説明

装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法および合成樹脂成形品の製造方法

【課題】固体片の突起をなくしつつ、工程数が少なく効率的であり、さらに位置精度を高く配置した固体片を有する合成樹脂シートおよびかかる合成樹脂シートが一体化された合成樹脂成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】合成樹脂シートの製造方法は、装飾固体片14をフィルム18の片面に配置する工程S10と、装飾固体片14を型22に接しない側にしてフィルム18を型22に位置決めする工程S12と、型22に位置決めされたフィルム18に、合成樹脂シート12を重ねる工程S16と、フィルム18と合成樹脂シート12とを型22上にて押圧して、装飾固体片14を合成樹脂シート12に埋め込む工程S18と、フィルム18を合成樹脂シート12から剥がす工程S20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法および合成樹脂成形品の製造方法に関する。特に、工程数が少なく容易な装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法および装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートが一体化された合成樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車や家電製品の計器等の表示板において、表示する文字や記号を目立たせる観点から、あるいは、意匠的観点から、表示する文字や記号に金属光沢を持たせることが行われている。そのために、表示する文字や記号の形状に加工した固体片に金属めっきを施し、あるいは、電鋳により形成した固体片を手作業で貼り付けるのが一般的である。
【0003】
貼り付けられた固定片は表示板上で突起し、そのために剥がれやすく、また、固体片の尖ったエッジに触れることにより怪我を生ずる恐れもあった。そこで、固体片の突起をなくすために、表示板に固体片の形状に対応する凹部を形成することも行われるが、凹部の形成には手間が掛かり効率的ではない。
【0004】
そこで、固体片を貼り付けた表示板を透明なトップコートで覆い、固体片のために突出するトップコートをレーザ光線により削除する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−261982号公報(図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の方法ではレーザ光線によるトップコートの削除という工程が加わり、効率的な方法とはいえない。また、固定片の貼り付け作業は手作業で行われ、効率が悪く、かつ、貼り付ける位置が微妙にずれてしまうことが多い。
【0007】
そこで本発明は、固体片の突起をなくしつつ、工程数が少なく効率的であり、さらに位置精度を高く配置した固体片を有する合成樹脂シートおよびかかる合成樹脂シートが一体化された合成樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法は、たとえば図1および図2に示すように、装飾固体片14をフィルム18の片面に配置する工程S10と、装飾固体片14を型22に接しない側にしてフィルム18を型22に位置決めする工程S12と、型22に位置決めされたフィルム18に、合成樹脂シート12を重ねる工程S16と、フィルム18と合成樹脂シート12とを型22上にて押圧して、装飾固体片14を合成樹脂シート12に埋め込む工程S18と、フィルム18を合成樹脂シート12から剥がす工程S20とを備える。
【0009】
このように構成すると、装飾固体片を配置したフィルムを型上で位置決めし、合成樹脂シートを重ねて押圧して装飾固体片を合成樹脂シートに埋め込むことにより、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートを製造するので、装飾固体片の突起がなく、工程数が少なく効率的であり、さらに装飾固体片の位置精度を高く配置することができる。
【0010】
また、第2の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法は、第1の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法において、たとえば図1に示すように、装飾固体片14のフィルム18に接するのと反対側に、ホットメルト層16が形成される。
このように構成すると、装飾固体片のフィルムに接するのと反対側に、すなわち合成樹脂シートが重ねられる側に、ホットメルト層が形成されるので、装飾固体片が合成樹脂シートに埋め込まれたときに、装飾固体片と合成樹脂シートとの固結が強固になる。
【0011】
また、第3の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法は、第1または第2の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法において、たとえば図1に示すように、フィルム18を型22に位置決めする工程S12において、ガイドピン24にてフィルム18が型22とずれないようにする。
