製紙機械用シュープレスベルトおよびその製造方法
【課題】ベルトとシューの間の摩擦によるベルトの損傷を低減できる製紙機械用シュープレスベルトを提供する。
【解決手段】本発明は、湿紙接触面とシュー接触面とを有する製紙機械用シュープレスベルトにおいて、該製紙機械用シュープレスベルトが基体と、少なくとも前記シュー接触面を構成する高分子弾性部とからなり、
前記高分子弾性部のシュー接触面がRa=1.0〜3.5μmの粗さを有している、製紙機械用シュープレスベルトを提供する。
【解決手段】本発明は、湿紙接触面とシュー接触面とを有する製紙機械用シュープレスベルトにおいて、該製紙機械用シュープレスベルトが基体と、少なくとも前記シュー接触面を構成する高分子弾性部とからなり、
前記高分子弾性部のシュー接触面がRa=1.0〜3.5μmの粗さを有している、製紙機械用シュープレスベルトを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュープレス装置、例えば、製紙機械用のシュープレスに利用されるベルト(以下、単にベルトということがある)、特に、クローズドタイプのシュープレスに利用されるベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製紙機械には、プレスロールとシューとにより加圧部が構成されるシュープレス装置が使用されている。シュープレス装置は、従来のプレスロール同士の線状の加圧部に比して、面状の加圧部を構成できるため、抄紙工程の様々な箇所で特有の効果を発揮する。
【0003】
図1は、プレスパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図である。図1(a)の装置には比較的長尺のシュープレスベルトが使用され、図1(b)の装置には、比較的短いシュープレスベルトが使用される。
図1(a)、(b)のシュープレス装置100a、100bは、プレスロールRとシューSとで構成された加圧部Pを具えており、加圧部Pには、湿紙Wを挟持する一対のフェルトF、F、及びベルトBが配置され、プレスロールRの回転によって湿紙W、フェルトF、F及びベルトBが走行して加圧部Pを通過するようにされている。
なお、図中の矢印MDは、プレスロールRの回転方向を示す。
【0004】
図2は、カレンダパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図である。
図2に示すカレンダパートに使用されるシュープレス装置100cは、カレンダロールR’とシューSとにより構成される加圧部P内に、カレンダ用ベルトBCと、紙材料である粗面紙W’とが挟持され、カレンダロールR’の回転に伴って、ベルトBC、及び粗面紙W’が加圧部Pを通過するようになっている。
【0005】
これらのプレスパート、カレンダパートにおけるシュープレス装置には、ベルトB及びBCが使用されている。ベルトB及びBCは、それぞれのパートにより特有の効果を発揮するため、詳細においては構造が異なるものであるが、ベルト全体の強度を発現するための基体と、基体に配置された高分子弾性部により構成されているという、基本構成は共通する。
【0006】
一方、いずれのパートにおけるシュープレス装置であっても、シューとベルト間の摩擦を低減すべく、潤滑剤を供給する構成が形成されていることを共通とする。潤滑剤としては液状の潤滑オイルが使用されている。
【0007】
しかし、これらのシュープレス装置は、シューとベルト間に潤滑剤の供給量が少ないと、潤滑剤切れを起こしやすくなり、摩擦熱によりベルトに損傷を与えるという欠点があった。
また潤滑剤の供給装置の故障により、潤滑剤が供給されない状況に陥ることもあり、この場合も、同様にベルトの破損が生じる。
【0008】
そのため、シュープレス装置の機械構成として、シューとベルトの間に、多くの潤滑剤を供給する種々の提案がされている。
また、ベルトの構成についても、より多くの潤滑剤を加圧部内に供給する為の、種々の提案がされている。
【0009】
図3に、特許文献1に開示された、シュープレス装置加圧部に潤滑剤を供給するシステムを示す。
図3(a)には、シューSとベルトB1のシュー接触面B12の間に潤滑剤L1を供給する為に、シューSに対してMD方向上流側に配置された潤滑剤供給装置Lが示されている。
この発明は、ベルトB1のシュー接触面B12の表面に、潤滑剤を保持するための複数の凹部B13を設けることを特徴とするもので、凹部B13により、ベルトB1は潤滑剤を保持しつつ、ニップ加圧下へ進行されるので、潤滑剤を、シューSとベルトB1との間に供給することが可能となる。
【0010】
なお、この特許文献1中には、様々な凹部の構成例が記載されており、例えば、図3(b)のようなカップ状の凹部B13や、図3(c)のような溝状の凹部B13’が開示されている。
【0011】
一方、図4には、特許文献2に開示されたベルトを示す。この技術において、ベルトB2は、MD方向糸材B24と、CMD方向糸材B25とを重ねることにより構成される基体と、基体に配置された高分子弾性部とにより構成される。また、ベルトB2は、湿紙接触面B21と、シュー接触面B22を有する。
【0012】
