装飾部品取付部構造
【課題】モールの延在方向に隣接する部材をエンドキャップの組み付け強度を更に向上させて組み付けることができる装飾部品取付部構造を提供する。
【解決手段】車両に設けられるモール20の端部にエンドキャップ52を設け、エンドキャップ52のモール20の延在方向に隣接してヒンジカバー5を設け、エンドキャップ52は一端部にモール20に接続される取付部54を備え、他端部にモール20の延在方向に突出しヒンジカバー5に係合する係合部53を有している。
【解決手段】車両に設けられるモール20の端部にエンドキャップ52を設け、エンドキャップ52のモール20の延在方向に隣接してヒンジカバー5を設け、エンドキャップ52は一端部にモール20に接続される取付部54を備え、他端部にモール20の延在方向に突出しヒンジカバー5に係合する係合部53を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に用いられる装飾部品取付部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のリヤウインドウガラスの両側部を支持するリヤピラーにモールを設けたものがあり、このモールの後端部にはエンドキャップが取付られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−69053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エンドキャップに隣接して設けられる部材との組付けを考慮した場合に、エンドキャップの組み付け強度を更に向上させる必要がある。
【0004】
そこで、この発明は、モールの延在方向に隣接する部材をエンドキャップの組み付け強度を更に向上させて組み付けることができる装飾部品取付部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、車両に設けられるモール(例えば、実施形態におけるモール20)の端部にエンドキャップ(例えば、実施形態におけるエンドキャップ52)を設け、前記エンドキャップの前記モールの延在方向に隣接してカバー部材(例えば、実施形態におけるヒンジカバー5)を設け、前記エンドキャップは一端部に前記モールに接続される取付部(例えば、実施形態における取付部54)を備え、他端部に前記モールの延在方向に突出し前記カバー部材に係合する係合部(例えば、実施形態における係合部53)を有していることを特徴とする。
このように構成することで、エンドキャップにモールの延在方向に突出する係合部を設けたため、単純な形状でありながらカバー部材にモールの延在方向まわりの力が作用した場合にも、カバー部材を強固に固定することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記エンドキャップの係合部は、前記モールの延在方向に前記取付部から連続して形成される基部(例えば、実施形態における基部56)と、前記基部から離反する方向に突出する突出部(例えば、実施形態における突出部57)とを有する断面略T字状に形成され、前記突出部は前記カバー部材に係合していることを特徴とする。
このように構成することで、突出部にカバー部材を係合することにより、モールの延在方向まわりの力を確実に受け止めることができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記突出部は、前記モールの端部(例えば、実施形態における端面55)に当接することを特徴とする。
このように構成することで、エンドキャップの突出部をモールとの位置決め部としても作用させることができる。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記係合部の断面形状は、左右対称に形成されている。
このように構成することで、異なる位置に設けられたモールにおいてエンドキャップを共用化することができる。
【0009】
請求項5に記載した発明は、前記係合部に係合する前記カバー部材の被係合部(例えば、実施形態における凹部51)は、前記モールの延在方向と交差する方向に形成されている。
このように構成することで、モールの延在方向に突出する係合部と、モールの延在方向に交差する方向に形成される被係合部を係合することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、エンドキャップにモールの延在方向に突出する係合部を設けたため、単純な形状でありながらカバー部材にモールの延在方向まわりの力が作用した場合にも、カバー部材をモールに対して強固に固定することができるので、カバー部材の取付信頼性を確保できる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、突出部にカバー部材を係合することにより、モールの延在方向まわりの力を確実に受け止めることができる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、エンドキャップの突出部をモールとの位置決め部としても作用させることができるため、カバー部材に対する建て付け精度を確保できるという効果がある。
