説明

装飾体

【課題】 窓枠に取り付けた場合でも掛けたプランター等がガラスに接触するおそれがなく、且つ意匠性が良好な装飾体を提供する。
【解決手段】 台座部1と、装飾部2と、台座部1と装飾部2を連結する固定部材4とを備え、台座部1は、二本の腕部12,13を備える略コ字形状の被嵌合部11を有し、躯体100に取付具3で固定してあり、装飾部2は、被嵌合部11に嵌合する嵌合部21を有しており、嵌合部21は、二本の腕部12,13に挟まれており取付具3を隠蔽するものであり、少なくとも台座部1側が断面多角形状であり複数の当接面22を有しており、被嵌合部11は、嵌合部21の当接面22が当接する被当接面14を有しており、少なくとも何れか一面の当接面22を選択して被当接面14に当接させ、固定部材4が腕部12,13及び嵌合部21を貫通することで、台座部1に対する装飾部2の取付角度を選択可能に固定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランター等を掛けることができる装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の壁や柱に取り付け、草木を植えたプランター等を吊るして使用するハンガーがある。例えば、特許文献1には、躯体に固定した台座部と、台座部から略水平方向に延びる装飾部とを備えたハンガーが記載されている。このハンガーは、全体が主に曲線で構成され植物を模したものとなっており、それ自体を装飾体として使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1306504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなハンガーを窓飾りと兼用して使用する場合、すなわち、装飾部が窓ガラスと平行するように窓枠に台座部を固定する場合、装飾部とガラスとの距離が近すぎて、装飾部に掛けたプランター等がガラスに接触してしまうおそれがある。また、通常台座部はネジ止めにより躯体に固定するが、このネジが見えてしまうと意匠性が悪くなるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、窓枠に取り付けた場合でも掛けたプランター等がガラスに接触するおそれがなく、且つ意匠性が良好な装飾体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、台座部と、装飾部と、台座部と装飾部を連結する固定部材とを備え、台座部は、二本の腕部を備える略コ字形状の被嵌合部を有し、躯体に取付具で固定してあり、装飾部は、被嵌合部に嵌合する嵌合部を有しており、嵌合部は、二本の腕部に挟まれており取付具を隠蔽するものであり、少なくとも台座部側が断面多角形状であり複数の当接面を有しており、被嵌合部は、嵌合部の当接面が当接する被当接面を有しており、少なくとも何れか一面の当接面を選択して被当接面に当接させ、固定部材が腕部及び嵌合部を貫通することで、台座部に対する装飾部の取付角度を選択可能に固定してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、台座部に対する装飾部の取付角度を変えられるから、装飾部をガラスから遠ざけることができるので、装飾部に掛けたプランター等がガラスに接触するのを防ぐことができる。取付角度を選択可能とするための構成は、嵌合部に断面多角形状部分を形成し、被嵌合部に被当接面を形成するという簡易なものであり、被当接面に当接させる当接面を選択することで、取付角度を容易に選択・設定でき、面同士を当接させることで、台座部に対して装飾部が回転しないように固定できる。また、台座部を躯体に取り付けるための取付具が嵌合部により覆い隠されて見えなくなっているので、意匠性が良好である。さらに、嵌合部が略コ字形状の被嵌合部に嵌合し、嵌合部及び被嵌合部を固定部材が貫通しているので、装飾部に重いプランター等を掛けて嵌合部及び被嵌合部に大きな力が働く場合でも、確実に保持することができる。また、台座部に対して装飾部が回転しないように固定されているので、装飾部に不意に外力が働いた場合でも装飾部が動くことはなく、装飾部に掛けたプランター等がガラスに接触するのをより確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は装飾体の正面図、(b)は装飾体の平面図である。
【図2】(a)は図1(a)のA−A線断面図、(b)は(a)において装飾部の取付角度を変更した場合の説明図、(c)は(a)において台座部と装飾部とを分離した状態の説明図である。
【図3】装飾体の使用状態を示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の装飾体は、図1に示すように、台座部1と、台座部1に取り付けた装飾部2とを備える。台座部1は、被嵌合部11を有しており、ネジからなる取付具3によって躯体100の垂直面に固定してある。被嵌合部11は、上部及び下部から水平方向に突出する腕部12,13を有しており、側面視して略コ字形状である。一方、装飾部2は、角棒を湾曲させた形状で、上方から下方へ向けて延び、台座部1側に環状部を形成して、略水平方向に延びており、側面視して略r字形状である。そして、先端は下方へ向けて略円形状に湾曲してフック部23を形成しており、プランター等を掛けることができるようになっている。また、台座部側には水平方向に突出する嵌合部21を有する。嵌合部21の高さは被嵌合部11の腕部12,13同士の間隔と略等しく、二本の腕部12,13が嵌合部21を挟んでいる。そして、ボルトからなる固定部材4が、上側の腕部12及び嵌合部21を貫通し、下側の腕部13に螺合して、台座部1と装飾部2とを連結している。なお、固定部材4を受ける下側の腕部13のネジ穴15は有底で貫通していない。また、台座部1及び装飾部2は何れも金属製である。
【0010】
