説明

複合材料及び分散剤の製造方法

【課題】ナノ酸化物微粒子を有機マトリックスに均一に分散させ、その粒子間の凝集が低減された複合材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】ナノ酸化物微粒子、分散剤及び透明樹脂を含有する複合材料であって、該分散剤が結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなり、且つ該重合体の重合度がナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φ(nm)とすると、3以上8×Φ以下の整数(但し、小数点以下は切り捨てた数値を示す。)からなる複合材料。結合性酸基を持つビニルモノマーをポリアミンの存在下で重合させて重合体からなる分散剤を得る工程、該分散剤、ナノ酸化物微粒子、及び透明樹脂を溶剤の存在下で混合する工程を有する複合材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤、ナノ酸化物微粒子及び透明樹脂を含有する複合材料、その複合材料の製造方法及びナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法に関する。特にナノ酸化物微粒子の凝集が抑えられ、所望の光学特性を付与した光学複合材料及び高強度複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、及び芳香族ポリカーボネート樹脂に代表される非晶性熱可塑性樹脂、あるいは不飽和ポリエステル樹脂やジアリルフタレート樹脂等の硬化性樹脂は、可視領域波長における良好な透明性を有する。しかも、それらの樹脂は無機ガラス材料に比べて低比重で、低温成形性や量産性に優れ、あるいは強靱性、可撓性、耐衝撃性等の機械的物性のバランスに優れる等の優れた特徴を有する汎用透明樹脂材料である。しかし、屈折率が透明樹脂材料の材質に決められ、従来の光学ガラスと比べ、ガラスのようなコントロール幅は無い。透明樹脂材料を高屈折率化する一つの手段として、誘電率に寄与する成分である臭素や硫黄等の原子番号の大きな元素を樹脂に導入する試みが行われているが、屈折率の可変範囲がまだ狭い問題が残されている。
【0003】
有機ポリマー材料の問題点を補うために、無機金属の酸化物や硫化物等の高屈折率を利用し、樹脂マトリックスに無機酸化物の微粒子を導入する方法が試みられている。例えば、特許文献1には、光学材料のハードコーティングとして酸化アンチモンゾルなどの酸化物ゾルと、マトリックス成分であるシロキサンとからなるコーティング剤が開示されている。この場合、シランカップリング剤やシロキサンがコロイドの分散に寄与する。しかし、レンズなどのバルク材料へ適用するには、樹脂マトリックス中の酸化物微粒子を小さくすると共に、その分散性を如何に向上させるのが大きな課題として残されている。マトリックス中の酸化物微粒子の分散性を向上させるのに、シロキサン以外の分散剤や分散機能を有する官能基のマトリックスへの導入の検討が行われている。
【0004】
特許文献2では、熱硬化性樹脂(アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、微粉末鉱物充填剤、及びポリアリール、アリール、アルキル基を末端基とするリン酸エステル化合物のリン酸系分散剤からなる硬化性組成物が開示されている。特許文献3では、光学フィルターの表層であるハードコートとして、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基などの酸基と活性エネルギー線硬化基を有する有機化合物により処理された無機粒子を含む活性エネルギー重合性樹脂層が開示されている。また、特許文献4では、電気的、光学的デバイスとして、オキシシラン基、ホスホネート基、スルフィド基、アミン基、スルホネート基などの側鎖基を有するポリマーと無機粒子からなる複合組成物が開示されている。特許文献5では、ラジカル重合性ホスフィンオキサイドを微粒子の配位子として高分子鎖に共重合させた樹脂マトリックスに半導体超微粒子を分散してなる組成物が開示されている。特許文献6には、ポリマー主鎖に吸着セグメントを付与し、被覆膜用として用いる酸化鉄微粒子の分散方法が開示されている。これらの分散方法においては、側鎖のリン酸基やホスフィンオキサイド及びカルボキシル基等の官能基と無機微粒子の表面との相互作用があるものの、粒子表面との結合強度がまだ弱いという問題がある。特に粒径10nm以下の粒子に対して、満足する分散性能がまだ得られておらず、用途としては薄い被覆膜に限られている。熱成形性を必要とする場合では、ナノ酸化物微粒子の分散性が熱可塑のマトリックスの流れにより影響されないことが必要され、酸化物微粒子の表面処理技術が更に難しくなる。
【0005】
一方、透明光学材料の他に、酸化物粒子の分散による樹脂材料の高強度化や、金属酸化物微粒子の光学特性に基づく放射線、紫外線、可視光、赤外線などの遮蔽材料や微粒子中のプラズモンによる非線形材料等にも、ナノ酸化物微粒子の分散性が低い問題がある。
【特許文献1】特開平1−306477公報
【特許文献2】特開平05−25320公報
【特許文献3】特開2002−55225公報
