説明

複数のインクから光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセス

光起電性の導電性フィーチャおよび光起電性の導電性フィーチャを形成するためのプロセスについて記載する。前記プロセスは、(a)シリコン層上に配置された保護層を含む基板を提供するステップと、(b)前記保護層の少なくとも一部上に表面改質材料を堆積させるステップと、(c)金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物を、前記基板の少なくとも一部上に堆積させるステップと、(d)前記シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物が形成するように、前記組成物を加熱するステップであって、前記組成物または前記表面改質材料のうち少なくとも1つが前記保護層の一領域をエッチングする、ステップとを含む。前記表面改質材料が紫外線硬化性材料である場合、前記プロセスは、前記紫外線硬化性材料を硬化させるさらなるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年12月7日に出願された米国特許出願番号第11/952,580号に対する優先権を主張し、本明細書中、参照により同文献全体を援用する。
【0002】
本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関する。より詳細には、本発明は、複数のインクから光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関し、前記プロセスにおいて、前記インクのうち少なくとも1つは、基板上の保護層をエッチングすることができる。このようなプロセスは、光電池の製造において有用である。
【背景技術】
【0003】
太陽電池効率の向上は、太陽電池技術の広範な市場への導入において、重大な影響を持ち得る。例えば、太陽電池用フロントグリッド電極の性能の向上により電池効率を0.2%だけ向上させた場合、2010年の太陽電池製造市場において、250万ドルものコスト削減が可能になる。
【0004】
太陽電池効率を抑制する主な要素として、フロントグリッド電極における接触抵抗および線抵抗がある。典型的な太陽電池の一部を図1中に模式的に示す。フロントグリッド電極を形成するための公知のスクリーン印刷方法において、太陽電池の保護層へのスクリーン印刷ペーストの塗布後の太陽電池の処理条件に起因して、高接触抵抗が発生する。保護層は窒化ケイ素を含むことが多い。典型的なスクリーン印刷ペーストは、5重量%を超えるミクロンサイズの鉛ガラス粒子と、約75重量%のミクロンサイズの銀粒子とを含む。これらのガラス粒子は、エミッタ/電極界面において前記窒化ケイ素保護層を高い処理温度(例えば800℃超)においてエッチングする。前記窒化ケイ素保護層のエッチングは、前記電極と前記エミッタ表面(例えばn型半導体の表面)との間において十分な接触を達成するために必要である。しかし、このような高温では、太陽電池のシリコンエミッタ層内の銀の拡散速度が高くなり、n型半導体層を完全にエッチングすると、図1に示すように電池内にシャントが発生し得る。
【0005】
加えて、スクリーン印刷を用いてフロントグリッド電極を形成する場合、バルク電極層内に存在するガラスの量に起因して、高線抵抗が発生し得る。ガラス粒子は比較的大きい(ミクロンサイズの範囲)ため、ガラス粒子は反応性が比較的低く、上記の処理条件下では高密度体を焼結形成しない。バルク電極層中に未焼結のガラス粒子があると、当該層内の多孔度が上昇する。その結果、バルク電極層内の多孔度に起因して、バルク電極層の線抵抗が高くなり得る。
【0006】
スクリーン印刷は、フロントグリッド電極印刷のための低コストかつ高速の方法であるが、幅狭の格子線を印刷することはできない。その上、従来のスクリーン印刷方法に伴う接触圧力に起因して、太陽電池の破壊が発生し得る。なぜならば、太陽電池は、機械的に取り扱う必要があるからである。従って、電池の破壊を最小にしつつ幅狭の格子線を可能にするフロントグリッド電極の印刷方法が必要とされている。さらに、接触抵抗および線抵抗を最小にするフロントグリッド電極の印刷方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
上記した必要性を満たすための効率的な方法は、複数のインクから光電池導電性フィーチャを形成することであることが、驚くべきことに発見された。前記複数のインクのうち少なくとも1つは、前記保護層をエッチングすることができる。
【0008】
本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスを提供する。一態様において、本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスを提供する。前記プロセスは、(a)シリコン層上に配置された保護層を含む基板を提供するステップと、(b)前記保護層の少なくとも一部の上に、塩を含む表面改質材料を堆積させるステップと、(c)金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物を、前記基板の少なくとも一部上に堆積させるステップと、(d)前記シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物が形成するように、前記組成物を加熱するステップであって、前記組成物または前記表面改質材料のうち少なくとも1つは、前記保護層の一領域をエッチングする、ステップとを含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関し、前記プロセスは、(a)シリコン層上に配置された保護層を含む基板を提供するステップと、(b)紫外線硬化材料を含む表面改質材料を堆積させるステップと、(c)前記紫外線硬化材料を硬化させて硬化材料を形成するステップと、(d)前記硬化材料のうち少なくとも一部の上に、金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物を堆積させるステップと、(e)前記硬化材料または前記組成物のうち少なくとも1つが前記保護層の一領域をエッチングし、かつ、前記シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物が形成するように、前記硬化材料および前記組成物を加熱するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明は、光電池の構造を示す非限定的図面を参照すれば、よりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(序)
