質剤粒子の平均粒径は、約100mμ以下、より好ましくは約50mμ以下である。各改質剤粒子の粒径は、被覆性組成物中の研磨材および/または充填材粒子の平均粒径に依存して、約1〜約100mμ、より好ましくは約10〜約25mμの範囲であってもよい。
【0111】好ましい充填材には、シリカ粒子、例えばニュージャージ州リッジフィールドパーク(Ridgefield Park)のデグサ(Degussa)社から商品名「OX-50」、「R-812」および「P-820」で市販のものが挙げられ、第1のものは平均粒径40mμ、表面積50m2/gの非晶質シリカであり、第2のものは平均粒径7mμおよび表面積260m2/gのヒュームドシリカであり、第3のものは平均粒径15mμおよび表面積100m2/gの沈降シリカである。
【0112】非晶質シリカ粒子は、用いるなら、少なくとも90%純度、より好ましくは少なくとも95%純度および最も好ましくは少なくとも99%純度のものが好ましい。主要な不純物は主に他の金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化鉄および二酸化チタンである。非晶質シリカ粒子は球状である傾向があり、2.1〜2.5g/cm2の範囲の密度を有する。
【0113】改質剤粒子は、用いるなら、約0.01〜約30乾燥重量%、より好ましくは約0.05〜約10重量%および最も好ましくは約0.5〜約5.0重量%の範囲で被覆性組成物内に存在することが好ましい。
【0114】C.カップリング剤更に粘度低下の必要があるなら、本発明の被覆性組成物にはカップリング剤、例えばデワルド(DeWald)の米国特許第4,871,376号に開示のもの(その記載をここに挿入する)を含有していてもよい。カップリング剤は、無機粒子および有機バインダー、または支持体の間のより強い結合を形成ために機能してもよい。
【0115】本発明の使用に適することが明らかとなったカップリング剤の例として、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社から商品名「A-174」で市販の化合物γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランがある。他の適するカップリング剤は、ジルコアルミネート類およびチタネート類である。シラン、チタネートおよびジルコアルミネートカップリング剤の使用を示す更なる例が、米国特許第4,871,376号に開示されている。
【0116】カップリング剤は、含まれるなら、通常および好ましくは被覆性組成物の総乾燥重量の約0.1〜約3.0乾燥重量%の範囲である
【0117】D.染料、顔料および着色剤本発明の被覆性組成物は着色研磨物品、例えば着色ラッピング研磨物品の製造に特に適している。ある染料は(前述の)増感剤として有用であるが、他のものは主に美的用途に用いられる。
【0118】本発明の研磨物品の含有物として適するおよび好ましい化合物は、有機染料素材化合物、無機顔料およびポリマー着色剤である。本発明に有用な好適な無機顔料には、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化クロム、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、金属フェライトおよびこれらの混合物が挙げられる。好適な有機染料素材には、フタロシアニングリーンおよびフタロシアニンブルーのような化合物が挙げられる。
【0119】好適なポリマー着色剤には、すべてサウスキャロライナ州スパルタンバーグ(Spartanburg)ミリケンリサーチ(Milliken Research)社から市販の「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」、「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」、「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」および「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」の商品名で公知のものが挙げられる。これらのポリマー着色剤は、樹脂中の反応性種および着色剤の間の共有結合の形成による、樹脂中への導入に適している。それらは以下の一般式:R-(ポリマー成分-X)n(式中、Rは有機染料素材基であり;ポリマー成分は、ポリアルキレンオキシド類およびポリアルキレンオキシドのコポリマーから選択され、そのポリマー成分のアルキレン種が2個以上の炭素原子を含有し、そのようなポリマー成分が約44〜約1500、より好ましくは約80〜約800の範囲の平均分子量を有し;nは1〜約6の整数であり;およびXは-OH、-NH2および-SHから選択される。)の構造を有しするこの一般式の範囲内の化合物が米国特許第4,284,729号に詳細に開示されている。その米国特許第4,284,729号には熱硬化性樹脂中でのそれらの使用が開示されているが、米国特許第4,812,141号熱可塑性樹脂系でのそれらの使用が開示されている。
【0120】有機染料素材基Rは、最終研磨製品の所望の色および特性に広範囲に依存して、大きく変化してもよい。好ましくは、本発明の使用に対して、有機染料素材基Rをニトロソ;ニトロ;モノアゾ、ジアゾおよびトリアゾを含むアゾ;ジアリールメタン;トリアリールメタン;キサンテン;アクリデン;メチン;チアゾール;インタミン;アジン;オキサジン;またはアントラキノン染料素材基から選択してもよい。特に有用なものはアゾ、アントラキノン大きくトリジアリールメタン染料素材基である。
【0121】前記一般式の範囲内の着色剤のポリマー成分は、得られる着色剤を液状にするどんな好適なポリマー成分であってもよい。その染料素材基と結合し得るポリマー成分の典型例としてポリマーエポキシ樹脂、例えば酸化ポリアルキレンおよびそれらのコポリマーがある。液状着色剤を提供する典型的酸化ポリアルキレン類およびそれらのコポリマーには、酸化ポリエチレン;酸化ポリプロピレン;酸化ポリブテン;酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレンおよび酸化ポリブテンのコポリマー;およびブロックコポリマーを含む他のコポリマーがあり、大多数のそのポリマー成分は、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレンおよび/または酸化ポリブテンである。そのようなポリマー成分は約44〜約1500、より好ましくは約80〜約800の範囲の平均分子量を有してもよい。
【0122】商品名「リアクチント(Reactint)」で公知の前述のポリマー着色剤は、Xとして-OHを有する。そのような着色剤に対して、「ヒドロキシル価(hydroxyl number)」を以下の式:ヒドロキシル価 = 56,000/(ヒドロキシル当量)
(式中、「ヒドロキシル当量(hydroxyl eq. wt.)」はそのポリマー着色剤のヒドロキシル当量である。)により表され、更にその着色剤を特徴付け得る。本発明の実施例に使用する着色剤は以下のヒドロキシル価を有する。
ポリマー着色剤 ヒドロキシル価 リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB 210 リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15 84 リアクチントレッド(Reactint Red)X52 150 リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38 105
【0123】使用し得る染料、顔料および/または着色剤の量および種類は、存在する特定の樹脂、光開始剤系および他の添加剤によって変化し得る。所望の量および種類は、物品の用途によっても変化し得る。商品名「リアクチント(Reactint)」で公知のポリマー着色剤を、40μm白色酸化アルミニウム(69部);商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ(1部);商品名「A-174」で公知のカップリング剤(1部);樹脂(50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび1部の光開始剤の混合物29部);から成るスラリーに使用するなら、商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知のサウスキャロライナ州スパルタンバーグ(Spartanburg)ミリケンリサーチ(Milliken Research)社から市販の青色着色剤の典型的な量は、約0.3部である。この量は0.1〜約2部の範囲であると予想される。
【0124】(接合研磨材)接合研磨材を作製するために、本発明のスラリーを、本質的に重合性樹脂、研磨粒子および光開始剤系から成るように調製した。要すれば、カップリング剤をそのスラリーに導入し、そのスラリーを金型に注入してもよい。シランカップリング剤を用いるなら、金型の内面を離型剤で被覆する必要はないかもしれない。しかし要すれば、離型剤材料、例えば商品名「IMSシリコンスプレーパーティングエイジェント(Silicon Spray Parting Agent)」no.S-512で公知の離型剤を金型のその面に被覆し、そのスラリーにさらしてもよい。更に、その金型は、ポリテトラフルオロエチレンまたはそれに類するもののような材料製の非粘着(non-stick)表面を有してもよい。
【0125】次いで、そのスラリーを選択した金型に注入し、実質的に前述の硬化条件にさらす。一旦その樹脂を硬化すれば、得られる接合研磨材を金型から剥離する。
【0126】(不織研磨物品)不織研磨物品は、バインダーによって接触する点で接合した繊維の目の荒い、ロフティーな(lofty)、3次元ウェブから成る。そのような構造を有するバインダーは本発明の被覆性組成物を用いて作製し得、またそのバインダーは多くの好適な技術、例えばロール被覆、スプレー被覆およびそれに類するもののいずれによっても適用し得る。研磨粒子はその繊維に接着していても、していなくてもよい。不織研磨物品用の不織ウェブ支持体の製造方法が、米国特許第3,688,453号(レガシー(Legacy等))に開示されている。
