説明

複合油性菓子及びその製造方法

【課題】可食固形物を混合した油性菓子から成る安定した形状の油性菓子シェルを製造する方法と、その油性菓子シェル、及びそれを使用した複合油性菓子を提供することを課題とする。
【解決手段】油性菓子生地に、水分が8重量%以下の可食固形物を混合し、可食固形物混合の油性菓子生地をモールドに充填した後、-20〜+10℃に冷却した押し型でプレスすることにより、食感風味に優れ、且つ、安定した形状の油性菓子シェルを製造する方法と該油性菓子シェル、及び該油性菓子シェルを用いた複合油性菓子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート類などの油性菓子と可食固形物から成るシェルの製造方法、及びそれを用いた複合油性菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からチョコレートなどの油性菓子生地に、ナッツ類、焼き菓子類、パフ類等の可食固形物を混合した後、成型加工した複合油性菓子類が知られており(例えば特許文献1、2)、これらは油性菓子の風味食感にこれら可食固形物の風味食感が加わるため、特徴のある複合油性菓子となり、市場にて好評を博している。
【0003】
油性菓子生地でシェルを作る際、公知の方法として以下の2通りの方法がある。第一の方法は、油性菓子生地を融解状態でモールドに充填した後、モールドを反転させ、シェルとなり得る以外の油性菓子生地を、重力とモールドに与える振動或いは遠心力との作用によりモールドから除去した後、それを冷却固化させ、油性菓子のシェルを形成する方法である(例えば特許文献3)。
【0004】
第二の方法は、同心円状に配置された2つのノズルのうち、外側に配置されたノズルからシェルとなる油性菓子生地を、また、内側に配置されたノズルからセンターとなる油性菓子生地、或いはその他可食物を排出し、それをモールドに充填し、シェルである油性菓子にセンターが内包されている菓子を製造することも行われている。
しかしながら、可食固形物を混合した油性菓子生地でシェルを作る場合、これら何れの方法も欠点があり、適切ではない。即ち、第一の方法では、シェルとなり得る以外の油性菓子生地を、重力とモールドに与える振動或いは遠心力との作用によりモールドから除去する必要があるが、可食固形物を混合した油性菓子生地は流動性が十分ではなく、それにより、除去される油性菓子生地の量が一定せず、工業的に安定した厚み、重量のシェルを製造することは困難である。
【0005】
また、第二の方法による場合、シェルとなる油性菓子生地と、センターとなる油性菓子生地をほぼ同時に排出する必要があり、シェルにて完全に内包されたセンターを有する油性菓子しか製造出来ない。即ち、1)シェルのみを可食カップなどとして提供すること、2)シェルにてセンターが完全に内包されていない状態のものを提供すること、3)2個のシェル同士の開口端部が接着成型されたものを提供すること、の3点は不可能である。
【特許文献1】特開平8−275729号公報
【特許文献2】登録実用新案3054517号公報
【特許文献3】特開平6−197695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記現状を鑑みなされたもので、可食固形物を混合した油性菓子から成る安定した形状のシェルを製造する方法と、その油性菓子シェル、及びそれを使用した複合油性菓子を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、油性菓子生地に可食固形物を混合し、それをモールドに充填した後、冷却した押し型でプレスすることで、食感風味に優れ、且つ、安定した形状のシェルを作ることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下に示すものである。
【0008】
(1)油性菓子生地に可食固形物を混合し、可食固形物混合の油性菓子生地をモールドに充填した後、冷却した押し型で該油性菓子生地をプレスすることにより、可食固形物混合の油性菓子シェルを形成することに特徴のある複合油性菓子の製造方法。
(2)冷却した押し型の温度が、−20℃〜+10℃である(1)に記載の複合油性菓子の製造方法。
(3)可食固形物の水分が、8重量%以下であることに特徴のある(1)または(2)に記載の複合油性菓子の製造方法