【特許文献4】特表2004−524396公報
【特許文献5】特開2002−105325公報
【特許文献6】特開2002−20678公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、酸化物微粒子、特にナノサイズの酸化物微粒子に対する分散技術が求められている。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、ナノ酸化物微粒子を有機マトリックスに均一に分散させ、その粒子間の凝集が低減された複合材料およびその製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、ナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する複合材料は、ナノ酸化物微粒子、分散剤及び透明樹脂を含有する複合材料であって、該分散剤が結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなり、且つ該重合体の重合度がナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φ(nm)とすると、3以上8×Φ以下の整数(但し、小数点以下は切り捨てた数値を示す。)からなることを特徴とする。
【0008】
前記分散剤(A)とナノ酸化物微粒子(B)との重量比(A/B)が1/99から80/20であり、酸化物微粒子(B)と透明樹脂(C)との重量比(B/C)が0.5/99.5から80/20であることが好ましい。
【0009】
前記結合性酸基を持つビニルモノマーが、結合性酸基を持つアクリルモノマーであることが好ましい。
前記結合性酸基を持つビニルモノマーの結合性酸基が、カルボキシル基、スルホン酸基またリン酸基のいずれかであることが好ましい。
【0010】
前記の結合性酸基を持つビニルモノマーが下記一般式(1)で表されるリン酸系アクリル系モノマーであることが好ましい。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はアルキル基、ハロゲン原子または水素原子を示す。nは1以上の整数である。)
前記ナノ酸化物微粒子が水熱合成法により得られたものであることが好ましい。
【0013】
前記ナノ酸化物微粒子の平均粒子径が0.5nm以上30nm以下であることが好ましい。
前記ナノ酸化物微粒子が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ガドニウム、酸化ハフニウム、酸化エルビウム、酸化ネオジウム、酸化セリウム、酸化ジスプロシウムまたはそれらの混合酸化物の何れかであることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記の複合材料を用いたレンズを提供する。
また、上記の課題を解決する第1の複合材料の製造方法は、結合性酸基を持つビニルモノマーを水系稀薄分散液中にて重合させて重合体からなる分散剤を得る工程、該分散剤、ナノ酸化物微粒子、及び透明樹脂を混合する工程を有することを特徴とする。
【0015】
また、上記の課題を解決する第2の複合材料の製造方法は、結合性酸基を持つビニルモノマーをポリアミンの存在下で重合させて重合体からなる分散剤を得る工程、該分散剤、ナノ酸化物微粒子、及び透明樹脂を混合する工程を有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の課題を解決する第1のナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法は、結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなる、ナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法であって、結合性酸基を持つビニルモノマーを水系稀薄分散液中にて重合させる工程を有すことを特徴とする。
【0017】
また、上記の課題を解決する第2のナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法は、結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなる、ナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法であって、結合性酸基を持つビニルモノマーをポリアミンの存在下で重合させる工程を有すことを特徴とする。
【0018】
前記結合性酸基を持つビニルモノマーが、結合性酸基を持つアクリルモノマーであることが好ましい。
前記結合性酸基を持つビニルモノマーの結合酸基がカルボキシル基、スルホン酸基またはリン酸基の何れかであることが好ましい。
【0019】
