説明

補聴器および補聴器の製造方法

【課題】 ベント孔を従来よりも格段に大きくして、耳穴型の補聴器ユーザの籠もり感を軽減する。
【解決手段】 補聴器の外形をなすシェル(10)と、そのシェル(10)の外方側と正中側とを連通するベント孔(20)と、前記シェル(10)の外方側に備えたマイクロホン(13)と、前記シェル(10)の正中側に備えたレシーバ(14)と、を備え、ベント孔(20)の外方側口には、ベント孔(20)を塞ぐことなく覆う迂回壁(25)を形成する。ベント孔の大きさに関する設計の自由度が確保され、ユーザの籠もり感が軽減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、耳穴型の補聴器の構造およびその製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
補聴器は、外部音を増幅して内耳に音出力として利用するものである。したがって、外部音声を取り込むマイクロホンと、音声処理部にて増幅された外部音声を正中側に出力するレシーバが必要である。
【0003】
耳穴型の補聴器(以下、単に「補聴器」と記載した場合には耳穴型の補聴器を指すこととする)は外耳道に入れて使用する為、小型であることが望ましいが、小型になればなるほど、マイクロホンとレシーバの位置が近い構造になってしまう。そうした構造では、レシーバから出力された音がマイクロホンにまわりこみ、一定音量を超えた時にはハウリングが発生する。
近年の補聴器には、ハウリングを抑制するため、様々な技術が導入され、また色々な工夫がなされている。
【0004】
さて、補聴器は、ユーザの外耳道にフィッティングする形状に設計される。このため、ユーザが耳穴型補聴器を装着した場合には、耳せんをしている状態に近く、閉塞感を感じる場合がある。レシーバからの出力音については、可聴帯域の低域部が聴こえ辛くなる(籠もって聞こえる)。これらの不快感は、「籠もり感」と言われる。
現状の補聴器ユーザからは、こうした「籠もり感」を改善したいというニーズが多い。この籠もり感を軽減するため、補聴器によって区切られる外耳道の外方側と正中側を連通させる空気孔(一般的には「ベント孔」)を設けることが一般的である。
【0005】
籠もり感の軽減のため、特許文献1に記載されたような技術が提供されている。この特許文献1では、貫通孔を、第一貫通孔および第二貫通孔というように二つ設けることによって籠もり感による不快感を軽減しようというものである。
【特許文献1】特開2002−345090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、ベント孔の大きさと籠もり感とはトレードオフの関係にある。すなわち、籠もり感を解消したいというニーズをかなえるにはベント孔を大きくすればよいのであるが、大きくすることでハウリングが発生しやすくなってしまう。同時にユーザが聴く音質が劣化する原因ともなる。
しかし、ハウリングを抑制したいためにベント孔を小さくすると、ユーザが感じる籠もり感を解消できない。
【0007】
本願発明が解決すべき課題は、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる補聴器を提供することにある。
請求項1から請求項7に記載の発明の目的は、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる補聴器を提供することである。
請求項8から請求項10に記載の発明の目的は、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる補聴器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するために鋭意研究した本願発明の発明者は、マイクロホンとベント孔の位置関係について、実質的に距離を稼ぐことでハウリングを抑制できる構成を見出した。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、 補聴器ユーザの外耳道に装着して使用する耳穴型の補聴器に係る。
その補聴器は、その補聴器の外形をなすシェルと、 そのシェルの外方側と正中側とを連通するベント孔と、 前記シェル内の外方側に備えたマイクロホンと、 前記シェル内の正中側に備えたレシーバと、 前記シェル内に内蔵される音声処理部およびバッテリとを備え、 ベント孔の外方側口には、ベント孔を塞ぐことなく覆う迂回壁を備えたことを特徴とする。
【0010】
(作用)
迂回壁が存在することによって、マイクロホンとベント孔の位置関係について、実質的な距離が長くなり、ハウリングが発生しにくくなる。このため、ベント孔の大きさに関する設計の自由度が確保され、ユーザの籠もり感を軽減する補聴器を提供することに寄与する。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の補聴器を限定したものであり、
前記ベント孔における外方側開口部の外周は、25ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする。
【0012】
ベント孔についての「外方側開口部の外周が25ミリメートルを超える」とは、以下のような趣旨である。
すなわち、耳穴型補聴器は、そのユーザに合わせて作製するカスタムメイドであり、ベント孔の形状についても円形や楕円形、長方形などさまざまであるため、ベント孔の外周の寸法について着目し、一定基準を設けた、という趣旨である。
なお、このようなベント孔は、ハウリングが抑止される範囲内で設計される。
【0013】
(作用)
外方側開口部の外周が25ミリメートルを超えるベント孔を備える補聴器であるので、従来の補聴器に比べて、籠もり感が格段に小さい。
大きなベント孔が存在することによってハウリングが発生しやすくなるが、迂回壁が存在するのでマイクとスピーカとの距離が稼がれることによって、ハウリングの発生は抑制される。
【0014】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の補聴器を限定したものであり、
