説明

複合粒子、吸着性粒子、分散体

【課題】 特定のタンパク質等を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子やそれに用いられる複合粒子、およびその分散体を実現する。
【解決手段】 本発明の複合粒子は、コアであるコア粒子11を、タンパク質等の生体物質を吸着しない物質である、シェル層としてのPAAm12で被覆した粒子である。また、吸着性粒子20は、上記複合粒子の表面に官能基含有物質を結合させる等して反応性サイト13を配置し、特定物質吸着性を付与した粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子顕微鏡観測やバイオ分子・物質の検出、診断等に使用される、特定物質を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子やそれに用いられる複合粒子、およびそれらの分散体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体物質をターゲットにしている検出、診断、または治療の分野において使用される材料は、ターゲットとなる部位または物質と特異的に作用することや外部環境から独立して存在することが求められる。しかしながら、実際にはターゲットとしない目的外の物質等とも作用、吸着化するという性質を有するのが一般的であった。このような、タンパク質と称される材料ならほとんどのものを吸着する性質(非特異的吸着性)は、特定の分子構造を有するタンパク質のみを選択的に抽出、検出する場合において、検出や診断システムの高性能化・高感度化を妨げるものであった。
【0003】
各種アッセイや診断においてターゲットとなる特定物質を検出するためには、微粒子への吸着を用いた方法が幅広く適用されている。用いられる微粒子は数百μm〜数nmサイズの微小粒径で、比表面積が大きいので、非特異吸着性も大きくなる。その結果、ターゲット物質本来の検出が妨げられ、定性・定量がよく行えない状況であった。
【0004】
例えば、生物由来の物質を検出する方法の一つである固相免疫測定法では、ターゲットである標識抗体の固相への非特異吸着のため、バックグランドが高くなり、識別感度が鈍くなる。また、免疫電子顕微鏡法で生体材料中にあるターゲット物質を観測する場合、標識材料として使用される金属粒子分散液中の金属粒子へのタンパク質の非特異吸着のため、ターゲット物質の正確な標識が妨害され、システムの精度が劣るという問題点があった。
【0005】
従来より、この非特異吸着を防ぐために牛血清アルブミンを固相にコーティングする方法や、ポリエチレングリコール(PEG)誘導体、短鎖のエチレンオキサイドを固相表面に付着させる方法が提案されてきたが、不十分であった(特許文献1)。
【0006】
なかでも、PEG誘導体を表面に有する微粒子は、PEG誘導体が微粒子安定形成と構造維持に寄与している以外に、媒体中に浮遊PEG誘導体として存在し、これを含有した分散溶液のまま使用しなければならないという問題があった(特許文献2)。そのために、分散媒の選択範囲が狭くなるという問題がある。さらに、溶媒中の浮遊PEG誘導体は短鎖、長鎖からなる混合体であるので、粒子間の凝集を引き起こしたり、特定のタンパク質のみを選択的に吸着するのを妨げたりする。
【特許文献1】特許第3446065号公報(公開日平成15年7月4日)
【特許文献2】特開2002−80903号公報(公開日平成14年3月22日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ターゲットとしない目的外の物質等とも吸着する性質を有するせいで、特定の分子構造を有する物質のみを選択的に抽出、検出する性能や感度が妨げられる。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンパク質を吸着しない複合粒子や、特定のタンパク質等を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子、およびその分散体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る複合粒子は、コア粒子と、上記コア粒子を被覆する被覆層とを備えた複合粒子において、上記被覆層が、タンパク質を吸着しない物質で形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る複合粒子は、上記の構成に加えて、上記被覆層がポリアクリルアミドであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る複合粒子は、上記の構成に加えて、上記コア粒子が無機粒子であることを特徴としている。