前記の結合性酸基を持つビニルモノマーが上記一般式(1)で表されるリン酸系アクリル系モノマーであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、結合性酸基を持つビニルモノマーからの重合体を分散剤とし、かつ重合体の重合度がナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φ(nm)に対し、3以上8×Φ以下の整数(但し、小数点以下は切り捨てた数値を示す。)の整数からなることによって、ナノ酸化物微粒子表面への結合力が格段に向上され、これにより分散されたナノ酸化物微粒子間の凝集が押さえられる。これによって、ナノ酸化物微粒子を有機ポリマー材料に高濃度で均一に分散することが可能となり、所望光学特性をもつ高透明性の光学材料が可能となる。また、高分散したナノ酸化物微粒子により、高強度の機械的な複合材料も可能になる。また、本発明の分散剤の製造方法によれば、水系稀薄分散液またはポリアミンを存在させて重合させると、ナノ酸化物微粒子に適した重合度の重合体を効率よく製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合材料は、ナノ酸化物微粒子、分散剤及び透明樹脂を含有する複合材料であって、該分散剤が結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなり、且つ該重合体の重合度がナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φ(nm)とすると、3以上8×Φ以下の整数(但し、小数点以下は切り捨てた数値を示す。)からなることを特徴とする。
【0022】
分散剤はナノ酸化物微粒子を分散するための成分であり、結合性酸基を持つビニルモノマーからの重合体からなり、且つ該重合体の重合度がナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φ(単位:nm)に対し、下限が3以上で、上限が8×Φ以下の整数(但し、小数点以下は切り捨てた数値を示す。)、好ましくは3以上6×Φ以下の整数からなる。
【0023】
なお、ナノ酸化物微粒子とは、粒子径が100nm以下のことを指す。ナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φは、光散乱法や、透過型電子顕微鏡(TEM)で直接に観察する方法等により計測できる。
【0024】
ビニルモノマーの結合性酸基は、ナノ酸化物微粒子表面のイオン、ハイドロキシル基と作用し、分散剤とナノ酸化物微粒子の表面との結合力を発現する。なお、本発明の重合体の重合度は、重合体の大きさを表し、重合体中の重合されたモノマーのビニル結合の数を指す。
【0025】
結合性酸基を持つビニル重合体の重合度が3以上であると、重合体あたりのナノ酸化物微粒子表面への結合点が多くなり、微粒子表面への修飾能が強くなる。一方、平均粒子径Φ(単位:nm)のナノ酸化物微粒子に対し、重合度が8×Φ以下の成分とすると、結合性酸基を持つビニル重合体がナノ酸化物微粒子の表面に適宜配置することが可能になり、その表面を効率的に覆うことができる。これによって、ナノ酸化物微粒子の表面が完全に覆われ、それぞれ独立に分散することが可能になり、ナノ酸化物微粒子間の凝集を防止することができる。
【0026】
複合材料中の分散剤(A)とナノ酸化物微粒子(B)との重量比(A/B)は、粒子サイズに応じて調整するが、好ましくは1/99から80/20である。複合材料中の酸化物微粒子の含量は複合材料の用途に応じて、任意に設定できるが、好ましく酸化物微粒子(B)と透明樹脂(C)との重量比(B/C)が0.5/99.5から80/20である。
【0027】
複合材料中には、分散剤(A)とナノ酸化物微粒子(B)および透明樹脂(C)以外の成分(D)として、分散剤及び透明樹脂の中の副生物や残存モノマーなどの成分を含んでいてもよい。成分(D)の含有量は、複合材料に対して、5重量%以下であることが好ましい。
【0028】
分散剤は、結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなり、ビニルモノマーの結合性酸基としては、金属酸化物の金属イオンと結合する官能基であれば、本発明に用いることが出来る。具体例として、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、チオール基を挙げることができる。また、β−ジケトン構造などの有機基も酸基として適用することが出来る。
【0029】
本発明の結合性酸基を持つビニル重合体は、結合性酸基を含むビニル系モノマー、これを含むビニル系モノマー混合物、及びその重合性オリゴマーを重合して得られる。
結合性酸基を持つモノマーの具体例として、CH2=CHSO3H、CH2=CHCH2SO3H、H2C=C(CH3)COOC24OSO3H、H2C=C(CH3)COOC36SO3H、H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OSO3H、H2C=CHCOOC24OCOC510OSO3H、H2C=CHCOOC1224(1,4−ph)SO3H等のスルホン酸基を持つビニルモノマーを挙げることができる。
【0030】
カルボンキシル基を持つビニルモノマーの具体例としては、下記の一般式(2)及び(3)で表される化合物を挙げることが出来る。
【0031】
【化2】

【0032】
(式中、R5とR6は水素原子またはメチル基である。)
