説明

補助カウンタを備えるカウンタ

【課題】補助カウンタを引き出して使用している状態において、該補助カウンタの上面と開口の上縁部内面との間の隙間から水やゴミ等がカウンタの本体内部に進入することがない補助カウンタを備えるカウンタを提供すること。
【解決手段】カウンタ本体1内部に収納されるとともに、カウンタ本体1の側周面所定箇所に形成された開口11から外部に向けて引き出し自在に設けられた補助カウンタ8の上面後部には、所定高さを有する凸条部13が延設されており、前記補助カウンタ8が使用位置に引き出されている状態において、前記凸条部13の少なくとも一部が前記開口11の上縁部内面11aと対向する位置に配置され、上縁部内面11aと補助カウンタ8の上面との間に形成される隙間が狭まり、水やゴミの進入が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキッチン等に配置されるキッチンカウンタや、洗面所等に配置される洗面カウンタ等の水廻り用のカウンタに係わり、特に補助カウンタを備えるカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の補助カウンタを備えたカウンタとしては、例えばシンクを有するワークトップの側面に補助テーブル(補助カウンタ)が引き出し自在に設けられたものや、平面視略円弧状に形成されたワークトップの左右側端縁部の下部に補助テーブル(補助カウンタ)が引き出し自在に設けられたもの等がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−68613号公報(第2頁、第1−2図)
【特許文献2】特開平5−68611号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の補助テーブルにあっては、カウンタの側面や前面に形成した開口を介してカウンタ本体内部に収納した補助テーブルを引き出し自在としている。このように開口を介して補助テーブルをカウンタ本体に対して引き出し自在とする場合においては、補助テーブルの出し入れの際に補助テーブル上面と前記開口の上縁部内面とが摺接すると、補助テーブル上面が傷ついたり、出し入れの際に抵抗がかかる虞があるため、両者間に予め所定幅の隙間が形成されていることが多い。
【0005】
しかしながら、特にカウンタトップにおいて水を使用したり食材を調理するカウンタにおいては、補助テーブルを前方に引き出して使用している状態において、補助テーブルを使用している際に補助テーブルの上面に落ちた水やゴミ、あるいはカウンタトップから零れてカウンタトップの端縁部を伝い落ちてきた雫やごみが、開口の上縁部内面と補助テーブルの上面との間に形成されている隙間からカウンタ本体内部に進入し、カウンタ本体内部でかびが発生したりゴミが溜まる虞があり、衛生上好ましくなかった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、補助カウンタを引き出して使用している状態において、該補助カウンタの上面と開口の上縁部内面との間の隙間から水やゴミ等がカウンタの本体内部に進入することがない補助カウンタを備えるカウンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、
カウンタ本体内部に収納されるとともに、カウンタ本体の側周面所定箇所に形成された開口から外部に向けて引き出し自在に設けられた補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記補助カウンタの上面所定箇所には、所定高さを有する凸条部が延設されており、前記補助カウンタが使用位置に引き出されている状態において、前記凸条部の少なくとも一部が前記開口の上縁部内面と対向する位置に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、補助カウンタを使用位置まで引き出すことで、開口の上縁部内面に凸条部が近接もしくは当接し、開口の上縁部内面と補助カウンタの上面との間の隙間が小さくなるため、水やゴミ等のカウンタ本体内部への進入が効果的に防止されるとともに、補助カウンタの出し入れの際に該補助カウンタの上面が開口の上縁部内面に摺接し、上面に傷がついたり、抵抗がかかって出し入れしにくくなることがない。
【0008】
本発明の請求項2に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、請求項1に記載の補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記凸条部には、引き出し方向に向けて下方に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、カウンタの上面から開口の上縁部内面まで伝い落ちてきた雫は、その下部が傾斜面に接触して凸条部に伝い落ちると、そのまま前方に誘導されるため、凸条部に伝い落ちた雫がカウンタの本体内部側に進入することが効果的に防止される。また、傾斜面が形成されることで、補助カウンタの上面と凸条部との間に凹部や鋭角部が形成されることがないため、清掃しやすい。