本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関する。前記プロセスにおいて、塩または紫外線硬化材料を含む受理層を基板表面上に初期堆積させた後、組成物(例えばインク)を前記受理層上に堆積させるステップと、前記光起電性の導電性フィーチャの形成において有効な条件下で前記堆積された組成物を処理するステップとを行う。さまざまな好適な実施形態において、前記基板はパッシベーション層を含む。前記パッシベーション層は、前記受理層材料または前記導電性フィーチャの形成に用いられる前記組成物(例えばインク)からの材料のいずれかまたは双方により、エッチングされる。前記受理層はまた、望ましいことに、前記光起電性の導電性フィーチャの形成先として所望される領域に前記組成物を制限し、これにより前記組成物の拡散を抑制する。
【0012】
一実施形態において、本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関する。前記プロセスは、(a)シリコン層上に配置された保護層を含む基板を提供するステップと、(b)前記保護層の少なくとも一部の上に、塩を含む表面改質材料を堆積させるステップと、(c)金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物を、前記基板の少なくとも一部上に堆積させるステップと、(d)前記シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物が形成するように、前記組成物を加熱するステップであって、前記組成物または前記表面改質材料のうち少なくとも1つは、前記保護層の一領域をエッチングする、ステップとを含む。
【0013】
第2の実施形態において、本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関する。前記プロセスは、(a)シリコン層上に配置された保護層を含む基板を提供するステップと、(b)紫外線硬化材料を含む表面改質材料を堆積させるステップと、(c)前記紫外線硬化材料を硬化させて硬化材料を形成するステップと、(d)前記硬化材料のうち少なくとも一部の上に、金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物を堆積させるステップと、(e)前記硬化材料または前記組成物のうち少なくとも1つが前記保護層の一領域をエッチングし、かつ、前記シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物が形成するように、前記硬化材料および前記組成物を加熱するステップとを含む。
【0014】
(組成物)
上記のように、本発明は、光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスに関する。前記プロセスにおいて、金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物(例えばインク組成物)を用いて、シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を形成する。前記組成物が金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含みかつ前記組成物が加熱時に導電性フィーチャを形成することができる限り、前記組成物中に含まれる特定の成分は、本発明のさまざまな態様において広範囲に変わり得る。
【0015】
(金属ナノ粒子)
上記のように、いくつかの態様において、本発明のプロセスにおいて用いられる組成物は、光起電性の導電性フィーチャの製造に用いられる金属ナノ粒子を含む。前記組成物中に含まれる場合、前記金属ナノ粒子は好適には、金属または金属合金を含む。前記粒子は、個々の金属ナノ粒子として存在し得、および/または、複数の金属ナノ粒子の凝集体として存在し得る。金属ナノ粒子の凝集体としての、および/または個々の粒子としての性質は、当該組成物中に含まれる金属の相対量および当該金属ナノ粒子の形成において用いられるプロセスに応じて異なる。
【0016】
粒子中の金属は、実質的に任意の種類の金属を含み得、単一の金属または金属合金のいずれかを含み得る。特に好適な金属を挙げると、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)等がある。例示的な合金を挙げると、Ag:Pd比が約70:30のようなAg/Pd合金、ならびにCu/Ni合金、Cu/Zn合金およびPd/Pt合金がある。好適なものとしては、パラジウム、銀、ニッケル、銅、金および白金のうち少なくとも1つを含む金属ナノ粒子があり、さらにより好適には、パラジウム、銀、ニッケルおよび銅のうち少なくとも1つを含むものがよい。最も好適には、前記金属は銀または銀合金である。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記金属ナノ粒子は、連続的なまたは非連続的なキャップまたはコーティングを自身の上に含む。前記キャップまたはコーティングは、ポリマーを含み得る有機キャップまたはコーティングを自由選択的に含む。前記キャップまたはコーティングは、真性導電性のポリマー、スルホン化パーフルオロハイドロカーボンポリマー、ポリスチレン、ポリスチレン/メタクリレート、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホサクシネート、テトラ−n−オクチル−臭化アンモニウムまたはアルカンチオレートを自由選択的に含む。他の実施形態において、前記キャップまたはコーティングは、例えばポリビニルピロリドン(PVP)のような凝集抑制ポリマー(ただし、これに限定されない)を含む。さらに他の実施形態において、前記キャップまたはコーティングは、セラミック材料を含む。前記キャップまたはコーティングがセラミック材料を含む場合、前記粒子は、コア/シェル構成を自由選択的に有する。この構成において、コアは金属または金属合金で構成され、シェルはセラミック材料で構成される。前記セラミック材料は、連続的なまたは非連続的なコーティングの形態で自由選択的に存在する。前記セラミック材料が存在する場合、好適には、金属ナノ粒子の堆積先となる基板の層、例えば保護層、例えば図1に示すようなnおよびpドープシリコンウェハのSiNx層が、前記金属ナノ粒子によってエッチングされることが前記セラミック材料により可能になるとよい。前記ナノ粒子が凝集体を含む場合、前記凝集体は、前記セラミック材料の共通マトリックス内の複数の金属ナノ粒子を自由選択的に含む。
【0018】
