説明

複合電極イオンプローブ

複合電極イオンメータ(100)が提供される。この複合電極イオンメータ(100)は、複数のイオン濃度電圧測定値を受信してこれら複数のイオン濃度電圧測定値からイオン濃度測定値を生成するように構成されたメータ電子機器(102)と、このメータ電子機器(102)と通信する3つ以上の個別の電極ユニット(108)とを備えている。これら3つ以上の電極ユニット(108)は、メータ電子機器(102)に向けた複数のイオン濃度電圧測定値を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオンプローブ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製薬の生産、食品加工および/または食品品質、水質試験などのための製造条件の設定の際の液体試験を含む複数の状況において液体のイオン濃度を測定することが望まれている。イオン濃度またはイオン活動度の測定値は、反応の完了を示す場合もあれば、構成物質の割合を示す場合などもある。
【0003】
たとえば、1つの測定法はpH濃度の測定法であり、このpH濃度の測定法は試験液体の酸性度を測定する方法である。pHの測定値は液体の酸性状態もしくは塩基性状態または濃度を示すことができる。
【0004】
pH測定値は、溶液中の水素イオンの測定値であり、約0と14との間の対数として表現されている(場合によっては著しい酸性を示す溶液の場合には負の数になることもある)。pHスケールにおいては、非常に酸性を示す溶液は、水素イオン(H)の大きな濃度に対応して、0または1の如き低いpH値を示す。それに対して、塩基性の溶液は、非常に少数の水素イオンに対応して(すなわち、多数のOHイオンに対応して)高いpH値を示す。ほぼ純水の中性溶液は約7のpH値を示す。
【0005】
図1には、動作電極と参照電極とを有する従来のpHメータプローブの一部が示されている。動作電極は、一端にイオン感応ガラス球を備えたガラスチューブから構成されている。このチューブは電解質と電極とを収容している。イオン感応球の外部のガラスは試験液体とイオン交換するようになっている。このことにより、球の外部の水和層に電荷が形成されることになる。内部の電解質は、イオン感応ガラスと相互作用し、ガラスの外側のイオンにより生じた電位を反映する。
【0006】
参照電極は、別個のチャンバの溶液の中に設けられていることが多く、試験液体とイオン流通している。このことにより、バッテリーのように、これら2つの電極間に電位が形成される。電極間に形成される電位は、溶液のイオン濃度と直接的に関係している。参照電極は、測定電極と比較しうる安定した電位を供給している。例えば、電位を、表、式または他のアルゴリズムに従って処理してpH値の如きイオン濃度測定値を算出することができる。
【0007】
動作電極と接地電極との間にイオンの回路が形成され測定可能な電位が形成される。参照電位は、既知で、ほぼ一定の量であり、それに対してプロセス電圧(すなわち、電圧測定値)を従来のpHメータを用いて比較し解析することができる。動作電極と参照電極との間の電位を処理して外部試験液体のイオン濃度を求めることができる。
【0008】
イオン測定および/またはpH測定の精度は、たとえば温度および/または汚染された電解質溶液を含むさまざまな要因により影響される場合がある。不正確性の共通の原因は、参照電極から生成される不適切なまたは不正確な参照信号でありうる。参照信号が不正確である場合、得られるpHまたはイオン測定値が影響を受けることとなる。したがって、適切でかつ正確な参照値が得られることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
参照電極は、参照電極と外部試験液体との間のイオン流通を可能とする塩橋の如きイオンブリッジを有するチューブまたはチャンバの中に収容されている。しかしながら、イオンブリッジは液体の交換を許容することによる内部緩衝溶液の汚染および内部参照電極の被毒の可能性を招いてしまうために、測定される液体をも汚染してしまう恐れがある。
【0010】
pHプローブに関する主要な問題は、参照電極アッセンブリの内部充填溶液と外部試験液体との間の接合部に存在する。接合部に詰まりが生じたり故障が発生したりすると、一般的に読み取りが非常に遅くなったりまたは誤りを生じたりする。また、接合部は、測定媒体による充填溶液の汚染をも許してしまう恐れがある。このことが参照電極を劣化させ、次いで、pHプローブを不正確にし、それを交換することが通常必要となる。1つの従来の解決策は、参照電極と外部媒体との間に複数の接合部およびチャンバを設けることである。他の従来の解決策では、連続して供給される充填溶液が参照電極のコンパートメントへ供給されて小さな孔または導管を通じて排出されるようになっている流れ接合部が用いられている。これは、充填溶液および参照電極の汚染を防ぐという長所を有するが、電極への配管が厄介であるという欠点と測定媒体が充填溶液により汚染されるにつれて測定媒体を廃棄する必要性があるという欠点とを有する。
【0011】
より新しいアプローチは、たとえばガラスチャンバの如き不浸透性のチャンバ内に動作電極および参照電極を収納することである。このことは、ハーマン(Harman)に付与された米国特許第4,650,562号に記載されている。ハーマンの参照電極12は、動作電極11の構造に類似して、pH感応ガラス球を通じて外部試験液体と繋がっている。したがって、外部試験液体は、参照電極の内部充填溶液と混じることもなければそれを汚染することもない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
複合電極イオンメータが提供される。この複合電極イオンメータは、複数のイオン濃度電圧測定値を受信してこれら複数のイオン濃度電圧測定値からイオン濃度測定値を生成するように構成されたメータ電子機器と、このメータ電子機器と通信する3つ以上の個別の電極ユニットとを備えている。これら3つ以上の電極ユニットは、メータ電子機器に向けた複数のイオン濃度電圧測定値を生成する。
【0013】
複合電極イオンプローブが提供される。この複合電極イオンプローブは、実質的にシールされた少なくとも4つの電極チャンバと、これら少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成された少なくとも4つのイオン感応領域とを備えている。これら少なくとも4つのイオン感応領域は、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とする。複合電極イオンプローブは、4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極をさらに有している。
【0014】
複合電極イオンプローブが提供される。この複合電極イオンプローブは、実質的にシールされている少なくとも4つの電極チャンバを備えている。第一の対の電極チャンバは第一の電解質溶液を有し、第二の対のチャンバは第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有している。複合電極イオンプローブは、少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成された少なくとも4つのイオン感応領域をさらに備えている。これら少なくとも4つのイオン感応領域は、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とする。複合電極イオンプローブは、4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極をさらに備えている。
【0015】