【0009】
本発明の請求項3に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、請求項1または2に記載の補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記凸条部の長手方向の両端部からは、所定高さを有する補助凸条部が引き出し方向に向けて延設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、補助カウンタが完全に引き出されていない状態において、補助カウンタの幅方向の端部から水やゴミ等が落下してカウンタ本体の内部に進入することが効果的に防止される。
【0010】
本発明の請求項4に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、請求項1ないし3のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記補助カウンタのカウンタ部は、板状の基材及び該基材の表面を覆う表面板にて構成されており、前記表面板の少なくとも幅方向の端部からは垂下片が下方に向けて延設され、該垂下片の下端が少なくとも前記基材の下面よりも下方に位置するとともに、前記基材の裏面側には、当該補助カウンタを前記カウンタの本体に対して引き出し自在に支持する支持レールが設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、補助カウンタ上面の雫が左右端縁から零れ落ちたとしても、垂下片の下端まで伝い落ちた雫が基材裏面側に回りこむことがないので、基材裏面が雫により汚れたり、内側の支持レールが錆びること等が防止されるばかりか、支持レールが垂下片により隠蔽されるので見栄えがよい。
【0011】
本発明の請求項5に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、請求項1ないし4のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記補助カウンタは、板状の基材及び該基材の表面を覆うステンレス製の表面板にて構成されるカウンタ部と、該カウンタ部の引き出し側端部に取り付けられるアルミニウム製の部材からなる取手部と、から構成されており、前記カウンタ部と前記取手部との間に電食防止部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、アルミニウムとステンレスとの電食が防止される。
【0012】
本発明の請求項6に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、請求項1ないし5のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記補助カウンタが使用位置まで引き出されたときに、該補助カウンタを前記使用位置に保持する保持手段を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、使用状態において、開口の上縁部内面に対向する凸条部の位置が出し入れ方向にずれることが防止されるため、水やゴミの進入が効果的に防止される。
【0013】
本発明の請求項7に記載の補助カウンタを備えるカウンタは、請求項1ないし6のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記補助カウンタの側面所定箇所には、所定高さを有する側面凸条部が設けられており、前記補助カウンタが使用位置に引き出されている状態において、前記側面凸条部の少なくとも一部が前記開口の側縁部内面と対向する位置に配置されることを特徴としている。
この特徴によれば、補助カウンタを使用位置まで引き出した状態において開口の側縁部内面に凸条部が近接もしくは当接し、開口の側縁部内面と補助カウンタの側面との間の隙間が小さくなるため、水やゴミ等のカウンタ本体内部への進入がより効果的に防止されるとともに、補助カウンタの出し入れの際に該補助カウンタの側面が開口の側縁部内面に摺接し、抵抗がかかって出し入れしにくくなることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る補助カウンタを備えるカウンタを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の本実施例としてのキッチンカウンタを示す斜視図であり、図2は、図1のキッチンカウンタの要部を示す平面図であり、図3は、図2のA−A要部断面図であり、図4は、図3の要部拡大図であり、図5は、同じく図3の要部拡大断面図であり、図6は、図2のB−B断面図であり、図7は、補助カウンタの使用状態における作用を示す断面図である。以下、図1における紙面左下方側をキッチンカウンタの正面側として説明する。
