説明

装置の開閉用構造、及び画像形成装置、その周辺装置

【課題】ドアを開ける際に、その上面部に置かれた用紙等を引き込んで、あるいは装置外周側へ連れ動きさせ、ドアを開けた際に装置上面から落下させてしまうことを防止可能な構造を有する装置の開閉用構造を提供する。
【解決手段】排紙ユニット本体1aにおけるジャム等の処理その他の作業のために開閉可能にした前ドア6前ドア6は、上縁部6aを平坦面部5を含む排紙ユニット1の上面部全体の側縁に連ならせてある。排紙ユニット本体1aの平坦面部5を含む上面部全体の側縁に沿わせて、前ドア6の上縁部6aの端縁に近づけて、突条7が形成してある。突条7の平坦面部5側は、平坦面部5側が低いスロープ面7sとしてある。用紙Pを取りたい場合には、スロープ面7sに沿わせて滑らせることができ、平坦面部5上からの取り去りも容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の開閉用構造、例えば開閉可能な前ドアを有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置や、そのような画像形成装置と組み合わせて用いられる排紙装置等の周辺装置の開閉用構造に関し、特に装置本体の上面部を形状、構造的に改良したものに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置や周辺機の上面部には、用紙などを置かれることが多い。例えば、図7に示す画像形成装置(特許文献1の図4に示される画像形成装置(複写機)に相当する)のように、複写機本体ユニット20、給紙トレイ21〜23、ADF24、原稿排紙トレイ25、大量給紙ユニット26、排紙ユニット27のように、それぞれの前面形状をほとんど平たんな凹凸のない形状とし、また高さ及び奥行き寸法も一致させて構成し、複写機本体ユニット20は、テーブル状の上面部28のほぼ中央位置にADF24を設け、その右側に原稿排紙トレイ25を配し、これらによって専有される部分以外の部分は平たんな面を形成するようにしてある。
【0003】
大量給紙ユニット26は複数の給紙段30〜32を備えるが、複写機本体ユニット20の原稿排紙トレイ25を避けるために切り欠いた部位を除いてやはり上面部33を平たんな形状としてある。上面部33の原稿排紙トレイ25のために切り欠く部位は図示のようにわずかなものなので、ほぼ全面が平たん化している。
【0004】
排紙ユニット27は左側面に大量排紙トレイ34を上下動可能に備えるとともに、上面部35の左縁側中央部位を切り欠いて排紙トレイ36を設けてあるが、上面部35はこの排紙トレイ36を設けた部位以外は平たんな形状としてある。
【0005】
また複写機本体ユニット20等の各ユニット20、26、27の上面部28、33、35は、それぞれ各ユニット20、26、27の側面よりも外方へ突出してひさしを形成するように大きめに形成してある。具体的には、複写機本体ユニット20の上面部28は正面側と背面側に突出し、大量給紙ユニット26の上面部33は正面側と背面側に加えて右側面側に突出し、排紙ユニット27の上面部35は正面側と背面側に加えて左側面側に突出している。このため図示の装置の全体形状としては、図5に示すように全周にわたって略均等にひさし部Xが突出している。
【0006】
このため各ユニット20、26、27を単体で、あるいは連結して使用する場合、複写機本体ユニット20の上面部28及びADF24の上面、大量給紙ユニット26の上面部33、さらには排紙ユニット27の上面部35が連結されて非常に広い上部の平たん面をなり、近くに作業テーブル等がない状態で画像形成作業を行っても、原稿や画像形成済みの用紙、クリップやペン等を置く場所に困ることがない。
【0007】
しかも、ひさし部Xが装置の全周にわたって突出しているので、画像形成作業を行うときに使用者の身体はひさし部Xの外周面には接触するものの、各上面部28、33、35より下の装置の外周面に接触しにくくなり、作業の妨げになったり、衣服を引っかけたりしにくい。
【0008】
ところが近年では、接地面積(詳細には投影接地面積)を小さくするために、上述のようにひさしを設けて接地面積を広くするタイプではなく、できるだけ装置の外周面内にすべての構成要素が収まっているタイプのものが主流となってきている。
【0009】
一方、上述のような画像形成装置、システム、あるいはさらに大型のシステムを用いるプロダクションプリンティング市場においては、画像形成装置や各種装置周辺で使用される用紙には、注文書などの重要な用紙があることから、やはり、装置上面に用紙等を置いておけるスペースが存在することが望まれることについては事情は変わっておらず、種々の提案がなされている。
