説明

複合材フィルム及びその製造方法、多孔質積層体、並びに炭酸水素イオンの生成方法

【課題】二酸化炭素の水和反応の活性を十分に高めることが可能な材料を提供すること。
【解決手段】下記構造式(1):



[式中、Rは窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一方を有する複素環からなる側鎖基を示す。]
で表されるモノマー単位を含むポリマーと、当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンと、を含有する複合材フィルム。また、当該複合材フィルムを備える多孔質積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ポリマーの側鎖基において亜鉛錯体が形成されている複合材フィルムに関する。また、本発明は、この複合材フィルムを備える多孔質積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天然又は人工の有機物の表面を反応場として炭酸塩(特には炭酸カルシウム)等の鉱物を析出させる方法について検討されている。このような方法の場合、一般に、二酸化炭素の過飽和水溶液中に有機物を長時間(通常数日間以上)静置することにより、鉱物を有機物表面に析出させる。
【0003】
この方法に用いられる有機物としては、金属と水素結合する水酸基、イオン交換能を有するカルボキシル基やスルホ基、金属に配位してキレート錯体を形成するアミノ基やチオール基等の官能基を有するものがある。代表的な研究例として、ステアリン酸(CH(CH16COOH)の単分子層上へ炭酸カルシウムを析出させる方法が挙げられる(非特許文献1)。この方法では、ステアリン酸が有するカルボキシル基がカルシウムイオンを捕捉することによって、炭酸カルシウム生成が促進されると考えられる。また、silane法技術によって作製した亜鉛基板を用いる方法も報告されている(非特許文献2)。
【非特許文献1】B. R. Heywood他、アドバンスド・マテリアルズ(AdvancedMaterials)、1994年、第6巻、p.9−20
【非特許文献2】市川他、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(European Journal of Chemistry)、2003年、第9巻、p.3235−3241
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カルシウムイオンを含む水溶液中で効率的に炭酸カルシウムを生成させるためには、炭酸水素イオン(HCO)をできるだけ高い濃度で供給することが望まれる。したがって、二酸化炭素を取り込んで炭酸カルシウムを生成させる場合には、二酸化炭素から炭酸水素イオンを生成する二酸化炭素の水和反応の活性を十分に高めることが重要である。
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1に記載の方法をはじめとする従来の方法の場合、ステアリン酸等の有機物はカルシウムイオンを捕捉する機能は有しているものの、二酸化炭素の水和反応の活性を高める機能は有しておらず、二酸化炭素から十分に効率的に炭酸カルシウムを生成させることができなかった。そのため、炭酸水素イオンからなる塩や二酸化炭素を含む高圧ガスの使用等の大きなエネルギーの消費を伴う工程が必要とされていた。
【0006】
そこで、本発明は、二酸化炭素の水和反応の活性を十分に高めることが可能な材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記構造式(1):
【化1】


