説明

装飾体

【課題】玩具としても使用可能である装飾体を提供する。
【解決手段】透過性を有する円管体10の内部に複数種類の物質が封入され、円管体10が軸方向に反転したときに、上記物質が予め設定されたそれぞれの性質と円管体10のサイズとに基づいて円管体10の内部で所定の挙動を示す装飾体1において、複数種類の物質を例えば洗剤水溶液11と空気12とステンレス球13とで構成し、円管体10を軸方向に反転させたとき、所定の値に設定したレイノルズ数に基づいて、下降するステンレス球13と上昇する空気12とが衝突したことをきっかけに、ステンレス球13を高速回転しながら下降させるとともに、洗剤水溶液11中に渦を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具としても使用可能であり、且つ、展示してその場所を装飾可能である装飾体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、展示してその場所を装飾する装飾体(オブジェ)としては様々なものが存在している。また、例えば特許文献1に記載されているように、玩具としても使用可能なオブジェ(シート製オブジェ)も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−10785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斯かる実情の中、特許文献1に開示されているような装飾体以外にも、玩具としても使用可能な装飾体が多様に存在すれば、需要者が装飾体を購入する際に選択肢が増えて望ましい。
【0005】
本発明は、斯かる要望に鑑み、玩具としても使用可能である装飾体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の装飾体は、透過性を有する円管体の内部に複数種類の物質が封入され、前記円管体が軸方向に反転したとき、前記物質が予め設定されたそれぞれの性質と前記円管体のサイズとに基づいて前記円管体の内部で所定の挙動を示す装飾体である。
【0007】
そして、前記複数種類の物質は、液体と気体と球状の固体とで構成され、前記円管体の静止時には、前記液体は液層を形成し、前記気体は前記液層の上方に気層を形成し、前記固体は前記液体中に沈んで前記液層の底に位置し、前記円管体が軸方向に反転したときには、前記液体、前記気体および前記固体が重力と所定の値に設定されたレイノルズ数とに基づいて所定の挙動を示すことを特徴としている。
【0008】
あるいは、前記複数種類の物質は、第1の液体と、前記第1の液体とは異なる第2の液体と、気体とで構成され、前記円管体の静止時には、前記第1の液体は第1の液層を形成し、前記第2の液体は前記第1の液層の上方に第2の液層を形成し、前記気体は前記第2の液層の上方に気層を形成し、前記円管体が軸方向に反転したときには、前記第1の液体、前記第2の液体および前記気体が所定の値に設定されたそれぞれの密度および量に基づいて所定の挙動を示すことを特徴としている。
【0009】
あるいは、前記複数種類の物質は、液体と気体とで構成され、前記円管体の静止時には、前記液体は液層を形成し、前記気体は前記液層の上方に気層を形成し、前記円管体が軸方向に反転したときには、前記気体が所定の値に設定された前記液体の粘度に基づいて所定の速度で上昇することを特徴としている。
【0010】
また、本発明の装飾体は、前記円管体を支持する支持台と、前記円管体を前記円管体の外部から照明する照明装置と、をさらに備えることを特徴としている。このとき、前記照明装置は前記支持台の内部に設置され、前記円管体を下方から照明することが好ましく、また、前記円管体は、直立状態で前記支持台に支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の装飾体によれば、通常の態様として静止状態で装飾体を所望の場所に展示しながら、装飾体を手動あるいは自動的に動かすことで、円管体の内部で気体や液体や固体に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の実施例1に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図2】本発明の第1実施形態の実施例2に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図3】本発明の第1実施形態の実施例3に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図4】本発明の第1実施形態の実施例4に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図5】本発明の第1実施形態の実施例5に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図6】本発明の第1実施形態の実施例6に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図7】本発明の第1実施形態の実施例7に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図8】本発明の第2実施形態の実施例8に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図9】本発明の第2実施形態の実施例9に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図10】本発明の第2実施形態の実施例10に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図11】本発明の第2実施形態の実施例11に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図12】本発明の第3実施形態の実施例12に係る装飾体を模式的に示す正面図であって、(a)は円管体が直立して静止している状態を示し、(b)は円管体が軸方向に反転したときの円管体内部の物質の挙動を示している。
