説明

製本検査システム

【課題】乱丁や落丁などの異常が見逃されて製本されてしまうことを防ぐ。
【解決手段】乱丁・落丁検査装置2より動作モード信号を監視制御装置4へ送る。監視制御装置4は、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モード(「検査中」)から非検査モード(「登録中」/「設定変更中」/「停止中」)とれた場合、丁合機1の動作を停止し、綴機5への折丁の供給を阻止する。なお、丁合機1と綴機5との間に排出機を設け、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとされた場合、丁合機1の動作を停止せずに、丁合機1内の折丁を排出するようにしてもよい。また、折丁の排出数が所定値に達した場合、丁合機1の動作を停止させるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製本用機器内における検査対象の正常/異常を検査する製本検査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、製本用機器の1つとして用いられている丁合機は、製本に供される複数種の折丁の束をそれぞれ収容する複数のストッカ(駒)を備え、各ストッカから各折丁を1枚ずつ抜き出して順に重ね合わせながら搬送し、これによって丁合した折丁の束を綴機(後工程)へ供給する役割を果たす。
【0003】
この種の丁合機では、乱丁の発生が問題となる。この場合、乱丁の主たる発生の要因は、(1)各ストッカにそれぞれ収納する折丁の束の中に他の折丁が混入している場合、(2)印刷の工程で1つの折丁の中に他のページが印刷された場合、(3)ストッカに収納する折丁の種類を間違えた場合等である。
【0004】
そこで、従来では一般的に、予め各折丁の画像を登録しておき、各ストッカから1枚ずつ抜き出す折丁を検査対象として撮像し、この撮像した折丁の画像(検査対象画像)と登録されている折丁の画像(登録画像)とを照合することで、その折丁の正当性を確認するようにしている。
【0005】
具体的には、検査対象画像と登録画像とを比較し、例えばその類似度から画像が一致していると判定した場合には、これを正丁として検出し、丁合機の動作を継続させる。これに対し、画像が異なると判定した場合には、これを乱丁として検出し、丁合機の動作を停止する(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
更に、丁合により所定の順序で順次重ね合わせられる隣接駒間の折丁の登録画像が似ている場合、例えば前述したように各ストッカ(駒)にそれぞれ収納する折丁の種類を間違えて、同じ種類の折丁を隣接するストッカにそれぞれ収納しても、これらのストッカ(駒)から抜き出した折丁をそれぞれ正丁として判定する虞があるが、それを考慮して各折丁の登録画像を決定する際に隣接駒間の登録画像どうしを比較して相互に類似しない画像とするように工夫している(例えば、特許文献3,4)。
【0007】
また、この種の丁合機では、落丁の発生も問題となる。このため、例えば、特許文献5では、丁合検査時にスタート信号が出力されてからエンコーダの出力パルス信号の総和が所定数に達しても判定結果が得られない場合には、すなわち規定時間の間に照合結果が得られない場合には、落丁と判断し、丁合機の動作を停止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−48634号公報
【特許文献2】特開2000−343855号公報
【特許文献3】特開平11−219434号公報
【特許文献4】特開2007−136925号公報
【特許文献5】特開2006−110839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した乱丁や落丁などを検査する装置では、丁合機の動作中、一時的に乱丁や落丁などの検査を行っていない状況が生じることがある。例えば、丁合機の動作中、検査対象となる折丁の登録処理を行ったり、検査装置の設定変更処理などを行ったり、誤って検査装置を停止したような場合、そのような状況が発生する。
【0010】
このような状況において、乱丁や落丁などが生じた場合、その異常が見逃されて製本されてしまい、市場に出てしまう虞がある。また、人為的に検査装置を途中で停止させた後、確認もせずに丁合機を動かしてしまったような場合にも検査抜けが発生し、同様の問題が生じる可能性がある。
【0011】
また、この問題は丁合機のみならず、表紙や裏表紙を検査対象とする綴機、応募はがきやCD−ROMなどを検査対象とする張込機、カバーを検査対象とするカバー掛け機、裁断された印刷物を検査対象とする折り機、印刷物を検査対象とする印刷機などの製本用機器でも、同様にして発生する可能性があった。
【0012】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、乱丁や落丁などの異常が見逃されて製本されてしまうことを防ぐことが可能な製本検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために本発明は、製本用機器内における検査対象の画像データを検査対象画像として取込み、この取り込んだ検査対象画像と登録画像とを比較することによって、検査対象の正常/異常を検査する検査装置を備えた製本検査システムにおいて、検査装置の動作モードが検査対象の正常/異常を検査する検査モードにあるのか停止中を含む非検査モードにあるのかを監視し、検査装置の動作モードが検査モードから非検査モードとされた場合、製本用機器内の検査対象の後工程への供給を阻止する監視制御手段を設けたものである。