[式中、Rは窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一方を有する複素環からなる側鎖基を示す。]
で表されるモノマー単位を含むポリマーと、当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンと、を含有する多孔質状の複合材フィルムである。
【0008】
この複合材フィルムは、ポリマーの側鎖において亜鉛錯体を導入したことにより多孔質化され、二酸化炭素の水和反応の活性を十分に高めることが可能となった。二酸化炭素の水和反応を促進する天然酵素においては亜鉛錯体がその活性発現に関与していると考えられるが、複合材フィルム中の亜鉛錯体の部分は、天然酵素中の亜鉛錯体と同様の作用により水和反応促進の活性を発現していると本発明者らは推察している。
【0009】
複合材フィルム中の複素環は、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン及びチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これら複素環が亜鉛イオンを配位させることにより、二酸化炭素の水和反応促進の活性が特に高められる。
【0010】
本発明の多孔質積層体は、基板と、当該基板上に形成された上記本発明に係る多孔質状の複合材フィルムと、を備えるものである。この積層体を水溶液中に浸漬すること等により、簡易かつ十分効率的に二酸化炭素の水和反応を促進することができる。
【0011】
本発明はまた、上記一般式(1)で表されるモノマー単位を含むポリマーを含有するポリマーフィルムを形成させる工程と、当該ポリマーフィルムを亜鉛イオンの溶液と接触させることにより、ポリマーと当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンとを含有する多孔質状の複合材フィルムを生成させる工程と、を備える複合材フィルムの製造方法である。
【0012】
この製造方法によれば、比表面積の大きいカードハウス様の形態を有し、二酸化炭素の水和反応促進を特に効率的に促進させることが可能な多孔質状の複合材フィルムが得られる。
【0013】
この製造方法においても、複素環がイミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン及びチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
本発明はまた、上記本発明の複合材フィルムの存在下で二酸化炭素の水和反応により炭酸水素イオンを生成させる、炭化水素イオンの生成方法である。この方法によれば、十分に高い効率で二酸化炭素から炭酸水素イオンを生成させることができる。この方法においてはカルボニックアンヒドラーゼ酵素類似反応により炭酸水素イオンが生成すると推測される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の複合材フィルムによれば、二酸化炭素の水和反応の活性が十分に高く、炭酸カルシウム生成のための大きな駆動力が得られる。本発明の複合材フィルムの二酸化炭素水和反応を促進する活性やその安定性は、例えば上述の非特許文献2に記載の亜鉛基板と比較しても向上した。その理由は複合材フィルムの多孔質化による二酸化炭素水和反応を促進する部位の増加及び高密度化によるものと考えられる。決定的な理由は、設計・合成段階で繰返し構造単位にそのような部位を保有するポリマーを標的にした事にある。合成法は比較的容易であるし、多孔質積層体作製においてより大きなスケールへの展開も容易である。そのため、本発明の複合材フィルムを用いた省エネルギー、クリーン・グリーンプロセスによって二酸化炭素の吸収・固定や炭酸カルシウム合成用装置の実現が期待される。
【0016】
炭酸水素イオンの水への溶解度は、二酸化炭素と比べて二桁程大きく、本発明の複合材フィルムを用いて二酸化炭素を水和反応により炭酸水素イオンに効率的に転換すれば、水中への二酸化炭素吸収量を増大させることが可能となる。従来、工業的プロセスにおいては、高圧の二酸化炭素ガスや炭酸水素ナトリウムを用いて炭酸水素イオンが供給されているが、本発明の複合材フィルムを用いることにより、高圧ガスの製造や炭酸水素ナトリウム合成のために要していたエネルギーを必要とせずに大気中や廃棄ガス中の二酸化炭素を原料とすることが可能となる。
【0017】
本発明の複合材フィルムは、さらには、二酸化炭素吸収促進の効果を利用して、密室環境等での二酸化炭素を高収率で除去する空気浄化装置への応用も可能である。二酸化炭素濃度が1000ppm(0.1%v/v)以上になると呼吸器、循環器、大脳の機能に影響があるとされているが、本発明の複合材フィルムを用いた空気浄化装置によって、二酸化炭素濃度をこれ以下の濃度に制御することができると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
本発明の複合材フィルムにおいては、構造式(1)で表されるモノマー単位の複素環が亜鉛イオンに配位することにより亜鉛錯体が形成されている。ただし、ポリマー中の全ての複素環が亜鉛イオンと錯形成している必要は必ずしもない。
【0020】
構造式(1)において、Rは窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一方を有する複素環からなる側鎖基を示す。ポリマー中のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0021】
Rとしての複素環は、亜鉛イオンと亜鉛錯体を形成可能なものであれば特に制限されないが、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン及びチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの中でも、イミダゾール又はイミダゾリンが特に好ましい。すなわち、複合材フィルムを構成するポリマーは、下記構造式(1a)又は(1b)で表されるモノマー単位を含むことが特に好ましい。
【0022】
【化2】

【0023】
式(1)のモノマー単位を含むポリマーは、例えば、下記構造式(2)で表されるビニルモノマーの重合により合成することができる。ビニルモノマーの重合は、当業者には明らかなように、従来公知のラジカル重合等の方法により行うことができる。
【0024】
【化3】

