説明

製氷装置付きウォーターサーバー

【課題】各種ミネラルが豊富で美味しい天然水を、利用者に冷水又は温水として提供すると共に、製氷装置により製氷された氷を提供できる製氷装置付きウォーターサーバーを提供すること。
【解決手段】ウォーターサーバーWSは、天然水Wを所定量充填した貯水容器50と、冷水タンク60、温水タンク70及び製氷装置30を内蔵し、冷水タンク60及び温水タンク70から天然水Wを供給する供給口60a、70aが設けられると共に、貯氷ボックス34から氷Kを取り出すための取出口34aが設けられたケーシング本体100からなり、製氷装置30は、製氷室31内に配設され、冷水タンク60から供給管32aを経て供給される天然水Wを貯水する製氷トレイ32と、製氷トレイ32内の天然水Wを結氷する製氷手段33と、製氷された氷Kを貯氷する貯氷ボックス34とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット、GPS及びIT機器を利用した、製氷装置付きウォーターサーバーに係り、より詳しくは、家庭、職場、学校、病院又は公共施設内等多数の人が参集する屋内に設置され、ウォーターサーバーの利用者に美味しい天然水を提供すると共に、天然水を原料とした美味しい氷を提供する製氷装置付きウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国は、かつて緑豊かな山野、清涼な水が流れる河川や湧水に恵まれ、「美味しい水」が飲料水また生活用水として自由かつふんだんに使用することができた。しかしながら、
近年、都市化や地球温暖化等により慢性的な水不足の深刻化、また、農薬、合成洗剤等の化学物質による水質汚染が進んで、そのため水道水は消毒のために使用する塩素臭が強く、飲料水としてはとても安心して美味しく飲めるものではなくなった。
【0003】
このため近年、全国各地の有名な湧水や海洋深層水等の名水が、「〇〇〇のおいしい天然水」等と命名されてペットボトルや各種容器に入れられてお茶、コーヒー等の飲料水と共に販売されている。これらは、インターネットやスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の店頭でも買うことができるし、また自動販売機でも購入することができる。
【0004】
さらに、近年になり成人病発症の予防や健康維持管理には多量の水分摂取が必須であるとの情報がマスメディア等によって喧伝され、例えば成人が必要とされる水分摂取量は1日、約2Lであるといわれている。したがって、多くの人は、家庭や職場、学校等にあっても常時意識的に水分の補給を行っている。
【0005】
上記の社会状況のもとで、ウォーターサーバーで一般利用者が無料で所望する量の冷水又は温水が飲用できる、いわゆるウォーターサーバービジネスが、特に都市近郊で急速に発展している。ウォーターサーバービジネスの概要は、一般的には、ウォーターサーバーは、飲料水販売業者から無料もしくは低料金でウォーターサーバー設置者にレンタルされ、飲料水販売業者とサーバー設置者は、サーバーに装填される飲料水の料金と購入量等について契約し、飲料水販売業者は、契約に基づいて一定期間ごとに所定量の飲料水が充填されたウォーターボトルを配送するようになっている。
【0006】
ウォーターサーバーについて、上記の社会環境の変化及びサーバーの各種問題点や不具合を解消するために多数の提案がなされている。しかし、ウォーターサーバーによる多くの一般利用者に美味しい天然水を提供すると共に、利用者に美味しい氷の提供が可能というウォーターサーバーに関する提案はほとんどなされていない。わずかに特許文献1(図1、第1頁参照)があるのみである。特許文献1の「氷ディスペンサ装置」は、既存の設備を利用しながらフローズン飲料の提供を行うことができる氷ディスペンサ装置を提供することを課題とし、飲料水を提供する飲料水ディスペンサ装置に併設され、製氷機により製造された氷を提供する氷ディスペンサ装置において、製氷機により製造された氷の一部を粉砕し、この粉砕した氷をカップに供給する氷排出機構および氷粉砕機と、飲料水ディスペンサ装置から炭酸水およびシロップの一部を導入し、この導入した炭酸水およびシロップをカップに供給する第二炭酸水供給配管および第二シロップ供給配管とを備えたものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、添付図面にあるように、氷ディスペンサ装置30は既存設備の飲料水ディスペンサ10に併設されるものであり、飲料水ディスペンサ装置10と氷ディスペンサ装置30は、第二炭酸水供給配管421と第二シロップ供給配管431で連通されており、そのために横幅が広い載置台が必要となり、また特許文献1の「氷ディスペンサ装置」の利用者は、操作パネル13及び販売ボタン33を操作して、氷、シロップあるいは炭酸水等を選択するようになっており、利用者には煩瑣な作業となっている。