【0016】
図1の符号1は、室内空間をキッチン側とダイニング側とに仕切るように配置されるカウンタの一例としてのキッチンカウンタ1であり、このキッチンカウンタ1の正面側はキッチン空間となっているとともに、キッチンカウンタ1の背面側はダイニング空間となっている。このキッチンカウンタ1は、キッチン側に居る使用者がダイニング側に居る人と対面しながら調理作業を行える対面式のキッチンカウンタ1となっている。
【0017】
図1に示すように、キッチンカウンタ1の天板2の上面における左側には、加熱部としての電磁加熱器3が設けられているとともに、左右方向の中央位置にはシンク4及び蛇口5が設けられており、中央のシンク4の左右側には調理スペースが形成されている。
【0018】
キッチンカウンタ1の本体内部には、調理器具や調味料等を収納可能な収納部(図示略)を有する複数の引き出し6、食器等を洗浄する食器洗浄機7、本発明の補助カウンタ8等が、キッチンカウンタ1の正面から前方に向けて引き出し自在に収納されている。尚、本実施例におけるキッチンカウンタ1の本体正面における右側、すなわち、シンク4の右側に形成される調理スペースに対応する位置に、補助カウンタ8・食器洗浄機7・引き出し6が上・中・下段にそれぞれ配置されている。
【0019】
キッチンカウンタ1の本体正面における右側端部の上段に設けられる補助カウンタ8は、図2及び図3に示されるように、平面視略長方形をなす平板状のカウンタ部9と、該カウンタ部9の前端に取り付けられる取手部10と、から構成されており、キッチンカウンタ1の本体内部における右側部に形成された収納空間S内に収納される収納位置(図2中2点鎖線で示される位置)と、キッチンカウンタ1の本体正面に形成された開口11を介して前記収納位置から前方に引き出された使用位置(図2中実線で示される位置)と、の間で、収納空間S内左右側に配置されるガイドレール12,12(支持レール)を介して前後方向(出し入れ方向)にスライド移動自在に設けられている。
【0020】
ガイドレール12は、図2,3及び図6に示されるように、キッチンカウンタ1の本体内部の収納空間S内の左右の内壁面に固着される固定レール12aと、カウンタ部9の下面左右側に固着される引き出しレール12bと、これら固定レール12aと引き出しレール12bとの間に摺動自在に設けられる摺動レール12cと、から構成されている。
【0021】
カウンタ部9の上面後部には、後述する凸状部を構成する合成樹脂製材からなる所定長さの凸条部材13が左右幅方向にわたって取り付けられており、この凸条部材13によりカウンタ部9の上面後部に左右方向に延びる凸条部が形成されている。この凸条部材13は、使用位置まで前方に引き出された状態において、凸条部材13の前後幅方向の少なくとも一部が、開口11の上縁部内面11aと対向するとともに、開口11の上縁部内面11aの長手方向にわたって帯状の凸条部材13が対向するように配置されるようになっている。また、横長帯状の凸条部材13の上面前部(引き出し側)には、特に図7の拡大図に示されるように、前方に向けて下方に傾斜する傾斜面13aが形成されており、天板2の前端縁を伝って落ちてきた雫Wを前方に向けて誘導するようになっている。また、傾斜面13aが形成されることで、カウンタ部9の上面と凸条部13との間に凹部や鋭角部が形成されることがないため、清掃しやすい。
【0022】
尚、図7に示されるように、本実施例における凸条部材13の厚みL1は約3mmとされているとともに、使用位置において、該凸条部材13の傾斜面13aよりも後側の上面13bと開口11の上縁部内面11aとの間に形成される隙間L2は約4mmとされている。つまり、カウンタ部9の上面と上縁部内面11aとの間に形成される隙間L3(L1+L2)は約7mmであり、凸条部材13が上縁部内面11aの直下の対向位置に配置されたとき、カウンタ部9の上面よりも上縁部内面11aに近接することになる。また、本実施例においては、図3及び図7に示されるように、天板2の前端部には下向きに屈曲される屈曲片部2aが形成されており、この天板2の前端部に形成される屈曲片部2aの下面が補助カウンタ8の開口11の上縁部内面11aを構成している。
【0023】