請求項4に記載した発明によれば、異なる位置に設けられたモールにおいてエンドキャップを共用化することができるため、部品点数を減少させることができる効果がある。
請求項5に記載した発明によれば、モールの延在方向に突出する係合部と、モールの延在方向に交差する方向に形成される被係合部を係合することにより、組み付け誤差が生じた場合であっても確実に係合状態を維持することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の図においてFRはフロント側、OUTは車幅方向外側を示す。
図1〜図3に示すように、フロントピラー1の前端部にはこれに整合するフロントフェンダ2の上部後端コーナー部3が接続されている。左右のフロントフェンダ2,2の上部後端部にはこれらに跨るように車幅方向に渡ってカウルトップガーニッシュ4の両側部が下側から取り付けられている。
フロントフェンダ2のカウルトップガーニッシュ4の取付部は上側から装飾部品である樹脂製のヒンジカバー5で覆われ、ヒンジカバー5には車体に固定された図示しないヒンジアーム等を前側に突出させるための凹欠部6が形成されている。
フロントフェンダ2の上部後端コーナー部3は車体の外板を構成する外側壁7と、この外側壁7上縁から内側に下がる内側壁8とで構成されている。上部後端コーナー部3の前側には内側壁8から水平に車体内側に延びる内フランジ部9が形成されている。フロントフェンダ2の下縁にはホイールアーチ部10が形成されている。
【0012】
図4に示すように、フロントピラー1は断面L字形状のピラーアウタパネル11を備えている。ピラーアウタパネル11の縦壁12には所定間隔をもってクリップベース13が接着固定されている。各クリップベース13には上下方向に溝14が形成され、この溝14の内部にクリップ15が取り付けられている。クリップ15はクリップベース13に差し込み固定される脚部16とこの脚部16の上部に設けたクリップ頭部17とで構成されている。クリップ頭部17は車幅方向内側に延出する係止縁18を備えていて、この係止縁18を外側から取り囲むようにして装飾部品であるモール20が装着されている。ここで、このモール20はフロントピラー1及び図示しないルーフサイド部に連なる部分に渡ってこれらに重なるように取付られている。
【0013】
モール20は略C字断面形状に形成され車幅方向の内側に向かって延びる扁平な形状の部材であって、内側には芯金21が設けられ内部にクリップ頭部17を弾性的に内装する空間部22が形成されている。芯金21は上側に湾曲した上壁23の内縁を中程まで下側に折り返した下延部24を備えている。芯金21の外側、つまり上壁23の上面と下延部24の下面にはこれを外側から覆う樹脂製の着色部25が一体的に被覆されている、着色部25の外側にはピラーアウタパネル11に密接するアウタリップ部26が形成され、着色部25の内側には斜め下側に延びるインナリップ部27が形成されている。芯金21の下延部24では着色部25が内側に向かい延出した後に下側のフロントウインドウガラス28の上面近傍に延びるドリップガイド29を形成し、ドリップガイド29の下端にはフロントウインドウガラス28に上面に密接するシールリップ部30が設けられている。
したがって、ピラーアウタパネル11の底壁31とカウルトップガーニッシュ4と図示しないルーフフロントレールとで囲まれる部分にフロントウインドウガラス28が取付られ、フロントウインドウガラス28とモール20との間にコの字状のドリップガイド部32が形成されている。尚、最もモール20の端部に近いクリップ15はモール20の前端部からやや後側に下がった位置に配置され、モール20の端部にエンドキャップ52の挿入代を確保している。
【0014】
図5は左側のヒンジカバー5を車両の左斜め前側から見た斜視図、図6は左側のヒンジカバー5を車両の左斜め後方から見た斜視図である。尚、右側のヒンジカバーも同様の構成であるので説明は省略する。
図5、図6に示すように、ヒンジカバー5は前半部33と後半部34とが図示しないヒンジアームを挿通する凹欠部6を境にして設けられている。凹欠部6の上縁には後方に向かってヒンジアームの逃げ用スリット35が形成されている。前半部33は底壁36に前壁37と側壁38が立ち上げ形成されている。ヒンジカバー5の前半部33の底壁36の内側縁はカウルトップガーニッシュ4の底面に接合されて、この底壁36がカウルトップガーニッシュ4の底面に連なっており、カウルトップガーニッシュ4の両側部で前壁37と側壁38により落ち葉等のエンジンルーム内への浸入を防止している。
