説明

複合材料を溶接するプロセス及び該プロセス由来の物品

本発明は、複合材料を溶接する方法と、このようにして調整される溶接された構造を対象とするものである。前記方法は、基板材料と複合材料とを接触させる工程を含み、該複合材料は一対の間隔を置いた鋼板と鋼板間のコア層を含み、該コア層の体積は複合材料の全体積に基づいて約25体積%以上であり、コア層は、鋼板と電気通信するように、コア層の厚みを伸張する繊維の1つ以上の塊に配される複数の鋼繊維を含み、鋼繊維は約1×10−5mmから約2.5×10−2mmまでの繊維の長さに垂直な断面積を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〈出願日の利益の主張〉
本出願は、米国仮特許出願第61/290,384号(2009年12月28日出願)、第61/371,360号(2010年8月6日出願)、第61/377,599号(2010年8月27日出願)及び第61/387,164号(2010年9月28日出願)の出願日の利益を主張するものであり、その内容は、それらの全体への引用によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〈発明の分野〉
本発明は、複合材料を金属材料、複合材料、又はその両方に溶接するための溶接プロセス、及び溶接された複合材料を含む物品、及びより具体的には複合材料がポリマー層を含むプロセス並びに物品に関する。
【背景技術】
【0003】
輸送で使用される車と物品の重量を減らすことに、相当な関心が持たれてきた。このことは、金属層とポリマー層を含む複合材料のような、新しい軽量の材料の継続的な探求をもたらした。望ましくは、そのような材料は、重量の減少、重量配分比に対する剛性の増加、コスト減少などの1つ以上の利点を提供し得る。
【0004】
多くの適用のため、そのような複合材料が溶接可能(即ち、電気抵抗溶接を使用して溶接することができる)であることも望ましい。絶縁ポリマー層を含むサンドイッチ複合材料は溶接が難しく、それらをそのような適用に不向きにすることが一般に認識されてきた。複合材料の溶接性を改善する試みは、ポリマー層の導電率が増加するように、ポリマー層へ粉末形態の伝導性の充填材を追加することを含む。ポリマーの乏しい導電率を補うために、比較的高いレベルの導電性粉体が必須であると考えられてきた。導電性粉体を含む複合材料は、あいにく一般に乏しい機械的性質及び一般に乏しい絞性を有する。
【0005】
さらに、そのような材料は一般に、処理(processing)(例えば、二次加工、溶接、スタンピング、絞り(drawing)など)のために特殊装置を必要とする。さらに、一般に高い溶接電流範囲、(好ましくは、いくつか又は全ての同じ溶接パラメーターを使用して)広範囲の基板に溶接できること、又はその両方によって特徴化されてもよいといったように、材料が改善された溶接性を有することが望ましい。
【0006】
上記の1つ以上、又は全てを克服する材料の必要性がある。例えば、軽量、重量配分比に対する剛性の増加、コスト減少、改善された溶接性、良好な機械的性質、良好な絞性、既存の基盤を使用して処理される能力、又はそれらの任意の組み合わせを有する複合材料の必要性がある。
【0007】
より厚い部分複合材料、緊密に間隔を置いた溶接を必要とする物品のような、特定の構造を溶接するには、複合材料の溶接に関する更なる困難がある。そのため、より厚い部分複合材料を溶接する新しい溶接プロセスの必要性がある。
【発明の概要】
【0008】
意外にも、複合材料におけるポリマーの一般に低い導電率にも関わらず、本教示は、基板材料と複合材料を接触させる工程を含むプロセスを使用し、溶接ボタンサイズ、溶接用の大きな処理窓(processing window)又はその両方において優れた結果を達成し、ここで、複合材料は、一対の別々に間隔を置いた鋼板と板間のコア層とを含み;コア層の体積は複合材料の全体積に基づき約25体積%以上であり;コア層は、鋼板と電気通信するように、コア層の厚みを伸張する繊維の1つ以上の塊に配される複数の金属繊維(例えば鋼繊維)を含み;及び金属繊維は、約1×10−5mmから約2.5×10−2mmまでの繊維の長さに垂直な断面積を有する。
【0009】
従って、本発明の態様では、自動車の本体パーツで使用されるように、サンドイッチ複合材料を従来の鋼の「代用材料」として使用することができる特定の方法において、サンドイッチ複合材料を形成する工程を含む溶接プロセスが熟慮される。そのプロセスは、複合材料のために材料の選択を考慮に入れると予想されるような技術及び装置に対する変更を必要とすることなく行なうことができる。
【0010】
本発明の1つの態様では、基板への複合材料の溶接は、意外にも複数の溶接段階を含む新しい溶接プロセスを使用して達成される。他の適用も有しているが、そのような溶接プロセスは、一般に高い厚み(例えば、約1.5mm以上の厚み)を有する複合材料の溶接、短絡(shunted)溶接(例えば、約150mm以下の距離だけ離れた溶接のような、以前に形成された溶接に近接した位置にある溶接)の形成、又はその両方に特に役立ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本明細書の教示により使用されてもよい、実例となる複合材料の横断面である。
【図2A】コア層で利用されてもよい、実例となる金属繊維の顕微鏡写真である。
【図2B】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2C】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2D】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2E】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2F】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2G】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2H】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2I】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図2J】少なくとも1つの直線面を有する、実例となる繊維の横断面(繊維の長さに交わる方向への)である。
【図3】金属繊維とポリマーを含む、実例となるコア層の顕微鏡写真である。
【図4】2つの金属層(metal layers)、金属繊維、及びポリマーを含む、実例となる軽量の複合物(composite)の顕微鏡写真である。
【図5】約2.0kA、又はそれ以上の溶接電流範囲を有するガルバニール金属(galvannealed metal)に溶接された軽量の複合材料に関する、溶接ボタンサイズ(mmの単位)と溶接電流(kAの単位)の関係を示すグラフである。
【図6】約2.0kA、又はそれ以上の溶接電流範囲を有するコーティングされていない深絞り性質鋼鉄(uncoated deep drawing quality steel)に溶接された軽量の複合材料に関する、溶接ボタンサイズ(mmの単位)と溶接電流(kAの単位)の関係を示すグラフである。
【図7】約1.5kA、又はそれ以上(例えば、約1.7kA)の溶接電流範囲を有するガルバニール金属に溶接された軽量の複合材料に関する、溶接ボタンサイズ(mmの単位)と溶接電流(kAの単位)の関係を示すグラフである。
【図8】約1.5kA、又はそれ以上の溶接電流範囲を有する溶融亜鉛被覆金属(hot dipped galvanized coated metal)に溶接された軽量の複合材料に関する、溶接ボタンサイズ(mmの単位)と溶接電流(kAの単位)の関係を示すグラフである。
【図9A】溶接プロセスにおける異なる時間での溶接プロセスの間、実例となる溶接スタック(weld stack)の横断面の一部である。
【図9B】溶接プロセスにおける異なる時間での溶接プロセスの間、実例となる溶接スタックの横断面の一部である。
【図10】抵抗溶接用の実例となるデバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
金属層とポリマー層(例えば、熱可塑性物質のようなポリマーを含むポリマー層)を有する複合材料の抵抗溶接を試みる際に、問題(例えば、低い溶接強度、溶接中の金属除去、溶接中の大きなはじける音、溶接火花など)は、ポリマー層と金属層の間の電気的性質の差、複合材料が溶接される基板、又はその両方から生じ得る。複合材料を溶接する際のこれらの問題のうちのいくつか又は全てが、i)一対の別々に間隔を置かれた鋼板及び鋼板間のコア層を含む複合材料を提供するための材料を形成すること(ここで、コア層の体積は複合材料の全体積に基づき約25体積%以上であり、コア層は複数の金属繊維を含み、また金属繊維は1×10−5mmから約2.5×10−2mmまでの繊維の長さに垂直な断面積を有する);ii)第1の又は初期の処理条件を利用する第1の溶接段階、及び第1の処理条件とは異なる第2の処理条件を使用する次の第2の溶接段階を含む複数段階の溶接プロセスの使用;又はi)及びii)の両方によって減少する又は除去され得ることが意外にも発見された。
【0013】
驚くことに、一対の別々に間隔を置かれた鋼板及び鋼板間のコア層を含む複合材料(ここで、コア層の体積は複合材料の全体積に基づき約25体積%以上であり、コア層は複数の金属繊維を含み、及び金属繊維は約1×10−5mmから約2.5×10−2mmまでの繊維の長さに垂直な断面積を有する)は、低炭素鋼を溶接するのに典型的に利用される溶接条件下のように、改善された溶接性を有するであろう。改善された溶接性は、一般に高い溶接電流範囲(即ち、除去が生じる溶接電流の上限と、溶接ボタンサイズが低すぎる溶接電流の下限の間の差)によって特徴化されてもよい。本発明の複合材料は、一般に高い大量の抵抗率、一般に高い静的接触抵抗(即ち、SCR)(例えば、同じ表面の粗さ、及び同じ表面処理を有し、同じ鋼の単一的な鋼のSCRより大きい)又はその両方を有してもよい。高い大量の抵抗率及び/又は高いSCRは、意外にも高い溶接電流範囲を生じてもよい。表面特徴への変化(例えば、表面の粗さを増加させる)のようなSCRを増加させる他の手法は、SCRの増加を引き起こすそのような表面特徴が溶接プロセスの初期に除去され得るため、溶接電流範囲に対して効果を制限され得ると信じられている。対照的に、本発明の複合材料の高いSCRは、コア層における異なる金属繊維間の接触と同様、コア層における金属繊維と金属板の間の接触を含む、複合材料の多くの特徴とも関係がある。理論にとらわれることなく、本発明の多くの特徴によって引き起こされる高いSCRは、それほど一時的でなく(例えば、表面特徴によって引き起こされるものと比較して)、かつ意外にも高い溶接電流範囲をもたらすと信じられている。更に、理論にとらわれることなく、複合材料のSCRの一般に適度な増加は、最大の溶接電流範囲をもたらしてもよいと信じられている。また、SCRが高すぎる場合、溶接制御装置が溶接プロセス中に電流をコア層に流せないことが見出される。そのため、自動車の本体パーツを溶接するのに典型的に使用される溶接制御装置で複合材料を溶接できるように、SCRは十分に低くなければならない。
【0014】
複合材料と基板を含む溶接スタックの溶接は、少なくとも2つの電極を含む抵抗溶接装置を使用して行なわれてもよい。電極は、溶接スタックに電流を供給するため、溶接スタックに力を供給するため、又はその両方のために使用されてもよい。
【0015】
第1の溶接段階と第2の溶接段階を含む複数段階の溶接プロセスは、本明細書記載の複合材料のような複合材料と共に有利に使用されてもよい。一般に高い厚み(例えば、約1.5mm以上、約2.0mm以上、又は約2.5mm以上)を有する複合材料を溶接する場合、短絡溶接(例えば、約200mm以下、約150mm以下、約100mm以下又は約50mm以下の間隔ごとに別の溶接によって分離される溶接)を溶接する場合、又はその両方の場合、複数段階の溶接プロセスは特に役立ってもよい。第1の溶接段階中に、プロセスは、少なくともいくつかのポリマー(例えば、溶接される領域のポリマー)が一次又は二次相転移を受けるように促す工程を含み、その結果、ポリマーはそのガラス転移温度上で液体状態にある。ポリマーがそのガラス転移温度上で液体状態にある場合、少なくともいくつかのポリマーは、(例えば、溶接電極によって適用される圧縮力によって)溶接される領域から取り除かれ、残りの複合材料(例えば、残りのポリマー層)の電気的性質が変わり、又はその両方が生じてもよい。更に、第2の溶接段階中に、プロセスは、少なくともいくつかの金属層の金属が溶融し、複合材料の金属層が別の基板(例えば、別の複合材料の金属層、又は単一体の金属材料)に融合するように、材料を処理する工程を含んでもよい。
【0016】
本発明の様々な態様では、第1の溶接段階の初期の処理条件及び第2の溶接段階の第2の処理条件は、溶接される材料の特性(例えば、材料の構成、材料の厚み、材料に施された随意のコーティング、又はそれらの任意の組み合わせ)、又は1つ以上の試験溶接などによって予め定められてもよい。本発明の他の態様では、第1の溶接段階の初期の処理条件は、上述の通り予め定められ、第2の溶接段階の処理条件は、下記工程の1つ又は任意の組み合わせを含むプロセスによって定められてもよい:1つ以上の予め選ばれた条件を監視する工程;予め選ばれた条件に関する情報と予め定められた値を比較する工程;又は比較工程からの情報のような情報に基づき、第2の処理条件を自動的に定める(例えば、最初の処理条件を変更して)工程。本発明のまた他の態様では、第1の処理条件は測定又は監視の工程によって定められてもよい。そのため、溶接プロセスは、1つ以上の予め定められた条件を測定又は監視する工程;予め選ばれた条件に関する情報を予め定められた値と比較する工程;比較工程からの情報のような情報に基づき、第1の処理条件を定める(例えば、自動的に定める)工程;及び第2の処理条件を定める(例えば、自動的に定める)工程を含んでもよい。例えば、溶接方法は、予め定められた1つ以上の条件(例えば、溶接圧力、溶接電流、溶接電圧など)、及び予め定められない1つ以上の条件(例えば、溶接時間、又は溶接サイクルの数)を含む初期の処理条件を含んでもよい。そのため、方法は、1つ以上の予め選ばれた条件を監視する工程、予め選ばれた条件に関する情報を比較する工程、比較工程からの情報に基づいて溶接時間又は溶接サイクルの数を自動的に定める工程を含んでもよい。
