説明

被貼付体、及び、画像記録媒体

【課題】粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染の抑制される画像記録媒体の提供。
【解決手段】第1の基体12と第1の基体12上に設けられた凸部14とを有する被貼付体16と、粒子状の粘着成分18を含む粘着層20と、粘着層20により被貼付体16の凸部14の設けられた側に貼付された第2の基体22と、を有する画像記録媒体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被貼付体、及び、画像記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、印刷機などで広く普及している電子写真方式の画像形成方法では、一般的に画像形成は以下のように行われる。まず、感光体の光導電性絶縁体表面に正または負の静電荷を与える帯電工程の後、光導電性絶縁体表面に例えばレーザ光を照射し、絶縁体表面上の静電荷を部分的に消去して画像情報に応じた静電荷像を形成する。次いで、例えば光導電性絶縁体表面の静電荷の残った潜像部分にトナーと呼ばれる現像剤の粉体を付着させ、潜像をトナー像に可視化する。このようにして得られたトナー像を印刷物となすため、一般的に、記録紙などの画像記録媒体に静電的に転写し、その後トナー像は画像記録媒体に定着される。
【0003】
オイルレス定着トナーをトナー画像とする高光沢印刷物にあって、美しい画像とでき、しかも、彩度の高い高光沢印刷物を提供するため、光沢紙上に、ワックス成分を3重量%以上15重量%以下含有する熱可塑性樹脂からなり、オイルレス定着により画像形成された表面光沢度が25乃至45で、かつ、該画像表面が平坦表面に多数の凹凸が形成された形状を有する透光性トナー画像を有すると共に、該トナー画像上に、透明フイルムに粘着剤層を設けた透明粘着シートが粘着剤層側から貼着されたことを特徴とする高光沢印刷物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、視覚障害者の指触覚に、違和感(異質感)や、点字を触読するときの指滑りの悪さに起因する苛立ち・不満感を与えない立体画像を形成することが可能な発泡画像記録体の提供のため、表面に、定着画像表面粗さRzとして、6μm以上40μm以下の発泡トナー画像が形成されてなることを特徴とする発泡画像記録体が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、優れた定着性、耐オフセット性、流動性、耐久性、耐熱保存性等の諸性能を兼備し、良質の定着画像を得ることのできる、乾式現像方式用のトナーを提供するため、定着画像の表面粗さが3μm以下となることを特徴とするトナーが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
また、長期にわたりオフセット発生のないカラー定着画像を提供するため、接触加熱定着方式において、線速Amm/secと他の線速Bmm/secとが下記の関係を満たし、線速Amm/secで定着した画像の表面粗さRz(A)が9.5μm以上16μm以下であり、同じ定着温度の線速Bmm/secで定着した画像の表面粗さRz(B)が8μmより小さいことを特徴とするカラートナー定着方式が開示されている(例えば、特許文献4参照)。ただしA−25≧B,Aは100以上300以下である。
【0007】
また、光沢度、色味及び光沢の角度依存性、色域を満足することができる電子写真印刷物を提供するため、トナー定着画像は、最表面がワックス層で構成され、該ワックス層と転写材の中間に着色剤と樹脂を有する層が存在し、該トナー定着画像の断面が下記(a)乃至(c)の条件を満足するトナーを用いて形成されることを特徴とする電子写真印刷物が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
(a)ワックス層の表面粗さRzが0.1μm以上0.9μm以下
(b)ワックス層の厚みが0.52μm以上3.32μm以下
(c)着色剤と樹脂を有する層とワックス層の界面の粗さが0.31μm以上3.6μm以下。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−107776号公報
【特許文献2】特開2003−043734号公報
【特許文献3】特開2002−091054号公報
【特許文献4】特開2001−142332号公報
【特許文献5】特開2005−215258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染の抑制される画像記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、請求項1に係る発明は、
第1の基体と前記第1の基体上に設けられた凸部とを有し、
前記凸部の平均高さが4μm以上15μm以下であり、
前記第1の基体の前記凸部の設けられた面と直交する断面を見たときに、隣り合う前記凸部で形成された溝部の幅の平均が70μm以上200μm以下である、被貼付体である。
【0011】
請求項2に係る発明は、
前記凸部は体積平均粒子径が8μm以上18μm以下の透明トナーを用いて電子写真法により形成された透明トナー像であり、前記透明トナー像の画像密度が30%以上70%以下である請求項1に記載の被貼付体である。
【0012】
請求項3に係る発明は、
前記凸部の160℃における貯蔵弾性率G’(1)が、2000Pa以上6000Pa以下である請求項1又は請求項2に記載の被貼付体である。
【0013】
請求項4に係る発明は、
前記第1の基体と前記凸部との間に有色トナーによる有色トナー像が設けられ、
前記有色トナー像の160℃における貯蔵弾性率G’(2)が、G’(1)<G’(2)≦8000Paである請求項3に記載の被貼付体である。
【0014】
請求項5に係る発明は、
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被貼付体と、
前記被貼付体の凸部の設けられた側から順に、粒子状の粘着成分を含む粘着層と、
