説明

補聴器およびハウジング

【課題】 風ノイズの影響を受けにくくし、かつ、ハウリング現象を小さくする補聴器を提供する。
【解決手段】 外耳道(31)に挿入する外耳挿入部(22)と、耳(30)のクラックス(32)およびヘリックス部(33)の凹凸に沿う形状をなす凹凸底面部(23)と、その凹凸底面部(23)および前記外耳挿入部(22)に対向する外表部(25)と、その外表部(25)と前記凹凸底面部(23)と前記外耳挿入部(22)をつなぐ側面部(24)と、を有するハウジング(20)を備える。そのハウジング(20)の内部に、周囲音を受信するマイクロフォン(11)と、そのマイクロフォン(11)で受信した信号を処理する処理手段(12)と、その処理手段(12)で処理された出力音を前記外耳挿入部(22)から耳道(31)へ出力するレシーバ(13)と、を備える補聴器(10)に係る。前記マイクロフォン(11)を、前記ヘリックス部(33)側の側面部(24)へ取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風ノイズの影響を受けにくくし、ハウリングの発生を抑制した「耳あな形」の補聴器およびその補聴器に用いるケース(ハウジング)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、補聴器には耳穴に収まる小型サイズの「耳あな形」と、マイクロフォンや電源などの電子モジュールの多くを耳の後ろに位置させるハウジングへ収納する「耳かけ形」という二種類に大別される。 「耳あな形」は目立たない、「耳かけ形」はユーザ自身が調整などを行いやすい、といったメリットがある。
【0003】
従来の「耳あな形」の補聴器40は、図5に示すように、マイクロフォンやスピーカなどの主要な電子モジュールを内蔵するためのハウジング50を備える。そのハウジング50は、外耳道31に挿入する外耳挿入部52と、耳30のクラックス32およびヘリックス部33の凹凸に沿う凹凸形状をなす凹凸底面部53を有する。 さらに、その凹凸底面部53および前記外耳挿入部52に対向して位置し耳に装着されても外側に位置する外表部55と、その外表部55と前記凹凸底面部53と前記外耳挿入部52をつなぐ湾曲形状の側面部54を有する。
【0004】
ヘリックス部33とは、図6(A)に示すように、外耳道31の上外側に位置する耳30の凹部をいう。クラックス32とは、ヘリックス部33と外耳道31との間にある凸部をいう。
図6(B)は、補聴器40を耳30へ装着したときの状態を示す。上記のハウジング50は、外耳挿入部52を外耳道31へ挿入し、凹凸底面部53をクラックス32およびヘリックス部33に合わせるように装着される。
【0005】
ハウジング50の内部には、図5に示すように、周囲音を受信するマイクロフォン41と、そのマイクロフォン41で受信した信号を処理する処理機器42と、その処理機器42で処理された出力音を外耳道31へ出力するレシーバ43を備えている。 前記処理機器42には、音を増幅するアンプ部44、音質を調整するイコライザやボリューム調整つまみ46(図7)などのボリューム部45、電池部(図示を省略)などが含まれる。
【0006】
前記マイクロフォン41は、ハウジング50における外表部55に固定される。つまり、マイクロフォン41を外表部55に設けたマイク孔へ挿入し、外表部55の外表面へ露出する構成である。
また、前記レシーバ43は、前記処理機器42で処理された出力音を外耳道31へ出力するように、前記外耳挿入部52の先端に取り付けられる。
【0007】
さて前記ハウジング50は、図7(A)に示すように、外表部55と、その外表部55以外の部分であるシェル51に分割した状態で別々に形成される。
シェル51は、上記の外耳挿入部52、凹凸底面部53および側面部54からなり、ユーザの耳30から型取ったり、数種類の代表的な型から削り込んで成形される。いわゆるカスタムメイドである。
一方、外表部55は、それに加工する前の単なるプレートにおいて、予め、上記のマイクロフォン41、処理機器42およびレシーバ43をセットにて取り付けた形態である。 例えば、処理機器42のうちのボリューム部45、並びにマイクロフォン41と電池部は、前記プレートに直接的に取り付けている。また、アンプ部44およびレシーバ43は、ボリューム部45へ配線47にて接続した組立形態になっている。
【0008】
補聴器40を組み立てるには、まず、上記のプレートから外表部55を形成する。すなわち、外表部55は、シェル51の開口面51aの外形形状に合わせるようにプレートを加工して形成される。
次に、レシーバ43をシェル51における外耳挿入部52の先端へ取り付ける。