【0008】
また主に一般家庭で使用されている冷蔵庫の製氷器は、水道水又はペットボトル入りのミネラルウォーターを給水タンク内に所定量注水し、冷凍室内で製氷している。しかしながら、給水タンク内の水がなくなると、そのたびごとに冷蔵庫のドアを開けて庫内から給水タンクを取り出し、給水タンク内に注水し再び冷凍室内に収納して製氷するという、煩瑣な作業を繰り返している。
【0009】
さらに図7に示す特許文献2(図2、第1頁参照)は、従来より使用されているウォーターサーバーを示し、硬質樹脂製のボトルに飲料水を入れて、ウォーターサーバーの設置者に配布し、ウォーターサーバー設置者又は飲料水販売業者(配送業者)は飲料水の入ったボトルをウォーターサーバーの上部にセットする。そして、利用者が水を飲む時にはウォーターサーバーの手動操作レバーを押すと、飲料水が供給されるという装置である。
【0010】
しかしながら、特許文献2に示すボトルに飲料水を入れて利用者に供給するウォーターサーバーの場合、当該ボトルが空になったら、飲料水販売業者(配送業者)はこれを回収して、新たな飲料水を充填して再びウォーターサーバー設置者に供給するようになっている。そのために、ボトルを回収する手間がかかるという問題、また、利用済みのボトルを保管しておくスペースの確保、さらに、繰り返しボトルを使用することによる衛生上の問題が派生する。
【0011】
また、ボトルの素材は硬質樹脂のポリカーボネートが多く用いられていることから、有害物質が溶出する恐れや、構造上の問題から冷水タンクに空気が入り、タンク内にバクテリアが繁殖する恐れがあるといった様々な問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−147507号公報
【特許文献2】特開2007−210667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本願発明が解決しようとする第1の課題は、
地中深部から汲み上げるか、又は自然湧水した各種ミネラルが豊富で美味しい天然水を、利用者に冷水又は温水として提供すると共に、ケーシング本体に内蔵する製氷装置により製氷された氷を簡便な操作で提供できる製氷装置付きウォーターサーバーを提供することである。
第2の課題は、
製氷用の水を貯水する給水タンク等を不要とし、冷水タンクから給水される天然水を、所望する量の氷を無料で提供する製氷装置付きウォーターサーバーを提供することである。
第3の課題は、
冷水、温水及び製氷用の水は、ホルダー内に収納された一つの貯水容器から供給され、衛生上の問題がなく、空になった貯水容器は回収することなく資源ごみとして再利用可能で、貯水容器のセット操作が簡便に行うことができるウォーターサーバーを提供することである。
第4の課題は、
貯水容器内の貯水量は貯水量センサーによって検出され、その貯水量はウォーターサーバーの管理センターのコンピュータに送信され、貯水容器の取替作業を遅滞なく迅速に行うことができる製氷装置付きウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明者は、上記の従来技術が有する、各種の問題点に鑑み、鋭意検討を重ね、地下数百メートルから汲み上げたナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム等の天然ミネラルを多量に含む風味豊かな天然水をウォーターサーバーの利用者に飲用してもらうと共に、冷水タンクから給水される天然水を製氷し、利用者に所望する量の氷を無料で提供する製氷装置付きウォーターサーバーを完成させたものである。
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本願の明細書、特許請求の範囲等に記載の用語についての解釈上の疑義を解消すべく、以下本願明細書、特許請求の範囲等に記載する用語の説明を行うこととする。
<用語の説明>
●「天然水」とは、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム等の天然ミネラルを多量に含む水道法に定められた水質基準に適合した飲用水をいう。地下数百メートルから電動ポンプで汲み上げられたり、又は湧水を採水し、ろ過処理等を経て飲用に供せられる。