【0127】(ワークピース表面の研磨方法)本発明の他の態様は、特定の金属表面の研磨方法に関する。この方法には、金属表面を有するワークピースを本発明の研磨物品に摩擦接触させることを含む。「研磨すること(abrading)」の語により、金属ワークピースの一部を研磨物品により切削または除去することを表す。更に、そのワークピース表面に付随する表面仕上は、このプロセスの間に、通常および好ましくは微細にする。ある典型的な表面仕上測定値はRaであり;Raは一般にミクロインチまたはマイクロメーター単位で測定した計算表面仕上である。その表面仕上をプロフィールメーター、例えば商品名「パーソメーター(Perthometer)M4P」(オハイオ州シンシナティー(Cincinnati)のマーゼインプルーフ(Mahrseinpruef)社から市販)および「サートロニック(Surtronic)3」(テイラーホブソン(Taylor Hobson)社製造、およびニューヨーク州イーストメドー(East Meadow)のマウスマーエクイプメントカンパニー(Mausmer Equipment Company)から市販)で公知のものによって測定し得る。
【0128】金属ワークピースはどんな種類の金属、例えば軟鋼、ステンレス鋼、チタン、合金、新種の合金およびそれに類するものであってもよい。そのワークピースは平坦であってもよく、それに付随する形状または輪郭を有してもよい。
【0129】その用途によって、研磨界面での力は約0.1〜1000kg以上の範囲となり得る。一般にこの範囲は、1〜500kgの研磨界面での力である。また、その用途によって、研磨時に液体が存在してもよい。この液体は水および/または有機化合物であってもよい。典型的有機化合物の例として、滑剤、油、乳化有機化合物、切削液、石鹸およびそれに類するものが挙げられる。これら液体は他の添加物、脱泡剤、脱脂剤、腐蝕防止剤またはそれに類するものを含有してもよい。その研磨物品は使用時に研磨界面で振動し得る。ある場合には、この振動により研磨するワークピースの表面がより細かくなる。
【0130】本発明の研磨物品を手で使用しても、機械と連結して使用してもよい。研磨物品の少なくとも1つまたは両方とワークピースは、研削時にもう一方と関連して動く。その研磨物品を、ベルト、テープロール、ディスク、シートおよびそれに類するものに加工し得る。ベルト用途では、研磨シートの2つの自由末端を接合し、添え継ぎ(splice)を形成する。本出願人の1993年7月8日公開の特許協力条約係属出願第9312911号に開示の添え継ぎなしのベルト状物を用いることも本発明の範囲内である。一般に、エンドレス研磨ベルトは、少なくとも1つのアイドラーロールおよび定盤(platen)または接触ホイールを通過する。その定盤または接触ホイールの硬度を調整して、所望の切削速度およびワークピース表面仕上を得る。その研磨ベルト速度は、所望の切削速度および表面仕上に依存する。そのベルト寸法は、幅約5〜1,000mmおよび長さ約5〜10,000mmの範囲である。研磨テープは連続長さの研磨物品である。それらの幅は約1〜1,000mm、一般に5〜250mmの範囲である。通常、その研磨テープは巻出され、テープをワークピースに押し付ける支持パッドを通過し、そして巻返される。研磨テープを研磨界面を通過して連続的に供給し、割送りし得る。研磨ディスクは直径が約50〜1,000mmの範囲である。通常、研磨ディスクを、ある取付手段によりバックアップパッドに固定する。これらの研磨ディスクは、100〜20,000rpm、通常1,000〜15,000rpmで回転し得る。
【0131】試験方法試験方法I:仕上特性試験(Ra
仕上特性を通常用いる統計学的パラメータ「Ra」により測定し、それは平均表面粗さの測定値である。Raは刊行物「アンイントロダクションツーサーフェイステクスチャーアンドパートゲオメトリー(An Introduction to SurfaceTexture and Part Geometry)」内で、ミクロインチ単位の引掻深さの算術平均として定義されている。理想的な場合は、Ra値が低いと同時に、多量の材料がワークピースから除去される場合である。
【0132】試験方法II:ロボット(robot)ベルト試験硬化研磨物品をエンドレスベルト(7.6cm幅×335cm長)に加工し、その切削性能を一定荷重面グラインダーにより測定する。秤量したおよそ2.5cm×5cm×18cmの1018軟鋼ワークピースを試料ホルダーに載せ、そのワークピースを装置に直角に、(直径約36cmで85ショアーAジュロメーターの硬度を有する)鋸歯状のゴム製接触ホイールに面する2.5cm×18cmの面に、1つのランドに1つ配置する。エンドレスベルトをゴム製接触ホイール上に配置し、ベルトの研磨表面がワークピースに接触する。そのワークピースが18cmのパス(path)を毎分20サイクルの速度で往復運動し、一方で、約2050m/分の速度で回転するベルトをワークピースに接触して、4.5kgの荷重を保持したばね荷重プランジャーによって動かした。研磨時間1分経過後に初期切削量を測定し、ワークピースを取り外し、再秤量して除去された素材量を決定する。その手順を、次のワークピースを試料ホルダーに載せ、次の研磨サイクルを始める1分の間をおいて繰り返す。その試験の終点は20回の完全な研磨サイクルであり、その最終切削量データはその20回目研磨サイクルにより測定した切削量である。
【0133】試験方法III:スライドアクションディスクテスト(slide action disc test)その研磨物品の17.8cm(7インチ)直径のディスクを面取りしたアルミニウムバックアップパッドに載せ、1018軟鋼ワークピースの1.25cm×18cmの面を研磨するのに用いる。バックアップパッドの面取りしたエッジを覆うディスクの部分がワークピースと接触すると同時に、そのディスクを5,500rpmで回転させ、ディスクに関しては7°の角度で、約6kgの荷重で保持する。ワークピースは研磨試験の間にディスクの下を後および前に移動し、時間内にワークピースの全表面と接触する。ワークピースを1分の間をおいて取り換え、最後のワークピースの切削量が1g以下となるまで試験を続ける。その初期切削量は研磨の最初の1分間に除去した金属の量である。同様に、最終切削量は最後の1分間に除去した金属の量であり、総切削量は試験の間中に除去した金属の量の合計である。切削量データは、他に表示がなければ、4枚のディスクの平均である。
【0134】試験方法IV:シーファー(Schiefer)切削試験研磨物品をディスク(12.7cm直径)に加工し、感圧接着剤により発泡体バックアップパッドに固定する。研磨ディスク/バックアップパッドのアセンブリーをシーファー(Schiefer)試験機に取付け、その研磨ディスクを用いてポリ(メチルメタクリレート)製のワークピースを研磨する。4.5kgの荷重を研磨ディスクに負荷し、すべての試験を多量の水存在下で行う。その試験の終点は、研磨ディスクの500回転またはサイクルである。ポリ(メチルメタクリレート)ワークピースを試験の前後に秤量し、ディスクにより研磨した材料の量を決定する。
【0135】試験方法V:ディスク切削試験ディスク切削試験は切削または研磨した押抜き刃の量および砥粒/ウェブ損失量を測定する。不織研磨材の17.8cm直径のディスクを#917ディスクパッドホルダー(Disc Pad Holder)(3M社から市販)に載せ、そのホルダーを試験装置の駆動部の直角に搭載する。標準位置から3枚の等間隔に配置した押抜き刃(6.5cm間隔)から成る試験ディスクへ角度7°傾いたワークピースを、押抜き刃の鈍角エッジがその試験ディスクに突き当たるように取付ける。研磨ディスクを4580rpmの速度で回転し、5.6kgの一定荷重をワークピースに負荷しながら21秒間でワークピースを通過する。ワークピースおよび試験ディスクの両方を試験前後に秤量し、ワークピースから研削または研磨した金属の量、および損失した研磨材/ウェブの量をそれぞれ決定した。
【0136】
【実施例】以下の非限定的実施例により、更に本発明を説明する。実施例内のすべての部数、百分率、比率およびそれに類するものは、他に表示しない限り重量である。以下の実施例で製造および使用する研磨物品を「研磨物品の一般的製造方法」に従って製造し、その研磨物品を前述の試験方法に従って試験方法した。
【0137】(構造化研磨物品の一般的製造方法)本発明の被覆性組成物を使用する実施例の研磨物品を、概して本出願人の米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)等)に従って製造した。各場合に用いたスラリーをピラミッド形パターンを有する生産用具上に被覆し、スラリーをその用具に充填した。そのピラミッド形は、底面が互いに突き合せるように配置されていた。実施例に用いた生産用具の突起の寸法および形状に関するより正確な説明を以下に示した。このパターンは概して図2に示した(ピーパー(Pieper)等の図1)。
【0138】次に、エチレンアクリル酸コポリマープライマーを有するポリエステルフィルムを生産用具にローラーによりプレスし、そのスラリーはポリエステルフィルムの表面を湿潤した。紫外および/または可視光をポリエステルフィルムを通過して、そのスラリーへ透過した。その光はスラリーに含まれる放射線硬化性樹脂の重合を開始し、そのスラリーをポリエステルフィルム支持体にに接着している研磨複合材に加工した。用いた紫外線源は実施例で明らかにする。最後に、そのポリエステルフィルム/研磨複合材を生産用具から分離し、構造化研磨材を得た。
【0139】(対照UVスペクトルデータ)本発明の種々のα-開裂光開始剤、および本発明の範囲外の2種の比較のα-開裂光開始剤の370〜500nmの一部のUVスペクトルデータを、以下の表I〜VIIIに示した。標準スペクトル1および2(表IおよびII)および比較のスペクトル1および2(表IIIおよびIV)により、測定した2つの濃度で、試験した各光開始剤のモル吸光係数は実質的には変化せず、ベール(Beer)の法則に従うことを示した。本発明の範囲内の光開始剤系の定義には、明らかに標準スペクトルに示したすべての光開始剤を含み、比較の光開始剤スペクトル1〜3(表II、IVおよびVII)、2,2-ジメチル-1,2-ジフェニルエタノン(商品名イルガキュア(Irgacure)651で公知)および2,2-ジメチル-2-ヒドロキシ-1-フェニル-エタノン(商品名ダロカー(Darocur)1173で公知)を除く。
【0140】
【表1】