【0012】
上記の構成により、種々の基板等をこの複合粒子でコーティングすれば、その基板にタンパク質が吸着するのを効果的に防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る吸着性粒子は、上記複合粒子の表面に、特定物質の吸着性を有する反応性サイトを有することを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る吸着性粒子は、上記の構成に加えて、上記反応性サイトは、アミノ基、カルボキシル基、マレイミド系、スクシンイミド系、チオール、ジスルフィド、イミドから少なくとも一つ選ばれるものであることを特徴としている。
【0015】
上記の構成により、特定のタンパク質等を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子を実現することができる。
【0016】
また、本発明に係る分散体は、上記複合粒子を媒体に分散させたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る分散体は、上記吸着性粒子を媒体に分散させたことを特徴としている。
【0018】
また、本発明に係る分散体は、上記の構成に加えて、上記媒体が水系または有機溶媒または樹脂であることを特徴としている。
【0019】
この構成により、上記複合粒子や吸着性粒子を、使用に即した安定した形態で提供できる。
【0020】
本発明の複合粒子および吸着性粒子を製造するには、先ずコアとなる物質の粒子を、その物質を含有する化合物から還元等の化学反応で調製するか、市販の微粒子を購入し、水系や有機溶剤にコロイド状に分散させ、次いでこの分散液にアクリルアミド含有モノマー溶液又は分散液を加え、重合させてポリマー化し、コア粒子の表面をポリアクリルアミドで被覆した複合粒子を得る。更に、この複合粒子を、官能基を2個以上(ポリアクリルアミドのアミド反応サイトと特定タンパク質とに対して反応可能な官能基)有する化合物の溶液又は分散液に加えて混合分散させ、複合粒子表面のポリアクリルアミドのアミド反応サイトに反応固定させることにより得られる。上記複合粒子及び吸着性粒子は、粒子として提供できるが、メタノール、エタノール等のアルコール類もしくはエタノール/水混合溶媒に分散させることが、塗工等、次工程への適応が容易で好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る複合粒子は、上記被覆層が、タンパク質を吸着しない物質で形成されている構成である。
【0022】
これにより、種々の基板等をこの複合粒子でコーティングすれば、その基板にタンパク質が吸着するのを効果的に防ぐことができるという汚染防止効果を奏する。
【0023】
また、本複合粒子の表面に官能基含有物質を結合し、特定物質吸着性を付与すれば、特定のタンパク質等を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子を実現することができる。
【0024】
吸着性は、上記複合粒子の表面に、特定物質の吸着性を有する反応性サイトを有する構成で付与できる。
【0025】
これにより、特定のタンパク質等を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子を実現することができ、コア粒子の光学的特性を利用して、特定タンパク質等に対する標識物質となることができ、特定タンパク質等を感度良く検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図2に示すように、無機微粒子であるコア粒子11の表面はタンパク質17等の生体物質と非特異吸着をするので、バイオセンサーなどの種々の検出用途において、感度が鈍い。
【0027】
本発明は、図3に示すように、コア粒子11の表面を、被覆層であるPAAm(ポリアクリルアミド)12で被覆することで、タンパク質17の非特異吸着をなくした微粒子である複合粒子10を提供できる。これにより、例えば図4に示すように、半導体基板やプリント基板等をはじめとする種々の基板30をこの複合粒子10でコーティングすれば、その基板30にタンパク質17が吸着するのを効果的に防ぐことができる。
【0028】
タンパク質等のような吸着をなくすために、本発明では、コア粒子表面をポリアクリルアミドで被覆した材料を提供する。コア粒子を構成する無機微粒子の具体例としては、
金、銀、白金、鉄、ニッケル、コバルト等の金属粒子ならびに、