【0014】
本発明では、検査装置の動作モードが検査モードから非検査モードとされると、製本用機器内の検査対象の後工程への供給が阻止される。これにより、検査装置によって検査されていない検査対象が後工程へ送られることがなくなり、乱丁や落丁などの異常が見逃されて製本されてしまうことが防がれる。
【0015】
本発明では、製本用機器内の検査対象の後工程への供給を阻止するが、この場合の方式として、製本用機器の動作を停止させる方式(第1の方式)、製本用機器内の検査対象を後工程とは別の経路に排出させる方式(第2の方式)が考えられる。
【0016】
〔第1の方式:製本用機器の動作を停止させる方式〕
第1の方式では、検査装置の動作モードが検査モードから非検査モードとされた場合、製本用機器の動作を停止させて、製本用機器内の検査対象の後工程への供給を阻止する。この場合、製本用機器内に残されている検査対象を手動によって全て取り除くようにし、製本用機器内の全ての検査対象が取り除かれた状態での検査装置の非検査モードから検査モードへの復旧に応じて、製本用機器の動作を再開させたり、製本用機器内に残されている検査対象を後工程とは別の経路に排出させるようにし、製本用機器内の全ての検査対象の排出が完了した状態での検査装置の非検査モードから検査モードへの復旧に応じて、製本用機器の動作を再開させたりすることが考えられる。
【0017】
〔第2の方式:製本用機器内の検査対象を後工程とは別の経路に排出させる方式〕
第2の方式では、検査装置の動作モードが検査モードから非検査モードとされた場合、製本用機器内の検査対象を後工程とは別の経路に排出させて、製本用機器内の検査対象の後工程への供給を阻止する。この場合、製本用機器内の検査対象を後工程とは別の経路に排出させるようにした後、検査装置の非検査モードから検査モードへの復旧に応じて、その復旧時点で製本用機器内にあった全ての検査対象の排出の完了を確認した時点で、製本用機器内の検査対象の後工程への供給を再開させたり、製本用機器内の検査対象を後工程とは別の経路に排出させるようにした後、その検査対象の排出数が所定値に達した時点で、製本用機器の動作を停止させたり、製本用機器の動作を停止させた後、その製本用機器内の全ての検査対象の排出が完了した状態での検査装置の非検査モードから検査モードへの復旧に応じて、製本用機器の動作を再開させたりすることが考えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検査装置の動作モードが検査モードにあるのか非検査モードにあるのかを監視し、検査装置の動作モードが検査モードから非検査モードとされた場合、製本用機器内の検査対象の後工程への供給を阻止するようにしたので、検査装置によって検査されていない検査対象が後工程へ送られることがなく、乱丁や落丁などの異常が見逃されて製本されてしまうことを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る製本検査システムの一例として示した乱丁・落丁検査システムの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略構成図である。
【図2】この乱丁・落丁検査システムにおける監視制御装置が有する監視制御機能を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る製本検査システムの一例として示した乱丁・落丁検査システムの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略構成図である。
【図4】この乱丁・落丁検査システムにおける監視制御装置が有する監視制御機能を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る製本検査システムの一例として示した乱丁・落丁検査システムの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略構成図である。
【図6】この乱丁・落丁検査システムにおける監視制御装置が有する監視制御機能を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは、本発明に係る製本検査システムとして、乱丁・落丁検査システムを例にとって説明する。この乱丁・落丁検査システムでは、丁合機が製本用機器を構成し、乱丁・落丁検査装置が検査装置を構成する。
【0021】
〔実施の形態1:非検査時に丁合機の動作を停止させる方式1(手動排出)〕
図1は本発明に係る製本検査システムの一例として示した乱丁・落丁検査システムの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略構成図である。同図において、1は丁合機、2は乱丁・落丁検査装置、3は操作盤、4は監視制御装置、5は綴機である。
【0022】
丁合機1は、製本に供される複数種の折丁の束をそれぞれ収容するストッカ1A,1B,1Cを備え、このストッカ1A,1B,1Cから折丁A,B,Cを1枚ずつ抜き出して順に重ね合わせながら搬送路Lに沿って搬送し、これによって丁合した折丁の束(A,B,C)を綴機5(後工程)へ供給する。