このように構成すると、ガイドピンにてフィルムが型とずれないようにするので、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートにおける装飾固体片の位置精度が高くなる。
【0012】
また、第4の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法は、第1ないし第3のいずれかの発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法において、装飾固体片14が電鋳品である。
このように構成すると、装飾固体片が電鋳品であるので、容易に製造できる意匠的に優れた装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートとなる。
【0013】
また、第5の発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法は、第1ないし第4のいずれかの発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法において、たとえば図1および図2に示すように、合成樹脂シート12をフィルム18に重ねる前に、合成樹脂シート12の少なくとも1面にインク膜層20を形成する工程S14をさらに備える。
このように構成すると、合成樹脂シートの少なくとも1面にインク膜層を形成する工程をさらに備えるので、合成樹脂シートに印刷が施された、意匠的に優れた装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートとなる。
【0014】
前記目的を達成するために、第6の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、たとえば図3および図4に示すように、装飾固体片14をフィルム18の片面に配置する工程S30と、装飾固体片14を金型36に接しない側にしてフィルム18を金型36内に位置決めする工程S32と、合成樹脂シート12の少なくとも1面にインク膜層20を形成する工程S34と、金型36内に位置決めされたフィルム18に、インク膜層20が形成された合成樹脂シート12を重ねる工程S38と、合成樹脂シート12と金型36によって画定される空間38に溶融合成樹脂を射出し、装飾固体片14を合成樹脂シート12に埋め込むとともに、合成樹脂シート12と一体化した合成樹脂成形品30を成形する工程S40と、フィルム18を合成樹脂シート12から剥がす工程S44とを備える。
【0015】
このように構成すると、装飾固体片を配置したフィルムを金型内で位置決めして、合成樹脂シートを重ねて、金型内に溶融合成樹脂を射出して、装飾固体片を合成樹脂シートに埋め込むとともに、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を製造するので、装飾固体片の突起がなく、工程数が少なく効率的であり、さらに装飾固体片の位置精度を高く配置することができる。
【0016】
また、第7の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、第6の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法において、たとえば図1に示すように、装飾固体片14のフィルム18に接するのと反対側に、ホットメルト層16が形成される。
このように構成すると、装飾固体片のフィルムに接するのと反対側に、すなわち合成樹脂シートが重ねられる側に、ホットメルト層が形成されるので、装飾固体片が合成樹脂シートに埋め込まれたときに、装飾固体片と合成樹脂シートとの固結が強固になる。
【0017】
また、第8の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、第6または第7の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法において、たとえば図3に示すように、フィルム18を金型36内に位置決めする工程S32において、ガイドピン24にてフィルム18が金型36とずれないようにする。
このように構成すると、ガイドピンにてフィルムが金型とずれないようにするので、合成樹脂成形品における装飾固体片の位置精度が高くなる。
【0018】
また、第9の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、第6ないし第8のいずれかの発明に係る合成樹脂成形品の製造方法において、装飾固体片14が電鋳品である。
このように構成すると、装飾固体片が電鋳品であるので、容易に製造できる意匠的に優れた合成樹脂成形品となる。
【0019】
また、第10の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、第6ないし第9のいずれかの発明に係る合成樹脂成形品の製造方法において、たとえば図1および図6に示すように、フィルム14に重ねられる合成樹脂シート12において、装飾固体片14に重ねられる部分の輪郭部分には、インク膜層20が形成されないか、透明なインク膜層26が形成されるかのいずれかである。
このように構成すると、装飾固体片の輪郭部分にはインク膜層が形成されないか、透明なインク膜層が形成されるかのいずれかであるので、バックライティング(裏側から光を当て、前面から文字や模様を明るく見えやすくすること)において装飾固体片の周囲から光が透過し、意匠的に優れた合成樹脂成形品となる。
