説明

複合式液体噴出器

【課題】使用目的や使用者の好み等に応じて好適な操作を適宜選択することができる新規な液体噴出器及びそれを備える容器を提供する。
【解決手段】容器Cの口部に装着されるベース110と、ベース110を貫通するステム121を有し当該ステム121の上下動により容器Cの内容物を吸引、加圧及び圧送するポンプと、このポンプとステム121を介して繋がり当該ステム121からの内容物を外界に噴出させるノズルヘッド130とを備え、ノズルヘッド130とベース110との間に、ステム121が貫通する貫通孔A2を有しベース110にその牽曳及び復帰が可能に保持されるトリガー140を設け、このステム121にピン121aを形成すると共に、トリガー140にステム121のピン121aが摺動可能に嵌合するピン孔A3を形成することにより、トリガー140とステム121とを、互いの動きが連動するように軸支する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる操作方法を適宜選択可能な複合式液体噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体噴出器には、容器の口部上方にノズルヘッドを配置し、このノズルヘッドを押し下げ及び復帰させることで、容器の内容物を手に取ることができるものや、容器の口部に装着されるベースにトリガーを設け、このトリガーを牽曳及び復帰させることで迅速なポンプ動作を可能とすることにより、内容物を比較的遠方にまで噴射できるものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭61−4761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、液体噴出器の操作は、必ずしも1つの方法に決まるものではなく、同一の容器に充填された内容物を同一の形態で取り出す場合であっても、必要に応じて適宜選択できることが好ましい。
【0004】
即ち、液体噴出器の操作は、内容物を手に取って使用したいのか、ある程度離れた部分に噴射させたいのかといった内容物を取り出す目的や使用者の好み等に応じて適宜選択されるべきであるが、従来の液体噴出器には、複数の操作のうちから、その場にあった好適な操作を適宜選択できるものは未だ存在していなかった。
【0005】
本発明の解決すべき課題は、従来の液体噴出器では個々の噴出器に対してその操作方法がただ1つであるため、使用目的や使用者の好み等に応じて好適な操作方法を適宜選択できないことにあり、
本発明の目的とするところは、使用目的や使用者の好み等に応じて好適な操作方法を適宜選択することができる新規な液体噴出器及びそれを備える容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器の口部に装着されるベースと、このベースを貫通するステムを有し当該ステムの上下動により容器の内容物を吸引、加圧及び圧送するポンプと、このポンプとステムを介して繋がり当該ステムからの内容物を外界に噴出させるノズルヘッドとを備える液体噴出器において、ノズルヘッドとベースとの間に、ステムが貫通する貫通孔を有し前記ベースにその牽曳及び復帰が可能に保持されるトリガーを設け、このトリガーとステムとを、互いの動きが連動するように軸支したことを特徴とする複合式液体噴出器である。
【0007】
本発明に係る軸支の方法としては、例えば、ステム又はトリガーに設けたピンをトリガー又はステムに形成したピン穴(窪み)に摺動可能に嵌合させる方法や、ピンを別体に設け、ステムとトリガーとを揺動可能に軸支する方法が挙げられる。
【0008】
また、本発明に係るトリガーは、それ自体を一体ものとしてもよいが、使用者が把持する牽曳部と、ベースに連結されるトリガー本体部との別体として構成することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノズルヘッドとポンプとを繋ぐステムがトリガーを貫通し、トリガーとステムとを、互いの動きが連動するように軸支したことで、ノズルヘッドの押し下げ及びその復帰を行えば、このノズルヘッドに繋がるステムを上下動させることができる。即ち、本発明によれば、ノズルヘッドの押し下げ及びその復帰によってポンプを駆動させることで、容器の内容物を取り出すことができる。
【0010】
しかも、かかる構成によれば、トリガーの牽曳及びその復帰を行っても、このトリガーに繋がるステムを上下動させることができる。即ち、本発明によれば、トリガーの牽曳及びその復帰によってポンプを駆動させることで、容器の内容物を取り出すこともできる。
【0011】
従って、本発明によれば、同一の液体噴出器であるにも関わらず、使用目的や使用者の好み等に応じて好適な操作方法を適宜選択することができる。