前記粘着層により前記被貼付体の凸部の設けられた側に貼付された第2の基体と、
を有する画像記録媒体である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、凸部の平均高さ又は隣り合う凸部で形成された溝部の幅の平均が上記範囲を外れる場合に比較して、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染の抑制される画像記録媒体を構成する被貼付体が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、透明トナーの体積平均粒子径又は透明トナー像の画像密度が上記範囲を外れる場合に比較して、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染がさらに抑制される。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、凸部の160℃における貯蔵弾性率G’(1)が2000Pa以上6000Pa以下の範囲を外れる場合に比較して、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染がさらに抑制される。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、有色トナー像の160℃における貯蔵弾性率G’(2)がG’(1)<G’(2)≦8000Paの範囲を外れる場合に比較して、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染がさらに抑制される。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、凸部の平均高さ又は隣り合う凸部で形成された溝部の幅の平均が上記範囲を外れる場合に比較して、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染の抑制される画像記録媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の画像記録媒体の一例を示す断面図である。
【図2】第1の基体上に設けられた四角形の凸部を有する被貼付体の平面図である。
【図3】本実施形態における粒子状の粘着成分を撮影した電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の被貼付体、及び、画像記録媒体の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
本実施形態の画像記録媒体は、第1の基体と前記第1の基体上に設けられた凸部とを有する被貼付体と、前記被貼付体の凸部の設けられた側から順に、粒子状の粘着成分を含む粘着層と、前記粘着層により前記被貼付体の凸部の設けられた側に貼付された第2の基体と、を有するものである。ここで、前記凸部の平均高さが4μm以上15μm以下とされ、前記第1の基体の前記凸部の設けられた面と直交する断面を見たときに、隣り合う前記凸部で形成された溝部の幅の平均が70μm以上200μm以下とされる。なお、前記粘着層と前記第2の基体とで、前記被貼付体に貼付される貼付体が構成されてもよい。
【0023】
レーザープリンタ等の電子写真法式の画像形成装置による粒子状の粘着成分を含む粘着層を有する貼付体(粘着シール)への文字・画像等の印刷の要望は従来からあるが、粘着シールから脱離した粒子状の粘着成分が機内汚染の原因となるため綺麗な画を出し続けることは困難となる場合があった。
その理由は、粒子状の粘着成分を含む粘着層を有する粘着シールを貼付した画像記録媒体を電子写真法式の画像形成装置の複雑な紙送り機構に通すと、画像記録媒体にシェアがかかることで粒子状の粘着成分が転がって画像記録媒体からの脱離が起こりやすいためである。
この傾向は請求書等に印刷される広告(トランスプロモ)のように、表面が平滑なコート紙等に高い印字密度で印刷されたトナー画像の上から粒子状の粘着成分を含む粘着層を有する粘着シールを貼ることで画像記録媒体を得て、この画像記録媒体上に文字等の可変データや画像を印刷する場合に顕著になる。脱離した粒子状の粘着成分が用紙搬送ロール、用紙と渡り歩いて転写ベルト上に付着すると、その部分はトナー転写が阻害され白ぬけ画像となる。
【0024】
本実施形態においては、被貼付体における基体上に平均高さが4μm以上15μm以下の凸部が設けられる。また、基体の凸部の設けられた面と直交する断面を見たときに、隣り合う凸部で形成された溝部の幅の平均が70μm以上200μm以下となるように、凸部の間隔が規定される。凸部の形状及び配置がこのような条件を満たすことで凸部間に粒子状の粘着成分が捕らえられ、紙送り時に画像記録媒体にシェアがかかっても粒子状の粘着成分が転がって離脱することが防がれる。よって、画像形成装置の機内汚染が抑制され、長期にわたって白ぬけのない画像が提供される。
【0025】
以下に、本実施形態の被貼付体、及び、画像記録媒体を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施形態の画像記録媒体の一例を示す断面図である。図1において、画像記録媒体10は、第1の基体12と第1の基体12上に設けられた凸部14とを有する被貼付体16と、粒子状の粘着成分18を含む粘着層20と、粘着層20により被貼付体16の凸部14の設けられた側に貼付された第2の基体22と、を有する。第2の基体22と粘着層20とで、貼付体24が構成される。また、本実施形態においては第1の基体12と凸部14との間に有色トナーによる有色トナー像26が設けられている。
なお、図1で示される断面図は、第1の基体12の凸部14の設けられた面と直交する断面である。
【0026】
画像記録媒体10においては、隣り合う凸部14により、溝部28が形成される。粒子状の粘着成分18が溝部28に嵌り込むことで、粒子状の粘着成分18が画像記録媒体10から脱離するのが防止される。その結果として、脱離した粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染が防止される。