【0020】
また、第11の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、第6ないし第10のいずれかの発明に係る合成樹脂成形品の製造方法において、たとえば図3ないし図5に示すように、金型36内に位置決めされたフィルム18にインク膜層20が形成された合成樹脂シート12を重ねる工程S38の前に、合成樹脂シート12のいずれかの面の所定領域に剥離インク42を印刷する工程S36を備え、合成樹脂シート12と一体化した合成樹脂成形品30を成形する工程40の後に、合成樹脂成形品30の外表面上に印刷層40を液圧転写する工程S46と、印刷層40が液圧転写された合成樹脂成形品30を液体洗浄して、剥離インク42が印刷された領域の印刷層40を溶融除去する工程S48とを備える。
このように構成すると、所定領域に剥離インクを印刷する工程と、印刷層を液圧転写する工程と、合成樹脂成形品を液体洗浄して剥離インクが印刷された領域の印刷層を溶融除去する工程とを備えるので、所定の領域に印刷層が液圧転写され、意匠的に優れた合成樹脂成形品の製造方法となる。
【0021】
また、第12の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法は、第11の発明に係る合成樹脂成形品の製造方法において、たとえば図4または図5に示すように、剥離インク42が印刷された領域の印刷層40を溶融除去する工程S48の後に、合成樹脂成形品30の印刷層40が液圧転写された面にクリヤー層44を塗布する工程S50を備える。
このように構成すると、印刷層が液圧転写された面にクリヤー層を塗布する工程を備えるので、液圧転写された印刷層が損傷を受けにくい合成樹脂成形品の製造方法となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装飾固体片をフィルムの片面に配置する工程と、装飾固体片を型に接しない側にしてフィルムを型に位置決めする工程と、型に位置決めされたフィルムに合成樹脂シートを重ねる工程と、フィルムと合成樹脂シートとを型上にて押圧して装飾固体片を合成樹脂シートに埋め込む工程と、フィルムを合成樹脂シートから剥がす工程とを備えるので、装飾固体片の突起がなく、工程数が少なく効率的であり、さらに装飾固体片の位置精度を高く配置することができる装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法を提供することができる。
【0023】
また、本発明によれば、装飾固体片をフィルムの片面に配置する工程と、装飾固体片を金型に接しない側にしてフィルムを金型内に位置決めする工程と、合成樹脂シートの少なくとも1面にインク膜層を形成する工程と、金型内に位置決めされたフィルムにインク膜層が形成された合成樹脂シートを重ねる工程と、合成樹脂シートと金型によって画定される空間に溶融合成樹脂を射出し装飾固体片を合成樹脂シートに埋め込むとともに合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形する工程と、フィルムを合成樹脂シートから剥がす工程とを備えるので、装飾固体片の突起がなく、工程数が少なく効率的であり、さらに装飾固体片の位置精度を高く配置することができる合成樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートを製造する様子を模式的に説明する断面図である。(a)は、装飾固体片が配置されたフィルムを型に位置決めし、合成樹脂シートを重ねる様子を示し、(b)は、ホットメルト層が形成された装飾固体片を示し、(c)は、装飾固体片が埋め込まれ、フィルムが剥がされた合成樹脂シート、すなわち、完成した装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートを示す。
【図2】図2は、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造手順を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、装飾固体片を埋め込んだ合成樹脂シートが一体化された合成樹脂成形品を製造する様子を模式的に説明する図である。(a)は、装飾固体片を配置したフィルムを金型内に位置決めし、フィルムに合成樹脂シートを重ねて、溶融合成樹脂が射出される空間が画定された様子を示す断面図で、(b)は、溶融合成樹脂を射出し、装飾固体片を合成樹脂シートに埋め込むとともに、合成樹脂シートが一体化された合成樹脂成形品を成形し、フィルムを剥がした合成樹脂成形品、すなわち完成した合成樹脂成形品を示す断面図で、(c)は、(b)の合成樹脂成形品の正面図である。
【図4】図4は、装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートが一体化された合成樹脂成形品の製造手順を説明するフローチャートである。
【図5】図5は、合成樹脂成形品に液圧転写にて所望の領域に印刷層を形成する様子を模式的に説明する図である。(a)は、合成樹脂シートの所定領域に剥離インクが印刷され、さらに印刷層が液圧転写された合成樹脂成形品の断面図で、(b)は、剥離インクが印刷された領域の印刷層を溶融除去し、所望の領域に印刷層を残し、さらにクリヤー層を塗布した合成樹脂成形品の断面図で、(c)は、(b)の合成樹脂成形品の正面図である。