さらに、外表部55のボリューム部45へ配線47にて接続したアンプ部44などの他の処理機器42が、シェル51の内部へ組み込まれる。 その後、図7(B)に示すように、前記外表部55をシェル51の開口面51aへ接着剤などで接着してシェル51と一体化する。これで、ユーザの耳30に合った形態の補聴器40が完成する。
【0009】
従来の補聴器として、特許文献1に示される技術を説明する。この特許文献1の中の図2に示されるようにハウジングは上側面板、中空シェル・パーツを備える。上側面板は、電子モジュールを含む標準的な要素を有する。中空シェル・パーツは、補聴器のユーザに合わせて個別に製造される。
電子モジュールとしては、周囲音を受信する少なくとも一つの第一のマイクロフォン、周囲音を受信する第二のマイクロフォンを含む。さらに、第一のマイクロフォンおよび第二のマイクロフォンの少なくとも一つからの信号を処理する処理手段、ならびに出力トランスデューサを含む。
【0010】
第一のマイクロフォンは、上記ハウジングの凸状側面(上側面板)に形成されている。一方、第二のマイクロフォンは、上記ハウジングの凹状側面に形成されている開口の入口から管にて連通している。これにより、第二のマイクロフォンは、ユーザの頭部および耳介と協動して上記ハウジングによって、補聴器の通常使用時における風の影響に対して保護される工夫をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−211832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図5ないしは図7に示した技術は、補聴器40をユーザに装着すると、外部の音はマイクロフォン41にて受信され、そのマイクロフォン41で受信した信号が処理機器42にて音量増幅や音質調整されてからレシーバ43にて外耳道31へ出力する。
ユーザの身体の外を流れる風は、補聴器40の外表部55の凹凸によってカルマン渦が発生する。マイクロフォン41が外表部55に取り付けられているので、マイクロフォン41にてカルマン渦による風ノイズを拾ってしまうことがある。 その結果、ユーザによっては耳障りな音が聞こえてしまう場合があった。
【0013】
また、レシーバ43から外耳道31へ出力した出力音は、外耳挿入部52と外耳道31の隙間から外部へ漏れる。いわゆる「音漏れ」が生じる。その漏れた音は、図5に示すように、再びマイクロフォン41にて拾われるためにハウリング(ピーピー音)が発生することがある。
【0014】
特許文献1に開示された技術では、2つのマイクロフォンを使用することに関連し、第一のマイクロフォンがレシーバと対向する位置(外耳道の外側)に設置されているために、直に風ノイズの影響を受けることがあった。そのために、突発的なハウリングが起き易い。
また、第二のマイクロフォンは、ハウジングの凹状側面に形成されている開口の入口から管にて連通している。その入口は、耳のクラックスの内側に位置している。そのため、挿入部と耳穴の隙間から外部へ漏れた音は、図1の場合と同様に、再びマイクロフォンにて拾われるためにハウリングが発生する。
また、周囲音は、入口から管を通って第二のマイクロフォンに至る過程で、周波数特性が本来のものから変化してしまう。そのため、補聴器としての本来の機能を発揮させることを難しくしてしまう事態が発生することがあった。
【0015】
本願発明が解決しようとする課題は、風ノイズの影響を受けにくくし、かつ、ハウリング現象を小さくする補聴器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、 外耳道(31)に挿入する外耳挿入部(22)と、耳(30)のクラックス(32)およびヘリックス部(33)の凹凸に沿う形状をなす凹凸底面部(23)と、その凹凸底面部(23)および前記外耳挿入部(22)に対向する外表部(25)と、その外表部(25)と前記凹凸底面部(23)と前記外耳挿入部(22)をつなぐ側面部(24)と、を有するハウジング(20)を備え、 そのハウジング(20)の内部に、周囲音を受信するマイクロフォン(11)と、そのマイクロフォン(11)で受信した信号を処理する処理手段(12)と、その処理手段(12)で処理された出力音を前記外耳挿入部(22)から外耳道(31)へ出力するレシーバ(13)と、を備えた補聴器(10)に係る。 前記マイクロフォン(11)は、前記ヘリックス部(33)側の側面部(24)へ固定することとする。
【0017】
(作用)
補聴器(10)をユーザの耳(30)に装着すると、外部の音はマイクロフォン(11)にて受信され、そのマイクロフォン(11)で受信した信号が処理手段(12)にて音量増幅や音質調整されてからレシーバ(13)にて外耳道(31)へ出力する。