そして、ベルトB2においては、シュー接触面B22に凸部B23が形成されている。この凸部B23により、シュー接触面B22には凹凸が形成される。これにより、ベルトB2のシュー接触面B22に潤滑剤が保持され、シューとベルトB2との間に潤滑剤を供給することが可能となる。
【0013】
更に、図5には、特許文献3に開示されたベルトを示す。このベルト10は、基体20に湿紙接触面11とシュー接触面12を備え、シュー接触面12には高分子弾性部30に含有される粉体40により、微細な凹凸がランダムに形成される。この微細な凹凸に潤滑剤が保持されるので、シューとベルトとの摩擦が軽減される。
【特許文献1】米国特許第4482430号公報
【特許文献2】特開平6−81291号公報
【特許文献3】特開2004−84125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし近年、シュープレスの高圧化、マシンの高速化が進んできており、シューとベルトの接触面への潤滑剤供給不足により、ベルトが損傷する問題が増加してきている。
本発明は、ベルトとシューの間に十分な潤滑剤を供給し得る製紙機械用シュープレスベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、湿紙接触面とシュー接触面とを有する製紙機械用シュープレスベルトにおいて、
該製紙機械用シュープレスベルトが基体と、少なくとも前記シュー接触面を構成する高分子弾性部とからなり、
前記高分子弾性部のシュー接触面の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmである製紙機械用シュープレスベルトによって、前記の課題を解決した。
【0016】
更に本発明では、前記シュー接触面を高分子弾性部により構成した無端状の前記ベルトを、マンドレル表面を利用して製造する際に、前記シュー接触面の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmになるようにマンドレル表面の表面粗さがRa=1〜5μmのマンドレルを選ぶか表面研磨し、または凹凸模様を彫刻して設け、この凹凸模様をベルトのシュー接触面に型付けする製造方法により、好適な製紙機械用シュープレスベルトを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シュー接触面に表面粗さがRa=1.0〜3.5μmの凹凸を持つ粗面が形成されて、この粗面に潤滑剤を保持することができるので、潤滑剤をベルトとシューとの間により多く供給することができるようになる。
その結果、ベルトとシューとの間に十分な量の潤滑剤が供給されることにより、ベルトとシューの摩擦による熱を抑えベルトの損傷を防ぐことができる。
【0018】
更に、潤滑剤の供給装置の故障により、潤滑剤が供給されなくなり、シューとベルトの接触面の潤滑剤が不足した場合でも、シュー接触面の凹凸により摩擦抵抗が抑えられ、ベルトの損傷を最小に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の製紙機械用シュープレスベルトの実施形態を、図6に基づき説明する。
ベルト1は、基体2と高分子弾性部3で構成され、湿紙接触面1bとシュー接触面1aを有する。
基体2は、ベルト1の強度を発現させるために設けられるものであり、MD方向糸材とCMD方向糸材とにより織製された基布が好適に使用できる。しかし、この例に限らず、基体2として、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織製せずに重ね合わせたものや、細帯状の布体をスパイラルに巻いて無端状布体としたもの等、基体としての機能を果たすものを適宜用いることができる。
【0020】
なお、図6には、基体2の両面に高分子弾性部3が形成される例を示した。この場合、基体2における糸材の隙間にも、高分子弾性部3は形成されている。
高分子弾性部3は、硬度80〜99°(JIS−A)のポリウレタンエラストマーなどにより構成される。
【0021】
なお、シュープレス用ベルト特有の構成として、湿紙接触面1bの高分子弾性部3に湿紙からの水分を一時的に保持する溝部(図示せず)が構成されている場合や、湿紙接触面1bには高分子弾性部3が形成されておらず、基体2の一方の面がベルト1の湿紙接触面1bを形成している場合があるが、本発明の製紙機械用シュープレスベルトは、いずれの用途であっても、シュー接触面1aは、必ず、高分子弾性部3により形成される。
【0022】
シュー接触面1aには、粗面が形成される。該粗面は微細な凹凸がランダムに形成されたものが好適に使用できるが、微小の格子状溝(図示せず)として形成してもよい。図6には、シュー接触面1aに粗面を点模様として模式的に誇張して示してある。
本発明では、この形成された粗面、すなわち微細な凹凸や微小の格子状溝に潤滑剤が保持されるため、より多くの潤滑剤をシューとベルト1との間に供給することが可能となる。
更にシュー側の高分子弾性体がシューと接触する面積が少ないため、潤滑剤がなくなった場合でも、摩擦抵抗の急激な増加を防止する効果がある。
【0023】