【0015】
ヒンジカバー5の前半部33の前壁37及び側壁38の上縁には水平に延びるフランジ部39が形成され、側壁38のフランジ部39にはくびれ部40を介して外側に延びる前延出片41が形成されている。
ヒンジカバー5の後半部34は前半部33の底壁36から凹欠部6の高さ寸法分立ち上がる位置に上壁42が形成され、この上壁42がモール20の上壁上面に整合し、かつフロントウインドウガラス28のコーナー部分を取り囲むように内側に折れ曲がり、カウルトップガーニッシュ4の後部段差部43に整合してカウルトップガーニッシュ4に固定されている。この後半部34の側縁にも前半部33と同様にくびれ部40を介して外側に延びる後延出片44が形成されている。ヒンジカバー5の前半部33と後半部34とのくびれ部40を前記フロントフェンダ2の内側壁8の下縁に引っ掛けるようにしてヒンジカバー5がカウルトップガーニッシュ4に固定されている。
ここで、ヒンジカバー5の前半部33の側壁38の外面と後半部34の上壁42の下面には車幅方向に沿い複数の補強リブ45,45…が設けられている。
【0016】
ヒンジカバー5の後半部34の後延出片44は後方に回り込んで形成され、この回り込んだ後延出片44の後部46はモール20及び後述するエンドキャップ52を受け入れ易くするために下面が後方に向かって斜め上側に傾斜部47が形成され(図9も参照)、更に車室内に延出された後部46はモール20の端面外形状に整合すべく車室内側にやや下がり外側から内側に戻って下方に下がるように挿入ガイド部48を形成している。そして、挿入ガイド部48の外壁49には最後部の補強リブ45から端を発し上向きに屈曲した係止部50の内側縁が連結し、この係止部50の上縁にはエンドキャップ52の係合部53が係合する凹部51が形成されている。この凹部51はモール20の延在方向と交差する方向に形成されている。
【0017】
フロントピラー1に取り付けたモール20の前端部にエンドキャップ52が挿入され、このモール20の延在方向に隣接した位置にヒンジカバー5が配置され、ヒンジカバー5の後端部、つまり後半部34の後端部に設けた係止部50の凹部51にエンドキャップ52が係止して、ヒンジカバー5が前後方向を軸として内側縁が上側にめくれないようになっている。
【0018】
図7〜図11に示すように、エンドキャップ52の一端部にはモール20の空間部22の幅方向に弾性的に挿入される取付部54が形成されている(図5、図10参照)。エンドキャップ52の他端部にはモール20の延在方向に突出しヒンジカバー5の係止部50の凹部51に係合する断面T字状の係合部53が形成されている。
図7、図8に示すように、係合部53は左右対称に形成され、モール20の延在方向に取付部54から連続して形成される基部56と、基部56から下方に向かって離反する方向に突出する突出部57とを有して断面略T字状に形成されたものである。突出部57がヒンジカバー5の係止部50に形成された凹部51に係合している。尚、前述した取付部54が基部56と連続した断面形状であることから結果的にエンドキャップ52は全体が左右対称形状となる。尚、取付部54の下面には突出部57の後方に高さの低い縦リブ62が形成されている。
【0019】
エンドキャップ52の突出部57はモール20の端部、つまりドリップガイド29の端面55に当接してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止されている。また、エンドキャップ52の基部56には両側方に張り出す係止爪58が形成され、この係止爪58もモール20の端部、つまりモール20の芯金21の両側端に当接係止してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止されている。基部56の前端と後端には突出部57に向かって左右に斜めに延びる三角リブ59が形成されている。エンドキャップ52には基部56から取付部54に渡って、上部中央部に中央突条60が、この中央突条60の両側部には各々突条61がモール20の長手方向に沿って形成され、挿入時にモール20を開方向に弾性変形させてモール20への装着力を高めている。
【0020】
ここで、図9〜図11に示すように、ヒンジカバー5の係止部50の凹部51に係合するエンドキャップ52の係合部53、具体的には突出部57のモール20延在方向の長さ寸法はヒンジカバー5の係止部50の凹部51を中心にして前後に変位しても係止状態が解除されないようにモール20の延在方向に余裕を持たせてある。
【0021】