●「ウォーターサーバー」とは、天然水を密封した貯水容器、これを収納するホルダーと天然水を冷却する冷水タンク、天然水を温める温水タンク及び天然水の製氷装置を内蔵し、冷水タンク及び温水タンクから天然水を供給する供給口と、貯氷ボックスから氷を取り出すための取出口が設けられたケーシング本体とを主な構成部材としている。
●「利用者」とは、例えば、職場、学校、病院又は公共施設内等に設置されたウォーターサーバーから冷水又は温水あるいは氷を無料で飲用する人をいう。
●「ケーシング本体」とは、正面パネル、左側面パネル、右側面パネル及び底面パネルから構成された上下方向に長手とした中空のほぼ直方体状の筐体をいう。
●「貯水容器」とは、柔軟な軟質樹脂材、例えばポリエチレンシートや塩化ビニール等からなる中空扁平状袋体をいう。当該袋体の中央には天然水の注入口が形成され、所定量の天然水を注入後、前記注入口は熱溶着により密封される。
●「ホルダー」とは、貯水容器を保持するための函状体をいう。上方及び下方を開口し、その内部には底部を緩斜面とした貯水容器の載置部が形成され、その載置部の中央には下向きのニードルユニット取付部が設けられ、ホルダーの上方には着脱可能な蓋体が取り付けられ、またホルダーの下方正面及び背面には前記ニードルユニットや各種機器を操作するための窓部が形成されている。
●「ニードルユニット」とは、ホルダーのユニット取付部に着脱可能に螺設される円筒体と、当該円筒体中央に立設された先端上部が錐状のニードルパイプとからなり、ホルダーの載置部にセットされた貯水容器の中央部をニードル管の先端で貫通し、ケーシング本体の内部に設置された冷水タンク及び温水タンクに流入させる。
●「冷却手段」とは、貯水容器からニードルユニットより流入した冷水タンク内の天然水を所定の温度に冷却する冷却器をいう。
●「加熱手段」とは、貯水容器からニードルユニットより流入した温水タンク内の天然水を所定の温度に加温するヒーターをいう。
●「製氷装置」とは、冷水タンクと温水タンク間に設けられた製氷室内に配設され、冷水タンクから供給管を経て供給される天然水を貯水する製氷トレイと、製氷トレイ内の天然水を結氷する製氷手段と、製氷された氷を貯氷する貯氷ボックスとから構成される。
●「制御装置」とは、各種センサー、電磁弁、注水レバー、冷水タンク及び温水タンク内の天然水の水温を所定温度に維持するための作動機器等に接続され、その起動〜停止等を制御するマイクロコンピュータ等をいう。
●「管理センター」とは、天然水の採水業者又は天然水販売者等が開設するもので、ウォーターサーバーの貯水容器及び関連機器のメンテナンス、管理等を通信回線(例えば、インターネット)、及びGPS等を用いて行う。
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【0015】
課題を解決するための手段(第1発明〜第9発明)は、本願、特許請求の範囲の各請求項に記載の発明であり、具体的には、
第1発明は、請求項1に記載の発明であり、
第2発明は、請求項2に記載の発明であり、
第3発明は、請求項3に記載の発明であり、
第4発明は、請求項4に記載の発明であり、
第5発明は、請求項5に記載の発明であり、
第6発明は、請求項6に記載の発明であり、
第7発明は、請求項7に記載の発明であり、
第8発明は、請求項8に記載の発明であり、
第9発明は、請求項9に記載の発明である。
第10発明は、請求項10に記載の発明であり、具体的な課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0016】
請求項1に記載の発明は、天然水を所定量充填し注水口を溶着した軟質樹脂製の貯水容器と、前記天然水を冷却する冷水タンク、天然水を温める温水タンク及び天然水を凍らせる製氷装置を内蔵し、前記冷水タンク及び前記温水タンクから天然水を供給する供給口が設けられると共に、貯氷ボックスから氷を取り出すための取出口が設けられたケーシング本体と、前記貯水容器を前記ケーシング本体の上部に装着するホルダーと、前記貯水容器から前記冷水タンクに送水する前記ホルダー内の中央部に取り付けられるニードルユニットとを、備えている、ことを特徴としている。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記ケーシング本体は正面パネル、左側面パネル、右側面パネル及び底面パネルから構成された上下方向を長手とした中空のほぼ直方体状であり、前記冷水及び温水の供給口は前記ケーシング本体のほぼ正面中央部に形成され、前記氷の取出口は前記供給口の下部に形成されている、ことを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記ケーシング本体の内部には冷水タンク及び温水タンク内の天然水を冷却する冷却手段及び/又は天然水を加熱する加熱手段が設けられると共に、