前記ベント孔における正中側開口部の外周は、16ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする。
【0015】
(用語説明)
ベント孔についての正中側開口部の外周が16ミリメートルを超える」とは、請求項1の用語説明と同趣旨であり、
カスタムメイドである補聴器に、一定基準を設けた、という趣旨である。
なお、このようなベント孔もまた、ハウリングが抑止される範囲内で設計される。
【0016】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の補聴器を限定したものであり、
前記ベント孔における外方側開口部の断面積は、30平方ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする。
【0017】
(用語説明)
ベント孔の開口部の断面積とは、「ベント孔の孔方向に垂直な断面積」とする。ベント孔は必ずしも真っ直ぐではないが、その場合には孔の方向を合理的に決定し、その方向に垂直な断面とする。
なお、このようなベント孔は、ハウリングが抑止される範囲内で設計されている。
【0018】
(作用)
外方側開口部の断面積が30平方ミリメートルを超えるベント孔を備える補聴器であるので、従来の補聴器に比べて、籠もり感が格段に小さい。
大きなベント孔が存在することによってハウリングが発生しやすくなるが、迂回壁が存在するのでマイクとスピーカとの距離が稼がれることによって、ハウリングの発生は抑制される。
【0019】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の補聴器を限定したものであり、
前記ベント孔における正中側開口部の断面積は、15平方ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする。
【0020】
(作用)
正中側開口部の断面積が15平方ミリメートルを超えるベント孔を備える補聴器であるので、従来の補聴器に比べて、籠もり感が格段に小さい。
大きなベント孔が存在することによってハウリングが発生しやすくなるが、迂回壁が存在するのでマイクとスピーカとの距離が稼がれることによって、ハウリングの発生は抑制される。
【0021】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の補聴器を限定したものであり、
前記音声処理部は、マイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にはマイクロホンからの入力音におけるハウリングの原因となる周波数帯の利得または位相を制御する機構を備えたことを特徴とする。
【0022】
(作用)
音声処理部はマイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にはマイクロホンからの入力音におけるハウリングの原因となる周波数帯の利得または位相を制御する。
このため、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる。
【0023】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の補聴器を限定したものである。
すなわち、前記音声処理部は、マイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にハウリングの原因となるレシーバの出力を制御する機構を備えたことを特徴とする。
【0024】
(作用)
音声処理部はマイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にハウリングの原因となるレシーバの出力を制御する。
このため、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる。
【0025】
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、 補聴器ユーザの外耳道に装着して使用する耳穴型の補聴器の製造方法に係る。
当該補聴器は、 その補聴器の外形をなすシェルと、 そのシェルの外方側と正中側とを連通するベント孔と、 前記シェル内の外方側に備えたマイクロホンと、 前記シェル内の正中側に備えたレシーバと、 前記シェル内に内蔵される音声処理部およびバッテリとを備える。
補聴器の製造方法は、 当該補聴器に係るユーザの外耳道の形状を型取る型取り工程と、 その型取り工程に基づいて前記シェルに備えられるマイクロホン、レシーバ、音声処理部およびバッテリの配置を決定して配置する設定位置決定工程と、 シェル部材において外方側と正中側とを連通する前記ベント孔の位置および形状を設計するベント孔設計工程と そのベント孔設計工程によって決定されたベント孔の位置および形状に基づいて前記迂回壁の位置および形状を設計する迂回壁設計工程とを含むこととする。
【0026】
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の補聴器の製造方法を限定したものである。
すなわち、前記ベント孔設定工程において設計するベント孔の外方側開口部は、その外周が25ミリメートルを超えるか、断面積が30平方ミリメートルを超えるように設計することとする。
【0027】
ベント孔の外方側開口部は、以下の三パターンのいずれかに該当することとなる。
第一に外周が25ミリメートルを超えているパターン、第二に断面積が30平方ミリメートルを超えているパターン、第三に外周が25ミリメートルを超え且つ断面積が30平方ミリメートルを超えているパターン、である。
【0028】
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9のいずれかに記載の補聴器の製造方法を限定したものである。
すなわち、前記ベント孔設定工程において設計するベント孔の正中側開口部は、その外周が16ミリメートルを超えるか、断面積が15平方ミリメートルを超えるように設計することとする。