【0023】
乱丁・落丁検査装置2は、CPU2−1と登録画像メモリ2−2と照合画像メモリ2−3とカメラC1,C2,C3とを備え、ストッカ1A,1B,1Cから1枚ずつ抜き出される折丁A,B,Cを検査対象としてカメラC1,C2,C3で捉え、このカメラC1,C2,C3で捉えた折丁A,B,Cの画像(検査対象画像)と登録されている折丁A,B,Cの画像(登録画像)とを照合することで、折丁A,B,Cの正当性を確認する。
【0024】
乱丁・落丁検査装置2において、折丁A,B,Cの登録画像は登録画像メモリ2−2に格納されており、折丁A,B,Cの検査対象画像は照合画像メモリ2−3に格納される。また、折丁A,B,Cの検査対象画像と折丁A,B,Cの登録画像との照合はCPU2−1が行い、その照合結果を検査結果として監視制御装置4へ出力する。この場合、検査対象画像と登録画像とが一致しない場合には乱丁として、また規定時間の間に照合結果が得られない場合には落丁として、その検査結果を監視制御装置4へ出力する。
【0025】
操作盤3は、操作部3−1と表示部3−2と警報部3−3とを備え、操作部3−1を通して乱丁・落丁検査装置2に対する各種の操作が行われる。操作部3−1からの操作指令は乱丁・落丁検査装置2のCPU2−1へ与えられる。CPU2−1は、操作部3−1からの操作指令に従って、登録画像メモリ2−2への画像データの登録処理、乱丁・落丁検査装置2における各種パラメータの設定変更処理、乱丁・落丁検査装置2の起動/停止などの処理を行う。
【0026】
また、乱丁・落丁検査装置2において、CPU2−1は、乱丁・落丁検査装置2の現在の動作状態を示す動作モード信号を監視制御装置4へ出力する。例えば、通常の乱丁・落丁の検査状態であれば「検査中」である旨の動作モード信号を、画像データの登録処理中であれば「登録中」である旨の動作モード信号を、各種パラメータの設定変更処理中であれば「設定変更中」である旨の動作モード信号を、停止中であれば「停止中」である旨の動作モード信号を監視制御装置4へ送る。
【0027】
なお、本実施の形態において、カメラC1,C2,C3は、乱丁・落丁検査装置2の停止中も電源の供給が続けられ、ストッカ1A,1B,1Cから抜き出される折丁A,B,Cの撮像を継続するものとされている。また、このカメラC1,C2,C3は、丁合機1内の搬送路L上に位置する折丁A,B,Cを画像として捉え、この画像を丁合機1内に折丁A,B,Cが残されているか否かを示す情報(折丁の有無を示す情報)として、監視制御装置4へ送るものとされている。
【0028】
監視制御装置4は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として丁合機および乱丁・落丁検査装置の監視制御機能を有している。以下、図2に示すフローチャートに従って、監視制御装置4が有する監視制御機能について説明する。なお、この実施の形態1では、監視制御装置4を4Aとし、後述する実施の形態2,3で使用する監視制御装置と区別する。
【0029】
〔乱丁・落丁検査装置の動作モードのチェック〕
監視制御装置4Aは、乱丁・落丁検査装置2からの動作モード信号をチェックし(ステップS101)、この動作モード信号が「検査中」であれば乱丁・落丁検査装置2の動作モードを検査モードと判断し、「登録中」/「設定変更中」/「停止中」の何れかであれば乱丁・落丁検査装置2の動作モードを非検査モードと判断する。
【0030】
〔検査モードである場合〕
監視制御装置4Aは、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードであると判断すると(ステップS101の「検査モード」)、ステップS101〜S103の処理を繰り返すことによって、乱丁・落丁検査装置2からの検査結果に基づく乱丁/落丁の監視を続ける。
【0031】
ここで、乱丁・落丁検査装置2から異常(乱丁/落丁)である旨の検査結果が送られてくると(ステップS103のYES)、監視制御装置4Aは、丁合機1に停止指令を送り(ステップS104)、丁合機1の動作を停止させる。また、操作盤3に異常警報を出力し(ステップS105)、表示部3−2および警報部3−3を通して異常(乱丁/落丁)の発生を報知する。
【0032】
監視制御装置4Aは、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に残されている折丁が全て取り除かれたことを確認すると(ステップS106のYES)、丁合機1の動作を再開させる(ステップS107)。この例において、丁合機1内に残されている折丁は、作業者が手動によって取り除く。
【0033】
〔非検査モードである場合〕
監視制御装置4Aは、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが非検査モードであると判断すると(ステップS101の「非検査モード」)、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に折丁が残されているか否かをチェックする(ステップS108)。
【0034】
例えば、丁合機1の動作中、乱丁・落丁検査装置2において、画像データの登録処理や各種パラメータの設定変更処理が行われると、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとなる。また、丁合機1の動作中、誤って乱丁・落丁検査装置2が停止されたような場合にも、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとなる。この場合、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態となる。