本発明では、シュー接触面を構成する高分子弾性部の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmのものが、好適に使用できる。表面粗さRaが1.0μm未満の場合、粗面に潤滑剤を保持する機能が低くなり、ベルトとシューとの間に供給する潤滑剤の量が不足してしまう。更に、潤滑剤がなくなった場合、シュー側の高分子弾性体がシューと接触する面積が大きいため、摩擦抵抗の急激な増加が起こる。またベルト走行時以外でも、たとえば、ベルトをマシンに装着する際は、潤滑剤のない状態で、ベルトを装着装置およびシューの上を滑らせて所定の位置まで移動させる方法がとられるが、この場合でも、表面粗さRaが1.0μm未満の場合には、シュー側の高分子弾性体がシューと接触する面積が大きいと摩擦抵抗が大きく、装着のための移動が困難になるという問題が生じる。表面粗さが3.5μmを超える場合は、粗面、特に凹面に潤滑剤を保持する機能は保たれるが、粗面の凸部への潤滑剤の入り込みが阻害され、ベルト全体の摩擦抵抗はむしろ増大してしまう。
【0024】
次に、本発明のベルトの製造方法の一例について概略を説明する。
図7において、Mはマンドレル、Cはコーターバー、Nはノズルである。マンドレルMは製作すべき本発明のベルト1の直径と対応した直径を有し、回転自在に構成されている。前記ノズルNはマンドレルMの長手方向に亘り移動可能に構成されている。該ノズルNは、高分子弾性材料の格納タンク(図示せず)に連繋されている。前記コーターバーCは上下方向に微移動可能に構成されており、ノズルNにより塗布された高分子弾性材料の厚みを均一に整えるように作動する。
【0025】
本発明のベルト1は前記マンドレルMの表面を利用して製造されるが、その製造に際し、まず、マンドレルMの表面を、図7のハンチングで示している部分を例えばサンドペーパーまたはサンドブラストのような研磨手段により表面粗さがRa=1〜5μmとなるように粗面化しておく。あるいは格子状メッシュをマンドレルMの全体を覆うように被せたり、マンドレル表面に格子状の凹凸模様を彫刻しておいても良い。
【0026】
次に、ノズルNによりマンドレルMの上面から高分子弾性材料を塗布する。次いで、塗布により形成された高分子弾性部3を、放置あるいは加熱装置(図示せず)により半硬化させる。この高分子弾性部3が本発明のベルトB1のシュー接触面1aを形成することとなる。半硬化後、該高分子弾性部3の表面側に、図8の如く、基体2となる織布21を巻回配置し、先端部21aと同位置にて織布21の後端21bを切断し、両端21aと21bとをつき合わせる。
この後更に補強用の糸、織布もしくは格子状繊維素材を巻きつける。
【0027】
次に、図9の如く、ノズルNにより高分子弾性材料を塗布する。高分子弾性材料は、織布21のMD方向糸材とCMD方向糸材の空隙に充填された後、湿紙接触面1bを形成させ、その後、放置あるいは図示しない加熱手段により加熱硬化させる。
【0028】
前記高分子弾性部3は、本発明のベルト1の特性に応じて、同一の高分子弾性部としたり、異なる高分子弾性部とすることができる。本発明のベルト1を構成する高分子弾性部3が硬化した後、湿紙接触面1bは表面研磨され、所望の厚みに整えられるとともに表面が平滑にされる。さらに、必要があれば表面に排水用の溝が溝切装置(図示せず)により刻設される。しかる後、マンドレルMから取り外して本発明のベルト1が完成する。なお、予め格子状メッシュをマンドレルMに被せる場合、メッシュ自体が離型性に優れたものを選択することで、本発明のベルト1をマンドレルMから取り外しする際に、メッシュだけを容易に分離することができる。
【0029】
次に、本発明のベルト1の作用効果を説明する。
本発明のベルト1のシュー接触面1aの表面には、粗面化されたマンドレル上に高分子弾性材料を塗布することから、ベルト1のシュー接触面1aには粗面が発現する。すなわち、マンドレルの表面凹凸は本発明のベルトのシュー接触面に型付けされて、その表面は微細な凹凸がランダムに形成される。
【0030】
本発明では実験の結果、シュー接触面1aの表面粗さは、Ra=1.0〜3.5μmであると好適なことが確認された。ここで、表面粗さRaは、JIS B0601−1982にて規定されている中心線平均粗さの測定方法に基づくものである。
測定は、接触針に先端半径が5μmのものを用い、測定長10mm、トレース速度0.6mm/s、カットオフ値1.6mmの条件で行う。
なお、この範囲の表面の粗さを達成するためには、マンドレルMの粗面化が必要である。本発明ではマンドレルMの表面粗さが、Ra=1〜5μmの範囲に研磨材によりマンドレル表面を研磨して粗面化しておくことが望ましい。
または、マンドレルMに微小な格子状メッシュを被せておいても良いし、表面に格子状の彫刻を施しておいても良い。
【0031】
なお、前記研磨材として、バフやディスク、グラインダーなどの研磨材あるいは砥石が使用できる。この際、研磨材として単一の研磨材を用いても、複数種類の研磨材を用いてもよい。
【0032】
また、前記格子状メッシュとして、テフロン(登録商標)製の布帛やワイヤーメッシュ、不織布などを用いることができる。
【実施例】
【0033】
本発明の製紙機械用シュープレスベルトについて、図10に示す装置を使用して、その効果を確認するテストを行った。
まず、実施例として、サンプルを用意した。全てのサンプルは、次の工程により製造された。
工程1:直径50cm, 面長50cmの寸法のマンドレルを用意した。該マンドレルの研磨前の表面粗さはRa0.45μmであった。