【図13】本発明の実施例1〜12に係る装飾体の各構成要素の設定内容を示す表である。
【図14】本発明のその他の変形例1に係る装飾体を模式的に示す正面図である。
【図15】本発明のその他の変形例2に係る装飾体を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1〜図7に示すように、本発明の第1実施形態に係る装飾体1は、透過性を有する円管体10の内部に液体11と気体12と球状の固体(球体ともいう)13とが封入され、円管体10が軸方向に反転したとき、液体11、気体12および固体13の各物質が重力と所定の値に設定されたレイノルズ数とに基づいて円管体10の内部で所定の挙動を示すように構成されたものである。なお、液体11、気体12および固体13の各物質の状態は、常温常圧での状態である。
【0015】
レイノルズ数は、次の数式で表される。
Re=ρVd/μ=Vd/ν・・・(1)
【0016】
ここで、ρは液体11の密度、Vは液体11の流速、dは円管体10の内径、μは液体11の粘度、νは液体11の動粘度である。つまり、レイノルズ数は、液体11に固有の値(密度、粘度、動粘度)に加えて、円管体10のサイズやその内部の流速などの、液体11以外の条件を含めて設定される値である。
【0017】
以下に、第1実施形態の7つの実施例について順に説明する。
【0018】
(実施例1)
実施例1では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が60mm、内径が56mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が60mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0019】
また、実施例1では、液体11として洗剤水溶液、気体12として空気、固体13としてステンレス製の球体(以下、ステンレス球ともいう)が用いられている。ステンレス球13の直径は50.8mmである。
【0020】
図1(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、洗剤水溶液11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、ステンレス球13は洗剤水溶液11中に沈んで液層の底に位置している。
【0021】
一方、図1(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、ステンレス球13は洗剤水溶液11中を下降(落下)するとともに、空気12は洗剤水溶液11中を上昇する。そして、下降するステンレス球13と上昇する空気12とが衝突したときに、ステンレス球13が回転を開始し、その後、ステンレス球13は洗剤水溶液11中を高速回転しながら下降するとともに、洗剤水溶液11中には渦が発生する。
【0022】
この実施例1の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で液体11や気体12や固体13に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。特に、液体11が洗剤水溶液であるため、泡ができやすく、渦を視認しやすくするという利点がある。
【0023】
(実施例2)
実施例2では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が30mm、内径が26mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が30mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0024】
また、実施例2では、実施例1と同様に、液体11として洗剤水溶液、気体12として空気、固体13としてステンレス球が用いられている。洗剤水溶液11の量は500ml、ステンレス球13の直径は25mmである。
【0025】
図2(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、洗剤水溶液11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、ステンレス球13は洗剤水溶液11中に沈んで液層の底に位置している。
【0026】
一方、図2(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、ステンレス球13は洗剤水溶液11中を下降するとともに、空気12は洗剤水溶液11中を上昇する。そして、下降するステンレス球13と上昇する空気12とが衝突したときに、ステンレス球13が回転を開始し、その後、ステンレス球13は洗剤水溶液11中を高速回転しながら下降するとともに、洗剤水溶液11中には渦が発生する。この作用も、実施例1と同様である。
【0027】
