説明

製造工程仕様作成運営システム、プロセスデータ作成システム及び半導体装置の製造方法

【課題】 生産管理システムとシミュレーションシステムの双方に入力可能なプロセスデータを用いる事によりシミュレーションを有効に活用できる製造工程仕様運営システムを提供する。
【解決手段】 このシステムは前記製造プロセスの各工程で用いられる製造装置に指示を行い或いは前記製造装置の制御を行う生産管理システム2と、前記製造プロセスの各工程のシミュレーションを実行するシミュレーションシステム3と、前記生産管理システムと前記シミュレーションシステムの双方の入力データとして使用が可能なプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置を備えたプロセスデータ作成システム1とを有する。製品開発にシミュレーションの効果的な活用ができ、製品製造に関する技術的なノウハウやシミュレーション上のノウハウを一括して容易にデータベース化できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造工程の仕様作成運営システムに関し、特に、製造プロセスの設計における各工程の作業手順や製造条件の設計を効率的に組み上げ実行することのできる製造工程仕様作成システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】製造プロセスの設計は、従来、設計者の知識や経験を頼りに主として手作業で行われており、シミュレーションは補助的に用いられてきた。特に半導体集積回路装置(以下、LSIという)の工程仕様の作成には仕様の編集、仕様記述形式のチェック、プロセス上のノウハウに照らした仕様の正当性のチェック、半導体ウェハ構造と不純物分布のシミュレーションや素子特性のシミュレーションなどが必要となる。これらの個々の作業に関して、これまでにも幾つかの支援システムが開発され実際に使用されている。例えば、製造ラインでのLSI生産を管理する運営システム(以下、生産管理システムという)に入力する工程仕様(以下、単に工程仕様という)には、製造ラインで用いる製造装置を指定したり、制御するためのデータを設定したりする必要がある。多くのプロセス工程では、製品の品質及び歩留まりなどを高めるために、工程毎に細部にわたる制御データの設定がなされており、制御データ量も膨大になる。従って、これらの設定を一々人手で行うとかなりの時間と労力を費やすことになり、プロセス設計技術者の負担が増大するばかりではなく、入力ミスなどのケアレスミスも増大し、生産効率が著しく低下してしまう。この問題を改善するために、生産管理システムの一部として工程仕様作成支援ツールといったものが開発され、技術者の負担を軽減し、また、単純ミスを減らしてきている。
【0003】また、LSIの製造や電気特性及び回路特性などをシミュレートするためのシミュレーションシステム、即ち、プロセスシミュレータ、デバイスシミュレータ、回路シミュレータなども、LSI設計やLSI製造工程仕様作成などの支援ツールの一例である。実際にLSI作成に取り掛かる前に、LSIを計算機上でシミュレートし、電気的特性の解析やプロセス及びデバイス的な問題点などを見出だしたりすることができるため、シミュレーションシステムは、支援ツールとして欠かせないものになっている。しかし、従来の生産管理システムでは、一連の作業により行われる個々の製造工程に対して、予め作成されている工程仕様データに従い装置制御を行うものであり、シミュレーションとは独立したものであった。プロセス条件の絞り込みやプロセス変更に伴う電気特性などの評価などのためにシミュレーションを活用することが多いため、実際の製造ラインでの条件でシミュレーションを行う必要がある。しかしながら、従来のシミュレーションでは、実際の製造ラインの工程を制御するための設定データの全てを用いるのではなく、例えば拡散工程などの場合には、拡散炉へのウェーハ投入から取り出しまでのレシピやこれに伴う温度や雰囲気及び拡散時間といった制御データを用いてシミュレーションがなされていた。
【0004】また、シミュレーションを実行するためには、数値計算の為の離散化などシミュレーション固有のデータも必要となる。このように工程仕様データとシミュレーション用のデータとは質的に異なることから、図12に示したように、工程仕様データからシミュレーション用データを作成するためのツールや、逆に、シミュレーション用データから工程仕様データを作成するためのツールなどの変換装置が開発されている。工程仕様データを作成するためには生産管理システム用入力データが含まれているデータベースAを用い、シミュレーションシステム用データを作成するためにはシミュレーション用データが含まれているデータベースBを用いる。このように、従来は、工程仕様データ及びシミュレーション用データを作成するのにそれぞれ別のデータベースを用いていた(特開平9−34533号参照)。一方、LSIの高集積化や高付加価値化が進められ、生産効率を上げるために歩留まり向上が進められるに伴い、プロセスのバラツキ低下やプロセスマージンが狭くなってくるなど、プロセスの制御性の向上に対する要求が高まってくるようになった。これにより、シミュレーションの精度を高め、実工程に近い結果を得るためのシミュレーションの開発が重要な問題となっている。実工程を精度良く忠実にシミュレーションするために、既存のモデルで用いられているパラメータをプロセスごとに合わせ込んで高精度なシミュレーション結果を求める方法やモデル自体を改善することにより現象をより正しく記述するようなモデル開発などが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来は、工程毎にプロセスモデル及びパラメータが用いられている。例えば、拡散工程の場合には、拡散温度や拡散時間及び雰囲気からドーパント等の不純物に対する拡散モデル及びモデルパラメータが決定される。しかしながら、実際には、同じ工程であっても装置ごとによってプロセスのバラツキが発生する。この原因として、例えば、拡散炉の場合では、熱源の装置間でのバラツキや拡散炉内部のガスの流量や流速のバラツキなどが挙げられる。従来法では、モデル及びモデルパラメータが工程毎に決められていたために、上記の装置ごとのバラツキを取り入れることができなかった。また、工程仕様データには、各工程で用いられる装置及び装置を制御するためのデータが取り込まれているが、工程仕様データからシミュレーション用のデータを作成する際には、シミュレーションに必要なデータが選別されるため、装置を指定或いは制御するためのデータはシミュレーションの為のデータには取り入れられていなかった。