リン酸基を有するビニルモノマーとしては、下記の一般式(4)及び(5)で表されるリン酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類のモノマーを挙げることが出来る。
【0033】
【化3】

【0034】
(式中、R7、R9とR12は水素原子またはメチル基であり、R8、R10とR11は水素原子、ハロゲン原子またはアルキル基である。n、m、lは1以上の整数である。)
リン酸基を有するビニルモノマーの具体的な例として、以下の式(4−1)から(4−6)に示される化合物は市場から簡単に入手できる。
【0035】
【化4】

【0036】
チオール基を持つビニルモノマーとして、CH2=CHCH2SH、CH2=CHCH2CH2SH等を挙げることができる。
結合性酸基を持つビニルモノマーとの共重合成分として、酸化物粒子との結合力を損なわなければ、その他のビニルモノマーを導入してもよい。その他のビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、核置換スチレン類、アルキルビニルエーテル類、アルキルビニルエステル類、パーフルオロ・アルキルビニルエーテル類、パーフルオロ・アルキルビニルエステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイミドまたはフェニルマレイミド等が挙げられる。
【0037】
本発明における分散剤は、反応性官能基を持つビニル重合体に上記の結合性酸基を付与したものも用いることができる。例えば、反応性官能基であるエポキシ基やハイドロキシル基を持つビニル重合体にP25、H3PO4と反応させることにより、ビニル重合体をリン酸化させることが出来る。
【0038】
結合性酸基を持つビニル重合体を構成するモノマー成分として、アクリルモノマー成分が好ましく、アクリルモノマー成分は20重量%以上、より好ましくは50重量%以上含むのが好ましい。アクリル成分が増えると、汎用透明な樹脂との親和性が高く、ナノ酸化物微粒子を含む分散複合材料の透明性が得られる。
【0039】
上述した結合性酸基は、好ましくカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基であり、より好ましくはリン酸基である。これらの結合性酸基が酸化物の金属イオンと強いイオン性結合を形成し、ビニル重合体がナノ酸化物粒子表面へ強く保持される。リン酸基の場合、リン酸基が酸化物表面の金属イオンとP−O−Mの結合(M:酸化物の金属イオン)を形成し、水分などを含む多くの環境下で解離せず、ビニル重合体がより強固に吸着される。更に、経済性及びマトリックスとの親和性から、より好ましくは式(4−1)から(4−6)に表されるリン酸系アクリルエステル類を使用するのがよい。
【0040】
本発明の複合材料のナノ酸化物微粒子は、特に製造方法に制限はないが、粒子の均一性から、火炎法、水熱法、ゾル−ゲル法等の方法により得られた酸化物微粒子を使用する。特に、分散媒に均一に分散した形態が好ましく、水熱法で合成した酸化物コロイドがより好ましい。水熱法で得られた酸化物微粒子は、公知のイオン交換法、解膠法、加水分解法で水酸化物を形成し、加熱して粒成長したコロイドゾルを用いる。イオン交換法としては、金属の酸性塩を水素型陽イオン交換樹脂で処理する方法、或いは、上記金属の塩基性塩を水酸基型陰イオン交換樹脂で処理する方法が挙げられる。上記解膠法としては、上記金属の酸性塩を塩基で中和するか、或いは上記金属の塩基性塩を酸で中和させることにより得られるゲルを洗浄した後、酸または、塩基で解膠する方法が挙げられる。上記加水分解法としては、上記金属のアルコキシドを加水分解する方法、或いは上記金属の塩基性塩を加熱下加水分解した後、不要な酸を除去する方法が挙げられる。このような酸化物微粒子は、水熱合成段階または合成後で酸、塩基、有機化合物、界面活性剤などによりに表面処理されており、分散性を実現する。もしくは、結合性酸基を持つビニル重合体より直接に表面処理された形態をとってもよい。本発明のナノ酸化物微粒子はナノ酸化物微粒子の前処理にはよらず、最終的に結合性酸基を持つビニル重合体により覆われる。
【0041】
ナノ酸化物微粒子は平均粒子径が0.5nm以上30nm以下の範囲であり、より好ましくは1nm以上10nm以下の範囲である。0.5nm以上であると、酸化物の特性が発現できるようになり、一方、粒子径が30nm以下であると、粒子による本来の光散乱が低く、樹脂マトリックスと複合化すると、透明性が高い複合材料が得られる。レンズなどのような散乱が極端に低い用途に対しては、好ましくは10nm以下、より好ましくは、8nm以下のナノ酸化物微粒子を用いる。
【0042】
本発明のナノ酸化物微粒子の種類に関しては、アルカリ金属の酸化物を除けば、本発明のナノ酸化物微粒子に適用できる。具体例として酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ガドニウム、酸化ハフニウム、酸化エルビウム、酸化ネオジウム、酸化セリウム、酸化ジスプロシウム等及びこれらの複合酸化物を挙げることが出来る。安定性の観点から、好ましく酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ガドニウム、酸化ハフニウム、酸化エルビウム、酸化ネオジウム、酸化セリウム、酸化ジスプロシウム、またはこれらの混合酸化物を使用する。このようなナノサイズの酸化物微粒子は、一般に、表面に多くの水酸基が存在し、また、酸や塩基による電気二重層や表面処理剤により粒子が安定化されたものが多い。更に、本発明の酸化物は粒子格子中に水酸基を含む酸化物粒子などの一部水酸物化したものも含む。