【図6】図6は、装飾固体片の輪郭部分に透過輪郭部を形成した合成樹脂成形品を模式的に説明する図で、(a)は断面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0026】
図1および図2を参照して、本発明に係る装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法について説明する。図1は、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10を製造する様子を模式的に説明する断面図であり、図2は、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10の製造手順を説明するフローチャートである。ここで、装飾固体片14とは、自動車や家電製品の計器等の表示板において、表示する文字や記号を目立たせる観点から、あるいは、意匠的観点から、表示板とは別体として形成された文字や記号用の小片のことであり、一般的に薄板で形成され、表示板等に貼付される。たとえば、メーカーの商標やロゴを表示したり、目盛の数値を表示したり、時計の目盛などの記号や文字を含む。
【0027】
装飾固体片14としては、意匠的に金属色を持たせることが多い。そのために、金属の固まりから切り出しあるいはプレスにより製造した金属片あるいはプラスチック片に金属めっきを施したと固体片としてもよいが、電気鋳造による電鋳品とするのが、精度が高く、容易に表面意匠の優れた装飾固体片14を得られるので好適である。
【0028】
図2のフローチャートに示すように、先ず、形成した装飾固体片14をセパレートフィルム18の所定の位置に配置する(S10)。ここで、所定の位置とは、合成樹脂シート10において装飾固体片14が配置される位置である。セパレートフィルム(単に「フィルム」ともいう)18は、合成樹脂シート12と押圧された後に、合成樹脂シート12から容易に剥がせるフィルムでなければならず、たとえば、PETフィルムなどが好適に用いられる。フィルム18上の所定の位置に装飾固体片14を、表示される側をフィルム18に接して固定する。ここでの固定は、一時的なものであり、フィルム18を合成樹脂シート12から剥がすときに、一緒に剥がれるような固定であり、たとえば、感圧接着剤やエマルジョン接着剤などが用いられる。装飾固体片14をフィルム18に配置するので、容易に位置精度を高く配置することができる。
【0029】
装飾固体片14が配置されたフィルム18を型22の上で位置決めする(S12)。位置決めするとは、装飾固体片14が所定の位置となるように、フィルム18の型22上の位置を決めることである。ここで、型22は、後述する合成樹脂シート12と押圧する際に、圧力を受けるための受台である。たとえば、プレス加工の型などが一例である。
【0030】
型22上でのフィルム18の位置を決めて、合成樹脂シート12と押圧されるときに位置がずれないように、ガイドピン24でフィルム18を型22に固定するのが好ましい。ガイドピン24は、フィルム18を貫通して型22に固定されるピンでよく、あるいは、その他のフィルム18を型22に固定する機構であればよい。このようにガイドピン24でフィルム18の位置を型22に固定し、フィルム18のずれを防止するので、位置精度が高く維持される。
【0031】
装飾固体片14が配置されたフィルム18を型22の上で位置決めしたら、合成樹脂シート12をフィルム18の上に重ねる(S16)。合成樹脂シート12は、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PC/PETブレンド、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のシートが好ましいが、これらには限定されない。合成樹脂シート12は、少なくとも装飾固体片14の厚みより厚いシートとする。合成樹脂シート12が装飾固体片14より薄いと、装飾固体片14を合成樹脂シート12に埋め込んだときに、当該部分の合成樹脂シート12が破れたり、合成樹脂シート12が伸びて薄くなり強度が著しく低下するからである。また、合成樹脂シート12の厚さは、0.2mm〜2.0mmの範囲であることが好ましい。合成樹脂シート12の厚さが0.2mmより薄いと、型22上で位置決めするときに腰が弱く、ずれてしまうことがある。また、フィルム18と押圧されるときの温度及び圧力によっては部分的に溶融若しくは破断することがあり、その形状を保てなくなることもある。合成樹脂シート12の厚さが2.0mmより厚いと、合成樹脂シート12が型22の形状に沿えず、所望の形状が得られないことがある。
【0032】
合成樹脂シート12には、フィルム18の上に重ねる前に、予め、少なくとも片面にインク膜層20を形成するのが好ましい(S14)。なお、図1(図3、図5、図6も同様)において、インク膜層20を破線にて表示しているが、インク膜層20は連続した面を有している。透明の合成樹脂シート12の場合には、装飾固体片14が埋め込まれるのと反対側にインク膜層20を形成することにより、地の色や模様を施すことができ、また、装飾固体片14の埋め込みによるインク膜層20の変形や損傷を防止でき、意匠的に優れた合成樹脂シートとなる。あるいは、反射性の優れたインク膜層20を形成し、ミラー印刷としてもよい。装飾固体片14が埋め込まれる面にインク膜層20を形成してもよく、特に合成樹脂シート12が不透明の場合には、装飾固体片14が埋め込まれる面にインク膜層20を形成する。