【0025】
ポリマーが吸着している基板は板状である必要は必ずしもなく、球状等の他の形状を有するものであってもよい。基板を構成する材料としては、ガラス、マイカ等がある。また、所望により、式(1)で表されるモノマー単位を含むポリマーと、当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンと、を含有する多孔質状の複合材を、フィルム以外の形態で用いることもできる。
【0026】
複合材フィルムは、例えば、上記構造式(1)で表されるモノマー単位を含むポリマーを含有するポリマーフィルムを形成させる工程と、当該ポリマーフィルムを亜鉛イオンの溶液と接触させることにより、上記ポリマーと当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンとを含有する多孔質状の複合材フィルムを生成させる工程と、を備える製造方法により、製造することができる。図1は、基板上に形成された複合材フィルムにおける亜鉛イオンの配位形態を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、基板1に吸着しているポリマーのイミダゾール基と亜鉛イオンとで亜鉛錯体が形成されており、これらポリマー及び亜鉛イオンから複合材フィルム2が形成されている。
【0027】
ポリマーフィルムは、例えば、ポリマーをエタノール等の溶剤に分散又は溶解した液状物を基板上に塗布し、溶剤を除去する方法により形成させることができる。この場合の塗布の方法は特に制限されないが、例えばスピンコート法により塗布を行うことができる。溶剤の除去は、凍結乾燥等の通常の乾燥方法で行うことができる。乾燥後のポリマーフィルムにおいて、通常、亜鉛錯体を含まないポリマーは層状に堆積した形態を有する。
【0028】
多孔質状の複合材フィルムを生成させる工程は、例えば、基板上に形成されたポリマーフィルムを亜鉛イオンの溶液中に浸漬することにより行うことができる。亜鉛イオンの溶液としては、亜鉛の塩の水溶液が好適に用いられる。亜鉛の塩としては、例えば硝酸亜鉛が用いられる。亜鉛錯体を安定して形成させるため、亜鉛イオンの溶液はpHが7〜7.5程度に調整されていることが好ましい。通常、室温で一晩程度の浸漬により、ポリマーフィルムにおける亜鉛錯体の形成が十分に進行する。
【0029】
浸漬後の積層体の複合材フィルムにおいて亜鉛錯体が形成されていることは、その表面の元素分析等によって確認することができる。元素分析は、例えば、エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)を用いて行うことができる。
【0030】
上記複合材フィルムの存在下で二酸化炭素のカルボニックアンヒドラーゼ酵素類似の水和反応により炭酸水素イオンを生成させることにより、溶液中に炭化水素イオンを十分に高い効率で生成させることができる。この場合、例えば、積層体を反応液中に浸漬しておくことにより二酸化炭素の水和反応が進行して、反応液中に炭化水素イオンが生成する。反応液は、緩衝液等によりpHを8.5〜9程度に調整しておくことが好ましい。また、活性継続のため、反応液中に亜鉛イオンを溶解しておくことが好ましい。
【0031】
上記反応液中にカルシウムイオンが存在していれば、生成した炭化水素イオンとの反応により炭酸カルシウムが生成する。カルシウムイオンを捕捉する機能を持つ基板を用いることにより、当基板上に結晶系が制御された炭酸カルシウムを効率的に析出させることも可能である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】
(合成例)
ポリ(4−ビニルイミダゾール)(以下「P4−VI」という。)の合成
4−ビニルイミダゾール85mg(0.6mmol)及び2,2−アゾビス(イソブチルニトリル)1.5mg(4−ビニルイミダゾールに対して1.0mol%)を、ベンゼン/エタノールを1:1の比で混合した混合溶媒5mLに加えて反応液を調製した。この反応液を20mLのサンプル管に入れ、ベンゼンを5mL程度入れた真空蒸留容器内に置き、液体窒素で反応液を凍結させた。反応液を凍結した混合物を、ロータリーポンプを用いて真空蒸留容器内を脱気することにより乾燥した。そして、室温に戻して混合物を融解し、脱気された反応液を得た。
【0034】
続いて、65℃に加熱して反応液を真空蒸留容器内で還流させた。13時間後、薄黄色の析出物をろ別し、乾燥して、P4−VIを含む生成物(固体、薄ベージュ色)を得た(収率62%)。
1H NMR(C6D6/C2D5OH(1:1v/v)) δ(ppm):1.6 (broad, 主鎖中のCH2, 2.0-2.5(broad, 主鎖中のCH),6.2-6.4(broad, イミダゾール環H-5), 7.3-7.6 (broad, イミダゾール環H-2)
【0035】
(1)積層体の作製
上記で得たP4−VIのエタノール溶液(0.5wt%)7×10−5Lを、マイクロシリンジ(10−4L用)を用いてカバーガラス(25×25mm)上に供給し、スピンコート法により展開させた。スピンコートは、回転数900rpm、SLsec.10秒、回転時間300秒の条件で行った。スピンコートの後、ダイアフラムポンプで減圧したデシケータ中で2時間乾燥させて、基板としてのカバーガラス上にP4−VIを含むポリマーフィルムが形成された積層体を得た。
【0036】
この積層体を、Zn(NO・6HOの水溶液(5×10−3M、NaOH水溶液によってpH7に調製)中に一晩浸漬することにより、P4−VI中のイミダゾール環を亜鉛イオンに配位させた。その後、積層体を水溶液から取り出し、表面に付着していた水溶液を蒸留水で洗い流した。次いで、ダイアフラムポンプで減圧したデシケータ中で3時間乾燥させて、カバーガラス上に多孔質状の複合材フィルムが形成された多孔質積層体を得た。