次に該マンドレル表面を、酸化アルミニュームを砥材とする研磨材で、図11に記載の表面粗さに仕上げた。
【0034】
工程2:プレポリマーとして、三井化学ポリウレタン(株)製タケネートL2395(商品名)を用意した。硬化剤として、アルべマール社製エタキュア300(商品名)を用意した。これらを混合することにより、熱硬化性液状ウレタン(高分子弾性材料)を得た。
前記マンドレルを回転させながら、ノズルにより前記熱硬化性液状ウレタンをマンドレルの上から塗布し、ベルトのシュー接触面を有する内周面を形成した。
工程3:基体として、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織製してなる有端状の織布を用意した。MD方向糸材、CMD方向糸材はともにポリエステルマルチフィラメントを使用した。
基体は、前記内周面上にスパイラル状に巻きつけ、両端を固定し完成させた。
【0035】
工程4:工程2の熱硬化性液状ウレタンを、工程3の織布の中間位置まで含浸させた。さらに、熱硬化性液状ウレタンは、この中間位置より上方の織布内を満たすとともに、織布上面を超えるまで積層され、硬化させて、湿紙接触面を含むベルトの外周面を形成した。
工程5:外周面のウレタン部を研磨し、厚み5mmのサンプルを得た。
【0036】
この工程により得られたサンプルを、図10に示す実験装置により試験を行った。サンプルBSは、シュー接触面を上にして、サンプル固定台SHに固定した。この上に金属製の加圧端子PEを置き、さらにこの上からエアーシリンダーACにより圧力をかける。この状態のまま、加圧端子PEを水平方向に引き、このとき加圧端子にかかる力をロードセルにより測定した。エアシリンダーACは加圧端子PEと同調して移動する機構になっており、加圧端子PEとサンプルBSとの摩擦抵抗のみ測定できるようになっている。摩擦抵抗は動摩擦抵抗を測定した。サンプルBSのシュー接触面に潤滑剤を塗らなかった状態(試験1)と、サンプルBSのシュー接触面に薄く潤滑剤を塗った状態(試験2) の2通りの方法で試験を行った。
【0037】
この試験条件は、次の通りである。
・加圧端子にかかる圧力 : 80kg/cm2
・加圧端子の引張速度 : 180cm/分
・試験時の室内温度 : 25℃
・潤滑剤 : 新日本石油(株)社製 スーパーマルパス150
【0038】
この実験の結果を、図11に示す。
この結果、サンプルの表面粗さがRa=1.0〜3.5μmの場合、シュー接触面に潤滑剤のあるなしにかかわらず効果のあることが判明した。
Ra=1.0μm未満のものでは、潤滑剤がない場合、急激に摩擦抵抗が大きくなった。また潤滑剤がある場合でも、高い摩擦抵抗を示した。
Ra=3.5μmを超えるものでは、潤滑剤がない場合の摩擦抵抗は、Ra=1.0〜3.5μmのものと同程度であるが、それ以上の効果はみられなかった。潤滑剤のある場合ではかえって摩擦抵抗が大きくなっており、摩擦抵抗減少の効果は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】プレスパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図。
【図2】カレンダパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図。
【図3】シューとベルトの間に潤滑剤を供給する為の従来技術の説明図。
【図4】シューとベルトの間に潤滑剤を供給する為の従来技術の説明図。
【図5】シューとベルトの間に潤滑剤を供給する為の従来技術の説明図。
【図6】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの断面図。
【図7】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの製造方法を示す斜視図。
【図8】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの製造方法を示す斜視図。
【図9】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの製造方法を示す斜視図。
【図10】実施例の製紙機械用シュープレスベルトの性能をテストするための装置の概要図。
【図11】図10の装置によってテストした結果を示す図。
【符号の説明】
【0040】
1:製紙機械用シュープレスベルト
1a:シュー接触面
1b:湿紙接触面
2:基体
3:高分子弾性部
21:織布
21a:織布の先端部
21b:織布の後端
C:コーターバー
M:マンドレル
N:ノズル
R:プレスロール
S:シュー
AC:エアーシリンダー
PE:加圧端子
BS:ベルトサンプル
SH:サンプル固定台
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュープレス装置、例えば、製紙機械用のシュープレスに利用されるベルト(以下、単にベルトということがある)、特に、クローズドタイプのシュープレスに利用されるベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製紙機械には、プレスロールとシューとにより加圧部が構成されるシュープレス装置が使用されている。シュープレス装置は、従来のプレスロール同士の線状の加圧部に比して、面状の加圧部を構成できるため、抄紙工程の様々な箇所で特有の効果を発揮する。