なお、図2では、装飾固体片14が配置されたフィルム18を型22の上で位置決めする工程(S12)の後に、合成樹脂シート12の少なくとも片面にインク膜層20を形成する工程(S14)を行うように記載しているが、インク膜層20を形成する工程(S14)はフィルム18の上に重ねる工程(S16)の前であれば、いつでもよい。インク膜層20は、4μm以上の厚さを有することが好ましい。ここで、インク層膜20の厚さは乾燥後の厚さである。インク層膜20が4μmより薄いとピンホールが発生しやすい。また、さらに好ましくは、二層の重ね印刷により8μm以上の厚さとする。二層の重ね印刷とすることにより、インク層膜20の面積が広くなってもピンホールの発現頻度を低く抑えることが出来る。インク層膜20の形成は、周知の印刷法を用いることが出来るが、4μm以上のインク層膜20を形成するにはスクリーン印刷が好ましい。
【0033】
図1(a)は、装飾固体片14が配置されたフィルム18を型に位置決めし、合成樹脂シート12を重ねる様子を示す。装飾固体片14が配置されたフィルム18は、装飾固体片14が型22に接しない側になるように(接触固体片14を上にして)、型22上に載置される。接触固体片14の位置を所定の位置とした上で、あるいは、そうなるように、ガイドピン24で位置を固定する。そして、合成樹脂シート12を接触固体片14に接するように、フィルム18に重ねる。
【0034】
合成樹脂シート12をフィルム18に重ねたら、合成樹脂シート12とフィルム18とを押圧する(S18)。合成樹脂シート12とフィルム18とを押圧することにより、装飾固体片14は合成樹脂シート12に押し込まれ、埋め込まれる。典型的には、合成樹脂シート12の側から、型(不図示)でプレスする。そのときに、合成樹脂シート12を軟化点以上に加温して、装飾固体片14が合成樹脂シート12に入りやすくするのがよい。押圧は、ローラ(不図示)で合成樹脂シート12を型22方向に押し付けてもよく、流体圧で加圧しても、その他の方法でもよい。押圧することで装飾固体片14が合成樹脂シート12に埋め込まれるので、複数の装飾固体片14に対しても1回の押圧でよく、工程が少なく、効率的である。
【0035】
図1(b)は、ホットメルト層16が形成された装飾固体片14を示す。装飾固体片14にホットメルト層16を形成すると、装飾固体片14を合成樹脂シート12に埋め込むときにホットメルト層16が融解し、合成樹脂シート12と装飾固体片14との接触面に広がる。そのために、合成樹脂シート12と装飾固体片14との結合が強固になるので好ましい。ホットメルト層としては、合成樹脂シート12よりも融点の低い熱可塑性材料などが用いられる。
【0036】
装飾固体片14が合成樹脂シート12に埋め込まれたら、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10を型22から外し、フィルム18を合成樹脂シート10から剥がす(S20)。なお、合成樹脂シート10を型22から外すときに同時に、フィルム18を剥がしてもよい。フィルム18を剥がすことにより、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10が製造される。すなわち、図1(c)の断面図に示すように、埋め込まれた装飾固体片14が合成樹脂シート10の表面に現れ、装飾固体片14が表示機能を果たす状態となる。装飾固体片14が現れた面を表として、合成樹脂シート10を計器その他の物品表面に貼ることにより、装飾固体片14の突起がなく、工程数が少なく効率的であり、さらに装飾固体片14の位置精度の高い外観を有する物品が得られる。
【0037】
次に、図3および図4を参照して、本発明に係る合成樹脂成形品の製造方法について説明する。図3は、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10が一体化された合成樹脂成形品30を製造する様子を模式的に説明する図である。図4は、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10が一体化された合成樹脂成形品30の製造手順を説明するフローチャートである。
【0038】
装飾固体片14をフィルム18の所定の位置に配置する工程(S30)、装飾固体片14が配置されたフィルム18を金型36内で位置決めする工程(S32)、合成樹脂シート12の少なくとも片面にインク膜層20を形成する工程(S34)および合成樹脂シート12をフィルム18の上に重ねる工程(S38)は、飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10の製造方法について説明した工程(S10、S12、S14、S16)と、基本的に同じであるので、重複した説明は省略する。ただし、合成樹脂成形品30の製造においては、これらの工程が、型22上ではなく金型36内で行われる点で異なる。すなわち、合成樹脂を射出成形するための金型36内に、装飾固体片14が配置されたフィルム18および合成樹脂シート12を配置する。そのためには、上金型36aを下金型36bから離間させた状態で、下金型36b上に装飾固体片14が配置されたフィルム18を位置決めし(S32)、合成樹脂シート12を重ねる(S38)。そして、図3(a)の装飾固体片14を配置したフィルム18を金型36内に位置決めし、フィルム18に合成樹脂シート12を重ねて、溶融合成樹脂が射出される空間38が画定された様子を示す断面図に示すように、上金型36aと下金型36bをマッチングさせ、溶融合成樹脂が射出される空間38を金型36内に形成する。なお、図3では、合成樹脂シート12が金型36内の空間38から外周方向にはみ出すように大きく示されているが、予め空間38の形状に合わせて切断してもよい。あるいは、金型36をマッチングしたときに金型36にて切断されるように金型36に切断機能を持たせてもよいし、後述の合成樹脂32を成形した後に金型36内であるいは金型36から取り出した後に余剰な合成樹脂シート12を切断してもよい。