【0006】他方、前述のように、従来法では工程仕様データとシミュレーション用のデータが各々独立であったために、それぞれ別々にデータベースとして蓄えなくてはならなかった。ところが、工程仕様作成時には各工程ごとや全工程中の一部の連続した工程のプロセス条件を決定する作業が行われる。こられの製品製造の全工程を複数部分に分けた工程(以下では、部分工程と記す)は、それぞれの部分工程ごとに担当者が決められて開発が進められる場合が多い。これらの部分工程に対する開発段階でそれぞれの担当技術者は、部分工程に対する工程仕様データを作成し試作を行ったり、シミュレーションを行って開発を進める。このとき、部分工程によっては、試作担当者とシミュレーション担当者がそれぞれ試作やシミュレーションを専門に担当する場合もある。部分工程の開発時には、試料作成に伴って多くの工程仕様データが作成され、また同様に、シミュレーションの実行のために多くのシミュレーションデータが作成される。これらの多くのデータは、従来、部分工程のそれぞれの担当者が管理や保管を行っていた。従って、部分工程の担当者以外の技術者が、その部分工程の開発段階での技術的な情報を得ようとする場合には、直接その部分工程の担当者から工程仕様データやシミュレーションを用のデータや試作品の評価結果やシミュレーションの結果などの情報を入手する方法がとられていた。
【0007】しかしながら、この様な担当者から直接情報を得る従来の方法では、的確な情報を迅速に得ることが困難であったため、情報の共有化により開発効率を向上することが困難であった。情報の共有化を実現するためには、部分工程の開発や製品製造の全工程の開発段階で得られる技術的なノウハウや試作品の評価結果などの技術情報をデータベース化して、必要な情報を必要なときに得られるようにすることが必要となるが、従来の場合には、工程仕様データとシミュレーションデータが独立して個別に開発担当技術者により作成されていたため、工程仕様データやそれを用いた製造過程で得られるデータやシミュレーション用の入力データやシミュレーションの結果などのデータの種類やデータ形式が統一されておらずデータベース化が困難であった。
【0008】シミュレーション用のデータも、工程仕様データと同様に、生産のノウハウや最適なプロセス構成やシミュレーション上のノウハウなどの技術情報を含んでおり、データベース化することにより将来的な活用が必要であるが、工程仕様データとシミュレーション用のデータが独立であるために、工程仕様データとシミュレーション用のデータが一体一に対応しておらず、対応付けが困難になるとともに、例えば、過去に作られたシミュレーション用のデータを用いてシミュレーションを実行しようとした場合に、どのシミュレーション用のデータを用いれば良いか等の混乱を引き起こす危険が大きかった。本発明は、このような事情によりなされたものであり、生産管理とシミュレーションとを同等に行うことによりシミュレーションを有効に活用できる製造工程仕様運営システム、このシステムに用いられるプロセスデータ作成データ及び半導体装置の製造方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、生産管理システムとシミュレーションシステムの双方に入力可能なプロセスデータを用いる事を特徴とする。すなわち、本発明の製造工程仕様作成運営システムは、前記製造プロセスの各工程で用いられる製造装置に指示を行い或いは前記製造装置の制御を行う生産管理システムと、前記製造プロセスの各工程のシミュレーションを実行するシミュレーションシステムと、前記生産管理システムと前記シミュレーションシステムの双方の入力データとして使用が可能なプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置を備えたプロセスデータ作成システムとを具備していることを特徴としている。本発明のプロセスデータ作成システムは、前記製造プロセスの各工程で用いられる製造装置に指示を行い、或いは前記製造装置の制御を行う生産管理システムと前記製造プロセスの各工程のシミュレーションを実行するシミュレーションシステムの二つの入力データとして使用が可能なプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置とを具備したことを特徴としている。
【0010】本発明の半導体装置の製造方法は、半導体装置の製造プロセスにおける各工程の条件設計を行い製造工程の仕様を作成し運営する生産管理システム及びシュミレーションシステムの双方の入力データとして使用できるプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置とを備えたプロセスデータ作成システムからプロセスデータを形成する段階と、前記プロセスデータに基づいて、前記生産管理システムにおける製造計画を形成する段階と、前記製造計画に基づいて測定データが形成されるまで製造工程を実行する段階と、前記測定データが製造条件に合わない場合には新しいプロセスデータを作成してシュミレーションシステムに入力し、この新しいプロセスデータに基づいて新しい製造計画を形成する段階と、前記新しい製造計画に基づいて製造工程を実行する段階とを備えたことを特徴としている。生産管理システムとシミュレーションシステムの双方に入力可能なプロセスデータを用いることにより、製品開発にシミュレーションの効果的な活用を実現し、また、製品製造に関する技術的なノウハウやシミュレーション上のノウハウを一括して容易にデータベース化することが実現できる。また、各製造装置ごとにモデル及びパラメータを用いたシミュレーションにより、工程のバラツキを取り入れたシミュレーションを実現させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して発明の実施の形態を説明する。