説明

補助CPRを用いた監視装置/除細動器用CPRディスプレイ

CPR装置は、患者の胸骨上に配置されるCPRメーターであって、それに対してCPRの間に胸部加圧が適用されるCPRメーターを含む。胸部加圧は、CPRメーターによって感知され、この情報は、CPRの進行を表示するためにディスプレイ装置に供給される。現在のCPR間隔の間のCPRの進行を、CPR間隔の合計時間又は送達されることになる胸部加圧の最大数と比較した経過時間又は送達された胸部加圧でグラフィカルに例示するグラフィカルな表示が提供される。ディスプレイは、経過時間又は胸部加圧数を表示するよう構成することができ、適用される加圧の合計数及びCPR間隔の合計持続時間は、選択的に構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心肺蘇生法(CPR)の送達を補助する、又は、心肺蘇生法の効果を計測するよう設計された医療機器に関し、特に、そのような機器に対するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が心突然死に襲われた場合、2つのタイプの治療、すなわち、血液に酸素添加して、重要なことには脳まで、血液が血管系を流れるよう強制するためのCPR、及び、心臓の身体自動電気刺激をリスタートさせるための除細動が必要とされる。現代の自動体外式除細動器(AED)及び監視装置/除細動器は、救急医療技師(救急救命士)(EMT)がどちらのタイプの治療を提供するのも補助する。除細動は、自動化されたECG波形の分析に続いてショックボタンを押すことによって半自動的に、又は、監視装置上のECG波形を観察した後にEMTによって手動で提供することができる。Andover,MAのPhilips HealthcareからのPhilips MRx監視装置/除細動器等の機器も、CPRモード又はインターバルにセットすることができ、その間、CPRの送達において補助が与えられ、CPR、すなわち胸部の加圧及び換気の結果が監視される。Philips Healthcareからの自動モードにおいて作動された場合のMRx監視装置/除細動器及びAED等の自動化された機器は、患者のバイタルサインに従って除細動ショック及びCPRの期間が指揮され適切な時間にて実行される救助手順も実行することができる。
【0003】
種々の要因に応じて異なる治療法を用いて異なる患者をより効果的に蘇生することができるということが、最近の研究によって示されてきた。除細動の成功の見込みに影響を与える1つの要因は、患者が不整脈を経験してから経過した時間の長さ(「ダウンタイム」)である。心停止の持続時間に応じて、別の手順と比較して1つの手順を用いて、患者はより良い回復の可能性を有するということがこの調査によって示されてきた。AED又は監視装置/除細動器が、特定の患者の蘇生のためにより効果の少ない手順に対してセットアップされた場合、その患者の回復の可能性は減少してしまう場合がある。ショックの適用が自発的な循環を復活させることにおいて成功する傾向が強い状態に患者を至らせ得る外部から駆り立てられる循環及び換気を提供することによって開始されるCPRが第一に行われる場合に、これらの患者の一部はより良い蘇生される機会を有するということがこれらの研究によって示されてきた。従って、一部の除細動器は、治療手順の選択において救助する者を指導し、経験が影響を与えたその治療手順は現在の患者の状態下でより効果的である。例えば、国際公開WO2006/136974号を参照されたい。
【0004】
間隔であって、その間にCPRが行われることになり、且つ、最も効果的でありそうな治療手順を救助する者が選ぶのを助ける間隔を提供することに加えて、上記の除細動器等のより進歩した除細動器は、米国特許第6,306,107号(Myklebust等)に記載されているようにCPRの適切な適用において救助する者を指導することができる。これらの除細動器には、救助する者が患者の胸部上に置くパッド又はパックであって、それに対して救助する者がCPRの胸部加圧を送達するパッド又はパックが装備される。胸部加圧は、機器によって生じるリズミカルな調子と同期させて適用される場合が多くある。胸部加圧の深さは最も優れた非侵襲性の血流の指標であるため、パッド又はパックは、各加圧の深さ並びに加圧の速度を測定するために使用される加速度計を含む。CPRが不適切に送達されることを加速度計の信号が示す場合、除細動器は、「もっと深く加圧する」よう、又は、「もっと速く加圧する」よう救助する者に指揮し、その結果、CPR加圧の適切な送達においてその救助する者を指導する、聞き取れる指示を発する。胸部加圧を監視することに加えて、これらの機器の一部は、患者の胸部インピーダンスにおける変化によって換気も監視する。換気が不適切に行われた場合、機器は、「さらに換気する」又は「換気をおさえる」よう聞き取れる指示を発することができる。