【0029】
ベント孔の正中側開口部は、以下の三パターンのいずれかに該当することとなる。
第一に外周が16ミリメートルを超えているパターン、第二に断面積が15平方ミリメートルを超えているパターン、第三に外周が16ミリメートルを超え且つ断面積が15平方ミリメートルを超えているパターン、である。
【発明の効果】
【0030】
請求項1から請求項7に記載の発明によれば、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる補聴器を提供することができた。
請求項8から請求項10に記載の発明によれば、ハウリングの発生を抑制しつつ、できる限り大きなベント孔を形成して籠もり感の軽減、音質劣化の軽減を図ることができる補聴器の製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本願発明を実施形態および図面に基づいて、更に詳しく説明する。
ここで用いる図面は、図1から図4である。図1から図3は、本願発明に係る実施形態を示し、図4は比較のために用いる従来の補聴器である。
【0032】
(図1)
図1に示す補聴器は、ユーザの外耳道に装着して使用する耳穴型の補聴器である。
補聴器の外形をなすシェル10と、 そのシェル10の外方11側から正中12側を貫通するベント孔20と、 前記シェル10の外方11側に備えたマイクロホン13と、 前記シェル10の正中12側に備えたレシーバ14と、 前記シェル10内に内蔵される音声処理部およびバッテリと、を備える。 バッテリは、ボタン型の小型電池であり、シェル10の外方11側に備えられたバッテリ収納部15から着脱可能となっている。
ベント孔20の外方側口には、ベント孔20を塞ぐことなく覆う迂回壁25を備えている。
【0033】
(図2)
図2(a)は、正面側(便宜上、正面とする)からの側面図であり、図2(b)は、背面側(便宜上、背面とする)からの側面図である。
前述の迂回壁25は、ベント孔20に被さるようにして覆っている。また、外方11側から見た場合、マイクロホン13と迂回壁25とは、互いに遠いポジションに配置されている。
【0034】
詳しい図示は省略するが、外方11側から見たベント孔20の横幅の最大寸法Daは、14.0ミリメートルであった。また、その最大寸法Daに直角な方向におけるベント孔20の縦幅寸法Haは、5.5ミリメートルであった。また、周囲長さは、約33ミリメートルであった。
一方、正中12側から見たベント孔20の横幅の最大寸法Dbは、7.0ミリメートルであった。また、その最大寸法Dbに直角な方向におけるベント孔20の縦幅寸法Hbは、5.5ミリメートルであった。また、周囲長さは、約25ミリメートルであった。
【0035】
前記のベント孔20における孔方向に垂直な断面積を求める。ベント孔は必ずしも真っ直ぐではないが、その場合には孔の方向を合理的に決定し、その方向に垂直な断面として求めると、外方11側が約38.5平方ミリメートル、正中12側が約35平方ミリメートルであった。
【0036】
(図4)
図4に示すのは、従来の補聴器である。基本的な構造はほぼ同様であり、図4(a)に示すように、シェル30の外方側にバッテリ収納部35、図示を省略したマイクロホンがあり、ベント孔40が設けられている。そして、そのベント孔40は、図4(b)に示すように、正中側に貫通している。
【0037】
この補聴器のベント孔は、ほぼ円形をなしており、その直径は外方側が約2.0ミリメートル、正中側が約1.5ミリメートルであった。この数値から外周を求めると、外方側が約6.3ミリメートル、正中側が約4.7ミリメートルとなる。また、外方側が断面積は約3.1平方ミリメートル、正中側が約1.8平方ミリメートルとなる。但し、前述したように補聴器はカスタムメイドであり、ユーザの耳の形状によって外周および断面積は、多少の差が生じる。
【0038】
本実施形態に係る補聴器と従来の補聴器とを比較すると、外方側の周囲長さが33:6.3で、約5.2倍となり、正中側の周囲が25:4.7で、約11.8倍となった。断面積にて比較すると、外方側で38.5:3.1で、約12.4倍となり、正中側で33:1.8で、約18.3倍となった。
【0039】
図示は省略するが、従来の補聴器における最大のベント孔を備えているであろう製品のサンプルにおいて、同様の測定をした。
外方側の外周が約17ミリメートル、正中側の外周が約12ミリメートルであった。また、断面積は、外方側が約17平方ミリメートル、正中側が約10平方ミリメートルであった。
これと比較しても、外方側の周囲長さが33:17で、約1.9倍、正中側の周囲長さが25:12で、約2.1倍となる。また、断面積にて比較すると、外方側で38.5:17で、約2.3倍となり、正中側で35:10で、約3.5倍となった。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る補聴器のベント孔は、周囲長さおよび断面積という異なる基準にて比較した場合、最低でも約2倍の大きさを確保している。このため、補聴器のユーザとしては、籠もり感の軽減、解消につながる補聴器を使用することができる。
【0041】
図3では、本実施形態によるハウリングの発生およびその抑制について示している。
図3(a)は、図1および図2に示す実施形態が使用された状態を示す。また、図3(b)は、第二の実施形態が使用された状態を示す。
【0042】
図3(a)に示すように、マイクロホン13から入力された音声は、シェル10内の音声処理部を介してレシーバ14に出力される。その出力音声がベント孔20を介してマイクロホン13から入力されるとハウリングが生じることとなる。
しかし、迂回壁25が存在するのでハウリングの原因となる音声がマイクロホン13に届きにくくなり、ハウリングの発生が抑制される。その一方、ベント孔20は実質的に小さくなったわけではないので、籠もり感は軽減されるという効果は保たれる。
【0043】
ベント孔を大きくするほど、「篭もり感」は軽減されるが、逆にハウリングを起こしやすい形状になる。 但し、本実施形態を採用し、ベント孔20を大きくしても、迂回壁25をそれに応じて大きくすることで、ハウリングの発生を抑制することができる。