【0141】
【表2】


【0142】
【表3】


【0143】
【表4】


【0144】
【表5】


【0145】
【表6】


【0146】
【表7】


【0147】
【表8】


【0148】(実施例1〜19)種々の光開始剤系の硬化速度は、その光開始剤系を、40μmの白色酸化アルミニウム(マサチューセッツ州ウェストフィールド(Westfield)のミクロアブレイシブ(Micro Abrasive)社から市販)および光硬化性樹脂系の70:30混合物から成るスラリーに導入することにより決定した。その樹脂系は、APC(コネチカット州ダンバリー(Danbury)のユニオンカーバイド(Union Carbide)社から市販の3-(トリメチルオキシシリル)-プロピルメタクリレートの加水分解したもの、0.5部);および50部のトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ペンシルバニア州エクストン(Exton)のサートマー(Sartomer)社から市販)、50部のトリス-(2-アクリロールエチル)イソシアヌレート(TATHEIC、同様にサートマー(Sartomer)社から市販)および1〜2.5部の表1に示した光開始剤系から成る混合物29.5部;から成る。そのスラリーを直径4mmの石英管に入れ、その管を定盤にテープで貼り、定盤を光源から5.1cm(2インチ)の距離で約3m/分(10フィート/分)〜約54m/分(175フィート/分)の速度で光源下で移動した。この検討に用いた光源は、メリーランド州ロックビル(Rockville)のフュージョンシステムズ(FusionSystems)社から市販の、表示「H」、「V」、「D」および「Q」を有する25.4cm(10インチ)の600ワット/2.54cmの光電球であった。その石英管を照射後割って開け、スラリーをペーパークリップで調べ硬化したかどうか確認した。表2には、研磨スラリーが様々な電球を用いてちょうど硬化した時の光源および最大速度を示した。(用いた4mm直径管は、通常用いるものまたは使用可能な研磨材を製造するのに必要なものより非常に大きな厚さを示した。)
【0149】(比較例C1〜C31)多くの従来の光開始剤系を本発明の光開始剤系の代わりに用いた以外は、実施例1〜19の方法を繰り返した。表3には試験した様々な組成物を示し、表4にはこれら組成物の最大硬化速度を示した。
【0150】
【表9】


【0151】
【表10】


【0152】1ダロカー(Darocur)4265、ニューヨーク州ホーソーン(Hawthorne)のチバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の、2-ヒドロキシ-2-メチルフェニルプロパン-1-オンおよび2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの50:50混合物。
2イルガキュア(Irgacure)907、チバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2(4-モルホリニル)-プロパン-1-オン。
3イルガキュア(Irgacure)369、チバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン。
4ニューヨーク州ニューヨーク(New York)のビドルソーヤー(Biddle-Sawyer)社から市販のイソプロピルチオキサントン。
5ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)社から市販のエチル p-(ジメチルアミノ)ベンゾエート。
6コネチカット州ストラットフォード(Stratford)のハンプフォードリサーチ(Hamoford Research)社から市販のショウノウキノン。
7クリベーロ(Crivello)、J.V.のAnn.Rev.Mater.Sci.1983頁、第13巻、1973年に開示のように調製したジフェニルヨードニウムPF6塩。
8K.ワカバヤシ(Wakabayashi)、M.ツノダ(Tsunoda)およびY.スズキ(Suzki)の、ビュレッチンオブケミカルソサイエティーオブジャパン(Bulletin of theChemical Society of Japan)、第42巻、2924〜2931頁、1969年に開示のように調製したトリス(トリクロロメチル)トリアジン。
【0153】
【表11】