したがって、この実施例2の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で液体11や気体12や固体13に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。特に、液体11が洗剤水溶液であるため、泡ができやすく、渦を視認しやすくするという利点がある。
【0028】
(実施例3)
実施例3では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が15mm、内径が11mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が15mm、厚みが3mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0029】
また、実施例3では、実施例1および実施例2と同様に、液体11として洗剤水溶液、気体12として空気、固体13としてステンレス球が用いられている。ステンレス球13の直径は10mmである。
【0030】
図3(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、洗剤水溶液11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、ステンレス球13は洗剤水溶液11中に沈んで液層の底に位置している。
【0031】
一方、図3(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、ステンレス球13は洗剤水溶液11中を下降するとともに、空気12は洗剤水溶液11中を上昇する。そして、下降するステンレス球13と上昇する空気12とが衝突したときに、ステンレス球13が回転を開始し、その後、ステンレス球13は洗剤水溶液11中を高速回転しながら下降するとともに、洗剤水溶液11中には渦が発生する。ただし、実施例1や実施例2とは異なり、顕著な渦は発生しない。
【0032】
したがって、この実施例3の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で液体11や気体12や固体13に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。特に、液体11が洗剤水溶液であるため、泡ができやすく、渦を視認しやすくするという利点がある。
【0033】
(実施例4)
実施例4では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が30mm、内径が26mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が30mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0034】
また、実施例4では、液体11として精製水、気体12として空気、固体13として透明の消臭ビーズが複数個用いられている。ビーズ13は円管体10の内径よりも小径(直径8〜10mm程度)の粒状物であり、その量は、円管体10の一端部から他端部に至るまでを満たすのに十分な量となっている。
【0035】
図4(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、精製水11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、ビーズ13は液層および気層に亘って満たされている。
【0036】
一方、図4(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、空気12の泡が精製水11中でビーズ13の間の隙間を通り抜けながら上昇する。
【0037】
したがって、この実施例4の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で空気12に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。特に、ビーズ13は透明で精製水11と同色であるので、外部からは精製水11に溶け込んで見えて判別しがたくなるため、空気12の泡が水中をゆらゆらと上昇するように見せかけることができる。
【0038】
(実施例5)
実施例5では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が15mm、内径が11mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が15mm、厚みが3mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0039】
また、実施例5では、実施例4と同様に、液体11として精製水、気体12として空気、固体13として透明の消臭ビーズが複数個用いられている。ビーズ13は円管体10の内径よりも小径(直径8〜10mm程度)の粒状物であり、ここでは6個が用いられている。
【0040】
図5(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、精製水11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、ビーズ13は精製水11中に沈んで液層の底部に直列に並んでいる。
【0041】
一方、図5(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、複数のビーズ13は精製水11中を直列に並んで下降するとともに、空気12は上昇する。そして、下降するビーズ13と上昇する空気12とが衝突したときに、空気12はビーズ13をわずかに押し上げる。その後、空気12はビーズ13と円管体10の側壁との間の隙間を通り抜けてさらに上昇し、ビーズ13は下降を再開する。