前記粒子がセラミック材料を含む場合、セラミック材料の選択範囲は狭く限られていないが、前記セラミック材料の凝縮温度が気相合成プロセスにおける金属よりもより高温である通常の場合、前記金属および前記セラミックの相対的な表面濡れ性は、前記金属が前記セラミック上で凝縮する際、前記金属の再分散を可能にして、前記セラミックが最終粒子のコアに対して表面層を形成することを可能にするものであるべきである。典型的には、前記セラミックシェル材料は、酸化物、例えばシリコン、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ルテニウム、スズ、セリウム、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、ホウ素、リチウム、およびリンのうち少なくとも1つの酸化物を含む。いくつかの実施形態において、前記セラミック材料は、複数の金属酸化物の混合物を含む。他の実施形態において、前記セラミックシェル材料は、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、およびホウ素から選択された少なくとも1つの元素の酸化物を含む。いくつかの好適な酸化物としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、および酸化スズがあり、シリカが特に好適である。好適な実施形態において、前記セラミック材料はガラスを含む。
【0019】
上記の酸化物は、少量または大量のドーパント元素でドープすることができ、高ドーピング濃度を用いた場合、混合金属酸化物相が明瞭に形成され得る。いくつかの場合、前記酸化物または酸化物を前記セラミック材料として用いると、前記粒子上にガラス様シェルが生成され得る。前記酸化物は、2個以上の元素からなる複合酸化物、例えばY−Yb−O、Ba−Ti−O、Zn−Si−B−Oであり得る。さらに、前記粒子シェルの生成のために他のさまざまなセラミック材料を用いてもよく、例えば炭化物、例えば炭化シリコンまたはチタン、ホウ化物、例えばホウ化チタン、および窒化物、例えば窒化ケイ素またはチタン、ケイ化物、例えばケイ化チタン、酸窒化物、酸硫化物および酸炭化物を用いてもよい。
【0020】
前記粒子がセラミック材料を含む場合、前記粒子が個々の金属ナノ粒子である場合であれ、および/または複数の金属ナノ粒子の凝集体である場合であれ、各粒子中のセラミック材料に対する金属の体積比は通常少なくとも9:1(90体積%の金属/10体積%のセラミック)であり、例えば、少なくとも19:1(95体積%の金属/5体積%のセラミック)であり、少なくとも98:1(98体積%の金属/1体積%のセラミック)である。その結果、前記セラミックコーティングの厚さは一般的に極めて肉薄(典型的には10ナノメートル未満)となり、これにより、ガラスコーティングされた銀粒子の好適な実施形態の場合、高い銀濃度(95重量%超)において、前記粒子は導電性となる。
【0021】
前記粒子がセラミック材料を含む場合、前記金属および前記セラミック材料のために選択された特定の材料に応じて、前記最終粒子は、コーティングされていない金属のナノ粒子と比較して、向上したまたはさらなる機能性を示し得る。例えば、前記酸化物層は、部分的に透明な色層であり得、この場合、最終の金属/金属酸化物粒子は、色を有する金属反射性を示し得る。加えて、シェル材料としてSiOを用いた場合、さまざまな公知のシリカ表面の処理方法(例えば、シラン化、疎水性または親水性の付与、シリカ表面への異なるリガンドの付加、表面酸性度改変の等)を用いて、向上した粘着性、向上した耐摩耗性および環境抵抗、および硬化時間の低減などの機能性を備えた粒子を得ることができる。いくつかの実施形態において、粒子は、1つ以上の官能基により官能化される。前記官能基は、シラン、例えばヘキサメチルジシラザンを含むシランを自由選択的に含む。他の実施形態において、前記官能基は、シロキサン、例えばエチレンオキシド官能シロキサン、例えばGelest社の2−メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリメトキシシランを含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の(個々の粒子としてまたは凝集体の一部としての)粒子は、結晶性の金属ナノ粒子であり、X線回折(XRD)で測定すると、50nm未満の小さな結晶ドメインを有し、透過電子顕微鏡法(TEM)によって測定した一次粒子径は、約10ナノメートル〜100ナノメートル未満であり、典型的には約10ナノメートル〜約80ナノメートル、例えば約10ナノメートル〜約50ナノメートルであり、または約20ナノメートル〜約60ナノメートル、例えば約30ナノメートル〜約50ナノメートルである。本明細書中、粒径とは体積平均粒径を意味する。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記粒子の主粒径は、約10ナノメートル〜約500ナノメートル、例えば約10ナノメートル〜約300nm、約10ナノメートル〜約200nm、および約10ナノメートル〜約100nmである。
【0024】
加えて、いくつかの実施形態において、凝集体としてまたは個々の粒子として存在するかに関わらず、前記粒子の金属または金属合金ドメインの粒径分布は狭く、前記粒子の少なくとも80重量パーセント、好適には前記粒子の少なくとも90重量パーセントは、サイズが500ナノメートル未満である。ここで、前記粒径分布は、準電気光散乱(QELS)を用いて測定される。いくつかの実施形態において、前記金属ナノ粒子の粒径分布は、前記粒子のうち少なくとも90重量パーセントの粒子のサイズが2μm未満、例えば1μm未満となるような粒径分布である。さらに、自由選択の実施形態において、前記金属ナノ粒子は、少量のミクロンサイズの粒子を含む。例えば、前記粒子は、前記粒子の少なくとも1重量パーセント、例えば前記粒子の少なくとも5重量パーセントまたは少なくとも10重量パーセントの粒子の粒径が1μmより大きくなるような粒径分布を自由選択的に有する。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記金属ナノ粒子が凝集体として存在する場合、前記凝集体のサイズをQELSを用いて測定した場合に、前記凝集体の重量平均粒径は一般的には、例えば300ナノメートル未満、例えば200ナノメートル未満であり、いくつかの場合において、100ナノメートル未満であり、50ナノメートル未満であるように500ナノメートル未満である。いくつかの実施形態において、前記凝集体の粒径は、75ナノメートル〜500ナノメートル、例えば75ナノメートル〜300ナノメートル、75ナノメートル〜約200ナノメートル、または100ナノメートル〜500ナノメートルである。典型的には、前記凝集体はそれぞれ、凝集体ごとに前記金属ナノ粒子を平均で20個未満、例えば平均で5個未満のように平均で10個未満を含む。前記凝集体はサイズが小さいため、前記凝集体を微細化することなくインクジェットすることが可能である。
【0026】