【0005】
その結果、救助する者が、(一般的に約6cmの)適切な深さ及び(一般的に1分あたりほぼ100回の加圧の)適切な率での胸部加圧を送達するよう熱心に働いている時に、その救助する者は、一定の指示メッセージ(prompt)の流れ及び情報をCPR機器から受けている。同時に、救助する者は、CPRの経過時間、及び、行われた胸部加圧の合計数を見失わないよう試みており、それは、救助手順が、全体目標としてこれらのパラメータを用いて一般的に設計されるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
救助する者が、胸部加圧の率及び深さの促進によって指導されながら救助の進行を直ちに見ることができるように、ひと目で確かめることができる簡単な方法でこの情報を救助する者に提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の原理によると、CPRの施行の進行を追跡及び表示するCPRメーターが提供される。その装置は、1又は複数のCPR間隔の持続時間、及び、そのCPR間隔の間に施行されることになる加圧の数を含む救助する者によって従われることになる1又は複数の救助手順を用いてプログラムすることができる。胸部加圧が施行されるに従い、装置は、送達された加圧の数、CPRの施行の経過時間、又は、その両方によってCPRの進行を視覚的に表示する。構成された実施形態において、この情報はCPR進行バーの形状で表示される。救助する者がCPR加圧を施行する時に、救助する者は時間の長さ、又は、最新のCPR間隔の間に送達された加圧若しくは送達されるべき残りの加圧をひと目で見ることができる。続いて起るCPR間隔は、予め選択された装置のCPR手順に従い、等しい若しくは異なる持続時間又は送達される加圧の間隔であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】測定される胸部加圧を患者の胸部に対して施行するためのCPRメーターを例示している。
【図2】CPR胸部加圧の施行における図1のCPRメーターの使用を例示している。
【図3】本発明の原理に従い構築された除細動器/監視装置のブロック図である。
【図4】本発明の原理に従いCPRメーターディスプレイを構成及び操作することにおけるステップの流れ図である。
【図5】CPR間隔の開始に先立つ、本発明の除細動器/監視装置の表示画面を例示している。
【図6】CPR施行中の図5の表示画面を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に従い適切なCPR胸部加圧を監視及び指導するために使用されるCPRメーター100を例示している。CPRメーター100は、胸部加圧が十分な深さのものであるかどうか、及び、胸部加圧のペース又は率が適当であるかどうかに対するフィードバックを提供すること等、患者にCPRを施行することにおいて救助する者をコーチするよう操作可能である。救助する者にCPRコーチングを提供することに加えて、CPRメーター100は、患者の脈拍等、救助する者によってCPRメーター100が取り付けられ且つCPRが施行される患者の生理学的特徴を感知するために1又は複数のセンサを含み得る。CPRメーター100内にセンサを含むことは、患者の胸部上のその位置を利用して、感知される生理学的特徴に関連する生理学的情報を感知及び集める。同じ情報は、次に、他の取得された生理学的情報と共に使用し、その特定の患者に対して、より特定の蘇生手順を創造することができる。
【0010】
CPRメーター100のハウジング118の上部120が図1に示されている。患者の胴を描いたイラスト110が、患者上のCPRメーター100の位置及び方向を例示するためにCPRメーター100の上部120上に含まれている。この位置では、上部120の反対の装置100の下部は、患者の胴と接触している。ケーブル130は、CPRメーター100が取り付けられる除細動器/監視装置等の医療装置に生理学的情報及び加圧信号を伝達するために使用される。あるいは、CPRメーターは、Bluetooth r.f.コミュニケーションによって等除細動器/監視装置と無線で通信することができる。
【0011】
