説明

製造工程における誤作業防止システム

【課題】 従来は一つの工程で、種類の異なる複数の誤作業防止装置の設置場所が必要なため作業場所が狭くなる課題やソフトウェアの保守管理作業が繁雑になる課題があった。
【解決手段】 車型の指示、部品の選別指示、締付工具の選別と締付本数指示を行うデータを設定可能なソフトウェアとタッチパネルを有する誤作業防止制御盤と、車型信号を誤作業防止制御盤に送受信する車型指示部と、車型に対応する取付部品を指示し取付部品のある位置を指示する信号を誤作業防止制御盤から受信し、部品取出しを確認する信号を誤作業防止制御盤へ送信する部品選別部と、締付工具から締付信号を誤作業防止制御盤へ送信する締付工具部とを有し、それぞれの誤作業防止制御盤は、全ての製造工程に対して指示を行う生産指示親局に接続し各種のデータ信号を送受信可能なことを特徴とする製造工程における誤作業防止システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の製造工程の様々な工程に汎用でき、それぞれの工程において車型の指示、締付工具の選別と締付本数指示、部品の選別が可能な製造工程における誤作業防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の製造工程の様々な工程のうちの一工程においては、車型の指示、締付工具の選別と締付本数指示、部品の選別をして搬送されてくる自動車の一つの車型の車体に合わせた部品を締付工具により決められた場所に締付けて組立てている。したがって搬送されてくる一つの車型に合致した様々な取付位置に取り付ける部品を選別し、更に締付工具の選別と締付本数指示をする必要があり、これらの組合わせを間違わないように各種の誤作業防止装置があった。すなわち、少なくとも一つの工程で車型を指示する制御盤を有する誤作業防止装置と、車型に対応する締付位置を指示する誤作業防止装置と、締付工具の選別と締付本数を指示する誤作業防止装置が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来は一つの工程で、種類の異なる複数の誤作業防止装置が必要なため、それぞれに対応する設置場所が必要であった。そのため作業場所が狭くなる課題があった。また、それぞれの誤作業防止装置は、それぞれ車型用、部品用、締付工具用と専用機であったため、工程が変更される毎にソフトウェアを含む制御盤の追加が必要となり、制御盤の増加や製造コストの増加等の欠点があった。
【0004】
又仕様によって誤作業防止装置に使用される制御盤のソフトウェアが異なるため、工程毎にソフトウェアを変更する必要があった。そのため、一日で工程が変わる工場では、その度毎にソフトウェアを変更する必要があり管理や作業が面倒である課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、製造工程の1工程について、車型の指示、部品の選別指示、締付工具の選別と締付本数指示を行うデータを設定可能なソフトウェアを有しそれぞれをモニター表示可能なタッチパネルを有する誤作業防止制御盤と、車型を特定し車型信号を誤作業防止制御盤に送受信する車型指示部と、車型に対応する取付部品を指示し取付部品のある位置を指示する信号を誤作業防止制御盤から受信し、かつ部品取出しを確認する信号を誤作業防止制御盤へ送信する部品選別部と、締付工具から締付信号を誤作業防止制御盤へ送信する締付工具部とを有し、それぞれの誤作業防止制御盤は、全ての製造工程に対して指示を行う生産指示親局に接続し各種のデータ信号を送受信可能なことを特徴とする製造工程における誤作業防止システムを提案する。
【0006】
また、部品選別部が、誤作業防止制御盤から受信する指示信号にしたがって選別された部品を明示する部品選別装置と部品取出しを確認する部品取出確認装置とを有する部品選別部である0005欄の製造工程における誤作業防止システムを提案する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、自動車等の製造工程の一工程毎に一つの誤作業防止装置の設置ですむため、工場内で有効に使える場所が増加した。
【0008】
また、一つの誤作業防止装置で車型の指示、部品の選別指示、締付工具の選別と締付本数指示が一緒にできるため、ソフトウェアを含む制御盤の追加や変更回数が減少した。
【0009】
一つの工程で一つのソフトウェアを管理するだけでよくなったので、保守管理が楽になり保全性が向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次にこの発明の1つの実施形態について、製造工程の各工程にそれぞれある1の誤作業防止システムの説明図である図1、同じくこの発明の実施形態である誤作業防止システムの作動の流れを示すフローチャート図である図2、誤作業防止制御盤のタッチパネルのモニター表示例を示す図3乃至図6、誤作業防止制御盤のモニターの具体的な実施例を示すタッチパネルを示す図7乃至図22に基づいて説明する。
【0011】
この発明の実施形態である製造工程における誤作業防止システムは、製造工程の中の1つの工程において、車型の指示、部品の選別指示、締付工具の選別と締付本数指示を行うデータを設定可能なソフトウェアを有しそれぞれをモニター表示可能なタッチパネル10を有する1台の誤作業防止制御盤1と、車型を特定し車型信号を誤作業防止制御盤1に送受信する1つの車型指示部2と、車型に対応する取付部品を指示し、取付部品のある位置を指示する信号を誤作業防止制御盤1から受信すると点灯する選別用ランプ30と部品の取出を確認する部品取出確認装置31を有する1つの部品選別部3と、締付工具を指示する締付信号を誤作業防止制御盤1から受信する1つの締付工具部4と、製造工程の搬送コンベアを制御するコンベア制御盤5を有する。各々の誤作業防止制御盤1は、製造工程全般に亘って指示信号と確認信号等の信号を各工程の誤作業防止制御盤1に送受信可能な生産指示親局6に接続している。