【0043】
本発明の複合材料に含まれる透明樹脂は透明であれば、特に限定されなく、熱硬化樹脂と熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂及び非晶質ポリオレフィン樹脂を好適に用いることができる。熱硬化樹脂としては、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリシロキサン等を挙げることができる。
【0044】
透明樹脂、分散剤及びナノ酸化物微粒子を直接に混合(混練)して、複合化しても良い。また、ナノ酸化物微粒子を分散剤で処理した後、透明樹脂成分に導入することも出来る。具体的には、樹脂の特徴に応じ、例えば有機溶剤可溶な樹脂に関しては、予め溶媒に溶かした樹脂溶液と、分散剤で分散したナノ酸化物微粒子の分散液とを混合し、均一な分散液を経て、溶媒を除去することにより、分散性ナノ酸化物微粒子分散樹脂を得る。また、溶媒で分散されたナノ酸化物微粒子の分散液に樹脂を溶かし、その後、溶媒を除去する手法も用いることができる。更に、分散されたナノ酸化物微粒子を樹脂になるモノマーに導入し、モノマーを重合させることにより、ナノ酸化物微粒子含有樹脂を得ることもできる。必要に応じて、樹脂になるモノマー及び重合性官能基を持つオリゴマー、または2種類以上の重合性オリゴマーを樹脂の原料とし重合させても良い。熱可塑樹脂と複合化する場合、分散性ナノ酸化物微粒子が高い分散性を持ち、且つ樹脂マトリックスとの相互作用が最小に抑えており、熱可塑性に基づく従来の成型法が適用できる。成型時に表面処理層の脱落が無く、粒子の分散性が維持されるので、複合材料が高い透明性を示す。その中、アクリル系樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
【0045】
本発明の複合材料は、透明の光学材料や、光学フィルター、高機械強度の構造材料に用いることが出来る。構造材料の場合では、機械的性質に支配する粒子の分散性が実現できれば、透明性は必ずしも必要としないので、平均粒子径が30nm以上の酸化物微粒子を含んでもよい。本発明の複合材料がガラス基材への光学コート膜や、レンズバルク材料とし好適に使用できる。ナノ酸化物微粒子の種類及び含有量を選択することによって、レンズ設計に必要な屈折率、波長分散特性を設計できる。例えば、高屈折率が必要であれば、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ等のナノ粒子を適宜に使用すれば良い。低分散レンズ材料としては、酸化アルミニウム、シリカ等のナノ酸化物微粒子を使用すればよい。
【0046】
次に、本発明の分散剤の製造方法について説明する。本発明の分散剤の製造方法は、水性稀薄分散液で重合を行う方法と、ポリアミンをテンプレート(型や参照物)とし重合を行う方法とがある。ここで、水性稀薄分散液とは、結合性酸基を持つビニルモノマーの濃度が10重量%以下、好ましくは8重量%以下のことを指す。
【0047】
水性稀薄溶液で重合を行う場合は、前記結合性酸基を持つビニルモノマーが、水溶液中で、ビニル結合を含む疎水性部分が会合し、ミセルを形成する傾向がある。ミセル状態で重合させると、ミセルに対応した重合度が得られる。臨界ミセル濃度以下では、その会合体が小さくなり、より低い重合度の重合体が得られる。ミセルのサイズは熱力学手法、化学的な手法などを用いて、制御することが出来る。熱力学手法として、結合性酸基を持つモノマーの濃度、温度、及びアルコールなどの水性溶剤の導入等を適宜に設定し、ビニル重合体の重合度をコントロールする。化学的な手法としては、例えば、結合性酸基を持つビニルモノマーの有機部分を適宜に選定することによって、会合体の大きさを変えることができる。また、結合性酸基を塩構造に変更することによって、重合体の重合度を小さく調整することも適用できる。このような方法より、重合度が200までの重合体が可能であり、本発明の分散剤として好適に使用できる。また、必要に応じて、光散乱などの手法で、その会合体のサイズを制御すれば、より精密な分散剤を得ることが出来る。
【0048】
一方、ポリアミンをテンプレートとし、重合を行う場合は、基本的に有機溶媒、水、または混合溶媒に、結合性酸基を持つビニルモノマーと可溶な化合物を形成するポリアミンであれば、本発明に用いることが出来る。その具体例として、下記のI式で表される直鎖、分枝のポリアミン類、II式で表される環状アミン類、III式で表される芳香族復素環アミン類およびIV式で表されるアニリンアミン類などを挙げることが出来る。
【0049】
【化5】

【0050】
【化6】

【0051】