【0027】
凸部14の平均高さは、4μm以上15μm以下とされるが、6μm以上13μm以下が望ましく、8μm以上11μm以下がさらに望ましい。
凸部の平均高さが4μm未満であると、粒子状の粘着成分の画像記録媒体からの脱離を効果的に防止することが困難となる場合がある。一方、凸部の平均高さが15μmを超えると、凸部が存在することによる有色トナー像の画質低下(梨地状の微細なグロスむらの発生)が生ずることがある。
【0028】
第1の基体12の凸部14の形成された面と直交する方向から見た場合の、凸部14の形状は特に限定されるものではなく、四角形、六角形等の多角形、円形、その他任意の不定形等が挙げられる。図2に、第1の基体12上に設けられた四角形の凸部14を有する被貼付体の平面図の一例を示す。
凸部14が四角形であった場合、凸部14の一辺の長さは、例えば、15μm以上35μm以下とされる。
【0029】
溝部28の幅の平均は、70μm以上200μm以下とされるが、90μm以上170μm以下が望ましく、110μm以上140μm以下がさらに望ましい。
溝部28の幅の平均が70μm未満であると、粒子状の粘着成分を凸部14の間に保持することができないことがある。溝部28の幅の平均が200μmを超えると、粒子状の粘着成分が凸部14の間からすり抜けてしまい、粒子状の粘着成分による画像形成装置の機内汚染が発生することがある。
【0030】
本実施形態においては、凸部14の平均高さ、及び、溝部28の幅の平均は、下記方法により求めた。
複数の被貼付体を試料とし、それらの表面にレーザー光線を照射し、その反射光の解析から試料表面の微細な凹凸構造を解析することにより求めることができる。使用する測定装置としては、例えば、キーエンス社製、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を使用することができる。この装置では試料にレーザーを照射し3次元走査を行う。各位置毎のレーザー反射光をCCDカメラでモニターし、試料の3次元表面情報を得る。得られた表面情報を統計的に処理して凸部14の高さ、及び、溝部28の幅に関する各種の特性値を求めることができる。
本実施形態では、被貼付体10個にわたり繰り返し測定を行い、データの統計処理を行って凸部14の高さ分布、及び、溝部28の幅分布を求め、凸部14の平均高さ、及び、溝部28の幅の平均値を得た。
【0031】
凸部14の形成方法は特に限定されるものではないが、体積平均粒子径が8μm以上18μm以下の透明トナーを用いて電子写真法により形成された透明トナー像であってもよい。
凸部14の形成に用いられる透明トナーとしては、結着樹脂と必要に応じて使用されてもよい離型剤等の添加剤とを含むトナー粒子と、外添剤と、を含有するものであってもよい。
【0032】
本実施形態における結着樹脂としては、スチレン/アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、等公知の樹脂材料を用いることができるが、低温定着性の理由からポリエステル樹脂が特に望ましい。
【0033】
本実施形態における離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;エステルワックス;モンタンワックス等が挙げられる。これらの中でも、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス等が好ましく、パラフィンワックス、エステルワックス等がさらに好ましい。本実施形態に用いられる離型剤の溶融温度は、60℃以上120℃以下が望ましく、70℃以上110℃以下がより望ましい。離型剤のトナー中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。
【0034】
本実施形態においては、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分をトナー粒子中に添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
【0035】
無機粒子としては、種々の目的のために添加されるが、トナーにおける粘弾性調整のために添加されてもよい。無機粒子としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0036】
トナー粒子の製造は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁造粒法、溶解懸濁法、溶解乳化凝集合一法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
【0037】
トナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物を外添剤として添加付着することができる。
【0038】
本実施形態で用いられる透明トナーの体積平均粒子径は、8μm以上18μm以下が望ましい。体積平均粒子径が8μm以上であれば、電子写真法による1回の印刷で所望の凸部を作ることができる。また、体積平均粒子径が18μmより小さいことで、有色トナー像26の画質低下(梨地状の微細なグロスむらの発生)を防ぐことができる。
なお、凸部14の平均高さは透明トナーの体積平均粒子径に依存し、透明トナーの体積平均粒子径が大きくなるにつれて、透明トナーにより形成された凸部の平均高さも高くなる。そのため、凸部14の平均高さを望ましい範囲とするには、透明トナーの体積平均粒子径を調整すればよい。
【0039】
透明トナー像としての凸部14の画像密度は、30%以上70%以下が望ましく、39%以上64%以下がさらに望ましい。画像密度が30%より大きいことで、溝部28の幅の平均を所望の範囲に調整することができ、画像密度を70%以下とすることで溝部28に嵌り込まない粒子状の粘着成分が透明トナー像上で転がるのを防止することができる。
なお、溝部28の幅の平均は透明トナー像である凸部14の画像密度に依存し、画像密度が高くなるにつれて溝部の幅の平均も大きくなる。そのため、溝部28の幅の平均を望ましい範囲とするには、透明トナー像としての凸部14の画像密度を調整すればよい。