上記実施形態によれば、フロントピラー1に取り付けたモール20の前端部にエンドキャップ52の取付部54が挿入され、このモール20の延在方向に隣接した位置にヒンジカバー5が配置され、ヒンジカバー5の後端部、つまり後半部34の後端部に設けた係止部50の凹部51にエンドキャップ52の係合部53、つまり突出部57が係合しているため、ヒンジカバー5がモール20の延在方向を軸として内側縁が上側に移動する方向まわりの力を受けても、エンドキャップ52の係合部53がヒンジカバー5の係止部50の凹部51の両側部に係止してこの力を確実に受け止め回り止めされる。よって、ヒンジカバー5を強固に固定でき、したがって、図12に矢印で示すように、ヒンジカバー5の内側縁が上側にめくれを起こすのを確実に防止でき、ヒンジカバー5の取付信頼性を高めることができる。
【0022】
エンドキャップ52の取付部54をモール20に挿入するに際して、エンドキャップ52の突出部57はモール20の端部、つまりドリップガイド29の端面55に当接してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止され、エンドキャップ52の基部56には両側方に張り出す係止爪58が形成され、この係止爪58もモール20の端部、つまりモール20の芯金21の両側端に当接係止してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止するため、主としてエンドキャップ52の突出部57がモール20との位置決め部としても作用させることができ、ヒンジカバー5に対する建て付け精度を確保できる。
【0023】
エンドキャップ52の係合部53及び取付部54の断面形状を左右対称に形成したため、右側のフロントピラー1のモール20の前端部に使用されるエンドキャップやモール20の後端部で使用されるエンドキャップなど異なる位置で用いるエンドキャップをエンドキャップ52で共用できるため部品点数を削減できる。
そして、モール20の延在方向に形成されたエンドキャップ52の係合部53の突出部57は、モール20の延在方向と交差する方向に形成したヒンジカバー5の係止部50の凹部51に係合し、ヒンジカバー5の係止部50の凹部51を中心にして前後に変位しても係止状態が解除されないようにモール20の延在方向に余裕を持たせてある。これによりモール20の延在方向での建て付け誤差、熱による伸縮が生じた場合でも、エンドキャップ52の突出部57が前後方向で凹部51から外れることはなく取付信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施形態の車両を斜め前方から視た斜視図である。
【図2】図1の要部をエンジンルーム側から斜め後方に視た斜視図である。
【図3】図1の要部を車室内側から側方に視た斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】ヒンジカバーとエンドキャップとモールの斜視図である。
【図6】ヒンジカバーを後から視た斜視図である。
【図7】モールにエンドキャップを装着した状態を示す斜視図である。
【図8】図7をB−B線部でカットした状態を示す斜視図である。
【図9】ヒンジカバー、モール、エンドキャップの組付状態を僅かに前側から視た側面図である。
【図10】ヒンジカバー、モール、エンドキャップの組付状態を僅かに後側から視た側面図である。
【図11】ヒンジカバー、モール、エンドキャップの組付状態を斜め後側から視た側面図である。
【図12】図9のC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0025】
5 ヒンジカバー(カバー部材)
20 モール
51 凹部(被係合部)
52 エンドキャップ
53 係合部
54 取付部
55 端面(端部)
56 基部
57 突出部
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に用いられる装飾部品取付部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のリヤウインドウガラスの両側部を支持するリヤピラーにモールを設けたものがあり、このモールの後端部にはエンドキャップが取付られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平07−69053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エンドキャップに隣接して設けられる部材との組付けを考慮した場合に、エンドキャップの組み付け強度を更に向上させる必要がある。
【0004】