AuPdのような二元金属粒子や、
酸化鉄、フェライト、マグネタイト、酸化チタン等の金属酸化物、
ZnS、CdS、ZnSe等の半導体金属、
シリカ、アパタイト等である。
【0029】
さらに、図1に示すように、これらの複合粒子10を特定物質の検出用に用いられるようにするため、これらの複合粒子10の表面に、特定物質と反応する性質を付与した吸着性粒子20とする。このことにより、従来不具合を生じていた検出分野などに有効に適用可能である。
【0030】
特定物質と反応する性質は、ポリアクリルアミドの側鎖であるアミド基を直接利用することができる。また、簡単な操作でアミド基をアミノ基に変換し、使用することもできる。また、特定物質と反応する官能基は、導入したい官能基を有する物質を用いて、その官能基をポリアクリルアミドに結合させることによって導入することもできる。あるいは、ポリアクリルアミド主鎖の主成分となるモノマーと官能基含有モノマーの共重合を介して導入することもできる。共重合の割合により、導入量の制御が可能である。具体的には、アクリルアミドとアクリル酸、アリルアミン、その他、側鎖に官能基を有するアリル基、ビニル基などの不飽和化合物類を共重合させて官能基を導入する。
【0031】
ここで示す官能基とは、アミノ基、カルボキシル基、マレイミド、スクシンイミド系、チオール、ジスルフィド、イミドなど、特定物質に対し反応性を有するものである。
【0032】
上記アクリルアミドはアクリルアミドとその誘導体を含み、特にそれがN、N’−メチレンビスアクリルアミドのような二官能性モノマーの場合、ポリアクリルアミドは架橋することもできる。モノマー類、特に架橋剤モノマーの配合率を変化させることで、複合粒子の大きさを制御することも可能である。架橋は複合粒子形成後でも可能である。ポリアクリルアミドは架橋されてもされなくてもよい。よりよい効果と扱いやすさ、安定性を得るためには、架橋するほうが望ましい。
【0033】
PEG誘導体を表面に有する複合粒子は、従来、分散体として他の媒質中に分散した形での提供に留まっていたが、本発明のポリアクリルアミドで被覆された複合粒子は、安定な粉末としても活用できる。そのため、本発明の複合粒子は、表面のアミド基、官能基、官能基を使って化学修飾させた置換基の効果などにより、水、有機溶媒、高分子等の媒質に自由に分散利用でき、使用用途範囲を拡大できる。
【0034】
さらに、PEG誘導体は、分子量分布等から粒径制御をすることが困難であるが、本発明の複合粒子は、粒径の制御が容易にできるので、目的に合わせたサイズの微粒子を提供することができる。
【0035】
本発明の複合粒子および吸着性粒子を用いて分散させる媒体としては、水やエタノール、メタノール、プロピルアルコール等もしくはこれらアルコールと水の混合液等の水系溶媒、ジメチルシロキサン等のシリコーン化合物、高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリブテン、ポリαオレフィン油等の炭化水素油およびポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。
【実施例】
【0036】
〔実施例1〕
〔複合粒子とその分散液の調製〕
〔金属粒子、金属粒子分散液の調製〕
塩化金酸六水和物をメタノールに溶かし0.0152モル/リットル金溶液を調製した。パラメルカプトフェノール234.3mgをメタノール100mで溶かし、ここに金溶液を50ml入れ、氷冷下撹拌した。そこに酢酸3mlを加えた。次に0.4モル/リットルのNaBH4水溶液30mlを10分間かけて滴下した後、30分間撹拌した。その後、反応溶液をシクロヘキサンで抽出し、乾燥させることにより、茶褐色から黒褐色の粉末状微粒子を得た。微粒子はメタノール、エタノール等のアルコール類もしくはメタノール/水の混合溶媒により分散液(分散体)とすることが可能である。
【0037】
〔金−ポリアクリルアミド複合粒子の合成〕
ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウムであるAOT(エーロゾルOT;和光純薬社製)26.5gをシクロヘキサン500ml(和光純薬製品)に溶かした溶液に、金粒子31.2mgをメタノール/水=15/3容量%の混合溶媒2.0mlに分散した液を添加した。次にAAm(アクリルアミド)3.52gとMBAAm(N、N’−メチレンビスアクリルアミド)35.5mgとをメタノール/水=15/3容量%の混合溶媒2mlに混合した液を添加し、20分間窒素バブリングを行った。KPS(過硫酸カリウム)水溶液2.25mlを添加し、60℃、1時間加熱した。その後、シクロヘキサンを留去し、AOTを洗浄除去し、乾燥させることによって、金をコアとし、ポリアクリルアミドを被覆層とする複合粒子を得た。