次に、嵌合部21及び被嵌合部11について詳述する。嵌合部21は、図2に示すように、軸中心で分割した円柱(先端側)と、同じく軸中心で分割した正八角柱(台座部側)とを組み合わせた形状で、軸は垂直向きであり、軸中心を固定部材4が貫通している。そして、正八角柱部分の側面は何れも垂直方向に平行で当接面22となっており、装飾部2の先端が延びる方向に直交する第一当接面22aと、第一当接面22aに対して平面視して45度傾斜する第二当接面22b及び第三当接面22cからなる。一方、被嵌合部11は、躯体100の取付面に平行し、何れかの当接面(第一当接面22a、第二当接面22b、第三当接面22c)に当接する被当接面14を有し、さらに被当接面14の水平方向両側に、被当接面14に対して平面視して装飾部2側に45度傾斜する補助被当接面16を有する。また、ネジからなる取付具3は、被当接面14に形成したネジ孔17に挿入して、躯体100に螺合している。
【0011】
この装飾体を設置する際には、まず台座部1を取付具3によって躯体100に取り付け、次に装飾部2の嵌合部21を台座部1の被嵌合部11に嵌合させる。この際、第一当接面22aを被当接面14に当接させて、上方から固定部材4を取り付ければ、装飾部2は躯体100の取付面に対して平面視して垂直向きとなる(図2(a))。そして、第一当接面22aが被当接面14に当接しており、さらに第二当接面22b及び第三当接面22cがそれぞれ補助被当接面16に当接しているから、台座部1に対して装飾部2が回転することはない。また、嵌合部21を被嵌合部11に嵌合させる際に、第二当接面22bを被当接面14に当接させて、上方から固定部材4を取り付ければ、装飾部2は躯体100の取付面に対して垂直方向から45度傾斜した向きとなる(図2(b))。そして、第二当接面22bが被当接面14に当接しており、さらに第一当接面22aが一方の補助被当接面16に当接しているから、台座部1に対して装飾部2が回転することはない。さらに、第三当接面22cを被当接面14に当接させれば、装飾部2は、第二当接面22bを被当接面14に当接させた場合とは逆向きに傾斜した向きとなる。なお、装飾部2の向きによらず、被当接面14には常に何れかの当接面(第一当接面22a、第二当接面22b、第三当接面22c)が当接するので、設置した状態において、被当接面14に取り付けた取付具3が外部からは見えない。
【0012】
このように、本発明の装飾体は、嵌合部21に断面多角形状部分を形成し、被嵌合部11に被当接面14を形成するという簡易な構成により、台座部1に対する装飾部2の取付角度を選択可能とし、且つ台座部1に対して装飾部2が回転しないように固定できる。よって、図3に示すように、装飾体を窓周りの躯体100に取り付けた場合であっても、装飾部2をガラス110から遠ざかる向きに傾斜させることで、装飾部2のフック部23に掛けたプランター200がガラス110に接触しない。そして、台座部1に対して装飾部2が回転しないので、装飾部2に不意に外力が働いた場合でも装飾部2が動くことはなく、プランター200がガラス110に接触することをより確実に防いでいる。また、取付具3は常に嵌合部21により覆い隠され外部からは見えないので、意匠性が良好である。さらに、嵌合部21が二本の腕部12,13に挟まれ、固定部材4が腕部12,13及び嵌合部21を貫通しているので、フック部に掛けたプランター200が重く嵌合部21及び被嵌合部11に大きな力が働く場合でも、確実に保持することができる。また、一本の固定部材4で台座部1と装飾部2とを連結できるので、作業性が良好であり、さらに固定部材4が上側から挿入されており下側からは見えないので、この点でも意匠性が良好である。
【0013】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。嵌合部は、少なくとも一部が断面多角形状で、二面以上の当接面を有していればよく、多角形状とは多角形の一部分であってもよい。よって、実施例のように正八角柱を二分割した部分を有するもののほか、例えば嵌合部全体が正八角柱からなるものとすれば、より広い範囲で角度調整が可能であるし、正十角柱や正十二角柱など角の数を増やせば、より細かい角度調整が可能になる。また、当接面と被当接面とを当接させることができるものであれば、例えば嵌合部の上側半分が多角柱形状で下側半分が円柱形状のもの等、嵌合部の軸方向(実施例では上下方向)の一部が多角柱形状となっているものであってもよい。さらに、被当接面は、少なくとも一面あればよい。また、装飾部の形状は、直線形状、曲線形状又はその組み合わせなど、どのようなものであってもよい。また、取付具は、ネジのほか、ボルトや釘等であってもよいし、固定部材は、ボルトのほか、棒材等であってもよい。さらに、素材は金属に限られず、プランター等の荷重を支えられるものであれば、木材や樹脂からなるものであってもよい。また、この装飾体は、実施例のような垂直面ではなく、水平面(窓の上枠等)に取り付けてもよい。その場合、装飾部が水平軸周りに回転する向きに取り付ければ、装飾部をガラス等から遠ざかる向きに傾斜させることができる。
【符号の説明】
【0014】
1 台座部
2 装飾部
3 取付具
4 固定部材
11 被嵌合部
12,13 腕部
14 被当接面
21 嵌合部
22 当接面
100 躯体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、装飾部と、台座部と装飾部を連結する固定部材とを備え、台座部は、二本の腕部を備える略コ字形状の被嵌合部を有し、躯体に取付具で固定してあり、装飾部は、被嵌合部に嵌合する嵌合部を有しており、嵌合部は、二本の腕部に挟まれており取付具を隠蔽するものであり、少なくとも台座部側が断面多角形状であり複数の当接面を有しており、被嵌合部は、嵌合部の当接面が当接する被当接面を有しており、少なくとも何れか一面の当接面を選択して被当接面に当接させ、固定部材が腕部及び嵌合部を貫通することで、台座部に対する装飾部の取付角度を選択可能に固定してあることを特徴とする装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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