まず、図1乃至図4を参照して第1の発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のLSI製造工程仕様作成運営システムの構成図である。プロセスデータ作成システム1は、LSIを作成しようとする技術者やシミュレーションを実行しようとする技術者が、一連の作業工程の順序、個々の工程の条件、作業をする装置名などの実工程を実行するためのデータやシミュレーションを実行する際の離散化情報やプロセスモデルやパラメータの入力を行い、生産管理システム2及びシミュレーションシステム3への入力データ(以下、プロセスデータという)を作成する。生産管理システム2は、入力されたプロセスデータ4に基づきLSIの製造ラインで実際の作業をする装置のオペレータに対して行うべき作業の指示を行うものである。シミュレーションシステム3は、技術者が入力したデータに基づきシミュレーションを実行する。本発明は、生産管理システム2とシミュレーションシステム3とをプロセスデータ4を用いて一体化し、同じデータで生産管理システム2とシミュレーションシステム3を起動することができる。
【0012】次に、シミュレーションシステム3の構成を具体的に説明する。シミュレーション用端末5′は、電子計算機の端末であり、例えば、エンジニアリングワークステーション(EWS)やパーソナルコンピュータ(PC)のディスプレイ装置とキーボードなどからなり、シミュレーションの実行を行ったりプロセスデータ4の修正や変更を行う。シミュレーションの実行は、シミュレーション用端末5′に接続されたホスト計算機7′にシミュレータを搭載して実行されるが、このホスト計算機7′は単一のものである必要はなく、ネットワークで多数の計算機を接続しておき、都合のよい計算機に自由にシミュレーション用端末5′からアクセスできるようにしておく方が作業が効率的に行えるという点で望ましい。また、シミュレータの種類に関しては、LSI開発の場合には、拡散工程やイオン注入工程などのプロセスをシミュレートするプロセスシミュレータや半導体素子の電気特性を計算するデバイスシミュレータや回路動作性を計算する回路シミュレータなどが含まれる。また、各工程に対する形状の変化を計算する形状シミュレーションや原子や分子レベルからの各工程による構造や状態の変化をシミュレーションするような分子動力学シミュレータなどのようなシミュレータも広義のプロセスシミュレータとして含まれていても良い。これらの内のどのシミュレータを用いるかは、LSIやLSI開発のための試料を作ろうとしている技術者が自由に決めることができるし、複数のシミュレータが存在することを技術者が気にすること無く、シミュレーションシステムにシミュレータの選択を任せることもできる。
【0013】次に、生産管理システム2の具体的な構成を説明する。生産管理システム2へ入力するプロセスデータ4は、半導体装置を製造する一連の作業の種類と作業条件(プロセス情報)を含む。この一連の多数の作業は、工程と呼ばれる単位のまとまりに分割されている。入力されたデータを集中管理するデータ管理システム6であり、プロセスデータ4への実測データなどのデータの追加及び削除を行うための編集機能を備えている。データベース8は、データ管理システム6で用いられる。ホスト計算機7″は、生産管理システム2用の計算機である。生産管理用データベース9は、実際の作業を行ったときに得られるQCデータ(品質管理データ)もこのデータベースに蓄積されていく。作業条件表示端末10は、製造ラインの作業者用端末で、このディスプレイに作業条件の指示をしたり、測定したQCデータをここから入力したりするために用いられる。生産管理システム2は、作業条件表示端末10を介して作業者に指示をするだけではなく、場合によっては製造ラインの個々の製造装置11を直接制御して工程作業の進行状況や稼働状況などの情報を取り込んだり、作業者を介さずに直接製造装置及びQCデータ測定装置12を制御しQCデータの測定結果をホスト計算機7″を介してデータベース8に取り込む場合もある。実際の工程で使用される装置名等の装置条件のデータは、製造装置11からデータ管理システム6を通してデータが送られ、プロセスデータ4の追加及び変更がなされる。また測定したQCデータは、QCデータ測定装置12からデータ管理システム6にデータを送り、プロセスデータ4に追加される。
【0014】本発明では、シミュレーションシステムにも生産管理システムにも同一のプロセスデータを使用することにより、シミュレーションとLSI作成やLSI製造検討用試料作成を同等に扱えることを特徴とする。次に、プロセスデータ4の構成及びプロセスデータ作成システム1の構成を具体的に説明する。プロセスデータ作成システム1は、技術者がデータ作成端末5からLSIを製造する一連の作業の種類と作業条件(プロセス情報)やシミュレーションで用いるモデル及びモデルパラメータの指定やシミュレーションを実行する際のシミュレータの指定などのシミュレーション情報を含むプロセスデータを入力するように構成されている。この際に、プロセス設計やデバイス設計の技術者などのシミュレーションに不慣れな技術者に対しては、シミュレーション用の離散化などのデータは標準設定が準備してあることが好ましい。この発明の実施の形態では、これらの標準設定データはデータベース15に格納されている。また、例えば、離散化の格子間隔や計算領域の設定などに対してリストアップされた中から選べるような入力ツールがあれば更に好ましい。
【0015】また、プロセスデータをデータベース15に格納保存し、LSIやLSI開発用試料などに対するプロセスデータを作成しようとする場合にプロセスフローを作成し、このプロセスフローに合致するか、または、前述のプロセスフローの一部に合致するフローを含むプロセスデータをデータベースから検索して候補を表示し技術者が表示されたプロセスデータを参考にしたり、必要箇所を修正変更して利用できるようになっている。これにより、過去のデータを有効活用することができプロセスやデバイスに関する技術的なノウハウやシミュレーションに関する計算上のノウハウを有効に活用できる。また、例えば、シミュレーションが不慣れな技術者には予めシミュレーション情報が含まれるプロセスデータが提供されるため容易にシミュレーションが実行でき、シミュレーションを活用した効率的なLSI開発が実現できる。