そこで、この発明は、モールの延在方向に隣接する部材をエンドキャップの組み付け強度を更に向上させて組み付けることができる装飾部品取付部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、車両に設けられるモール(例えば、実施形態におけるモール20)の端部にエンドキャップ(例えば、実施形態におけるエンドキャップ52)を設け、前記エンドキャップの前記モールの延在方向に隣接してカバー部材(例えば、実施形態におけるヒンジカバー5)を設け、前記エンドキャップは一端部に前記モールに接続される取付部(例えば、実施形態における取付部54)を備え、他端部に前記モールの延在方向に突出し前記カバー部材に係合する係合部(例えば、実施形態における係合部53)を有していることを特徴とする。
このように構成することで、エンドキャップにモールの延在方向に突出する係合部を設けたため、単純な形状でありながらカバー部材にモールの延在方向まわりの力が作用した場合にも、カバー部材を強固に固定することができる。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記エンドキャップの係合部は、前記モールの延在方向に前記取付部から連続して形成される基部(例えば、実施形態における基部56)と、前記基部から離反する方向に突出する突出部(例えば、実施形態における突出部57)とを有する断面略T字状に形成され、前記突出部は前記カバー部材に係合していることを特徴とする。
このように構成することで、突出部にカバー部材を係合することにより、モールの延在方向まわりの力を確実に受け止めることができる。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記突出部は、前記モールの端部(例えば、実施形態における端面55)に当接することを特徴とする。
このように構成することで、エンドキャップの突出部をモールとの位置決め部としても作用させることができる。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記係合部の断面形状は、左右対称に形成されている。
このように構成することで、異なる位置に設けられたモールにおいてエンドキャップを共用化することができる。
【0009】
請求項5に記載した発明は、前記係合部に係合する前記カバー部材の被係合部(例えば、実施形態における凹部51)は、前記モールの延在方向と交差する方向に形成されている。
このように構成することで、モールの延在方向に突出する係合部と、モールの延在方向に交差する方向に形成される被係合部を係合することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、エンドキャップにモールの延在方向に突出する係合部を設けたため、単純な形状でありながらカバー部材にモールの延在方向まわりの力が作用した場合にも、カバー部材をモールに対して強固に固定することができるので、カバー部材の取付信頼性を確保できる効果がある。
請求項2に記載した発明によれば、突出部にカバー部材を係合することにより、モールの延在方向まわりの力を確実に受け止めることができる効果がある。
請求項3に記載した発明によれば、エンドキャップの突出部をモールとの位置決め部としても作用させることができるため、カバー部材に対する建て付け精度を確保できるという効果がある。
請求項4に記載した発明によれば、異なる位置に設けられたモールにおいてエンドキャップを共用化することができるため、部品点数を減少させることができる効果がある。
請求項5に記載した発明によれば、モールの延在方向に突出する係合部と、モールの延在方向に交差する方向に形成される被係合部を係合することにより、組み付け誤差が生じた場合であっても確実に係合状態を維持することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の図においてFRはフロント側、OUTは車幅方向外側を示す。
図1〜図3に示すように、フロントピラー1の前端部にはこれに整合するフロントフェンダ2の上部後端コーナー部3が接続されている。左右のフロントフェンダ2,2の上部後端部にはこれらに跨るように車幅方向に渡ってカウルトップガーニッシュ4の両側部が下側から取り付けられている。
フロントフェンダ2のカウルトップガーニッシュ4の取付部は上側から装飾部品である樹脂製のヒンジカバー5で覆われ、ヒンジカバー5には車体に固定された図示しないヒンジアーム等を前側に突出させるための凹欠部6が形成されている。
フロントフェンダ2の上部後端コーナー部3は車体の外板を構成する外側壁7と、この外側壁7上縁から内側に下がる内側壁8とで構成されている。上部後端コーナー部3の前側には内側壁8から水平に車体内側に延びる内フランジ部9が形成されている。フロントフェンダ2の下縁にはホイールアーチ部10が形成されている。
【0012】