【0017】
予め選ばれた条件を監視する工程、予め選ばれた条件に関する情報と予め定められた所望の値を比較する工程、又はその両方が、最初の溶接段階の前、最初の溶接段階中、最初の溶接段階後、又はそれらの組み合わせにて生じてもよいことが認識される。
【0018】
第1の金属層(14)、第2の金属層(14’)及び第1の金属層と第2の金属層の間に置かれるポリマー層(16)(例えば、ポリマーコア層)を含むサンドイッチ構造(12)を有する複合材料の例は、図1で図示される。図1に関して、ポリマー層(16)は、1つ以上のポリマー(例えば、熱可塑性のポリマー)を含むポリマー相(18)、及び1つ以上の充填材を含む1つの充填相(20)を含んでもよい。ポリマー層(16)及び第1の金属層(14)は共通の表面(22)を有する。図1に図示された充填材は繊維として示されるが、他の充填材は繊維の代わりに、又は繊維を加えて使用される(例えば微粒子、予備成形物(performs)、又は他のもの)。図1に図示されるように、充填材(例えば繊維)のうちのいくつか又は全ては、ポリマー層の両面上のサンドイッチ金属を接触させるためにポリマー層の1つの表面からポリマー層の対向面まで及ぶような長さと配向を有してもよい。繊維はもつれており、結果として生じるもつれた塊がポリマー層全体を横切って伸びる。しかしながら、他の充填材(例えば繊維)の長さと配向は、本発明の範囲内であることが認識される。例えば、ポリマー層の2つの対向する面の間を伸びる充填材(例えば繊維)の断片は、50%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満又は1%未満である。
【0019】
本明細書に記載のプロセスによって形成された溶接は少なくとも1つの複合材料を含む。溶接(溶接に先立った)を含む材料は、溶接スタックと称される。溶接スタックは、それ自体に溶接された複合材料、第1の複合材料と同じ又は異なる第2の複合材料に溶接された第1の複合材料、或いは第1の複合材料と、ポリマー層(金属又は金属合金のような)を有する複合材料ではない基板を含んでもよい。溶接スタックは、複合材料、金属材料又はその両方である1つ以上の追加の基板をさらに含んでもよいことが認識される。限定されないが、溶接スタックは、i)2つの複合材料;ii)複合材料及び金属材料;iii)複合材料及び2つ以上の金属材料;あるいはiv)2つ以上の複合材料及び1つ以上の金属材料を含み、それらから本質的に成り、又はそれらから成る。溶接スタックが少なくとも2つの金属材料を含む場合、2つの金属材料は、溶接スタックの外部にある(即ち、複合材料は溶接される領域にある2つの金属材料の間に置かれてもよい)、あるいは複合材料は溶接スタックの頂部又は底部にある。
【0020】
共に溶接される複合材料と基板は、各々独立して約0.1mm以上、好ましくは約0.2mm以上、より好ましくは約0.4mm以上、及び最も好ましくは約0.6mm以上(例えば0.7mm以上)の厚さを有する。共に溶接される複合材料と基板は、各々独立して約20mm以下、好ましくは約10mm以下、より好ましくは約5mm以下、さらにより好ましくは約2.1mm以下、さらにより好ましくは約1.8mm以下、及び最も好ましくは約1.3mm以下の厚さを有する。より高くて低い厚みを有する複合材料と基板の使用もまた、本発明の範囲内にある。
【0021】
複合材料を含む溶接スタックの総厚さ(例えば複合材料と基板が合わさった厚み)は、約0.8mm以上、好ましくは約1.0mm以上、及びより好ましくは1.2mm以上であってもよい。溶接スタックの総厚さ(例えば複合材料と基板が合わさった厚み)は、約30mm以下、好ましくは約15mm以下、より好ましくは約8mm以下、さらにより好ましくは約4mm以下、及び最も好ましくは約3mm以下であってもよい。より高くて低い厚みを有する溶接スタックの使用もまた、本発明の範囲内にある。本明細書における教示によると、総厚さが約2.0mm以上、約2.4mm以上、約2.8mm以上又は約3.2mm以上である場合のように、スタックの総厚さが大きい場合、複数段階の溶接プロセスなどの特別の溶接プロセスは、有意に使用されてもよい。
【0022】
〈複合材料〉
一般に、本明細書中の複合材料は、ポリマーマトリクスで分配された充填材相を含む、充填されたポリマー材料を含む。一般に、本明細書中の複合材料は、少なくとも二つの層を使用し、そのうちの1つは上記の充填されたポリマー材料である。詳しく言えば、本明細書中の材料はサンドイッチ構造を含む複合材料であり、サンドイッチ構造は、2つ以上の他の層の間に充填されたポリマー層(例えばポリマーコア層)が挟まれることに準ずる。複合材料はまた、充填されたポリマー層が取り付けられる第1の金属層を含む積層であり、その結果、充填されたポリマー層に露出した外部表面がある。2つのポリマー層の間に挟まれた金属層を備えた複合物も熟慮される。
【0023】
限定することなく、溶接プロセス内で利用され得る複合材料の例は、充填されたポリマー材料(例えば充填されたポリマー層)、及びその全体への引用によって本明細書に組み込まれた国際特許出願番号PCT/US09/53676(Mizrahiにより2009年8月13日出願)に記載の複合材料を含む。
【0024】
〈静的接触抵抗〉
本発明の複合材料は、(例えば、従来の溶接装置を使用して)複合材料が溶接電流を複合材料に流すことができるように、好ましくは静的接触抵抗(即ち、SCR)を十分に低くする。本発明の複合材料は、溶接用の処理窓が増加するように、溶接に必要とされた電流が減少するように、又はその両方の結果となるように、好ましくはSCRを十分に高くする。特に、複合材料は、複合材料と同じ厚さを有し、及び複合材料の金属の板と同じ金属から作られた単一体の金属板のSCRより大きなSCRを好ましくは有する。
【0025】
〈静的接触抵抗を測定するための試験方法〉
SCRは、1つの材料、又は2つ以上の材料のスタックに関して測定されてもよい。SCRとその測定は、その全体への引用によって組み込まれた「”The Effect of Electrical Resistance on Nugget Formation During Spot Welding”, J.G. Kaiser, G.J. Dunn, and T.W. Eagar, Welding Research Supplement, June, 1982, pages 167-s to 174-s」に記載されている。高い導電率を有する単一体の材料について、表面、表層(例えば、表面上の酸化被膜又は油層)の粗さのような表面特徴によって接触抵抗が制御されてもよいことが認識される。前述の表面特徴に加えて、複合材料のSCRは、ポリマー層(即ち複合材料のコア層)の大量の低効率によって影響を受けてもよい。
【0026】
材料のSCR又は2つの材料のスタックは、表面直径(face diameter)が約4.8mmの2つの分類I−RWNA電極(two class I−RWNA electrodes)間に材料又は材料のスタックを置くことにより測定されてもよい。別段の定めがない限り、SCRは、電極によって適用された約2220Nt(約500lb)の力を使用して測定されてもよい。SCRの測定中、抵抗は負荷が電極に適用される時間で始まり、約45秒間測定されてもよい。SCRは、抵抗が安定している時間に続き、材料の平均抵抗又は材料のスタックによって5秒間測定されてもよい。安定したSCRは、毎秒2%未満、毎秒1%未満、又は毎秒0.5%未満の抵抗変化によって測定されてもよい。約1.2mmより厚い材料のSCRの測定のため、高圧力を使用できることが認識される。材料のSCRは、材料の25mm×25mmのクーポン(coupon)を使用して測定されてもよい。
【0027】
複合材料のSCR比率は、複合材料のSCRを測定することにより、及び複合材料と同じ厚みを有し、複合材料の金属板と同じ金属から作られ、複合材料と同じ表面の特徴(例えば、表面の粗さ、表面処理など)を有する単一体の金属板のSCRで複合材料を分割することにより測定されてもよい。複合材料のSCR比率は、約1以上、好ましくは約1.2以上、より好ましくは1.5以上、更により好ましくは約2以上、更により好ましくは約3以上、更により好ましくは約4以上、更により好ましくは約5以上、及び最も好ましくは約10以上である。複合材料のSCR比率は、約1000以下、好ましくは約300以下、より好ましくは約100以下、更により好ましくは約75以下、更により好ましくは約40以下、及び最も好ましくは約30以下である。理論にとらわれることなく、1より大きなSCR比率を有することは、強固な溶接処理窓(例えば、約1kA以上、約1.5kA以上、約2kA以上又は約2.5kA以上の溶接電流範囲のような、高い溶接電流範囲によって特徴付けられた溶接処理窓)を達成するのに役立つと信じられている。
【0028】
複合材料のSCRが高すぎる場合、複合物が電流を流すのは難しくなり、従って容易に溶接されないことが認識される。複合材料のSCRは、好ましくは約0.0020Ω以下、より好ましくは約0.0017Ω以下、更により好ましくは約0.0015Ω以下、更により好ましくは約0.0012Ω以下、及び最も好ましくは約0.0008Ω以下である。
【0029】
複合材料が溶接されている基板のSCR(例えば、冷延鋼板、亜鉛めっき鋼、ガルバニール鋼、又はそれらの任意の組み合わせ)に対する複合材料のSCRの比率は、好ましくは約1以上、より好ましくは約1.2以上、更により好ましくは約1.5以上、更により好ましくは約2以上、更により好ましくは約3以上、更により好ましくは約4以上、更により好ましくは約5以上、及び最も好ましくは約10以上である。複合材料が溶接されている基板のSCRに対する複合材料のSCRの比率は、好ましくは約1000以下、より好ましくは約300以下、更により好ましくは約100以下、更により好ましくは約75以下、及び最も好ましくは約40以下である。
【0030】
〈充填されたポリマー材料〉
上述のように、充填されたポリマー材料はポリマーと充填材を含む。充填されたポリマー材料は、比較的低い密度(好ましくは、金属材料の密度より少なくとも10%少ない)を有する。充填されたポリマー材料は、ポリマー材料の電気抵抗率が比較的低くなるよう、比較的低い電気抵抗率を有するポリマー、充填材、又はその両方を好ましくは含む。例えば、充填されたポリマー材料を形成するために組み合わせられた時、混合物がポリマーの電気抵抗率と比べて比較的低い電気抵抗率を有するように、充填されたポリマー材料は、比較的高い電気抵抗率を有するポリマー、及び比較的低い電気抵抗率を有する充填材を含んでもよい。複合材料、充填されたポリマー材料又は両方の(板厚方向における)電気抵抗率は、約100,000Ω・cm以下である。好ましくは、一般に複合材料と基板と同じ厚みの単一体の2枚の鋼を溶接するための溶接計画と同じ溶接計画を使用する抵抗溶接技術によって、鋼の単一体の板の基板に複合材料が溶接されることができるように、複合材料は電気抵抗率を十分に低くする。例えば、板厚方向における充填されたポリマー材料、複合材料又はその両方の電気抵抗率は、好ましくは約100Ω・cm以下、約10Ω・cm以下、約1Ω・cm、約0.15Ω・cm以下、約0.1Ω・cm以下、又は約0.075Ω・cm以下である。
【0031】
充填されたポリマー材料の濃度は、複合材料の全体積に基づき、約20体積%以上、好ましくは約25体積%以上、より好ましくは約30体積%以上、更により好ましくは約40体積%以上、及び最も好ましくは約50体積%以上である。充填されたポリマー材料の濃度は、複合材料の全体積に基づき、約95体積%以下、より好ましくは約90体積%以下、更によりさらに好ましくは約85%以下、及び最も好ましくは約75体積%以下である。充填されたポリマー材料の体積%及び充填されたポリマー材料の厚み%が同等となるように、充填されたポリマー材料と金属層は各々、一般に均一な厚さを有することが認識される。
【0032】
充填されたポリマー材料は、2つの金属層(例えば、サンドイッチ構造内のような2つの金属面)の間の空間のうちのいくつか又は全てを満たしてもよい。例えば、充填されたポリマー材料の濃度は、2つの金属層(例えば2つの金属面)間の体積の少なくとも約30体積%、少なくとも約50体積%、より好ましくは少なくとも約70体積%、更により好ましくは少なくとも約90体積%、及び最も好ましくは少なくとも約95体積%(約100体積%でない場合)である。
【0033】
〈ポリマー〉
複合材料のポリマー材料は、熱可塑性のポリマー、エラストマーのポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。好ましくは、ポリマーは1つ以上の熱可塑性のポリマーを含む又はそれらから実質的に成る。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、交互コポリマー、又はその他のもの)、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。1つ以上の熱硬化性のポリマーがポリマー材料内で使用されてもよい。
【0034】
熱可塑性のポリマーが固体である及び/又は周囲条件で比較的高粘度を有し、液体である及び/又は加熱された場合比較的低粘性を有するように、利用されてもよい熱可塑性のポリマーは、約25℃よりも大きな液少なくとも1つの固体から液体への相変化(例えば、溶融温度などの一次相転移、ガラス転移温度のような二次相転移、又はその両方)を好ましくは有する。例えば、熱可塑性のポリマーは、約40℃以上、約60℃以上、約80℃以上、約100℃以上の溶融温度又はガラス転移温度を有する。溶融温度(例えば、ピーク溶融温度)、ガラス転移温度、又はその両方は、ASTM D3418−08によって測定されてもよい。
【0035】
限定することなく、利用されてもよいポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸又はアクリル酸塩を含むポリマー、ポリイミド、ポリカーボネート、イオノマー、上記のポリマーの1つ以上を含むコポリマー、及び上記のポリマー又はコポリマーの1つ以上を含む混合物を含む。充填されたポリマー材料で使用され得る更なるポリマーの例は、国際特許出願公報WO/2010/021899(2009年8月13日出願)の段落0052〜0063、米国仮特許出願第61/387,174(2010年9月28日出願)の段落0060〜0086に記載されるポリマーを含む。
【0036】