【0016】次に、プロセスデータ4の作成編集を説明する。プロセスデータ4は、工程仕様データ及びシミュレーション用データを含んでいるのでプロセス・デバイス技術者などでシミュレーションに不慣れな技術者や、逆にシミュレーション技術者などでラインの装置制御データなどには不慣れな技術者など、様々な技術者が簡易にプロセスデータの作成ができるようにするために、この発明の実施の形態では、プロセスデータ作成時に技術者の作成するデータを4つに分類して作成する場合について説明する。技術者の作成するデータの分類として、第1にフローデータ、第2に工程仕様データ、第3にシミュレーション用データ、更に第4として工程仕様とシミュレーション用データを含むプロセスデータの4種類に分類する。これらの分類は、例えば、図3に示したように、ディスプレイのウィンドウを生成して、例えば、マウスでクリックすれば選択できるようにしておくと便利である。第1のフローデータは、LSI製造工程を例にとれば、拡散やイオン注入や堆積(デポジション)などの一連の工程順番を指定することによって作成される。このフローデータは、後述のデータベースの検索に使用し、作成しようとしているプロセスデータに近いものをデータベース15から取り出して適宜編集している。
【0017】その際に、データベース15から取り出したプロセスデータ中に検索用に用いたフローデータと共通した工程や一致していない工程を容易に識別できるように色別に表示できる機能を備えていることが望ましい。また、フローデータは、作成したプロセスデータ4から一連の工程を抜き出して表示することにより、作成したプロセスデータ4の確認を行う際にも活用できる。なお、フローデータは、図2に示した工程名と工程条件を用いて作成すれば良いが、例えば、拡散工程に進める前の汚染除去などの処理工程などで省略してもフロー検索時に不都合を生じない工程を前もって指定できるように設定できる機能がフローデータ作成端末5に備わっていることが検索を容易にするために望ましい。次に、第2の分類の工程仕様データを作成することにより、これを基にプロセスデータを作成する方法について以下で述べる。工程仕様データAは、図2で示すように工程名、工程条件及び装置条件のデータから構成される。まず、作成者は適宜、工程仕様データ作成用の支援ツールを用いるなどして工程仕様データを作成し、その後、離散化情報やモデル式やパラメータなどシミュレーションで必要なデータを追加してプロセスデータを作成すればよい。この際に、シミュレーション用データとしては、それぞれの工程名や工程条件に対応する標準設定値を予めデータベース15に用意しておき、それらに基づきシミュレーションに必要な情報を、前記の工程仕様データに追加すれば良い。
【0018】第3のシミュレーション用データを作成した後、プロセスデータを作成する場合も、前述の工程仕様データAからプロセスデータを作成する場合と同じように行うことができる。シミュレーション用データBは、図2に示した、工程名、工程条件やシミュレーション条件などのデータから構成されるが、適宜シミュレーションデータ作成用の支援ツールなどを用いて、シミュレーション用データBを作成する。その後、装置情報などの工程仕様データで用いるデータを、工程名や工程条件を参照して予め作成してあるデータベース15(図1R>1)に基づき、前記作成したシミュレーション用データBに追加すれば良い。最後に、工程仕様データ作成とシミュレーションデータ作成に熟達した技術者が初めからプロセスデータの作成を行えるようにプロセスデータを構成するすべてのデータが入力できるような支援ツールを用意する。この際、工程名をリストアップして技術者が適宜選択し、次に選択された工程に対する工程条件をリストアップして技術者が選択できるようにするなど、順次工程名、工程条件、装置条件、シミュレーション条件などをリストの中から技術者が選択できるような、プロセスデータ作成支援ツールが備えられていることが効率的にプロセスデータ作成を行う意味からも望ましい。
【0019】なお、前記シミュレーション用データの作成についても同様の支援ツールが備えられていることが望ましい。この発明の実施の形態では、プロセスデータ作成システム1と生産管理システム2とシュミレーシヨンシステム3のそれぞれに、データ作成端末5、生産管理システム用端末5″、シミュレーション用端末5′を設置したが、例えば、プロセスデータ作成システム用のデータ作成端末5をシミュレーション用ホスト計算機7′に接続することにより、データ作成端末5からシミュレーションを実行できるようにしても良い。また、データ作成端末5を生産管理システム2のデータ管理システム6に接続してシステムを運営しても構わない。更に、シミュレーション用端末5′をプロセスデータ作成システム1の編集用ホスト計算機7や生産管理システム用ホスト計算機7″に接続するなどして、シミュレーション用端末5′からプロセスデータ編集用ホスト計算機7を用いたり、生産管理システム2にアクセスできるようにしておくこともできる。またこの発明の実施の形態では、プロセスデータ作成システム1の編集用ホスト計算機7とシミュレーション用ホスト計算機7′と生産管理システム用ホスト計算機7″とは独立に設置されているが、例えば、大型計算機を前記3つ或いは2つのホスト計算機として用いることもできる。
【0020】また、図4に示すように、本発明は、プロセスデータ4をシミュレーションシステム3と生産管理システム2へ直接入力することについて述べたが、プロセスデータ4からシミュレーション用のデータを作成してシミュレーションシステム3へ入力したり、プロセスデータ4から工程仕様データを作成して生産管理システム2へ入力したりすることもできる。この際、生産管理システム2からのQCデータなどのデータやシミュレーション結果などのデータは、元のプロセスデータ内に格納するようにする。プロセスデータ作成システム40は、プロセスデータ41からフローデータ43、工程仕様データ44やシミュレーションデータ45を作成する編集検索装置42とディスプレイなどの表示装置47を備えている。また、データベース46がプロセスデータ作成システム40に備えられているが、これは、このシステムの構成に必須のものではなく、例えば、別にデータベースシステムがある場合には、それに接続できるようにしておけばよい。工程仕様データ44は、生産管理システム48に入力されLSIの製造や試作品の製造などが行われ、QCデータなどの実測データが戻され、これが編集装置42を通じてプロセスデータ41に格納される。