複合電極イオンプローブが提供される。この複合電極イオンプローブは、実質的にシールされた少なくとも4つの電極チャンバと、少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成された少なくとも4つのイオン感応領域とを備えている。これら少なくともイオン感応領域は、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とする。第一の対の電極チャンバは第一の対のイオン感応領域を有し、第二の対の電極チャンバは第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域を有している。複合電極イオンプローブは、4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極をさらに有している。
【0016】
<態様>
本発明の一つの様態では、復合電極イオンメータは、複数のイオン濃度電圧測定値を受信してこれら複数のイオン濃度電圧測定値からイオン濃度測定値を生成するように構成されたメータ電子機器と、このメータ電子機器と通信する3つ以上の個別の電極ユニットとを備えており、これら3つ以上の個別の電極ユニットは、メータ電子機器に向けた複数のイオン濃度電圧測定値を生成するように構成されている。
【0017】
好ましくは、複合電極イオンメータは接地電極をさらに備えている。
【0018】
好ましくは、複合電極イオンメータは、3つ以上の個別の電極ユニットを含むハウジングをさらに備えている。
【0019】
好ましくは、3つ以上の個別の電極ユニットを有する複合電極イオンメータは、実質的にシールされている3つ以上の電極チャンバと、これら3つ以上の電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成され、これら3つ以上の電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された3つ以上のイオン感応領域と、メータ電子機器に向けた複数のイオン濃度電圧測定値を生成するように構成され、3つ以上の電極チャンバ内にそれぞれ対応して位置する3つ以上の電極とを備えている。
【0020】
好ましくは、3つ以上の個別の電極ユニットを有する複合電極イオンメータは、実質的にシールされている4つの電極チャンバと、4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成され、4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された4つのイオン感応領域と、メータ電子機器に向けて複数のイオン濃度電圧測定値を生成するように構成され、4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して位置する4つの電極とを備えている。
【0021】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0022】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なるタイプのイオンまたは濃度を有している第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0023】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有する第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0024】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対の電極チャンバと、第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0025】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対のチャンバと、第一の対のイオン感応領域の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域を有する第二の対のチャンバとを有している。
【0026】
本発明の他の態様では、複合電極イオンプローブは、実質的にシールされている少なくとも4つの電極チャンバと、少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成され、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された少なくとも4つのイオン感応領域と、4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極とを備えている。
【0027】
好ましくは、複合電極イオンプローブは接地電極をさらに備えている。
【0028】
好ましくは、複合電極イオンプローブは少なくとも4つの電極チャンバを有するハウジングをさらに備えている。
【0029】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0030】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なるイオンタイプまたはイオン濃度を有している第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0031】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有する第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0032】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対の電極チャンバと、第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0033】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対の電極チャンバと、第一の対のイオン感応領域の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域を有する第二の対の電極チャンバを有している。
【0034】
本発明の他の態様では、複合電極イオンプローブは、実質的にシールされている少なくとも4つの電極チャンバと、少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成され、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された少なくとも4つのイオン感応領域と、4つのチャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極とを備えている。
【0035】
好ましくは、複合電極イオンプローブは接地電極をさらに備えている。
【0036】
好ましくは、複合電極イオンプローブは少なくとも4つの電極チャンバを有するハウジングをさらに備えている。
【0037】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0038】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なるイオンタイプまたはイオン濃度を有している第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0039】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバと、第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有している第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0040】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対の電極チャンバと、第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0041】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対のチャンバと、第一の対のイオン感応領域の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域を有する第二の対のチャンバとを有している。