【0040】
本実施形態において、画像密度とは透明トナー画像の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、透明トナー画像の投影面積を計算し、これをビデオカメラの視野の面積で割ったものを%で示して定義されるものである。
透明トナー画像は、有色トナーのベタ画像の上に形成されていてもよい。この場合、有色トナー画像はベタ画像であるためトナーの形状は残っていないのに対して、透明トナー画像はハーフトーンとして形成されるため、画像解析装置においては区別出来る。なお、透明トナー画像を形成するハーフトーン画像のドット数が10個程度の画像であれば、そのドットの面積と、表示した視野の面積から画像密度を計算できる。
【0041】
凸部14の160℃における貯蔵弾性率G’(1)は、2000Pa以上6000Pa以下であることが望ましく、3000Pa以上5000Pa以下がさらに望ましく、特に望ましくは3500Pa以上4500Pa以下である。G’(1)が2000Pa以上であれば、本実施形態の画像記録媒体上に文字等の可変データや画像を出力する際に凸部がつぶれるのを防ぐことができる。G’(1)が6000Pa以下であれば定着不良に起因する凸部の欠損を防ぐことができる。
【0042】
図1においては、凸部14は有色トナー像26上に設けられているが、本実施形態では第1の基体12上に直接凸部14が設けられた態様であってもよい。凸部14が有色トナー像26上に設けられている場合、有色トナー像26の160℃における貯蔵弾性率G’(2)は特に限定されるものではないが、G’(1)<G’(2)≦8000Paの関係を満たすことが望ましい。
有色トナー像26の貯蔵弾性率G’(2)がG’(1)より大きいことで、本実施形態の画像記録媒体上に可変データを出力する際に凸部14が有色トナー像26中に埋まりこむのを防ぐことができる。G’(2)が8000Pa以下であれば、有色トナー像26の荒れにともなう画質低下(梨地状の微細なグロスむら)を防ぐことができる。
【0043】
凸部14及び有色トナー像26の貯蔵弾性率は、これらを形成するのに用いられるトナーの貯蔵弾性率に等しい。
トナーの貯蔵弾性率の調整方法としては、バインダー樹脂の分子量および分子量分布制御、ゲル成分添加、フィラー添加、イオン架橋制御等が挙げられる。
【0044】
第1の基体12は、紙、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、バイオプラスチック等で構成されてもよい。
第1の基体12、凸部14、及び、必要に応じて形成される有色トナー像26とで、被貼付体16が構成される。
【0045】
本実施形態においては、被貼付体16の凸部14の設けられた側に、第2の基体22と第2の基体22の一方の面に設けられた粒子状の粘着成分18を含む粘着層20とで構成される貼付体24が、粘着層20の設けられた側が被貼付体16と向き合うようにして貼付される。
【0046】
粘着層20は、粒子状の粘着成分18を含む。粒子状の粘着成分18としては、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、カゼイン、ゼラチン、ロジンエステル、テルペン樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、クロマンインデン樹脂、ポリビニルエーテル、シリコーン樹脂等が例示され、また、アルファ−シアノアクリレート系、シリコーン系、マレイミド系、スチロール系、ポリオレフィン系、レゾルシノール系、ポリビニルエーテル系粘着剤が例示される。
粘着層20の厚みは特に限定されるものではないが、例えば、4μm以上30μm以下とされる。
【0047】
図3に、粒子状の粘着成分を撮影した電子顕微鏡写真の一例を示す。撮影対象は、リンテック社製:リピールである。図3において、丸で囲んだ部分に粒径が20μm以上70μm以下程度の粒子状の粘着成分が存在する。
【0048】
本実施形態において、第2の基体22は、第1の基体12と同様紙、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、バイオプラスチック等で構成されてもよい。
また、貼付体24は再貼り付け可能な粘着シールとして構成されてもよい。
【0049】
また、第1の基体12と第2の基体22とが一体とされていてもよい。このような態様の場合、例えば、基体の一方の側に凸部14を設け、基体の他方の側に粒子状の粘着成分18を含む粘着層20を設け、凸部14の設けられた領域と粘着層20の設けられた領域とが互いに向き合うように基体を折り曲げ、凸部14の設けられた領域に粘着層20の設けられた領域を貼付することで本実施形態の画像記録媒体を構成してもよい。
【0050】
本実施形態の画像記録媒体においては、第1の基体12の凸部14の設けられていない側、及び、第2の基体22の粘着層20の設けられていない側のいずれに文字等の可変データや画像が出力されてもよい。
【0051】
本実施形態の画像記録媒体は、複雑な紙送りの行われる電子写真法式の画像形成装置用の画像記録媒体として好適に使用される。
【実施例】
【0052】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0053】
(透明トナー1の製造)
・結着樹脂1(非晶性ポリエステル樹脂:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)/イソフタル酸/テレフタル酸ジメチル/無水ドデセニルコハク酸=200/100/60/100/40(質量比)、重量平均分子量19000、ガラス転移温度61.5℃、Tm(溶融温度)=107℃): 50部
・結着樹脂2(非晶性ポリエステル樹脂:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2)/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2)/イソフタル酸/テレフタル酸ジメチル/無水ドデセニルコハク酸=150/150/20/100/80(質量比)、重量平均分子量78000、ガラス転移温度56.2℃、Tm=118℃): 50部