前記冷却手段及び/又は加熱手段及び前記製氷装置を制御する制御装置が設置されている、ことを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項3の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記製氷装置は、前記冷水タンクと温水タンク間に設けられた製氷室内に配設され、前記冷水タンクから供給管を経て供給される天然水を貯水する製氷トレイと、前記製氷トレイ内の天然水を結氷する製氷手段と、製氷された氷を貯氷する貯氷ボックスと、から構成された、ことを特徴としている。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項3の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記冷水タンクと前記供給管間には天然水を前記製氷トレイに給水するための給水電磁弁が配設されている、ことを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記ホルダーは上方及び下方を開口したほぼ函状体で、当該函状体の内部には底部を緩斜面とした貯水容器の載置部が形成され、前記載置部の中央には下向きのニードルユニット取付部を設け、前記ホルダーの上方には着脱可能な蓋体が取り付けられ、前記ホルダーの下方正面及び背面には前記ニードルユニットや各種機器を操作するための窓部が形成されている、ことを特徴としている。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は請求項6の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記ニードルユニットは上方を開口し、前記ホルダーの載置部に設けられたニードルユニット取付部に着脱可能に螺設される円筒体と、当該円筒体中央に立設された先端上部が錐状のニードルパイプとからなる、ことを特徴としている。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1、請求項6又は請求項7の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記ニードルユニットの下流には前記貯水容器から冷水タンクへ流水するための開閉弁が設けられ、当該開閉弁は前記蓋体の着脱により開又は閉が自動的に制御される。
【0024】

請求項9に記載の発明は、請求項1又は請求項6の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記ホルダーには前記貯水容器の液量を検出する貯水量センサーが設置されていると共に、前記貯水容器の液量データはウォーターサーバーを管理、運営する管理センターに無線又は有線回線を介して送信される、ことを特徴としている。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項1、請求項6又は請求項8の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバーにあって、
前記管理センターはウォーターサーバー設置者に前記貯水容器を配送するGPS付きナビゲータを搭載した車両への送受信装置を備えている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本願発明に係る、製氷装置付きウォーターサーバーは、上記のような特徴的構成要件から構成され、特徴的構成要件に応じた、以下のような本願発明特有の効果を奏する。また、上記のような特徴的構成要件から構成された製氷装置付きウォーターサーバーによれば、本願発明の課題を十分解消することができた。
すなわち、第1の発明によれば、
「天然水を所定量充填し注水口を溶着した軟質樹脂製の貯水容器と、前記天然水を冷却する冷水タンク、天然水を温める温水タンク及び天然水を凍らせる製氷装置を内蔵し、前記冷水タンク及び前記温水タンクから天然水を供給する供給口が設けられると共に、貯氷ボックスから氷を取り出すための取出口が設けられたケーシング本体と、前記貯水容器を前記ケーシング本体の上部に装着するホルダーと、前記貯水容器から前記冷水タンクに送水する前記ホルダー内の中央部に取り付けられるニードルユニットとを、備えている」という特徴的構成要件により、