図2に示されているように、患者210の胸骨上に配置されたCPRメーター100を用いて、救助する者220は、両手を使用し一方の手をもう一方の手に重ねて置いた従来の様式でCPR胸部加圧を適用するよう準備する。直接患者210の上に手を置く代わりに、CPRメーター100が、救助する者220によって直接加圧され、CPRメーター100を介して患者210に胸部加圧が適用される。胸部加圧は、従来のCPR手順によって、又は、救助する者又は救急医療救助サービスにより採用されるあつらえの手順によって規定されるように、救助する者220によって施行される。CPRメーターは、CPRメーター100のハウジング118の下側に存在する(図2において見ることはできない)接着剤層128によって、患者210に取り付けることができる。
【0012】
同じく図2に示されているように、AED又は監視装置/除細動器310は、電極316によって患者210に取り付けられる。除細動器310は、知られているように、心停止を被る患者210に除細動ショックを送達するために使用することができる。特に、除細動器は、心臓に高電圧のインパルスを送達して、自発的な循環によって達成されないVF又はVT等、不整脈を経験している患者において正常なリズム及び収縮機能を回復させることができる。
【0013】
電極316は、救助する者220によって患者210の胸部にわたって適用され、患者の心臓からECG信号を取得する。除細動器310は、次に、不整脈のサインに対してECG信号を分析する。VFが検出される場合、除細動器310は、ショックが勧められる救助する者220に信号を送る。VF又は他のショックを受けやすいリズムを検出した後、救助する者220は、次に、除細動器310上のショックボタンを押して、患者210を蘇生させるために除細動パルスを送達する。CPRメーター100は、加圧信号、及び、CPRメーター100に含まれるセンサによって得られた生理学的情報を除細動器310に提供するために、ケーブル130によって除細動器310に結合される。あるいは、加圧信号、及び、換気を検出するために電極316によって感知された胸部インピーダンス等の他の生理学的信号を分析する回路網を、ケーブル130によって又は無線で除細動器310に結合されたCPRメーター及び表示信号内に組み込むことができる。
【0014】
除細動器310として使用に適した監視装置/除細動器は、図3のブロック図の形態において示されている。図3において示された機器は、心室細動を経験している患者の除細動を行うことができる。自動除細動意思決定に必要な心臓の監視を含めたECG監視を行うこともできる。例示された監視装置は、SpO酸素感知、非侵襲性血圧監視、及び、終末呼気炭酸ガス濃度の監視をすることもできる。侵襲性血圧監視及び患者温度監視等の他の機能も、そのような多機能機器において見つけることができる。本発明によると、その機器も、適切なCPRの送達において救助する者を指導する。
【0015】
監視装置/除細動器は、患者に取り付けられるセンサに対する入力回路網である複数の患者フロントエンドを有する。この回路網は、ECG電極に対する、光学酸素センサに対する、圧力感知に対する、及び、二酸化炭素感知に対する等を含めて、従来の感知及び増幅回路網を含む。患者センサ及びフロントエンド回路網10によって受信された情報は、信号がすでにデジタル形状にない場合に、フロントエンドA/D変換器12によってデジタル化される。デジタル化された情報は、機器の種々のモジュール間でデータを接続するコミュニケーションバス60によって機器の処理回路網に結合される。本発明によると、進行中にCPRメーター100及びCPRの効果によって生成される信号も、有線接続又は無線接続によってバス60に結合される。
【0016】
監視装置/除細動器の機器は、除細動器の作動に対して高電圧回路網16を含む。高電圧回路網は、スイッチングロジック14によって適切な時間に、患者に適用される除細動器電極316に接続される除細動に必要な高電圧パルスを生成する。この回路網は、心室細動を中断し、心臓を正常なリズムに戻すために必要とされる高電圧ショックを提供する。除細動のために送達されるショックレベル及び波形は、監視装置内の処理装置によって自動的に計算することができるか、又は、経験豊かな医療技師又は医師によって機器の制御手段を用いて手動でセットすることができる。
【0017】
監視装置/除細動器の機器内のモジュールに対する電力は、電力操作回路20によって分配される。電力操作回路20は、バッテリー22から、AC電源24から、又は、DC電源26からの電力を分配する。AC及びDC電源も、監視装置がこれらの外部電力源
から電力を供給される場合に、バッテリーを充電する回路網に結合される。
【0018】
機器によって得られた情報は、コミュニケーション回路網30によって、他の機器又は位置に送ることができる。これは、ネットワーク接続、RS232接続、及び/又は、(Bluetooth、WiFi、若しくは、赤外線等の)無線接続を含み得る。コミュニケーション回路網を使用して、CPRメーター100と通信することもできる。