【0039】
金型36内の空間38に溶融合成樹脂(不図示)を射出する(S40)。溶融合成樹脂は、合成樹脂シート12と融着する。すなわち、溶融合成樹脂と合成樹脂シート12とが一体化される。溶融合成樹脂と合成樹脂シート12とが一体化されるのに加え、合成樹脂シート12が、溶融合成樹脂の圧力により下金型36b側に押され、装飾固体片14が溶融合成樹脂の熱で軟化した合成樹脂シート12に入り込み、埋め込まれる。すなわち、いわゆるインモールド成形されると同時に、装飾固体片14が合成樹脂シート12に埋め込まれる。したがって、装飾固体片14を合成樹脂シート12に埋め込むための工程や装置を減らすと共に、エネルギも節約できる。溶融合成樹脂としては、ポリカーボネート、アクリル、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)など任意の樹脂でよい。
【0040】
金型36内に射出した溶融合成樹脂が金型36を通じて冷却され固化したならば、上金型36aと下金型36bとを分離し、固化した合成樹脂32と合成樹脂シート10とが一体化した合成樹脂成形品30を取り出す(S42)。合成樹脂成形品30を金型36から取り出したならば、フィルム18を合成樹脂成形品30から剥がす(S44)。なお、合成樹脂成形品30を金型36から取り出すときに同時に、フィルム18を剥がしてもよい。フィルム18を剥がすことにより、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10が一体となった合成樹脂成形品30が製造される。すなわち、図3(b)の断面図に示すように、埋め込まれた装飾固体片14が合成樹脂シート10の表面、すなわち、合成樹脂成形品30の表面に現れ、装飾固体片14が表示機能を果たす状態となる。よって、装飾固体片14の突起がなく、工程数が少なく効率的であり、さらに装飾固体片14の位置精度の高い外観を有する合成樹脂成形品30が得られる。
【0041】
図3(c)は、図3(b)に断面図を示す合成樹脂成形品30の正面図である。図3に示す合成樹脂成形品30は、丸い表示面に装飾固体片14が現れている(図3(c)参照)。その表示面の中央部分に相当する部分は、透光窓34として合成樹脂32がなく、合成樹脂シート10(12)だけの部分となっている。合成樹脂32が遮光性であり、合成樹脂シート10(12)が透光性を有する(すなわち、透明あるいは半透明である)とすれば、合成樹脂成形品30の裏側(図3(c)の正面の反対側)から光を当てられる、いわゆるバックライティングをすると、透光窓34に対応する部分は明るく見えて、意匠的に優れ、あるいは、目立った表示を行うことができる。特にインク膜層20の色や模様が透けて見えるので、意匠的に優れ、あるいは、目立った表示となる。
【0042】
続いて、図4および図5を参照して、液圧転写法により印刷層を転写することにより、合成樹脂成形品30の表面に意匠面を形成する方法について説明する。図4は、前述の通り、装飾固体片14が埋め込まれた合成樹脂シート10が一体化された合成樹脂成形品30の製造手順を説明するフローチャートであり、液圧転写により意匠面を形成する手順も含まれている。図5は、合成樹脂成形品30に液圧転写にて所望の領域に印刷層40を形成する様子を模式的に説明する図である。なお、図5では、印刷層40を破線で表しているが、印刷層40は連続した面である。
【0043】
一般に液圧転写により印刷層を転写する場合には、合成樹脂成形品30の表面の特定の一部にだけ印刷層40を転写するということは困難であり、また位置精度を高めることも難しい。そこで、かかる問題を解決するため、液圧転写により印刷層40を設けたくない領域に、剥離インク42を印刷する(S36)。剥離インク42は、印刷層40を設ける領域の周囲に、マスキングするように印刷する。すなわち、合成樹脂シート12にインク膜層20を形成する工程(S34)に続いて、合成樹脂シート12に剥離インク42を印刷する(S36)。合成樹脂シート12への印刷であるので、位置精度の高い印刷が可能である。剥離インク42は、液圧転写による印刷層40が合成樹脂成形品30(すなわち、合成樹脂シート12)の表面に付着するのを防止するものであり、ソルベルト系のシリコーンまたはソルベントレス系の紫外線硬化型シリコーン等を使用することができる。低コストで実現できる剥離インク42を印刷することにより、大きなコストや手間がかかるマスキング処理を行わなくとも、液圧転写による印刷層40を設けたくない領域に液圧転写による印刷層40が付着するのを防止することが可能となる。なお、インク膜層12が形成される面と印刷層40が液圧転写される面とが合成樹脂シート12にて異なる場合には、インク膜層20を形成する工程(S34)に先立って剥離インク42を印刷する工程(S36)を行ってもよい。
【0044】