・シリカ:(商品名 R972,日本アエロジル社製): 7部
・離型剤1:(パラフィンワックス、製品名FNP0090、融解温度90.2℃、日本精蝋社製): 10部
【0054】
以上の成分を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機社製)にて混合した後、温度5℃に設定した2軸押し出し機(TEM48BS、東芝機械社製)によって混練し、得られた混練物を、内部を−5℃のブラインを通した圧延ロール及び2℃の冷水冷却のスラブ挟み込み式の冷却ベルトにて急冷却を行い、ピンミルで粗砕後、ハンマーミルで破砕を行った。急冷却速度は冷却ベルトの速度を変化させて確認したが、平均降温速度は10℃/secであった。
この後粗粉分級機内蔵の粉砕機(AFG400)にて粉砕した。この粉砕時に、トナー構成材料100部に対して、0.7部のシリカ(ヘキサメチルジシラザン処理された体積平均粒子径40nmのシリカ)を添加した。その後、慣性式分級機にて分級を行い、微粉・粗粉を除去し、体積平均粒子径12.0μmの透明トナー1を得た。
【0055】
トナーの体積平均粒子径は、下記方法により測定した。
コールターマルチサイザ−II(コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(コールター社製)を使用した。
測定に際しては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加えた。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記マルチサイザ−IIにより、アパ−チャ−径として100μmアパ−チャ−を用いて2μm以上50μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定した。なお、サンプリングする粒子数は50000個であった。
【0056】
得られた透明トナー1の貯蔵弾性率G’(1)は、正弦波振動法により測定した動的粘弾性から求めた。動的粘弾性の測定にはレオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置を用いた。動的粘弾性の測定は、トナーを錠剤に成形した後、7.9mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に1rad/secの振動周波数で正弦波振動を与えた。測定は30℃から開始し、200℃まで継続した。
また、測定時間インターバルは30秒、昇温は1℃/minとした。また、測定を行う前に、30℃から200℃まで10℃間隔で、歪量の応力依存性を確認し、各温度における応力と歪量が線形関係である歪量範囲を求めた。測定中は各測定温度における歪量を0.01%以上0.5%以下の範囲に維持し、全ての温度において応力と歪量が線形関係になるように制御し、これらの測定の結果から160℃における貯蔵弾性率を求めた。透明トナー1のG1’(1)は4000Paであった。
【0057】
(透明トナー2の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径10.5μmの透明トナー2を得た。透明トナー2のG1’(1)は4000Paであった。
【0058】
(透明トナー3の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径13.5μmの透明トナー3を得た。透明トナー3のG1’(1)は4000Paであった。
【0059】
(透明トナー4の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を5.7部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー4を製造した。透明トナー4のG1’(1)は3600Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0060】
(透明トナー5の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を8.3部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー5を製造した。透明トナー5のG1’(1)は4400Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0061】
(透明トナー6の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を3.3部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー6を製造した。透明トナー6のG1’(1)は2900Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0062】
(透明トナー7の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を5.0部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー7を製造した。透明トナー7のG1’(1)は3400Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0063】
(透明トナー8の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を9.0部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー8を製造した。透明トナー8のG1’(1)は4600Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0064】