【0010】
また、装置下部に用紙が入り込んでしまった場合には、装置が設置位置から用意には動かし得ないように、物理的に固定されているか、人力では動かし得ないような重量になっていたり、固定治具を使用して簡単には動かし得ないようにしていることが多いため、装置下部の接地面との隙間に入ってしまった用紙は取り難くなることがほとんどである。そのため、装置の上面に置いた用紙等の落下防止を図ることが希求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題点にかんがみ、ドアを開ける際に、その上面部に置かれた用紙等を引き込んで、あるいは装置外周側へ連れ動きさせ、ドアを開けた際に装置上面から落下させてしまうことを防止可能な構造を有する装置の開閉用構造、及び画像形成装置、その周辺装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1は、装置本体の外周に開閉可能に設けた開閉部の上縁が前記装置本体の上面に達し、該上面の一部を構成し、あるいは前記上面と連なる構成となっている装置の開閉用構造において、前記装置本体の上面であって用紙等を載置可能な部位に、前記開閉部の上縁に隣接させて前記上面より上方へ突出する部位を設けてなることを特徴とする装置の開閉用構造である。
【0013】
同請求項2に係るものは、請求項1の装置の開閉用構造において、前記突出する部位を、前記装置本体の上面であって用紙等を載置可能な部位全体に沿って前記開閉部の上縁に隣接させて設けてなることを特徴とする。
【0014】
同請求項3に係るものは、請求項1の装置の開閉用構造において、前記突出する部位を、前記装置本体の上面であって用紙等を載置可能な部位全体に沿って前記開閉部の上縁に隣接させて断続的に設けてなることを特徴とする。
【0015】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかの装置の開閉用構造において、前記突出する部位が、前記装置本体側の面を、前記装置本体側が低いスロープ面を備えることを特徴とする。
【0016】
同請求項5に係るものは、請求項1から3のいずれかの装置の開閉用構造において、前記突出する部位の前記装置本体側の面が立面であることを特徴とする。
【0017】
同請求項6に係るものは、請求項4の装置の開閉用構造において、前記突出する部位を設けた前記開閉部がある側とは反対側の前記装置本体側の端縁部に、前記装置本体側の面が立面である第2の突出する部位を設けたことを特徴とする。
【0018】
同請求項7に係るものは、請求項1から6のいずれかの装置の開閉用構造を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0019】
同請求項8に係るものは、画像形成装置の周辺装置であって、請求項1から6のいずれかの装置の開閉用構造を備えたことを特徴とする周辺装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ドアを開けた際に装置上面から落下させてしまうことを防止可能な構造を提供できるとともに、用紙等の落下は防止しつつ、用紙等を装置上面から取り去る時のじゃまにならず、容易な取り去りを可能とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図(A)と側面部分図(B)
【図2】本発明を説明するための比較例の平面図(A)、(B)と、側面図(C)、(D)
【図3】本発明の実施例1の側面図
【図4】本発明の実施例1の用紙取り去り動作状態の側面図
【図5】本発明の実施例2の用紙取り去り動作状態の側面図
【図6】本発明の実施例3の側面図
【図7】画像形成装置に周辺機を組み合わせたシステムの例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
装置の開閉部、例えば前ドアを開ける際に、装置本体からはみ出してドアの上端部に置かれた用紙等をドアの開動作に引き込んでしまい、装置本体から引き出して落下させてしまうのを防ぐため、ドアの上縁に隣接させて装置本体の上面より上方へ突出する部位を設け、装置本体の上面に乗った用紙等がドアを開らく時にドアの開動作に引き込まれるのを防ぐフェンス機能を発揮させることで前記目的を達成する。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。なお以下では、本発明を画像形成装置の周辺装置である排紙装置において実施した例について説明するが、本発明はこれに限定されず、画像形成装置そのものだけでなく、種々の装置において適用可能である。