特に好ましいポリマーは、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー(好ましくは約70重量%以上のエチレンを含む)、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、ポリアミド、及び共重合アミドを含む。利用され得るポリエチレン及びポリエチレンコポリマーの例は、低密度のポリエチレン、直線的な低密度のポリエチレン、中密度のポリエチレン、及びポリエチレンプラストマーを含む。利用され得るポリプロピレンの例は、ポリプロピレンホモポリマー(例えばイソタクチックポリプロピレンホモポリマー)、耐衝撃性ポリプロピレン(例えばイソタクチックポリプロピレン及びゴム相を含むポリプロピレン)及びランダムポリプロピレンコポリマーを含む。
【0037】
イオノマーと混合される、例となるポリオレフィンは、約2〜約10の炭素を有する約50重量%以上のα−オレフィンを含むホモポリマー及びコポリマーを含む。イオノマーと混合するための好ましいポリオレフィンは、約50重量%以上のエチレン、プロピレン、ブタン又はヘキサンを有するものを含む。イオノマーと混合するためのより好ましいポリオレフィンは、約50重量%以上のエチレン、又はプロピレンを有するものを含む。ポリオレフィン中のα−オレフィンの濃度(例えば、エチレン又はプロピレンの濃度)は、ポリオレフィンの全重量に基づき、好ましくは約60重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、更により好ましくは約80重量%以上、最も好ましくは約90重量%以上である。好ましいポリオレフィンは、1つ以上のα−オレフィンから本質的に成るポリオレフィンを含む。例えば、1つ以上のα−オレフィンの濃度は、ポリオレフィンの全重量に基づき、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上、又は約99.9重量%以上である。限定することなく、イオノマーを備えた混合物で使用されるポリオレフィンは、高密度のポリエチレン(例えば、約0.945〜約0.990g/cmまでの密度を有する)、低密度のポリエチレン、直線的な低密度のポリエチレン(例えば、約0.915〜約0.930g/cmまでの密度を有するコポリマー)、中密度のポリエチレン(例えば、約0.930〜約0.945g/cmまでの密度を有するコポリマー)、超低密度のポリエチレン(例えば、約0.900〜約0.915g/cmまでの密度を有する)、ポリエチレンプラストマー(例えば、約0.860〜約0.900g/cm、好ましくは約0.870〜約0.895g/cmまでの密度を有するコポリマー)、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマー、約5重量%以上の結晶度を有するアイソタクチックポリプロピレンコポリマー、耐衝撃ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレンの1つ以上のブロックを含むポリプロピレンブロックコポリマー、それらの混合物、又はそれらの任意の組み合わせを含み、或いはそれらから実質的に成る。イオノマーと混合するのに適した他のポリオレフィンの例は、i)約60重量%以上のα−オレフィン;及びii)酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選ばれた1つ以上のモノマーを含む或いはそれらから本質的に成るコポリマーである。ポリマーが金属繊維、金属層、又はその両方に付着するように、イオノマーとポリオレフィンの混合物は十分な量のイオノマーを含んでもよい。イオノマー対ポリオレフィンの重量比率は、約1:99以上、約3:97以上、約5:95以上、約10:90以上、あるいは約20:80以上である。イオノマー対ポリオレフィンの重量比率は、約99:1以下、約90:10以下、約70:30以下、約50:50以下、あるいは約40:60以下である。
【0038】
本発明の1つの特に好ましい態様では、充填されたポリマー材料は、1つ以上のポリアミドコポリマー、1つ以上の熱可塑性ポリウレタン樹脂、1つ以上の熱可塑性ポリエーテル−エステルコポリマー、1つ以上のイオノマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む。ポリアミドコポリマーは、本明細書中の上記に記載されたポリアミドコポリマーのいずれかである。好ましいポリアミドコポリマーは、ポリアミド−ポリアミドコポリマー、ポリエステルアミドコポリマー、ポリエーテルエステルアミド、ポリカーボネート−エステルアミドコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含む。熱可塑性物質のうちの何れかは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってもよい。熱可塑性物質のうちの何れかは、熱可塑性エラストマーであってもよい。一例として、充填されたポリマー材料は、ポリエステルアミド熱可塑性エラストマー、ポリエステルエーテルアミド熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート−エステルアミド熱可塑性エラストマー、ポリエーテル−エステル熱可塑性エラストマー、アミドブロックコポリマー熱可塑性エラストマー、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。充填されたポリマー材料は、コポリマーではない1つ以上のポリマーを随意に含んでもよい。例えば、充填されたポリマー材料は、1つ以上のポリアミドホモポリマーを含んでもよい。特に好ましいポリアミドホモポリマーは、ポリアミド6及びポリアミド6,6を含んでもよい。1つ以上のポリアミドホモポリマーが利用されれば、1つ以上のポリアミドホモポリマーの濃度は比較的低い(例えば、1つ以上のコポリマーの濃度と比較して)。1つ以上のポリアミドホモポリマーが存在する場合、1つ以上のポリアミドホモポリマーの濃度は、充填されたポリマー材料におけるポリマーの全重量に基づき、好ましくは約50重量%以下、より好ましくは約40重量%以下、更により好ましくは約30重量%以下、及び最も好ましくは約25重量%以下である。
【0039】
利用され得る特に好ましいコポリアミドは、約30重量%から約70重量%(例えば約50重量%)のポリアミド6、及び約30重量%から約70重量%(例えば約50重量%)のポリアミド6,9を含むコポリアミドである。そのようなコポリアミドは、以下の1つ以上により特徴付けられる:ISO 527−2によって測定される約100MPaから約600MPaまで(例えば約300MPa)の弾性率、ISO 11357によって測定される約100℃から約165℃まで(例えば130℃)の融点、及びISO 527−3によって測定される約400%から約2000%まで(例えば約900%)のような及び破断時の伸長。
【0040】
熱可塑性のポリマーは好ましくは比較的長い鎖状ポリマーであり、その結果、約20,000より大きな、好ましくは約60,000より大きな、最も好ましくは約140,000より大きな数平均分子量を有してもよい。熱可塑性のポリマーは、可塑化されない、可塑化される、エラストマーで修正される、あるいはエラストマーがない。半結晶性ポリマーは、約10重量%より大きな、より好ましくは約20重量%より大きな、より好ましくは約35重量%より大きな、より好ましくは約45重量%より大きな、及び最も好ましくは約55重量%より大きな結晶化度を有してもよい。半結晶性ポリマーは、約90重量%未満、好ましくは約85重量%未満、より好ましくは約80重量%未満、及び最も好ましくは約68重量%未満の結晶化度を有してもよい。熱可塑性のポリマーの結晶化度は、ASTM D3418に記載のように、溶融熱を測定し、それを特定のポリマーに関する当業者に既知の溶融熱と比較することにより、示差走査熱量測定を使用して測定されてもよい。
【0041】
充填されたポリマー材料のポリマーはまた、無水マレイン酸のような有極性分子と接合される、約10重量%までのグラフトポリマー(例えば、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマー又はコポリマー、又はポリエチレンホモポリマー又はコポリマーのようなグラフトポリオレフィン)を含み得る。接合された化合物の濃度は、グラフトポリマーの全重量に基づき、約0.01重量%以上である。特に好ましいグラフトポリマーは、約0.1重量%から約3重量%の無水マレイン酸を含む。
【0042】
〈充填材〉
充填されたポリマー材料は、1つ以上の充填材を含み、好ましくは1つ以上の伝導性の充填材を含む。多量の充填材は、充填されたポリマー材料内で使用されてもよい。好ましくは、充填材の濃度は、ポリマー材料、複合材料又はその両方が比較的低い電気抵抗率(例えばポリマーの電気抵抗率に対する)を有するように十分に高い。好ましくは、充填材の濃度は、充填されたポリマー材料の全体積に基づき、約3体積%以上、好ましくは約5体積%以上、より好ましくは約8体積%以上、更により好ましくは約10体積%以上、及び最も好ましくは約12体積%以上である。充填されたポリマー材料の密度が比較的低くなるように(例えば充填材、金属板又はその両方の密度と比較して)、充填材濃度が低いことが好ましい。そのため、充填材の濃度は、充填されたポリマー組成の全体積に基づき、約50体積%以下、好ましくは約35体積%以下、より好ましくは約30体積%以下、更により好ましくは約25体積%以下、更により好ましくは約23体積%以下、及び最も好ましくは約21体積%である。
【0043】
充填材は任意の形状を有する。例えば、充填材は、一般に球形、一般に繊維形状(他の二次元より少なくとも5倍大きな1次元を有する形状のような)、又は一般に平面形状(最も小さな次元より少なくとも5倍大きな二次元を有する形状のような)である。本明細書で使用されるように、充填繊維(filler fiber)は、一般に繊維形状を有する充填材を指し、一方充填粒子は、他の充填形状(一般に平面形状及び一般に球形形状のような)を指す。
【0044】
限定することなく、充填されたポリマー材料で使用され得る充填材の例は、国際特許出願PCT/US09/53676(Mizrahiにより2009年8月13日出願)の段落0064〜0081、米国仮特許出願第61/387,174号(2010年9月28日出願)の段落0087〜0114に記載の充填材を含む。
【0045】
適切な充填材の例は、金属繊維、金属粒子、カーボンブラック、グラファイト、リン化鉄、及びそれらの任意の組み合わせを含む。好ましくは、充填材は、伝導性の(例えば、10−4Ωcm以下の低効率を有する)粒子、繊維又はその両方を含み、又はそれらから実質的に成る(例えば充填材の全体積に基づき、少なくとも80体積%、少なくとも90体積%又は少なくとも95体積%)。より好ましくは、充填材は、金属粒子、金属繊維又はその両方を含む、又はそれらから実質的に成る。最も好ましくは、充填材は、金属繊維を含む、又は該金属繊維から実質的に成る。
【0046】
金属繊維は、溶接プロセス(電気抵抗点溶接のような)の間、溶接電極(即ち、溶接チップ)間の領域の金属繊維のうちのいくつか又は全てが、1つ又は両方の金属層が溶融する前に少なくとも部分的に溶融するように(例えば、完全に溶融する)、溶融又は液相線の温度を十分に低くしてもよい。充填されたポリマー材料の電気抵抗率は、金属層の電気抵抗率より高く(例えば約2以上、約10以上又は約100以上の因数)、その結果、金属層が溶融し始める前に金属繊維は溶融し始める。溶接プロセスは、金属層が溶融し始める前に金属繊維が溶けるように、溶接電極を十分に冷却する工程を使用してもよい。そのため、金属繊維は、第1の金属層、第2の金属層又はその両方における金属(例えば鋼)より低い、同じ、又は高い溶融温度又は液相線の温度を有する金属(例えば、鋼)を含み、又はそれから実質的に成る。
【0047】
本発明の1つの実施形態では、金属繊維は、一般に繊維の縦方向において平坦な表面のような、好ましくは1つ以上の一般に平坦な表面を有する。平坦な表面は、繊維の長さのうちのいくつか又は全てに沿って伸長し得る。繊維の横方向(即ち、繊維の長さに対し垂直)における金属繊維の横断面は、1以上の一般に直線面を有してもよい。例えば、繊維の横方向における金属繊維の横断面は、4つ以上の一般に直線面、2つ以上の並列の側面、又はその両方を有してもよい。限定することなく、金属繊維は、一般に長方形の、一般に平行四辺形の、一般に4つ以上の側面を有する多角形の、又は一般に正方形の横断面を有してもよい。他の特徴は、半円の横断面のような単に1つの平坦な表面を有してもよい。横方向における金属繊維の横断面は、厚み(例えば最も薄い次元)、及び幅(即ち厚みに対し垂直な方向)により特徴づけられてもよい。繊維の厚みに対する幅の比率は、約1以上、約2以上、約3以上又は約4以上である。繊維の厚みに対する幅の比率は、約60以下及びより好ましくは約30以下(例えば約20以下、又は約15以下)である。
【0048】
意外にも、縦方向に少なくとも1つの一般に平坦な表面を有する(例えば、横方向に長方形の横断面の特性を有する)金属繊維を含む複合材料及び充填されたポリマー材料は、同じ金属の等量の金属繊維で作られ、一般に筒状形状を有する材料と比較して、より高い導電率を有する。例えば、金属繊維が一般に筒状の同じ濃度の金属繊維に置き換えられることを除き、同一の充填されたポリマー材料に対する平坦な直線面方向の表面を有する金属繊維の濃度を含む充填されたポリマー材料の導電率の比率は、約1.1以上、約1.5以上、又は約2.0以上である。したがって、そのような繊維を使用して、溶接性の改善、密度の減少、又はその両方を達成することは可能である。
【0049】
金属繊維の重量平均長さは、好ましくは約200μm以上、より好ましくは約500μm以上、更により好ましくは約800μm以上、更により好ましくは約1.2mm以上、及び最も好ましくは約1.8mm以上である。金属繊維が約10mm以上の重量平均長さ(weight average length)を有し、又は一般に連続していることが認識される。スポット溶接を必要とする適用について、金属繊維は、好ましくはスポット溶接に典型的に使用される溶接電極の直径未満である重量平均長さを有し、その結果、金属繊維は溶接プロセス中により容易に溶接から離れて流れてもよい。例えば、金属繊維は、約20mm以下、約10mm以下、約7mm以下、約5mm以下、約4mm以下、又は約3mm以下の重量平均長さを有し得る。繊維の縦横比は、(4Α/TT)1/2で繊維の長さを割ることにより評価され、Aは横方向での繊維の断面積である。繊維の縦横比は、約5以上、約10以上、約20以上、又は約50以上であってもよい。繊維の縦横比は、約10,000以下、約1、000以下、又は約200以下であってもよい。10,000より大きな縦横比を有する金属繊維が利用されてもよいことは、本明細書の教示から認識される。