【0154】
【表12】


【0155】
【表13】


【0156】
【表14】


【0157】(表3の脚注)
1.イルガキュア(Irgacure)651、ニューヨーク州ホーソーン(Hawthorne)のチバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の、2,2-ジメチル-1,2-ジフェニルエタノン。
2.イルガキュア(Irgacure)261、チバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の、(η6-メチルエチルベンゼン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート。
3.イルガキュア(Irgacure)500、チバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびベンゾフェノンの50:50混合物。
4.イルガキュア(Irgacure)784、チバガイギー(CIBA-GEIGY)社から市販の、ビス(ペンタフルオロフェニル)チタノセン。
5.ニューヨーク州ニューヨーク(New York)のビドルソーヤー(Biddle-Sawyer)社から市販のイソプロピルチオキサントン。
6.ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)社から市販のエチル p-(ジメチルアミノ)ベンゾエート。
7.コネチカット州ストラットフォード(Stratford)のハンプフォードリサーチ(Hamoford Research)社から市販のショウノウキノン。
8.クリベーロ(Crivello)、J.V.のAnn.Rev.Mater.Sci.1983頁、第13巻、1973年に開示のように調製したジフェニルヨードニウムPF6塩。
9.K.ワカバヤシ(Wakabayashi)、M.ツノダ(Tsunoda)およびY.スズキ(Suzki)の、ビュレッチンオブケミカルソサイエティーオブジャパン(Bulletin ofthe Chemical Society of Japan)、第42巻、2924〜2931頁、1969年に開示のように調製したトリス(トリクロロメチル)トリアジン。
10.アルドリッチケミカル(Aldrich Chemical)社から市販の過酸化メチルエチルケトン。
11.イリノイ州シカゴ(Chicago)のアクゾケミカル(Aczo Chemical)社から市販の、t-アミルペルベンゾエート。
12.ケイパート(Keipert)K.の米国特許第5,059,701号に開示のように調製した(η6-キシレン)(η5-シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート。
13.
【化1】


(ボンハム(Bonham)等の米国特許第3,987,037号に、開示のように調製した化合物。)
14.
【化2】


同上
【0158】表4最大硬化速度(m/分)
【0159】
【表15】


【0160】実施例1〜19には、商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤を使用するもの(実施例12、14、15、17および19)は、「V」電球を用いてより高ウェブ速度(38m/分以上)で硬化するのに特に有効であった。「Q」電球を用いて硬化する際に妥当なウェブ速度が可能であるが、イソプロピルキサントン(ITX)およびイルガキュア(Irgacure)369(実施例13、16、および18)を含有する光開始剤系は、「V」電球を用いて、ITXのない開始剤系と比較して低下したウェブ速度だけで硬化することを示した。
【0161】(実施例20〜26)実施例12の組成物を使用して、研磨物品を製造した。そのスラリーを、米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)等)の実施例15〜16に開示のプロセスにより真空コーターダイを用いて、非対称の四角形ピラミッド状パターンを有するニッケル生産用具上に押出した。生産用具のパターンは、長さ各0.89mmで、互いに接触したそのピラミッドの底面のエッジを有する。ピラミッドの頂部は、底面の水平面上0.53mmであり、ピラミッドの各面が異なった寸法を有しピラミッド底面と異なった角度をとる位置とピラミッド底面の反対の角を2等分する2本の線の交差点と垂直な標準位置から分かれ出る。その面の底面との角度は7.9°、56.8°、30.9°および46.9°であった。
【0162】スラリーを生産用具上に押出した後すぐに、真空ダイコーターを減圧してまたはせずに、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウケミカル(Dow Chemical)社から市販の商品名「プライマコー(Primacor)3330」で公知のエチレンアクリル酸コポリマープライマーを有するある面を被覆したクリアーな127μm(5ミル)厚のポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムを生産用具と接触してプレスし(スラリーの下塗りした側)、得られた構造を窒素不活性ウェブプロセッサー(processor)内で所定の時間2つの300ワット/2.54cm「H」電球に暴露した。前述のロボット研削試験で測定したような研磨物品の切削性能を表5に示した。
【0163】(比較例C32〜C33)100部のTATHEIC/TMPTA当たり商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤1部の代わりに、100部のTATHEIC/TMPTA当たり商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤2部を用いる以外は、実施例20〜26の方法に従って実施例12の組成物を用いて研磨物品を製造した。前述のロボット研削試験で測定したような研磨物品の切削性能を表5に示した。この性能評価の最も顕著な態様は、4.6m/分で硬化した時の6.5gから7.3m/分で硬化した時の1.4gに減少した比較研磨物品の切削量に比較して、本発明の研磨物品ではウェブ硬化速度が約3.1m/分から9.1m/分に上昇する際に切削量が単調に8.0gから6.3gに減少する、初期切削性能にある。
【0164】
【表16】


【0165】(実施例27〜29)研磨物品を、40μmの白色酸化アルミニウムの一部の代わりに、表6に示すように、非晶質シリカ充填材(ニュージャージ州リッジフィールドパーク(Ridgefield Park)のデグサ(Degussa)社から市販の商品名「OX-50」で公知)および/または氷晶石(マサチューセッツ州ノースグラフトン(North Grafton)のワシントンミルズ(Washington Mills)から市販の研削補助剤)を用いた以外は、実施例20〜26のベーススラリー組成物から製造した。その研磨物品を、実施例20〜26で使用した生産用具と同様のパターンを有する平坦な生産用具にスラリーのビーズを注入すること;一片の127μm(5ミル)厚さのPETフィルム(実施例20〜26で用いたのものと同様のフィルム)の下塗面を、その生産用具に接触するように配置すること、および;そのPETフィルムの裏面をプラスチックブレードで押して、閉じ込められた気泡をその積層構造から排除すると同時に、その用具上にスラリーをひろげることにより製造した。このように作製したサンドイッチ構造を上側に面したPETフィルムで金属定盤に巻き、そのパターンを、600ワット/2.54cm「V」電球を有する窒素不活性ウェブプロセッサーに、光源からの距離5.1cm(2インチ)および表6に示したウェブ速度で通過させた。その物品の研磨性能を、前述のスライドアクションディスクテスト(試験方法III)および表6に示した物品の性能データを用いて特徴付けた。
【0166】(比較例C34〜C36)研磨物品を、比較例C32〜C33のスラリー内で40μmの白色酸化アルミニウムの一部の代わりに、表6に示すように、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ充填材(ニュージャージ州リッジフィールドパーク(Ridgefield Park)のデグサ(Degussa)社製、平均粒径40mμ、表面積50m2/g)および/または氷晶石(研削補助剤)を用いた以外は、実施例27〜29の方法に従って製造した。その物品の研磨性能を、前述のスライドアクションディスクテストを用いて特徴付けた。その物品の性能データを表6に示した。
【0167】
【表17】