結合性酸基を持つビニルモノマーとポリアミンは、分散液中で、ポリアミンと結合性酸基を持つビニルモノマーとの酸塩基結合より、会合体を形成する。会合体の状態で重合させることにより、所望のサイズのビニル重合体を得ることができる。会合体の状態は溶液中のポリアミンと結合性酸基を持つビニルモノマーとの比率、その濃度に依存するが、一般的に結合性酸基を持つビニルモノマーと溶液中のポリアミンとのモル比率を20以下に設定し、結合性酸基を持つビニルモノマーの濃度が10重量%以下で、重合を行う。これより、重合度がポリアミン中の窒素数の10倍以下の重合体を容易に得ることができ、本発明の分散剤として好適に用いることが出来る。重合を行った後、ポリアミンを取り除く処理を行っても良く、また、その結合性酸基を持つビニル重合体とポリアミンとの混合物でナノ酸化物微粒子を分散処理し、その後ポリアミンを除去することもできる。除去方法としては、強酸、陽イオン交換樹脂でポリアミンを外す方法、透析膜で洗浄や中和する方法などが用いることが出来る。
【0052】
重合反応は、重合開始剤を重合系に加えて行う。開始剤の具体例として、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレートなどのアゾ系開始剤、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオクトエートなどの過酸化物系開始剤等を挙げることができる。また、光のみによりラジカル共重合を開始しても構わない。光分解性のラジカル開始剤、例えばα−アミノアセトフェノンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1等のアミノアセトフェノン類、ベンジルジメチルケタール類、グリオキシエステル類等も使用可能である。水を含む条件下で重合を行う場合では、過硫酸カリウム等の水系開始剤を用いることも出来る。
【0053】
分散剤の製造方法には、結合性酸基を持つビニルモノマーがアクリル系モノマーであることが好ましい。分散剤中のアクリル系の成分が増えると、汎用透明な樹脂との親和性が高く、ナノ酸化物微粒子分散複合材料の透明性につながる。
【0054】
結合性酸基は、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基であることが好ましい。これらの官能基が重合の際、重合体の重合度の制御に寄与する共に、得られた重合体がナノ酸化物微粒子の表面に強く結合し、高い分散効果を発現する。特にこのましくはリン酸基であり、リン酸基が酸化物微粒子を分散する際、酸化物表面の金属イオンとP−O−Mの結合(M:酸化物の金属イオン)を形成し、水分などを含む多くの環境下で解離せず、分散剤が強固に吸着される。更に、経済性及びマトリックスとの親和性から、より好ましくは式(4−1)から(4−6)に表されるリン酸系アクリルエステル類を使用するのがよい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例を示し本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例において、%は質量基準の%を示す。
実施例1
下記の構造式(12)で表されるリン酸エステルのナトリウム塩をイオン交換水に溶かし、1%の水溶液を得た。水溶液に濃度が0.02%になるように過硫酸カリウム(重合開始剤)を添加し、攪拌しながら溶解した。
【0056】
【化7】

【0057】
その後、その水溶液を50℃で24時間加熱して重合を行った。得られた水溶液を陽イオン交換樹脂でイオン交換し、リン酸基を持つビニル重合体を得た。光散乱法で該水溶液を調べたところ、水溶液中の重合体は粒子径が1nmから2nmぐらいの粒子状であることがわかった。更に2,5−ジヒドロキシ安息香酸をマトリックスとし、TOF−MAS(飛行時間型質量分析装置)で測定した。m/zが1000から4500のピークが見られ、重合度が5から20の重合体を含んでいることを確認した。この水溶液を濃縮し、得られた固形分が約20%の粘稠な液を分散剤1とした。
【0058】
10gのITO粉末(平均粒子径:4.2nm)、1gの分散剤1と100gの5%ポリメチルメタクリレート(以下、PMMA)のメチルエチルケトン分散液を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで30時間解砕した。得られたペーストを遠心脱泡し、コート用ペーストを得た。コート用ペーストをガラスレンズにコートし、100℃で加熱し、膜を固化させ、透明コート付きのガラスレンズを得た。コート膜の膜厚が約120nmで、屈折率が1.56であった。
【0059】
実施例2
下記の構造式(12)で表されるリン酸エステルのナトリウム塩と、メタアクリル酸をイオン交換水に溶かし、それぞれの濃度が0.8%と0.2%の水溶液を得た。
【0060】
【化8】

【0061】
水溶液に濃度が0.02%になるように過硫酸カリウム(重合開始剤)を添加し、攪拌しながら溶解した。その後、その水溶液を50℃で24時間加熱して重合を行った。得られた水溶液を陽イオン交換樹脂でイオン交換させ、リン酸基とカルボキシル基を持つビニル重合体を得た。2,5−ジヒドロキシ安息香酸をマトリックスとし、TOF−MASで測定した。m/zが1000から6500のピークが見られ、重合度が5から30の重合体を含んでいることを確認した。この水溶液を濃縮し、得られた固形分が約20%の粘稠な液を分散剤2とした。