【0035】
監視制御装置4Aは、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態となっていることを確認すると(ステップS108のYES )、操作盤3に非検査警報を出力するとともに(ステップS109)、丁合機1へ停止指令を送り(ステップS110)、丁合機1の動作を停止させる。
【0036】
これにより、表示部3−2および警報部3−3を通して非検査状態であることが報知されるともに、丁合機1内の折丁の綴機5への供給が阻止される。このため、乱丁・落丁検査装置2によって検査されていない折丁が綴機5へ送られることがなく、乱丁や落丁が見逃されて製本されてしまうことが防がれる。
【0037】
監視制御装置4Aは、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に残されている折丁が全て取り除かれたことを確認すると(ステップS111のYES)、乱丁・落丁検査装置2の非検査モードから検査モードへの復旧に応じて(ステップS112のYES)、丁合機1の動作を再開させる(ステップS113)。この例において、丁合機1内に残されている折丁は、作業者が手動によって取り除く。
【0038】
なお、人為的に乱丁・落丁検査装置2を途中で停止させた後、確認もせずに丁合機1を動かしてしまったような場合にも、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態と同じような状態となるので、ステップS108のYESに応じてステップS109以降の処理へ進み、上述と同様の動作が行われれる。
【0039】
〔実施の形態2:非検査時に丁合機の動作を停止させる方式2(自動排出)〕
図3は本発明に係る製本検査システムの一例として示した乱丁・落丁検査システムの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略構成図である。同図において、図1と同一符号は図1を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0040】
この実施の形態2では、丁合機1と綴機5との間に排出機6を設け、丁合機1内の折丁を綴機5とは別の経路に自動的に排出させるようにする。これにより、丁合機1内に残されている折丁を手動で取り除く必要がなくなり、作業者の手間が軽減される。
【0041】
この場合、排出機6は、監視制御装置4より排出指令を受けると、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を遮断し、丁合機1内の折丁を綴機5とは別の経路に排出する。図4にこの実施の形態2における監視制御装置4(4B)が有する監視制御機能を説明するためのフローチャートを示す。
【0042】
〔乱丁・落丁検査装置の動作モードのチェック〕
監視制御装置4Bは、乱丁・落丁検査装置2からの動作モード信号をチェックし(ステップS201)、この動作モード信号が「検査中」であれば乱丁・落丁検査装置2の動作モードを検査モードと判断し、「登録中」/「設定変更中」/「停止中」の何れかであれば乱丁・落丁検査装置2の動作モードを非検査モードと判断する。
【0043】
〔検査モードである場合〕
監視制御装置4Bは、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードであると判断すると(ステップS201の「検査モード」)、ステップS201〜S203の処理を繰り返すことによって、乱丁・落丁検査装置2からの検査結果に基づく乱丁/落丁の監視を続ける。
【0044】
ここで、乱丁・落丁検査装置2から異常(乱丁/落丁)である旨の検査結果が送られてくると(ステップS203のYES)、監視制御装置4Bは、丁合機1に停止指令を送り(ステップS204)、丁合機1の動作を停止させる。また、操作盤3に異常警報を出力し(ステップS205)、表示部3−2および警報部3−3を通して異常(乱丁/落丁)の発生を報知する。
【0045】
また、監視制御装置4Bは、排出機6へ排出指令を送り(ステップS206)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を遮断し、丁合機1内に残されている折丁を綴機5とは別の経路に排出する。
【0046】
監視制御装置4Bは、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に残されている折丁が全て排出されたことを確認すると(ステップS207のYES)、排出機6へ排出停止指令を送り(ステップS208)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を復旧させて、丁合機1の動作を再開させる(ステップS209)。
【0047】
〔非検査モードである場合〕
監視制御装置4Bは、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが非検査モードであると判断すると(ステップS201の「非検査モード」)、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に折丁が残されているか否かをチェックする(ステップS210)。