【0168】本発明の組成物から製造した研磨物品によって、同様のベース組成物を有するが異なる光開始剤を用いた研磨物品より高い初期および総切削量を示した。
【0169】(実施例30〜31)TATHEIC/TMPTA/イルガキュア(Irgacure)369(50/50/2)の混合物から成る混合物32g;100部のテトラヒドロフルフリルアクリレート(サートマー(Sartomer)から市販)および2部の2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン(「イルガキュア(Irgacure)369」)から成る混合物40.98g;および144.5gの白色酸化アルミニウム(イリノイ州エルムハースト(Elmhurst)のフジミ(Fujimi)から市販の「WA 2000」/23.5gのクレー(コネチカット州ノーウォーク(Norwalk)のR.T.バンダービルト(Vanderbilt)から市販の「ピアレス(Peerless)#4」)/2.0gの3-メチルアクリロイルプロピルトリメトキシシラン(コネチカット州ダンバリー(Danbury)のユニオンカーバイド(Union Carbide)社から市販の商品名「A-174」で公知)から成る混合物170g;を組合せて、均一な混合物になるまで混合することにより調製したスラリーを得た。米国特許第5,152,917号(ピーパー(Pieper)等)に開示の方法に従って、このスラリーから研磨物品を製造した。そのニッケル製生産用具は、約128.5μm長のベースエッジおよび約143μm長であるその他のエッジの内の2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した。そのピラミッドの高さはやく63.5μmであった。その構造に用いたPETフィルムは約130μm厚であり、約20μm厚のエチレンアクリル酸コポリマープライマーを下塗りした片面を有する。接着剤スラリーのビーズを生産用具に導入すること、用具側面を下塗りしたPETフィルムを研磨材スラリー上に配置すること、およびプラスチックブレードを用いて用具上の研磨材スラリーを押し、その用具の構造化パターンを湿潤させスラリーで充填することによってサンドイッチ構造を製造した。このように作製したサンドイッチ構造を上側に面したPETフィルムで金属パターンに巻き、そのパターンをウェブプロセッサーに2回通過させ、研磨物品を製造した。そのウェブプロセッサーは、600ワット/2.54cm「V」電球(実施例30)または600ワット/2.54cm「D」電球(実施例31)を有し、そのウェブは光源からの距離5.1cm(2インチ)およびウェブ速度約60m/分であった。その物品の研磨性能を、前述のシーファー切削試験および表7に示したその物品の性能データを用いて特徴付けた。切削データは2枚のディスクの平均である。
【0170】(実施例32〜33)50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび2部の光開始剤2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン(商品名「イルガキュア(Irgacure)907」で公知)の混合物から成る混合物32g;100部のテトラヒドロフルフリル(THF)アクリレートおよび2部の「イルガキュア(Irgacure)907」から成る混合物40.98g;および144.5gの白色酸化アルミニウム「WA 2000」、23.5gのクレー(「ピアレス(Peerless)#4」)、2.0gのγ-メチルアクリロイルプロピルトリメトキシシランカップリング剤(商品名「A-174」で公知(ユニオンカーバイド(Union Carbide)社))から成る混合物170g;から成る混合物を組合せて、均一な混合物になるまで混合することによりスラリーを調製した以外は実施例30〜31の方法を用いた。実施例33を「D」電球を用いて硬化する一方、実施例32を「V」電球を用いて硬化した。2枚のディスクの平均であるその研磨物品の研磨性能データを、表7に示した。
【0171】(実施例34〜35)50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、2部の「イルガキュア(Irgacure)907」で公知の光開始剤および1部のITXから成る3部の光開始剤系32g;100部のテトラヒドロフルフリル(THF)アクリレート、および2部の「イルガキュア(Irgacure)907」で公知の光開始剤および1部のITXから成る3部の光開始剤系から成る混合物40.98g;および144.5gの白色酸化アルミニウム「WA 2000」、23.5gのクレー(「ピアレス(Peerless)#4」)、2.0gのγ-メチルアクリロイルプロピルトリメトキシシランカップリング剤(商品名「A-174」で公知(ユニオンカーバイド(Union Carbide)社))から成る混合物170g;から成る混合物を組合せて、均一な混合物になるまで混合することによりスラリーを調製した以外は実施例30〜31の方法を用いた。実施例35を「D」電球を用いて硬化する一方、実施例34を「V」電球を用いて硬化した。2枚のディスクの平均であるその研磨物品の研磨性能データを、表7に示した。
【0172】(比較例C37〜C38)50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、2部の(商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の)光開始剤2,2-ジメチル-1,2-ジフェニルエタノン32g;100部のテトラヒドロフルフリル(THF)アクリレート、および2部の(「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の)光開始剤から成る混合物40.98g;および144.5gの白色酸化アルミニウム「WA 2000」、23.5gのクレー(「ピアレス(Peerless)#4」)、2.0gの商品名「A-174」(ユニオンカーバイド(Union Carbide)社)で公知のγ-メチルアクリロイルプロピルトリメトキシシランカップリング剤から成る混合物170g;から成る混合物を組合せて、均一な混合物になるまで混合することによりスラリーを調製した以外は実施例30〜31の方法を用いた。比較例C38を「D」電球を用いて硬化する一方、実施例C37を「V」電球を用いて硬化した。2枚のディスクの平均であるその研磨物品のシーファー切削試験を用いた研磨性能データを、表7に示した。
【0173】
【表18】


【0174】表7のデータにより、商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤(比較例37〜38)が剥離するのに十分硬化を進行させ得ないのに対して、本発明の光開始剤系(実施例30〜35)は少なくともフィルム支持体/研磨複合材が生産用具から剥離し得るのに十分硬化し得ることを示す。光開始剤系および電球種類の最適な組合せは、「D」電球を用いた、ITXを組合せた商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤から成る系であった。
【0175】(実施例36〜40)被覆研磨物品を、従来の光硬化被覆研磨製品の製造に用いたものと同様のメイク被膜/サイズ被膜法を用いて製造した。その物品を、予めエチレンアクリル酸コポリマープライマーを下塗りしたPETフィルム(76μm厚)上にメイク被膜を被覆することによって製造した。そのメイク被膜をPETフィルムに適用した後すぐに、P-120溶融酸化アルミニウム研磨グリット(grit)(約120μmの平均粒径を有する、オーストリアのトライバッハ-アルソーテン(Treibach-Althoten)のトライバッヘルケミーシェベルケ(Treibacher Chemische Werke)AGから市販の商品名「F#K」で公知)を静電的にメイク被膜に突出させ、そのウェブを300ワット/2.54cmのフュージョンシステム(Fusion System)の紫外線「V」ランプを有する窒素不活性ウェブプロセッサーを通過させることにより、得られた構造を硬化した。そのウェブを速度約4.5m/分でプロセッサーを通過させた。次いで、サイズ被膜をその硬化構造にロールコーターを用いて被覆し、その構造を2分間ウェブプロセッサーを速度6.1m/分で通過させ、サイズ被覆を硬化した。被覆研磨物品を硬化した後、それらを104℃で45分間加熱し、プライマーを活性化した。すべての場合、サイズ被膜が50/50重量%の炭酸カルシウム/バインダーの混合物から成る一方、メイク被膜は35/50重量%の炭酸カルシウム充填材/バインダーの混合物から成る。バインダー組成を表8に記載し、研磨物品のメイク被膜/研磨グリット充填/サイズ被膜の構造および前述のロボット研削試験により決定した研磨性能データを表9に示した。加えて、1分間の初期切削の後、10分後、および研磨20分後、表面仕上Raを測定した。
【0176】
【表19】


【0177】
【表20】


【0178】(実施例41〜42)50部のネオペンチルグリコールジアクリレート、50部のTMPTA、および1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤の混合物から成る、光硬化樹脂系をベースとしたサイズ被膜を有する3次元不織研磨ディスクを製造した。米国特許第3,688,453号(レガシー(Legacy)等)に開示のように製造した無サイズウェブから切断した4枚の17.8cm(7インチ)直径の無サイズ(unsized)ディスクそれぞれの上にベンゾフェノン(0.5g)およびN,N-ジメチルエチルベンゾエート(0.5g)を加えたディスクを、サイズ被膜樹脂25gのスプレー被覆により製造した。実施例42のディスクを同様のプロセッサーを約30.5m/分(100フィート/分)の速度で2回通過して硬化したのに対して、ディスクを電球から5.1cm離して約7.6m/分(25フィート/分)の速度で、実施例41のディスクを600ワット/2.54cmのフュージョンシステム(Fusion System)の紫外線「V」ランプを有する窒素不活性ウェブプロセッサーを2回通過させることにより硬化した。光硬化の次に、そのディスクを循環通気オーブン内121℃で20分間硬化し、表10に示したサイズ被覆付加物を得た。不織研磨物品の研磨性能を、前述のディスク切削試験を用いて特徴付けた。切削量データを表10に示した。
【0179】(比較例C39〜C40)比較の3次元不織研磨ディスクを、商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤を商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤の代わりにサイズ被膜樹脂配合に用いた以外は、実施例41〜42の方法に従って製造した。比較例C40のディスクをウェブプロセッサーに約30.5m/分(100フィート/分)の速度で2回通過して硬化したのに対して、比較例C39のディスクを約7.6m/分(25フィート/分)の速度でウェブプロセッサーを2回通過させることにより硬化した。
【0180】
【表21】