【0042】
本発明の他の態様では、複合電極イオンプローブは、実質的にシールされている少なくとも4つのチャンバと、少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成され、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された少なくとも4つのイオン感応領域と、4つのチャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極とを備え、少なくとも4つのチャンバは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対の電極チャンバと第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域を有する第二の対の電極チャンバとを有している。
【0043】
好ましくは、複合電極イオンプローブは接地電極をさらに備えている。
【0044】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、少なくとも4つの電極チャンバを有するハウジングをさらに備えている。
【0045】
好ましくは、第二の電解質溶液は、第一の電解質溶液とは異なるイオンタイプまたは異なるイオン濃度を有している。
【0046】
好ましくは、第二の電解質溶液は、第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有している。
【0047】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対のチャンバと、第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域を有する第二の対のチャンバとを有している。
【0048】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のイオン感応領域を有する第一の対のチャンバと、第一の対のイオン感応領域の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域を有する第二の対のチャンバとを有している。
【0049】
本発明の他の態様では、複合電極イオンプローブは、実質的にシールされている少なくとも4つのチャンバと、少なくとも4つの電極チャンバ内にそれぞれ対応して形成され、少なくとも4つの電極チャンバと複合電極イオンプローブの外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された少なくとも4つのイオン感応領域と、4つのチャンバ内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極とを備え、少なくとも4つのイオン感応領域は、第一の対の電極チャンバに第一の対のイオン感応領域が設けられ、第二の対の電極チャンバに第一の対のイオン感応領域とは異なる第二の対のイオン感応領域が設けられている。
【0050】
好ましくは、複合電極イオンプローブは接地電極をさらに備えている。
【0051】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、少なくとも4つの電極チャンバを有するハウジングをさらに備えている。
【0052】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対の電極チャンバが第一の電解質溶液を有し、第二の対の電極チャンバが第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有している。
【0053】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のチャンバが第一の電解質溶液を有し、第二の対のチャンバが第一の電解質溶液とは異なるイオン濃度を有している第二の電解質溶液を有している。
【0054】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第一の対のチャンバが第一の電解質溶液を有し、第二の対のチャンバが第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有する第二の電解質溶液を有している。
【0055】
好ましくは、複合電極イオンプローブは、第二の対のイオン感応領域が第一のイオン感応領域の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
同一の参照番号はすべての図面上で同一の要素を表わしている。図面は必ずしも同一の縮尺ではないことはいうまでもない。
【図1】動作電極と参照電極とを有する従来技術におけるpHメータプローブの一部分を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るイオンメータを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの一部分を示す図である
【図4】本発明の一実施形態に係る4つの電極ユニットを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電極ユニット特性を示すグラフである。
【図6】単一の電圧測定値が誤っている場合の複合電極イオンプローブの出力例を示す図である。
【図7】2つの電圧測定値が誤っている場合の複合電極イオンプローブの出力例を示す図である。
【図8】2つの電圧測定値が誤っている場合の複合電極イオンプローブの他の出力例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの実施形態を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの実施形態を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの実施形態を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの実施形態を示す図である。
【図13A】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの実施形態を示す図である。
【図13B】本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1〜図13および下記記載には、本発明のベストモードを作製および利用する方法を当業者に教示するための特定の実施形態が示されている。本発明の原理を教示するために、従来技術の一部が単純化または省略されている。当業者にとって明らかなように、これらの実施形態の変形例も本発明の技術範囲内に含まれる。また当業者にとって明らかなように、以下の記載の構成要素をさまざまな方法で組み合わせて本発明の複数の変形例を形成することができる。したがって、本発明は、下記の記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲およびその均等物によりのみ限定される。
【0058】
図2には、本発明の実施形態に係るイオンメータ100が示されている。イオンメータ100は、複合電極イオンプローブ106と、メータ電子機器102と、メータ電子機器102に複合電極イオンプローブ106を接続するケーブル104とを備えている。それに代えて、イオンメータ100が無線システムであって、複合電極イオンプローブ106がメータ電子機器102と無線で通信することができるようになっていてもよい。複合電極イオンプローブ106は、試験端子107を有していてもよい。
【0059】