【0019】
監視装置/除細動器の機器は、キーパッド及び制御手段32によって操作及び調節される。構成された実施形態において、キーパッドは、環境条件に対して整合性を提供する薄膜キーパッドである。オン/オフスイッチ等の制御装置、除細動に対する電力レベル及びショック送達制御手段、プリンター、及び、他の機能も提供することができる。以下に記述するように、これらの制御手段を使用して、救助する者によって好まれる、特定のCPR手順に対する及び特定のタイプのCPR進行ディスプレイに対する監視装置/除細動器を構成することもできる。
【0020】
監視装置/除細動器は、中央処理装置(CPU)40の制御下で作動される。CPUは、読み取り専用メモリ(ROM)38上に記憶されたソフトウェアを動かす。フラッシュROMも、特徴セットアップ、及び、波形情報等の新たな又は特別な可能性の制御に対して提供される。リムーバブルメモリ36が、患者エピソードの間に生じた情報の記憶に対して提供される。除細動前後の心臓の波形(cardiac waveform)等の患者情報も、リムーバブルメモリ36上に記憶され、リムーバブルメモリは、再検討、記録、及び、後の診断のために、取り外す並びに後の介護者に与えることができる。リムーバブルメモリ36は、マイクロフォン48に話しかける介護者からの音声情報も記録することができる。
【0021】
ビーパー34は、短い「チャープ」音を生成する固体状態の音源を駆動するために使用される。これらの音は、機器の内在する自己診断テストが低いバッテリーレベル又は患者危篤の回路グループにおいて不調を検出したことを示す。低いバッテリーレベルを示すために、大きくて点滅する赤いXを提示する、又は、回路の故障を同定するために大きくて不動の赤いXを提示する専用ディスプレイも機器の前に存在する。
【0022】
音46が、ソフトウェアによって生成され、次に、スピーカー42を駆動させるために使用される。この能力は、各心臓周期に応じた短い音の生成において等、特定の監視機能の間に使用される。音の組み合わせが、患者の生命徴候測定値が選択された警告範囲外にある場合に聞き取れる警報及び警告を発するために使用される。スピーカー42は、予め録音された音声指示及び記憶された情報を再生することができ、ボイスアウト回路網44から再生することができる。
【0023】
本発明の原理によると、ディスプレイ50が、救助する者の病院又は救助サービスによりCPRに対して確立された手順に応じるために救助する者によって必要とされる情報の表示のために提供される。現在利用可能な装置は、その時計上で、若しくは、除細動器/監視装置上に表示された時間から経過時間を計算すること、又は、加圧を手動で数えることを使用者に強制する。本発明によると、ディスプレイ50は、進行バー等、プログラムされた時間又はカウントのグラフィカルな提示を含むCPR手順タイマーを含む。同様に表示されるには、CPRが行われた時、分、秒での経過時間であり、それは、最新のCPR間隔、CPRの合計時間、又は、その両方であり得る。ディスプレイ50は、CPR間隔の間に送達された加圧の合計数を数える加圧計数装置をさらに含む。
【0024】
本発明の実行は、プログラムされたCPR時間のグラフィカルなディスプレイ、CPR間隔の経過時間におけるスタンダードなデジタル時計タイプのディスプレイ、及び、加圧計数装置を含む。この情報を別々に又は共に使用して、CPRの進行及び効果に関する迅速且つ正確な情報をCPRで救助する者に提供することができる。一実施形態において、進行バーは、予めプログラムされたCPR時間又は適用される加圧に従い満ちる。進行バー内に含まれるのは、時、分、及び秒で経過時間として表示された表示されるCPR時間、並びに、各送達される加圧と共に増す加圧計数装置である。CPR時間及び加圧計数は、進行バーによって表示されるように、構成された時間が終了した後でさえも適切に増え続ける。あるいは、進行バーが各加圧と共に増すよう構成される場合、CPR間隔の経過時間は、隣接するディスプレイに示される。
【0025】
あるいは、表示された時間又は加圧計数は、予めプログラムされたCPR時間又は全加圧数からアップするのではなくゼロまでカウントダウンすることができる。ゼロに達すると、表示される時間又は計数は止まることができるか、又は、+0:43秒又は+20加圧等、特別な指示がこれは「追加の」CPR時間又は加圧であることを示しながらカウントアップし始めることができる。グラフィカルなディスプレイ情報は、使用者により構成されるように、加圧計数によって又は経過するCPR時間によって制御することができる。
【0026】