【0181】実施例41〜42および比較例C39〜C40により、有用な不織研磨材を、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する化合物を含有する光開始剤系を用いて製造し得ることを示した。
【0182】以下の例には、バインダーおよびバインダーの支持体への接着剤の硬化度への異なるランプ、硬化速度、ポリマー着色剤および光開始剤系の影響を示した。
【0183】(比較例C41a)比較例C41aは、40μmの白色酸化アルミニウム(69部)、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ(1部)、商品名「A-174」で公知のカップリング剤(1部)、樹脂(50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名「ダロカー(Darocur)1173」で公知の光開始剤から成る混合物29部)のスラリーから成る。この被覆組成物を、約1.06μm長のベースエッジおよび約1.18μm長であるその他のエッジの内の2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有したポリプロピレン生産用具を用いた以外は実施例30〜31の方法に従って被覆した。光源および硬化速度を後述のように変化させたことを除いて、被膜および硬化条件は概して実施例30〜31と同様とした。
【0184】比較例C41bを、サウスキャロライナ州スパルタンバーグ(Spartanburg)のミリケン(Milliken)社から市販の商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0185】比較例C41cを、ミリケン(Milliken)社から市販の商品名「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0186】比較例C41dを、ミリケン(Milliken)社から市販の商品名「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0187】比較例C41eを、ミリケン(Milliken)社から市販の商品名「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0188】(比較例C42a〜C42e)比較例C42aを、樹脂が50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤から成る混合物である以外は比較例C42aの方法に従って製造した。
【0189】比較例C42bを、商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法に従って製造した。
【0190】比較例C42cを、商品名「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法に従って製造した。
【0191】比較例C42dを、商品名「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法に従って製造した。
【0192】比較例C42eを、商品名「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例C42aの方法に従って製造した。
【0193】(比較例43a〜43e)比較例43aを、樹脂が50部のTATHEIC、50部のTMPTA、1.0部の商品名「イルガキュア(Irgacure)907」で公知の光開始剤、および0.5部のITXから成る混合物である以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0194】比較例43bを、商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従って製造した。
【0195】比較例43cを、商品名「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従って製造した。
【0196】比較例43dを、商品名「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従って製造した。
【0197】比較例43eを、商品名「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例43aの方法に従って製造した。
【0198】(比較例44a〜44e)比較例44aを、樹脂が50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)4265」で公知の光開始剤から成る混合物である以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0199】比較例44bを、商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従って製造した。
【0200】比較例44cを、商品名「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従って製造した。
【0201】比較例44dを、商品名「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従って製造した。
【0202】比較例44eを、商品名「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例44aの方法に従って製造した。
【0203】(比較例45a〜45e)比較例45aを、樹脂が50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤から成る混合物である以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0204】比較例45bを、商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従って製造した。
【0205】比較例45cを、商品名「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従って製造した。
【0206】比較例45dを、商品名「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従って製造した。
【0207】比較例45eを、商品名「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例45aの方法に従って製造した。
【0208】(比較例46a〜46e)比較例46aを、樹脂が50部のTATHEIC、50部のTMPTAおよび、1部のジフェニル2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド(TPO)から成る混合物である以外は比較例C41aの方法に従って製造した。
【0209】比較例46bを、商品名「リアクチントブルー(Reactint Blue)X17AB」で公知の青色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従って製造した。
【0210】比較例46cを、商品名「リアクチントイエロー(Reactint Yellow)X15」で公知の黄色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従って製造した。
【0211】比較例46dを、商品名「リアクチントレッド(Reactint Red)X52」で公知の赤色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従って製造した。
【0212】比較例46eを、商品名「リアクチントオレンジ(Reactint Orange)X38」で公知のオレンジ色ポリマー着色剤0.3部をスラリーに加えた以外は比較例46aの方法に従って製造した。
【0213】バインダー先駆物質を、用具/スラリー/支持体のラミネートを600ワット/2.54cm「V」電球、600ワット/2.54cm「H」電球または600ワット/2.54cm「D」電球および15.2m/分(50フィート/分)、30.5m/分(100フィート/分)または61m/分(200フィート/分)のウェブ速度を用いた9種の条件を通過させることにより、硬化した。全スラリーはウェブ速度15.2m/分で初期に硬化し、その硬化速度での硬化または接着性値を評価し、後述の等級の最も低い値を示すなら、より高ウェブ速度での次の硬化は進行しない。
【0214】光源下を通過させるのに続いて、各試料の硬化を、手袋をはめた指または舌圧子で硬化スラリーをこすって、汚れ(smearing)を起こすかどうかにより定性的に調べた。その硬化性を1〜3の値に割り当て、1の値はかなりの汚れおよび硬化不良を示し、2の値は多少の汚れおよび中間の硬化を示し、3の値は汚れがなく良好な硬化性を示す。同様に、バインダーの支持体への接着性を、その組成物構造を屈曲したときの、その組成物の生産用具からの剥離および次の硬化スラリーの支持体への接着性をを初期に観察することにより、定性的に調べた。その接着性を1〜5の値に割り当て、1の値は「硬化スラリー」の大部分が生産用具と接着していることを示し、2の値は「硬化スラリー」が生産用具と接着している多少の面積があることを示し、3の値は、屈曲したときに大きな面積の「硬化スラリー」が支持体から剥がれることにより明らかなように、生産用具との接着力を示さないが支持体と若干の接着力を示す、4の値は、屈曲したときに生産用具との接着力を示さず小さな面積の「硬化スラリー」が支持体から剥がれ、5の値は、屈曲したときに生産用具との接着力、および「硬化スラリー」の損失を示さない。
【0215】必ずしも全試料が全ウェブ速度で硬化するとは限らないことを反映する分散、一般化された線形モデルを用いることによる分散、より高等級(>3)の影響はであるという仮定で、主要な影響および二方向への影響のみを見ることによる分散の不完全な分析を収集されたデータから実行し、その結果(6試料の平均)を以下の表11〜14に示した。
【0216】
【表22】