(透明トナー9の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を10部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー9を製造した。透明トナー9のG1’(1)は4900Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0065】
(透明トナー10の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を0.7部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー10を製造した。透明トナー10のG1’(1)は2100Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0066】
(透明トナー11の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を2.7部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー11を製造した。透明トナー11のG1’(1)は2700Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0067】
(透明トナー12の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を11部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー12を製造した。透明トナー12のG1’(1)は5200Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0068】
(透明トナー13の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を13.3部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー13を製造した。透明トナー13のG1’(1)は5900Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0069】
(透明トナー14の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を0部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー14を製造した。透明トナー14のG1’(1)は1900Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0070】
(透明トナー15の製造)
透明トナー1の製造において、シリカ(商品名 R972,日本アエロジル社製)の添加量を14.3部に変更した以外は透明トナー1の製造と同様にして、透明トナー15を製造した。透明トナー15のG1’(1)は6200Pa、体積平均粒子径は12μmであった。
【0071】
(透明トナー16の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径9.2μmの透明トナー16を得た。透明トナー16のG1’(1)は4000Paであった。
【0072】
(透明トナー17の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径15.8μmの透明トナー17を得た。透明トナー17のG1’(1)は4000Paであった。
【0073】
(透明トナー18の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径9.8μmの透明トナー18を得た。透明トナー18のG1’(1)は4000Paであった。
【0074】
(透明トナー19の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径14.2μmの透明トナー19を得た。透明トナー19のG1’(1)は4000Paであった。
【0075】
(透明トナー20の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径8.2μmの透明トナー20を得た。透明トナー20のG1’(1)は4000Paであった。
【0076】
(透明トナー21の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径17.7μmの透明トナー21を得た。透明トナー21のG1’(1)は4000Paであった。
【0077】
(透明トナー22の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径8.9μmの透明トナー22を得た。透明トナー22のG1’(1)は4000Paであった。
【0078】
(透明トナー23の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径16.3μmの透明トナー23を得た。透明トナー23のG1’(1)は4000Paであった。
【0079】
(透明トナー24の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径7.3μmの透明トナー24を得た。透明トナー24のG1’(1)は4000Paであった。
【0080】
(透明トナー25の製造)
透明トナー1の製造において、粉砕機(AFG400)による粉砕条件、及び、慣性式分級機による分級条件を調整することで、体積平均粒子径18.3μmの透明トナー25を得た。透明トナー25のG1’(1)は4000Paであった。
【0081】
(有色トナー1の製造)
−非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の作製−
結着樹脂1を100部と、酢酸エチルを50部と、イソプロピルアルコールを25部と、10%アンモニア水溶液を5部と、をセパラブルフラスコに入れ、充分混合、溶解した後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/minで滴下した。液が白濁した後、送液速度25g/minに上げて転相させ、送液量が135部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。得られたポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は132nm、ポリエステル樹脂粒子の固形分濃度は33.0%であった。