図3(b)は、図3(a)の補聴器よりさらに「篭もり感」を軽減する為に、ベント孔及び迂回壁を格段に大きくした補聴器である。
【0044】
前述した実施形態では、迂回壁25の存在によってハウリング発生を抑制しているが、より効果的にハウリングを抑制するためには、シェル10内に備えられる音声処理部にハウリング抑制機構を備えるとよい。
この機構は、マイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にはマイクロホンからの入力音におけるハウリングの原因となる周波数帯の利得と位相を制御る機構、マイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にハウリングの原因となるレシーバの出力を制御する機構、の二種類が代表的である。
両機構を組み合わせ、併用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本願発明は、補聴器の製造業、補聴器のメンテナンス業、補聴器のレンタル業などにおいて、利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る補聴器の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る補聴器の正面図および背面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る補聴器の使用状態を示す断面図である。
【図4】従来の補聴器を示す正面および背面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 シェル 10a 支持片
11 外方
12 正中 13 マイクロホン
14 レシーバ 15 バッテリ収納部
20 ベント孔 25 迂回壁
30 シェル 35 バッテリ収納部
40 ベント孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補聴器ユーザの外耳道に装着して使用する耳穴型の補聴器であって、
その補聴器の外形をなすシェルと、 そのシェルの外方側と正中側とを連通するベント孔と、 前記シェル内の外方側に備えたマイクロホンと、 前記シェル内の正中側に備えたレシーバと、 前記シェル内に内蔵される音声処理部およびバッテリとを備え、
ベント孔の外方側口には、ベント孔を塞ぐことなく覆う迂回壁を備えたことを特徴とする補聴器。
【請求項2】
前記ベント孔における外方側開口部の外周は、25ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の補聴器。
【請求項3】
前記ベント孔における正中側開口部の外周は、16ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の補聴器。
【請求項4】
前記ベント孔における外方側開口部の断面積は、30平方ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の補聴器。
【請求項5】
前記ベント孔における正中側開口部の断面積は、15平方ミリメートルを超えるように形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の補聴器。
【請求項6】
前記音声処理部は、マイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にはマイクロホンからの入力音におけるハウリングの原因となる周波数帯の利得または位相を制御する機構を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の補聴器。
【請求項7】
前記音声処理部は、マイクロホンからの入力音からハウリングの発生を予測し、発生が予測された場合にハウリングの原因となるレシーバからの出力を制御する機構を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の補聴器。
【請求項8】
補聴器ユーザの外耳道に装着して使用する耳穴型の補聴器の製造方法であって、
当該補聴器は、 その補聴器の外形をなすシェルと、 そのシェルの外方側と正中側とを連通するベント孔と、 前記シェル内の外方側に備えたマイクロホンと、 前記シェル内の正中側に備えたレシーバと、 前記シェル内に内蔵される音声処理部およびバッテリとを備え、
当該補聴器に係るユーザの外耳道の形状を型取る型取り工程と、
その型取り工程に基づいて前記シェルに備えられるマイクロホン、レシーバ、音声処理部およびバッテリの配置を決定して配置する設定位置決定工程と、
シェル部材において外方側と正中側とを連通する前記ベント孔の位置および形状を設計するベント孔設計工程と
そのベント孔設計工程によって決定されたベント孔の位置および形状に基づいて前記迂回壁の位置および形状を設計する迂回壁設計工程とを含むこととした補聴器の製造方法。
【請求項9】
前記ベント孔設定工程において設計するベント孔の外方側開口部は、その外周が25ミリメートルを超えるか、断面積が30平方ミリメートルを超えるように設計することとした請求項8に記載の補聴器の製造方法。
【請求項10】
前記ベント孔設定工程において設計するベント孔の正中側開口部は、その外周が16ミリメートルを超えるか、断面積が15平方ミリメートルを超えるように設計することとした請求項8または請求項9のいずれかに記載の補聴器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−199193(P2008−199193A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30653(P2007−30653)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(506397257)株式会社 スターキージャパン (4)