【0050】
2つの金属層間のポリマー層で使用された時、金属繊維は好ましくは繊維の塊として存在する。金属繊維の塊は相互に接続されてもよい。金属繊維の多くはもつれていることがある。繊維の多くは、機械的なインターロック(interlocks)を形成してもよい(即ち、2つ以上の繊維が機械的に連結されてもよい)。金属繊維の多くは、好ましくはポリマー層の厚みに及び、その結果、繊維の多く(例えば金属繊維のネットワーク)が2つの金属層を電気的に接続する。繊維の多くは、金属繊維を使用して板間に電流を流す工程、及び繊維に流れる電流からの抵抗熱でポリマー層を熱する工程を含む溶接プロセスで使用されてもよい。そのプロセスは、誘導加熱、伝導過熱、又はその両方を使用してもよい。単一の金属繊維は、ポリマー層の厚みに及ぶ。好ましくは、金属繊維のうちの少なくともいくつかは、個々にポリマー層の厚みに及ばない。金属繊維がポリマー層の厚みに及ぶ場合、厚みに及ぶ繊維の断片は、好ましくは約0.4以下、より好ましくは約0.20以下、更により好ましくは約0.10以下、更により好ましくは約約0.04以下、及び最も好ましくは約0.01以下である。繊維の塊における繊維は、好ましくは順序づけられていない配置で配される。例えば、一般に整列した配置で配される近隣の金属繊維の最大数は、約100未満、好ましくは約50未満、より好ましくは約20未満、更により好ましくは約10未満、及び最も好ましくは約5未満である。より好ましくは、繊維の塊は一般にランダムの配置で配される。編組電線配置(例えば、2、3、又はそれ以上の繊維を含む)のような順序付けられた配置、ねじられたフィラメント配置、織られた配置、又はメッシュ配置(mesh arrangement)が使用されてもよい。
【0051】
金属繊維の何れかが金属繊維の長さの大部分にわたって金属層を接触させる場合、少数が好ましい。例えば、金属繊維の大きな断片は、金属層に接していない重要な部分を有してもよい。繊維の長さの少なくとも半分に沿って金属層を接触させる金属繊維の断片は、好ましくは約0.3以下、より好ましくは約0.2以下、更により好ましくは約0.1以下、さらにより好ましくは約0.04以下、及び最も好ましくは約0.01以下である。
【0052】
金属繊維は、繊維の縦の軸に交わった面において一般に長方形の断面を有してもよい(即ち、繊維は一般にリボン状の形状を有するように提供されてもよい)。そのような繊維は加重平均長さ(weight average length)、加重平均幅、及び加重平均厚みにより特徴付けられ、厚みに対する幅の比率は、約1以上(例えば約2以上、約3以上、又は約4以上)であり、及び幅に対する長さの比率は、約5以上(例えば約7以上、約10以上、又は約20以上)である。そのようなリボン形状の繊維を使用した場合、その厚み(例えば加重平均厚み)は、好ましくは約1μm以上、より好ましくは約3μm以上、更により好ましくは約6μm以上、更により好ましくは約10μm以上、及び最も好ましくは約20μm以上である。リボン形状の繊維の厚み(例えば加重平均厚み)は、好ましくは約100μm以下、より好ましくは約80μm以下、更により好ましくは約70μm以下、及び最も好ましくは約60μm以下である。リボン形状の繊維の幅(例えば加重平均幅)は、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約20μm以上、更により好ましくは約30μm以上、更により好ましくは約40μm以上、及び最も好ましくは約60μm以上である。リボン形状の繊維の幅(例えば加重平均幅)は、好ましくは約400μm以下、より好ましくは約200μm以下、更により好ましくは約160μm以下、及び最も好ましくは約140μm以下である。リボン形状の繊維は、金属繊維を含む又はそこから本質的に成り、より好ましくは鋼繊維を含む又はそこから本質的に成る。例えば、リボン形状の繊維は、炭素鋼繊維、ステンレス鋼繊維、高張力鋼繊維などを含む、それらから本質的に成る、又はそれらから成る。驚くことに、そのようなリボン型の繊維は、より小さな断面積を有する一般に円筒状の繊維と比較して、複合材料の導電率を改善することにおいてより効率的である。したがって、リボン形状の繊維は、溶接性の改善、密度の減少、又はその両方を有する複合材料中で使用できる。例示となる繊維は、金属箔(例えば、繊維の厚みぐらいの厚みを有する)を狭いリボンに切断することにより調整された繊維である(例えば、切断間の間隔は繊維の幅である)。単一体の金属箔、又は1つ以上の金属層及び/又はコーティング(例えば両方の大表面上のコーティング)を有する金属箔から金属繊維が調整されてもよいことは、本明細書の教示から認識される。限定することなく、金属繊維は、電気防食を提供する金属又はコーティングを含みてもよい。他の手段によって調整されたリボン形状の繊維も使用され得ることが認識される。
【0053】
縦の軸に交わった面の金属繊維の断面積は、好ましくは約1×10−6mm以上、より好ましくは約1×10−5mm以上、更により好ましくは約8×10−5mm以上、更により好ましくは約1×10−4mm以上、及び最も好ましくは約4×10−4mm以上である。縦の軸に交わった面の金属繊維の断面積は、好ましくは約2.5×10−2mm以下、より好ましくは約1×10−2mm以下、更により好ましくは約2.5×10−3mm以下、及び最も好ましくは約1×10−3mm以下である。例えば、約8×10−5mmより大きい縦の軸に交わった面の断面積を有する鋼繊維を利用する複合材料が、より低い断面積を伴う繊維を有する材料に関連する改善された溶接処理窓を有することは、驚くべきことである。約8×10−5mmより大きな断面積を有する繊維を含む、そのような複合材料は、より薄い繊維を備えた複合材料に関して観察された高い絞性及び成形性を維持する。
【0054】
金属繊維は、繊維の長さにわたって、繊維の幅にわたって、又はその両方にわたって十分に一定の厚みを有してもよい。繊維の平坦な表面は滑らかであり(即ち、一般に織地がない)、又は織地を有し得る。例えば、リボン状の繊維は、滑らかな両方の主な表面、織込んで作られる両方の主な表面、又は織込んで作られる1つの主な表面、及び滑らかな1つの主な表面を有してもよい。
【0055】
ポリマー対繊維(例えば金属繊維)の体積比率は、好ましくは2.2:1より大きい、より好ましくは約2.5:1より大きい、及び最も好ましくは約3:1より大きい。ポリマー対繊維(例えば金属繊維)の体積比率は、好ましくは約99:1未満、より好ましくは約33:1未満、更により好ましくは約19:1未満、及び最も好ましくは約9:1未満(例えば、約7:1未満)である。
【0056】
図2Aに関して、金属繊維(20’)は、1、2、又はそれ以上の一般に直線面(一般に長方形の断面のような)を含む長い方向に交わる方向に横断面を有してもよい。金属繊維の長さは、一般に直線の領域、一般に弓形の領域、又はその両方を有してもよい。繊維のもつれた塊が形成されるように、金属繊維は十分に長く、十分な曲率(例えば繊維の長さに沿った)を有し、十分な量に存在し、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0057】
金属繊維で使用され得る1つ以上の直線面を有する実例となる横断面(繊維の長さに交わる)は、図2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2I、及び2Jで示される。
【0058】
図3は、金属繊維(20”)及びポリマー(18’)の部分を含むコア層(16’)の、実例となる顕微鏡写真である。図3で示されるように、コア層によって電流を転送することができるように、繊維は十分に重なり合う。例えば、電気抵抗溶接を使用して複合材料を溶接することができる程、コア層の導電率は十分である。
【0059】
図4は、繊維の長い方向に交わる方向の一般に長方形の横断面を有する金属繊維(20’)を含む、実例となる複合材料の端部を図示する。コア層は、2つの金属層(14”)間に挟まれた金属繊維(20’)のもつれた塊とポリマー(18’)を含む。
【0060】
金属繊維は、好ましくは複合材料が溶接作業に関する一般に大きな処理窓(process window)(例えば約1kA以上の溶接電流範囲)を有するように、選択される。例えば、金属繊維の濃度、金属繊維の大きさ、金属繊維間の接触の量、金属繊維の形状、金属繊維と金属層間の接触の量、又はそれらの任意の組み合わせは、複合材料が、溶接作業のための一般的な処理窓、一般に高い導電率、一般に高いSCR、又はそれらの任意の組み合わせを有するように選択される。溶接用の一般に大きな処理窓(即ち、溶接処理窓)は、例えば高い溶接電流範囲(固定溶接時間で測定された)、高い溶接時間範囲(固定電流で測定された)、又はその両方によって特徴付けられる。
【0061】
〈金属層〉
上記のように、複合材料は1、2、または、それ以上の金属層(例えば金属板)を含む。例えば、複合材料は、ポリマー層を挟む2つの金属層(例えば、2つの表面層(Face layer))を含んでもよい。金属層は、溶接可能な(例えば、電気抵抗溶接プロセスで溶接されることができる)金属または金属合金から作られるのが好ましい。例えば、金属層は、以下に記載された金属材料の1つまたは任意の組み合わせを含むか、該金属材料の1つまたは任意の組み合わせからなってもよい。当然のことながら、複合材料は、比較的溶接しやすい第1の金属層と、比較的溶接しにくい第2の金属層(例えば、第2の金属層は、溶接することできないか、または、第1の金属層の溶接と比較して、長めの溶接時間、高い溶接電流、高い溶接圧力、または、それらの任意の組み合わせを必要とするかもしれない)を有してもよい。例えば、複合材料は、コーティングされた表面(表面の外観、耐久性、または、粘着特性を改善するコーティングなど)を有する1以上の金属層を含んでもよい。
【0062】
制限されることなく、複合材料で使用されてもよい金属層の例は、(2009年8月13日にMizrahiによって出願された)国際特許出願PCT/US09/53676に記載される金属層と金属材料を含み、とりわけ、段落0082乃至0084に記載されたものを含む。
【0063】
複合材料の密度が一般的に低くなるように(例えば、鋼板の密度に対して、約5%以上、約10%以上、または、約15%以上の密度減少)、金属層の全体的な厚み(例えば、2つの鋼板の全体的な厚み)は十分に薄いものであってもよい。例えば、金属層の厚み分率(thickness fraction))、体積分率、その両方は、複合材料の全体的な厚みに基づいて、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、または、約55%以下であってもよい。金属層の厚み分率、体積分率、または、その両方は、約5%以上であってもよい。金属層の全体的な厚みは、約0.1mm以上、約0.2mm以上、または、約0.3mm以上であってもよい。金属層の全体的な厚みは、約1.5mm以下、約1.2mm以下、約1.0mm以下、約0.8mm以下、または、約0.6mm以下であってもよい。
【0064】
〈金属材料〉
先に議論されるように、溶接方法(例えば、溶接スタックの基板は、1以上の金属材料を含んでもよい。用いてもよい金属材料は、金属、金属合金、金属/金属複合材などを含んでいる。典型的に、金属材料は約5重量%未満(例えば、約1重量%未満)のポリマー材料を有し、さらに典型的にはポリマー材料が実質的にまったくない。金属材料は好ましくは抵抗溶接可能な材料である。複合材料の金属層に使用されてもよい金属のいずれも、金属材料(例えば、第2のまたは追加のワークピースの金属材料)に使用されてもよい。制限されることなく、用いられてもよい典型的な金属材料は、(例えば、溶接される区域または領域の)金属層の総重量に基づいて少なくとも約50重量%の鉄原子または少なくとも50重量%のアルミニウム原子を含む、金属と金属合金を含んでいる。
【0065】
用いられる場合、金属材料は、それが溶接される複合材料の金属層と同じか、または、異なってもよい。
【0066】
〈溶接電流範囲のための試験方法〉
溶接用の処理窓の基準は電流範囲(すなわち、溶接電流範囲)である。試験材料の溶接電流範囲は、試験材料板と、試験材料板と同じ厚さの(亜鉛メッキ鋼のような)対照の単一体の鋼(monolithic steel)板とからなるスタックを溶接することによって測定されてもよい。溶接は2つの電極を使用して行なわれてもよい。試験材料に対する電極は、表面直径dを有している。対照鋼板に対する電極は、dと等しいか、または、dより大きくてもよい。溶接時間と溶接圧力は固定され、材料の標準溶接計画などから予め決められてもよい。溶接ボタンのサイズは、2枚の板を分離することによって測定されてもよく、溶接ボタンの平均直径として与えられる。測定は、0.95d以上の溶接ボタンを生む電流を選択することによって始められる。その後、溶接ボタンの直径がd未満になるまで、溶接電流は漸増的に減少する。溶接電流の下限は、許容可能な溶接(例えば、少なくとも0.95dの溶接ボタンのサイズを有す溶接)をもたらす最も低い電流である。その後、溶接電流は、許容しがたい溶接が得られるまで増加し、金属の除去、電極への板の張り付き、溶接中の大きなはじける音、あるいは、さもなければ、それらの任意の組み合わせにより特徴付けられる。許容可能な溶接をもたらす最も高い電流は溶接電流の上限である。溶接電流範囲は、溶接電流の上限と溶接電流の下限の間の差である。一例として、溶接電流範囲は、厚みが約0.8mmの複合材料と、厚みが約0.8mmのガルバニール鋼板とを使用して行なわれてもよい。複合材料上の電極の直径は約3.8mmであってもよく、ガルバニール処理された鋼上の電極の厚みは約4.8mmであってもよい。約2713Nt(例えば、610ポンド)の圧縮力が加えられてもよい。溶接電流範囲を測定するための溶接条件は、約1、000Hzの周波数、約50ミリ秒のアップスロープ時間、および、約200ミリ秒の溶接時間を有する中間周波数DC溶接電流を含んでもよい。材料の幅は約25mmであり、厚さは約25mmおよび75mmであるのが好ましい。
【0067】