【0048】
例えば、丁合機1の動作中、乱丁・落丁検査装置2において、画像データの登録処理や各種パラメータの設定変更処理が行われると、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとなる。また、丁合機1の動作中、誤って乱丁・落丁検査装置2が停止されたような場合にも、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとなる。この場合、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態となる。
【0049】
監視制御装置4Bは、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態となっていることを確認すると(ステップS210のYES)、操作盤3に非検査警報を出力するとともに(ステップS211)、丁合機1へ停止指令を送り(ステップS212)、丁合機1の動作を停止させる。また、排出機6へ排出指令を送り(ステップS213)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を遮断し、丁合機1内に残されている折丁を綴機5とは別の経路に排出する。
【0050】
これにより、表示部3−2および警報部3−3を通して非検査状態であることが報知されるともに、丁合機1内の折丁の綴機5への供給が阻止される。このため、乱丁・落丁検査装置2によって検査されていない折丁が綴機5へ送られることがなく、乱丁や落丁が見逃されて製本されてしまうことが防がれる。
【0051】
監視制御装置4Bは、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に残されている折丁が全て排出されたことを確認すると(ステップS214のYES)、排出機6へ排出停止指令を送り(ステップS215)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を復旧させる。そして、乱丁・落丁検査装置2の非検査モードからの検査モードへの復旧に応じて(ステップS216のYES)、丁合機1の動作を再開させる(ステップS217)。
【0052】
なお、人為的に乱丁・落丁検査装置2を途中で停止させた後、確認もせずに丁合機1を動かしてしまったような場合にも、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態と同じような状態となるので、ステップS210のYESに応じてステップS211以降の処理へ進み、上述と同様の動作が行われれる。
【0053】
〔実施の形態3:非検査時に丁合機内の折丁を排出させる方式〕
図5は本発明に係る製本検査システムの一例として示した乱丁・落丁検査システムの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略構成図である。同図において、図1と同一符号は図1を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0054】
この実施の形態3では、丁合機1と綴機5との間に排出機6を設け、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードとされた場合、丁合機1の動作を直ちに停止するのではなく、丁合機1内の折丁を綴機5とは別の経路へ自動的に排出させるようにする。また、その排出数が所定値に達すると、丁合機1の動作を停止させるようにする。
【0055】
この場合、排出機6は、監視制御装置4より排出指令を受けると、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を遮断し、丁合機1内の折丁を綴機5とは別の経路に排出する。また、排出機6は、排出した折丁の数を監視制御装置4へフィードバックする。図6にこの実施の形態3における監視制御装置4(4C)が有する監視制御機能を説明するためのフローチャートを示す。
【0056】
〔乱丁・落丁検査装置の動作モードのチェック〕
監視制御装置4Cは、乱丁・落丁検査装置2からの動作モード信号をチェックし(ステップS301)、この動作モード信号が「検査中」であれば乱丁・落丁検査装置2の動作モードを検査モードと判断し、「登録中」/「設定変更中」/「停止中」の何れかであれば乱丁・落丁検査装置2の動作モードを非検査モードと判断する。
【0057】
〔検査モードである場合〕
監視制御装置4Cは、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードであると判断すると(ステップS301の「検査モード」)、ステップS301〜S303の処理を繰り返すことによって、乱丁・落丁検査装置2からの検査結果に基づく乱丁/落丁の監視を続ける。
【0058】
ここで、乱丁・落丁検査装置2から異常(乱丁/落丁)である旨の検査結果が送られてくると(ステップS303のYES)、丁合機1に停止指令を送り(ステップS304)、丁合機1の動作を停止させる。また、操作盤3に異常警報を出力し(ステップS305)、表示部3−2および警報部3−3を通して異常(乱丁/落丁)の発生を報知する。
【0059】