図4は、本発明の原理に従ったCPRメーター及びディスプレイを使用した場合の典型的なステップの順序を例示している。第1のステップ70は、CPR間隔の経過時間又は適用される加圧の数を表示するよう除細動器ディスプレイ進行バーを構成することである。これは、一般的に、除細動器の「構成モード」に入ることによって行われる。構成された実施形態において、除細動器は、2分間のCPR間隔に対してAmerican Heart Association(AHA)によって推奨されたCPR手順に対して予め構成された製造業者の製品である。そのCPR間隔の間、200回の胸部加圧が、1分あたり100回の加圧という好ましい率にて適用されることになる。ディスプレイは、ゼロからカウントし始めて、2分にて完全に満たされるまで段々に進行バーを満たしながら、進行バーがCPR間隔の経過した時間を示すように予め構成される。使用者は、この構成を受け入れるか、又は、進行バーが、200回の加圧の計数にて完全に満たされるまで各胸部加圧と共に増加して満たされる別の構成を選択することができる。使用者が表示されることになる情報のタイプを選択した後、その使用者は、時間が経過するか若しくは加圧が適用されるに従い進行バーにカウントアップさせるか又はカウントダウンさせるかどうかを選択することができる。
【0027】
ステップ72に示されているように、依然として構成モードにおいて、使用者は、適用される加圧の数及びCPR間隔の合計時間をセットするであろう。使用者は、2分間のCPR間隔及び200回の加圧という予め構成された値を受け入れることができるか、又は、使用者の救助サービス又は病院による使用中の救助手順によって指揮される他の値を選択することができる。使用者は、例えば5分の持続期間、及び、400回にて適用されることになる胸部加圧の数を有するようCPR間隔を構成することができる。医師若しくは組織による採用される手順又は新たなCPR手順の採用に従って、他のパラメータを選択するか又はリセットすることができる。
【0028】
このポイントにて、使用者は構成モードを終了することができ、全てのCPR間隔は、ステップ72においてセットされた時間及び計数変数による。任意選択で、使用者は、ステップ74で示されているように、さらなるCPR間隔に対して加圧の数及びCPR間隔時間をセットすることができる。これは、使用者が、異なるCPR間隔の順序に対して機器をプログラムするのを可能にする。例えば、救助する者の組織は、第1のCPR間隔が5分間続き、その間に、500回の胸部加圧が適用されるよう要求する手順を使用することができる。その手順は、後のCPR間隔が200回の胸部加圧の適用に対して2分間続くよう要求することができる。使用者は、連続して起るCPR間隔のパラメータが使用者の所望の手順に従いセットされるまでステップ74を繰り返す。このプログラミングが終了した場合、使用者はその手順を名づけ、その識別名の下、セーブすることができる。この様式で、機器は、多数の予めプログラムされた手順を記憶することができ、所望の予めプログラムされ且つ名づけられた救助手順を単にリコール及び選択することによって、使用するために選択することができる。
【0029】
上記の手順構成が終了した後、機器は、次の救助と共に構成された手順を実行するよう用意が出来ている。事故が起り、CPRメーター及び除細動器が救助用に必要とされた場合、ステップ76において、CPRメーター100は除細動器310に接続され、電極及びCPRメーターが患者に適用され、さらに、ステップ78において、ECG分析及び適切な電気療法と共にCPRを行うことができる。
【0030】
図5は、図3において例示されたように組み立てられた監視装置/除細動器の表示画面50を例示しており、その上で、本発明は実行されてきた。監視装置/除細動器が作動されると、事故経過時間カウンター82が、その事故に対する経過時間をカウントし始める。このパラメータは、「ダウン」時間、患者が意識を失った時間、又は、少なくとも監視装置/除細動器が患者を治療するよう初めに起動されてからの時間を考慮する場合に有用である。経過時間カウンター82の左には、監視装置/除細動器を用いて行われた2つの測定値、すなわち、72という心拍数の測定値及び120/50という血圧の測定値がある。これらのパラメータの下のディスプレイの領域には、患者のECG波形84の表示がある。ECG波形の下の情報は、除細動パルスに対するエネルギー選択制御は50ジュールにてセットされていること、及び、ゼロ回の除細動ショックが患者に送達されたことを救助する者に教えている。この情報の下の表示領域は、この例においては空白である。
【0031】