【0003】
図1は、プレスパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図である。図1(a)の装置には比較的長尺のシュープレスベルトが使用され、図1(b)の装置には、比較的短いシュープレスベルトが使用される。
図1(a)、(b)のシュープレス装置100a、100bは、プレスロールRとシューSとで構成された加圧部Pを具えており、加圧部Pには、湿紙Wを挟持する一対のフェルトF、F、及びベルトBが配置され、プレスロールRの回転によって湿紙W、フェルトF、F及びベルトBが走行して加圧部Pを通過するようにされている。
なお、図中の矢印MDは、プレスロールRの回転方向を示す。
【0004】
図2は、カレンダパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図である。
図2に示すカレンダパートに使用されるシュープレス装置100cは、カレンダロールR’とシューSとにより構成される加圧部P内に、カレンダ用ベルトBCと、紙材料である粗面紙W’とが挟持され、カレンダロールR’の回転に伴って、ベルトBC、及び粗面紙W’が加圧部Pを通過するようになっている。
【0005】
これらのプレスパート、カレンダパートにおけるシュープレス装置には、ベルトB及びBCが使用されている。ベルトB及びBCは、それぞれのパートにより特有の効果を発揮するため、詳細においては構造が異なるものであるが、ベルト全体の強度を発現するための基体と、基体に配置された高分子弾性部により構成されているという、基本構成は共通する。
【0006】
一方、いずれのパートにおけるシュープレス装置であっても、シューとベルト間の摩擦を低減すべく、潤滑剤を供給する構成が形成されていることを共通とする。潤滑剤としては液状の潤滑オイルが使用されている。
【0007】
しかし、これらのシュープレス装置は、シューとベルト間に潤滑剤の供給量が少ないと、潤滑剤切れを起こしやすくなり、摩擦熱によりベルトに損傷を与えるという欠点があった。
また潤滑剤の供給装置の故障により、潤滑剤が供給されない状況に陥ることもあり、この場合も、同様にベルトの破損が生じる。
【0008】
そのため、シュープレス装置の機械構成として、シューとベルトの間に、多くの潤滑剤を供給する種々の提案がされている。
また、ベルトの構成についても、より多くの潤滑剤を加圧部内に供給する為の、種々の提案がされている。
【0009】
図3に、特許文献1に開示された、シュープレス装置加圧部に潤滑剤を供給するシステムを示す。
図3(a)には、シューSとベルトB1のシュー接触面B12の間に潤滑剤L1を供給する為に、シューSに対してMD方向上流側に配置された潤滑剤供給装置Lが示されている。
この発明は、ベルトB1のシュー接触面B12の表面に、潤滑剤を保持するための複数の凹部B13を設けることを特徴とするもので、凹部B13により、ベルトB1は潤滑剤を保持しつつ、ニップ加圧下へ進行されるので、潤滑剤を、シューSとベルトB1との間に供給することが可能となる。
【0010】
なお、この特許文献1中には、様々な凹部の構成例が記載されており、例えば、図3(b)のようなカップ状の凹部B13や、図3(c)のような溝状の凹部B13’が開示されている。
【0011】
一方、図4には、特許文献2に開示されたベルトを示す。この技術において、ベルトB2は、MD方向糸材B24と、CMD方向糸材B25とを重ねることにより構成される基体と、基体に配置された高分子弾性部とにより構成される。また、ベルトB2は、湿紙接触面B21と、シュー接触面B22を有する。
【0012】
そして、ベルトB2においては、シュー接触面B22に凸部B23が形成されている。この凸部B23により、シュー接触面B22には凹凸が形成される。これにより、ベルトB2のシュー接触面B22に潤滑剤が保持され、シューとベルトB2との間に潤滑剤を供給することが可能となる。
【0013】
更に、図5には、特許文献3に開示されたベルトを示す。このベルト10は、基体20に湿紙接触面11とシュー接触面12を備え、シュー接触面12には高分子弾性部30に含有される粉体40により、微細な凹凸がランダムに形成される。この微細な凹凸に潤滑剤が保持されるので、シューとベルトとの摩擦が軽減される。
【特許文献1】米国特許第4482430号公報
【特許文献2】特開平6−81291号公報
【特許文献3】特開2004−84125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし近年、シュープレスの高圧化、マシンの高速化が進んできており、シューとベルトの接触面への潤滑剤供給不足により、ベルトが損傷する問題が増加してきている。
本発明は、ベルトとシューの間に十分な潤滑剤を供給し得る製紙機械用シュープレスベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、湿紙接触面とシュー接触面とを有する製紙機械用シュープレスベルトにおいて、
該製紙機械用シュープレスベルトが基体と、少なくとも前記シュー接触面を構成する高分子弾性部とからなり、