また、監視制御装置4Cは、排出機6へ排出指令を送り(ステップS306)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を遮断し、丁合機1内に残されている折丁を綴機5とは別の経路に排出する。
【0060】
監視制御装置4Cは、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に残されている折丁が全て排出されたことを確認すると(ステップS307のYES)、排出機6へ排出停止指令を送り(ステップS308)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を復旧させて、丁合機1の動作を再開させる(ステップS309)。
【0061】
〔非検査モードである場合〕
監視制御装置4Cは、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが非検査モードであると判断すると(ステップS301の「非検査モード」)、カメラC1,C2,C3からの情報に基づいて、丁合機1内に折丁が残されているか否かをチェックする(ステップS310)。
【0062】
例えば、丁合機1の動作中、乱丁・落丁検査装置2において、画像データの登録処理や各種パラメータの設定変更処理が行われると、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとなる。また、丁合機1の動作中、誤って乱丁・落丁検査装置2が停止されたような場合にも、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードから非検査モードとなる。この場合、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態となる。
【0063】
監視制御装置4Bは、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態となっていることを確認すると(ステップS310のYES)、操作盤3に非検査警報を出力するとともに(ステップS311)、排出機6へ排出指令を送り(ステップS312)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を遮断し、丁合機1から送られてくる折丁を綴機5とは別の経路に排出する。
【0064】
これにより、表示部3−2および警報部3−3を通して非検査状態であることが報知されるともに、丁合機1からの折丁の綴機5への供給が阻止される。このため、乱丁・落丁検査装置2によって検査されていない折丁が綴機5へ送られることがなく、乱丁や落丁が見逃されて製本されてしまうことが防がれる。
【0065】
監視制御装置4Cは、排出機6からの折丁の排出数が所定値に達する前に(ステップS313のNO)、乱丁・落丁検査装置2の非検査モードから検査モードへの復旧を確認すると(ステップS314のYES)、その時点で丁合機1内にあった全ての折丁の排出機6からの排出を確認した時点で(ステップS315のYES)、排出機6へ排出停止指令を送り(ステップS316)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を復旧させる。この場合、丁合機1はその動作を続けているので、綴機5への折丁の供給が直ちに再開される。
【0066】
これに対し、乱丁・落丁検査装置2の非検査モードから検査モードへの復旧が確認されないまま(ステップS314のNO)、 排出機6からの折丁の排出数が所定値に達すると(ステップS313のYES)、監視制御装置4Cは、丁合機1の動作を停止させる(ステップS317)。これにより、乱丁・落丁検査装置2の動作モードが検査モードへ復旧されないまま、丁合機1の動作および排出機6からの折丁の排出が無駄に続けられるということが避けられる。
【0067】
この場合、排出機6は、丁合機1の動作が停止された後も、丁合機1内の折丁の排出を続ける。監視制御装置4Cは、丁合機1内の折丁が全て排出されたことを確認すると(ステップS318のYES)、排出機6へ排出停止指令を送り(ステップS319)、丁合機1から綴機5への折丁の供給路を復旧させる。そして、乱丁・落丁検査装置2の非検査モードから検査モードへの復旧に応じて(ステップS320のYES)、丁合機1の動作を再開させる(ステップS321)。
【0068】
なお、人為的に乱丁・落丁検査装置2を途中で停止させた後、確認もせずに丁合機1を動かしてしまったような場合にも、乱丁・落丁検査装置2が非検査モードであるにも拘わらず、丁合機1内に折丁が残された状態と同じような状態となるので、ステップS310のYESに応じてステップS311以降の処理へ進み、上述と同様の動作が行われれる。
【0069】
〔変形例〕
上述した実施の形態1〜3では、丁合機1内に残されている折丁の有無をカメラC1,C2,C3からの情報に基づいて確認するようにしたが、光電センサ、レーザセンサ、その他のセンサ類を別途設けて、丁合機1内に残されている折丁の有無を確認するようにしてもよい。
【0070】
また、上述した実施の形態2,3では、丁合機1と綴機5との間に排出機6を設けるようにしたが、丁合機1自体が排出機構を有している場合には、その排出機構を利用するようにしてもよい。
【0071】
また、上述した実施の形態1〜3では、乱丁・落丁検査装置2に対して監視制御装置4を別に設けるようにしたが、この監視制御装置4の機能を乱丁・落丁検査装置2に持たせるようにしてもよい。この場合、乱丁・落丁検査装置2からの制御指令によって、直接、丁合機1の動作を制御したり、排出機6の動作を制御したりする。