金属粒子、例えば金属ナノ粒子を形成するプロセスは公知である。金属ナノ粒子の形成のための気相合成方法が、例えば米国特許出願公開番号第2006/0165898号に開示されている。同文献全体を参照により援用する。しかし簡単に言うと、本発明のプロセスにおいて用いられる金属ナノ粒子は単一段階のプロセスで製造可能であり、このプロセスにおいて、上述のような前記金属に対する前駆体を炎噴霧熱分解法装置の高温反応ゾーンにおいて気化させて、前記金属に対する前記金属前駆体の蒸気を形成する。その後、前記蒸気を凝縮/核形成させて、所望の金属ナノ粒子を形成する。いくつかの実施形態において、前記金属に対する前記金属前駆体を、セラミック材料前駆体の存在下で気化させる。セラミック材料前駆体の非限定的例を挙げると、亜鉛、ジルコニウム、ビスマス、およびストロンチウムのヘキサメチルジシロキサン(HMDS)、2−エチルヘキサン酸および硝酸塩がある。前記金属ナノ粒子が形成されると、前記金属ナノ粒子は、例えばフィルタ、例えばバッグハウスまたは電気集塵器を用いて最終的に収集される。
【0027】
(金属に対する金属前駆体)
いくつかの実施形態において、本発明の光起電性の導電性フィーチャの製造に用いられる組成物は、前記金属粒子(例えば、上述した金属ナノ粒子)の代わりに、または前記金属粒子(例えば、上述した金属ナノ粒子)に加えて、前記金属に対する金属前駆体を含む。前記金属に対するこれらの同一の金属前駆体を用いて、以下により詳細に説明する気相合成プロセスを用いて、金属ナノ粒子を生成することが可能であることが理解される。前記金属に対する前記金属前駆体を挙げると、銀、ニッケル、白金、金、パラジウム、銅、インジウムおよびスズに対する金属前駆体がある。他の可能な金属前駆体を挙げると、アルミニウム、亜鉛、鉄、タングステン、モリブデン、ルテニウム、鉛、ビスマスおよび類似の金属に対する前駆体がある。好適な金属前駆体化合物としては、銀、ニッケル、白金、金、パラジウム、銅およびルテニウムを含む金属前駆体化合物がある。例えば、銀、ニッケル、白金、金、パラジウムおよび銅に対する金属前駆体の例について、米国特許出願公開番号第2007/0125989号中に開示がある。同文献全体を、あたかも本明細書中に全て記載しているかのように、参照により援用する。
【0028】
本発明によるいくつかの実施形態において、前記金属に対する前記金属前駆体はアニオンを含み、前記アニオンは、前記アニオンの堆積先となる基板の表面をエッチングする能力を有する。例えば、好適な実施形態において、前記基板は、その上に配置された保護層(例えば窒化ケイ素層)を含み、前記金属前駆体は、保護層を抜けて、下層材料(例えばpシリコンウェハ)へエッチングする能力を有する。このようなウェハの保護層をエッチングする能力を持ち得るアニオンを非限定的に挙げると、CFCO、CFSO、FSO、CFCOCHCOCF、PO−3、POOH−2、PO(OH)(パーフルオリネートリン酸エステルおよび塩を含む)がある。例えば、Dupontによって提供されているZonyl(登録商標)および3Mによって提供されているFluorads(登録商標)などの材料がある。これらのアニオンを含む前記金属に対する好適な金属前駆体を挙げると、銀、銅、金、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト、亜鉛、モリブデン、タングステン、ルテニウムおよびチタンの金属カチオンがある。
【0029】
(組成物の調製)
本発明の特定の実施形態の光起電性の導電性フィーチャの形成のために用いられる組成物は、基板上への組成物の堆積に用いられる方法に応じて、インクまたはペーストのいずれかでよい。前記組成物は好適には、上述の金属ナノ粒子および/または金属に対する金属前駆体を含む。いくつかの実施形態において、前記組成物は、自由選択的に金属ナノ粒子を実質的に含まず、金属に対する金属前駆体を含む。逆に、いくつかの実施形態において、前記組成物は、金属に対する金属前駆体を実質的に含まず、金属ナノ粒子を含む。好適な実施形態において、本発明の組成物は、前記組成物を流体状態において安定して維持することが可能な賦形剤を含む。自由選択の実施形態において、本発明の組成物は、前記賦形剤に加えて、上述したような金属ナノ粒子および/または金属に対する金属前駆体と、自由選択的に分散剤および以下により詳細に説明する添加剤のうちの1つ以上とを含む。
【0030】
処方に応じて、本発明の組成物は、複数の異なる印刷方法(例えば、スクリーン印刷、リソグラフィー印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、光パターニング印刷、シリンジ印刷、エアロゾル噴射、圧電印刷、熱印刷、ドロップオンデマンド印刷またはインクジェット印刷(好適には、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または直接描画印刷)において、有用であり得る。
【0031】
材料および実行される特定の印刷プロセスに大きく依存するものの、前記組成物が金属ナノ粒子を含むさまざまな実施形態において、前記金属ナノ粒子の前記組成物中への含有量は、組成物全体の総重量に基づいて、自由選択的に、少なくとも約5重量%、例えば少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約50重量%、または少なくとも約70重量%である。本発明の光起電性の導電性フィーチャの形成に用いられる組成物において有用な金属ナノ粒子の総含有量を、組成物の総重量を基準として、約85重量%以下、例えば約75重量%以下、約40重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、または約5重量%以下にすることが好適である。組成物が金属ナノ粒子を含むさまざまな実施形態において、範囲について、前記組成物は、前記組成物の総重量を基準にして、約1重量%〜約60重量%の金属ナノ粒子、例えば約2〜約40重量%の金属ナノ粒子、約5〜約25重量%の金属ナノ粒子、または約10〜約20重量%の金属ナノ粒子を自由選択的に含む。他のさまざまな実施形態において、前記組成物は、前記組成物の総重量を基準にして、約40重量%〜約75重量%の金属ナノ粒子、例えば約40〜約60重量%の金属ナノ粒子を含む。含有量が前記好適な含有量を超えると、望ましくない高粘度および/または望ましくない流量特性に繋がり得る。もちろん、有用な結果を得ることが可能な最大含有量は、金属ナノ粒子の密度にも依存する。換言すれば、例えば、金属ナノ粒子の金属密度が高くなるほど、重量パーセントで表される受容可能でありかつ望ましい含有量も高くなる。
【0032】
材料および実施される特定の印刷プロセスに高く依存するものの、さまざまな実施形態において、前記組成物は、金属ナノ粒子に加えてまたは金属ナノ粒子の代わりに、金属に対する金属前駆体を含む。前記金属に対する前記金属前駆体は好適には、選択された賦形剤中において高溶解性である。前記組成物が金属前駆体を含むこれらの実施形態において、前記組成物は好適には、前記金属に対する前記金属前駆体を少なくとも約5重量パーセント、例えば約30重量パーセント〜約60重量パーセントのように、前記金属に対する金属前駆体を少なくとも約20重量パーセント含む。賦形剤中の前駆体化合物の溶解限度まで金属に対する金属前駆体を付加することが特に好適である。金属に対する金属前駆体は好適には、できるだけ高い金属収率を提供するとよい。