図5は、表示画面のうち2つのCPR関連領域も例示している。1つは、ディスプレイの上にある、CPRメーターのプラグが現在抜かれていて監視装置/除細動器に接続されていないことを救助する者に知らせるシステム状況通知86である。ディスプレイの下には、88にて「CPRを開始」と識別されたボタンがある。このボタンは、ボタンディスプレイのすぐ下にあるハードキーの現在の機能を識別しており、ボタンディスプレイが押されると、CPR間隔が開始する。この例においては、救助する者が取り付けられたCPRメーター100に対して胸部加圧を送達し始めるとCPR間隔は自動的に開始するため、このボタンの作動は、CPR間隔を開始するのに必ずしも必要であるというわけではない。図6に示されているように、ボタンを作動させることによって、ディスプレイにCPR間隔の表示を表示させ始める。CPR間隔の表示は、胸部加圧の開始と共に自動的に現れる。
【0032】
図6は、CPR間隔が開始された後の監視装置/除細動器のディスプレイ50を示しており、CPR間隔の表示が表示されている。CPR進行バー90が、ディスプレイの中程度に示されており、現在のCPR間隔中のCPRの進行をグラフを用いて例示している。この例では、進行バーは、白で輪郭を描かれ且つ初めに黒で満たされており、CPRが進行するに従い白で左から右に満ち始める。進行バーは、この例では、経過時間を示すよう構成されている。この例証では、進行バー90の左側約4分の1が満たされてきて、救助する者はその間隔の約4分の1を終えていることをひと目で救助する者に示していることが判る。バー内部の文字が表示される部分は経過時間を量的に示しており、この場合、31秒を示している。右端及び進行バーのすぐ上には、CPR間隔の合計時間、すなわち、この例においては2分(2:00)がある。進行バーの白の塗りつぶしが、バー内部の文字が表示される部分に達し、貫き続けるに従い、進行バーの白の塗りつぶしに対して明確に目に見えるように白の文字が表示される部分は黒に変わる。進行バー90の右には、CPR間隔におけるこのポイントにて43回の加圧が患者に施行されたことを示す加圧計数装置92がある。
【0033】
上記の他の構成において、進行バーは、各胸部加圧と共に増加して満ちる。バーの右側にある最大時間の文字が表示される部分の代わりに、完全なCPR間隔に対して、例えば、200回の(200)加圧等の最大加圧計数が示される。進行バーは、従って、患者に適用される胸部加圧ごとに、その領域の200分の1増える。「加圧」の文字が表示される部分92は、この場合、現在のCPR間隔の間に経過した時間と取り替えられる。
【0034】
表示領域94におけるこれらの文字が表示される部分の下には、CPR実行の他の測定がある。数字「91」は、1分あたりの加圧数である胸部加圧の率である。「血流のない秒数(No Flow sec)」の文字が表示される部分は、胸部加圧の施行における休憩の持続時間によって測定されたCPR間隔の間に患者の体における血流が促進されなかった場合の経過時間を与える。救助する者が胸部加圧の間に5秒間休むよう一時停止する場合、この文字が表示される部分は、例えば、5秒間患者の体において血流が促進されなかったことを示す。この計量の右には、1分あたりの呼吸数における換気の測定がある。この例では、このパラメータは、この例の患者がこのCPR間隔の間に換気されていないためゼロである。換気の文字が表示される部分の右には、米国公開特許出願第US2009/0024175号(Freeman)に記載されているような、換気中の患者の肺の塗りつぶしを例示している肺のアイコンがある。
【0035】
この情報の下には、胸部加圧の深さにおけるグラフィカルな例証96がある。この波形は、各胸部加圧と共に下の方へ傾き、加圧が解かれると上の方へ傾く。線97−99は、成人に対して名目上は6cmである加圧に対する所望の深さの正確な位置を示している。救助する者は、各加圧の谷を観察し、ディスプレイ上の線97と99との間の領域に達するように谷を傾けるよう試みることができる。この例では、各加圧の谷が線97の上にあり、救助する者は最も効果的なCPRに対して十分な深さまで患者の胸部を加圧していないことを意味していることが判る。
【0036】
進行バーが完全に満ちて、CPR間隔が終了した後、救助する者は、ディスプレイのCPR表示領域を、CO及びSpO等の他の患者パラメータのディスプレイに戻すためにStop CPRボタン88′を押すことができる。
【0037】
本発明の概念の変化は当業者に対して容易に生じる。例えば、進行バーは、経過時間も送達される加圧の数も考慮することによって増やすことができる。救助する者が要求された時間の半分(50%)で加圧を施行したが、要求された加圧の40%のみ送達した場合、45%の加重した進行を、進行バーによって示すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺蘇生法(CPR)の進行をCPR間隔の間に追跡するCPR装置であって:
患者への胸部加圧の適用を感知するセンサ;
感知した胸部加圧に反応して、所望の持続時間のCPR間隔の経過時間をグラフィカルに例示するCPRディスプレイ;
を含み、
前記CPRディスプレイは、CPR間隔の間にCPRの進行を例示するようリアルタイムで累進的に更新される、CPR装置。
【請求項2】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の経過時間の数字による例証をさらに含む、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項3】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の経過時間をグラフィカルに例示するために満たされる進行バーをさらに含む、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項4】
前記進行バー上に定められた前記CPR間隔の経過時間の数字による例証をさらに含む、請求項3に記載のCPR装置。
【請求項5】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の間に前記患者に適用される胸部加圧の数の表示をさらに含む、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項6】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の開始にてゼロの提示と共に始まり、前記所望の持続時間のCPR間隔に向かって前記CPR間隔の間に増やされる、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項7】
前記CPRディスプレイは、前記所望の持続時間のCPR間隔の提示と共に始まり、ゼロに向かって前記CPR間隔の間に減らされる、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項8】
心肺蘇生法(CPR)の進行をCPR間隔の間に追跡するCPR装置であって:
患者への胸部加圧の適用を感知するセンサ;
感知した胸部加圧に反応して、CPR間隔の間に適用される胸部加圧の数をグラフィカルに例示するCPRディスプレイ;
を含み、
前記CPRディスプレイは、CPR間隔の間にCPRの進行を例示するようリアルタイムで累進的に更新される、CPR装置。
【請求項9】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の間に適用される胸部加圧の数の数字による例証をさらに含む、請求項8に記載のCPR装置。
【請求項10】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の間に適用される胸部加圧の数をグラフィカルに例示するために満たされる進行バーをさらに含む、請求項8に記載のCPR装置。
【請求項11】
前記CPRディスプレイは、前記CPR間隔の経過時間の表示をさらに含む、請求項8に記載のCPR装置。
【請求項12】
CPR間隔の経過時間又はCPR間隔の間に適用される胸部加圧の数の前記CPRディスプレイによる前記グラフィカルな例証を選択するために、構成モードにおいてさらに操作可能である、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項13】
前記所望の持続時間のCPR間隔を選択するために、構成モードにおいてさらに操作可能である、請求項1に記載のCPR装置。
【請求項14】
CPR間隔の間に適用されることになる胸部加圧の合計数を選択するために、構成モードにおいてさらに操作可能である、請求項8に記載のCPR装置。
【請求項15】
前記CPR間隔の持続時間又はCPR間隔の間に適用されることになる胸部加圧の数のうち少なくとも1つを含んだCPR手順を記憶するよう操作可能であるメモリ装置をさらに含む、請求項1に記載のCPR装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−517866(P2012−517866A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550318(P2011−550318)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/024345
【国際公開番号】WO2010/096396
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】