【0021】また、シミュレーションデータ45はシミュレーションシステム49に入力され、シミュレーションの実行結果はプロセスデータ41に格納される。LSIの製造やシミュレーションが全て終了した場合などのプロセスデータをデータベースとして保存する必要がある場合には、データベース46にプロセスデータを格納する。このようにして、適宜プロセスデータ41からフローデータや工程仕様データ、シミュレーション用データを取り出して用いても最終的に工程仕様データや製造過程での実測データやシミュレーション用データやシミュレーション結果などのデータを包括的にプロセスデータとして作成・保持することができ、データの有効な活用が実現できる。
【0022】次に、図1、図2及び図9を参照して第2の発明の実施の形態を説明する。この発明の実施の形態ではプロセスデータのデータ構造及びデータベース15からプロセスデータの検索方法を説明する。プロセスデータのデータ構造は、図2に示された通りである。以下、LSIの製造工程やLSI開発用試料作成のためのプロセスを例にして説明する。プロセスデータを大きく分類すると、製品名やプロセスデータ認識番号(以下、IDという)やシミュレーションで用いるシミュレータ名やバージョンやプロセスデータの作成者や工程作成の目的などを含む総合情報と、工程名と工程条件と装置条件とシミュレーション条件及び結果データから構成される。LSI製造工程のうち、例えば、拡散炉を用いる工程を例にとれば、大分類として拡散工程、中分類として酸化工程、小分類としてゲート酸化工程のような分類を行う。また、工程条件に関しても、上位条件として温度や時間或いは酸化膜厚や雰囲気、中位条件として拡散炉への出し入れの温度や時間や昇降温速度等のレシピ条件などがある。また、下位条件として拡散工程の前に拡散炉に投入するための汚染の除去や自然酸化膜除去などの処理(前処理)工程から10分以内に行う等の条件の分類を行う。
【0023】装置条件は、装置名や装置IDの他に、例えば、装置のメンテナンス時期から必ず1週間以内に行うといった装置の稼働条件に関して指定したデータである。シミュレーション条件は、離散化条件や工程をシミュレーションする場合に用いるモデルやパラメータを指定したデータである。また、結果データは、前記拡散工程を例に取れば、酸化膜厚の実測値データやシミュレーションを行った場合のシミュレーション結果などからなる。前述のようなプロセスデータが構成されている場合の検索方法について述べる。検索項目としては、製品名や各工程で、例えば、拡散工程などをキーワードとして検索する手段もあるが、一般にLSI製造やLSI製造検討用試料を作成する工程では、データベースに蓄積されたデータと全く同じ物は少なく、また、例えば、温度も雰囲気も同じ酸化工程であっても酸化膜厚が若干異なったりする場合が多い。そこでこの発明の実施の形態では製品名に基づいて検索する方法と、工程名の大分類、中分類及び小分類を用いて検索する方法について述べる。
【0024】まず、製品名に基づいて検索する方法について述べる。LSIの開発では、既製品の性能の向上を目的とした製品開発や前世代の製品の工程の一部の改善など、特定の製品の工程仕様を参考にしたり、或いはその一部を変更して工程仕様を作成することが多い。そのような場合には、所望の製品或いは製品IDを検索のキーワードとして検索すればよい。この時、検索結果として得られるプロセスデータには、製品製造や開発段階で得られた製造技術上のノウハウやシミュレーションのためのノウハウが収められており、過去の財産を製品開発に有効に活用することができる。他方、特に、LSI製品開発のために製造工程の一部の工程の条件を求めるため、全行程の一部の工程の試料作成を行う場合が多く発生する。この際にも、参考になる製品名や製品IDが明らかな場合には、前記製品名に基づくデータ検索を行い、求められたプロセスデータの一部を用いて工程仕様を作成することは可能である。しかしながら、技術者が作ろうとしている試料の作成条件になるべく近い工程での実測データを参考にすることにより、重複した試作を回避でき、コストの低減や開発時間の短縮ができる。
【0025】そのような場合に、技術者が作成しようとしている工程にできるだけ近いプロセスデータを検索し、プロセスデータに格納されている結果データを参照するための検索手段に付いて述べる。前述のようにプロセスデータは、3段階に分類分けされた工程名のデータを持っている。そこで、まず、作成しようとしている試料の一連の工程の工程名の検索を行う。この際に、例えば、酸化膜厚の測定等のQCデータ測定工程のように、酸化膜厚が変わらなく表面に酸化膜が露出している限り、工程の順番が重要でないような工程を自動的に判断し順序を入れ替えた検索を行えるようにしてもよい。工程名による検索では、最初に大雑把に大分類のみを参照して検索した結果を基に更に中分類や小分類を参照した検索を行ってもよいし、例えば、大分類と、中分類のデータを用いた検索であっても構わない。更に、工程条件による検索が必要な工程があれば、適宜上位条件、中位条件、下位条件などを参照して検索を進めることができる。このように、工程名や必要ならば工程条件を用いた検索により、技術者が必要な情報を任意のレベルでデータベースから取り出すことが可能となる。尚、検索により得られた複数のプロセスデータの結果データを読み取り、例えば、酸化工程の工程条件の時間が異なるものの酸化膜厚の実測データから酸化膜厚と時間の関係を図示する機能などはデータ整理を簡略する意味からも望ましい。