合成樹脂成形品30を成形し、フィルム18を剥がした(S44)後に、印刷層40を液圧転写する(S46)。液圧転写とは、印刷しようとする図柄や模様が予め印刷された転写シートの図柄部分にシンナー等の溶剤を噴霧し、図柄を構成する塗料やインクを溶解状態にした後、転写シートを図柄が上を向くように液面上に浮かべ、被塗装部である合成樹脂成形品30の外表面(即ち、意匠面)を転写シートの図柄部分に押し当てながら、転写シートを液中に沈め、液体圧によって転写シートから図柄を被塗装部に転写するものである。なお、使用する液体として水を利用したものを水圧転写または水圧転写印刷と呼ぶ。なお、転写シートは剥離インク42が印刷された範囲内の大きさ(印刷する領域を含み、マスキングされた範囲内)とする。図5の合成樹脂成形品30では液圧転写をする面が平坦であるが、液圧転写であるので、平坦でなくても印刷ができる。
【0045】
液圧転写としては、液体として水を用いる水圧転写として行われることが多い。水圧転写用の転写シートは、水溶性あるいは水膨潤性のベースフィルムの上に転写インクによって印刷絵柄が印刷されているものをいい、ベースフィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールを主成分とし、これにポリアクリル酸アミドや、その他の水溶性高分子、澱粉、ゼラチン、ニカワ等を必要に応じて混合したものが使用される。
【0046】
図5(a)は、合成樹脂シート10の所定領域に剥離インク42が印刷され、さらに印刷層40が液圧転写された合成樹脂成形品30の断面図である。図5の合成樹脂成形品30の場合には、剥離インク42は、装飾固体片14と干渉しない範囲に印刷され、転写シート(不図示)は剥離インク42の領域より小さく、すなわち、装飾固体片14と干渉しない大きさである。このように、剥離インク42および転写シート(あるいは印刷層40)を装飾固体片14と干渉しないようにすることで、装飾固体片14の外観を損なうことなく、装飾固体片14が合成樹脂シート12に埋め込まれた面に、印刷層40を液圧転写することができる。
【0047】
液圧転写印刷法(あるいは水圧転写印刷法)によって、合成樹脂成形品30の外表面に図柄や模様の印刷層40を転写した後、液体洗浄(例えば水を使った洗浄)により、剥離インク42を印刷した領域の印刷層40を除去する(S48)。液体洗浄の工程(S48)においては、不要となった転写シートを除去すると共に、転写時に付着した水分や溶剤を除去する。更に、合成樹脂成形品30の表面に剥離インク42を印刷した領域においては、液圧転写によって形成された印刷層40が除去されると共に、表面に付着した剥離インク42も洗い流される。なお、液体洗浄が終了した後、表面に付着した余分な水分(洗浄液)が乾燥、除去される。
【0048】
液体洗浄の工程(S48)の後、合成樹脂成形品30の印刷面40上にクリヤー層44を塗布する(S50)。このクリヤー層44は、印刷層40を保護する(いわゆるトップコートとしての機能を持つ)と共に、印刷層40が形成されなかった領域を埋めることによって合成樹脂成形品30の表面を平滑に仕上げるものである。さらに、装飾固体片14の表面を保護することにもなる。クリヤー層44としては、例えば、二液性のウレタン塗料などを使用することができる。
【0049】
図5(b)は、印刷層40上にクリヤー層44が塗布された後の(即ち完成状態の)合成樹脂成形品30を模式的に表す断面図である。図5(c)は、図5(b)の合成樹脂成形品30の正面図である。合成樹脂成形品30では、表示面における外周寄りに複数の装飾固体片14がはめ込まれ、中央部分には透光窓34に対応したバックライティングされる領域があり、その中に液体転写による模様が印刷されている。よって、意匠的に優れた高級感のある表示となる。また、表示面に装飾固体片14による凹凸はなく、さらに、表示面全体がクリヤー層44で保護されているので、損傷も受けにくい。
【0050】
図6に示すように、合成樹脂成形品30において、固体装飾片14の周囲を透明に、すなわち透過輪郭部28を形成することもできる。図6(a)は、固体装飾片14の輪郭に対応する部分に透過輪郭部28を形成した合成樹脂成形品30の断面図で、(b)は(a)の正面図である。このような合成樹脂成形品30を製造するには、インク膜層20を合成樹脂シート12に形成する際に、固体装飾片と重ねられる部分およびその周囲に予め透明なインク膜層26を形成してから、透明なインク膜層26と透明なインク膜層26に囲まれる部分にはインク膜層20を形成しないようにする(図1、図2、図4参照)。このように固体装飾片14の輪郭部分を透明にすることにより、バックライティングしたときに、透過輪郭部28、すなわち固体装飾片14の周囲から光が透過し、固体装飾片14がより目立ち、意匠的にも優れた合成樹脂成形品30となる。なお、固体装飾片14の輪郭部分に対応する部分に透明なインク膜層26を形成せずに、当該部分にインク膜層20を形成しないようにするだけでも、透過輪郭部28が作成される。透明なインク膜26を形成すれば、透過輪郭部28と、インク膜層20が形成され光が遮断される部分との境界を、容易にはっきりとすることができる。透明なインク膜26を形成せずに、当該部分にインク膜層20を形成しないようにすれば、透明なインク膜層26の形成工程を省略でき、また、透明なインクが不要となる。
【符号の説明】
【0051】
10 装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シート
12 合成樹脂シート
14 装飾固体片