また、第2の発明によれば、
「前記ケーシング本体は正面パネル、左側面パネル、右側面パネル及び底面パネルから構成された上下方向を長手とした中空のほぼ直方体状であり、前記冷水及び温水の供給口は前記ケーシング本体のほぼ正面中央部に形成され、前記氷の取出口は前記供給口の下部に形成されている」という特徴的構成要件により、
また、第3の発明によれば、
「前記ケーシング本体の内部には冷水タンク及び温水タンク内の天然水を冷却する冷却手段及び/又は天然水を加熱する加熱手段が設けられると共に、前記冷却手段及び/又は加熱手段及び前記製氷装置を制御する制御装置が設置されている」という特徴的構成要件により、地中深部から汲み上げるか、又は自然湧水した各種ミネラルが豊富で美味しい天然水を、利用者に冷水又は温水として提供すると共に、ケーシング本体に内蔵する製氷装置により製氷された氷を簡便な操作で提供できる製氷装置付きウォーターサーバーの提供という、第1の課題を解決することができた。
【0027】
第4の発明によれば、
「前記製氷装置は、前記冷水タンクと温水タンク間に設けられた製氷室内に配設され、前記冷水タンクから供給管を経て供給される天然水を貯水する製氷トレイと、前記製氷トレイ内の天然水を結氷する製氷手段と、製氷された氷を貯氷する貯氷ボックスと、から構成された」という特徴的構成要件により、
また、第5の発明によれば、
「前記冷水タンクと前記供給管間には天然水を前記製氷トレイに給水するための給水電磁弁が配設されている」という特徴的構成要件により、製氷用の水を貯水する給水タンク等を不要とし、冷水タンクから給水される天然水を、希望する量の氷を無料で提供する製氷装置付きウォーターサーバーの提供という、第2の課題を解決することができた。
【0028】
第6の発明によれば、
「前記ホルダーは上方及び下方を開口したほぼ函状体で、当該函状体の内部には底部を緩斜面とした貯水容器の載置部が形成され、前記載置部の中央には下向きのニードルユニット取付部を設け、前記ホルダーの上方には着脱可能な蓋体が取り付けられ、前記ホルダーの下方正面及び背面には前記ニードルユニットや各種機器を操作するための窓部が形成されている」という特徴的構成要件により、
また、第7の発明によれば、
「前記ニードルユニットは上方を開口し、前記ホルダーの載置部に設けられたニードルユニット取付部に着脱可能に螺設される円筒体と、当該円筒体中央に立設された先端上部が錐状のニードルパイプとからなる」という特徴的構成要件により、
また、第8の発明によれば、
「前記ニードルユニットの下流には前記貯水容器から冷水タンクへ流水するための開閉弁が設けられ、当該開閉弁は前記蓋体の着脱により開又は閉が自動的に制御される」という特徴的構成要件により、冷水、温水及び製氷用の水は、ホルダー内に収納された一つの貯水容器から供給され、衛生上の問題がなく、空になった貯水容器は回収することなく資源ごみとして再利用可能で、貯水容器のセット操作が簡便に行うことができるウォーターサーバーの提供という、第3の課題を解決することができた。
【0029】
第9の発明によれば、
「前記ホルダーには前記貯水容器の液量を検出する貯水量センサーが設置されていると共に、前記貯水容器の液量データはウォーターサーバーを管理、運営する管理センターに無線又は有線回線を介して送信される」という特徴的構成要件により、
また、第10の発明によれば、
「前記管理センターはウォーターサーバー設置者に前記貯水容器を配送するGPS付きナビゲータを搭載した車両への送受信装置を備えている」という特徴的構成要件により、貯水容器内の残水量は貯水量センサーによって検出され、その貯水量はウォーターサーバーの管理センターのコンピュータに送信され、貯水容器の取替作業を遅滞なく迅速に行うことができる製氷装置付きウォーターサーバーの提供という、第4の課題を解決することができた。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(イ)は、本発明に係る製氷装置付きウォーターサーバーの外観正面図、(ロ)は、同一部を切欠した外観右側面図である。
【図2】は、同概略構成を示す模式図である。
【図3】は、蓋体を外した状態におけるホルダーの縦断面図である。
【図4】(イ)は、ニードルユニットの斜視図、(ロ)は、その縦断面図である。
【図5】は、ウォーターサーバーにおける製氷装置における製氷工程とその動作等について説明する流れ図である。