前記高分子弾性部のシュー接触面の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmである製紙機械用シュープレスベルトによって、前記の課題を解決した。
【0016】
更に本発明では、前記シュー接触面を高分子弾性部により構成した無端状の前記ベルトを、マンドレル表面を利用して製造する際に、前記シュー接触面の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmになるようにマンドレル表面の表面粗さがRa=1〜5μmのマンドレルを選ぶか表面研磨し、または凹凸模様を彫刻して設け、この凹凸模様をベルトのシュー接触面に型付けする製造方法により、好適な製紙機械用シュープレスベルトを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シュー接触面に表面粗さがRa=1.0〜3.5μmの凹凸を持つ粗面が形成されて、この粗面に潤滑剤を保持することができるので、潤滑剤をベルトとシューとの間により多く供給することができるようになる。
その結果、ベルトとシューとの間に十分な量の潤滑剤が供給されることにより、ベルトとシューの摩擦による熱を抑えベルトの損傷を防ぐことができる。
【0018】
更に、潤滑剤の供給装置の故障により、潤滑剤が供給されなくなり、シューとベルトの接触面の潤滑剤が不足した場合でも、シュー接触面の凹凸により摩擦抵抗が抑えられ、ベルトの損傷を最小に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の製紙機械用シュープレスベルトの実施形態を、図6に基づき説明する。
ベルト1は、基体2と高分子弾性部3で構成され、湿紙接触面1bとシュー接触面1aを有する。
基体2は、ベルト1の強度を発現させるために設けられるものであり、MD方向糸材とCMD方向糸材とにより織製された基布が好適に使用できる。しかし、この例に限らず、基体2として、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織製せずに重ね合わせたものや、細帯状の布体をスパイラルに巻いて無端状布体としたもの等、基体としての機能を果たすものを適宜用いることができる。
【0020】
なお、図6には、基体2の両面に高分子弾性部3が形成される例を示した。この場合、基体2における糸材の隙間にも、高分子弾性部3は形成されている。
高分子弾性部3は、硬度80〜99°(JIS−A)のポリウレタンエラストマーなどにより構成される。
【0021】
なお、シュープレス用ベルト特有の構成として、湿紙接触面1bの高分子弾性部3に湿紙からの水分を一時的に保持する溝部(図示せず)が構成されている場合や、湿紙接触面1bには高分子弾性部3が形成されておらず、基体2の一方の面がベルト1の湿紙接触面1bを形成している場合があるが、本発明の製紙機械用シュープレスベルトは、いずれの用途であっても、シュー接触面1aは、必ず、高分子弾性部3により形成される。
【0022】
シュー接触面1aには、粗面が形成される。該粗面は微細な凹凸がランダムに形成されたものが好適に使用できるが、微小の格子状溝(図示せず)として形成してもよい。図6には、シュー接触面1aに粗面を点模様として模式的に誇張して示してある。
本発明では、この形成された粗面、すなわち微細な凹凸や微小の格子状溝に潤滑剤が保持されるため、より多くの潤滑剤をシューとベルト1との間に供給することが可能となる。
更にシュー側の高分子弾性体がシューと接触する面積が少ないため、潤滑剤がなくなった場合でも、摩擦抵抗の急激な増加を防止する効果がある。
【0023】
本発明では、シュー接触面を構成する高分子弾性部の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmのものが、好適に使用できる。表面粗さRaが1.0μm未満の場合、粗面に潤滑剤を保持する機能が低くなり、ベルトとシューとの間に供給する潤滑剤の量が不足してしまう。更に、潤滑剤がなくなった場合、シュー側の高分子弾性体がシューと接触する面積が大きいため、摩擦抵抗の急激な増加が起こる。またベルト走行時以外でも、たとえば、ベルトをマシンに装着する際は、潤滑剤のない状態で、ベルトを装着装置およびシューの上を滑らせて所定の位置まで移動させる方法がとられるが、この場合でも、表面粗さRaが1.0μm未満の場合には、シュー側の高分子弾性体がシューと接触する面積が大きいと摩擦抵抗が大きく、装着のための移動が困難になるという問題が生じる。表面粗さが3.5μmを超える場合は、粗面、特に凹面に潤滑剤を保持する機能は保たれるが、粗面の凸部への潤滑剤の入り込みが阻害され、ベルト全体の摩擦抵抗はむしろ増大してしまう。
【0024】
次に、本発明のベルトの製造方法の一例について概略を説明する。
図7において、Mはマンドレル、Cはコーターバー、Nはノズルである。マンドレルMは製作すべき本発明のベルト1の直径と対応した直径を有し、回転自在に構成されている。前記ノズルNはマンドレルMの長手方向に亘り移動可能に構成されている。該ノズルNは、高分子弾性材料の格納タンク(図示せず)に連繋されている。前記コーターバーCは上下方向に微移動可能に構成されており、ノズルNにより塗布された高分子弾性材料の厚みを均一に整えるように作動する。
【0025】