ユーザの身体の外を流れる風は、補聴器(10)の外表部(25)の凹凸によってカルマン渦が発生する。しかし、マイクロフォン(11)をヘリックス部(33)側の側面部(24)へ取り付けているので、カルマン渦による風ノイズの影響を受けにくい。そのため、風による突発的なハウリングや耳障りな音が起きにくい。
また、レシーバ(13)から外耳道(31)へ出力した出力音は、外耳挿入部(22)と耳道(31)の隙間から外部へ漏れる。しかし、その音漏れの伝播経路は、ヘリックス部(33)側の側面部(24)のマイクロフォン(11)までの距離が遠いので、ハウリングの耐性が強くなる。
また、ヘリックス部(33)は、雨、汗や汚れなどが入りにくいので、それらを原因とする補聴器(10)の故障率を減少させることに寄与する。
【0018】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のようなバリエーションを提供することもできる。
すなわち、 前記ハウジング(20)は、前記凹凸底面部(23)と前記外耳挿入部(22)と側面部(24)とで一体的に構成したシェル(21)と、外表部(25)とで分割形成し、 前記シェル(21)には、予め、前記ヘリックス部(33)側の側面部(24)へマイクロフォン(11)を取り付けるためのマイク孔(26)を設ける。
【0019】
(作用)
前記シェル(21)の側面部(24)へマイク孔(26)を予め設けているので、例えば外表部(25)へ予めセットで取り付けているマイクロフォン(11)を、前記マイク孔(26)へ簡単に取り付けることができる。
【0020】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、 前記マイクロフォン(11)は、できる限り前記凹凸底面部(23)の近くに配置することが望ましい。
【0021】
(作用)
マイクロフォン(11)をヘリックス部(33)の奥まった位置にすると、音漏れの伝播経路が遠くなると共に、外部の音を集音するための集音効果が向上する。
【0022】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、 前記マイクロフォン(11)を取り付ける箇所の側面部(24)は、へリックス部(33)に近接するように形成することとすると、より好ましい。
【0023】
(作用)
ハウリングは、マイクロフォン(11)の指向を変化させることによって、あるいは、外部の音が前記マイクロフォン(11)へ伝播するまでの経路の形状を変えることによって、減少する。
【0024】
(第二の発明)
第二の発明は、 外耳道(31)に挿入する外耳挿入部(22)と、耳(30)のクラックス(32)およびヘリックス部(33)の凹凸に沿う形状をなす凹凸底面部(23)と、その凹凸底面部(23)および前記外耳挿入部(22)に対向する外表部(25)と、その外表部(25)と前記凹凸底面部(23)と前記外耳挿入部(22)をつなぐ側面部(24)と、を有して形成される補聴器用のハウジングに係る。
すなわち、マイクロフォン(11)を取り付ける箇所の側面部は、へリックス部(33)に近接するように形成する。
【発明の効果】
【0025】
第一の発明によれば、風ノイズの影響を受けにくくし、かつ、ハウリングの発生を抑制する補聴器を提供することができた。
第二の発明によれば、風ノイズの影響を受けにくくし、かつ、ハウリングの発生を抑制する補聴器に用いるハウジングを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る補聴器を示す概略的な縦断面図である。
【図2】図1の補聴器を耳へ装着したときの状態を示す説明図である。
【図3】図3(A)は、図1の補聴器を分解した斜視図で、図3(B)は、図1の補聴器の全体的な斜視図である。
【図4】図1の補聴器における他の実施例を示す部分的な断面図である。
【図5】従来の補聴器を示す概略的な縦断面図である。
【図6】図6(A)は耳の名称を示す説明図、図6(B)は図5の補聴器を耳へ装着したときの状態を示す説明図である。
【図7】図7(A)は図5の補聴器を分解した斜視図、図7(B)は図5の補聴器の全体的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る補聴器10について図面を参照して説明する。ここで使用する図面は、図1から図4である。
【0028】
図1では、補聴器10をユーザの外耳道31へ装着した状態の縦断面を示している。補聴器10は、内部が空洞であるハウジング20を備える。そのハウジング20は、外耳道31に挿入する外耳挿入部22と、耳30のクラックス32およびヘリックス部33の凹凸に沿う凹凸形状をなす凹凸底面部23を有する。さらに、その凹凸底面部23および前記外耳挿入部22に対向する外表部25と、その外表部25と前記凹凸底面部23と前記外耳挿入部22をつなぐ湾曲形状の側面部24を有する。なお、補聴器10は耳あな形である。