使用時において、複合電極イオンプローブ106は外部試験液体内に配設される。複合電極イオンプローブ106全体を浸けることもできるが、試験端子107を外部試験液体に接触させるかまたはその中に浸けるようになっている。外部試験液体はたとえば水であってもよいが、いうまでもなく、さまざまな他の液体を試験することができる。したがって、複合電極イオンプローブ106は、サンプル液体内に浸けられ、サンプル液体と相互作用し、ケーブル104によりメータ電子機器102へ転送される複数のイオン電圧信号/測定値を生成する。復合電極イオンプローブ106により生成される複数のイオン濃度電圧測定値は、たとえばpHレベルの如き外部試験液体内のイオン濃度に関するものである。
【0060】
メータ電子機器102は、複合電極イオンプローブ106から複数のイオン濃度電圧測定値を受け取り、たとえばpH値の如きイオン濃度測定値を取得するためこの信号を処理する。しかしながら、いうまでもなく、イオンメータ100が他のイオンおよびイオン濃度を検知および/または測定してもよい。この処理には、測定電圧信号を参照信号と比較することが含まれており、動作電圧信号の測定電圧レベルと参照電極からの参照信号の電圧レベルとの間の差からイオン濃度測定値を求めることができる。したがって、参照信号が、すべてのイオン濃度測定値の基準として機能するために、所定の温度において非常に安定していることが重要である。参照信号が安定しておらず一定でなければ、得られるイオン濃度測定値は不正確なものとなる。
【0061】
本発明によれば、複合電極イオンプローブ106は、2つ以上の動作電極を備えることができる(図3およびそれに対する記述を参照)。それに加えて、複合電極イオンプローブ106は2つ以上の参照電極を備えることができる。
【0062】
複合電極イオンプローブ106はさらなる構成要素を備えることができる。たとえば複合電極イオンプローブ106はプリアンプおよび/または他の信号調整回路を備えることができる。複合電極イオンプローブ106は、保護ピン、バンプ、リッジなどの如き試験端子107から延出する保護用突起を備えることができる。複合電極イオンプローブ106は、ハウジング120(図9を参照)およびそれに関連する任意のシール、埋め込み材料、乾燥剤、充填剤などを備えることができる。複合電極イオンプローブ106は、接地電極または接地要素を備えることができる。複合電極イオンプローブ106は、測温体を備えることができる。複合電極イオンプローブ106は、取り付け部品または取り付け機能を備えることができる。複合電極イオンプローブ106は、電磁干渉シールドを備えることができる。また、複合電極イオンプローブ106のための他の構成要素も考えられ、上記の記載が余すところのない完全なリストというわけではない。
【0063】
図3には、本発明の実施形態に係る複合電極イオンプローブ106の一部が示されている。共通の構成要素は参照番号を共有している。本実施形態に係る複合電極イオンプローブ106は、少なくとも4つの電極ユニット108A〜108Dを備えている。少なくとも4つの電極ユニット108A〜108Dは、たとえばpH測定値の如きイオン濃度測定値を生成するために用いられる。分かり易いように本明細書では4つの電極ユニットに焦点が当てられているが、いうまでもなく、3つ以上の電極ユニットが用いられ得る。
【0064】
イオン濃度測定値を取得するためには2つの電極ユニットと1つのグランド(接地)とがあればよいが、上記の少なくとも4つの電極ユニット108A〜108Dはさらなる利点を提供することができる。複合電極は、複数の測定信号の相関関係を通じて測定精度を向上させることを提供する。複合電極は、測定信号を比較して異常値を排除する能力を通じて測定精度を向上させることを提供する。複合電極は、一または複数の電極ユニットにおいて問題を検出する能力を提供する。複合電極は、温度差および他の外部環境特性差に対して敏感にならない。
【0065】
3つ以上の電極ユニット108により生成されるイオン電圧測定値を処理してイオン濃度測定値を生成することができる。複数のイオン濃度電圧測定値は、なんらかの冗長性および相互相関の機会が提供される。これらの3つ以上の電極ユニット108は、参照電極としてまたは動作電極/測定電極として必ずしも標識付けされる必要はない。
【0066】
各電極ユニット108は、イオン感応領域116を含む電極チャンバ110と、電極チャンバ110内の電解質溶液112と、電極114とを備えている。電極チャンバ110は、図示されるように、ほぼ円筒形状を含むいかなる形状も有することができる。しかしながら、いうまでもなく、電極チャンバ110がたとえば楕円形、長方形、または断面異形状を含むいかなる所望の形状を有していてもよい。
【0067】
電極チャンバ110は、適切ないかなる材料から形成されてもよい。この材料は、実質的に無孔性でなければならず、また、内部と外部との間の液体の交換を許容してはならない。それに加えて、イオン感応領域116はその材料に固定されなくてはならない。一実施形態では、電極チャンバ110はガラスから形成されている。しかしながら、他の材料も考えられ、それらは本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。有利なことに、電極114は電極チャンバ110内にシールされており、外部試験液体により汚染されることもなければ、影響を受けることもない。そうすることで、電極ユニット108が長い時間にわたって非常に安定する。
【0068】
イオン感応領域116は、イオン感応材料の外表面でイオン交換を許容することによりイオン相互作用を可能とするが、電極チャンバ110の内部と外部との間での液体の交換を許容しない。内部の電解質溶液112は固定されているため、イオン感応材料の内表面には実質的に一定の電荷が存在する。イオン感応材料の外部の水和層内でのイオン交換により、外部試験液体と内部の電解質溶液112との間に電位差(すなわち、電位)が生じる。この電位の大きさは、内部の電解質溶液のイオン値および外部の試験液体のイオン値に依存する。たとえば、内部の電解質溶液がpH7の値を有し、外部の試験液体がpH7の値を有している場合、電位はほぼ0になる。外部の試験液体がpH4の値を有している場合、対応する電位、たとえば標準型の59mV/pHのpH感応ガラスに対して通常約(−177)mVが電極114に発生する。
【0069】
イオン感応領域116はいかなる態様のイオン反応材料であってもよい。たとえば、イオン感応領域116がイオン感応ガラスまたはpH感応ガラスから形成されてもよい。しかしながら、他のイオン感応材料も本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。イオン感応領域116は測定される外部の試験液体に応じて選択される。一実施形態に係るイオン感応領域116は、シリカ、リチウム、カルシウムおよびその他の元素の酸化物からなる特別に調製されたpH感応リチウムイオン導電ガラスを有している。このpHガラスの構造により、リチウムイオン電子が水溶液中の水素イオンと交換され、イオン感応領域116の外表面に水和層を形成することが可能となる。しかしながら、他の材料も考えられ、それらも本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。
【0070】
イオン感応領域116は、それぞれ対応する電極チャンバ110に接合されるイオン感応材料の部分を含んでいる。イオン感応領域116はいかなる形状またはサイズであってもよい。イオン感応領域116は図示されるように突出する球状部を含んでいてもよい。それに代えて、イオン感応領域116はほぼ平面形状の部分を含んでいてもよい(図9を参照)。いうまでもなく、他の形状およびサイズも考えられ、それらも本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。
【0071】
イオン感応領域116は、電極チャンバ110のいかなる位置、たとえば端部(図示されている)に設けられてもよい。イオン感応領域116は、たとえば電極チャンバ110のアパーチャに成型されてもよいしまたは接合されてもよい。それに代えて、イオン感応領域116は、電極チャンバの形成中に、たとえばガラス吹き成形により電極チャンバ110内に形成されてもよい。
【0072】