本発明のベルト1は前記マンドレルMの表面を利用して製造されるが、その製造に際し、まず、マンドレルMの表面を、図7のハンチングで示している部分を例えばサンドペーパーまたはサンドブラストのような研磨手段により表面粗さがRa=1〜5μmとなるように粗面化しておく。あるいは格子状メッシュをマンドレルMの全体を覆うように被せたり、マンドレル表面に格子状の凹凸模様を彫刻しておいても良い。
【0026】
次に、ノズルNによりマンドレルMの上面から高分子弾性材料を塗布する。次いで、塗布により形成された高分子弾性部3を、放置あるいは加熱装置(図示せず)により半硬化させる。この高分子弾性部3が本発明のベルトB1のシュー接触面1aを形成することとなる。半硬化後、該高分子弾性部3の表面側に、図8の如く、基体2となる織布21を巻回配置し、先端部21aと同位置にて織布21の後端21bを切断し、両端21aと21bとをつき合わせる。
この後更に補強用の糸、織布もしくは格子状繊維素材を巻きつける。
【0027】
次に、図9の如く、ノズルNにより高分子弾性材料を塗布する。高分子弾性材料は、織布21のMD方向糸材とCMD方向糸材の空隙に充填された後、湿紙接触面1bを形成させ、その後、放置あるいは図示しない加熱手段により加熱硬化させる。
【0028】
前記高分子弾性部3は、本発明のベルト1の特性に応じて、同一の高分子弾性部としたり、異なる高分子弾性部とすることができる。本発明のベルト1を構成する高分子弾性部3が硬化した後、湿紙接触面1bは表面研磨され、所望の厚みに整えられるとともに表面が平滑にされる。さらに、必要があれば表面に排水用の溝が溝切装置(図示せず)により刻設される。しかる後、マンドレルMから取り外して本発明のベルト1が完成する。なお、予め格子状メッシュをマンドレルMに被せる場合、メッシュ自体が離型性に優れたものを選択することで、本発明のベルト1をマンドレルMから取り外しする際に、メッシュだけを容易に分離することができる。
【0029】
次に、本発明のベルト1の作用効果を説明する。
本発明のベルト1のシュー接触面1aの表面には、粗面化されたマンドレル上に高分子弾性材料を塗布することから、ベルト1のシュー接触面1aには粗面が発現する。すなわち、マンドレルの表面凹凸は本発明のベルトのシュー接触面に型付けされて、その表面は微細な凹凸がランダムに形成される。
【0030】
本発明では実験の結果、シュー接触面1aの表面粗さは、Ra=1.0〜3.5μmであると好適なことが確認された。ここで、表面粗さRaは、JIS B0601−1982にて規定されている中心線平均粗さの測定方法に基づくものである。
測定は、接触針に先端半径が5μmのものを用い、測定長10mm、トレース速度0.6mm/s、カットオフ値1.6mmの条件で行う。
なお、この範囲の表面の粗さを達成するためには、マンドレルMの粗面化が必要である。本発明ではマンドレルMの表面粗さが、Ra=1〜5μmの範囲に研磨材によりマンドレル表面を研磨して粗面化しておくことが望ましい。
または、マンドレルMに微小な格子状メッシュを被せておいても良いし、表面に格子状の彫刻を施しておいても良い。
【0031】
なお、前記研磨材として、バフやディスク、グラインダーなどの研磨材あるいは砥石が使用できる。この際、研磨材として単一の研磨材を用いても、複数種類の研磨材を用いてもよい。
【0032】
また、前記格子状メッシュとして、テフロン(登録商標)製の布帛やワイヤーメッシュ、不織布などを用いることができる。
【実施例】
【0033】
本発明の製紙機械用シュープレスベルトについて、図10に示す装置を使用して、その効果を確認するテストを行った。
まず、実施例として、サンプルを用意した。全てのサンプルは、次の工程により製造された。
工程1:直径50cm, 面長50cmの寸法のマンドレルを用意した。該マンドレルの研磨前の表面粗さはRa0.45μmであった。
次に該マンドレル表面を、酸化アルミニュームを砥材とする研磨材で、図11に記載の表面粗さに仕上げた。
【0034】
工程2:プレポリマーとして、三井化学ポリウレタン(株)製タケネートL2395(商品名)を用意した。硬化剤として、アルべマール社製エタキュア300(商品名)を用意した。これらを混合することにより、熱硬化性液状ウレタン(高分子弾性材料)を得た。
前記マンドレルを回転させながら、ノズルにより前記熱硬化性液状ウレタンをマンドレルの上から塗布し、ベルトのシュー接触面を有する内周面を形成した。
工程3:基体として、MD方向糸材とCMD方向糸材とを織製してなる有端状の織布を用意した。MD方向糸材、CMD方向糸材はともにポリエステルマルチフィラメントを使用した。
基体は、前記内周面上にスパイラル状に巻きつけ、両端を固定し完成させた。
【0035】
工程4:工程2の熱硬化性液状ウレタンを、工程3の織布の中間位置まで含浸させた。さらに、熱硬化性液状ウレタンは、この中間位置より上方の織布内を満たすとともに、織布上面を超えるまで積層され、硬化させて、湿紙接触面を含むベルトの外周面を形成した。
工程5:外周面のウレタン部を研磨し、厚み5mmのサンプルを得た。
【0036】