【0026】図9に、この発明の実施の形態で述べた検索方法のフローチャートを示す。まず、スタート(START)90から始まり、検索フローと検索項目の設定段階91で検索しようとする工程のフローと検索項目を入力する。次に、検索工程の簡略化を行うか否かの判断段階92で入力したフローの順番の変更や検索項目として省略可能なフローがあるかなどの設定と判断を行う。検索するフローの簡略化が可能ならば、簡略化可能な工程の決定段階93で簡略化可能な工程を決定し、検索フローの決定段階94で検索するためのフロー(検索フロー)を決定する。簡略化を行わない場合には段階92の判断後、ただちに段階94において検索フローの決定を行う。段階94で決定した検索フローに基づいて検索の実行段階95でデータベースから該当するプロセスデータを検索し、段階96で検索結果を出力し終了(END)97する。この発明の実施の形態では、工程名や工程条件を3つに分類したが、例えば、より詳細な分類のために分類数を増やしたり、或いは、例えば、工程名を大分類と小分類の2つの分類にしたり、また、拡散工程では大分類、小分類の2つで、デポジッションの場合には大分類、中分類、小分類の3つに分類するなどといったように、工程ごとに分類数を変えることも可能である。
【0027】次に、図5乃至図7及び図10を参照しながら第3の発明の実施の形態を説明する。図5は、シミュレーション方法に関する構成図である。この発明の実施の形態のシミュレーション装置は、シミュレーション実行ファイル53と離散化情報などの各種パラメータファイル56が格納された記憶部50と、シミュレーション実行ファイル53を読み込んで数値計算を実行する処理部51と、シミュレーション結果の出力、オペレータや複数のシミュレータを統括制御する装置(シミュレーションシステム)などからの入力等の制御を行う出入力制御部52を有している。ここで、記憶部50は、メモリ装置やディスク装置など通常のコンピュータシステムで記憶を行うために用いられるものでもよい。処理部51は、記憶部50で記憶されたシミュレーション実行ファイル53を逐次実行するためのものである。この実行の際にはオペレータなどへの入力要求やモデル及びパラメータ設定モジュール55の実行、工程A解法モジュール54Aや工程B解法モジュール54Bなど各工程ごとの解法モジュール54の実行やモデル及びパラメータ設定モジュール55で設定されるパラメータ以外の、例えば、離散化のためのパラメータなどの各種パラメータ56の参照を適宜行う。
【0028】また、処理部51は、シミュレーション実行ファイルを逐次実行するCPUと、記憶部50から読み込んだシミュレーション実行ファイル53を一時記憶する主記憶部とを備えるようにしてもよい。出入力制御部52は、オペレータやシミュレーションシステムなどからの入力を受け入れる入力部(図示せず)への入力の制御及びディスプレイ装置、プリンタ装置などの表示部(図示せず)や、シミュレーションを統括制御する装置(図示せず)などへのシミュレーションの結果の出力の制御を行う。尚、工程解法モジュール54は、各工程のシミュレーションを行うための離散化や方程式解法などの数値計算処理を実行するためのモジュールであり、そこに示した工程A実行モジュール54Aや工程B実行モジュール54Bはそれぞれ工程A、工程Bに対するシミュレーション実行モジュールを示し、工程A及び工程Bは、シミュレーションの対象となっている一連の工程を代表して示したものである。
【0029】図6には、LSIの製造装置を例に取って、製造工程を構成する製造装置の構成を示した。ここで、工程A装置群や工程B装置群とは、例えば、拡散装置やイオン注入装置やデポジション装置などに相当する。通常、LSI製造ラインでは、単一の工程、例えば、拡散工程でも複数台の装置を用いており、それぞれの装置が装置A1、装置A2・・・などに対応する。従って、工程A実行モジュール54Aや工程B実行モジュール54Bは、例えば、拡散シミュレーション実行ファイルやイオン注入シミュレーション実行ファイルなどに対応している。同様の表記法を、モデル及びパラメータ設定モジュール55に対しても用いた。即ち、工程Aモデル及びパラメータ群55Aは、装置A1に対応したモデル及びパラメータ(図5の装置A1モデル/パラメータ)や、装置A2に対応したモデル及びパラメータ(図5R>5の装置A2モデル/パラメータ)などから構成されている。このように、各装置ごとにモデル及びパラメータが個別に設定することができるのが特徴である。
【0030】以下、この発明の実施の形態に係るシミュレーション装置の処理動作を説明する。まず、オペレータなどからのシミュレーションの実行のための命令は入出力制御部52を通じて処理部51に入力される。この処理部51は、シミュレーション実行命令を理解してシミュレーション実行ファイル53を処理部51内の主記憶部(図示せず)などに複写する。次に、処理部51は、シミュレーション実行ファイル53を実行、すなわち各工程に対してモデル及びパラメータ設定モジュールを実行し、例えば、工程Aに関しては装置A1モデル/パラメータを設定するなどを実行する。なお、各工程に対し、どの装置のモデル及びパラメータを設定するかは入力時のデータに含まれようにしても良いし、また、シミュレータシステムが生産管理システムに接続されている場合などは、シミュレーションを行うLSI製品やLSI製品開発用試料がどの装置で作成されるかなどの情報を生産管理システムから入力してもよい。このシミュレーションの結果は、出入力制御部52を通じて表示部に出力され、その表示部の出力によりオペレータは所望の結果を得ることができる。
【0031】次に、図10を参照してこのシミュレーション方法についてのフローチャートを説明する。まず、スタート(START)100から始まり、段階101でプロセスデータの入力を行う。この際に、プロセスデータに装置ごとのモデルやパラメータの設定を行うかどうかの指定があっても良いし、端末等の入力手段で個別にユーザが入力しても構わない。次に、入力されたプロセスデータに記述されているプロセスで装置ごとにモデルやパラメータがあるかを段階102で判断し、装置ごとのモデル及びパラメータを設定する場合には段階103でモデル及びパラメータの設定を行い、装置ごとのモデル及びパラメータの設定を行う必要が無い場合には、段階104で標準モデル及び標準パラメータの設定を行う。次に、段階105でシミュレーションを実行し、段階106でシミュレーション結果の出力を行い、終了(END)107する。この発明の実施の形態では、各装置ごとにモデル及びパラメータを設定するようにしているが、パラメータの変更だけで十分なシミュレーション精度が得られるような場合には、各装置に対するパラメータだけを設定し、モデルは共通に用いるようにしても構わない。また、各装置間のプロセスバラツキが気にならない工程などの場合には、標準的なモデル及びパラメータを設定するようにしても構わない。