【0024】
<実施例1>
図1は本発明の一実施例を示す斜視図(A)と側面部分図(B)である。図示の排紙ユニット1は、図7に示す排紙装置27のように、排紙ユニット本体1aの左側面に大量排紙トレイ2を上下動可能に備えるとともに、排紙ユニット本体1a上面部の左縁側中央部位を切り欠いて排紙トレイ3を設け、この排紙トレイ3を設けるために切り欠いた部位と複写機本体ユニット4との間に平坦面部5を形成してある。また排紙ユニット本体1a内でのジャム等の処理その他の作業のために開閉可能にした前ドア6を備える。
【0025】
前ドア6は、上縁部6aを曲面からなる部位とし、平坦面部5を含む排紙ユニット1の上面部全体の側縁に連ならせてある。すなわち、前ドア6を開ける(図1(A)に矢印で示すように、排紙ユニット1の左側縁の側が回動支点となっている)と、排紙ユニット1を平面的に見た場合、あたかも排紙ユニット1の上面部の側縁部分が一部無くなるような態様になっている。
【0026】
さらに、排紙ユニット本体1aの平坦面部5を含む上面部全体の側縁に沿わせて、前ドア6の上縁部6aの端縁に近づけて、突条7が形成してある。
【0027】
ここで比較のために、排紙ユニット1の上面部の側縁部分に突条7が無い平坦な形状を有し、前ドア6の上縁部6aの上面と面一あるいは略面一であるとした場合について図2を参照して説明する。図2(A)、(B)は平面図、(C)、(D)は図1の複写機本体ユニット4側から見た側面図である。
【0028】
まず図2(A)、(D)に示すように、平坦面部5から前ドア6の上縁部6aに掛けてユーザーが用紙P等を置いている状態であるとする。上縁部6aの上面は上述のように曲面を形成しているので、用紙Pの端部は図2(D)に示すように、平坦面部5よりも下方へ垂れ下がっている状態になることが多い。そしてこの状態から前ドア6を開くと、前ドア6の上縁部6aに乗っている用紙Pの寸法や、用紙Pと平坦面部5や前ドア6の上縁部6aとの間に働く摩擦力にもよるが、図2(B)、(C)に示すように、用紙Pが前ドア6に開動作に引きずられて平坦面部5から出て行く方向へ移動してしまうことになりがちである。前ドア6を開く角度が小さかったり、用紙Pに働く摩擦力が大きくてあまり移動しないような場合には起こらないが、前ドア6の開き角度が大きかったり、摩擦力が小さくて用紙Pが滑りやすい状態であったりすると、用紙Pは、前ドア6が開くに連れて前ドア6側へ移動していき、コシが弱い用紙やシート材等では、前ドア6と排紙ユニット本体1aの隙間Xに用紙Pの中程の部位が曲がって垂れ下がり、そのまま落ち込んでいって前ドア6と排紙ユニット本体1aの間に落下することがある。
【0029】
また、落下しないまでも上述のような垂れ下がりが生じていてそのまま前ドア6を閉めると、前ドア6と排紙ユニット本体1aの間に用紙Pを挟んで折り曲げてしまうことなどが有り得る。さらに、コシが弱くはない用紙やシート材等では、上述のような落下形態ではないが、前ドア6が開く角度が大きいと、移動するに連れて後端側が平坦面部5から外れ、やはり前ドア6と排紙ユニット本体1aの間に落下することがある。
【0030】
一方、図3(A)、(B)に示すように、突条7が形成してある本実施例の場合を説明する。この場合、平坦面部5から前ドア6の上縁部6aに掛けてユーザーが用紙P等を置いても、図示のように突条7によって用紙Pの上縁部6a側がカーブした状態で持ち上がり、前ドア6の上縁部6aの上面には触れないか、触れても用紙Pの端縁部分ぐらいが触れる状態になる。この状態から前ドア6を開くと、突条7が用紙Pの移動に対する障害となり、前ドア6の開き動作に用紙Pはほとんど影響されず、平坦面部5上に残り、上述のような落下は生じにくくなる。なおもちろん、前ドア6の開き角度によっては用紙Pの前ドア6側の端縁が前ドア6と排紙ユニット本体1aの間に垂れ下がり、そのまま前ドア6を閉めて用紙Pを挟んでしまうことは有り得るが、用紙Pの途中部位ではなく端縁部分だけであるので、用紙Pを折り曲げてしまう可能性は小さい。
【0031】
図4に突条7を乗り越えて用紙Pを平坦面部5上から取り上げる状態を示す。図示のように、突条7の平坦面部5側は、平坦面部5側が低いスロープ面7sとしてあるので、用紙Pを取りたい場合には、スロープ面7sに沿わせて滑らせることができ、平坦面部5上からの取り去りも容易である。なお、突状7の高さは、例えば4mm程度とすると、用紙Pの移動に対する障害としても、取り去るときの作業にも、それぞれ都合が良いことを本願発明者等は確認したが、本発明はこの寸法に限定されない。また突状7を設ける位置も、図示の例の位置に限定されず、平坦面部5の内側に寄っていても良い。