さまざまなイオン感応領域116は、共通のイオン相互作用特性を共有するように非常に類似している点がある場合もある。そのような1つのイオン相互作用特性にはイオン感応特性が含まれる。たとえば、従来技術における典型的なpHガラスの感応度は単位pH当たり約59〜60ミリボルト(mV/pH)である。それに代えて、さまざまなイオン感応領域116は複合電極イオンプローブ106の所望の特性に応じて異なっていてもよい。さまざまなイオン感応領域116は、同一のサイズ、形状、厚さ、組成などである必要はない。たとえば、イオン感応領域116Aに、イオン感応領域116Bよりも低いイオン感応度を有するイオン感応材料が含まれてもよい。
【0073】
電極チャンバ110は、電解質溶液112で実質的に満たされている。電解質溶液112には、対応する電極114に(イオン感応領域116上の)電位を伝えることができるいかなる溶液が含まれてもよい。電解質溶液112には、いかなる所望のタイプまたは濃度のイオンが含まれていてもよい。以下に記載するように、イオンメータ100の所望の動作を達成するように電解質溶液112のイオンタイプまたは濃度を選択することができる。
【0074】
電極114は適切ないかなる材料から形成してもよい。実施形態によっては、当該技術分野において公知になっているような銀/塩化銀から電極114を形成する場合もある。しかしながら、他の材料も考えられ、それらも本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。
【0075】
実施形態によっては、図示されているように、電極114は電極チャンバ110のほぼ中心軸上に設けられている場合もある。しかしながら、いうまでもなく、他の配置も考えられ、それらも本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。
【0076】
いうまでもなく、複数の電極は同一である必要はない。それどころか、電極ユニット108は複数の点において異なってもよい。電極ユニット108は、さまざまなイオン反応率/イオン感応度を有するイオン感応領域116を備えることができる。電極ユニット108は、たとえば異なるpH値の如き異なる特性を有する電解質溶液112で満たされていてもよい。このことについて図4と関連させて以下に説明する。
【0077】
図4には、本発明の実施形態に係る4つの電極ユニット108A〜108Dが示されている。この実施形態では、4つの電極ユニット108A〜108Dを組み合わせて2つの対が形成されている。第一の電極対においては、電極ユニット108Aが約59mV/pHのイオン感応度を有するイオン感応領域116Aと約pH4の電解質溶液とを備えており、電極ユニット108Bが約59mV/pHのイオン感応度を有するイオン感応領域116Bと約pH7の電解質溶液とを備えている。この対の2つの電解質溶液は、たとえば外部試験液体のpHを測定することができるように、イオンタイプおよび/またはイオン濃度が異なっていてもよい。第二の電極対においては、電極ユニット108Cが約4mV/pHのイオン感応度を有するイオン感応領域域116Cと約pH4の電解質溶液とを備えており、電極ユニット108Dが約4mV/pHのイオン感応度を有するイオン感応領域116Dと約pH7の電解質溶液とを備えている。この対の2つの電解質溶液は、外部試験液体のpHを別々に測定することができるように、先の場合と同様に異なっていてもよい。
【0078】
したがって、電極ユニット108Aおよび108Bは同様のイオン応答特性と異なる電解質とを有している。同様に、電極ユニット108Cおよび108Dは同様のイオン応答特性と異なる電解質と有している。
【0079】
外部試験液体について、第一のイオン測定を行うべく電極ユニット108Aおよび108Bを相互に比較することができ、また、第二の独立したイオン測定を行うべく電極ユニット108Cおよび108Dを相互に比較することができる。
【0080】
イオン感応領域についての59mV/pHおよび4mV/pHの値は例示のみを意図したものであり、これに限定されるものではない。イオン感応領域に対していかなる態様のイオン特性が選択されてもよい。しかしながら、イオン電圧測定値間で比較を行うことができるように2対の電極ユニットが異なるイオン特性を有していることが有利である。なお、いうまでもなく、2対の電極ユニット間の応答距離が大きいと、信号対雑音比が大きくなり、イオンメータ100の計測能力が向上する。
【0081】
さらに、1対の電極ユニットのイオン応答を可及的に0にすることが有利である。したがって、59mV/pHのイオン感応ガラスを加熱すると、そのイオン応答を本実施形態に記載の4mV/pHのイオンガラスの如き一桁のイオン応答値に至るまで低下させることができる。他のイオン応答値も考えられ、それらも本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。
【0082】
これらの2つの電極対の正常動作での反応が図5に図示および説明されている。これらの2つの電極対の異常動作での反応が図6〜図8に図示および説明されている。なお、いうまでもなく、この実施形態に記載のイオン感応領域および電解質は、例示のみを意図したものであり、いかなる意味においても限定されるものではない。
【0083】
4未満の電極の数/値で外部試験液体のpHを測定することは可能であるが、4つの電極ユニットによりクロス検証ができるようになる。単一の外部試験液体の場合には、液体のイオン濃度が未知の場合であっても、4つの電圧測定値は実質的に一致する。単一の異常値は、容易に検出され、適切に対処される。
【0084】
4つの電極ユニット108A〜108Dにより、相互にクロス検証することができるようになる。有利なことには、実施形態によっては、メータ電子機器102は、自動的にイオン応答の傾斜を補償することができるようになっている(図5を参照)。さらに、4つの電極ユニット108A〜108Dは永続的に校正を行うことができる。4つの電圧測定値のうちの3つが近似しており、1つが著しく異なっている場合、イオンメータ100は、異なっている測定値が信頼できるものではなく、このような測定値は無視可能であると判断することができる。さらに、測定値のうちの2つに著しく差がある場合、イオンメータ100は4つのうちのいずれかの2つをイオン濃度測定値に用いることができないと判断することができる。
【0085】
それに代えて、電極ユニット108Aと電極ユニット108Dとを対にし、電極ユニット108Bと電極ユニット108Cとを対にして比較するようにしてもよい。さらに、実施形態によっては、2つの対(たとえば、対(108A−108Bおよび108C−108D)または対(108A−108Dおよび108B−108C)を比較するようになっていてもよい。
【0086】
なお、この図の電極ユニット108Aおよび108Bの対は、イオン感応度が両方の電極ユニットにおいて同一(すなわち、59mV/pH対59mV/pH)であるため、イオン濃度を検出するようには機能しない。しかしながら、電極ユニット108Aおよび108Bの対を診断目的で用いることができる。
【0087】
図5は、本発明の一実施形態に係る電極ユニットの特性を示すグラフである。水平軸はpH値を表わしており、鉛直軸はミリボルト(mV)で表わされる測定電圧を表わしている。グラフの4つの破線は、4つの電極ユニット108A〜108Dのイオン応答特性を表わしている。4つの電極ユニット108A〜108Dのうちの少なくとも1つは参照電極ユニットとして扱われている。参照電極は、参照電圧応答(クロス検証作業には必要でない)として用いるために異なるイオン感応度を有していなければならない。このグラフでは、電極ユニットのうちの2つは、約pH4の電解質Aである第一の電解質溶液を有しており、他の2つの電極ユニットは、約pH7の第二の電解質溶液を有している。電解質Aは、pHレベル4(グラフ上のA点)を有しており、また、電解質Bは、pHレベル7(B点)を有している。本例における電解質Aを保持する2つの電極ユニットは、約59mV/pHおよび約4mV/pHのpH感応ガラスを有している。このことは、2つの電極の破線の傾きに反映されている。同様に、電解質Bを保持する2つの電極ユニットは、約59mV/pHおよび約4mV/pHのpH感応ガラスを有している。したがって、特定の外部試験液体について、各電極は異なる電位を測定することになる。4つの電位測定値/電圧測定値を用いて外部試験液体のイオン濃度を求めることができる。