(4)(1)〜(3)の何れかに記載の方法により得られる複合油性菓子。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、可食固形物を混合した油性菓子から成り、食感風味に優れ、且つ、安定した形状のシェルを製造することが出来、それをそのまま提供出来る他、そのシェル内部に可食物を含有させた複合油性菓子、または、2個のシェルの開口端部を接着成型しその内部に何ら内容物が内包されていないか、可食物若しくは非可食物が内包されている複合油性菓子を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で、可食固形物と混合する油性菓子生地は、例えば、チョコレートやファットクリームが挙げられ、テンパータイプ、或いはノンテンパータイプの何れの油性菓子生地も使用出来る。また、チョコレートはホワイトチョコレート、ミルクチョコレート、またはスイートチョコレート等、何れの種類のチョコレートでもよく、チョコレート類の表示に関する公正競争規約に定められたチョコレート生地、準チョコレート生地に限らず、それらに該当しないファットクリームであってもよい。テンパータイプの油性菓子生地を用いる場合は、テンパリングを施す必要があり、これにはATM(オートテンパリングマシーン)を用いるか、或いは、油脂結晶核を添加するいわゆるシーディングという方法も用いることが出来る。特には、油脂結晶核として、1,3−ジベヘニル−2−オレオイルグリセロール(以下BOBと省略する)の如き高融点油脂結晶を添加する方法が好適である。BOBは、油性菓子生地の品温が凡そ37℃に達するまで結晶核として機能するため、油性菓子生地に含まれる油脂の結晶が発現しない温度領域でテンパリング完了状態を保持出来、そのため、可食固形物を混合した油性菓子生地の物性を一定に保持し、モールドへの注入、押し型によるシェル形成をより安定して行うことが可能となる。油性菓子生地の原料としては、従来から一般的に用いられているものを適宜使用することができ、例えば、カカオマス、ココアバター、その他の植物油脂、砂糖、乳糖などの糖類、全脂粉乳、脱脂粉乳などの乳製品、レシチンなどの乳化剤他が用いられる。
【0011】
油性菓子生地に混合する可食固形物の種類は特に限定されるものではなく、あらゆる種類の可食固形物が使用出来る。例えば、ビスケット、クッキー、パイ、ウエハース、ラスク等の焼き菓子類、米パフ、小麦パフ等の膨化食材、コーンフレークなどの穀類加工物、おかき、せんべい、あられなどの米菓、ポテトチップ、バナナチップ、油揚げ麺のような油ちょう食品類、アーモンド、マカダミアナッツ、へーゼルナッツなどのナッツ類、凍結乾燥等を施した乾燥果実や乾燥野菜類、煎り大豆、煎りゴマ、カカオニブ、コーヒー豆などの植物種子加工品、キャラメル、キャンデー等の砂糖菓子、グラニュウ糖、乳糖などの糖結晶などが使用可能であり、1種或いは2種以上の可食固形物を適宜選択し使用する。但し、当該可食固形物の水分は8重量%以下に限定される。8重量%を上回ると、多くの可食固形物はその特徴ある食感が消失し、得られるシェルも食感に特徴が無く、本発明の効果が得られない。また、水分が8重量%を上回る可食固形物を混合した油性菓子生地は、場合によっては粘度が過度に上昇するため、工業的に取り扱いが困難になる。
【0012】
本発明においては、油性菓子生地に可食固形物を混合し、その状態でモールドに充填され、次いで、冷却した押し型でプレスすることで、シェルが形成される。押し型でプレスすることによりシェルを形成した後、シェル生地は流動性を消失しているが、必要に応じ更に冷却し、その後、モールド上面より突出した可食固形物を含む油性菓子生地があれば、2個のシェルの開口端部を接着する場合を除き、常法に従ってスクレープにて掻き取る。掻き取られた可食固形物を含む油性菓子生地は、量的には僅かであり、再度融解しモールドに充填する可食固形物を含む油性菓子生地に混合して使用出来る。また、常法に従って、2つのシェル同士の開口端部を接着し、成型する場合は、モールド上面より突出した油性菓子によりシェル同士の接着がなされるため、モールドに充填する油性菓子生地の量は、プレスによってシェルを形成した後モールド上面より油性菓子生地が突出するよう適宜調整し、突出した油性菓子生地をスクレープすることなく、接着成型する。
【0013】
プレスによりシェルを形成する際、モールド内の可食固形物を含む油性菓子生地は流動し、モールド内面と押し型表面との間隙に沿って厚みが一定のシェルが形成される。本発明の場合、モールド内面と押し型表面との間隙は特に定めるところはなく、シェルとセンターの比率、シェルに付与したい食感風味など最終製品の品質を考慮し、適宜選択する。また、本発明では、油性菓子生地に混合する可食固形物の量は特に定めるところはなく、目的とする食感風味など最終製品の品質を考慮し、適宜選択する。また、可食固形物のサイズも特に定めるところではなく、目的とする食感風味など最終製品の品質を考慮し、適宜選択する。但し、本発明の実施のためには、モールドと押し型の間隙を通過出来るサイズであることが必須なのは言うまでもない。