【0033】
上記のように、本発明の組成物は好適には、前記金属ナノ粒子および/または前記金属に対する前記金属前駆体に加えて、賦形剤を含む。前記組成物中で用いられる前記賦形剤は好適には、安定して前記金属ナノ粒子を分散させることができかつ/または前記金属に対する前記金属前駆体を溶解させることが可能な液体である。例えば、好適な賦形剤は、金属ナノ粒子が存在する場合には前記金属ナノ粒子の大幅な凝集および/または沈降ならびに/または前記金属に対する前記金属前駆体の析出が無く、数日間あるいは1、2、3週間または数カ月またはさらに長期間にわたって室温において保持することが可能な組成物を提供できるとよい。この目的のため、金属ナノ粒子の表面および/または前記金属に対する金属前駆体の溶解度プロファイルと賦形剤を適合させることも望ましい。一実施形態において、前記賦形剤は、例えばプロトン性溶媒のような1つ以上の極性成分(溶媒)、または1つ以上の非プロトン性の非極性成分、またはその混合物を含む(かまたは主にこれらからなる)。前記賦形剤は、一実施形態において、アルコール、ポリオール、アミン、アミド、エステル、酸、ケトン、エーテル、水、飽和炭化水素、不飽和炭化水素およびその混合物からなる群から選択される溶媒である。
【0034】
いくつかの実施形態において、前記賦形剤は、少なくとも2つの溶媒、自由選択的に少なくとも2つの有機溶媒の混合物、例えば少なくとも3つの有機溶媒または少なくとも4つの有機溶媒の混合物を含む。1つよりも多くの溶媒の使用が好適な理由は、このような使用により、特に、組成物のさまざまな特性(例えば、粘度、表面張力、対象とする基板との接触角度)を同時に調節することが可能であり、かつ、これらの全ての特性をできるだけ最適値に近づけることが可能であるからである。賦形剤の非限定的例について、例えば、米国特許第4,877,451号、第5,679,724号、第5,725,647号、第5,837,041号、第5,837、045号および第5,853,470号中に記載がある。本明細書中、同文献の開示内容全体を参照により援用する。別の実施形態において、前記賦形剤は水を含み、自由選択的に主に水を含む。
【0035】
前記組成物は、緩衝剤、ポリマー、樹脂(例えば、テルピネオール中の20重量%エチルセルロース溶液)、分散剤、増粘剤、接着促進剤、レオロジー改質剤、界面活性剤(イオン性、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性イオン性界面活性剤(例えば、硫酸イオン、スルホン酸イオン、カルボン酸イオン、リン酸イオン、アンモニウムイオンまたはホスホニウムイオンを含む)が挙げられ、界面活性剤の非限定的例として、ナトリウムジラウレスホスホン酸10(DLP−10)を含む)、濡れ角度改質剤、保湿剤(例えば、グリセロール、エチレングリコール、2−ピロリドン、および1、5−ペンタンジオール)、結晶化抑制剤(例えば、29、000MWPVP)、結合剤、染料/顔料等のような添加剤を1つ以上、これらに限定されないが、自由選択的にさらに含む。接着促進剤の非限定的例を挙げると、シェラック、ラテックス、アクリレート、他のポリマー、金属または主族酸化物(例えばSiO、CuO)がある。接着促進剤のさらなる例について、米国特許第5,750,194号に記載がある。本明細書中、同文献を参照により援用する。さらに、ポリマー(例えば、ポリアム酸ポリマー、アクリルポリマー、PVP、PVPの共重合体(アルカン、スチレンなど)、ポリフルオロシリケートポリマー、ポリフルオリネーテッドテロマー(例えば、E.I.DuPont de Nemours&Co.によって製造されているTELOMER BのようなZONYL(登録商標)製品を含む)、およびスチレンアクリルの共重合体(例えば、JONCRYL(登録商標)という商標の下でJohnson Polymer Corp.から販売されているもの)を用いれば(ただし、これに限定されない)、結合剤(例えば、亜鉛酸化物、チタン酸塩およびシラン)などの物質の場合と同様に、金属粒子および/または金属ナノ粒子のポリマー基板に対する粘着性を向上させることができる。これらの物質は、フィーチャの基板に対する粘着性を増加させ、ならびに水とフィーチャとの相互作用を低減させる機能を有し得、それにより、前記フィーチャの耐久性を高めることができる。前記インク中に凝集促進剤を入れて、フィーチャの反射耐久性を向上させてもよい。
【0036】
レオロジー改質剤の非限定的例を挙げると、SOLTHIX250(Lubrizol)、SOLSPERSE21000(Lubrizol)、スチレンアリルアルコール(SAA)、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、ポリアルキレンカーボネート、エチルニトロセルロース等がある。
【0037】
極性および非極性液体媒体において用いられる分散剤の非限定的例を挙げると、ポリマー、イオン性分散剤、非イオン性分散剤、共重合体、ブロック共重合体、アクリル、スチレンアクリル、スチレン分散剤、ポリエステル、ポリエーテルおよびポリカーボネートの共重合体、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、スチレンアクリルポリマーのアンモニウム塩、重合体カルボン酸、重合体カルボン酸のナトリウム塩、アニオン性重合体界面活性剤、縮合ナフタレンスルホン酸、メチルヒドロキシエチルセルロース、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、ポリ官能オリゴマーの塩、ナトリウムドデシルベンゼン硫酸、アルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールの硫酸エステルのナトリウムまたはアンモニウム塩、カルボキシル化重合体電解質のナトリウム塩、縮合ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、ジスルホン酸のナトリウム塩、ポリアクリル酸ポリアクリル酸のナトリウム塩、重合アルキルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、重合アルキル−アリールスルホン酸のナトリウム塩、重合置換アルキル−アリールスルホン酸のナトリウム塩、重合置換ベンゾイドアルキルスルホン酸のナトリウム塩、ナトリウム四ホウ酸、カルボキシル化重合体電解質アルキルフェノールエトキシレートのアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒドの縮合物、アルコキシル化ノボラックの縮合物スルホコハク酸エステル、ノニルフェノールノボラックエトキシレート、クレゾール−ホルムアルデヒド−シェーファー塩の縮合物、クレゾール−ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、脂肪酸メチルタウリドナトリウム塩、Lyondell CorporationのEthacryl(登録商標)に供給されるEO−PO−EOブロックポリマーのリン酸塩、2、4、6−Tri−(1−フェニルエチル)−フェノールポリグリコールエーテルリン酸エステル、2、4、6−Tri−1(1−フェニルエチル)−フェノールポリグリコールエーテル一リン酸塩トリエタノールアミン塩、4EOのトリ−sec、−ブチルフェノールポリグリコールエーテルリン酸エステル、6EOのアルキルポリグリコールエーテルリン酸エステル、8EOのアルキルポリグリコールエーテルリン酸エステル、2、4、6−Tri−(1−フェニルエチル)−フェノールポリグリコールエーテル硫酸アンモニウム塩、エトキシ化ヒマシ油のスルホコハク酸エステル、マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、および単糖/二糖類、EO−PO−アクリルポリマー、ナトリウムまたはアンモニウム塩がある。