図4に示すように、フロントピラー1は断面L字形状のピラーアウタパネル11を備えている。ピラーアウタパネル11の縦壁12には所定間隔をもってクリップベース13が接着固定されている。各クリップベース13には上下方向に溝14が形成され、この溝14の内部にクリップ15が取り付けられている。クリップ15はクリップベース13に差し込み固定される脚部16とこの脚部16の上部に設けたクリップ頭部17とで構成されている。クリップ頭部17は車幅方向内側に延出する係止縁18を備えていて、この係止縁18を外側から取り囲むようにして装飾部品であるモール20が装着されている。ここで、このモール20はフロントピラー1及び図示しないルーフサイド部に連なる部分に渡ってこれらに重なるように取付られている。
【0013】
モール20は略C字断面形状に形成され車幅方向の内側に向かって延びる扁平な形状の部材であって、内側には芯金21が設けられ内部にクリップ頭部17を弾性的に内装する空間部22が形成されている。芯金21は上側に湾曲した上壁23の内縁を中程まで下側に折り返した下延部24を備えている。芯金21の外側、つまり上壁23の上面と下延部24の下面にはこれを外側から覆う樹脂製の着色部25が一体的に被覆されている、着色部25の外側にはピラーアウタパネル11に密接するアウタリップ部26が形成され、着色部25の内側には斜め下側に延びるインナリップ部27が形成されている。芯金21の下延部24では着色部25が内側に向かい延出した後に下側のフロントウインドウガラス28の上面近傍に延びるドリップガイド29を形成し、ドリップガイド29の下端にはフロントウインドウガラス28に上面に密接するシールリップ部30が設けられている。
したがって、ピラーアウタパネル11の底壁31とカウルトップガーニッシュ4と図示しないルーフフロントレールとで囲まれる部分にフロントウインドウガラス28が取付られ、フロントウインドウガラス28とモール20との間にコの字状のドリップガイド部32が形成されている。尚、最もモール20の端部に近いクリップ15はモール20の前端部からやや後側に下がった位置に配置され、モール20の端部にエンドキャップ52の挿入代を確保している。
【0014】
図5は左側のヒンジカバー5を車両の左斜め前側から見た斜視図、図6は左側のヒンジカバー5を車両の左斜め後方から見た斜視図である。尚、右側のヒンジカバーも同様の構成であるので説明は省略する。
図5、図6に示すように、ヒンジカバー5は前半部33と後半部34とが図示しないヒンジアームを挿通する凹欠部6を境にして設けられている。凹欠部6の上縁には後方に向かってヒンジアームの逃げ用スリット35が形成されている。前半部33は底壁36に前壁37と側壁38が立ち上げ形成されている。ヒンジカバー5の前半部33の底壁36の内側縁はカウルトップガーニッシュ4の底面に接合されて、この底壁36がカウルトップガーニッシュ4の底面に連なっており、カウルトップガーニッシュ4の両側部で前壁37と側壁38により落ち葉等のエンジンルーム内への浸入を防止している。
【0015】
ヒンジカバー5の前半部33の前壁37及び側壁38の上縁には水平に延びるフランジ部39が形成され、側壁38のフランジ部39にはくびれ部40を介して外側に延びる前延出片41が形成されている。
ヒンジカバー5の後半部34は前半部33の底壁36から凹欠部6の高さ寸法分立ち上がる位置に上壁42が形成され、この上壁42がモール20の上壁上面に整合し、かつフロントウインドウガラス28のコーナー部分を取り囲むように内側に折れ曲がり、カウルトップガーニッシュ4の後部段差部43に整合してカウルトップガーニッシュ4に固定されている。この後半部34の側縁にも前半部33と同様にくびれ部40を介して外側に延びる後延出片44が形成されている。ヒンジカバー5の前半部33と後半部34とのくびれ部40を前記フロントフェンダ2の内側壁8の下縁に引っ掛けるようにしてヒンジカバー5がカウルトップガーニッシュ4に固定されている。
ここで、ヒンジカバー5の前半部33の側壁38の外面と後半部34の上壁42の下面には車幅方向に沿い複数の補強リブ45,45…が設けられている。
【0016】
ヒンジカバー5の後半部34の後延出片44は後方に回り込んで形成され、この回り込んだ後延出片44の後部46はモール20及び後述するエンドキャップ52を受け入れ易くするために下面が後方に向かって斜め上側に傾斜部47が形成され(図9も参照)、更に車室内に延出された後部46はモール20の端面外形状に整合すべく車室内側にやや下がり外側から内側に戻って下方に下がるように挿入ガイド部48を形成している。そして、挿入ガイド部48の外壁49には最後部の補強リブ45から端を発し上向きに屈曲した係止部50の内側縁が連結し、この係止部50の上縁にはエンドキャップ52の係合部53が係合する凹部51が形成されている。この凹部51はモール20の延在方向と交差する方向に形成されている。
【0017】