【0012】
誤作業防止システムは、その作動の流れを示すフローチャート図である図2のようにスタートスイッチによりON状態になると、生産指示親局6は、設定されているその車型のデータにより各誤作業防止制御盤1へ、その車型に対応するデータを送信する。各子局である誤作業防止制御盤1は、生産指示親局6から受信したデータを元に入力されているティーチングプログラムに基づいて車型あるいは部品あるいは工具を判断する。その判断により誤作業防止制御盤1は、車型指示部2、部品選別部3、締付工具部4のそれぞれに指示信号を送信する。このとき車型指示部2、部品選別部3、締付工具部4のそれぞれは、指示信号に基づいて車型を指示し、選別指示された部品を取り出し、指示された締付工具によって締付け作業を行う。その車型に対応する正しい部品を正しい締付け工具で作業が完了した場合は、誤作業防止制御盤1は、タッチパネル10でその作業の完了を確認できる。また、タッチパネル10に予め設定したデータ内に作業が終わらない場合は、作業遅れとして、コンベア制御盤5からコンベア停止信号を送信してコンベアを停止させる。誤作業防止制御盤1のタッチパネル10は、それぞれ受信送信するデータのモニター表示を選択して示すことが可能である。
【0013】
誤作業防止制御盤1のタッチパネル10には、図3に示す各工程毎の車型選別部2及び部品選別部3及び締付工具部4の完了、開始、警報、停止などを表示するモニター表示と、図4に示す各工程毎の車型選別部2の各車型を表示するモニター表示と、図5に示す各工程毎の部品選別部3を表示するモニター表示と、図6に示す各工程毎の締付工具部4の各工具、位置設定、締付完了等を表示するモニター表示とが表示できる。
【0014】
部品選別部3は、部品選別装置30と、部品取出確認装置31と、部品場所32を有する。部品選別装置30は、この実施例では部品選別ランプ30からなり、各部品場所32に置いてある部品を、車型のデータを受信すると指定された部品がある部品場所32を部品選別ランプ30が点灯して選別された部品の指示する。部品数はこの実施例では128部品まで登録出来、その中から、部品選別ランプ30が点灯した部品を選別する。部品取出確認装置31は、この実施例では、光電スイッチからなり、部品選別ランプ30が点灯する部品場所32から部品を取り出すことにより光を遮り、これを光電スイッチが感知する。この取出し確認信号を誤作業防止制御盤1に送信する。部品取出確認装置31の他の実施形態では、他のスイッチ、取出釦等によって行ってもよい。
【0015】
誤作業防止制御盤1は、設定されているその車型のデータにより、その車型に対応する締付工具を選別し締付本数指示する信号を表示する。締付工具数は、この実施例では12工具あり、指示信号によりタッチパネルのランプが点灯しその締付工具を選別し、その締付工具によって設定された締付本数を組み付ける。
【0016】
これらの作業の開始、完了は、完了信号がそれぞれ車型選別部2、部品選別部3、締付工具部4から誤作業防止制御盤1に送信され、タッチパネル10上にモニター表示される。
【0017】
コンベア制御盤5は、コンベア制御装置に接続するとともに、生産指示親局6と各誤作業防止制御盤1に接続している。コンベア制御盤5は、タッチパネル10に予め設定したデータ内に作業が終わらない場合は、作業遅れとして、コンベア制御盤5からコンベア停止信号を送信してコンベアを停止させ工程ラインを停止させる。
【実施例】
【0018】
誤作業防止制御盤1のタッチパネル10のモニター表示の具体的な実施例について誤作業防止制御盤1のタッチパネル10を示す図7乃至図22に基づいて説明する。誤作業防止制御盤1のタッチパネル10には、メニュー1(図7)としてタイトル画面表示、初期値の設定A、初期値の設定B、子局ポインタ合せ、Tレンチ(工具)の設定、部品選別指示の設定、車型指示の設定、作業名称設定が表示される。また誤作業防止制御盤1のタッチパネル10には、メニュー2(図8)としてタイトル画面表示、子局状態のモニター、Bf状態(バッファデータ)のモニター、異常内容のモニター、Tレンチのモニター、部品選別指示のモニター、車型指示のモニター、作業名称のモニターが表示される。
【0019】
初期値の設定Aを示すモニター画面(図9)では、1.コンベアパルス位置開始モードのとき誤作業防止開始位置、警報位置、停止位置を設定する。2.子局である誤作業防止制御盤1に取り込むデータ数(バッファ数)を設定する。
【0020】
初期値の設定Bを示すモニター画面(図10)では、1.要求釦開始モードのとき誤作業防止警報時間、停止時間を設定する。2.車型指示の出力時間を設定する。要求後、車型指示の設定時間だけを出力。また0秒のときは、完了信号が入るまで出力。
【0021】
子局ポインタ合せを示すモニター画面(図11)では、生産指示親局6からの指示データの変更を子局である誤作業防止制御盤1にて行う。
【0022】
締付工具と締付本数設定を示すモニター画面で(図12、図13)は、車型情報毎に、工具の選択と締付け本数の設定を行う。工具は最大12本まで登録ができる。
【0023】
部品選別指示の設定(1〜3)を示すモニター画面(図14)では、車型情報毎に、部品の選別指示の設定を行う。部品数はこの実施例では128部品まで登録出来、その中から、部品選別ランプ30が点灯した部品を選別する。
【0024】
車型指示の設定を示すモニター画面(図15)では、車型情報毎に、車型指示の設定を行う。
【0025】
作業名称の設定を示すモニター画面(図16)では、車型情報毎に、作業名称を設定する。
【0026】
子局を示すモニター画面(図17)では、現在の作業状態を表示する。例えば、締付工具の指示、部品の選別、車型の指示のどれかが、完了又は開始又は警報又は停止を表示する。