【0088】
C点を通る鉛直線は1つのイオン濃度測定値の一例である。本例では、外部試験液体は、pH6の値を有している。したがって、複合電極イオンプローブ106が、適切に作動している場合、近似的に図示されているようにC1、C2、C3およびC4の電圧測定値を生じることになる。電解質BがpHレベル7を有しているので、電圧測定値C1およびC2は、負の電圧値(pH6はpH7より小さい)になり、電圧測定値C3およびC4は、正の値(pH6はpH4より大きい)になる。
【0089】
これらの4つの電圧測定値のクロス相関関係を取ることにより4つの値のすべてが期待値を有することを確かめることができる。たとえば、この例においてC1〜C3が与えられた場合、外部試験液体はpHレベル6を有することになる。したがって、電極ユニットが59mV/pHのガラスとpH4の内部の電解質とを有している場合、差がpH2であるので、C4の値は約118mVになる(pH2×59mV/pH=118mV)。C4の測定値が約118mVでない場合、C4の測定値が誤っている恐れがある。
【0090】
図6には、単一の電圧測定値が誤っている複合電極イオンプローブの出力例が示されている。先の場合と同様に、C点は外部試験液体の値がpH6であることを反映している。ここでは、C1の測定値は期待値よりも大きな負の電圧である。グラフから明らかなように、C1の電圧レベルは、7/59ラインとpH軸上の6の値(すなわち、C点を通る鉛直線)との交点に反映されるべきである。本例では、C1の電圧測定値は本来あるべき値よりも著しく負の値になっている。この結果、C1の測定値は、記録されてもよいし、報告されてもよいし、および/または、後のイオン濃度測量値においては無視されてもよい。
【0091】
電圧測定値が、誤差しきい値またはその範囲を超えて期待値から変化している場合、誤りの電圧測定値は、イオン濃度測定値の決定値から除かれてもよいし、何らかの方法で補償または訂正されてもよい。ここで、所望ならば、誤りのC1の電圧測定値をイオン濃度測定値の決定値から省いてもよい。それに代えて、誤りの電圧測定値は、低い重み付けが与えられるようにしてもよいし、または、誤差しきい値もしくはその範囲の中に測定値を収めるように変更されてもよい。他の補償または訂正も考えられ、それらも本明細書の記載および特許請求の範囲に含まれる。
【0092】
図7には、2つの電圧測定値が誤りである複合電極イオンプローブの出力例が示されている。先の場合と同様に、C点は外部試験液体の値がpH6であることを反映している。ここでは、C1およびC2の測定値の両方が不正確であると思われる。C1の電圧は、7/59の破線とCの鉛直線との交点に一致すべきである。C2の電圧は、7/5の破線とCの鉛直線と交点に一致すべきである。(C3、C4)の対が外部試験液体のpH6を示しているものの、C1およびC2がばらばらで一致していない場合、C1およびC2の両方が誤った読み取り値を生じている恐れがある。しかしながら、(C1、C2)の電極対が近似的に一致している場合、電極のうちのどれが誤利を生じているのかを区別することは可能ではない。
【0093】
図8には、2つの電圧測定が誤りである複合電極イオンプローブの他の出力例が示されている。先の場合と同様に、C点は外部試験液体の値がpH6であることを反映している。ここでは、C1およびC4の測定値が不正確であると思われる。このシナリオでは、C2およびC3の測定は正確であると思われる。先の場合と同様に、C1およびC4がC2およびC3の測定値から離れているとともに互いにも異なっている場合、C1およびC4の測定値が問題であると考えられる。
【0094】
図9には、本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブ106の一例が示されている。この実施形態では、複合電極イオンプローブ106は、少なくとも4つの電極ユニット108A〜108Dを備えている(分かりやすいように、イオン感応領域116A〜116Dには符号を付けていない)。電極114/電極ユニット108の各々にケーブル104(図2を参照)を接続することができる。電極ユニット108A〜108Dは、イオン感応領域116A〜116Dのうちの少なくとも一部が露出するようにハウジング120内に設けられている。イオン感応領域116A〜116Dには、イオン感応材料からなるドーム状のまたは突出した部分が含まれてもよいし、または、イオン感応材料からなる円板もしくは平板が含まれてもよい。イオン感応領域116A〜116Dは、ハウジング120に接合されてもよいし、または、他の方法で固定されてもよい。
【0095】
電極チャンバ110A〜110Dの一部としてイオン感応領域116A〜116Dを形成することができる。それに代えて、ハウジング120が、当該ハウジング120を複数のチャンバに分割する内部隔壁123A〜123Dを有し、イオン感応領域108A〜108Dが、ハウジング120の適切な領域内に固定されまたは形成されてもよい。4つのチャンバ、すなわち4つの電極ユニット108A〜108Dが図示されているが、いうまでもなくこれに代えて、複合電極イオンプローブ106内に他の数の電極ユニット108が設けられてもよい。
【0096】
ハウジング120から延びて電極ユニット108を保護する一または複数の突出部(図示さず)の如きさらなる構成要素が設けられてもよい。複合電極イオンプローブ106は、ハウジング120内またはハウジング120の内表面もしくは外表面に形成される接地電極もしくは接地領域(図示せず)および/またはシールド部の如き特徴部をさらに備えていてもよい。たとえば、ハウジング120の少なくとも一部分が金属シールドから構成されていてもよい。
【0097】
図10には、本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブ106の一例が示されている。この実施形態では、複合電極イオンプローブ10は、ハウジング120内に保持される個別の複合電極ユニット108を備えている。電極114または電極ユニット108の各々にケーブル104を接続することができる。この複合電極イオンプローブ106は接地電極123をさらに有することができる。各電極ユニット108は、対応するイオン感応領域116および電極114(図示せず)を有している。
【0098】
ハウジング120は、いかなる態様の材料であってよいし、適切ないかなる形状に形成されていてもよい。実施形態によっては、複合電極ユニット108は、ハウジング120に接合されているかまたは他の方法で固定されている。それに代えて、複合電極ユニット108は、摩擦嵌合により保持されてもよいし、または、なんらかの方法でハウジング120内に保持されてもよい。
【0099】
図11には、本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブ106の一例が示されている。この実施形態では、復合電極イオンプローブ106が2つのデュアル電極ユニット119Aおよび119Bからなっている。各デュアル電極ユニット119は、2つの電解質溶液(112A、112B)または(112C、112D)と、2つのイオン感応領域(116A、116B)または(116C、116D)と、2つの電極(114A、114B)または(114C、114D)とを備えている。したがって、2つのデュアル電極ユニット119Aおよび119Bが先に説明したような4つの電極ユニット108A〜108Dに相当する。
【0100】
図12には、本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブ106の一例が示されている。この実施形態では、複合電極イオンプローブ106は、2つのデュアル電極ユニット129Aおよび129Bからなっている。各デュアル電極ユニット129は、二つのイオン感応領域(116A、116B)または(116C、116D)を有するハウジング130Aおよび130Bを備えており、また、動作電極114Aおよび114Cならびに参照電極114Bおよび114D(図示しないが、ハウジング130Aもしくは130Bの内部に位置しかつイオン感応領域116Bもしくは116Dに隣接している)をさらに備えている。