複合材料の溶接電流範囲lは、複合材料と同じ厚みを有する単一体の鋼板に溶接される際、複合材料と同じ厚みを有する2枚の単一体の鋼板の電流範囲lよりも大きいのが好ましい。l対lの比率は好ましくは約1.1以上、さらに好ましくは約1.2以上、さらにもっと好ましくは約1.3以上、さらにもっと好ましくは約1.4以上、および、最も好ましくは約1.5以上である。複合材料の電流範囲lは、好ましくは約1.5kA以上、さらに好ましくは約1.7kA以上、さらにもっと好ましくは約1.9kA以上、さらにもっと好ましくは約2.1kA以上、さらにもっと好ましくは約約2.3kA以上、および、最も好ましくは約2.5kA以上である。図5は、驚くほど高い溶接電流範囲を有する複合材料の溶接電流範囲を図示している。
【0068】
複合材料を1以上の単一体の金属材料(例えば、鋼板のような鉄鋼材)にスポット溶接する際、そのプロセスは、複合材料に接触する第1の電極と、単一体の金属に接触する第2の電極を使用してもよい。第1の電極と第2の電極は同じでも異なってもよい。驚いたことに、本発明の複合材料は、複合材料中の金属の体積が単一体の金属材料中の金属の体積の30%以上小さい時にさえ、同じ直径を有する第1の電極と第2の電極を使用してもよい。特に困難な溶接については、第1の電極と第2の電極が異なるのが望ましいこともある。例えば、第1の電極が第2の電極の直径未満である直径を有する場合、複合材料の両方の金属層は単一体の金属材料に対してより容易に溶接されてもよい。理論によって縛られることなく、複合材料と接触するために直径の小さな電極を使用することで、よりバランスのとれた熱分布と、溶接領域からのポリマーのより有効な除去と、または、その両方がもたらされると信じられている。最も好ましくは、第1の金属層と第2の金属層が両方ともスポット溶接プロセスの間に溶接されるように、第1の電極は第2の電極の直径よりもかなり小さな直径を有している。第1の電極の直径に対する第2の電極の直径の比率は、好ましくは約1.02以上、さらに好ましくは約1.06以上、さらにもっと好ましくは約1.12以上、および、最も好ましくは約1.2以上である。第1の電極の直径に対する第2の電極の直径の比率は、好ましくは約5以下、さらに好ましくは約3以下、および、最も好ましくは約2以下である。
【0069】
本発明の複合材料は、好ましくは1以上の単一体の金属材料に溶接されることができる。例えば、金属繊維の形状、大きさ、濃度、および、種類は、複合材料が、コーティングされていない鋼、溶融加工した亜鉛メッキ鋼、ガルバニール鋼、または、それらの任意の組み合わせからなる群から選択される鉄鋼材に対して溶接(例えば、スポット溶接)されることができるように選択されてもよい。本発明の特に好ましい実施形態では、複合材料は、溶接時間、電極加圧力、溶接時間、または、溶接電極の大きさを変更する必要なく、2以上の単一体の鋼材(例えば、2以上のコーティングしていない鋼、溶融加工した亜鉛メッキ鋼、または、ガルバニール鋼)、異なる厚みの2以上の単一体の鋼材(例えば、複合材料とほぼ同じ厚さの第1の材料と、複合材料の厚みのほぼ1.5倍の厚み、または、それ以上を有する第2の材料を有する)、あるいは、その両方の、一般的に高い溶接電流範囲(例えば、先に記載されたように)を有する。そのため、複合材料は、溶接条件を変更する必要なく、驚くほど様々な厚み領域を有する、驚くほど様々な種類の材料に溶接されてもよい。溶接条件にいくつかの変更が必要とされるかもしれないが、溶接電流範囲が広いため、このような変更は他の材料と比較して著しく減少する。
【0070】
一例として、図6、7、および、8は、コーティングされていない鋼、ガルバニール処理された鋼、または、溶融加工した亜鉛メッキ鋼のそれぞれに溶接された、本発明の複合材料の溶接電流範囲の測定を図示する。図6、7および8は、溶接電流に応じた溶接ボタンのサイズを示すグラフである。許容可能な溶接または良好な溶接は、i)溶接電極直径の約95%よりも大きな溶接ボタンのサイズを有し、ii)金属の除去がない、または、その両方の溶接であってもよい。例えば、約3.8mmの電極直径が複合材料に接触するために使用される場合、良好な溶接は約3.6mm以上の溶接ボタンのサイズを有していてもよい。図7、8および9は、約1.5以上(例えば、約1.7以上)の溶接電流範囲を有する複合材料を図示する。図6は、第1の鋼(例えば、コーティングされていない鋼)に複合材料を溶接する際に、約6.4kAから約9.2kAまでの溶接電流で良好な溶接を得ることができることを図示している。図7は、異なる鋼(例えば、ガルバニール処理された鋼)に複合材料を溶接する際に、約7.75kAから約9.45kAの溶接電流で、良好な溶接を得ることができることを図示している。図8は、別の鋼(例えば、溶融加工した亜鉛メッキ鋼)に複合材料を溶接する際に、約7.35kAおよび約9.35kAの溶接電流で、良好な溶接を得ることができることを図示している。まず、3つの材料はすべて一般的に高い溶接電流範囲を与える。次に、良好な溶接をもたらす電流の重なり(すなわち、重なる溶接電流範囲)は、一般的に高い。例えば、複合材料は、約7.8kAから約9.2kAまで、これらの3つの材料で良好な溶接をもたらし、重なる溶接電流範囲は約1.4kA以上である。
【0071】
〈溶接プロセス〉
複合材料を接合するために使用されるプロセスは、抵抗溶接(例えば、スポット溶接、シーム溶接、フラッシュ溶接、プロジェクション溶接またはアプセット溶接)、エネルギービーム溶接(例えば、レーザービーム、電子ビームまたはレーザーハイブリッド溶接)、ガス溶接(例えば、酸素アセチレンのようなガスを使用するオキシ燃料(oxyfuel)溶接)、アーク溶接(例えば、ガス金属アーク溶接、ミグ溶接または被覆金属アーク溶接)のような従来の溶接技術の改良形態を含んでもよい。好ましい接合技術は、抵抗スポット溶接とレーザー溶接のような高速溶接技術を含んでいる。
【0072】
図9Aおよび9Bは、2つの溶接電極(42)と(42’)の間で溶接されている基板(30)のスタックを図示する断面部分である。図9Aは、図9Bで図示された断面よりも早い溶接時間での断面を示している。図9Aに関して、溶接プロセスは、複合材料(12)と第2の基板(40)が圧縮状態にあるように、2つの溶接電極(42)および(42’)に圧力を加える工程を含んでもよい。溶接電極(42)と(42’)の圧力は、第2の基板との接触領域(46)、および、複合材料との接触領域(46’)を形成してもよい。当然のことながら、接触領域(46’)が溶接電極と第3の基板(図示せず)との接触によって定義されるように、複合材料(12)は第2の基板(40)と第3の基板の間ではさまれてもよい。接触領域(46)と(46’)の間に位置する、溶接される材料の体積(48)は、溶接される領域(すなわち、意図される溶接区域)(44)を定義する。当然のことながら、実際の溶接区域の体積は、意図された溶接区域(44)よりも大きくても小さくてもよく、材料(例えば、ポリマー、充填材、金属材料、または、その任意の組み合わせ)が(例えば、溶接電極によって加えられた力によって)意図された溶接区域から押しつけられる場合、溶接区域の高さは減少してもよい。図9Aで図示されるように、基板は、とりわけ接触領域(46)と(46’)の近くで変形(例えば、造形術で変形)されてもよい。ここで図9Bに目を向けると、溶接プロセス中に、ポリマーのいくらかまたはすべてが相転移(例えば、半結晶性ポリマーの一次的な固相から液相への相転移(すなわち、溶融)、または、ガラス状ポリマーの二次的な軟化転移)を経験するように、(例えば、意図された溶接区域内の、または、該溶接区域の近くの)基板の温度は上昇してもよい。溶融または軟化に際して、ポリマーは溶接電極の圧力の下で流れてもよい。そのため、ポリマー材料のいくつかまたはすべて(例えば、熱可塑性のポリマーのいくつかまたはすべて、充填材のいくつかまたはすべて、または、その両方)は、意図した溶接区域(44)から追い出されて、意図した溶接区域から離れた領域(48)に入ってもよい。材料が意図した溶接区域(44)から離れて流れるか、さもなければ、意図した溶接区域(44)から追い出されると、溶接電極(42)と(42’)の間の距離は短くなってもよい。したがって、溶接電極の間の距離の変化は、ポリマーが相転移を経験した徴候として用いられてもよい。当然のことながら、溶接プロセスは、(例えば、電極中の入口に、冷却材流体(coolant fluid)などの液体を流すことによって)、溶接電極を冷やすための1以上の手段を含んでもよい。
【0073】
溶接プロセスは、溶接される基板のスタックに電流を供給することができる抵抗溶接デバイスを使用してもよい。図10に関して、溶接デバイスは、2以上の溶接電極(42)および(42’)、(例えば、溶接電極間の基板(30)のスタックの部分が圧縮されるように)溶接電極に圧力(60)を加える手段、(例えば、溶接電極から熱を取り除くために)溶接電極の1つ以上を介して熱伝導流体を循環させるポンプデバイス(62)、(例えば、電流が溶接電極間の基板を通って流れるように、溶接電極間に電位をかけるための)電源(64)、溶接電極への電源、溶接電極を介した電流、溶接時間、溶接電極の冷却、溶接電極によって基板に加えられる圧力、または、それらの任意の組み合わせを制御するための1以上の(溶接制御装置のような)制御装置(66)を有してもよい。以下に記載されたように、溶接プロセスはさらに、1以上の予め決められた条件を監視するか、さもなければ、測定するための監視デバイスを使用してもよい。監視デバイスは制御装置の一部であってもよく、または、制御装置から離れていてもよい。制限されることなく、監視デバイスは(例えば、溶接電極間の距離の変化がモニターされるように)、1以上の溶接電極の移動をモニターする位置センサー(68)を含んでもよい。溶接される基板のスタックは、溶接デバイスに手動で供給され、(例えば、ロボット、搬送ラインなどを使用して)溶接デバイスに自動で供給されてもよく、溶接電極を含む溶接デバイスの一部は、溶接される基板のスタックに移動する(例えば、溶接デバイスは、ロボットのアームに取り付けられる溶接デバイスの一部のように移動可能であってもよい)か、または、それらの任意の組み合わせであってもよい。
【0074】
溶接機は、1以上の溶接電極によって流体を流すか循環させる手段を含んでもよい。例えば、溶接機は、1以上の溶接電極によって流れるか循環する水、冷却材または他の流体のソースを含んでもよい。第1の溶接段階、第2の溶接段階、または、その両方の間に熱が溶接電極から取り除かれるように、(例えば、溶接電極に流れ込む)流体は(例えば、溶接プロセス中に熱される溶接スタックと比較して)比較的冷たくてもよい。溶接電極が溶接スタック中の材料につかないように、流体は十分な熱を取り除いてもよい。流体の流量、流体の温度、または、両方は、1つ以上の制御装置によって制御されてもよい。本発明の好ましい態様では、流体の温度はポリマーの転移温度未満である。例えば、流体は、ポリマーの溶融温度未満の、ポリマーのガラス転移温度未満の、または、両方の温度であってもよい。流体の温度は、200°C未満、好ましくは130°C未満、さらに好ましくは60°C未満、さらにもっと好ましくは30°C未満、および、もっとも好ましくは20°C未満であってもよい。
【0075】
一般的に、溶接プロセスは、(例えば材料のスタックをデバイスを移動させることによって、デバイスを材料に移動させることによって、または、その両方によって)一緒に溶接される2以上の基板(すなわち、一緒に溶接される材料のスタック)を、溶接デバイスに配する工程を含み、1以上の基板は、少なくとも第1の金属層と、ポリマーを有するポリマー層と、および、1以上の導電性充填材を含む第1の複合材料である。複数段階の溶接プロセスは、第1の処理条件下の第1の溶接段階で基板を一緒に少なくとも部分的に溶接する工程を含み、その結果、ポリマーの少なくとも一部は少なくとも1つの相転移を経験するようになる。複数段階の溶接プロセスは、第1の処理条件を、少なくとも1つの相転移を伴う別の処理条件に変更(例えば、自動的に変更)する工程と、第1の複合材料の少なくとも一部を含む溶接継手が形成されるように、別の処理条件を用いて第2の溶接段階で材料をさらに溶接する工程を含む。当然のことながら、第1の処理条件を自動的に変更する工程は、開ループ制御操作、閉ループ制御操作、または、その両方を使用してもよい。
【0076】
好ましくは、第1の溶接段階の、第2の溶接段階の、または、両方の処理条件は、あらかじめ決められた条件である。しかしながら、第1の溶接段階の、第2の溶接段階の、または、両方の処理条件は、1以上のあらかじめ選択された条件を監視するか測定することによって、および、あらかじめ選択された条件のあらかじめ決められた所望の値と、あらかじめ選択された条件についての情報を比較することによって、決定されてもよい。例えば、プロセスは、第1の溶接段階の前に、1以上のあらかじめ選択された条件(例えば、ポリマーの少なくとも一部が相転移を経験しやすい溶接時間または溶接エネルギーを示す条件)を測定または監視する工程を含んでもよい。測定および監視される典型的なあらかじめ選択された条件は、第1の複合材料の電気的性質、ポリマー層の電気的性質、一緒に溶接される2以上の基板を含む溶接スタックの電気的性質、溶接スタックの厚み、溶接電極の直径、または、それらの任意の組み合わせを含む。
【0077】
溶接プロセスは、複合材料のポリマー層の厚みが、溶接区域から離れたポリマー層の厚み(例えば、溶接プロセス前のポリマー層の厚み)と比べて(例えば、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約70%)減少する溶接区域をもたらしてもよい。溶接プロセスは、溶接区域内部のポリマー濃度(または、ポリマーの体積)が減少したか、実質的に取り除かれさえした溶接区域をもたらしてもよい。例えば、溶接区域のポリマーの濃度または体積は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約約70%、さらに好ましくは少なくとも約95%であってもよい。
【0078】
〈第1の溶接段階〉
溶接プロセスは、(例えば、意図した溶接区域の)ポリマーを部分的にまたは完全に溶融または軟化する第1の溶接段階を典型的には含むであろう。第1の溶接段階は第1の処理条件を使用する。第1の処理条件はポリマーで相転移を引き起こすために、意図した溶接区域に十分な熱を提供するために選択されてもよい。第1の処理条件は、溶接時間(例えば、多くの溶接サイクル)、溶接圧力、溶接電流、溶接電圧、溶接力、溶接エネルギー、または、その任意の組み合わせを含んでもよい。
【0079】
当然のことながら、第1の溶接段階の間、電流が溶接スタックを流れると、溶接スタックの電気抵抗によって熱が生じるであろう。複合材料のポリマー層は、溶接スタックの残りよりもはるかに高い電気抵抗を有するのが一般的である。そのため、溶接スタックによって生じたほとんどの熱は、溶接スタックに存在するポリマー層内で生じてもよい。瞬間熱生成率は方程式2によって推定されてもよい。