【0029】
図2は、補聴器10を耳30へ装着したときの状態を示す。上記のハウジング20は、外耳挿入部22を外耳道31へ挿入し、凹凸底面部23をクラックス32およびヘリックス部33に合わせるように装着される。したがって、補聴器10は、耳30の外側から見ると、外耳道31、クラックス32およびヘリックス部33を覆うように装着される。
【0030】
ハウジング20の内部には、図1に示すように、周囲音を受信するマイクロフォン11と、そのマイクロフォン11で受信した信号を処理する処理機器12(処理手段)と、その処理機器12で処理された出力音を外耳道31へ出力するレシーバ13と、を備えている。 前記処理機器12には、音を増幅するアンプ部14、音質を調整するイコライザやボリューム調整つまみ16(図3を参照)などのボリューム部15、電池部(図示省略)などが含まれる。
【0031】
前記レシーバ13は、前記処理機器12で処理された出力音を外耳道31へ出力するように、前記外耳挿入部22の先端に取り付けられる。
【0032】
前記マイクロフォン11は、ハウジング20におけるヘリックス部33側の側面部24へ取り付けている。つまり、マイクロフォン11を側面部24のマイク孔26へ挿入し、側面部24に固定する構成である。 特に、マイクロフォン11は、できる限りハウジング20における凹凸底面部23の近くへ取り付けることが望ましい。その理由は、詳しくは後述するが、風ノイズの影響を受けにくくなることや、レシーバ13から出力した出力音の音漏れの伝播経路が遠くなることなどを挙げることができる。
【0033】
前記ハウジング20は、図3(A)に示すように、外表部25と、その外表部25以外の部分であるシェル21に分割した状態で別々に形成される。
シェル21は、上記の外耳挿入部22、凹凸底面部23および側面部24から構成され、ユーザの耳30から型どった形状である。 そのシェル21は、予め、前記ヘリックス部33側の側面部24へマイクロフォン11を取り付けるためのマイク孔26を設けている。
【0034】
一方、外表部25は、それに加工する前の単なるプレートにおいて、予め、上記のマイクロフォン11、処理機器12およびレシーバ13をセットにて取り付けた形態である。
例えば、処理機器12のうちのボリューム部15、並びに電池部(図示省略)は、前記プレートに直接的に取り付けている。また、マイクロフォン11、アンプ部14およびレシーバ13は、ボリューム部15へ配線17にて接続した組立形態になっている。つまり、マイクロフォン11は、従来のようにプレートへ直接的に取り付けておらず、配線17にてつながっている。
【0035】
補聴器10を組み立てるには、まず、上記のプレートから外表部25を形成する。すなわち、外表部25は、シェル21の開口面21aの外形形状に合わせるようにプレートを加工して形成される。
次に、レシーバ13をシェル21における外耳挿入部22の先端へ取り付ける。
さらに、外表部25のボリューム部15へ配線17にて接続したマイクロフォン11は、ヘリックス部33側の側面部24の内側へ固定される。つまり、マイクロフォン11をシェル21におけるマイク孔26へ装着する。
【0036】
また、外表部25のボリューム部15へ配線17にて接続したアンプ部14などの他の処理機器12が、シェル21の内部へ組み込まれる。 その後、図3(B)に示すように、前記外表部25をシェル21の開口面21aへ接着剤などで接着してシェル21と一体化する。これで、ユーザの耳30に合った形態の補聴器10が完成する。
【0037】
補聴器10をユーザの耳30に装着すると、外部の音はマイクロフォン11にて受信され、そのマイクロフォン11で受信した信号が処理機器12にて音量増幅や音質調整されてからレシーバ13にて外耳道31へ出力する。
【0038】
ユーザの身体の外を流れる風は、補聴器10の外表部25の凹凸によってカルマン渦が発生する。しかし、マイクロフォン11は、外表部25に取り付けておらず、シェル21におけるヘリックス部33側の側面部24へ取り付けているので、カルマン渦による風ノイズの影響を受けにくい。実際、風はヘリックス部33へ入りにくい。そのため、風による突発的なノイズや耳障りな音が起きにくい。
【0039】
また、レシーバ13から外耳道31へ出力した出力音は、外耳挿入部22と外耳道31の隙間から外部へ漏れる。いわゆる、音漏れが生じる。しかし、その音漏れの伝播経路は、図1に示すように、ヘリックス部33側の側面部24のマイクロフォン11までの距離が、従来の場合より遠くなるので、ハウリングの耐性が強くなる。
【0040】