【0014】
本発明においては、冷却した押し型でプレスすることでシェルを形成するが、この場合、冷却した押し型の温度は−20〜+10℃である。該押し型の温度が、10℃を超えると、プレスを行ってから油性菓子が固化するまでに過度の時間を要し、生産能力が著しく低下するため好ましくなく、-20℃を下回ると、結露、霜付きが激しく安定した生産が不可能であり好ましくない。
【0015】
本発明で、2個のシェルの開口端部を接着しない場合は、形成されたシェルを常法に従って冷却し、モールドから剥離し、食感風味に特徴ある可食容器として提供することが可能である。また、シェルを形成した後、シェル内部に1種或いは複数の可食物を入れることも可能である。その場合は、シェルを形成し、モールドから剥離しないまま、1種若しくは複数種類の可食物を入れた後、冷却剥離し最終製品とするか、或いは、シェルだけでモールドから剥離した後、シェル内部に1種或いは複数の可食物を入れ、最終製品とする。この可食物の種類は特に限定されるものではなく、あらゆる種類の可食物が使用出来る。シェルに特徴ある食感を長期維持するためには、水分含量の低いものが特に好ましい。シェルとしては、例えば、チョコレート、ファットクリームなどの油性菓子がよい。
【0016】
外食産業におけるデザートの如き製品の場合は、シェル内部に入れる可食物は、例えば、アイスクリーム、フルーツソース、生果実、缶詰果実、ホイップクリームなどのような水分含量が高いものも好適である。シェル内部に1種以上の可食物を入れる場合、シェル内部の容積と同一の容積量入れることも可能であるし、それより少ない容積量を入れることも可能である。更には、ホイップクリームや気泡を含ませた油性菓子などの充填を行う際に保形性のある可食物の場合、或いは可食固形物をトッピングとして載せる場合などは、シェル内部の容積以上の容積量を入れることも可能である。
【0017】
本発明で、2個のシェルの開口端部を接着する場合は、シェル内部に何ら内容物を内包することなく中空立体状にすることも可能であるし、或いは、1種若しくは複数種類の可食物、乃至は非可食物を入れることも可能である。2個のシェル同士の開口端部を接着する場合は、接着面となるモールドより突出した油性菓子生地は、接着する直前に電熱ヒーター、温風などにより油脂結晶が完全に消失しない程度に融解させられ、それによりシェルの開口端部が接着し、立体形状が形成される。内包される可食物は、前記と同様で、あらゆる種類の可食物が使用出来るが、シェルの特徴ある食感を長期維持するためには、水分含量の低いものが特に望ましい。非可食物を内包する場合、非可食物の種類は特に限定されず、玩具、おみくじやメッセージカードなどの印刷物、アクセサリーなどが使用出来る。2個のシェルは、半球のように同じ形状であっても良いし、例えば片側が人形の正面、もう片側が人形の背面であるというように、異なっていてもよい。開口端部が接着成型され、立体状に形成された油性菓子は、冷却、固化された後、モールドより剥離され、目的の油性菓子を得る。
【実施例】
【0018】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
実施例1
グラニュウ糖30.45重量部、小麦粉23.50重量部、卵白20.00重量部、ショートニング5.00重量部、脱脂粉乳2.00重量部、食塩0.25重量部、乳化剤0.20重量部、香料0.10重量部と仕込み水18.50重量部を十分混合し、焼き菓子の生地を得た。該菓子生地を天板上で1.5mmの厚さにシーティングし、170℃のオーブンで8分間焼成し、シート状の焼き菓子を得た。この焼き菓子を粉砕し、10メッシュ以下30メッシュ以上の粒度に揃え、水分1.5重量%の焼き菓子粗砕物を得た。また、砂糖36.34重量部、ココアバター27.50重量部、全粉乳20.56重量部、植物油脂10.00重量部、乳糖5.00重量部、乳化剤0.50重量部、香料0.10重量部にて、常法に従いホワイトチョコレート生地を調製した。このホワイトチョコレート生地80.00重量部に対し、35℃にて、BOB結晶粉末(チョコシードB;不二製油製)を2.50重量部添加し、更に、前記10-30メッシュの焼き菓子粗砕物を17.50重量部添加し35℃に保持した。該生地をモールドに充填し、モールドとのクリアランスが2.0mmで-5.0℃に冷却した押し型でプレスし、シェルを形成した後、15℃で5分間冷却固化し、モールド上面より突出した余分なチョコレート生地を掻き取った。その後、余分なチョコレート生地を掻き取ったシェル生地を12℃のクーラー内で30分間冷却固化させ、次にモールドから剥離させることにより、風味食感に特徴のある油性菓子シェルを得た。
【0020】
実施例2