【0042】
したがって、この実施例5の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で空気12に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。特に、ビーズ13は透明で精製水11と同色であるので、外部からは精製水11に溶け込んで見えて判別しがたくなるため、空気12のかたまりが加速したり減速したりしながら水中をゆらゆらと上昇するように見せかけることができる。
【0043】
(実施例6)
実施例6では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が15mm、内径が11mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が15mm、厚みが3mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0044】
また、実施例6では、液体11として精製水、気体12として空気、固体13としてアクリル製の球体(以下、アクリル球ともいう)が用いられている。アクリル球13の直径は10mmである。
【0045】
図6(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、精製水11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、アクリル球13は精製水11中に沈んで液層の底に位置している。
【0046】
一方、図6(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、アクリル球13は精製水11中を下降するとともに、空気12は上昇する。そして、下降するアクリル球13と上昇する空気12とが衝突して以降は、空気12はビーズ13を徐々に押し上げる。その後、空気12が円管体10の上端部に到達すると、円管体10の上部まで押し上げられたアクリル球13が精製水11中を下降し始める。
【0047】
したがって、この実施例6の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で気体12や固体13に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【0048】
(実施例7)
実施例7では、円管体10はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が15mm、内径が11mm、全長が1000mmに形成されている。円管体10の両端部には栓14がされており、栓14は外径が15mm、厚みが3mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓14も含めた長さである。
【0049】
また、実施例7では、液体11として液状の洗濯のり、気体12として空気、固体13として鉛製の球体(以下、鉛球ともいう)が複数個用いられている。鉛球13は円管体10の内径よりも小径(直径1mm)の粒状物であり、ここでは50gが用いられている。
【0050】
図7(a)に示すように、円管体10が直立して静止している状態では、洗濯のり11は液層を形成し、空気12は液層の上方に気層を形成し、鉛球13は洗濯のり11中に沈んで液層の底に位置している。
【0051】
一方、図7(b)に示すように、円管体10が軸方向に反転したときには、上昇する空気12の影響を受け、鉛球13は精製水11中を螺旋状に下降する。
【0052】
したがって、この実施例7の装飾体1によれば、通常の態様として静止状態で装飾体1を所望の場所に展示しながら、装飾体1を反転させることで円管体10の内部で鉛球13に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【0053】
<第2実施形態>
次に、図8〜図11および図13を用いて本発明の第2実施形態に係る装飾体2について説明する。第2実施形態に係る装飾体2は、透過性を有する円管体20の内部に第1の液体21と第2の液体22と気体23とが封入され、円管体20が軸方向に反転したとき、第1の液体21、第2の液体22および気体23の各物質が所定の値に設定された第1の液体21、第2の液体22および気体23の密度や粘度や量に基づいて所定の挙動を示すように構成されたものである。なお、第1の液体21、第2の液体22および気体23の各物質の状態は、常温常圧での状態である。
【0054】
以下に、第2実施形態の4つの実施例について順に説明する。
【0055】
(実施例8)
実施例8では、円管体20はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が60mm、内径が56mm、全長が1000mmに形成されている。円管体20の両端部には栓24がされており、栓24は外径が60mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓24も含めた長さである。
【0056】
また、実施例8では、第1の液体21として精製水、第2の液体22としてベビーオイル、気体23として空気が用いられている。オイル22は透明であり、その量は500mlである。また、精製水21の量はオイル22の量よりも多い。
【0057】