【0037】
(2)二酸化炭素水和活性の評価(CO−Veronal法)
2×10−2MのTAPS緩衝液(約pH9)を用いて調製した5×10−4MのZn2+水溶液9×10−3Lを氷冷下で攪拌し、そこに上記で作製した多孔質積層体を浸漬した。そして、Zn2+水溶液にCO飽和水溶液(pH5)6×10−3Lを加えた後におけるpHの経時変化をpHメータにより測定した。CO飽和水溶液は、氷冷下の蒸留水にCOガスを流量50mL/分で1時間通気することにより調製したものを用いた。同様にして作製した複数の多孔質積層体について、二酸化炭素水和活性を評価した。また、空試験(ブランク)として、カバーガラスのみを浸漬させた場合についても同様にしてpHの経時変化を測定した。
【0038】
図2は、二酸化炭素水和活性の試験におけるpHの経時変化を示すグラフである。図2に示されるように、多孔質積層体を浸漬することによって、ブランクと比較して明らかにpHの低下が速く進行した。このことから、本発明の複合材フィルムが大きな二酸化炭素水和活性を発現することが確かめられた。
【0039】
(3)複合材フィルムのSEM観察及び元素分析
図3にZn2+を作用させる前のポリマーフィルム、図4にZn2+を配位させた後の複合材フィルムのSEM像をそれぞれ示す。図3に示すように、Zn2+に配位させる前のポリマーフィルムは層状に堆積した形態を有している。これに対して、図4に示すように、Zn2+に配位させることによってポリマーフィルムから複合材フィルムが形成されるとともに、その形態がカードハウス様の構造体に変化し、多孔質積層体になった。層状に堆積しているP4−VIポリマー自身やポリマー間でZn2+を介して形態変化したと考えられる。このように複合材フィルムが多孔質なものとなることにより比表面積が増大したことが、高い二酸化炭素水和活性の発現に寄与していると考えられる。
【0040】
さらに、エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)によって複合材フィルムに形成された上記構造体を分析した。図5は、複合材フィルム表面のEDAX元素分析スペクトルである。図5に示されるように、複合材フィルムにZn2+が存在していることが確認された。なお、SEM観察及びEDAXによる分析は、実験操作の都合上、マイカ基板上に形成させた複合材フィルムについて行った。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る複合材フィルムにおける亜鉛の配位形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】二酸化炭素水和活性の試験におけるpHの経時変化を示すグラフである。
【図3】亜鉛イオンを作用させる前のポリマー層のSEM像である。
【図4】亜鉛イオンを作用させて形成された複合材フィルムのSEM像である。
【図5】複合材フィルム表面のEDAX分析スペクトルである。
【符号の説明】
【0042】
1…基板、2…複合材フィルム。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1):
【化1】


[式中、Rは窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一方を有する複素環からなる側鎖基を示す。]
で表されるモノマー単位を含むポリマーと、
当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンと、
を含有する多孔質状の複合材フィルム。
【請求項2】
前記複素環がイミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン及びチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の複合材フィルム。
【請求項3】
基板と、当該基板上に形成された請求項1又は2記載の複合材フィルムと、を備える多孔質積層体。
【請求項4】
下記構造式(1):
【化2】


[式中、Rは窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一方を有する複素環からなる側鎖基を示す。]
で表されるモノマー単位を含むポリマーを含有するポリマーフィルムを形成させる工程と、
当該ポリマーフィルムを亜鉛イオンの溶液と接触させることにより、前記ポリマーと当該ポリマー中の複素環が配位して亜鉛錯体を形成している亜鉛イオンとを含有する多孔質状の複合材フィルムを生成させる工程と、
を備える複合材フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記複素環がイミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン及びチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2記載の複合材フィルムの存在下で二酸化炭素の水和反応により炭酸水素イオンを生成させる、炭化水素イオンの生成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−177152(P2007−177152A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379393(P2005−379393)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】