尚、本実施例における凸条部材13は合成樹脂材からなっているが、その材質は限定されるものではなく種々に変更可能であるが、耐水性を有する材質であることが好ましい。また、少なくとも凸条部13の傾斜面13aや上面13bを、摩擦抵抗が小さく滑りやすい素材(例えばポリアセタール樹脂やナイロン樹脂)にて構成したり、コーティング等の表面加工を施すことで、上縁部内面11aと接触しても抵抗がかかりにくくすることが好ましい。さらに、雫を弾きやすい材質とすることにより、雫Wを効果的に前方に誘導できる。
【0024】
また、上縁部内面11aの後部には、図7に示されるように、軟質の合成樹脂材からなる側面視略J字形のパッキン14の上端が取り付けられており、補助カウンタ8が使用位置まで引き出された状態において、パッキン14の下端が凸条部材13の上面13bに摺接し、上面13bと上縁部内面11aとの間に形成される隙間L2が左右幅方向にわたって閉塞され、ゴミや水の進入が防止されるようになっている。
【0025】
取手部10は、押し出し成型により得られたアルミニウム製の部材からなり、図2に示されるように、カウンタ部9の左右幅よりも若干長寸に形成され、補助カウンタ8が収納位置に配置された状態において、横長長方形状の開口11の前面を閉塞可能な大きさを有している。取手部10の前面には、内部に手を挿入可能な凹溝10cが長手方向に延設されているとともに、特に図4に示されるように、上部前端は下方に屈曲されて手掛け部10aが形成されており、使用者は凹溝10c内に手を挿入して上部の手掛け部10aに指を上向きにして掛けることにより、補助カウンタ8を前方に引き出せるようになっている。
【0026】
図4に示されるように、取手部10の後面からは突片10bが後向きに延設されており、該突片10bを基材9aの前端部下面にネジにより止着することでカウンタ部9の前端に取り付けられている。また、取手部10の後面上部と基材9aの表面に装着されている表面板9bの前端との間には、合成樹脂材からなる側面視L字形の絶縁部材15(電食防止部材)が設けられており、これによりアルミニウム製の取手部10と後述するステンレス製の表面板9bとの接触による電食が防止されるようになっている。
【0027】
また、取手部10は押し出し成型により形成されていることにより、図4に示されるように左右端部が開口されるため、左右端部には図2に示されるエンドキャップ10dが装着され、左右端開口が閉塞されている。左右のエンドキャップ10dの後方の角部は面取り加工が施されており、特に収納位置において、キッチンカウンタ1本体の右側板1aの前端面と取手部10の右端部後面との間に若干の隙間が形成されたときに、エンドキャップ10dの角部に使用者の衣服等が引っ掛かかることがないようになっている。
【0028】
補助カウンタ8のカウンタ部9は、図6に示されるように、木材からなる基材9aと、該基材9aの上面を覆うように固着されるステンレス製の表面板9bとから構成されている。表面板9bの左右端部はそれぞれ下方に向けて屈曲されて垂下片9c,9cが形成されており、その下端は、基材9aの下面よりも下方まで延設されており、カウンタ部9の上面の水等が左右端部から零れ落ちた場合に、垂下片9cの外面を伝って雫が下端まで落ちてきたときに、雫は基材9a下面に回り込むことなく、そのまま下方に落下するので、木材からなる基材9aが腐食することが防止される。また、前述した引き出しレール12b等が、左右の垂下片9c,9cの内側に配置されていることで、これら引き出しレール12bが垂下片9c,9cにより外部から見えにくくなるため、外観体裁が向上するとともに、雫が引き出しレール12に付着して錆びが発生することが防止される。
【0029】
図2、図3及び図6に示されるように、カウンタ部9の下面、すなわち基材9aの下面右側には、補助カウンタ8が収納位置に押し込まれたときにおける衝撃や衝撃音の発生を抑制するためのサイレンサー16が取り付けられている。サイレンサー16は、収納空間S内における右側板1a内面に固着された固定レール12aに固定された固定ギヤ17に噛合可能な回転ギヤ16bと、該回転ギヤ16bを水平回転自在に支持するとともに、回転ギヤ16bの回転に所定の抵抗をかけるバネ等の抵抗付与手段(図示略)が内蔵された本体16aと、から構成されており、補助カウンタ8が収納位置の直前から収納位置にて停止するまでの間、固定ギヤ17と回転ギヤ16bとが噛合されるようになっている。
【0030】
これにより、引き出されている補助カウンタ8が強い力で収納位置に向けて押し込まれても、サイレンサー16及び固定ギヤ17により所定の抵抗力が付与されることで、補助カウンタ8が収納されたときの衝撃や衝撃音の発生が効果的に抑制される。
【0031】