【0101】
2つのイオン感応領域(116A、116B)または(116C、116D)は、それぞれに対応するハウジング130Aまたは130Bの端部に位置する第一のイオン感応領域116Aまたは116Cと、ハウジング130Aまたは130Bの側面に位置する第二のイオン感応領域116Bまたは116Dとを含みうる。この実施形態では、図面から明らかなように、イオン感応領域は、それぞれ対応する電極ユニット129Aおよび129Bの端部に制限されているわけではない。
【0102】
図13A〜図13Bには、本発明の一実施形態に係る複合電極イオンプローブ106の一例が示されている。この実施形態では、ハウジング120の内部を4つのチャンバ、すなわち4つの電極ユニット108A〜108Dに分割する隔壁124A〜124Dを有している。これらのイオン感応領域116A〜116D(分かり易いよう符号は付さず)は、先に記載したようなイオン感応材料からなるドーム状のまたは突出した部分であって、球状の端部128を形成することができる。内部隔壁124〜127は、球状の端部128まで延びて球状の端部128と結合することにより、4つの独立した電極チャンバをハウジング120内に形成するようになっていてもよい。ケーブル104(図2を参照)を電極ユニット108の各々の中の電極114A〜114Dに接続することができる。
【0103】
図示されている実施形態では、電極ユニットのうちの2つは、たとえばpH=4の溶液と、A型ガラスおよびB型ガラスとを有している。他の2つの電極ユニットは、pH=7の溶液と、A型ガラスおよびB型ガラスとを有している。いうまでもなく、ガラスのタイプはさまざまなイオン感応度を有していてもよい。また、他のタイプのイオンおよび濃度を用いてもよく、先に記載した数は例示のみを意図したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のイオン濃度電圧測定値を受信し、該複数のイオン濃度電圧測定値からイオン濃度測定値を生成するように構成されたメータ電子機器(102)と、
前記メータ電子機器(102)と通信し、前記複数のイオン濃度電圧測定値を前記メータ電子機器(102)に向けて生成するように構成された3つ以上の個別の電極ユニット(108)と
を備えてなる、複合電極イオンメータ(100)。
【請求項2】
接地電極(123)をさらに備えてなる、請求項1に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項3】
前記3つ以上の個別の電極ユニット(108)を収容するハウジング(120)をさらに備えてなる、請求項1に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項4】
前記3つ以上の個別の電極ユニット(108)が、
実質的にシールされている3つ以上の電極チャンバ(110)と、
前記3つ以上の電極チャンバ(110)内にそれぞれ対応して形成され、前記3つ以上の電極チャンバ(110)と前記複合電極イオンプローブ(106)の外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された3つ以上のイオン感応領域(116)と、
前記3つ以上の電極チャンバ(110)内にそれぞれ対応して位置し、前記メータ電子機器(102)に向けて前記複数のイオン濃度電圧測定値を生成するように構成された3つ以上の電極(114)と
を備えてなる、請求項1に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項5】
前記3つ以上の個別の電極ユニット(108)が、
実質的にシールされている4つの電極チャンバ(110)と、
前記4つの電極チャンバ(110)内にそれぞれ対応して形成され、前記4つの電極チャンバ(110)と前記複合電極イオンプローブ(106)の外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された4つのイオン感応領域(116)と、
前記4つの電極チャンバ(110)内にそれぞれ対応して位置し、前記メータ電子機器に向けて前記複数のイオン濃度電圧測定値を生成するように構成された4つの電極(114)と
を備えてなる、請求項1に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項6】
第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項5に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項7】
第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なるタイプのイオンまたは濃度を有する第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項5に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項8】
第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有する第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項5に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項9】
第一の対のイオン感応領域(116A、116B)を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の対のイオン感応領域(116A、116B)とは異なる第二の対のイオン感応領域(116C、116D)を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項5に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項10】
第一の対のイオン感応領域(116A、116B)を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の対のイオン感応領域(116A、116B)の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域(116C、116D)を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項5に記載の複合電極イオンメータ(100)。
【請求項11】
実質的にシールされている少なくとも4つの電極チャンバ(110A〜110D)と、
前記少なくとも4つの電極チャンバ(110A〜110D)内にそれぞれ対応して形成され、前記少なくとも4つの電極チャンバ(110A〜110D)と前記複合電極イオンプローブ(106)の外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された少なくとも4つのイオン感応領域(116A〜116D)と、
前記4つの電極チャンバ(110A〜110D)内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極(114A〜114D)と
を備えてなる、複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項12】
接地電極(123)をさらに備えてなる、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項13】
前記少なくとも4つの電極チャンバ(110A〜110D)を有するハウジング(120)をさらに備えてなる、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項14】