【0032】上記の発明の実施の形態を酸化工程を例にとって説明する。例えば、酸化工程を行う装置が2台ある場合について説明する。便宜的にこれらの装置を酸化装置A、酸化装置Bとする。それぞれの酸化装置で様々な酸化条件で酸化した場合のデータを採取し、酸化モデル及びパラメータの決定を予め行っておく。一例として、酸化装置A及び酸化装置Bでの1000℃のドライ酸化工程での酸化膜厚と酸化時間の関係を図7に示す。酸化モデルとして、標準的なDeal−Groveモデルを用いる。Deal−Groveモデルでは酸化膜厚tox[μm]と酸化時間t[分]は初期酸化膜厚をτとすると、 (tox2 −τ2 )/B=t−(B/A)(tox−τ)・・・(1)
と表すことができる。この(1)式においてB/Aは一次係数、Bは二次係数と呼ばれる。これらの係数を図7より求めると、酸化装置Aの場合には、B/A=5.1×10-6[分/μm]、B=8.2×10-6[分/μm]
となる。他方、酸化装置Bの場合には、B/A=5.5×10-6[分/μm]、B=8.5×10-6[分/μm]
となる。したがって酸化工程をシミュレーションする際に、酸化装置により前記パラメータを使い分けることにより、高精度なシミュレーションが実現できることになる。
【0033】次に、図8を参照しながら第4の発明の実施の形態を説明する。図は、LSI製造工程仕様作成運営システムとシミュレーションシステムに関する構成図である。このシミュレーションシステムには、図1に示すシミュレーションシステムに装置ごとのモデル及びパラメータを格納するデータベース816が付加された構成になっている。これにより、シミュレーションシステム83を構成するシミュレータ87′がシミュレーションを実行する際に装置ごとのモデル及びパラメータを読み込んでシミュレーションを実行する。また、製造中のLSIの状態をシミュレーションする場合には、製造装置の状況を製造装置811からデータ管理システム86などを経由しプロセスデータ84に入力されるようにしておくことにより、シミュレーション実行時に装置ごとのモデル及びパラメータデータベース816から適宜データを読み込むことができるので、装置の状態をシミュレーションに取り込むことができる。装置の稼動時間や処理量などのデータは、例えば、ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)などの工程のように、処理具が磨耗などの影響を受け、処理量により工程後の結果が大きく変化するような場合には、特に重要になる。また、製品の製造過程で製造スケジュールの変更が発生して製造装置の変更が生じた場合には、変更後の工程をシミュレーションすることにより後の工程条件を最適化する必要が発生するが、この場合にも、生産管理システムで変更された工程スケジュールを入力したプロセス条件をシミュレーションによって求めることが随時可能となり、生産効率の向上及び歩留まりの向上が実現できる。
【0034】次に、図11を参照して本発明の製造工程作成運営システムを適用した半導体装置の製造方法を説明する。まず、所望の製品や試作品の設計仕様に基づき、例えば、製造プロセスにおける各工程の条件設計を行い製造工程の仕様を作成し運営する生産管理システム及びシュミレーションシステムの双方の入力データとして使用できるプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置とを備えたプロセスデータ作成システム(図4参照)からプロセスデータを作成する(1)。次に、このプロセスデータに基づいて前記生産管理システムにおける製造計画を形成する(2)。そして、前記製造計画に基づいて測定データが形成されるまで製造工程を実行する (3)。前記測定データが製造条件に合わない場合には新しいプロセスデータを作成(4)してシュミレーションシステムに入力し(5)、この新しいプロセスデータに基づいて新しい製造計画を形成する。この新しい製造計画に基づいて製造工程を実行する。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造工程仕様作成運営システムによれば、生産管理とシミュレーションを同等に行うことができ、シミュレーションを有効に活用することによって、開発効率及び製品の歩留まりが飛躍的に向上する。また、工程仕様データとシミュレーション用のデータを統合した本発明のプロセスデータを用いることにより、工程仕様データとシミュレーション用のデータを効率的に一括してデータベース化が可能となり、製品製造上の技術的ノウハウやシミュレーション上のノウハウなどを効果的に蓄積でき、将来的な製品開発の効率が向上し、将来にわたった製品開発コストや開発期間の大幅な削減となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程仕様作成運営システムの構成図。
【図2】本発明のプロセスデータのデータ構造を示す構成図。
【図3】本発明のプロセスデータ作成における作成データの選択法を示す構成図。
【図4】本発明のプロセスデータ作成システムを示す構成図。
【図5】本発明のシミュレーション方法の実現を示す構成図。
【図6】本発明のシミュレーション方法に用いた製造装置の構成図。
【図7】本発明のシミュレーション方法の説明に用いたシリコンウェーハの酸化工程における酸化膜厚と酸化時間の関係を示す特性図。
【図8】本発明のシミュレーション方法を組み込んだ製造工程仕様作成運営システムの構成図。
【図9】本発明のプロセスデータ検索法の実現に用いたフローチャート図。
【図10】本発明のシミュレーション方法の実現に用いたフローチャート図。
【図11】本発明を適用した半導体装置の製造方法に関するフローチャート図。
【図12】従来のデータ作成ツールのブロック図。
【符号の説明】