いくつかの実施形態において、前記分散剤は、ポリアクリル酸のアンモニウム塩、スチレンアクリルポリマーのアンモニウム塩、縮合ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、重合アルキルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩、EO−PO−EOブロックポリマーのリン酸塩、EO−PO−アクリルポリマーのナトリウム塩、およびEO−PO−アクリルポリマーのアンモニウム塩からなる群から選択される。好適な実施形態において、前記分散剤はポリビニルピロリドン(PVP)を含む。
【0038】
前記組成物は、セラミック粒子を自由選択的にさらに含む。いくつかの実施形態において、本発明の組成物において用いられるセラミック粒子は、前記セラミック粒子の堆積先となる基板の層、例えば、pシリコンウェハの保護層をエッチングする。前記セラミック粒子は、例えば、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ルテニウム、スズ、セリウム、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、ホウ素、リチウム、およびリンのうちの少なくとも1つの酸化物を含む。いくつかの実施形態において、前記セラミック粒子は、複数の金属酸化物の混合物を含む。前記セラミック粒子は、自由選択的にセラミックナノ粒子である。いくつかの実施形態において、前記セラミック粒子の一次粒径は、約10ナノメートル〜100ナノメートル未満、典型的には約10ナノメートル〜約50ナノメートルのように約10ナノメートル〜約80ナノメートル、または例えば、約30ナノメートル〜約50ナノメートルのように約20ナノメートル〜約60ナノメートルである。本明細書中、粒径とは重量平均粒径を意味する。他の実施形態において、前記セラミック粒子の粒径分布は、前記粒子の少なくとも90重量パーセントが例えば、1μm未満のように2μm未満のサイズを有するような、粒径分布である。さらに、自由選択の実施形態において、前記セラミック粒子は少量のミクロンサイズの粒子を含む。例えば、前記粒子は、自由選択的に、前記粒子の少なくとも1重量パーセント、例えば少なくとも5重量パーセントまたは少なくとも10重量パーセントのサイズが1μmよりも大きいような、粒径分布を有する。
【0039】
いくつかの特定の実施形態において、前記組成物は、1〜90重量%の金属ナノ粒子(例えば、10〜90重量%、40〜90重量%、70〜90重量%、1〜20重量%、1〜10重量%、5〜20重量%、および5〜15重量%)と、0.1〜5重量%のポリビニルピロリドン(例えば、0.1〜1重量%、1〜5重量%、および2〜5重量%、平均分子量=29、000)と、40〜80重量%の水(例えば、40〜50重量%、40〜60重量%、および50〜80%)と、0〜50重量%のグリセロール(例えば、0〜20重量%、10〜40重量%、および20〜50重量%)と、0.01〜1.5重量%のDLP−10(例えば、0.01〜1重量%、0.5〜1.5重量%、および0.9〜1.5重量%)とを含む。自由選択の実施形態において、前記組成物は、水(例えば、40〜80重量%)と、グリセロール(例えば、0〜60重量%)と、界面活性剤(例えば0〜10重量%、例えばDLP−10)と、緩衝剤(例えば0〜2重量%、例えば水酸化アンモニウム)とを組み合わせて用いることにより、配合することができる。前記組成物はまた、水(例えば84重量%)と、2−ピロリジノン(例えば2重量%)と、尿素(例えば0.2重量%)と、グリセリン(例えば2.1重量%)と、ジエチレングリコール(例えば7.5重量%と、SURFYNOL(登録商標)104E(例えば0.2重量%)とを組み合わせて用いることにより、自由選択的に配合することもできる。前記組成物はまた、水(例えば85重量%)と、2−ピロリジノン(例えば2重量%)と、グリセリン(例えば2重量%)と、ジエチレングリコール(例えば2重量%)と、イソプロピルアルコール(例えば5重量%)とを組み合わせて用いることにより、自由選択的に配合することもできる。
【0040】
さらに、前記組成物は、米国特許第5,662,286号、第5,624,485号、第4,567,213号、第4,390,369号、第5,662,736号、第5,596,027号、第5,786,410号、第5,643,356号、第5,642,141号に記載の方法に従って自由選択的に配合することもできる。本明細書中、同文献全体を参照により援用する。また、前記組成物は、PCT出願番号第WO94/03546号に記載の方法に従って自由選択的に配合することもできる。本明細書中、同文献全体を参照により援用する。最後に、前記組成物は、欧州特許出願番号第EP0745479号、第EP0805192号、第EP0745651号、および第EP0952195号に記載の方法に従って自由選択的に配合することもできる。本明細書中、同文献全体を参照により援用する。
【0041】
配合すると、本発明によるいくつかの実施形態において、前記組成物の粘度は、約5,000cPよりも高く、例えば、7,000cPよりも高く、10,000cPよりも高い。上記の粘度の組成物は、特に、本発明の自由選択のスクリーン印刷実施形態において有用である。他の実施形態において、前記組成物の粘度は約100cP未満(例えば、約50cP未満、約10cP未満、約5cP未満および約1cP未満)である。さらに他の実施形態において、前記組成物の粘度は約50cP〜約300cP、例えば、約50cP〜約200cPおよび約50〜約100cPである。本発明の第1の態様によるいくつかの実施形態において、前記組成物の表面張力は、約20ダイン/cm〜約60ダイン/cm、例えば、約20ダイン/cm〜約40ダイン/cmである。
【0042】
(基板)