この工程により得られたサンプルを、図10に示す実験装置により試験を行った。サンプルBSは、シュー接触面を上にして、サンプル固定台SHに固定した。この上に金属製の加圧端子PEを置き、さらにこの上からエアーシリンダーACにより圧力をかける。この状態のまま、加圧端子PEを水平方向に引き、このとき加圧端子にかかる力をロードセルにより測定した。エアシリンダーACは加圧端子PEと同調して移動する機構になっており、加圧端子PEとサンプルBSとの摩擦抵抗のみ測定できるようになっている。摩擦抵抗は動摩擦抵抗を測定した。サンプルBSのシュー接触面に潤滑剤を塗らなかった状態(試験1)と、サンプルBSのシュー接触面に薄く潤滑剤を塗った状態(試験2) の2通りの方法で試験を行った。
【0037】
この試験条件は、次の通りである。
・加圧端子にかかる圧力 : 80kg/cm2
・加圧端子の引張速度 : 180cm/分
・試験時の室内温度 : 25℃
・潤滑剤 : 新日本石油(株)社製 スーパーマルパス150
【0038】
この実験の結果を、図11に示す。
この結果、サンプルの表面粗さがRa=1.0〜3.5μmの場合、シュー接触面に潤滑剤のあるなしにかかわらず効果のあることが判明した。
Ra=1.0μm未満のものでは、潤滑剤がない場合、急激に摩擦抵抗が大きくなった。また潤滑剤がある場合でも、高い摩擦抵抗を示した。
Ra=3.5μmを超えるものでは、潤滑剤がない場合の摩擦抵抗は、Ra=1.0〜3.5μmのものと同程度であるが、それ以上の効果はみられなかった。潤滑剤のある場合ではかえって摩擦抵抗が大きくなっており、摩擦抵抗減少の効果は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】プレスパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図。
【図2】カレンダパートに使用される従来のシュープレス装置の概要図。
【図3】シューとベルトの間に潤滑剤を供給する為の従来技術の説明図。
【図4】シューとベルトの間に潤滑剤を供給する為の従来技術の説明図。
【図5】シューとベルトの間に潤滑剤を供給する為の従来技術の説明図。
【図6】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの断面図。
【図7】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの製造方法を示す斜視図。
【図8】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの製造方法を示す斜視図。
【図9】本発明の製紙機械用シュープレスベルトの製造方法を示す斜視図。
【図10】実施例の製紙機械用シュープレスベルトの性能をテストするための装置の概要図。
【図11】図10の装置によってテストした結果を示す図。
【符号の説明】
【0040】
1:製紙機械用シュープレスベルト
1a:シュー接触面
1b:湿紙接触面
2:基体
3:高分子弾性部
21:織布
21a:織布の先端部
21b:織布の後端
C:コーターバー
M:マンドレル
N:ノズル
R:プレスロール
S:シュー
AC:エアーシリンダー
PE:加圧端子
BS:ベルトサンプル
SH:サンプル固定台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿紙接触面とシュー接触面とを有する製紙機械用シュープレスベルトにおいて、該製紙機械用シュープレスベルトが基体と、少なくとも前記シュー接触面を構成する高分子弾性部とからなり、
前記高分子弾性部のシュー接触面の表面粗さが、Ra=1.0〜3.5μmであることを特徴とする製紙機械用シュープレスベルト。
【請求項2】
マンドレル(回転する円筒)上で製紙機械用シュープレスベルトを製造する方法において、
前記シュー接触面の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmになるようにマンドレルを調整し研磨し、又は模様を彫刻しておき、前記シュー接触面に表面粗さを型付けすることを特徴とする、製紙機械用シュープレスベルトの製造方法。
【請求項1】
湿紙接触面とシュー接触面とを有する製紙機械用シュープレスベルトにおいて、該製紙機械用シュープレスベルトが基体と、少なくとも前記シュー接触面を構成する高分子弾性部とからなり、
前記高分子弾性部のシュー接触面の表面粗さが、Ra=1.0〜3.5μmであることを特徴とする製紙機械用シュープレスベルト。
【請求項2】
マンドレル(回転する円筒)上で製紙機械用シュープレスベルトを製造する方法において、
前記シュー接触面の表面粗さがRa=1.0〜3.5μmになるようにマンドレルを調整し研磨し、又は模様を彫刻しておき、前記シュー接触面に表面粗さを型付けすることを特徴とする、製紙機械用シュープレスベルトの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−1948(P2009−1948A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166372(P2007−166372)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000180597)イチカワ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
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