なお、上記のハウリングは、前記マイクロフォン11の指向を変化させることによって、減少することができる。あるいは、外部の音が前記マイクロフォン11へ伝播するまでの経路の形状を変えることによって、上記のハウリングを減少することができる。そこで、図4に示すように、ハウジング20において、前記マイクロフォン11を取り付ける箇所の側面部24は、ハウリングを減少するように角度θを形成することが効果的となる。 図4では、角度θは、外部の音が伝播する方向に対する角度を示している。
【0041】
また、マイクロフォン11がヘリックス部33に位置するので、雨、汗や汚れなどがマイクロフォン11のマイク孔26に入りにくい。そのため、それらを原因とする補聴器10の故障発生を抑制することに寄与する。
【0042】
また、マイクロフォン11をできる限りハウジング20における凹凸底面部23の近くへ取り付けることによって、ヘリックス部33の奥まった位置になる。そのため、音漏れの伝播経路が遠くなるのでハウリングの減少に寄与し、外部の音を集音するための集音効果が向上する。
また、マイク孔26とマイクロフォン11の間は、特許文献1のように管にて連通していないので、マイク孔26とマイクロフォン11との距離が殆ど0(ゼロ)mmであり、周波数特性が変化しにくい。そのため、補聴器を介してユーザが聞く音を加工する必要性が低く、ソフトウェアやハードウェアを単純化することにも寄与する。
【0043】
以上のように、風ノイズの影響を受けにくくし、かつ、ハウリング現象を小さくする補聴器10を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、補聴器の製造業、補聴器に関するソフトウェアを開発するソフトウェア開発業、補聴器に関する修理や改良を受ける補聴器関連サービス業などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0045】
10 補聴器 11 マイクロフォン
12 処理機器(処理手段) 13 レシーバ
14 アンプ部 15 ボリューム部
16 ボリューム調整つまみ 17 配線
20 ハウジング 21 シェル
21a 開口面 22 外耳挿入部
23 凹凸底面部 24 側面部
25 外表部 26 マイク孔
30 耳 31 耳道
32 クラックス 33 ヘリックス部
(従来の技術)
40 耳穴補聴器 41 マイクロフォン
42 処理機器 43 レシーバ
44 アンプ部 45 ボリューム部
46 ボリューム調整つまみ 47 配線
50 ハウジング 51 シェル
51a 開口面 52 外耳挿入部
53 凹凸底面部 54 側面部
55 外表部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外耳道に挿入する外耳挿入部と、耳のクラックスおよびヘリックス部の凹凸に沿う形状をなす凹凸底面部と、その凹凸底面部および前記外耳挿入部に対向する外表部と、その外表部と前記凹凸底面部と前記外耳挿入部をつなぐ側面部と、を有するハウジングを備え、
そのハウジングの内部には、周囲音を受信するマイクロフォンと、そのマイクロフォンで受信した信号を処理する処理手段と、その処理手段で処理された出力音を前記外耳挿入部から外耳道へ出力するレシーバと、を備えた補聴器であって、
前記マイクロフォンは、前記ヘリックス部側の側面部へ固定することとした補聴器。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記凹凸底面部と前記外耳挿入部と側面部とで一体的に構成したシェルと、外表部とで分割形成し、
前記シェルには、予め、前記ヘリックス部側の側面部へマイクロフォンを取り付けるためのマイク孔を設けた請求項1に記載の補聴器。
【請求項3】
前記マイクロフォンは、前記凹凸底面部の近傍へ配置した請求項1または請求項2に記載の補聴器。
【請求項4】
前記マイクロフォンを取り付ける箇所の側面部は、へリックス部に近接するように形成した請求項1、請求項2または請求項3に記載の補聴器。
【請求項5】
外耳道に挿入する外耳挿入部と、耳のクラックスおよびヘリックス部の凹凸に沿う形状をなす凹凸底面部と、その凹凸底面部および前記外耳挿入部に対向する外表部と、その外表部と前記凹凸底面部と前記外耳挿入部をつなぐ側面部と、を有して形成される補聴器用のハウジングであって、
マイクロフォンを取り付ける箇所の側面部は、へリックス部に近接するように形成したハウジング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−23669(P2012−23669A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161836(P2010−161836)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(506397257)株式会社 スターキージャパン (4)