【図6】(イ)は、ウォーターサーバー設置者と管理センターの動作を説明する概念図、(ロ)は、管理センターと貯水容器を配送する配送車両の動作を説明する概念図である。
【図7】は、従来技術を示す外観正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1(イ)、(ロ)〜図2は、本発明に係る製氷装置付きウォーターサーバーWSを示している。ウォーターサーバーWSは、天然水Wを所定量充填し注水口を溶着した軟質樹脂製の貯水容器50と、天然水Wを冷却する冷水タンク60、天然水Wを温める温水タンク70及び天然水Wを凍らせる製氷装置30を内蔵し、冷水タンク60及び温水タンク70から天然水Wを供給する供給口60a、70aが設けられると共に、貯氷ボックス34から氷Kを取り出すための取出口34aが設けられたケーシング本体100からなっている。またケーシング本体100は正面パネル10、左側面パネル11、右側面パネル12及び底面パネル13から構成された上下方向を長手とした中空のほぼ直方体状であり、冷水及び温水の供給口60a、70aは、ケーシング本体100のほぼ正面中央部に形成され、氷Kの取出口34aは供給口60a、70aの下部に形成されている。
【0032】
ケーシング本体100の内部には冷水タンク60及び温水タンク70内の天然水Wを冷却する冷却手段である冷却器61及び/又は天然水Wを加熱する加熱手段のヒーター71が設けられると共に、製氷装置30を制御する制御装置CTが設置されている。なお、80は排水弁で、冷水タンク60及び温水タンク70を定期的に清掃する際などに、冷水タンク60及び温水タンク70内の残量水を全て排水するときに開かれる。
【0033】
製氷装置30は、冷水タンク60と温水タンク70間に設けられた製氷室31内に配設され、冷水タンク60から供給管32aを経て供給される天然水Wを貯水する製氷トレイ32と、製氷トレイ32内の天然水Wを結氷する製氷手段33と、製氷された氷Kを貯氷する貯氷ボックス34とから構成されている。また冷水タンク60と供給管32a間には天然水Wを製氷トレイ32に給水するための給水電磁弁32bが配設されている。製氷トレイ32は、製氷手段33と製氷後に製氷トレイ32を回動する回動装置32cに軸支32dされている。なお製氷トレイ32内は、約2cmの角氷Kが形成されるように小区画に仕切られている。
【0034】
ホルダー20は、上方及び下方を開口したほぼ函状体で、当該函状体の内部には底部を緩斜面とした貯水容器50の載置部21が形成され、載置部21の中央には下向きのニードルユニット取付部22を設け、ホルダー20の上方には着脱可能な蓋体23が取り付けられ、ホルダー20の下方正面及び背面にはニードルユニット40や各種機器を操作するための窓部24が形成されている(図1、参照)。図4(イ)、(ロ)に示すように、ニードルユニット40は上方を開口し、ホルダー20の載置部21に設けられたニードルユニット取付部22に着脱可能に螺設される円筒体41と、当該円筒体41中央に立設された先端上部42aが錐状のニードルパイプ42とからなっている。41aは雌ねじである。またニードルユニット40の下流には貯水容器50から冷水タンクへ流水するための開閉弁26が設けられ、開閉弁26は蓋体23の着脱により開又は閉が自動的に制御される。
【0035】
貯水容器50内の天然水Wは、図1〜図3に示すように、ニードルパイプ42の先端上部42aが貯水容器50の底部50aを貫通し、開閉弁26が開となっているときに、冷水タンク60内に流下する。冷水タンク60内の天然水Wは、制御装置CTの作動により開閉弁27が開となり温水タンク70内に流下し、冷水タンク60内の天然水Wは、冷却器61により所定の温度、例えば約13℃〜18℃に冷やされ、温水タンク70では内蔵されたヒーター71によって天然水Wが所定の温度、例えば50℃〜70℃に温められる。冷水タンク60内及び温水タンク70内には図示しないが、温度センサーが取り付けられ、制御装置CTにより所定の温度に設定されている。利用者が冷たい天然水Wを所望するときは、冷水レバー62を押せば、供給口60aから冷水が紙コップC内に供給される。利用者が温かい天然水Wを所望するときは、温水レバー72を押せば、供給口70aから温水が紙コップC内に供給される。
【0036】