dH/dt=P=l(t)PL(方程式2)
l(t)が瞬間電流で、RPLがポリマー層の抵抗である。電流は(交流内のような)周波を有してもよく、溶接サイクルの間に変化してもよく、または、その両方であってもよい。ポリマー層の抵抗は時間とともに変化してもよい。例えば、ポリマー材料の電気抵抗率は(例えば、ポリマー層の温度が上がるにつれて)変化してもよく、意図した溶接区域でのポリマー層の厚みは変化してもよく、意図した溶接区域でのポリマー層内のポリマーの濃度は変化してもよく、意図した溶接区域での充填材の濃度は変化してもよく、または、その任意の組み合わせであってもよい。
【0080】
第1の溶接段階の間に提供されるエネルギーは、第1の溶接サイクルの溶接時間にわたって、方程式2を積分することによって推定されてもよい。このエネルギーのいくつかは、ポリマー層を熱するか、ポリマー層を溶融または軟化するか、または、その両方のために使用されてもよい。熱のいくらかが(例えば、熱伝導によって)放散されることが認識されるであろう。熱放散率が比較的低くなるように、ポリマー層の熱伝導度は比較的低くてもよい(例えば、金属層の熱伝導度よりも少ない)。好ましくは、第1の処理条件は、ポリマーの温度をその相転移温度に増加させるために、および、(例えば、意図した溶接区域の)ポリマーの少なくともいくつか(例えば、すべて)を(例えば、熱放散の可能性を考慮する場合にさえ)溶融または軟化させるために、十分な熱を提供する。好ましくは、第1の処理条件は、意図した溶接区域の複合材料の金属層のいくらかまたはすべてを溶融するのに十分な熱を提供しない。
【0081】
当然のことながら、第1の複合材料のポリマー層のポリマーは、相転移温度(例えば、第1のピーク溶融温度、または、第1のガラス転移温度)によって特徴付けられ、第1の複合材料の金属層は第2のピーク溶融温度によって特徴付けられてもよい。好ましくは、第1の転移温度は第2のピーク溶融温度未満である。第1の転移温度は、約350°C未満で、好ましくは約300°C未満で、および、さらに好ましくは約250°C未満であってもよい。第2の転移温度は、約375°Cより大きく、好ましくは約400°Cより大きく、および、さらに好ましくは約450°Cより大きくてもよい。
【0082】
制限されることなく、第1の溶接段階の溶接時間は、少なくとも1サイクル(すなわち、1/60秒)、好ましくは少なくとも2サイクル(すなわち、2/60秒)、さらに好ましくは少なくとも3サイクル(すなわち、3/60秒)、さらにもっと好ましくは少なくとも4サイクル(すなわち、4/60秒)、および、もっと好ましくは少なくとも5サイクル(すなわち、5/60秒)であってもよい。第1の溶接段階の溶接時間は、約30サイクル未満で、好ましくは約25サイクル未満で、さらに好ましくは約20サイクル未満で、および、もっと好ましくは約15サイクル未満であってもよい。ポリマーを溶融または軟化させるのに必要であれば、もっと長い溶接時間が採用されてもよい。
【0083】
第1の段階の溶接電流は、約20kA未満で、好ましくは約10kA未満で、さらに好ましくは約3kA未満で、さらにもっと好ましくは約1kA未満で、さらにもっと好ましくは約0.5kA未満で、さらにもっと好ましくは約0.2kA未満で、および、もっと好ましくは約0.1kA未満であってもよい。
【0084】
第1の溶接段階の溶接電流は、第1の溶接段階中に変わってもよい。例えば、第1の溶接段階は、アップスロープ溶接電流を用いて、(0以上の)初期電流から開始し、(例えば、最後の電流が到達するまで)電流を増加させてもよい。電流の増加は漸増(例えば、段階的な増加)か、連続的か、または、その両方であってもよい。
【0085】
溶接電極と溶接スタックの間の接触領域(A)に対する溶接電流の比率(すなわち、I/A)は、比較的低くてもよい。例えば、I/Aは、約50kA/cm未満、好ましくは約10kA/cm未満で、さらに好ましくは約2kA/cm未満で、さらにもっと好ましくは約0.5kA/cm未満で、さらにもっと好ましくは約0.1kA/cm未満で、および、最も好ましくは約0.02kA/cm未満であってもよい。
【0086】
第1の溶接段階の電圧は、ポリマーを少なくとも部分的に溶融または軟化させるのに十分であるのが好ましい。第1の溶接段階の電圧は、約0.1ボルトよりも大きく、好ましくは約1ボルトよりも大きい電圧を含んでもよい。
【0087】
第1の溶接段階の間の出力密度は、ポリマーを少なくとも部分的に溶融または軟化させるのに十分であるのが好ましい。例えば、(例えば、1組の電極間の)意図した溶接区域での熱生成速度は、好ましくは少なくとも約1W/cmで、さらに好ましくは少なくとも約5W/cmで、さらにもっと好ましくは少なくとも約15W/cmで、および、もっと好ましくは少なくとも約30W/cmである。
【0088】
溶接プロセスは、ポリマーの少なくとも一部が相転移を経験したことを示す1以上のあらかじめ選択された条件のための第1の溶接段階を監視する工程を含んでもよい。例えば、溶接プロセスは、溶接電極圧力、溶接電流、溶接時間、電圧、エネルギー、電源、第1の複合材料の電気的性質、一緒に溶接される2以上の基板を含む溶接スタックの電気的性質、基板、複合材料の層、溶接電極、または、その任意の組み合わせの位置の変化、溶接電極、材料、熱伝導流体またはその任意の組み合わせの温度、あるいは、それらの組み合わせといった条件を監視してもよい。
【0089】
溶接電極は、圧縮力と、第1の複合材料を含む溶接スタックへの圧力とを加えてもよい。第1の溶接段階、第2の溶接段階、追加の随意の溶接段階、または、その任意の組み合わせで使用される力および/または圧力は、第1の複合材料と溶接スタック内の別の材料との間で接触を形成するのに十分な圧力であってもよい。溶接力および/または圧力は、複合材料の金属層が裂けたり割れたりしないように十分に低くてもよい。溶接力は約100Ntよりも大きく、好ましくは約300Ntよりも大きく、および、さらに好ましくは約1000Ntよりも大きくてもよい。溶接力は約100,000Nt未満で、好ましくは約30,000Nt未満で、および、さらに好ましくは約10,000未満であってもよい。理論によって縛られることなく、溶接電極が溶接スタック上に加える圧縮力と圧力は、溶接電極間の領域にある溶接スタック内の電気抵抗を少なくし、その結果、溶接電流のかなりの量(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、または、少なくとも約35%)が、溶接電極間の溶接スタックの部分を通るようになる。
【0090】
〈第2の溶接段階〉
第2の溶接段階は、第1の溶接段階で使用される第1の処理条件とは異なる処理条件を使用するのが好ましい。第2の溶接段階は、複合材料の金属層のいくつかまたはすべてを溶融するために、溶接スタック内の任意の金属材料を溶融するために、または、その両方のために、使用されてもよい。
【0091】
上記のように、プロセスは、第1の処理条件を(第2の溶接段階で使用されるような)第2の処理条件に変更する工程を含んでもよい。制限されることなく、第1の処理条件を変更する工程は、電流を変更する工程(例えば、電流を増加させる)、電源を変更する工程、電圧を変更する工程(例えば、電圧を減少させる)、エネルギーを変更する工程、溶接圧力を変更する工程、溶接時間を変更する工程、または、その任意の組み合わせを含んでもよい。
【0092】
第2の溶接段階は、複合材料の金属層を部分的にまたは好ましくは完全に溶融する処理条件(溶接時間、溶接圧力、溶接熱、溶接電流、または、それらの任意の組み合わせ)を使用してもよい。制限されることなく、基板中の金属材料を接合するための、当該技術で知られている任意の溶接条件が、第2の溶接段階で使用されてもよい。そのような溶接条件は、基板、溶接される金属または金属合金、基板上にある任意のコーティング、所望の仕上げの分類(例えば、分類A表面)などの厚みに依存するのが一般的である。当然のことながら、当該技術で既知の溶接条件は100%増やされても、または、60%減らされてもよい。
【0093】
制限されることなく、第2の溶接段階は、約0.5kAよりも大きな、好ましくは約3kAよりも大きな、さらに好ましくは約4kAよりも大きな、および、最も好ましくは約5kAよりも大きな溶接電流を使用してもよい。第2の溶接段階のI/A率は、約5kA/cmよりも大きく、好ましくは約10kA/cmよりも大きく、さらに好ましくは約20kA/cmよりも大きく、さらにもっと好ましくは約30kA/cmよりも大きく、さらにもっと好ましくは約45kA/cmよりも大きく、および、最も好ましくは約60kA/cmよりも大きくてもよい。
【0094】
制限されることなく、第2の溶接段階の溶接時間は、少なくとも1サイクル(すなわち、1/60秒)、好ましくは少なくとも2サイクル(すなわち、2/60秒)、さらに好ましくは少なくとも3サイクル(すなわち、3/60秒)、さらにもっと好ましくは少なくとも4サイクル(すなわち、4/60秒)、および、もっとも好ましくは少なくとも5サイクル(すなわち、5/60秒)であってもよい。第2の溶接段階の溶接時間は、約30サイクル未満で、好ましくは約25溶接サイクル未満で、さらに好ましくは約20溶接サイクル未満で、および、もっとも好ましくは約15溶接サイクル未満であってもよい。(例えば、金属材料、金属層、または、その両方を溶融する)必要に応じて、より長い溶接時間が採用されてもよい。
【0095】
好ましくは、第2の溶接段階は溶接スタックを介して電流を運ぶ段階である。そのため、第2の溶接段階は、完全にホールドサイクル(hold cycle)(すなわち、電流を加えずに全ての段階で圧力を加えること)からなるわけではないのが好ましい。第2の溶接段階の溶接時間は、第1段階の溶接時間よりも長いか、短いか、または、該溶接時間と同じであってもよい。
【0096】
〈開ループと閉ループの制御操作〉
溶接プロセスは、開ループ制御操作、閉ループ制御操作、または、その両方を含んでもよい。例えば、溶接プロセスは、(ポリマーの少なくとも一部が相転移を経験したことを示す条件といった)1以上のあらかじめ選択された条件について、1以上の溶接段階(第1の溶接段階など)を監視する工程、あらかじめ選択された条件に関するあらかじめ決められた所望の値と、あらかじめ選択された条件に関する情報を比較する工程、前記比較する工程から得られた情報に基づいて、第1の処理条件を異なる処理条件に自動的に変更する工程、前記比較する工程から得られた情報に基づいて第1の溶接段階の溶接時間を自動的に変更する工程、または、それらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0097】
使用される開ループと閉ループの制御操作の例は、米国仮特許出願第61/290,384号(2010年12月28日に出願)の段落0065乃至0075に記載されたものを含んでもよい。
【0098】
開ループと閉ループの制御操作がない工程も使用されてもよい。そのようなプロセスは、短絡されない溶接に特に適してもよい。プロセスは、あらかじめ選択された条件の1以上の初期の数値(reading)を測定する工程を含んでもよい。例えば、プロセスは、電流、電圧または抵抗の初期の数値を測定する工程を含んでもよい。1以上の初期の数値は第1の溶接段階の開始前に得られるのが好ましい。プロセスは、1以上の初期の数値に基づいて、第1の溶接段階の1以上の溶接条件を選択する工程を含んでもよい。例えば、初期の数値は、第1の溶接段階の溶接時間(例えば、溶接サイクルの数)、第1の溶接段階の電圧、第1の溶接段階の電源、第1の溶接段階の電流、または、その任意の組み合わせを測定するために使用されてもよい。
【0099】
溶接プロセスは、複合材料と第2の基板(2つの複合材料を含む溶接継手など)を含む溶接構造物または溶接継手、あるいは、複合材料と2以上の追加の基板を含む溶接構造物または溶接継手を準備するために使用されてもよい。驚いたことに、我々は、複合材料の第1の金属層および第2の金属層と基板材料とを含む融合継手を含んでいる微細構造を達成することができ、充填されたポリマー材料の熱可塑性のポリマーのいくつかまたはすべては、溶接継手から取り除かれた。そのため、溶接継手は、複合材料の第1の金属層と第2の金属層の一部を含んでもよい。図11は溶接継手の微細構造の例である。
【0100】
〈追加特徴〉
複数段階の溶接について、当然のことながら、溶接プロセスは、第1の溶接段階の前に1以上の追加の溶接段階を、第1と第2の溶接段階の間に1以上の追加の溶接段階を、第2の溶接段階の後に1以上の追加の溶接段階を、または、その任意の組み合わせを含んでもよい。追加の溶接段階は、使用される場合、少なくとも3つの溶接サイクル(すなわち、少なくとも3/60秒)であるか、または、3つの溶接サイクル未満であってもよい。例えば、少なくとも3つの溶接サイクルは、第1の溶接段階と第2の溶接段階の間に経過してもよい。好ましくは、3未満の溶接サイクルは、第1の溶接段階と第2の溶接段階の間に過ぎ去ってもよい。1以上の追加の溶接段階は、第1の溶接段階と第2の溶接段階の間に転移溶接段階を含んでもよい。
【0101】
転移溶接段階は、利用される場合、開ループまたは閉ループの制御を含んでもよい。(例えば、制御装置を使用する)転移溶接段階の間、電流は1回以上増加または減少してもよく、電圧は1回以上増加または減少してもよく、電源は1回以上増加または減少してもよく、電極加圧力は1回以上増加または減少してもよく、または、その任意の組み合わせであってもよい。転移溶接段階の間、電流、電圧、電源、あるいは、電極加圧力の1つまたは任意の組み合わせは、(例えば、制御装置を使用して)段階的な形式で変わってもよい。転移溶接段階の間、電流、電圧、電源、あるいは、電極加圧力の1つまたは任意の組み合わせは、1つ以上のあらかじめ選択された転移段階条件の測定値に応じて(例えば、制御装置を使用して)変化してもよい。転移溶接段階の間、電流、電圧、電源、あるいは、電極加圧力、または、それらの任意の組み合わせにおける一定のまたはあらかじめ決められた変化を保証するために、制御装置が使用されてもよい。転移溶接段階は、ポリマーの少なくともいくつかがその溶融温度および/またはガラス転移温度以上に加熱された段階から、ポリマーが溶接電極間の領域から一般的に動かされた段階までの転移に使用されてもよい。転移溶接段階の間、溶接電極間の複合材料の電気抵抗は大きく変化してもよい。例えば、溶接電極間の複合材料の電気抵抗は、転移溶接段階の1つ、2つ、またはそれ以上の、あるいは、すべての溶接段階においてでさえ、少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%減少してもよい。抵抗率および/または抵抗が転移溶接段階で減少するにつれ、1以上のあらかじめ選択された転移段階条件をあらかじめ選択された値と比較するために、溶接制御装置または他の処理装置が採用されてもよい。制御装置は、1以上の残りの溶接サイクルの条件を自動的に変更するか、別の溶接段階に自動的に移行するか、または、その両方であってもよい。