【0062】
20gのTiO2粉末(平均粒子径:8.1nm)、4gの分散剤2と、50gのメチルエチルケトンの混合液を、φ1mmのジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーで30時間解砕した。その後、200gの5%PMMAのメチルエチルケトン分散液を混合し、得られたペーストを遠心脱泡し、コート用ペーストを得た。コート用ペーストをフッ素コートガラスレンズにコートし、100℃で加熱し、膜を固化させた。その膜を剥がし、透明の酸化チタンを含有する複合膜を得た。膜の屈折率を測定したところ、膜の屈折率が1.91であった。
【0063】
実施例3
下記の構造式(13)で表されるリン酸エステルをプロパノールが70%水溶液に溶かし、更に水溶液に下記の構造式(14)で表されるポリアミンを添加し、それぞれの濃度が2%と0.25%の溶液を得た。
【0064】
【化9】

【0065】
続いて、濃度が0.02%になるように2,2−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)を添加し、攪拌しながら溶解した。その後、その水溶液を60℃で24時間加熱して重合を行った。得られた水溶液を陽イオン交換樹脂でイオン交換し、リン酸基を持つビニル重合体を得た。光散乱法で該水溶液を調べたところ、水溶液中の重合体は粒子径が1から2nmぐらいの粒子状であることがわかった。更に2,5−ジヒドロキシ安息香酸をマトリックスとし、TOF−MASで調べた。m/zが800から2200のピークが見られ、重合度が4から10の重合体を含んでいることを確認した。この溶液を濃縮し、得られた固形分が約20%の粘稠な液を分散剤3とした。
【0066】
100gの10%のSnO2水系ゾル(平均粒子径:2nm)、3gの分散剤3を添加し、加熱しながら、約70%のプロパノール水溶液に置換した。その後、透析膜に入れ、その外側でプロパノールの水溶液で十分洗浄した。続いて、加熱しながら、メチルエチルケトンへの溶媒置換を行った後、100gの5%PMMAのメチルエチルケトン分散液を混合した。得られたSnO2の分散液をフッ素コートガラスの型に入れ、80℃で10時間かけて加熱しながら、固化させ、厚さ3mmのバルク体を得た。その屈折率は1.64であった。
【0067】
実施例4
下記の構造式(13)で表されるリン酸エステルをエタノールが70%水溶液に溶かし、更に水溶液に下記の構造式(15)で表されるポリアミンを添加し、それぞれの濃度が2%と0.25%の溶液を得た。
【0068】
【化10】

【0069】
続いて、濃度が0.02%になるように2,2−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)を添加し、攪拌しながら、溶かした。その後、その水溶液を60℃で24時間加熱し重合を行った。得られた水溶液を陽イオン交換樹脂でイオン交換させ、リン酸基を持つビニル重合体を得た。光散乱法で該水溶液を調べたところ、水溶液中の重合体は粒子径が1から2nmぐらいの粒子状であることがわかった。更に2,5−ジヒドロキシ安息香酸をマトリックスとし、TOF−MASで調べた。m/zが800から2200のピークが見られ、重合度が4から10の重合体を含んでいることを確認した。この溶液を濃縮し、得られた固形分が約20%の粘稠な液を分散剤4とした。
【0070】
100gの6%のTiO2水系ゾル(平均粒子径:5nm)、3gの分散剤4を添加し、加熱しながら、約70%のプロパノール水溶液に置換した。その後、透析膜に入れ、その外側でプロパノールの水溶液で十分洗浄した。続いて、加熱しながら、メチルエチルケトンへの溶媒置換を行った後、100gの5%PMMAのメチルエチルケトン分散液を混合した。得られたTiO2の分散液をフッ素コートガラスの型に入れ、80℃で10時間かけて加熱しながら、固化させ、厚さ2mmの透明バルク体を得た。その屈折率は1.81であった。
【0071】
比較例1
100gの実施例4のTiO2ゾル(固形分6%、平均粒子径:5nm)、加熱しながら、約50%のプロパノール水溶液に置換した。その後、透析膜に入れ、その外側でプロパノールの水溶液で十分洗浄した。続いて、加熱しながら、メチルエチルケトンへの溶媒置換を行ったところ、ゾルが徐々に白濁することがわかった。その後、100gの5%PMMAのメチルエチルケトン分散液と混合し、得られたTiO2の分散液をフッ素コートガラスの型に入れ、80℃で10時間かけて加熱しながら、固化させた。得られたバルク体が白濁であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の複合材料は、分散剤、ナノ酸化物微粒子及び透明樹脂を含有し、ナノ酸化物微粒子の凝集が抑えられるので、所望の光学特性を付与した光学複合材料及び高強度複合材料に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ酸化物微粒子、分散剤及び透明樹脂を含有する複合材料であって、該分散剤が結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなり、且つ該重合体の重合度がナノ酸化物微粒子の平均粒子径Φ(nm)とすると、3以上8×Φ以下の整数(但し、小数点以下は切り捨てた数値を示す。)からなることを特徴とする複合材料。