また、カウンタ部9の後部からは、補助カウンタ8を最大引き出し位置、すなわち、使用位置において引き出し方向の移動を規制するストライカー18が設けられている。ストライカー18は、図3及び図5に示されるように、基材9aの下面後部に前部が固着されるとともに、後部がカウンタ部9の後端よりも後方に延設される側面視L字形の取り付け片19と、この取り付け片19の後端上部に設けられるキャッチ部材20と、から構成されている。
【0032】
キャッチ部材20は、特に図5に示されるように、合成樹脂材により前面側が開放する縦断面略J字形の凹部20aが内部に形成され、ネジにより取り付け片19の後端上部前面側に止着されている。詳しくはキャッチ部材20には、天板2の下面前部に後向きに取り付けられるストッパ部材21における垂直片部21aを収容可能な凹部20aが形成されているとともに、凹部20a内には、ストッパ部材21における垂直片部21a後面に当接して前方への移動を規制する上下方向を向く規制面20bが形成されているとともに、底面前部には、ストッパ部材21における垂直片部21aの下端に摺接可能な上向きの隆起部20cが形成されている。隆起部20cの上端は垂直片部21aの下端よりも若干上方に位置する高さに設けられており、これらストッパ部材21とキャッチ部材20とにより補助カウンタ8を収納位置にて保持する保持手段が構成されている。
【0033】
このように構成された保持手段の作用を説明すると、図5に示されるように、収納位置に収納された補助カウンタ8が開口11を介して前方に引き出されると、該補助カウンタ8とともにキャッチ部材20が前方に移動される。そして、キャッチ部材20がストッパ部材21における垂直片部21aに接近すると、まず隆起部20cが垂直片部21aの下端に当接する。さらにキャッチ部材20が前方に移動すると、取り付け片19や隆起部20cが若干弾性変形して隆起部20cが垂直片部21aを越えて凹部20a内に垂直片部21aが進入して収容される。この状態において、キャッチ部材20、すなわち補助カウンタ8の前方向への移動が、垂直片部21aの後面に規制面20bが当接することにより規制されるともに、補助カウンタ8の後方向への移動が、垂直片部21aの下端に隆起部20cが当接することにより規制され、垂直片部21aが凹部20a内に保持されるため、補助カウンタ8は引き出し位置にて保持される。
【0034】
これにより、特に使用位置にある補助カウンタ8の収納方向への不用意な移動が防止されるため、カウンタ部9上面に物品が載置されている状態で補助カウンタ8が収納方向に移動し、物品を落下させてしまうことが防止されるとともに、前述したように、使用位置において、開口11の上縁部内面11aに対向する凸条部材13の位置が前後方向にずれることが防止されるため、水やゴミの進入が効果的に防止される。尚、これら保持手段により使用位置にて保持されている補助カウンタ8を収納する際には、若干強めに押し込めば、垂直片部21aが隆起部20cを乗り越えて凹部20a内から離脱され、保持状態が容易に解除される。
【0035】
尚、本実施例における保持手段は、取り付け片19や隆起部20cの弾性変形力を利用して保持状態を解除させるラッチ装置であり、補助カウンタ8を前後方向に移動させるだけで保持及び解除が簡単にできるものであったが、例えば使用者の操作により保持手段による保持及び解除ができるようにしてもよいし、あるいは使用者の操作により補助カウンタ8の移動を完全に不能化するロック手段等を適用してもよい。
【0036】
このように、補助カウンタ8が、キッチンカウンタ1の本体内部の収納空間Sに収納された収納位置から前方に引き出され、図7に示される使用位置に位置して保持手段により保持された状態では、前述したように、カウンタ部9の上面後部に設けられた所定高さを有する凸条部材13が開口11の上縁部内面11aとの対向位置に配置されるため、上縁部内面11aと凸条部材13の上面13bとの間に形成される隙間L2が、補助カウンタ8を使用位置まで完全に引き出していないとき、すなわち、上縁部内面11aの直下に表面板9bが位置しているときに形成される隙間L3に比べ、隙間の上下幅が小さくなる(狭まる)ので、使用位置に引き出して使用しているときにおいて、カウンタ部9上にある水やゴミ等が開口11を介してキッチンカウンタ1の本体内部に進入することが効果的に防止される。
【0037】
より詳しくは、補助カウンタ8が使用位置に位置している状態において、凸条部材13の少なくとも前端部が、開口11における上縁部内面11aの後端部よりも前方に位置するようになっていれば、上縁部内面11aとの間に形成される隙間を極力小さく、あるいは塞ぐことができ、水やゴミ等が開口11を介してキッチンカウンタ1の本体内部に進入することが効果的に防止される。
【0038】