図8(a)に示すように、円管体20が直立して静止している状態では、精製水21が第1の液層を形成し、オイル22が第1の液層の上方に第2の液層を形成し、空気23が第2の液層の上方に気層を形成している。つまり、精製水21とオイル22とは2層に分離した状態となっている。第1の液層は第2の液層よりも厚い。
【0058】
一方、図8(b)に示すように、円管体20が軸方向に反転したときには、オイル22と空気23とが精製水21中を上昇するが、空気23はオイル22よりも密度が小さいためにオイル22よりも上昇速度が速く、オイル22中を上昇した後に精製水21中を上昇する。ここで、空気23はオイル22中を上昇するときにオイル22を大小のかたまりに分断する。オイル22は空気23の上昇の影響を受けて分離したりくっついたりしながら精製水21中を上昇する。
【0059】
この実施例8の装飾体2によれば、通常の態様として静止状態で装飾体2を所望の場所に展示しながら、装飾体2を反転させることで円管体20の内部でオイル22や空気23に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【0060】
(実施例9)
実施例9では、円管体20はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が30mm、内径が26mm、全長が1000mmに形成されている。円管体20の両端部には栓24がされており、栓24は外径が30mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓24も含めた長さである。
【0061】
また、実施例9では、実施例8と同様に、第1の液体21として精製水、第2の液体22としてベビーオイル、気体23として空気が用いられている。オイル22は透明である。また、精製水21の量はオイル22の量よりも多い。
【0062】
図9(a)に示すように、円管体20が直立して静止している状態では、精製水21が第1の液層を形成し、オイル22が第1の液層の上方に第2の液層を形成し、空気23が第2の液層の上方に気層を形成している。つまり、精製水21とオイル22とは2層に分離した状態となっている。第1の液層は第2の液層よりも厚い。
【0063】
一方、図9(b)に示すように、円管体20が軸方向に反転したときには、オイル22と空気23とが精製水21中を上昇するが、空気23はオイル22よりも上昇速度が速く、オイル22中を上昇した後に精製水21中を上昇する。ここで、空気23はオイル22中を上昇するときにオイル22を大小のかたまりに分断する。オイル22は空気23の上昇の影響を受けて分離したりくっついたりしながら精製水21中を上昇する。この作用も、実施例8と同様である。
【0064】
したがって、実施例9の装飾体2によれば、通常の態様として静止状態で装飾体2を所望の場所に展示しながら、装飾体2を反転させることで円管体20の内部でオイル22や空気23に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【0065】
(実施例10)
実施例10では、円管体20はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が30mm、内径が26mm、全長が1000mmに形成されている。円管体20の両端部には栓24がされており、栓24は外径が30mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓24も含めた長さである。
【0066】
また、実施例10では、実施例8および実施例9と同様に、第1の液体21として精製水、第2の液体22としてベビーオイル、気体23として空気が用いられている。オイル22は透明である。ただし、実施例10では、実施例8および実施例9と異なり、精製水21の量はオイル22の量よりも少ない。
【0067】
図10(a)に示すように、円管体20が直立して静止している状態では、精製水21が第1の液層を形成し、オイル22が第1の液層の上方に第2の液層を形成し、空気23が第2の液層の上方に気層を形成している。つまり、精製水21とオイル22とは2層に分離した状態となっている。第1の液層は第2の液層よりも薄い。
【0068】
一方、図10(b)に示すように、円管体20が軸方向に反転したときには、オイル22と空気23とが精製水21中を上昇する。空気23はオイル22よりも上昇速度が速く、オイル22中をひとかたまりになって上昇した後に精製水21中を上昇し、円管体20の上部に溜まる。また、オイル22は精製水21中を上昇するが、オイル22の量は精製水21よりもはるかに多いので、精製水21がオイル22中を下降しているように見える。つまり、実施例8および実施例9と同様の作用でありながら、逆の見え方をする。
【0069】
したがって、実施例10の装飾体2によれば、通常の態様として静止状態で装飾体2を所望の場所に展示しながら、装飾体2を反転させることで円管体20の内部でオイル22や空気23に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【0070】
(実施例11)
実施例11では、円管体20はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が15mm、内径が11mm、全長が1000mmに形成されている。円管体20の両端部には栓24がされており、栓24は外径が15mm、厚みが3mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓24も含めた長さである。
【0071】