【0038】
〔タンパク質の吸着量の測定〕
金−ポリアクリルアミド複合粒子に対し、タンパク質を吸着させ、吸着後の上澄み液の吸光度を測定し、減少タンパク質による吸光度の変化よりタンパク質の吸着量を求めた。
【0039】
タンパク質としては、BCAプロテインアッセイキット(PIERCE社製)を用いた。キットは、各々濃度2mg/mlで、BSA(牛血清アルブミン)溶液(試薬番号23209)、BCAreagentA(試薬番号23228)およびBCAreagentB(試薬番号23224)からなる。
【0040】
まず、上記BSA(牛血清アルブミン)溶液2mlと各試料液5mgを蓋付きサンプル瓶に入れ、37℃で30分間吸着させた。上澄みを除去し、pH=7.0のリン酸バッファー液(濃度0.1モル/リットルのリン酸水素二ナトリウム水溶液と濃度0.1モル/リットルのリン酸二水素ナトリウム水溶液を混合して作製)で余分なタンパク質を洗浄し除去した。次いで、このタンパク吸着性粒子に、BCAreagentA:BCAreagentB=50:1(容量比)で調製した混合BCAreagentを3ml添加し、37℃で30分反応させ、上澄み液を分光光度計(島津製作所社製QU−50型)にて条件(UV−vis;λ=562nm)にて吸光度を測定した。
【0041】
〔金−ポリアクリルアミド複合粒子への官能基導入〕
凍結乾燥した上記複合粒子3mgを、3mlの無水エチレンジアミンに懸濁し、75℃で12時間反応させた。大量のエタノールを加え、軽く遠心分離して沈殿を回収することによって、複合粒子の被覆層に官能基としてアミノ基を導入した吸着性粒子を得た。
【0042】
〔金−ポリアクリルアミド吸着性粒子の官能基の確認〕
濃度4ミリモル/リットルのトリニトロベンゼンスルホン酸(略号:TNBS)水溶液と濃度50ミリモル/リットルのホウ酸ナトリウム水溶液をpH9.3になるように混合してTNBS溶液を調製した。別途上記官能基を導入した金−ポリアクリルアミド吸着性粒子3mgをメタノール/水=15/3容量%の混合溶媒3mlに分散させて試料液を調製した。次いで、上記TNBS溶液と試料液を体積で1:1の割合で混合し、約15分後に分光光度計(島津製作所社製QU−50型)にかけ、H2放電管による波長425nmの光の吸光度ピーク(アミノ基特有)の有無をチェックした。アミノ基確認標準試料として、グリシンの濃度100マイクロモル/リットル水溶液を用いた。
【0043】
〔実施例2〕
金粒子の代わりに堺化学工業製α−酸化鉄(FRO−3)とした以外、実施例1と同様にして、酸化鉄−ポリアクリルアミドからなる複合粒子、およびそれにアミノ基を導入した吸着性粒子を得、タンパク質の吸着量の測定、アミノ基の確認を行った。
【0044】
〔比較例1〕
実施例1で作製した金属(金)コア微粒子をそのまま(すなわち、ポリアクリルアミドの被覆のない状態で)使用して行った。
【0045】
〔比較例2〕
実施例2で作製した金属コア微粒子31.2mgをメタノール/水=15/3容量%の混合溶媒に添加した分散液を試料として使用した。
【0046】
〔タンパク質吸着量の測定結果〕
図5、図6は、PAAm被覆前後のコア粒子・複合粒子のタンパク質吸着性の評価結果を示す吸収スペクトルである。すなわち、図5中、AがPAAm被覆した場合(実施例1)であり、BがPAAm被覆しない場合(比較例1)である。同じく、図6中、CがPAAm被覆した場合(実施例2)であり、DがPAAm被覆しない場合(比較例2)である。上記の吸収スペクトルから、コア粒子にPAAmを被覆することで、タンパク質の吸着が抑制されたことが示された。
【0047】
また、波長562nmでの吸光度を調べることにより、PAAm被覆前後でのコア粒子のタンパク質吸着性を評価した。なお、比較例1、2の吸収は測定範囲を超えていたため、各々溶液を薄めて使用した。そのため、吸光度は、比較例と実施例のとで濃度を均一に調整して算出した。その結果、実施例1の吸光度は0.0319、比較例1の吸光度は1.07であった。実施例2の吸光度は0.013、比較例2の吸光度は0.765であった。この評価結果によれば、タンパク質の吸着量は、PAAm被覆前と比べ、数十分の一に抑えられている。またさらに、実施例1のサンプルで観測された若干の吸収は、測定誤差とベースアップによるものであることがリファレンス実験より示されたことから、結果として実施例1のサンプルのタンパク質吸着度は限りなくゼロに近い範囲で収束しているものと考えられた。
【0048】