【0082】
−非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2の作製−
結着樹脂2を100部と、酢酸エチルを50部と、イソプロピルアルコールを25部と、10%アンモニア水溶液を5部と、をセパラブルフラスコに入れ、充分混合、溶解した後、40℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度8g/minで滴下した。液が白濁した後、送液速度25g/minに上げて転相させ、送液量が135部になったところで滴下を止めた。その後減圧下で溶剤除去を行い、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2を得た。得られたポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は132nm、ポリエステル樹脂粒子の固形分濃度は35.7%であった。
【0083】
−結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の作製−
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10−ドデカン二酸230部、1,9−ノナンジオール160部、および触媒としてジブチル錫オキサイド0.2部を入れ、その後減圧操作により、三口フラスコ内の空気を窒素に置換して不活性雰囲気下として、機械攪拌により180℃、5時間攪拌し、且つ還流して反応を進行させた。反応中は、反応系内において生成した水を留去した。その後、減圧下において230℃まで徐々に昇温し、2時間攪拌して粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量29000になったところで、減圧蒸留を停止し結晶性ポリエステル樹脂を得た。結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は73℃、軟化温度75℃、酸価は12mgKOH/gであった。
【0084】
次いで、この結晶性ポリエステル樹脂100部と、酢酸エチル35部、及びイソプロピルアルコール35部をセパラブルフラスコに入れ、これを75℃で充分混合、溶解した後、10%アンモニア水溶液を5.5部滴下した。加熱温度を60℃に下げ、攪拌しながらイオン交換水を送液ポンプを用いて送液速度6g/minで滴下し、液が白濁したのち、送液速度25g/minに上げ、総液量が400部になったところで、イオン交換水の滴下を止めた。その後、減圧下で溶媒の除去を行い、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は136nm、ポリエステル樹脂粒子の固形分濃度は24.4%であった。
【0085】
−着色剤粒子分散液の調製−
・銅フタロシアニンB15:3(大日精化製)100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR) 15部
・イオン交換水 900部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散して着色剤を分散させてなる着色剤粒子分散液を調製した。着色剤粒子分散液における着色剤粒子の平均粒径は、0.13μm、着色剤粒子濃度は21.4%であった。
【0086】
−離型剤粒子分散液の調製−
・FNP92(日本精鑞(株)製) 50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK) 5部
・イオン交換水 200部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴ−リン社)で分散処理し、平均粒径が0.24μmで、融解温度が92℃である離型剤粒子を分散させて、離型剤濃度が31.1%の離型剤粒子分散液を調製した。
【0087】
<有色トナー1の作製>
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 114部
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2 114部
・離型剤粒子分散液 59部
・着色剤粒子分散液 60部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液 56部
・イオン交換水 781部
pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、上記原料を入れ、Ultraturrax(IKAジャパン社製)により6000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウム1%水溶液130部を滴下し、原料混合物を調製した。
【0088】
次いで、上記原料混合物をマントルヒーターにて30℃に加温しながら550から650rpmで攪拌した。60分攪拌後、マルチサイザーII型(アパーチャー径:100μm、コールター社製)を用いて凝集粒子が形成するのを確認した後、凝集粒子を成長させるために0.5℃/分で昇温した。凝集粒子径はマルチサイザーII型を用いて随時確認した。凝集粒子の体積平均粒径が6.5μmとなったところで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2を157部添加し、凝集粒子を被覆し、凝集粒子(付着粒子)の成長を停止させるために、HIDS水溶液(日本触媒社製HIDSをイオン交換水で12質量%濃度に希釈したもの)16.25部と1Mの水酸化ナトリウム水溶液を順に加え、原料混合物のpHを8.0に制御した。ついで、凝集粒子を融合させるために、昇温速度1℃/minで95℃まで昇温した。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、冷却して体積平均粒径6.5μmの有色トナー1を得た。有色トナー1のG1’(2)は6000Paであった。