植物油脂35.00重量部、砂糖30.00重量部、全粉乳20.00重量部、乳糖9.40重量部、発酵乳パウダー5.00重量部、乳化剤0.50重量部、香料0.10重量部にて、常法に従い、発酵乳風味のファットクリーム生地を調製した。また、植物油脂35.00重量部、砂糖34.30重量部、全粉乳20.00重量部、凍結乾燥いちご粉末10.00重量部、乳化剤0.50重量部、香料0.10重量部、紅花色素0.10重量部にて、常法に従い、いちご風味のファットクリーム生地を調製した。実施例1で得られた油性菓子シェルの内部に、前記発酵乳風味のファットクリーム生地を、シェル内部容積の60%を満たすような量だけ充填し、15℃にて10分間冷却した。その後更に、当該シェルの内部に、前記いちご風味のファットクリーム生地を、シェル内部容積の10%を空間として残す量だけ充填し、これを12℃のクーラー内で35分間冷却固化し、風味食感に特徴のある油性菓子シェルの内部に、発酵乳風味のファットクリームと、いちご風味のファットクリームとが2層で充填された、特徴ある風味食感の複合油性菓子を得た。
【0021】
実施例3
小麦粉57.80重量部 、グラニュウ糖9.00重量部、ショートニング7.50重量部、脱脂粉乳2.50重量部、膨脹剤0.90重量部、食塩0.25重量部、香料0.05重量部、仕込み水22.00重量部を十分混合し、菓子生地を得た。該菓子生地を、厚さ2.5mmのシートに圧延し、これを10×100mmの長方形に打ち抜き、190℃のオーブンにて15分間焼成し、焼き菓子を得た。この焼き菓子を粉砕し、10メッシュ以下20メッシュ以上の粒度に揃え、水分2.6重量%の焼き菓子の粗砕物を得た。また、砂糖37.40重量部、カカオマス18.00重量部、全粉乳18.00重量部、ココアバター26.00重量部、乳化剤0.50重量部、香料0.10重量部にて、常法に従いチョコレート生地を調製した。このチョコレート生地85.00重量部に対し、35℃にて、BOB結晶粉末(商品名:チョコシードB;不二製油社製)を2.70重量部添加し、更に、前記10-20メッシュの焼き菓子粗砕物を12.30重量部添加し、35℃に保持した。該生地をモールドに充填し、モールドとのクリアランスが2.2mmで、-10.0℃に冷却した押し型でプレスし、シェルを形成した後、15℃で5分間冷却固化し、モールド上面より突出した余分なチョコレート生地を掻き取った。その後、余分なチョコレート生地を掻き取ったシェル生地を12℃のクーラー内で30分間、更に冷却固化させ、次にモールドから剥離させることにより、風味食感に特徴のある油性菓子シェルを得た。
【0022】
実施例4
砂糖37.40重量部、カカオマス22.00重量部、全粉乳22.00重量部、植物油脂11.00重量部、ココアバター7.00重量部、乳化剤0.50 重量部、香料0.10重量部にて、常法に従いチョコレート生地を調製した。更に、該チョコレート生地75.00重量部、アーモンドペースト15.00重量部、へーゼルナッツペースト10.00重量部を混合し、ナッツ風味のファットクリームを得た。実施例3で得られた油性菓子シェルの内部に、前記ナッツ風味のファットクリーム生地を、シェル内部容積の80%を満たすような量だけ充填し、その後直ちに、アーモンドを一粒トッピングとして載せた。次に、アーモンドをトッピングした油性菓子生地を、12℃のクーラー内で35分間冷却固化することにより、風味食感に特徴のある油性菓子シェルの内部に、ナッツ風味のファットクリームと、アーモンドが組み合わされた、特徴ある風味食感の複合油性菓子を得た。
【0023】
実施例5
実施例3で調整したチョコレート生地88.00重量部に対し、35℃にて、BOB結晶粉末(チョコシードB;不二製油製)を2.70重量部添加し、更に、砕いたアーモンドを10-14メッシュの粒度に揃えたものを9.30重量部添加し、35℃に保持した。該生地をモールドに充填し、モールドとのクリアランスが2.5mmで、-12.0℃に冷却した押し型でプレスし、シェルを形成した後、15℃で5分間冷却固化し、モールド上面より突出した余分なチョコレート生地を掻き取った。その後、余分なチョコレート生地を掻き取ったシェル生地を12℃のクーラー内で30分間、更に冷却固化させ、次にモールドから剥離させることにより、可食固形物を含み風味食感に特徴のある油性菓子シェルを得た。
【0024】
実施例6
実施例3で調整したチョコレート生地88.00重量部に対し、35℃にて、BOB結晶粉末(チョコシードB;不二製油製)を2.70重量部添加し、更に、砕いたアーモンドを10-14メッシュの粒度に揃えたものを9.30重量部添加し、35℃に保持した。該生地をモールドに充填し、モールドとのクリアランスが2.5mmで、-12.0℃に冷却した押し型でプレスし、シェルを形成した後、15℃で5分間冷却した後、モールド上面より突出したチョコレート生地を掻き取ることなく、モールド上面より突出したチョコレート生地を電熱ヒーターで融解し、シェル内部に何ら充填物を入れることなく2個のシェル同士の開口端部を接着させた。その後12℃のクーラー内で35分間冷却固化させ、次いでモールドからの剥離を行うことにより、中空立体形状に成型された風味食感に特徴のある油性菓子を得た。