【請求項2】
前記分散剤(A)とナノ酸化物微粒子(B)との重量比(A/B)が1/99から80/20であり、酸化物微粒子(B)と透明樹脂(C)との重量比(B/C)が0.5/99.5から80/20であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
前記結合性酸基を持つビニルモノマーが、結合性酸基を持つアクリルモノマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記結合性酸基を持つビニルモノマーの結合性酸基が、カルボキシル基、スルホン酸基またリン酸基のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記の結合性酸基を持つビニルモノマーが下記一般式(1)で表されるリン酸系アクリル系モノマーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の複合材料。
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はアルキル基、ハロゲン原子または水素原子を示す。nは1以上の整数である。)
【請求項6】
前記ナノ酸化物微粒子が水熱合成法により得られたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の複合材料。
【請求項7】
前記ナノ酸化物微粒子の平均粒子径が0.5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の複合材料。
【請求項8】
前記ナノ酸化物微粒子が、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ガドニウム、酸化ハフニウム、酸化エルビウム、酸化ネオジウム、酸化セリウム、酸化ジスプロシウムまたはそれらの混合酸化物の何れかであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の複合材料。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の複合材料を用いたレンズ。
【請求項10】
結合性酸基を持つビニルモノマーを水系稀薄分散液中にて重合させて重合体からなる分散剤を得る工程、該分散剤、ナノ酸化物微粒子、及び透明樹脂を混合する工程を有することを特徴とする複合材料の製造方法。
【請求項11】
結合性酸基を持つビニルモノマーをポリアミンの存在下で重合させて重合体からなる分散剤を得る工程、該分散剤、ナノ酸化物微粒子、及び透明樹脂を混合する工程を有することを特徴とする複合材料の製造方法。
【請求項12】
結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなる、ナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法であって、結合性酸基を持つビニルモノマーを水系稀薄分散液中にて重合させる工程を有することを特徴とするナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法。
【請求項13】
結合性酸基を持つビニルモノマーの重合体からなる、ナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法であって、結合性酸基を持つビニルモノマーをポリアミンの存在下で重合させる工程を有することを特徴とするナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法。
【請求項14】
前記結合性酸基を持つビニルモノマーが、結合性酸基を持つアクリルモノマーであることを特徴とする請求項12または請求項13記載のナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法。
【請求項15】
前記結合性酸基を持つビニルモノマーの結合酸基がカルボキシル基、スルホン酸基またはリン酸基の何れかであることを特徴とする請求項12乃至14のいずれかの項に記載のナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法。
【請求項16】
前記の結合性酸基を持つビニルモノマーが下記一般式(1)で表されるリン酸系アクリル系モノマーであることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかの項に記載のナノ酸化物微粒子の分散剤の製造方法。
【化2】

(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はアルキル基、ハロゲン原子または水素原を示す。nは1以上の整数である。)

【公開番号】特開2008−56826(P2008−56826A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236721(P2006−236721)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】