【0089】
(有色トナー2の製造)
HIDS水溶液の添加量を18.8部に変更した以外は有色トナー1と同様にして体積平均粒径6.5μmの有色トナー2を得た。有色トナー2のG1’(2)は4200Paであった。
【0090】
(有色トナー3の製造)
HIDS水溶液の添加量を13.8部に変更した以外は有色トナー1と同様にして体積平均粒径6.6μmの有色トナー3を得た。有色トナー3のG1’(2)は7700Paであった。
【0091】
(有色トナー4の製造)
HIDS水溶液の添加量を19.4部に変更した以外は有色トナー1と同様にして体積平均粒径6.3μmの有色トナー4を得た。有色トナー4のG1’(2)は3800Paであった。
【0092】
(有色トナー5の製造)
HIDS水溶液の添加量を13.1部に変更した以外は有色トナー1と同様にして体積平均粒径6.7μmの有色トナー5を得た。有色トナー5のG1’(2)は8200Paであった。
【0093】
[実施例1]
有色トナー1を用いてDocuCentreIV C2260(改造機)によりA4・ミラーコートプラチナ104g/m紙(富士ゼロックス社製)にトナー載り量が4.0g/mのベタ画像を形成した。次に、有色トナーによるベタ画像上に、透明トナー1を用い、700 Digital Color Press(改造機)により表1記載の画像密度のハーフトーン画像を形成・定着した。
透明トナーにより形成された凸部の平均高さ、及び、隣り合う凸部で形成された溝部の幅の平均を上述の方法により求めた。得られた結果を表1に示す。
次いで、前記ハーフトーン画像上に再貼り付け可能粘着シール(リンテック社製、表面基材:上質紙、粘着剤:リピール、A5サイズ)を貼り付けて、可変データ印刷用ラベルサンプル(本実施形態の画像記録媒体)を作成した。
この可変データ印刷用ラベルサンプル上に、DocuPrintC2250によりトナー載り量が4.0g/mのベタ画像を出力し、500枚目、1000枚目、5000枚目、10000枚目の出力で粘着剤による用紙汚染、機内汚染及び白ぬけの有無を下記基準に基づき評価した。また、5000枚目のサンプルについてシールを剥がしてミラーコートプラチナ104g/m紙上のベタ画像のグロスむらを下記基準に基づき評価した。得られた結果を表1に示す。
【0094】
評価基準(用紙汚染、機内汚染及び白ぬけ)
G0: 機内汚染、用紙汚染、白ぬけによる画質欠陥もなく良好
G1: ラベルのエッジ付近の用紙上には粘着剤粒子が確認されるが、機内汚染、白ぬけによる画質欠陥はなく良好
G2: 用紙搬送ロール上に粘着剤粒子が確認されるが、白ぬけによる画質欠陥はなく良好
G3: 転写ベルト上に粘着剤粒子が確認されるが、白ぬけによる画質欠陥が出るレベルではなく良好
G4: 白ぬけが1個以上3個以下確認されるが、よく見ないと気付かないレベル
G5: 白ぬけが4個以上9個以下確認されるが、実使用上問題ないレベル
G6: 白ぬけが10個以上20個以下確認され、実使用上気になるレベル
G7: 白ぬけが21個以上確認され、少し見ただけでも画質の低下が明らかで問題あり
【0095】
評価基準(グロスむら)
◎: グロスむらもなく、とくに画質が良好なレベル
●: 良好
○: 見る角度によってはむらが見えるが実使用上問題なし。
△: グロスむらあり
×: 画像荒れがひどく、問題になるレベル
【0096】
[実施例2乃至45、及び、比較例1乃至4]
表1記載のG’(1)及び体積平均粒子径(粒径)を示す透明トナーと、表1記載のG’(2)を示す有色トナーと、を組み合わせて用い、画像密度が表1記載の値となる透明トナーによるハーフトーン画像を形成した以外は実施例1と同様にして可変データ印刷用ラベルサンプルを作成し、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表1に示す。
【0097】
【表1】



【符号の説明】
【0098】
10 画像記録媒体
12 第1の基体
14 凸部
16 被貼付体
18 粒子状の粘着成分
20 粘着層
22 第2の基体
24 貼付体
26 有色トナー像
28 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基体と前記第1の基体上に設けられた凸部とを有し、
前記凸部の平均高さが4μm以上15μm以下であり、
前記第1の基体の前記凸部の設けられた面と直交する断面を見たときに、隣り合う前記凸部で形成された溝部の幅の平均が70μm以上200μm以下である、被貼付体。
【請求項2】
前記凸部は体積平均粒子径が8μm以上18μm以下の透明トナーを用いて電子写真法により形成された透明トナー像であり、前記透明トナー像の画像密度が30%以上70%以下である請求項1に記載の被貼付体。
【請求項3】
前記凸部の160℃における貯蔵弾性率G’(1)が、2000Pa以上6000Pa以下である請求項1又は請求項2に記載の被貼付体。
【請求項4】
前記第1の基体と前記凸部との間に有色トナーによる有色トナー像が設けられ、
前記有色トナー像の160℃における貯蔵弾性率G’(2)が、G’(1)<G’(2)≦8000Paである請求項3に記載の被貼付体。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被貼付体と、
前記被貼付体の凸部の設けられた側から順に、粒子状の粘着成分を含む粘着層と、
前記粘着層により前記被貼付体の凸部の設けられた側に貼付された第2の基体と、
を有する画像記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−185389(P2012−185389A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49381(P2011−49381)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】