【0032】
<実施例2>
図5は本発明の実施例2を示す図4相当の側面図である。本実施例の突条7aは、断面が矩形となるものである。その他の構成は実施例1と同じである。この実施例の場合、平坦面部5上の用紙Pに対して突条7aの平坦面部5側の立面が壁となるため、用紙Pの移動を阻止する機能としては先の実施例よりも高い。ただし、用紙Pを平坦面部5上から取り去る場合には、突条7のスロープ面7sを利用する先の実施例のようにはいかず、若干用紙の取り去り操作が面倒ではある。
【0033】
<実施例3>
図6は本発明の実施例3を示す図4、図5相当の側面図である。本実施例は平坦面部5の両側(画像形成時の用紙の進行方向である図の紙面垂直方向で左右両側になる)に、それぞれ突条7、7aを備えている。前ドア6側の突条7は実施例1のものと同形ものであり、逆側の突条7aは実施例2のものと同形のものである。そのため、突条7a側ではその立面が平坦面部5上に置かれた用紙P等の移動に対するストッパとなり、突条7側では、実施例1と同様の作用を奏することになる。この例の場合、実施例1と同様の用紙Pの取り去り操作が可能であることはもちろん、用紙Pを突条7a側へ押して突条7aの立面に押し当て、用紙Pを少したわませてから取り去るという操作も容易にできるようになるので便利である。
【0034】
なお、上述した各実施例では、突条は平坦面部5の縁あるいは近傍に連続して設けているが、適度な寸法で断続的に設けてもよい。隣り合う突条同士の間から指を用紙P等の下側に入れやすくなったりして、操作が一層容易になる構造ともし得るからである。
【符号の説明】
【0035】
1:排紙ユニット
1a:排紙ユニット本体
2:大量排紙トレイ
3:排紙トレイ
4:複写機本体ユニット
5:平坦面部
6:前ドア
6a:前ドアの上縁部
7:突条
7a:突条
7s:突条のスロープ面
P用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】特開2007−188106号公報
【特許文献2】特公昭62−042809号公報
【特許文献3】特開平06−064825号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の外周に開閉可能に設けた開閉部の上縁が前記装置本体の上面に達し、該上面の一部を構成し、あるいは前記上面と連なる構成となっている装置の開閉用構造において、
前記装置本体の上面であって用紙等を載置可能な部位に、前記開閉部の上縁に隣接させて前記上面より上方へ突出する部位を設けてなることを特徴とする装置の開閉用構造。
【請求項2】
請求項1の装置の開閉用構造において、
前記突出する部位を、前記装置本体の上面であって用紙等を載置可能な部位全体に沿って前記開閉部の上縁に隣接させて設けてなることを特徴とする装置の開閉用構造。
【請求項3】
請求項1の装置の開閉用構造において、
前記突出する部位を、前記装置本体の上面であって用紙等を載置可能な部位全体に沿って前記開閉部の上縁に隣接させて断続的に設けてなることを特徴とする装置の開閉用構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの装置の開閉用構造において、
前記突出する部位が、前記装置本体側の面を、前記装置本体側が低いスロープ面を備えることを特徴とする装置の開閉用構造。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかの装置の開閉用構造において、
前記突出する部位の前記装置本体側の面が立面であることを特徴とする装置の開閉用構造。
【請求項6】
請求項4の装置の開閉用構造において、
前記突出する部位を設けた前記開閉部がある側とは反対側の前記装置本体側の端縁部に、前記装置本体側の面が立面である第2の突出する部位を設けたことを特徴とする装置の開閉用構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかの装置の開閉用構造を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置の周辺装置であって、請求項1から6のいずれかの装置の開閉用構造を備えたことを特徴とする周辺装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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