また、カウンタ部9の上面と上縁部内面11aとの間の隙間L3を予め小さくして水やゴミの進入を防ごうとすると、支持レール12による取り付け精度により補助カウンタ8の出し入れ時に表面板9bの上面が上縁部内面11aと摺接して傷つく虞があるが、本実施例の補助カウンタ8にあっては、表面板9bの上面後部のみが凸条部材13により隆起されており、使用位置においてのみ上縁部内面11aの直下に凸条部材13が配置され、その上面13bが表面板9bの上面よりも上縁部内面11aに対して近接するようになっているので、出し入れにより表面板9b上面が傷つくことなく、かつ、上縁部内面11aとの隙間が小さくなってゴミや水の進入が防止される。
【0039】
また、開口11の上縁部内面11aは、天板2の屈曲片部2aの下面にて構成されていることで、天板2の前端から雫Wが伝い零れ落ちてくることがあるが、隙間L2が小さくなるとともに、傾斜面13aの少なくとも後端が上縁部内面11aの前端よりもやや後方に位置していることで、上方から伝い落ちてくる雫Wの下部が凸条部材13の前部に形成された傾斜面13aに確実に当接することになり、これにより雫Wは上縁部内面11aから離脱して傾斜面13a上に落下した後、傾斜面13aにより前方に向けて滑り落ちるように誘導される。さらに、小さな雫は上縁部内面11a後部に設けられたパッキン14により内部への進入が確実に規制されるため、雫Wが上縁部内面11aを伝って本体内部に入り込むことが効果的に防止される。
【0040】
また、本実施例における凸条部材13は、補助カウンタ8が使用位置に位置して保持手段により保持され、開口11の上縁部内面11aと対向する対向位置に配置されたとき、上面13bと上縁部内面11aとの間に若干の隙間L2が形成(近接)される高さに形成されていたが、上面13bが上縁部内面11aに当接する高さを有していてもよい。また、凸条部の形状は前記凸条部材13のような縦断面をなす形状に限定されるものではなく、種々に変更可能である。
【0041】
尚、本実施例における補助カウンタ8にあっては、上面後部に設けられる凸条部が、基材9aや表面板9bとは別個に形成された帯状の凸条部材13にて構成されていたが、図8に示される本発明の変形例としての補助カウンタ8’のように、カウンタ部9の上面後縁部を隆起させることにより、左右幅方向に延びる凸条部30をカウンタ本体に対して一体的に形成してもよい。
【0042】
また、左右方向に延びる凸条部30の左右端部から、カウンタ部9の左右縁部に沿って前後方向に延びる補助凸条部31,31を延設してもよく、このようにすることで、カウンタ部9の左右端縁部からの物品または水やゴミの落下が防止されるとともに、補助カウンタ8’を使用位置まで完全に引き出していない状態においても、開口11を介して水やゴミ等がキッチンカウンタ1本体内部に進入することを防止できる。つまり、カウンタ部9の周囲に凸条部が形成されるように、カウンタ部9の上面周縁を残して凹設すればよい。
【0043】
さらに、カウンタ部9の左右側面後部に、所定の左右幅を有する側面凸条部32,32を形成してもよく、このようにすることで、補助カウンタ8’を使用位置まで引き出した状態において開口11の側縁部内面11bに凸条部32が近接もしくは当接し、開口11の側縁部内面11bと補助カウンタ8’の側面との間の隙間が小さくなるため、水やゴミ等のキッチンカウンタ1本体内部への進入がより効果的に防止されるとともに、補助カウンタ8’の出し入れの際に該補助カウンタ8’の側面が開口11の側縁部内面11bに摺接し、抵抗がかかって出し入れしにくくなることがない。
【0044】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
例えば、前記実施例では、補助カウンタが設けられるカウンタの一例として、キッチンスペースに設置される対面式のキッチンカウンタが適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば側周面の一部(例えば背面)を壁面等に当接した状態で設置されるキッチンカウンタに本発明の補助カウンタを設けてもよい。さらに、キッチンスペースに設置されるキッチンカウンタに限らず、洗面所に設置される洗面カウンタ、あるいはその他の種々の目的で使用されるカウンタやキャビネット等の什器類に本発明の補助カウンタを設けてもよい。
【0046】
また、前記実施例では、キッチンカウンタ1の側周面の一例である正面に補助カウンタが設けられていたが、補助カウンタ8の配置位置は正面に限定されるものではなく、図9中2点鎖線で示されるように、上面(天板面)及び底面以外の面である左右側面、背面所定箇所に設けてもよい。
【0047】