【0027】
Bf状態を示すモニター画面(図18)では、現在の各子局である誤作業防止制御盤1に取り込まれているデータを表示する。
【0028】
工具締付指示を示すモニター画面(図19)では、現在の工具締付指示の状態を表示する。
【0029】
部品選別指示を示すモニター画面(図20)では、現在の部品選別指示の状態を表示する。
【0030】
車型指示を示すモニター画面(図21)では、現在の車型指示の状態を表示する。
【0031】
作業名称を示すモニター画面(図22)では、現在の作業名称を表示する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、自動車の製造工程における各種作業に利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の1つの実施形態である誤作業防止システムの一工程の説明図
【図2】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止システムの指示信号の流れを示すフローチャート図
【図3】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルのモニターの表示例
【図4】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルのモニターの表示例
【図5】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルのモニターの表示例
【図6】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルのモニターの表示例
【図7】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図8】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図9】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図10】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図11】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図12】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図13】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図14】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図15】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図16】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図17】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図18】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図19】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図20】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図21】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【図22】同じくこの発明の実施形態である誤作業防止制御盤のタッチパネルの具体的な実施例を示す表示図
【符号の説明】
【0034】
1 誤作業防止制御盤
10 タッチパネル
2 車型指示部
3 部品選別部
30 部品選別ランプ
31 部品取出確認装置(取出釦、光電スイッチ、スイッチ)
4 締付工具部
5 コンベア制御盤
6 生産指示親局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造工程の1工程について、車型の指示、部品の選別指示、締付工具の選別と締付本数指示を行うデータを設定可能なソフトウェアを有しそれぞれをモニター表示可能なタッチパネルを有する誤作業防止制御盤と、車型を特定し車型信号を誤作業防止制御盤に送受信する車型指示部と、車型に対応する取付部品を指示し取付部品のある位置を指示する信号を誤作業防止制御盤から受信し、かつ部品取出しを確認する信号を誤作業防止制御盤へ送信する部品選別部と、締付工具から締付信号を誤作業防止制御盤へ送信する締付工具部とを有し、それぞれの誤作業防止制御盤は、全ての製造工程に対して指示を行う生産指示親局に接続し各種のデータ信号を送受信可能なことを特徴とする製造工程における誤作業防止システム。
【請求項2】
部品選別部が、誤作業防止制御盤から受信する指示信号にしたがって選別された部品を明示する部品選別装置と部品取出しを確認する部品取出確認装置とを有する部品選別部である請求項1記載の製造工程における誤作業防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−83967(P2007−83967A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277647(P2005−277647)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【出願人】(505361048)濱坂電機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】