【0025】
実施例7
実施例1で調整したホワイトチョコレート生地88.00重量部に対し、35℃にて、BOB結晶粉末(チョコシードB;不二製油製)を2.5重量部添加し、更に、前記10-30メッシュの焼き菓子粗砕物を17.50重量部添加し35℃に保持した。該生地をモールドに充填し、モールドとのクリアランスが2.0mmで-5.0℃に冷却した押し型でプレスし、シェルを形成した後、15℃で5分間冷却した。その後、モールド上面より突出したチョコレート生地を掻き取ることなく、形成された2個のシェルの内部に、1個は実施例2で調整した発酵乳風味のファットクリームをシェル内部容積の70%を満たすような量だけ充填し、もう1個は実施例2で調整したいちご風味のファットクリームをシェル内部容積の70%を満たすような量だけ充填した。その後、モールド上面より突出したチョコレート生地を電熱ヒーターで融解し、2個のシェル同士の開口端部を接着させた。その後、シェル同士の開口端部を接着させた菓子生地を12℃のクーラー内で35分間冷却固化させ、次にモールドからの剥離を行うことにより、中空立体形状に成型された風味食感に特徴のある油性菓子シェル内部に、発酵乳風味のファットクリームと、いちご風味のファットクリームとが充填された、且つ立体形状に成型された特徴ある風味食感の複合油性菓子を得た。
【0026】
実施例8
実施例1で調整したホワイトチョコレート生地88.00重量部に対し、35℃にて、BOB結晶粉末(チョコシードB;不二製油製)を2.50重量部添加し、更に、前記10-30メッシュの焼き菓子粗砕物を17.50重量部添加し35℃に保持した。該生地をモールドに充填し、モールドとのクリアランスが2.0mmで-5.0℃に冷却した押し型でプレスし、シェルを形成した後、15℃で5分間冷却した。その後、モールド上面より突出したチョコレート生地を掻き取ることなく、形成された2個のシェルの内部に、樹脂製の玩具1個を充填し、モールド上面より突出したチョコレート生地を電熱ヒーターで融解し、2個のシェル同士の開口端部を接着させた。その後、シェル同士の開口端部を接着させた菓子生地を12℃のクーラー内で35分間冷却固化させ、次にモールドからの剥離を行い、風味食感に特徴のある油性菓子シェル内部に玩具を内包した中空立体状の油性菓子を得た。
【0027】
比較例1
油性菓子生地に混合する焼き菓子の水分が10.0重量%であること以外は、実施例1と同じ方法で油性菓子シェルを得たが、風味食感は好ましいものではなく、発明の効果は得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明により、食感風味に優れ、且つ、安定した形状の油性菓子シェルを製造することが出来、それをそのまま提供出来る他、そのシェル内部に可食物を含有させた複合油性菓子、或いは、2個のシェルの開口端部を接着成型しその内部に何ら内容物が内包されていないか、可食物若しくは非可食物が内包されている複合油性菓子を提供することが出来る。





























【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性菓子生地に可食固形物を混合し、可食固形物混合の油性菓子生地をモールドに充填した後、冷却した押し型で該油性菓子生地をプレスすることにより、可食固形物混合の油性菓子シェルを形成することに特徴のある複合油性菓子の製造方法。
【請求項2】
冷却した押し型の温度が、−20℃〜+10℃である請求項1に記載の複合油性菓子の製造方法。
【請求項3】
可食固形物の水分が、8重量%以下であることに特徴のある請求項1または2に記載の複合油性菓子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の方法により得られる複合油性菓子。





























【公開番号】特開2007−259777(P2007−259777A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90213(P2006−90213)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000006091)明治製菓株式会社 (180)
【Fターム(参考)】