本発明による組成物は、低温で堆積させ、光起電性の導電性フィーチャに変換することができ、これにより、融解温度または分解温度が比較的低いさまざまな基板の使用が可能となる。本発明において特に有用となる基板の種類を挙げると、ポリフルオロ化化合物、ポリイミド、エポキシ(ガラス充填エポキシを含む)、ポリカーボネートおよび多くの他のポリマーがある。いくつかの実施形態において、基板はまた、セルロースベースの材料(例えば木材または紙)、アセテート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル、ブタジエン(ABS)、フレキシブルファイバボード、不織重合体布、布、金属箔および肉薄ガラスを含んでもよい。
【0043】
好適な基板を挙げると、保護層(例えば、シリコン層上に配置された窒化ケイ素層)を含む基板がある。基板全体の粗さは好適には、下層シリコン層の表面粗さよりも高いとよく、これにより、入射光が前記基板から反射されずに前記基板によって容易に吸収されて、これにより光起電性のフィーチャの効率を最大化することができる。前記保護層は好適には肉薄にするとよく、これにより、本発明による必要なエッチングの程度を最低限にすることができる。いくつかの例示的実施形態において、前記保護層の平均厚さは、80nm未満、例えば70nm未満または未満60nm未満である。
【0044】
好適な実施形態において、前記基板は、pシリコンウェハ上に配置された保護層を含む。図1に示すように、従来の光電池は、nドープシリコンウェハを含む第1の層と、pドープシリコンウェハを含む第2の層とを含む。そのため、前記基板は、その上に配置されたnドープシリコンウェハおよびpドープシリコンウェハ双方を自由選択的に含む。
【0045】
別の態様において、前記基板は、可撓性基板(具体的には、可撓性の薄膜太陽電池の形成に適した可撓性基板)を含む。可撓性基板の数例を非限定的に挙げると、可撓性ポリマー、Mylar(登録商標)、Melinex(登録商標)およびTeijin(登録商標)の商標下で提供されているポリエステル(登録商標)、肉薄金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム)、およびKapton(登録商標)のようなより高温の膜がある。この態様において、前記基板は典型的には保護層を含まない。その結果、本発明のこれらの態様における受理層の主な目的は、保護層のエッチングのためではなく導電性フィーチャの形成のために堆積される組成物の拡散を抑制することである。本発明のこの態様によれば、200μm未満、例えば100μm未満、75μm未満または50μm未満の線幅が達成され得る。これらの線の厚さは、硬質シリコンウェハ基板の場合にも、達成可能である。
【0046】
(表面改質材料)
本発明のプロセスは、いくつかの実施形態において、上記の組成物を堆積させる前に、基板の少なくとも一部の上に表面改質材料を堆積させるステップを含む。表面改質材料の機能の1つは、組成物を基板上に堆積させた後に前記組成物が拡散するのを抑制することである。前記組成物の拡散の抑制は、例えば、前記表面改質材料と、前記金属ナノ粒子および/または前記金属に対する前記金属前駆体のいずれかまたは両方(上に示すように、いずれかまたは両方が前記組成物内に存在し得る)との間の静電相互作用により、行われる。このような静電相互作用は、以下により詳細に説明するように、好適には前記金属ナノ粒子の凝集を発生させる。前記組成物が前記金属に対する金属前駆体を含む場合、このような静電相互作用により、前記金属に対する前記金属前駆体から金属を沈殿させることができる。この態様において、前記表面改質材料は、前記金属前駆体の前記金属への変換を促進する還元剤として機能し得る。自由選択的に、前記表面改質材料は、適切な処理(例えば加熱)後に保護層をエッチングする化学成分(例えば、塩およびセラミック粒子)を含む。このような化学成分を以下エッチャントと呼ぶ。前記表面改質材料が前記保護層をエッチングすると、エッチングされた領域を形成し、前記組成物は、このエッチングされた領域上に自由選択的に堆積される。そのため、前記光起電部が前記組成物から形成されると、前記光起電部は、下側層、例えばnシリコン層と電気接触する。例えば組成物の堆積の前に受理層による基板のエッチングを行ういくつかの実施形態において、エッチングされた領域の境界または壁により、組成物が拡散するのを抑制することが望ましい。したがって、上に示したように、本発明のいくつかの実施形態によれば、表面改質材料および/または組成物のいずれかまたは双方が、基板の保護層を貫いてエッチングする。
【0047】
前記表面改質材料は、塩または複数の塩を自由選択的に含む。いくつかの実施形態において、前記塩は、イオン性ポリマー(すなわち、対アニオン性イオンまたは対カチオン性イオンをそれぞれ含むカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマー)であり、カチオン性ポリマーが好適である。一実施形態において、前記塩は、有機塩、好適にはフッ化物を含む有機塩を含む。例を挙げると、トリフルオロ酢酸(TFA)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(HFAC)、Fluorad(登録商標)およびZonyl(登録商標)など、Dupontおよび3M双方によって提供されているカルボキシレートおよびスルホネートフルオロ界面活性剤材料を含むリン酸塩がある。他のリン酸塩含有材料を挙げると、アルコールおよび脂肪アルコールのリン酸エステルがある。本発明において考えられた例示的なカチオン性ポリマーを挙げると、ポリエチレンイミン、ポリ塩化アリル、ポリビニルピロリドンのアンモニウム塩、またはその混合物からなる群から選択されたポリマーのカチオン性ポリマーがある。テトラカプリルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム塩が用いられ得る。他の実施形態において、前記塩は非重合体塩を含む。例示的な非重合体は金属塩および非金属塩を含み、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、およびアセテートを含む。例示的なスルホネートを挙げると、ナトリウムトリフルオロメタンスルホネート、アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、銀トリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロアセテートがある。例示的なリン酸塩を挙げると、アンモニウムリン酸塩、リン酸二水素、およびリン酸一水素がある。例示的な硝酸塩を挙げると、銀硝酸塩および上記ポリマーの塩がある。例示的なアセテートを挙げると、トリフルオロアセテート、上記ポリマーのアセテート塩、およびアンモニウムアセテートがある。
【0048】
前記組成物が金属ナノ粒子を含む場合、前記塩は望ましくは、前記金属粒子を凝集させることができるとよい。いくつかの場合において前記金属ナノ粒子の凝集が望ましい理由としては、このような凝集により、表面改質材料の少なくとも一部上に組成物を堆積させた際の前記組成物の拡散量が低減するからである。光起電フィーチャの金属密度が高いほど、前記光起電性部の多孔度は低くなり、その結果、前記光起電フィーチャ内の線抵抗が低くなる。