【0012】
更に、本発明に係るトリガーが、使用者が把持する牽曳部と、ベースに連結されるトリガー本体部とからなるものであれば、例えば、牽曳部に着色や加飾を施すことで、ノズルヘッドとトリガーとを識別させることができるので、使用者がノズルヘッドとトリガーとを見間違うことが無く、使い勝手が良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一形態である複合式液体噴出器100を備える容器を示す斜視図であり、図2は、同形態を一部断面で示す側面図である。
【0015】
また、図3(a)〜(c)はそれぞれ、複合式液体噴出器100からトリガー140を取り外した状態を示す上面図、側面図及び背面図である。更に、図4(a)〜(c)はそれぞれ、複合式液体噴出器100から取り外したトリガー140を示す側面図、そのb−b断面図及びc−c断面図である。なお、図4(b)は、トリガー140の長手方向軸線Oyを境に、図面上側を上面図として示すと共に、その図面下側をb−b断面図として示す。
【0016】
図1及び2において、符号110は、容器本体Cに装着されるベースである。ベース110は、例えば、容器本体Cの口部(図示省略)に螺着等により固定される装着部111と、この装着部111と一体に形成された台座部112とを有する。台座部112は、その内部に装着部111と共に貫通する開口部を有し、この開口部に後述するステム121が噴出器(容器)軸線Oxに沿って上下動可能に貫通している。
【0017】
符号120は、ベース110を貫通するステム121を有しこのステム121の上下動により容器Cの内容物を吸引、加圧及び圧送するポンプであり、符号Pは、容器本体Cの内容物を吸引するためのパイプである。
【0018】
ポンプ120は、更に、ベース110の下部に固定されたシリンダ122を有し、その内側に種々のポンプ要素が収納されている。ポンプ要素としては、例えば、シリンダ122の吸引口を開閉するボール弁123と、このボール弁123の上部でシリンダ122によって支持された支持台部124と、この支持台部124にリターンスプリング125を介して摺動可能に載置された中空ピストン126と、この中空ピストン126の内側で摺動可能に保持されるプランジャ127と、シリンダ122に形成したフランジ部と容器の口部との間をシールするシール部材128とが挙げられる。この場合、ポンプ120は、中空ピストンの先端に、ステム121を連結することで、ステム121の上下動に起因した内容物の吸引、加圧及び圧送が生起される。
【0019】
符号130は、ポンプ120とステム121を介して繋がり当該ステム121からの内容物を外界に噴出させるノズルヘッドである。ノズルヘッド130は、押圧部を有するヘッド本体131と、このヘッド本体131から伸びるノズル132とからなる。ノズルヘッド130は、ステム121に対して、又は、ステム121と共に、軸線Ox周りに時計回り及び反時計回りに360度回転させることができ、これにより、使い勝手を良くしている。
【0020】
符号140は、ベース110とノズルヘッド130との間に設けられたトリガーである。トリガー140は、使用者が把持する牽曳部141と、ベース111に連結されるトリガー本体部142との2つのパーツで構成されている。
【0021】
牽曳部141は、同一の曲率半径Rで構成された凸状の湾曲面141fを有する。このように、牽曳部141の表面を凸状の湾曲面141fとすることで、使用者は柔らかな感触でトリガー140を把持することができ、トリガー140の牽曳も比較的楽に行うことができる。
【0022】
トリガー本体部142は、図4(b)のb−b断面に示すように、その片側が、1つの側壁142aと、その後端を一体に繋がる後壁142bとを有する対称な形状である。即ち、トリガー本体部142は、2つの側壁142aとそれらの後端を一体に繋ぐ後壁142bが一体に垂下してコの字形の壁を構成している。
【0023】
側壁142aにはそれぞれ、台座部112の左右から突出するピン113が摺動可能に嵌合するピン孔A1が形成されている。
【0024】
これにより、トリガー140は、軸線Oxよりもベース110の後方に揺動可能に保持され、使用者による牽曳と、シリンダ122内に配置した前記リターンスプリングからの付勢力に伴う当該牽曳からの復帰とが可能となる。
【0025】
また、トリガー140は、図4(b)に示すように、ステム121を貫通させることができる貫通孔A2を有する。これにより、ステム121は、ポンプ120とノズルヘッド130とをトリガー140を介して連結することができる。
【0026】
更に、ステム121とトリガー140とは、トリガー140の牽曳及び復帰をステム121の上下動として伝達可能に揺動連結されている。
【0027】