図2及び図5を参照して、製氷装置30における製氷工程とその動作等について説明する。製氷トレイ32内の氷Kが貯氷ボックス34に落下し、製氷トレイ32が空状態のときに制御装置CTは作動する。制御装置CTが作動すると冷水タンク60と供給管32a間に配設された給水電磁弁32bが開となり(1)、冷水タンク60内の天然水Wが製氷トレイ32内に注水される(2)。注水が終了すると、製氷手段33が作動し製氷が行われる(3)。製氷作業の終了を制御装置CTが検出すれば、製氷トレイ32は回動装置32cによって回動Rし(4)、製氷トレイ32内の氷Kは貯氷ボックス34に落下し収納される(5)。製氷作業は貯氷ボックス34内がほぼ満杯になるまで連続して行われ(6)、貯氷ボックス34の満杯を制御装置CTが検出すれば、製氷作業は休止される(7)。ウォーターサーバーWSの利用者により、貯氷ボックス34が引き出され(P)、貯氷ボックス34内の備え付けのスプーン(不図示)等によって氷Kが取り出されると、貯氷ボックス34内の回動装置32cが再作動し(8)、製氷トレイ32内の氷Kを貯氷ボックス34に落下させる(5)。そうすると、前述の制御装置CTが作動する給水電磁弁の開栓工程(1)に戻り、注水工程(2)、製氷工程(3)、回動工程(4)、収納工程(5)、連続製氷工程(6)、休止工程(7)と進捗し、貯氷ボックス34内の氷Kが取り出されると、回動装置32cの再作動工程(8)になり、(1)〜(7)の工程が順次繰り返し行われる。
【0037】
ホルダー20には、貯水容器50の液量を検出する貯水量センサー25が設置されており(図2及び図3参照)、貯水容器50の液量データ等はウォーターサーバーWSを管理、運営する管理センターCSに通信回線、例えばインターネットN等を介して送信されるようになっている。図6(イ)、(ロ)に図示するCSは、管理センターで、天然水Wの採水業者又は天然水販売者等が開設し、各地に設置されたウォーターサーバーWSへの貯水容器50の配送指示及び関連機器のメンテナンス、管理等を行い、各ウォーターサーバーWSに関するデータベースDBを備えている。また、貯水容器50から送信される液量データの受信装置DR及び貯水容器50を配送する配送車両等SCとの送受信装置SRを備えている。
各配送車両等SCは、GPS(Global Positioning System=全地球測位システム)付きナビゲータを搭載している。なおATはアンテナである。
【0038】
図6(イ)に示すように、各ウォーターサーバーWSと管理センターCSは、インターネットN等を介して送受信可能となっている。各ウォーターサーバーWSの貯水容器50の液量データは管理センターCSのホストコンピュータ(不図示)で管理されている。また図6(ロ)に示すように、管理センターCSは、GPSを用いてナビゲータを搭載した配送車両等SCに貯水容器50を各ウォーターサーバーWSに配送可能としている。例えば、ウォーターサーバーWS−1から送信された貯水容器50からの液量データが少なくなり、新たな貯水容器50と取り替える時期であることが判明したとき、管理センターCSは、GPSにより、ウォーターサーバーWS−1に最寄りの配送車両SC−1を検索し、その配送車両のドライバーに携帯電話等により、貯水容器50の配送を指示し、データベースDBからウォーターサーバーWS−1の住所地を送信し、ドライバーはナビゲータを使い、ウォーターサーバーWS−1に貯水容器50を迅速に配送することができる。
【符号の説明】
【0039】
W 天然水
WS ウォーターサーバー
K 氷
100 ケーシング本体
10 正面パネル
11 左側面パネル
12 右側面パネル
13 底面パネル
20 ホルダー
20a 緩斜面
21 載置部
22 ユニット取付部
22a 緩斜面
23 蓋体
24 窓部
25 貯水量センサー
26、27 開閉弁
30 製氷装置
31 製氷室
32 製氷トレイ
32a 供給管
32b 給水電磁弁
32c 回動手段
33 製氷手段
34 貯氷ボックス
34a 取出口
40 ニードルユニット
41 円筒体
41a 雌ねじ
42 ニードルパイプ
42a 先端上部
50 貯水容器
50a 底部
51 注入口
52 熱溶着
60 冷水タンク
60a 供給口
61 冷却器
62 冷水レバー
70 温水タンク
70a 供給口
71 ヒーター
72 温水レバー
CT 制御装置
CS 管理センター
DB データベース
DR 受信装置
SR 送受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然水を所定量充填し注水口を溶着した軟質樹脂製の貯水容器と、
前記天然水を冷却する冷水タンク、天然水を温める温水タンク及び天然水を凍らせる製氷装置を内蔵し、前記冷水タンク及び前記温水タンクから天然水を供給する供給口が設けられると共に、
貯氷ボックスから氷を取り出すための取出口が設けられたケーシング本体と、