【0217】
【表23】


【0218】
【表24】


【0219】
【表25】


【0220】表11〜14のデータにより以下の傾向を示した。
1) 実施例43〜46の硬化スラリーは比較例C41〜C42の硬化スラリーより全硬化条件下で良好な接着性を示し;
2) 「V」電球を用いて硬化したスラリーの接着性に関して、実施例43〜46の硬化スラリーは比較例C41〜C42の硬化スラリーより非常に高接着性を示した。
3) 実施例43〜46の硬化スラリーは比較例C41〜C42の硬化スラリーより全硬化条件下で良好な「硬化」を示し;
4) 「V」電球を用いて硬化したスラリーの「硬化」に関して、実施例43〜46の「硬化」は比較例C41〜C42の「硬化」より非常に高硬化度であった。
【0221】(実施例47〜50および比較例C47)これらの例により、被覆能力および異なる鉱物種(色)を有する本発明の硬化組成物を説明し、その物品の切削性能を説明した。
【0222】実施例47〜50にはそれぞれ、研磨剤鉱物(表15に示した種類)20.7kg、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ0.3kg、商品名「A-174」で公知のカップリング剤0.3kg、樹脂(70部のTMPTA、30部のTATHEICおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤)8.7kgから成る被覆性組成物を用いた。これら被覆組成物を、約1.06mm長のベースエッジおよび約1.18mm長であるその他のエッジの内の2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した7ミル(0.179mm)厚のダイヤモンドグレードのポリプロピレン生産用具上に被覆した。その被覆性組成物を高剪断混合機で混合し、ポリプロピレン用具上にナイフ被覆した。実施例47〜50および比較例C47のそれぞれに用いた支持体は、フェノール/ラテックスのプレサイズ樹脂を処理したレーヨンクロス支持体であった。その用具マンドレル(その製品を硬化し、クロス支持体に加工する位置を)45℃に加熱した。600ワット/2.54cmの「V」フュージョンシステムズ(Fusion Systems)ランプを、送り速度50〜75フィート/分でその組成物を硬化するそれぞれの場合に用いた。その製品を112℃で14時間ポストキュアし、フェノールプレサイズをより完全に硬化した。
【0223】各実施例に用いた研磨剤の種類および切削量データを表15に示した。すべて65ショアー(Shore)Aジュロメーターのゴム接触ホイールを有する、1018ステンレス鋼および4150工具鋼に対してはベルトを1750rpmで回転させ、304ステンレス鋼に対してはベルトを1500rpmで回転させた以外は、研磨には試験方法IIを用いた。黄銅の研磨の場合、5ショアー(Shore)Aジュロメーターでゴム接触ホイールと接触して、ベルトを1500rpmで回転させ、黄銅を10分間だけ研磨し、終点までは研磨しなかった。実施例47〜50および比較例C47のすべてに対して初期の読みは(1分後よりはむしろ)30秒後に取得し、その終点は試験ベルトの切削量が比較例C47のベルトの初期切削量の1/3になった時、または黄銅以外のすべてのワークピースではベルトが燃焼するまでとした。
【0224】表15のデータから、着色鉱物類に比較して、UV照射により付加重合性樹脂を容易に硬化する白色酸化アルミニウムに比較して着色鉱物を用いると、異なる金属支持体で切削性能が改善されることが明らかとなった。光開始剤「イルガキュア(Irgacure)369」を用いたときの有用性がその証拠である。
【0225】
【表26】


【0226】(実施例51および比較例C51)この組の実施例により、本発明の組成物および物品内の研磨粒子として緑色炭化ケイ素を使用することの有用性を示した。
【0227】実施例51および比較例C51には、研磨剤鉱物(表16に示した種類)3900g、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ60g、商品名「A-174」で公知のカップリング剤60g、および樹脂(70部のTMPTA、30部のTATHEICおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤)1980gから成る被覆性組成物を用いた。これら覆組成物を、約1.06mm長のベースエッジおよび約1.18mm長であるその他のエッジの内の2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した14ミル(0.358mm)厚の可変ピッチのポリプロピレン生産用具上に被覆した。その被覆性組成物を高剪断混合機で混合し、ポリプロピレン用具上にナイフ被覆した。実施例51および比較例C51のそれぞれに用いた支持体は、フェノール/ラテックスのプレサイズ樹脂を処理したレーヨンクロス支持体であった。その用具マンドレル(その製品を硬化し、クロス支持体に加工する位置を)45℃に加熱した。600ワット/2.54cmの「V」フュージョンシステムズ(Fusion Systems)ランプを、送り速度50〜75フィート/分でその組成物を硬化するそれぞれの場合に用いた。その製品を112℃で14時間ポストキュアし、フェノールプレサイズをより完全に硬化した。
【0228】各例に用いた研磨剤の種類および切削量データを表16に示した。チタンワークピースを用い、分離ゴム接触ホイールは65ショアー(Shore)Aジュロメーターであり、ベルトを825rpmで回転させた以外は、研磨には試験方法IIを用いた。実施例51および比較例C51の両方に対して初期の読みは(1分後よりはむしろ)30秒後に取得し、実施例51の総切削量の終点は、試験ベルトの切削量が比較例C51のベルトの初期切削量の1/3になった時とした。
【0229】各例に用いた研磨剤の種類および切削量データを表16に示した。表16のデータから、熱処理酸化アルミニウム(褐色)を用いた商品名「3M-ite」グレード311Eで公知の標準メイク/サイズ被覆研磨剤に比較して、研磨鉱物として緑色炭化ケイ素を用いると、超硬質金属(チタン)で切削性能が改善されることが明らかとなった。
【0230】
表16 実施例 鉱物種 初期切削量(g) 総切削量(g) 51 P-400 GSC1 0.85 8.9 C51 P-400 311E2 0.9 6.6 1.平均粒径22.1μmの緑色炭化ケイ素。
2.独国ベルリン(Berlin)のスターク(Starck)GmbH & Co.から商品名「F7TX」で市販のP-320グレード(平均粒径34.3μm)の熱処理酸化アルミニウム(グレー)を用いている、3Mから商品名「トリマイト(Tri-M-ite)」グレード201Eで市販の、レーヨン支持体上に被覆したフェノールのメイク/サイズ構造を用いた標準被覆研磨剤。
【0231】(実施例52)この例により、α-開裂により開裂し、本明細書中に記載のモル吸光係数を有する化合物を必須成分として成る光開始剤系を用いて達成し得る「硬化度(depthof cure)」を説明した。
【0232】実施例52には、研磨剤鉱物(平均粒径116μmを有するP-120グレードの熱処理酸化アルミニウム(褐色))4080g、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ120g、商品名「A-174」で公知のカップリング剤60g、KBF4研磨補助剤300g、および樹脂(70部のTMPTA、30部のTATHEICおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤)1440gから成る被覆性組成物を用いた。この被覆組成物を、約1.41mm長のベースエッジおよび約1.57mm長であるその他のエッジの内の2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.711mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有した28ミル(0.711mm)厚のポリプロピレン生産用具上に被覆した。その被覆性組成物を高剪断混合機で混合し、ポリプロピレン用具上にナイフ被覆した。用いた支持体は、被覆性組成物を受容する側にエチレンアクリル酸コポリマーの0.8ミル(0.02mm)被膜を下塗りし、その組成物および得られた研磨複合材のそのフィルムへの接着性を促進した5ミル(0.127mm)厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムであった。1つの600ワット/2.54cmの「V」フュージョンシステムズ(Fusion Systems)ランプを用いて、ウェブ速度100フィート/分(30.5m/分)でその組成物を硬化した。その硬化複合材を20,000Hz超音波ホーンに暴露し、各精密形状研磨粒子をPETフィルムから分離することにより、長さ28ミル(0.711mm)の精密形状の粒子を得た。この例により、暗色研磨粒子を用いる際に、28ミル(0.711mm)までの厚さを「イルガキュア(Irgacure)369」のような開始剤を含む光開始剤系を用いて硬化し得ることを示した。
【0233】(比較例C53〜C58)これら例により、α-開裂を介して開裂し、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する化合物を含有しない光開始剤系の使用することによって、好ましい(即ち、厚い)研磨製品を製造し得ないことを示した。
【0234】比較例C53〜C58には、研磨剤鉱物(平均粒径約40μmを有するP-300グレードの熱処理酸化アルミニウム(グレー))70g、商品名「A-174」で公知のカップリング剤0.5g、および樹脂(50部のTMPTA、50部のTATHEICおよび、2部の商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤)29.5gから成る被覆性組成物を用いた。比較例C53〜C58は、その被覆組成物を2層のPETフィルム間に挟みナイフコーターのギャップを設定し、7、14または21ミル(それぞれ0.178、0.355および0.533mm)いずれかの組成物厚さとすることによって、得られた。1つの600ワット/2.54cmの「D」フュージョンシステムズ(Fusion Systems)ランプを用いて、その組成物を硬化した。表17に詳細を記載したように、2種の異なるウェブ速度;100および25フィート/分(それぞれ30.5および7.63m/分)を用いた。
【0235】表17のデータは、商品名「イルガキュア(Irgacure)651」で公知の光開始剤によって被覆性組成物を、高ウェブ速度または最も好ましい研磨物品を製造する厚さでは硬化し得ないことを示した。硬化したたった1つの組成物/厚さ/ウェブ速度の組合せは比較例C55のものであった。ウェブ速度は45〜60m/分のオーダーであることが好ましい。
【0236】
【表27】