第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項15】
第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なるイオンのタイプまたはイオン濃度を有している第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項16】
第一の電解質溶液を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有する第二の電解質溶液を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項17】
第一の対のイオン感応領域(116A、116B)を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の対のイオン感応領域(116A、116B)とは異なる第二の対のイオン感応領域(116C、116D)を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項18】
第一の対のイオン感応領域(116A、116B)を有する第一の対の電極チャンバ(110A、110B)と、前記第一の対のイオン感応領域(116A、116B)の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域(116C、116D)を有する第二の対の電極チャンバ(110C、110D)とを有している、請求項11に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項19】
第一の電解質溶液を有する第一の対のチャンバ(110A、110B)と、前記第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有する第二の対のチャンバ(110C、110D)とを有し、実質的にシールされている少なくとも4つのチャンバ(110A〜110D)と、
前記少なくとも4つのチャンバ(110A〜110D)内にそれぞれ対応して形成され、前記少なくとも4つのチャンバ(110A〜110D)と前記複合電極イオンプローブ(106)の外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成された少なくとも4つのイオン感応領域(116A〜116D)と、
前記4つのチャンバ(110A〜110D)内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極(114A〜114D)と
を備えてなる、複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項20】
接地電極(123)をさらに備えてなる、請求項19に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項21】
前記少なくとも4つの電極チャンバ(110A〜110D)を収容するハウジング(120)をさらに備えてなる、請求項19に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項22】
前記第二の電解質溶液が前記第一の電解質溶液とは異なるイオンのタイプまたはイオン濃度を有してなる、請求項19に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項23】
前記第二の電解質溶液が前記第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有してなる、請求項19に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項24】
第一の対のチャンバ(110A、110B)が第一の対のイオン感応領域(116A、116B)を有し、第二の対のチャンバ(110C、110D)が前記第一の対のイオン感応領域(116A、116B)とは異なる第二の対のイオン感応領域(116C、116D)を有してなる、請求項19に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項25】
第一の対のチャンバ(110A、110B)が第一の対のイオン感応領域(116A、116B)を有し、第二の対のチャンバ(110C、110D)が前記第一の対のイオン感応領域(116A、116B)の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有する第二の対のイオン感応領域(116C、116D)を有してなる、請求項19に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項26】
実質的にシールされている少なくとも4つのチャンバ(110A〜110D)と、
前記少なくとも4つのチャンバ(110A〜110D)内にそれぞれ対応して形成され、前記少なくとも4つのチャンバ(11OA〜110D)と前記複合電極イオンプローブ(106)の外部との間のイオン相互作用を可能とするように構成され、第一のイオン感応領域を有する第一の対のチャンバ(110A、110B)と、前記第一のイオン感応領域とは異なる第二のイオン感応領域を有する第二の対のチャンバ(110C、110D)とを有している、少なくとも4つのイオン感応領域(116A〜116D)と、
前記4つのチャンバ(110A〜110D)内にそれぞれ対応して位置する少なくとも4つの電極(114A〜114D)とを備えてなる、複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項27】
接地電極(123)をさらに備えてなる、請求項26に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項28】
前記少なくとも4つの電極チャンバ(110A〜110D)を有するハウジング(120)をさらに備えてなる、請求項26に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項29】
第一の対の電極チャンバ(110A、110B)が第一の電解質溶液を有し、第二の対の電極チャンバ(110C、110D)が前記第一の電解質溶液とは異なる第二の電解質溶液を有してなる、請求項26に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項30】
第一の対のチャンバ(110A、110B)が第一の電解質溶液を有し、第二の対のチャンバ(110C、110D)が前記第一の電解質溶液とは異なるイオンのタイプまたはイオン濃度を有する第二の電解質溶液を有してなる、請求項26に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項31】
第一の対のチャンバ(110A、110B)が第一の電解質溶液を有し、第二の対のチャンバ(110C、110D)が前記第一の電解質溶液とは異なるpHレベルを有する第二の電解質溶液を有してなる、請求項26に記載の複合電極イオンプローブ(106)。
【請求項32】
前記第二の対のイオン感応領域(116C、116D)が前記第一のイオン感応領域(116A、116B)の第一のイオン感応特性とは異なる第二のイオン感応特性を有してなる、請求項26に記載の複合電極イオンプローブ(106)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2011−501154(P2011−501154A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530035(P2010−530035)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/079467
【国際公開番号】WO2009/052022
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510109039)ハッチ カンパニー (2)