前記貯水容器を前記ケーシング本体の上部に装着するホルダーと、
前記貯水容器から前記冷水タンクに送水する前記ホルダー内の中央部に取り付けられるニードルユニットとを、備えている、
ことを特徴とする製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項2】
前記ケーシング本体は正面パネル、左側面パネル、右側面パネル及び底面パネルから構成された上下方向を長手とした中空のほぼ直方体状であり、
前記冷水及び温水の供給口は前記ケーシング本体のほぼ正面中央部に形成され、
前記氷の取出口は前記供給口の下部に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項3】
前記ケーシング本体の内部には冷水タンク及び温水タンク内の天然水を冷却する冷却手段及び/又は天然水を加熱する加熱手段が設けられると共に、
前記冷却手段及び/又は加熱手段及び前記製氷装置を制御する制御装置が設置されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項4】
前記製氷装置は、前記冷水タンクと温水タンク間に設けられた製氷室内に配設され、
前記冷水タンクから供給管を経て供給される天然水を貯水する製氷トレイと、
前記製氷トレイ内の天然水を結氷する製氷手段と、
製氷された氷を貯氷する貯氷ボックスと、から構成された、
ことを特徴とする請求項1又は請求項3の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項5】
前記冷水タンクと前記供給管間には天然水を前記製氷トレイに給水するための給水電磁弁が配設されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項3の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項6】
前記ホルダーは上方及び下方を開口したほぼ函状体で、当該函状体の内部には底部を緩斜面とした貯水容器の載置部が形成され、
前記載置部の中央には下向きのニードルユニット取付部を設け、
前記ホルダーの上方には着脱可能な蓋体が取り付けられ、
前記ホルダーの下方正面及び背面には前記ニードルユニットや各種機器を操作するための窓部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項7】
前記ニードルユニットは上方を開口し、前記ホルダーの載置部に設けられたニードルユニット取付部に着脱可能に螺設される円筒体と、
当該円筒体中央に立設された先端上部が錐状のニードルパイプとからなる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項6の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項8】
前記ニードルユニットの下流には前記貯水容器から冷水タンクへ流水するための開閉弁が設けられ、
当該開閉弁は前記蓋体の着脱により開又は閉が自動的に制御される、
ことを特徴とする請求項1、請求項6又は請求項7の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項9】
前記ホルダーには前記貯水容器の液量を検出する貯水量センサーが設置されていると共に、
前記貯水容器の液量データはウォーターサーバーを管理、運営する管理センターに無線又は有線回線を介して送信される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項6の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。
【請求項10】
前記管理センターはウォーターサーバー設置者に前記貯水容器を配送するGPS付きナビゲータを搭載した車両への送受信装置を備えている、
ことを特徴とする請求項1、請求項6又は請求項8の何れかに記載された製氷装置付きウォーターサーバー。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57488(P2013−57488A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197523(P2011−197523)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(507011378)
【Fターム(参考)】