また、実施例11では、第1の液体21として洗剤水溶液、第2の液体22としてベビーオイル、気体23として空気が用いられている。洗剤水溶液21の量はオイル22の量よりも多い。また、オイル22は透明である。
【0072】
図11(a)に示すように、円管体20が直立して静止している状態では、洗剤水溶液21が第1の液層を形成し、オイル22が第1の液層の上方に第2の液層を形成し、空気23が第2の液層の上方に気層を形成している。つまり、オイル21と精製水22とは2層に分離した状態となっている。
【0073】
一方、図11(b)に示すように、円管体20が軸方向に反転したときには、オイル22が空気23の上昇の影響を受けて洗剤水溶液21中を蛇行しながら上昇する。
【0074】
したがって、実施例11の装飾体2によれば、通常の態様として静止状態で装飾体2を所望の場所に展示しながら、装飾体2を反転させることで円管体20の内部でオイル22に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。
【0075】
<第3実施形態>
次に、図12および図13を用いて本発明の第3実施形態に係る装飾体3について説明する。第3実施形態に係る装飾体3は、透過性を有する円管体30の内部に液体31と気体32とが封入され、円管体30が軸方向に反転したとき、液体31および気体32の各物質が液体31の粘度に基づいて円管体30の内部で所定の挙動を示すように構成されたものである。なお、液体31および気体32の各物質の状態は、常温常圧での状態である。以下に、第3実施形態の実施例を説明する。
【0076】
(実施例12)
実施例13では、円管体30はアクリル製であって、図13に示すように、その外径が30mm、内径が26mm、全長が1000mmに形成されている。円管体30の両端部には栓34がされており、栓34は外径が30mm、厚みが4mmに形成されている。前記の全長の1000mmは栓34も含めた長さである。
【0077】
また、実施例12では、液体31として液状の洗濯のり、気体32として空気が用いられている。円管体30の内部を占める洗濯のり31の体積は、空気32の体積よりもかなり大きい。
【0078】
図12(a)に示すように、円管体30が直立して静止している状態では、洗濯のり31が液層を形成し、空気32が液層の上方に気層を形成している。
【0079】
一方、図12(b)に示すように、円管体30が軸方向に反転したときには、空気32が洗濯のり31中をひとかたまりの泡となってゆっくりと上昇する。空気32の上昇速度は、洗濯のり31の粘度に左右される。
【0080】
この実施例12の装飾体3によれば、通常の態様として静止状態で装飾体3を所望の場所に展示しながら、装飾体3を反転させることで円管体30の内部で空気32に所定の挙動を生じさせ、装飾性をより高めることができるとともに、玩具としても楽しんで使用することができる。また、洗濯のり31の粘度を調整することで、空気32の泡の上昇速度を調整することができる。
【0081】
<その他>
以上、本発明の装飾体の各実施形態について説明したが、本発明の装飾体は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0082】
例えば、上述の各実施形態では、円管体10,20,30は、「外径が60mm、内径が56mm、全長が1000mm」あるいは「外径が30mm、内径が26mm、全長が1000mm」あるいは「外径が15mm、内径が11mm、全長が1000mm」のいずれかのサイズに設定されているが、円管体10,20,30のサイズはこれに限定されない。ただし、第1実施形態では、液体11中に渦が生じるレイノルズ数となるようにサイズを設定する必要がある。
【0083】
また、例えば上述の各実施形態では、円管体10,20,30はアクリル製としたが、透明乃至は半透明となる材料で製造されていればよく、例えばガラス製であってもよい。
【0084】
また、例えば上述の各実施形態では、気体12,23,32として空気を用いたが、他の種類の気体(例えば、酸素ガスや窒素ガスや水素ガスやヘリウムガス)であってもよい。
【0085】
また、例えば上述の各実施形態では、液体11,21,22,31は基本的に無色であるが、適宜に着色すると装飾性がより向上して好ましい。同様に、他の固体(例えば消臭ビーズやアクリル球)13についても着色すると好ましい。
【0086】
また、例えば上述の第1実施形態の実施例1〜3では、液体11として洗剤水溶液を用い、固体13としてステンレス球を用いたが、他の種類のものであってもよい。ただし、液体11は泡を発生させやすくするために界面活性剤の入っているものが好ましい。また、固体13は液体11よりも比重の大きいものである必要がある。
【0087】
すなわち、本発明の装飾体は、透過性を有する円管体の内部に複数種類の物質が封入され、円管体が軸方向に反転したとき、上記の物質が予め設定されたそれぞれの性質(種類、密度、粘度、量など)や円管体のサイズに基づいて前記円管体の内部で所定の挙動を示す装飾体であって、封入する物質の種類・個数・性質や円管体のサイズは適宜に設定することができるものである。ただし、本発明の装飾体は、上昇する気体と下降する液体または固体の衝突によって生み出される挙動に特徴がある。また、本発明は、円管体の内部に液体と気体とを少なくとも封入し、静止時に円管体上部に空間が形成された状態とし、この空間の存在で円管体が反転したときに液体に流れ(液流)を生じさせ、当該液流によって生み出される挙動にも特徴がある。
【0088】
