説明

装身用連結具

【課題】組立が簡単で、チェーン等の装身具の着脱も容易な装身用連結具に関する。
【解決手段】先端側にフックが形成され、基端側に左右に対峙する一対の側壁部を設け、該一対の側壁部には中央に向かって突出し幅狭な隙間を有して対向する軸部用突部が形成された可動部材と、先端側に前記フックが掛止められる爪部が形成され、基端側に前記一対の側壁部間の空隙部に挿入する差込み片部を設け、該差込み片部の略中央で前記軸部用突部を左右両側から嵌合する孔と該孔の外周に沿って一対のボス部が形成された固定部材とからなり、前記ボス部に嵌合した軸部用突部が枢軸となって可動部材を枢動可能に連結すると共に、上記枢着個所に設けられたスプリングによって可動部材を前記フックが爪部に掛止められる閉鎖方向に付勢してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネックレスやチェーンなどの装身用の連結具の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば実開平4−101819号や実開平3−35315号に示すような装身用連結具においては、本体に円環を取付ており、この円環にネックレスなど貴金属のチェーンや、ベルト、紐などの一端が取付けられている。
この本体には湾曲形状のフックが一体に形成されており、一方、フックと係合する爪部を一端に備え他端にレバーを備えた略三日月状の操作杆の中央部が本体内の支軸に枢着されており、スプリングによって前記爪部の先端がフックと係合する方向に付勢されている。
前記レバーは本体の外側へ突出しているので、使用者は該レバーを前記付勢力に抗して内側へ動かし、操作杆を傾動させて前記爪部の先端がフックから離れる方向に変位させ、前記チェーン等の他端の連結環を嵌め込むことができるようになっている。
このような構造の場合、本体から僅かに突出したレバーを動かす必要があるので、操作が煩雑となり使いづらい欠点がある。
そこで上記欠点を解消するため、爪部を本体に固定し、フック部を傾動しうる構成として実開平4−79162号の連結具が提案されている。
この構造では、取付部を備えた本体に、連結環を掛着離脱可能に湾曲形成した掛着部を備えたフックの基部を軸着し、且つ前記掛着部を本体の一側端縁より外方へ突出し、この掛着部の先端を本体の他側端縁に係合せしめると共に、前記フックを掛着部の先端が本体の外方へ離反し且つ掛着部の基部側が本体の前記他側端縁へ近づく方向へ回動自在に設け、且つ前記掛着部の先端を前記他側端縁に常時係合するようにスプリングを介して付勢した構成からなっている。
上記構成の場合、レバーを操作せず、直接にフックを動かすことでフックを爪部から離して連結部を開くことができる。
しかし、フックを動かす場合には本体を指で押さえて固定する必要があり、本体部分を大きく形成する必要があった。
【0003】
また、上記連結具では、二枚の板を幅狭に対向して形成したフックの基部を前記本体のケース内に開口から挿入し、前記基部を支軸で軸着している。そして前記フックの基部の二枚の対向する板間に巻きバネ型のスプリングを嵌挿し且つこのスプリングを支軸の外方に巻装している。
このようにフックの基部に本体のケースを外嵌し、支軸で止めているので、ケースの外側に支軸の頭部や先端が突出するため、先端部分はリベットのようにかしめる必要があり、組立作業が煩雑化するという問題がった。
【特許文献1】実開平4−101819号公報
【特許文献2】実開平3−35315号公報
【特許文献3】実開平4−79162号公報 図1、図2参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、レバーを設けないと共に、爪部の基端に外方へ突出する止め輪部を一体に形成しておき、フック側を動かすことで容易に連結具を開閉することができるようにした装身用連結具を提供することにある。
この発明の別の課題は、外側に支軸が露出することがないように、フック部の基端に一対の軸受部を形成しておき、爪部の基端を差し込んで嵌合し、枢動可能に取り付けることができるようにして簡単な取付作業で表面に凹凸を設けない装身用連結具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
先端側にフックが形成された可動部材と、