また、前記実施例では、補助カウンタ8はキッチンカウンタ1の本体側周面に対して直線状に出し入れ自在に設けられていたが、図9中実線で示される平面視略扇状の補助カウンタ8’’のように、一端に配置される上下方向を向く枢軸(図示略)にて水平方向(矢印方向)に回動することによりキッチンカウンタ1の本体に対して引き出し自在に設けてもよい。尚、この場合、取手部10の左端を手前側に引き出して引き出された使用位置において、取手部10の反対側の直線状縁部上面に凸条部33を設ければ、前述の実施例における補助カウンタ8と同様の作用・効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の本実施例としてのキッチンカウンタを示す斜視図である。
【図2】図1のキッチンカウンタの要部を示す平面図である。
【図3】図2のA−A要部断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】同じく図3の要部拡大断面図である。
【図6】図2のB−B断面図である。
【図7】補助カウンタの使用状態における作用を示す断面図である。
【図8】本発明の変形例としての補助カウンタの後部を示す一部破断斜視図である。
【図9】本発明の変形例としての補助カウンタが適用されたキッチンカウンタを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 キッチンカウンタ(カウンタ)
2 天板
2a 屈曲片部
8 補助カウンタ
9 カウンタ部
9a 基材
9b 表面板
9c 垂下片
10 取手部
11 開口
11a 上縁部内面
11b 側縁部内面
12,12 ガイドレール(支持レール)
13 凸条部材(凸条部)
13a 傾斜面
15 絶縁部材(電食防止部材)
18 ストライカー(保持手段)
19 取り付け片(保持手段)
20 キャッチ部材(保持手段)
20a 凹部
20b 規制面
20c 隆起部
21 ストッパ部材(保持手段)
21a 垂直片部(保持手段)
30,33 凸条部
31 補助凸条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタ本体内部に収納されるとともに、カウンタ本体の側周面所定箇所に形成された開口から外部に向けて引き出し自在に設けられた補助カウンタを備えるカウンタであって、
前記補助カウンタの上面所定箇所には、所定高さを有する凸条部が延設されており、前記補助カウンタが使用位置に引き出されている状態において、前記凸条部の少なくとも一部が前記開口の上縁部内面と対向する位置に配置されることを特徴とする補助カウンタを備えるカウンタ。
【請求項2】
前記凸条部には、引き出し方向に向けて下方に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補助カウンタを備えるカウンタ。
【請求項3】
前記凸条部の長手方向の両端部からは、所定高さを有する補助凸条部が引き出し方向に向けて延設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の補助カウンタを備えるカウンタ。
【請求項4】
前記補助カウンタのカウンタ部は、板状の基材及び該基材の表面を覆う表面板にて構成されており、前記表面板の少なくとも幅方向の端部からは垂下片が下方に向けて延設され、該垂下片の下端が少なくとも前記基材の下面よりも下方に位置するとともに、前記基材の裏面側には、当該補助カウンタを前記カウンタの本体に対して引き出し自在に支持する支持レールが設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタ。
【請求項5】
前記補助カウンタは、板状の基材及び該基材の表面を覆うステンレス製の表面板にて構成されるカウンタ部と、該カウンタ部の引き出し側端部に取り付けられるアルミニウム製の部材からなる取手部と、から構成されており、前記カウンタ部と前記取手部との間に電食防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタ。
【請求項6】
前記補助カウンタが使用位置まで引き出されたときに、該補助カウンタを前記使用位置に保持する保持手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタ。
【請求項7】
前記補助カウンタの側面所定箇所には、所定高さを有する側面凸条部が設けられており、前記補助カウンタが使用位置に引き出されている状態において、前記側面凸条部の少なくとも一部が前記開口の側縁部内面と対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の補助カウンタを備えるカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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