また、本発明の装飾体は、図14および図15に示すように展示されると、装飾性がより向上して好ましい。図14に示す例では、さらに支持台41と照明装置42とを備えている。支持台41は、直列に並んだ複数個の円管体10,20,30(装飾体1〜3)を直立状態で支持している。また、照明装置42は支持台41の内部に設置されて円管体10,20,30を下方から照明するように構成されている。
【0089】
このように複数個の円管体10,20,30を直列に並んだ状態で下方から照明すれば、円管体10,20,30を反転させたときの各物質の挙動がより際立ち、装飾性を高めることができる。また、照明装置42の照明光の色を装飾体1〜3の色(特に、各物質の色)に合わせて設定すると、より装飾性を高めることができて好ましい。
【0090】
なお、支持台41は一つの円管体10,20,30を直立状態で支持するようにしてもよい。また、図15に示すように、一つの円管体10,20,30を水平に寝かした状態で支持するようにしてもよい。また、特に図示しないが、照明装置42は支持台41の外部に設置されて、円管体10,20,30の下方以外の方向から円管体10,20,30を照明するように構成してもよい。また、円管体10,20,30を自動的に反転させる反転装置を備えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の装飾体は、室内あるいは室外用のオブジェや玩具として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1、2、3 装飾体
10、20,30 円管体
11 液体(洗剤水溶液、精製水、洗濯のり)
12 気体(空気)
13 固体(ステンレス球、ビーズ、アクリル球、鉛球)
14、24、34 蓋
21 第1の液体(精製水)
22 第2の液体(ベビーオイル)
23 気体(空気)
31 液体(洗濯のり)
32 気体(空気)
41 支持台
42 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性を有する円管体の内部に複数種類の物質が封入され、前記円管体が軸方向に反転したとき、前記物質が予め設定されたそれぞれの性質と前記円管体のサイズとに基づいて前記円管体の内部で所定の挙動を示す装飾体であって、
前記複数種類の物質は、液体と気体と球状の固体とで構成され、
前記円管体の静止時には、
前記液体は液層を形成し、
前記気体は前記液層の上方に気層を形成し、
前記固体は前記液体中に沈んで前記液層の底に位置し、
前記円管体が軸方向に反転したときには、
前記液体、前記気体および前記固体が重力と所定の値に設定されたレイノルズ数とに基づいて所定の挙動を示す
ことを特徴とする、装飾体。
【請求項2】
前記液体は洗剤水溶液であり、
前記気体は空気であり、
前記固体はステンレス製の球体であり、
前記円管体が軸方向に反転したとき、前記固体が重力と所定の値に設定されたレイノルズ数とに基づいて前記液体中を回転しながら下降するとともに、前記液体中に渦が発生する
ことを特徴とする、請求項1に記載の装飾体。
【請求項3】
透過性を有する円管体の内部に複数種類の物質が封入され、前記円管体が軸方向に反転したとき、前記物質が予め設定されたそれぞれの性質と前記円管体のサイズとに基づいて前記円管体の内部で所定の挙動を示す装飾体であって、
前記複数種類の物質は、第1の液体と、前記第1の液体とは異なる第2の液体と、気体とで構成され、
前記円管体の静止時には、
前記第1の液体は第1の液層を形成し、
前記第2の液体は前記第1の液層の上方に第2の液層を形成し、
前記気体は前記第2の液層の上方に気層を形成し、
前記円管体が軸方向に反転したときには、
前記第1の液体、前記第2の液体および前記気体が所定の値に設定されたそれぞれの密度および量に基づいて所定の挙動を示す
ことを特徴とする、装飾体。
【請求項4】
前記第1の液体は水であり、
前記第2の液体は油であり、
前記気体は空気であり、
前記円管体が軸方向に反転したとき、前記第2の液体が前記第1の液体中で分離したりくっついたりしながら上昇する
ことを特徴とする、請求項3に記載の装飾体。
【請求項5】
透過性を有する円管体の内部に複数種類の物質が封入され、前記円管体が軸方向に反転したとき、前記物質が予め設定されたそれぞれの性質と前記円管体のサイズとに基づいて前記円管体の内部で所定の挙動を示す装飾体であって、
前記複数種類の物質は、液体と気体とで構成され、
前記円管体の静止時には、
前記液体は液層を形成し、
前記気体は前記液層の上方に気層を形成し、
前記円管体が軸方向に反転したときには、
前記気体が所定の値に設定された前記液体の粘度に基づいて所定の速度で上昇する
ことを特徴とする、装飾体。
【請求項6】
前記液体は液状の洗濯のりであり、
前記気体は空気であり、
前記円管体が軸方向に反転したとき、前記気体が前記液体中でひとかたまりの泡になって上昇する
ことを特徴とする、請求項5に記載の装飾体。
【請求項7】
前記円管体を支持する支持台と、
前記円管体を前記円管体の外部から照明する照明装置と、をさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の装飾体。
【請求項8】
前記照明装置は前記支持台の内部に設置され、前記円管体を下方から照明する
ことを特徴とする、請求項7に記載の装飾体。
【請求項9】
前記円管体は、直立状態で前記支持台に支持されている
ことを特徴とする、請求項8に記載の装飾体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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