フロントピラー1に取り付けたモール20の前端部にエンドキャップ52が挿入され、このモール20の延在方向に隣接した位置にヒンジカバー5が配置され、ヒンジカバー5の後端部、つまり後半部34の後端部に設けた係止部50の凹部51にエンドキャップ52が係止して、ヒンジカバー5が前後方向を軸として内側縁が上側にめくれないようになっている。
【0018】
図7〜図11に示すように、エンドキャップ52の一端部にはモール20の空間部22の幅方向に弾性的に挿入される取付部54が形成されている(図5、図10参照)。エンドキャップ52の他端部にはモール20の延在方向に突出しヒンジカバー5の係止部50の凹部51に係合する断面T字状の係合部53が形成されている。
図7、図8に示すように、係合部53は左右対称に形成され、モール20の延在方向に取付部54から連続して形成される基部56と、基部56から下方に向かって離反する方向に突出する突出部57とを有して断面略T字状に形成されたものである。突出部57がヒンジカバー5の係止部50に形成された凹部51に係合している。尚、前述した取付部54が基部56と連続した断面形状であることから結果的にエンドキャップ52は全体が左右対称形状となる。尚、取付部54の下面には突出部57の後方に高さの低い縦リブ62が形成されている。
【0019】
エンドキャップ52の突出部57はモール20の端部、つまりドリップガイド29の端面55に当接してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止されている。また、エンドキャップ52の基部56には両側方に張り出す係止爪58が形成され、この係止爪58もモール20の端部、つまりモール20の芯金21の両側端に当接係止してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止されている。基部56の前端と後端には突出部57に向かって左右に斜めに延びる三角リブ59が形成されている。エンドキャップ52には基部56から取付部54に渡って、上部中央部に中央突条60が、この中央突条60の両側部には各々突条61がモール20の長手方向に沿って形成され、挿入時にモール20を開方向に弾性変形させてモール20への装着力を高めている。
【0020】
ここで、図9〜図11に示すように、ヒンジカバー5の係止部50の凹部51に係合するエンドキャップ52の係合部53、具体的には突出部57のモール20延在方向の長さ寸法はヒンジカバー5の係止部50の凹部51を中心にして前後に変位しても係止状態が解除されないようにモール20の延在方向に余裕を持たせてある。
【0021】
上記実施形態によれば、フロントピラー1に取り付けたモール20の前端部にエンドキャップ52の取付部54が挿入され、このモール20の延在方向に隣接した位置にヒンジカバー5が配置され、ヒンジカバー5の後端部、つまり後半部34の後端部に設けた係止部50の凹部51にエンドキャップ52の係合部53、つまり突出部57が係合しているため、ヒンジカバー5がモール20の延在方向を軸として内側縁が上側に移動する方向まわりの力を受けても、エンドキャップ52の係合部53がヒンジカバー5の係止部50の凹部51の両側部に係止してこの力を確実に受け止め回り止めされる。よって、ヒンジカバー5を強固に固定でき、したがって、図12に矢印で示すように、ヒンジカバー5の内側縁が上側にめくれを起こすのを確実に防止でき、ヒンジカバー5の取付信頼性を高めることができる。
【0022】
エンドキャップ52の取付部54をモール20に挿入するに際して、エンドキャップ52の突出部57はモール20の端部、つまりドリップガイド29の端面55に当接してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止され、エンドキャップ52の基部56には両側方に張り出す係止爪58が形成され、この係止爪58もモール20の端部、つまりモール20の芯金21の両側端に当接係止してそれ以上のモール20の空間部22内への挿入を阻止するため、主としてエンドキャップ52の突出部57がモール20との位置決め部としても作用させることができ、ヒンジカバー5に対する建て付け精度を確保できる。
【0023】
エンドキャップ52の係合部53及び取付部54の断面形状を左右対称に形成したため、右側のフロントピラー1のモール20の前端部に使用されるエンドキャップやモール20の後端部で使用されるエンドキャップなど異なる位置で用いるエンドキャップをエンドキャップ52で共用できるため部品点数を削減できる。
そして、モール20の延在方向に形成されたエンドキャップ52の係合部53の突出部57は、モール20の延在方向と交差する方向に形成したヒンジカバー5の係止部50の凹部51に係合し、ヒンジカバー5の係止部50の凹部51を中心にして前後に変位しても係止状態が解除されないようにモール20の延在方向に余裕を持たせてある。これによりモール20の延在方向での建て付け誤差、熱による伸縮が生じた場合でも、エンドキャップ52の突出部57が前後方向で凹部51から外れることはなく取付信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施形態の車両を斜め前方から視た斜視図である。