16 ホットメルト層
18 (セパレート)フィルム
20 インク膜層
22 型
24 ガイドピン
26 透過性インク膜層
28 透過輪郭部
30 合成樹脂成形品
32 合成樹脂
34 透光窓
36a,b(36) 金型
38 金型内の空間
40 印刷層
42 剥離インク
44 クリヤー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾固体片をフィルムの片面に配置する工程と;
前記装飾固体片を型に接しない側にして前記フィルムを型に位置決めする工程と;
前記型に位置決めされたフィルムに、合成樹脂シートを重ねる工程と;
前記フィルムと前記合成樹脂シートとを前記型上にて押圧して、前記装飾固体片を前記合成樹脂シートに埋め込む工程と;
前記フィルムを前記合成樹脂シートから剥がす工程とを備える:
装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法。
【請求項2】
前記装飾固体片の前記フィルムに接するのと反対側に、ホットメルト層が形成された;
請求項1の装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法。
【請求項3】
前記フィルムを前記型に位置決めする工程において、ガイドピンにて前記フィルムが前記型とずれないようにする;
請求項1または請求項2の装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法。
【請求項4】
前記装飾固体片が電鋳品である;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項の装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法。
【請求項5】
前記合成樹脂シートを前記フィルムに重ねる前に、前記合成樹脂シートの少なくとも1面にインク膜層を形成する工程をさらに備える;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項の装飾固体片が埋め込まれた合成樹脂シートの製造方法。
【請求項6】
装飾固体片をフィルムの片面に配置する工程と;
前記装飾固体片を金型に接しない側にして前記フィルムを金型内に位置決めする工程と;
合成樹脂シートの少なくとも1面にインク膜層を形成する工程と;
前記金型内に位置決めされたフィルムに、前記インク膜層が形成された合成樹脂シートを重ねる工程と;
前記合成樹脂シートと前記金型によって画定される空間に溶融合成樹脂を射出し、前記装飾固体片を前記合成樹脂シートに埋め込むとともに、合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形する工程と;
前記フィルムを前記合成樹脂シートから剥がす工程とを備える:
合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項7】
前記装飾固体片の前記フィルムに接するのと反対側に、ホットメルト層が形成された;
請求項6の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
前記フィルムを前記金型内に位置決めする工程において、ガイドピンにて前記フィルムが前記金型とずれないようにする;
請求項6または請求項7の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
前記装飾固体片が電鋳品である;
請求項6ないし請求項8のいずれか1項の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項10】
前記フィルムに重ねられる前記合成樹脂シートにおいて、前記装飾固体片に重ねられる部分の輪郭部分には、前記インク膜層が形成されないか、透明なインク膜層が形成されるかのいずれかである;
請求項6ないし請求項9のいずれか1項の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項11】
前記金型内に位置決めされたフィルムに、前記インク膜層が形成された合成樹脂シートを重ねる工程の前に、前記合成樹脂シートのいずれかの面の所定領域に剥離インクを印刷する工程を備え;
前記合成樹脂シートと一体化した合成樹脂成形品を成形する工程の後に、当該合成樹脂成形品の外表面上に印刷層を液圧転写する工程と、
前記印刷層が液圧転写された合成樹脂成形品を液体洗浄して、前記剥離インクが印刷された領域の印刷層を溶融除去する工程とを備える;
請求項6ないし請求項10のいずれか1項の合成樹脂成形品の製造方法。
【請求項12】
前記剥離インクが印刷された領域の印刷層を溶融除去する工程の後に、前記合成樹脂成形品の前記印刷層が液圧転写された面にクリヤー層を塗布する工程を備える;
請求項11の合成樹脂成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−281958(P2010−281958A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134116(P2009−134116)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(392010267)株式会社サカイヤ (24)
【出願人】(505156891)ナガシマ工芸株式会社 (9)