先端側に前記フックが掛止められる爪部が形成された固定部材とからなり、
前記可動部材の基端を前記フックが爪部に掛止められる閉鎖方向に付勢して前記固定部材の基端に枢着し、前記固定部材の基端には該基端の延長方向に丸環などの取付部を一体に形成してなることを特徴とする。
請求項2の発明では、
先端側にフックが形成され、基端側に左右に対峙する一対の側壁部を設け、該一対の側壁部には中央に向かって突出し幅狭な隙間を有して対向する軸部用突部が形成された可動部材と、
先端側に前記フックが掛止められる爪部が形成され、基端側に前記一対の側壁部間の空隙部に挿入する差込み片部を設け、該差込み片部の略中央で前記軸部用突部を左右両側から嵌合する孔と該孔の外周に沿って一対のボス部が形成された固定部材とからなり、
前記ボス部に嵌合した軸部用突部が枢軸となって可動部材を枢動可能に連結すると共に、上記枢着個所に設けられたスプリングによって可動部材を前記フックが爪部に掛止められる閉鎖方向に付勢してなることを特徴とする。
また、請求項3の発明では、
請求項2の装身用連結具であって、前記固定部材の基端の延長方向で、差込み片部の外側に丸環などの取付部を一体に形成してなることを特徴とする。
請求項4の発明では、
前記差込み片部が、厚みの薄い基板部の中央にボス部を有しており、前記差込み片部の外側で前記ボス部と同心大径に設定され、前記側壁部間の空隙部に嵌合して空隙部の開放部分をほぼ塞ぐと共に、上記空隙内で枢動可能な幅に設定されたカバー片部を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明の装身用連結具では、固定部材の基端の延長方向で、差込み片部の外側に丸環などの取付部を一体に形成したので、フック部の枢動による連結具の開閉に際して取付部は固定部材と共に静止しているので、連結具へのチェーンやリング等の被連結部の着脱が容易となる。
また、可動部材に左右一対の側壁部と軸部用突部を設け、固定部材の差込み片部を挿入して枢着するようにしたので、ワンタッチで組み立てることができ、枢軸を貫通して取り付ける必要がないので、固定部材の表面に凹凸が生じることもなく、装飾性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、この発明の装身用連結具の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
この装身用連結具1は、先端側にフック2が形成された可動部材3と、先端側に前記フック2が掛止められる爪部4が形成された固定部材5とからなり、前記可動部材3の基端を前記フック2が爪部4に掛止められる閉鎖方向に付勢して前記固定部材5の基端に枢着P1した構成からなっている。
【0008】
[可動部材]
可動部材3は、図2(a)〜(c)に示すように、基端3a側に所定の空間S1を隔てて左右に対峙したブラケットとなる一対の側壁部31を形成しており、該側壁部31は、正面から見て略円形状に形成されている。
この一対の側壁部31には、それぞれ中央に向かって同軸線上に突出し、幅狭な隙間S2を有して対向する軸部用突部32が形成されている。
【0009】
また、前記一対の側壁部31には、その一側から先端側に向かって延び、略半円状に湾曲して前記側壁部31の方向に折り返されるフック2が形成されている。
このフック2の先端は内側が短く外側が長くなる係止段部21が形成されている。
固定部材5は基端5aが最も幅広であって、フック2の湾曲部分となる先端が最も幅狭となる形状であって、係止段部21は湾曲部分から徐々に幅広くなる所定長のに設定されている。
【0010】
[固定部材]
固定部材5は、先端側に前記フックが掛止められる爪部4が形成されている。
爪部4は、先端に向かって徐々に幅狭くなるように形成されており、その先端が前記フック2の先端の段部21と同じ幅であって係合するように内側が長く外側が短く設定された段部64に形成されている。
【0011】
また、基端5a側には肉薄のプレート状で前記一対の側壁部31間の空隙部S1に挿入される、正面から見て略円形状の差込み片部6が設けられている。
該差込み片部6は厚みの薄い基板部60の略中央で前記軸部用突部32を左右両側から嵌合する孔61と該孔61の外周に沿って両側に突出する一対の筒状からなるボス部62が形成されている。
【0012】