【0102】
溶接スタック中の材料の1以上は、溶接の前、間、後に形成されてもよい。例えば、溶接スタックは、形成された複合材料を含んでもよい。そのようなものとして複合材料は形成可能であってもよい。例えば、本発明で使用される複合材料は、材料を塑性的に変形するとともに、スタンピング、ロール成形、曲げ、鍛造、パンチング、引き伸ばし、コイリング、他の金属細工、または、その任意の組み合わせといった適切な成形プロセスにさらされてもよい。好ましい成形プロセスは複合材料にスタンピングする工程を含むプロセスである。スタンピングプロセスは気温または気温に近い温度で起こってもよい。例えば、スタンピングの間の複合材料の温度は、約65°C未満、好ましくは約45°C未満、さらに好ましくは約38°C未満であってもよい。当然のことながら、複合材料を成形するのに、約65°Cより高い温度の処理条件も使用されてもよい。成形プロセスは複合材料の領域を様々な絞り比(draw ratio)に絞る工程を含んでもよい。本発明の1つの態様では、複合材料は、切断したり、しわを作ったり、または、曲げたりすることなく、比較的高い絞り比に絞る工程にさらされる。例えば、複合材料の少なくとも一部が1.2よりも大きな絞り比に絞られるように、複合材料は絞り工程にさらされる。望ましくは、複合材料が、約1.5より大きな、好ましくは約1.7より大きな、さらに好ましくは約2.1より大きな、および、もっとも好ましくは約2.5より大きな最大絞り比に絞られることが可能であってもよく、そして、該最大絞り比に絞られる。絞り比の亀裂限界(craking limit)は、引用によって本明細書に組み込まれる、Weissらによって記載された(M. Weiss, M. E. Dingle, B. F. Rolfe, and P. D. Hodgson, “The Influence of Temperature on the Forming Behavior of Metal/Polymer Laminates in Sheet Metal Forming”, Journal of Engineering Materials and Technology, October 2007, Volume 129, Issue 4, pp. 534−535)の環状カップ絞り試験(circular cup drawing test)を用いて測定されてもよい。成形プロセスは、複合材料に接触した打ち型(die)(例えば、(複合材料の金属粒子または繊維の硬度より大きな、Mohrsの硬度計によって測定されるような硬度を有する打ち型)に圧力を加える工程を含んでもよい。
【0103】
特定の好ましいスタンピングまたは絞りプロセスは、毎分約1ストローク(例えば、1部)以上で、さらに好ましくは毎分約5ストローク以上で、さらにもっと好ましくは毎分約25ストローク以上で、および、最も好ましくは、毎分約60ストローク以上で作動するプロセスである。スタンピングプロセスは、ブランクの周囲(すなわち、スタンピングされる複合材料の周囲)を保持するために、ブランクを保持する力を含んでもよい。好ましくは、ブランクを保持する力は、約0.03kg/mmよりも大きく、好ましくは約0.10kg/mmよりも大きく、および、最も好ましくは約0.18kg/mmよりも大きい。スタンピングプロセスは1つ、2つ、または、それ以上の絞り工程を含んでもよい。好ましくは、(厚みの最大の%減少によって測定されるような)スタンピングプロセスの第1絞りのための最大の絞りは、約60%未満で、さらに好ましくは約50%未満で、および、最も好ましくは約45%未満である。材料を絞ることに加えて、スタンピングプロセスは、その部分を貫通する工程、その部分をトリミングする工程、その部分にフランジを付ける工程、または、その任意の組み合わせの1以上の工程を含んでもよく、それは個別の工程であってもよく、または、(例えば、絞り工程と)組み合わせられてもよい。
【0104】
(実施例)
〈実施例1〉
実施例1は、約15体積%ステンレス鋼繊維と約85体積%のポリアミドコポリマーを含有するポリマー層を含む複合材料である。繊維は一般に円筒状で、約9×10−6mm未満の断面を有する。ポリアミドコポリマーは約130°Cの溶融温度を有している。ポリアミドコポリマーはきれいな樹脂で、したがって、沸点が約300°C未満の可塑剤または他の添加剤を含まない。ポリマー層の厚みは約0.4mmであり、2つの金属層にはさまれている。金属層は低炭素鋼で作られ、各々は約0.2mmの厚さを有する。第1の金属層は、アメリカ・ペンシルバニア州ピッツバーグのPPGIndustriesから入手可能なBONAZINC(登録商標)と耐チップ塗料でコーティングされ、第2の金属層にはコーティングがない。金属層の表面は複合物を準備する前に清浄され、乾燥される。
【0105】
〈実施例2〉
実施例2は、厚みが約0.6mmの冷延鋼板に、実施例1の複合材料を溶接することにより準備される。複合材料のコーティングされていない金属層が冷延鋼板に接するように、溶接される2つの基板は整えられる。1組の溶接条件は、約4MPaの溶接圧力、約6mmの溶接電極直径、約5kAの溶接電流、および、約5つのサイクルの溶接時間を含めるように使用される。抵抗率が高すぎると材料は一緒に溶接されない。
【0106】
〈実施例3〉
実施例3は、2段階の溶接プロセスが使用されている以外は、実施例2と同じ方法を用いて準備される。第1の溶接段階は、約10MPaの溶接圧力、約6mmの溶接電極直径、約0.5kA未満の溶接電流を含んでいる。第1の溶接段階の間、溶接電極の置換は監視され、開ループまたは閉ループの制御操作を用いて、約0.2mmのあらかじめ決められた標的値と比較される(すなわち、溶接電極の分離は、溶接作業の開始時の分離と比較して0.2mm減少する)。第1の処理条件を用いた約8つの溶接サイクル後、標的値を超えるように置換は決定される。処理条件は、溶接電流を約5kAに増加させる工程、溶接圧力を約4MPaに減少させる工程、溶接時間を約4サイクルに設定する工程を含む第2の溶接プロセス条件に自動的に変更される。良好な溶接が得られる。
【0107】
〈実施例4〉
実施例4は、両方とも0.8mmの厚さの冷延鋼板である2つの基板を溶接することより準備される。この実施例ではなんの複合材料も使用されない。実施例2の溶接処理条件が使用される。良好な溶接が得られる。
【0108】
〈実施例5〉
充填される熱可塑性材料は、約8×10−4mm以下の繊維の長さに直角な平面の平均的な断面積と、約1乃至10mmの長さと、約50重量%ポリアミド6および約50重量%ポリアミド6,9の約85体積%コポリアミド(ISO527−2に従って測定された約300MPaの弾性率、ISO11357に従って測定された約130°Cの溶融点、および、527−3によって測定された約900%の破断点伸びによって特徴づけられるコポリマー)とを備える一般的には円筒形状を有する、約15体積%の低炭素鋼繊維を混合することによって準備される。充填された熱可塑性材料は約190°Cから約250°Cの温度で混合される。その後、充填された熱可塑性材料は、各々が約0.2mmの厚さを有する2枚の低炭素鋼板の間に置かれる。その後、材料は、約1乃至22MPa圧力で、約200°Cから約230°Cの温度でプレスされる。複合材料は約0.4mmの充填された熱可塑性材料のコア厚を有する。複合材料は、約3よりも大きな絞り比の高速スタンピング操作でスタンピングされ、割れまたは他の表面の欠陥は観察されない。スタンピング後、同じ全体的な厚みを有し、同じ条件下でスタンピングされた単一体の低炭素鋼サンプルの表面と比較すると、複合材料の表面は比較的滑らかである。複合材料の厚みは約0.8mmである。複合材料は、厚みが約0.8mmの冷延鋼板のサンプルによって積み重ねられる。スタックは、直径が約13mmの1組の溶接電極間のスポット溶接機に置かれる。約2.2kNtの力が溶接電極に加えられる。複合材料は冷延鋼板に溶接されない。
【0109】
〈実施例6〉
繊維が繊維の長さに直角な方向に一般的に長方形断面を有する低炭素繊維に取り替えられることを除けば、複合材料は、実施例6と同じ材料、組成物および方法を用いて準備される。繊維は平均約2.3mmの長さである。繊維の平均断面積は約0.0045mmである。繊維の厚みに対する幅の比率は、約2対8である。複合材料の厚みは約0.8mmである。複合材料は、約3よりも大きな絞り比の高速スタンピング操作でスタンピングされ、割れまたは他の表面の欠陥は観察されない。スタンピング後、同じ全体的な厚みを有し、同じ条件下でスタンピングされた単一体の低炭素鋼サンプルの表面と比較すると、複合材料の表面は比較的滑らかである。複合材料は、厚みが約0.8mmの冷延鋼板のサンプルによって積み重ねられる。スタックは、直径が約13mmの1組の溶接電極間のスポット溶接機に置かれる。約2.2kNtの力が溶接電極に加えられる。2.2kNtの力を受けている間、板厚方向の複合材料の抵抗率が測定される。そのように測定された実施例7の複合材料の電気抵抗率は、約0.1Ω以下である。厚みが約0.8mmの2枚の冷延鋼板に典型的な溶接計画を用いて溶接されると、複合材料は冷延鋼板に溶接され、溶接電極の直径よりも大きな直径を有する溶接ボタンをもたらす。実施例7の良好な溶接をもたらすために、余分な熱、余分な溶接サイクル、および、余分な電流は必要とされない。
【0110】
〈実施例7〉
実施例7は、充填されたポリマー材料中の金属繊維の濃度が約20体積%に増加し、ポリマーの濃度が約80体積%に減少する以外は、実施例6と同一である。実施例8の複合材料は、厚みが約0.8mmの1枚のガルバニール鋼板に溶接される。表面直径が約3.8mmの電極は、複合材料を有する溶接スタックの側で用いられ、表面直径が約4.8mmの電極はガルバニール鋼を有する側で使用される。約610lbsの力が電極によって溶接スタックに加えられる。材料は約1,000ヘルツの周波数を有する中間周波数DC溶接を用いて溶接される。各々の溶接は、約25mmの幅と約75mmの長さを有するサンプル上で完了する。溶接時間は約200ミリ秒で一定である。溶接は、約8.8kaから13kA以上に及ぶ溶接電流を用いてなされる。溶接が完了した後、複合板上の溶接ボタンのサイズが測定される。溶接ボタンのサイズと各々の溶接サンプル(46)の溶接電流は、図5のグラフ(30)で示される。領域(44)によって与えられた低い溶接電流では、溶接ボタンのサイズは、溶接プロセスの間に複合材料の表面上で使用される電極(36)の直径の95%未満である。領域(40)によって示される中間の溶接電流では、ボタンのサイズは、電極(36)の直径の95%よりも大きい。領域(42)によって示される高い溶接電流では、金属の除去、および/または、溶接中の大きなはじける音があり、結果として生じる溶接は許容できないものである。許容可能な溶接を得るための最小の溶接電流(34)は、実施例7についての約10kAである。許容可能な溶接を得るための最大の溶接電流(32)は約13kAである。最大溶接電流(32)と最小溶接電流(34)との間の差は、電流範囲(38)である。このように測定された実施例7の溶接電流範囲は約3.0kAである。
【0111】
〈実施例8〉
溶接電流範囲は、各々が同様に測定された約0.8mmの厚さを有する、2枚の単一体のガルバニール鋼板からなる溶接スタックについて測定され、約1.3kA未満であると決定される。溶接電流範囲は実施例7について同じ方法を用いて測定される。驚いたことに、実施例7の複合材料は、その高い溶接電流範囲(例えば、実施例8と比較して)によって測定されるように、ガルバニール鋼よりも溶接するのが簡単である(すなわち、溶接用のより広い処理窓を有している)。
【0112】
〈実施例9〉
実施例9は、実施例7と同じ組成物、充填された熱可塑性ポリマー、および、構造を有する複合材料である。溶接電極上の負荷が約2.76kN(約600lb)であり、アップスロープ時間が約50ミリ秒であり、溶接時間が約300ミリ秒であり、初期の溶接電流が約8−9kAであることを除けば、実施例9の溶接電流範囲は実施例7と同じ条件を用いて測定される。溶接電流範囲は、実施例9の複合材料と、厚みが約1.2mmのコーティングされていない深絞り品質の鋼(すなわち、DDQ)とからなる溶接ストックについてまず測定される。溶接ボタンのサイズは図6に示されるような異なる溶接電流で測定される。良好な溶接は、i)直径が約3.6mm以上のボタンのサイズと、ii)溶接電流が約6.4kA乃至約9.2kAまでである際に金属の除去はまったく行われないということによって特徴付けられる。実施例9を1.2mmの厚さのコーティングされていないDDQに溶接するために、溶接電流範囲は約2.8kAであると決定される。
【0113】
次に、複合材料と0.8mmの厚さのガルバニール鋼からなる溶接スタックは、コーティングされていないDDQ鋼に関して同じ条件を用いて準備され、溶接される。驚いたことに、良好な溶接は、アップスロープ時間、溶接時間、初期の溶接電流、または、溶接電極上の負荷を変更することなく得られる。溶接ボタンは図7に示されるような異なる溶接電流で測定される。良好な溶接は、i)直径が約3.6mm以上のボタンのサイズと、ii)溶接電流が約7.75kA乃至約9.45kAまでである際には金属の除去はまったく行われないということによって特徴付けられる。0.8mmの厚さのガルバニール鋼に実施例9の複合材料を溶接するために、溶接電流範囲は約1.7kAと決定される。
【0114】
実施例9の複合材料も、厚みが約1.5mmの溶融加工した亜鉛メッキ鋼(すなわち、HDG)に溶接される。複合材料と1.5mmの厚さのHDGからなる溶接スタックは、コーティングされていないDDQ鋼について同じ条件を用いて準備され、溶接される。驚いたことに、良好な溶接は、アップスロープ時間、溶接時間、初期の溶接電流、または、溶接電極上の負荷を変更することなく得られる。溶接ボタンは図8に示されるような異なる溶接電流で測定される。良好な溶接は、i)直径が約3.6mm以上のボタンのサイズと、ii)溶接電流が約7.35kA乃至約9.35kAである際には金属の除去はまったく行われないということによって特徴付けられる。1.5mmの厚さのHDGに実施例9の複合材料を溶接するために、溶接電流範囲は約2.0kAであると決定される。
【0115】