詳細には、ステム121の対向する左右側面にそれぞれ、このステム121から突出するピン121aが設けられる一方、トリガー140の側壁142aにはそれぞれ、ピン121aが摺動可能に嵌合するピン孔A3が形成されている。これにより、ステム121及びトリガー140はそれぞれ、互いに関連しつつも、個々の動きを妨げることなく、上下動及び揺動できる。
【0028】
本形態によれば、ノズルヘッド130とポンプ120とを繋ぐステム121がトリガー140を貫通し、トリガー140とステム121とを、互いの動きが連動するように軸支したことで、ノズルヘッド130の押し下げ及びその復帰を行えば、このノズルヘッド130に繋がるステム121を上下動させることができる。即ち、本形態によれば、ノズルヘッド130の押し下げ及びその復帰によってポンプ120を駆動させることで、容器Cの内容物を取り出すことができる。
【0029】
しかも、本形態によれば、トリガー140の牽曳及びその復帰を行っても、このトリガー140に繋がるステム121を上下動させることができる。即ち、本形態によれば、トリガー140の牽曳及びその復帰によってポンプ120を駆動させることで、容器Cの内容物を取り出すこともできる。
【0030】
従って、本形態によれば、同一の液体噴出器であるにも関わらず、使用目的や使用者の好み等に応じて好適な操作方法を適宜選択することができる。
【0031】
更に、本形態の如く、トリガー120が、使用者が把持する牽曳部141と、ベース111に連結されるトリガー本体部142とからなるものであれば、例えば、牽曳部141に着色や加飾を施すことで、ノズルヘッド130とトリガー140とを識別させることができるので、使用者がノズルヘッド130のノズル132とトリガー140とを見間違うことが無く、使い勝手が良好なものとなる。
【0032】
上述したところは、本発明の好適な形態を説明するものであるが、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、ノズルヘッド130からの噴出形態は、本形態のように、内容物を直線的に噴出させるものに限らず、ノズル131やポンプ120の形態等を変更することで泡状のものや霧状のものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一形態である複合式液体噴出器を備える容器を示す斜視図である。
【図2】同形態を一部断面で示す側面図である。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態の噴出器からトリガーを取り外した状態を示す上面図、側面図及び背面図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態の噴出器から取り外したトリガーを示す側面図、そのb−b断面図及びc−c断面図であり、特に、同図(b)は、トリガーの長手方向軸線を境に、図面上側を上面図として示すと共に、その図面下側をb−b断面図として示した図である。
【符号の説明】
【0034】
100 液体噴出器
110 ベース
111 装着部
112 台座部
113 ピン
120 ポンプ
121 ステム
121a ピン
122 シリンダ
130 ノズルヘッド
131 ヘッド本体
132 ノズル
140 トリガー
141 牽曳部
141f 牽曳部の凸状の湾曲面
142 トリガー本体部
142a 側壁
142b 後壁
A1 ピン孔
A2 貫通孔
A3 ピン孔
C 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着されるベースと、このベースを貫通するステムを有し当該ステムの上下動により容器の内容物を吸引、加圧及び圧送するポンプと、このポンプとステムを介して繋がり当該ステムからの内容物を外界に噴出させるノズルヘッドとを備える液体噴出器において、
ノズルヘッドとベースとの間に、ステムが貫通する貫通孔を有し前記ベースにその牽曳及び復帰が可能に保持されるトリガーを設け、
このトリガーとステムとを、互いの動きが連動するように軸支したことを特徴とする複合式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1において、前記トリガーが、使用者が把持する牽曳部と、ベースに連結されるトリガー本体部とからなることを特徴とする複合型液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−131817(P2009−131817A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311594(P2007−311594)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】