差込み片部6の外側には、前記ボス部62と同心大径で、正面から見て略半円形状に設定されたカバー片部63が一体に形成されている。
該カバー片63は、前記側壁部31間の空間S1の開口に嵌合する幅に設定されて、空間S1の開口部分をほぼ塞ぐと共に、上記空間S1内で枢動可能なカバー片部63を有している。
【0013】
そして、バネ材8を予め軸部用突部32に外嵌しておき、前記差込み片部6を側壁部31間の空間S1から差し込むと、ボス部62が軸部用突部32間の隙間S2を広げながらボス部62を乗り越え、孔61に軸部用突部32を突入させ、同時にバネ材8がボス部62とカバー片部63の間に入り、可動部材3が固定部材5に枢着されると共に、可動部材3をフック2が閉じる方向に付勢する。
【0014】
本実施例では、更に、上記差込み片部6の外側で、固定部材5の延長方向に丸環状の取付部7が一体に固定されている。
この取付部7には、チェーンや紐等の装身具の一方の端部が直接またはリングを介して連結される。
【0015】
これにより、使用者が装身用連結具1を用いる場合には、装身具を介して取付部7が拘束されるので、可動部材3を動かしやすく、装身具の着脱を容易に行うことができる。
また、組立時には差込み片部6を側壁部31間に差し込むことで組み立てることができ、側壁部31の表面に凹凸が形成されることがなく、装飾性を高めることができる。
【0016】
上記実施例では連結具に対する装身具の着脱を容易にするために取付部7を設けた場合を例示したが、取付部7は一体に設けず、側壁部に孔を穿って別体のリングを連結する構成としてもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の装身用連結具の実施例を示す正面図である。
【図2】(a)は可動部材の右側面図、(b)は左側面図、(c)は正面図である。
【図3】(a)は固定部材の右側面図、(b)は正面図、(c)は左側面図である。
【図4】取付部を省略した装身用連結具の異なる実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 装身用連結具
2 フック
3 可動部材
4 爪部
5 固定部材
6 差込み片部
7 取付部
8 バネ材
21 係止段部
31 側壁部
32 軸部用突部
60 基板部
61 孔
62 ボス部
63 カバー片部
S1 空間
S2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側にフックが形成された可動部材と、
先端側に前記フックが掛止められる爪部が形成された固定部材とからなり、
前記可動部材の基端を前記フックが爪部に掛止められる閉鎖方向に付勢して前記固定部材の基端に枢着し、前記固定部材の基端には該基端の延長方向に丸環などの取付部を一体に形成してなることを特徴とする装身用連結具。
【請求項2】
先端側にフックが形成され、基端側に左右に対峙する一対の側壁部を設け、該一対の側壁部には中央に向かって突出し幅狭な隙間を有して対向すsる軸部用突部が形成された可動部材と、
先端側に前記フックが掛止められる爪部が形成され、基端側に前記一対の側壁部間の空隙部に挿入する差込み片部を設け、該差込み片部の略中央で前記軸部用突部を左右両側から嵌合する孔と該孔の外周に沿って一対のボス部が形成された固定部材とからなり、
前記ボス部に嵌合した軸部用突部が枢軸となって可動部材を枢動可能に連結すると共に、上記枢着個所に設けられたスプリングによって可動部材を前記フックが爪部に掛止められる閉鎖方向に付勢してなることを特徴とする装身用連結具。
【請求項3】
固定部材の基端の延長方向で、差込み片部の外側に丸環などの取付部を一体に形成してなることを特徴とする請求項2に記載の装身用連結具。
【請求項4】
差込み片部が、厚みの薄い基板部の中央にボス部を有しており、前記差込み片部の外側で前記ボス部と同心大径に設定され、前記側壁部間の空隙部に嵌合して空隙部の開放部分をほぼ塞ぐと共に、上記空隙内で枢動可能な幅に設定されたカバー片部を有してなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装身用の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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