驚いたことに、同じ溶接条件は、異なる種類の鋼(例えば、DDQ、HDG、または、ガルバニール鋼)に複合材料を溶接するために使用可能である。さらに、複合材料が溶接条件を変更することなく、約87%(すなわち、0.8mmから、0.8mmx187%=1.5mmまで)変わる厚みを有している鋼に溶接可能であることは驚くべきことである。異なる種類の鋼と鋼の異なる厚みについて、複合材料への溶接が一般的に大きな溶接電流範囲によって特徴付けられることも同様に驚くべきことである。
【0116】
〈実施例10〉
実施例10は、コア層の厚みが約1mm増加し、各々の金属板の厚みが約0.5mm増加することを除けば、実施例9と同一の複合材料であり、準備される。複合材料は、厚みが約2mmの冷延鋼板に溶接される。複数段階の溶接プロセスは材料を溶接するように要求される。複数段階の溶接プロセスは、ポリマーを溶融するための第1の溶接電流を有する第1の溶接段階と、複合材料に基板を融合させるために第1の溶接電流よりも高い第2の溶接電流を含む第2の溶接段階とを含んでいる。
【0117】
〈実施例11A〉
実施例9の複合材料は冷延鋼板に溶接される。第2の溶接は第1の溶接から約50mmでなされる。第1と第2の両方の溶接は1つの段階の溶接プロセスを用いてなされる。第2の溶接は第1の溶接からのアークを有し、その表面は受け入れられない。
【0118】
〈実施例11B〉
実施例9の複合材料は冷延鋼板に溶接される。第2の溶接は第1の溶接から約50mmでなされる。複数段階の溶接プロセスは、短絡された溶接材料に必要とされる。複数段階の溶接プロセスは、ポリマーを溶融するための第1の溶接電流を有する第1の溶接段階と、複合材料に基板を融合させるために第1の溶接電流よりも高い第2の溶接電流を含む第2の溶接段階とを含んでいる。
【0119】
上記の実施例について、実施例で提供された値のいずれかが10%、20%、または、30%変化すると、同様の結果が期待される。
【0120】
本明細書で使用されるように、別段定めのない限り、教示内容は、属(リスト)の任意メンバーが族から除外され、および/または、マーカッシュグループ(Markush grouping)の任意のメンバーがグループから除外されてもよいことを想定している。
【0121】
別段定めのない限り、本明細書で詳述された任意の数値は、任意の高い値と任意の低い値との間に少なくとも2つの単位の分離があれば、1つの単位の増加において低い値から高い値までのすべての値を含む。例として、構成要素、特性、または、例えば、温度、圧力、時間などのプロセス変数の量が、例えば、1乃至90で、好ましくは20乃至80で、さらに好ましくは30乃至70であると記載されている場合、例えば、15乃至85、22乃至68、43乃至51、30乃至32などの中間領域の値は明細書の教示内容の範囲内であることが意図されている。同様に、個々の中間値は本教示内容の範囲内でもある。1未満である値については、1つの単位が適宜0.0001、0.001、0.01、または、0.1であるとみなされる。これらは具体的に意図されるものの例に過ぎず、列挙される最低の値と最高の値の間の数値の可能なすべての組み合わせは、同様のやり方でこの出願で明らかに述べられるものとみなされる。以上のように、本明細書で「重量部分(parts by weight)」と表現された量の教示内容は、重量%の用語で表現された同じ範囲についても同様に熟慮する。したがって、「結果として生じるポリマー混合組成物の「“x”重量部分」に関する範囲の「発明を実施するための形態」における表現は、「結果として生じるポリマー混合組成物の重量%中の“x”」の同じ列挙された量の範囲の教示内容も熟慮するものである。
【0122】
別段定めのない限り、すべての範囲はエンドポイントとエンドポイント間のすべての数の両方を含んでいる。範囲に関連して「約(about)または(approximately)」の使用は、範囲の両端に適用する。したがって、「約20乃至30」は、「約20乃至約30」を包含し、少なくとも指定されたエンドポイントを含めるように意図される。
【0123】
特許出願と出版物を含むすべての記事および引用の開示は、すべての目的のために引用によって組み込まれる。組み合わせを記載するための用語「〜から本質的になる」は、特定された要素、成分、構成要素または工程、および、組み合わせの基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えない他のそのような要素、成分、構成要素または工程を含むこととする。本明細書の要素、成分、構成要素または工程の組み合わせを記載するための用語「含む(comprisingまたはincluding)」の使用は、要素、成分、構成要素または工程から本質的になる実施形態も熟慮している。
【0124】
複数の要素、成分、構成要素または工程は、単一の一体化される要素、成分、構成要素または工程によって提供可能である。あるいは、単一の一体化される要素、成分、構成要素または工程は、個別の複数の要素、成分、構成要素または工程に分けられるかもしれない。要素、成分、構成要素または工程を記載するための「1つ((a)または(one))の」の開示は、追加の要素、成分、構成要素または工程を排除することを意図してはいない。特定のグループに所属する要素または金属に対する本明細書でのすべての引用は、CRC Press, Inc., 1989が公表し、著作権を取得した元素周期表を指す。グループについての任意の言及は、群に番号を付けるためにIUPACシステムを用いてこの元素周期表で反映されるようなグループに向けられるものとする。
【0125】
本明細書に使用されるように、「ポリマー」および「重合」という用語は総括的で、「ホモポリマー」および「コポリマー」、ならびに、「ホモ重合および共重合」のさらに特定の場合のいずれかまたは双方を含むことができる。
【0126】
当然のことながら、上記の特徴は例示的なもので、限定的なものではないように意図されている。提供される実施例に加えて、多くの応用例と同様に多くの実施形態も、上記の説明を読めば当業者に明白なものとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の特徴に関して決定されてはならず、その代りに、添付の請求項に関連して、そのような請求項が与えられる同等物の全範囲に沿って決定されなければならない。特許出願と出版物を含むすべての記事および引用文の開示は、すべての目的のために引用によって組み込まれる。本明細書に開示される主題の任意の態様の以下の請求項における省略は、そのような主題の放棄(disclaimer)ではなく、そのような主題が、開示された創造性のある主題の一部であると発明者が考えなかったものであるともみなされてならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板材料を複合材料と接触させる工程を含むプロセスであって、
複合材料は、一対の間隔を置いた鋼板と、鋼板間のコア層とを含み、
コア層の体積は複合材料の全体積に基づいて約25体積%以上であり、
コア層は、鋼板と電気通信するように、コア層の厚みを伸張する繊維の1つ以上の塊に配される複数の鋼繊維を含み、
鋼繊維は約1×10−5mmから約2.5×10−2mmまでの繊維の長さに垂直な断面積を有することを特徴とするプロセス。
【請求項2】
プロセスは、溶接が約1mm以上の面積を有する溶接ボタンによって特徴付けられて達成されるように、基板を複合材料で溶接するために約2.5kAから約25kAまでの溶接電流を基板と複合材料とに流す工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
金属繊維の濃度は、複合材料のコア層の全体積に基づいて、約10体積パーセントから約30体積パーセントまでであることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
複合材料は0.8mmの冷延鋼板に複合材料を溶接するための処理窓を有し、処理窓は約1.2から約3.5kAまでの溶接電流範囲によって特徴づけられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
基板の静抵抗に対する複合材料の静抵抗の比率が約2から30であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
コア層は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、アクリロニトリルを含むポリマー、アクリル酸を含むポリマー、アクリル酸塩を含むポリマー、ポリイミド、ポリカーボネート、イオノマー、および、上記のポリマーの1つ以上を含むコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含むポリマーマトリクスを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
金属繊維は一般的に長方形の断面を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
複合材料の厚みは約0.4から4mmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
プロセスは、複数段階の溶接工程を用いて溶接を形成する工程を含み、該複数段階の溶接工程は、複合材料と基板の間で溶接が形成されるように、第1の溶接段階中に基板と複合材料に溶接電流を流す工程と、第2の溶接段階中に基板と複合材料に異なる溶接電流を流す工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
複合材料は約1mm以上の厚みを有することを特徴とする請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
複数段階の溶接工程によって形成される溶接は、複合材料と基板の間でそれよりも前に形成された別の溶接から約200mm以下離れた溶接であることを特徴とする請求項9または10に記載のプロセス。
【請求項12】
複合材料はスタンピングされた構造を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のプロセス。
【請求項13】
複合材料は、複合材料と同じ厚みを有するとともに複合材料の金属板と同じ金属から作られた単一体の材料の静抵抗よりも、約2倍以上大きな静抵抗を板厚方向に有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のプロセス。
【請求項14】
金属の除去が抵抗スポット溶接工程中に起こらないように、溶接電流は十分に低く、溶接時間は十分に短いことを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
複合材料の一対の金属板の合計の厚みは、約0.6mm以下であり、複合材料の全体的な厚みの約75%未満であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
プロセスは、基板を含む溶接スタックを、溶接スタックの表面に接触するための第1の電極と溶接スタックの対向面に接触するための第2の電極とを含む一対の電極を用いて、抵抗スポット溶接する工程を含み、
第1の電極は、第2の電極の表面積と同じまたは該表面積よりも小さい溶接スタックに接触するための表面積を有し、
抵抗スポット溶接の工程は、基板と複合材料が第1の電極の表面積の50%以上の溶接ボタンサイズによって特徴づけられる溶接を有するように、かなりの時間にわたって第1と第2の電極の間でかなりの溶接電流を通過させる工程を含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のプロセス。
【請求項17】
i)コア層の体積は複合材料の全体積に基づいて約25体積パーセント以上であり、
ii)複合材料と同じ全体的な厚みを有する冷延鋼板の基板に複合材料を溶接するための溶接電流範囲が、冷延鋼板の基板に単一体の鋼板を溶接するための溶接電流範囲よりも大きくなるように、コア層内の鋼繊維の濃度は著しく低く、
単一体の鋼板は複合材料の2枚の鋼板の全体的な厚みとほぼ同じであることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載のプロセス。
【請求項18】
コア層は約10体積パーセントから約30体積パーセントの金属繊維を含み、
金属繊維は繊維の長さに直角な方向に一般的には長方形の断面積を有し、断面積が約8×10−5mm以上であることによって、約2200kNの負荷と、幅が約25mmで長さが約25mmのサンプルクーポンとを用いて、各々約3.8mmの表面直径を有する2つの電極の間で測定されるように、複合材料の静抵抗が約1.5mΩ以下になることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかに記載の方法にしたがって用意された溶接継手。
【請求項20】
請求項1乃至18のいずれかに記載の方法にしたがって用意された溶接物品であって、
前記溶接物品は、
i)複合材料
ii)鋼基板
iii)以下の少なくとも2つによって特徴づけられる溶接継手:
a)約2mm以上の溶接ボタンサイズ
b)約1kN以上の引張強度、または、
c)金属除去を含まない溶接
を含むことを特徴とする溶接物品。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図3】
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【図4】
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【図9A】
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【図9B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−515613(P2013−515613A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546253(P2012−546253)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/062138
【国際公開番号】WO2011/082128
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(511041743)プロダクティブ リサーチ エルエルシー. (3)