1、40、81・・・プロセスデータ作成システム、2、48、82・・・生産管理システム、3、49、83・・・シミュレーションシステム、4、41、84・・・プロセスデータ、5、85・・・プロセスデータ作成端末、5′、85′・・・シミュレーション用端末、5″、85″・・・生産管理システム用端末、6、86・・・データ管理システム、7、87・・・編集用ホスト計算機、7′、87′・・・シミュレーションシステム用ホスト計算機、7″、87″・・・生産管理システム用ホスト計算機、8、9、13、15、46、88、89、813、815・・・データベース、10、810・・・作業条件表示端末、 11、811・・・製造装置、12、812・・・QCデータ測定装置、14、814・・・シミュレーション実行結果、50・・・記憶部、 51・・・処理部、 52・・・出入力制御部、53・・・シミュレーション実行ファイル、54・・・工程解法モジュール、 54A・・・工程A解法モジュール、54B・・・工程B解法モジュール、55・・・モデル及びパラメータ決定モジュール、55A・・・工程Aモデル及びパラメータ群、55B・・・工程Bモデル及びパラメータ群、 56・・・各種パラメータ、816・・・装置ごとのモデル及びパラメータデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 前記製造プロセスの各工程で用いられる製造装置に指示を行い、或いは前記製造装置の制御を行う生産管理システムと、前記製造プロセスの各工程のシミュレーションを実行するシミュレーションシステムと、前記生産管理システムと前記シミュレーションシステムの双方の入力データとして使用が可能なプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置を備えたプロセスデータ作成システムとを具備していることを特徴とする製造工程仕様作成運営システム。
【請求項2】 前記プロセスデータは、工程仕様データとシミュレーション用データの共通データとして、少なくとも2つのカテゴリに分類された工程名と少なくとも2つのカテゴリに分類された工程条件とを備えていること特徴とする請求項1記載の製造工程仕様作成運営システム。
【請求項3】 前記プロセスデータ作成システムにおける前記プロセスデータの編集装置は、製造プロセスのうち少なくとも製造工程の順番と個々の工程の条件が記述されたプロセスフローデータの編集装置と、前記プロセスデータに装置条件とシミュレーション条件を追加することにより前記プロセスデータを作成する編集装置とを備えているを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造工程仕様作成運営システム。
【請求項4】 前記生産管理システムは、製造過程で測定する実測データをプセスデータに追加する編集装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製造工程仕様作成運営システム。
【請求項5】 前記生産管理システムは、製造過程で用いた製造装置の名称及び装置条件をプロセスデータに追加する編集装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造工程作成運営システム。
【請求項6】 前記シミュレーションシステムは、シミュレーションの実行により得られるシミュレーション結果をプロセスデータに追加する編集装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか記載の製造工程作成運営システム。
【請求項7】 工程仕様データとシミュレーション用データの共通データとして、少なくとも2つのカテゴリに分類された工程名と、少なくとも2つのカテゴリに分類された工程条件を備えるプロセスデータの前記工程条件を検索条件として、プロセスデータを検索する検索装置を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の製造工程作成運営システム。
【請求項8】 前記工程管理システムは、複数の製造装置を用いて並列に処理を行う工程に対し、製造プロセスにおける各工程のシミュレーションを実行するシミュレーションシステムに入力するための前記製造装置ごとのモデル或いはパラメータを格納する記憶装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の製造工程作成運営システム。
【請求項9】 前記製造プロセスの各工程で用いられる製造装置に指示を行い、或いは前記製造装置の制御を行う生産管理システムと前記製造プロセスの各工程のシミュレーションを実行するシミュレーションシステムの二つの入力データとして使用が可能なプロセスデータを格納する記憶装置と、前記プロセスデータの編集を行う編集装置とを具備したことを特徴とするプロセスデータ作成システム。
【請求項10】 前記プロセスデータは、前記シュミレーションシステムと前記生産管理システムとへそれぞれ直接入力されることを特徴とする請求項9に記載のプロセスデータ作成システム。
【請求項11】 前記プロセスデータを用いてシュミレーションシステム用データを作成して前記シュミレーションシステムへ入力することを特徴とする請求項9に記載のプロセスデータ作成システム。
【請求項12】 前記プロセスデータを用いて工程仕様データを作成して前記生産管理システムへ入力することを特徴とする請求項9に記載のプロセスデータ作成システム。
【請求項13】 半導体装置の製造プロセスにおける各工程の条件設計を行い製造工程の仕様を作成し運営する生産管理システム及びシュミレーションシステムの双方の入力データとして使用できるプロセスデータを格納する記憶装置及び前記プロセスデータの編集を行う編集装置とを備えたプロセスデータ作成システムからプロセスデータを形成する段階と、前記プロセスデータに基づいて、前記生産管理システムにおける製造計画を形成する段階と、前記製造計画に基づいて測定データが形成されるまで製造工程を実行する段階と、前記測定データが製造条件に合わない場合には新しいプロセスデータを作成してシュミレーションシステムに入力し、この新しいプロセスデータに基づいて新しい製造計画を形成する段階と、前記新しい製造計画に基づいて製造工程を実行する段階とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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