〔金−ポリアクリルアミド吸着性粒子の官能基確認結果〕
上記官能基確認の結果、波長425nmをピークトップとする吸収が観測された。したがって、実施例1、2のサンプル各々にアミノ基が導入されていることが示された。このように、簡単な手法で官能基導入を達成できることが示された。
【0049】
以上のように、本発明の複合粒子は、無機微粒子であるコア粒子11を、PAAm12で被覆してタンパク質吸着性をなくした粒子である。また、吸着性粒子20は、上記複合粒子の表面に官能基含有物質を結合させる等して反応性サイト13を配置し、特定物質吸着性を付与した粒子である。それにより、特定のタンパク質等を選択的に吸着することが可能な吸着性粒子やそれに用いられる複合粒子、およびその分散体を実現することができる。
【0050】
なお、本発明に係る複合粒子は、コアとシェルとを有する構造であって、シェル層を、タンパク質を吸着しない物質で形成し、タンパク質等の非特異吸着を抑制した微粒子である。
【0051】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
微粒子は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、高機能バイオセンサー、有用物質分離精製システム、高機能ファインケミカル、環境負荷低減システム、環境ホルモン物質計測システム等といったシステムのような用途にも適用できる。
【0053】
また、微粒子は基板構築材料やコーティング材料としての利用も可能である。例えばマイクロチップ、マイクロアレイ等のマイクロ基板への利用であり、微粒子の分散液、分散剤は種々の材料表面の改質のためのコーティング材料として、もしくは機能付加材料としての用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る吸着性粒子の一構成例を示す図である。
【図2】PAAm被覆前のコア粒子の構造を示す図である。
【図3】PAAm被覆後の複合粒子の構造を示す図である。
【図4】PAAm被覆後の複合粒子で基板をコーティングする様子を示す図である。
【図5】PAAm被覆前後のタンパク質吸着性を示すグラフである。
【図6】PAAm被覆前後のタンパク質吸着性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
10 複合粒子
11 コア粒子
12 PAAm
13 反応性サイト
17 タンパク質
20 吸着性粒子
30 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子と、上記コア粒子を被覆する被覆層とを備えた複合粒子において、
上記被覆層が、タンパク質を吸着しない物質で形成されていることを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
上記被覆層がポリアクリルアミドであることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
上記コア粒子が無機粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合粒子。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の複合粒子の表面に、特定物質の吸着性を有する反応性サイトを有することを特徴とする吸着性粒子。
【請求項5】
上記反応性サイトは、アミノ基、カルボキシル基、マレイミド系、スクシンイミド系、チオール、ジスルフィド、イミドから少なくとも一つ選ばれるものであることを特徴とする請求項4に記載の吸着性粒子。
【請求項6】
上記コア粒子が無機粒子であることを特徴とする請求項4または5に記載の吸着性粒子。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載の複合粒子を媒体に分散させたことを特徴とする分散体。
【請求項8】
請求項4ないし6のいずれかに記載の吸着性粒子を媒体に分散させたことを特徴とする分散体。
【請求項9】
上記媒体が水系または有機溶媒または樹脂であることを特徴とする請求項7または8に記載の分散体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−35141(P2006−35141A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220748(P2004−220748)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】