【0237】(実施例59〜60および比較例C59)これら例は、暗色研磨鉱物を用いて7ミル(0.179mm)〜14ミル(0.358mm)の厚さの場合の構造化研磨物品の304ステンレス鋼による向上した切削性能を示した。
【0238】実施例59〜60および比較例C59には、研磨剤鉱物(表18に示した種類)2940g、商品名「OX-50」で公知の非晶質シリカ60g、商品名「A-174」で公知のカップリング剤60g、KBF4研磨補助剤1200g、および樹脂(70部のTMPTA、30部のTATHEICおよび、1部の商品名「イルガキュア(Irgacure)369」で公知の光開始剤)1740gから成る被覆性組成物を用いた。これら覆組成物を7ミル(0.179mm)または14ミル(0.358mm)厚のポリプロピレン生産用具上に被覆し、前者は約1.06mm長のベースエッジおよび約1.18mm長であるその他のエッジの内の2つを有し、ベースエッジが互いと接触して隣接する、高さ0.53mmの非対称の三角形ピラミッド状パターンを有し、後者は可変ピッチ構造を有した。その被覆性組成物をそれぞれ高剪断混合機で混合し、ポリプロピレン用具上にナイフ被覆した。実施例59〜60および比較例C59のそれぞれに用いた支持体は、フェノール/ラテックスのプレサイズ樹脂を処理したレーヨンクロス支持体であった。その用具マンドレル(その製品を硬化し、クロス支持体に加工する位置)を45℃に加熱した。1つの600ワット/2.54cmの「V」フュージョンシステムズ(Fusion Systems)ランプを、送り速度50フィート/分でその組成物を硬化するそれぞれの場合に用いた。その製品を112℃で14時間ポストキュアし、フェノールプレサイズをより完全に硬化した。
【0239】各例に用いた研磨剤の種類および304ステンレス鋼の切削に対する切削量データを表18に示した。ベルトを1500rpmで回転させ、65ショアー(Shore)Aジュロメーターのゴム接触ホイールを用いた以外は、研磨には試験方法IIを用いた。実施例59〜60および比較例C59のすべてに対して初期の読みは(1分後よりはむしろ)30秒後に取得し、総切削量の終点は、試験ベルトの切削量が比較例C59のベルトの初期切削量の1/3になった時とした。
【0240】
表18 実施例No. 用具形態* 研磨粒子** 初期切削量(g) 総切削量(g) 59 1 P-320(F7TX) 9.7 135.4 C59 − P-320(F7TX) 6.25 68.9 60 2 P-320(F7TX) 10.3 110.9 * 「1」は実施例51に用いたものと同様の用具を表し;「2」は実施例47〜50に用いたものと同様の用具を表す。
**表15脚注2を参照。
【0241】切削性能に関して実施例59および60の表18のデータを比較例C59のデータと比較し得る一方、硬化度に関して実施例59および60の表18のデータを比較例C53〜C58のデータと比較し得る。約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する少なくとも1種の化合物を含む光開始剤系を用いることにより、硬化度を大きく改善し得る事がわかった。このことは言い換えると、高い形態の研磨剤(実施例60は7ミルの形態を用いる一方、実施例59は14ミル形態を使用した。)を使用する際の304ステンレス鋼による良好な切削性能であり、比較例C59の研磨剤より実施例59および60両方の方が性能が優れるということである。光開始剤イルガキュア(Irgacure)369およびそれに類似の光開始剤を使用することの有用性が、その証拠である。
【0242】(実施例61)この例に用いた被覆性組成物は、研磨粒子として4080gの熱処理酸化アルミニウムの代わりに、ざくろ石(赤褐色)4320gとして用い;樹脂を1440gの代わりに1680g使用し;KBF4研磨補助剤を用いない;以外は、実施例52に用いたものと同様とした。被覆性組成物を硬化し、用具から剥離し、PETフィルムに転写し、その後、実施例52で説明した超音波ホーンを用いて、その粒子をそのフィルムから分離した。
【0243】本発明のデータにより、増加したウェブ速度および暗色鉱物を相対的に厚い構造(28ミルまたは約0.711mmまで)に使用し得るので、本発明の研磨物品およびその製造方法は、有用で、新しく、不明白であることを示した。従って、以前は白色酸化アルミニウムだけを使用していたのに対して、より有効な暗色鉱物を使用し得る。
【0244】本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく本発明の様々な修正および変更が当業者間で明らかであり、本発明は本明細書中に列挙した態様に不当に限定されるものではないと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の研磨物品態様の拡大断面図である。
【図2】 本発明の他の研磨物品態様の拡大断面図である。
【図3】 図2の研磨物品を製造するプロセスの経路図である。
【図4】 図2の研磨物品を製造する他のプロセスの経路図である。
【符号の説明】
10 … ラッピング研磨物品
11、21、41、51 … 支持体
13、24 … 研磨粒子
14、23 … バインダー
15、26 … 研削補助剤
16 … 研磨材被膜
17 … 支持体表面
20、120 … 研磨物品
22、59 … 研磨複合材
25 … 境界
42、45、52 … 巻出ステーション
43 … 支持ドラム
44、53 … 被覆ステーション
46、55 … 生産用具
47、56、58 … 接触ニップロール
48、57 … エネルギー源
49、121 … マンドレル
54 … スラリー
60 … 再巻付ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)研磨剤粒子;(b)フリーラジカル重合可能な組成物;および(c)光開始剤系;を組合せることを特徴とする、研磨物品の製造に使用するのに適する被覆性組成物であって、該光開始剤系がα-開裂を介して開裂する化合物を含み、該化合物が約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において、約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する被覆性組成物。
【請求項2】 該化合物がα-アミノアセトフェノンである請求項1記載の被覆性組成物。
【請求項3】 該光開始剤系が更に、a)非-α-開裂光開始剤;b)二分子光開始剤;c)約4リットル/モルcm以下の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する単分子α-開裂光開始剤;およびd)約4004リットル/モルcm以上の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する単分子α-開裂光開始剤;から成る群から選択される光開始剤を含有する請求項1記載の被覆性組成物。
【請求項4】 請求項1記載の被覆性組成物の硬化生成物を含む研磨物品であって、バインダーにより互いに接着した多数の研磨剤粒子を含有し、該バインダーが光開始したフリーラジカル重合した樹脂を含有し、該フリーラジカル重合した樹脂が光開始剤系により開始され、該光開始剤系が、α-開裂を介して開裂し、約395nm〜約500nmの範囲のUV/可視スペクトルの少なくともある部分において約4〜約400リットル/モルcmの範囲の希釈メタノール溶液中のモル吸光係数を有する化合物を含有する研磨物品。
【請求項5】 (a)表面および裏面を有する支持体;(b)支持体の表面上に存在するメイク(make)被膜;(c)該メイク被膜によって支持体に接着した多数の研磨剤粒子;および該研磨剤粒子上に存在するサイズ(size)被膜;から成る被覆研磨材であって、該メイク被膜またはサイズ被膜の少なくとも一方が、請求項1記載のフリーラジカル硬化性組成物および光開始剤系の組合せにより特徴づけられる被覆性組成物の硬化生成物である被覆研磨材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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