【図2】図1の要部をエンジンルーム側から斜め後方に視た斜視図である。
【図3】図1の要部を車室内側から側方に視た斜視図である。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図である。
【図5】ヒンジカバーとエンドキャップとモールの斜視図である。
【図6】ヒンジカバーを後から視た斜視図である。
【図7】モールにエンドキャップを装着した状態を示す斜視図である。
【図8】図7をB−B線部でカットした状態を示す斜視図である。
【図9】ヒンジカバー、モール、エンドキャップの組付状態を僅かに前側から視た側面図である。
【図10】ヒンジカバー、モール、エンドキャップの組付状態を僅かに後側から視た側面図である。
【図11】ヒンジカバー、モール、エンドキャップの組付状態を斜め後側から視た側面図である。
【図12】図9のC−C線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0025】
5 ヒンジカバー(カバー部材)
20 モール
51 凹部(被係合部)
52 エンドキャップ
53 係合部
54 取付部
55 端面(端部)
56 基部
57 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられるモールの端部にエンドキャップを設け、前記エンドキャップの前記モールの延在方向に隣接してカバー部材を設け、前記エンドキャップは一端部に前記モールに接続される取付部を備え、他端部に前記モールの延在方向に突出し前記カバー部材に係合する係合部を有していることを特徴とする装飾部品取付部構造。
【請求項2】
前記エンドキャップの係合部は、前記モールの延在方向に前記取付部から連続して形成される基部と、前記基部から離反する方向に突出する突出部とを有する断面略T字状に形成され、前記突出部は前記カバー部材に係合していることを特徴とする請求項1記載の装飾部品取付部構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記モールの端部に当接することを特徴とする請求項2記載の装飾部品取付部構造。
【請求項4】
前記係合部の断面形状は、左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の装飾部品取付部構造。
【請求項5】
前記係合部に係合する前記カバー部材の被係合部は、前記モールの延在方向と交差する方向に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の装飾部品取付部構造。
【請求項1】
車両に設けられるモールの端部にエンドキャップを設け、前記エンドキャップの前記モールの延在方向に隣接してカバー部材を設け、前記エンドキャップは一端部に前記モールに接続される取付部を備え、他端部に前記モールの延在方向に突出し前記カバー部材に係合する係合部を有していることを特徴とする装飾部品取付部構造。
【請求項2】
前記エンドキャップの係合部は、前記モールの延在方向に前記取付部から連続して形成される基部と、前記基部から離反する方向に突出する突出部とを有する断面略T字状に形成され、前記突出部は前記カバー部材に係合していることを特徴とする請求項1記載の装飾部品取付部構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記モールの端部に当接することを特徴とする請求項2記載の装飾部品取付部構造。
【請求項4】
前記係合部の断面形状は、左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の装飾部品取付部構造。
【請求項5】
前記係合部に係合する前記カバー部材の被係合部は、前記モールの延在方向と交差する方向に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の装飾部品取付部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−35204(P2009−35204A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202950(P2007−202950)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
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