【0072】
また、上述した実施の形態1〜3では、丁合機を製本用機器とした乱丁・落丁検査システムを例にとって説明したが、表紙や裏表紙を検査対象とする綴機、応募はがきやCD−ROMなどを検査対象とする張込機、カバーを検査対象とするカバー掛け機、裁断された印刷物を検査対象とする折り機、印刷物を検査対象とする印刷機などを製本用機器とする製本検査システムでも同様の構成を採用することができる。また、ロット切替時の検査対象/非対象の変更などで、取り扱い作業の検査装置の設定ミスも減らすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の製本用検査システムは、折丁を検査対象とする丁合機、表紙や裏表紙を検査対象とする綴機、応募はがきやCD−ROMなどを検査対象とする張込機、カバーを検査対象とするカバー掛け機、裁断された印刷物を検査対象とする折り機、印刷物を検査対象とする印刷機などを製本用機器とした各種の製本用検査システムに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1…丁合機、1A,1B,1C…ストッカ、A,B,C…折丁、L…搬送路、2…乱丁・落丁検査装置、2−1…CPU、2−2…登録画像メモリ、2−3…照合画像メモリ、C1,C2,C3…カメラ、3…操作盤、3−1…操作部、3−2…表示部、3−3…警報部、4(4A,4B,4C)…監視制御部、5…綴機、6…排出機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製本用機器内における検査対象の画像データを検査対象画像として取込み、この取り込んだ検査対象画像と登録画像とを比較することによって、前記検査対象の正常/異常を検査する検査装置を備えた製本検査システムにおいて、
前記検査装置の動作モードが前記検査対象の正常/異常を検査する検査モードにあるのか停止中を含む非検査モードにあるのかを監視し、前記検査装置の動作モードが前記検査モードから前記非検査モードとされた場合、前記製本用機器内の検査対象の後工程への供給を阻止する監視制御手段
を備えることを特徴とする製本検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記検査装置の動作モードが前記検査モードから前記非検査モードとされた場合、前記製本用機器の動作を停止させる
ことを特徴とする製本検査システム。
【請求項3】
請求項2に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記製本用機器の動作を停止させた後、その製本用機器内の全ての検査対象が取り除かれた状態での前記検査装置の前記非検査モードから前記検査モードへの復旧に応じて、前記製本用機器の動作を再開させる
ことを特徴とする製本検査システム。
【請求項4】
請求項2に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記製本用機器の動作を停止させた後、その製本用機器内の全ての検査対象を前記後工程とは別の経路に排出させ、その排出が完了した状態での前記検査装置の前記非検査モードから前記検査モードへの復旧に応じて、前記製本用機器の動作を再開させる
ことを特徴とする製本検査システム。
【請求項5】
請求項1に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記検査装置の動作モードが前記検査モードから前記非検査モードとされた場合、前記製本用機器内の検査対象を前記後工程とは別の経路に排出させる
ことを特徴とする製本検査システム。
【請求項6】
請求項5に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記製本用機器内の検査対象を前記後工程とは別の経路に排出させるようにした後、前記検査装置の前記非検査モードから前記検査モードへの復旧に応じて、その復旧時点で前記製本用機器内にあった全ての検査対象の排出の完了を確認した時点で、前記製本用機器内の検査対象の前記後工程への供給を再開させる
ことを特徴とする製本検査システム。
【請求項7】
請求項5に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記製本用機器内の検査対象を前記後工程とは別の経路に排出させるようにした後、その検査対象の排出数が所定値に達した時点で、前記製本用機器の動作を停止させる
ことを特徴とする製本検査システム。
【請求項8】
請求項7に記載された製本検査システムにおいて、
前記監視制御手段は、
前記製本用機器の動作を停止させた後、その製本用機器内の全ての検査対象の排出が完了した状態での前記検査装置の前記非検査モードから前記検査モードへの復旧に応じて、前記製本用機器の動作を再開させる
ことを特徴とする製本検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111815(P2013−111815A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258864(P2011−258864)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【出願人】(593048043)芳野マシナリー株式会社 (17)