【0049】
組成物が金属に対する金属前駆体を含む場合、受理層からの塩に起因して、前記金属前駆体から金属を沈殿させることができる。前記金属前駆体の熱分解の結果、前記金属が形成され得る。したがって、この態様において、前記塩は、前記金属前駆体に対する還元剤として機能し得る。いくつかの場合において金属に対する金属前駆体から前記金属が析出することが望ましいが、それは、このような析出により、前記金属前駆体を含む組成物の拡散が抑制され、また、所望の導電性フィーチャ(例えばグリッド電極パターン)を形成する導電性相を形成するからである。
【0050】
いくつかの実施形態において、前記塩は、保護層をエッチングする副生成物を生成することができる。副生成物を生成するのに有効な条件下で表面改質材料を加熱することにより、副生成物が生成され得、その結果、保護層がエッチングされる。前記表面改質材料の加熱は、組成物を堆積させるステップの前(であるが表面改質材料の堆積の後)において行ってもよいし、あるいは、前記組成物の堆積ステップの後のステップにおいて行ってもよい。あるいは、前記表面改質材料を加熱するステップは、組成物を加熱して、光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物により形成するステップと同時に、自由選択的に行ってもよい。いくつかの実施形態において、例えば炉、加熱ランプおよび/またはレーザのような光源によって前記表面改質材料を約50℃〜約300℃、例えば約100℃〜約200℃、約100℃〜約150℃の温度まで加熱して副生成物を形成する。例えばフッ素化材料の場合、約300〜約600℃のように温度を300℃よりも高くすることも可能である。
【0051】
いかなる特定の理論にも縛られないが、表面改質材料がフッ素含有塩またはリン酸塩含有塩を含む場合、前記表面改質材料の加熱時に、フッ化物またはリン酸などの副生成物がそれぞれ発生すると考えられる。フッ化物またはリン酸副生成物は、いくつかの状況において、保護層をエッチングすることができる。例示的なフッ化物含有塩を上に挙げているが、リン酸塩含有塩の非限定的例には、上記に挙げたリン酸塩のうちいずれもが含まれる。
【0052】
さらなる実施形態において、前記表面改質材料は重合体材料であり得る。このような材料は、その主要目的が、適切なコーティングを生成することで、組成物の調製のために表面を改質することである場合、エマルション、ラッカー、エナメルとして塗布可能であり、熱可塑性または熱架橋し得る。この表面改質ポリマー処方は、およびエッチャント(例えば、塩および/またはセラミック粒子)を自由選択的に含む。材料は好適には、アクリレート、エポキシ、ビニル、ポリエステル、シロキサン、または直接描画方法によって印刷されるかまたは当該分野において公知の手段によってコーティングされる任意のポリマーコーティングからなる群から選択される。
【0053】
別の実施形態において、前記表面改質材料は、紫外線硬化材料を含む。前記紫外線硬化材料は好適には、アクリレート、メタクリル樹脂、ビニルエーテルおよびエポキシからなる群から選択される。前記紫外線硬化材料は、エッチャント(例えば、塩および/またはセラミック粒子)を自由選択的に含む。前記紫外線硬化材料は、波長が約250nm〜約400nmである紫外線源を用いて、硬化させることができる。前記硬化後材料は好適には、組成物の堆積後に前記組成物が拡散するのを抑制するのに適した表面エネルギーを有する。前記紫外線硬化材料がエッチャントを含む場合、前記材料の硬化後、前記保護層をエッチングするのに有効な条件下で前記材料を自由選択的に加熱する。前記硬化後材料が加熱される際、前記エッチャントは、前記保護層をエッチングして、エッチングされた領域を形成する。その後、前記エッチングされた領域上に前記組成物を自由選択的に堆積させることができる。そのようにして、前記組成物から前記光起電性部を形成すると、前記光起電性部は前記下側層、例えばnシリコン層と電気接触する。
【0054】
さらなる実施形態において、前記UV硬化性インクは、導体および/またはエッチャント材料を含み得、これにより、連続的な印刷および硬化を通じて、フィーチャの線幅の拡散を大幅に増加させることなく、印刷層の厚さを増加させることができる。
【0055】
別の実施形態において、利用可能な表面官能基との表面終端を反応により形成する分子との反応により、基板表面を改質することができる。このような反応の一例として、シリル化剤(例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシリル塩化物、トリメチルシリルアミド)による表面ヒドロキシル(−OH)、アミン(−NH2)またはイミン(−NH)基との反応があり、この反応により結合表面トリメチルシリル基が形成される。表面終端が極性表面官能基(例えば水酸化物)から非極性表面官能基へと変化すると、表面特性が疎水性から親水性へと変化し、これにより、金属および/またはエッチャント粒子を含む低粘度インクの濡れが、または機能性が向上する。この表面改質は、基板を気相における表面改質剤に露出させることにより(すなわち、気体分子、固体表面反応を通じて)さまざまな異なる方法で行うことができ、あるいは、前記表面改質剤を純粋な状態でまたは溶液中で液体として送達してもよい。
【0056】
さまざまな実施形態において、本発明の表面改質材料は、塩である場合であれまたは紫外線硬化材料である場合であれ、一旦光起電性の導電性フィーチャを形成すると残留させることができ、前記導電性フィーチャの形成プロセス時に除去することができ、あるいは、前記導電性フィーチャの形成後に除去することもできる。例えば、金属ナノ粒子および/または前記金属に対する金属前駆体を含む組成物は、比較的揮発性である塩(例えばアンモニウムアセテート)を含む表面改質材料の少なくとも一部上に堆積させることができる。その後、光起電性の導電性フィーチャの形成(例えば加熱)および/または(例えば、前記組成物中および/または前記表面改質材料中のいずれかにおいて存在するエッチャントによる)前記基板のエッチングにおいて有効な条件下で、前記基板を処理することができる。前記光起電性部の形成および/または前記基板のエッチングにおいて有効な同一条件において、例えば気化により前記表面改質材料を除去することができ、これにより、光起電性の導電性フィーチャを含む基板を得ることができる。この基板は、前記表面改質材料を実質的に含まない。
【0057】
(光起電性の導電性フィーチャの形成および特性)
基板上への堆積後、前記金属ナノ粒子および/または前記金属に対する前記金属前駆体を含む前記組成物は、前記組成物が光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を形成するように、処理される。前記処理は、複数のステップを含んでもよいし、あるいは、前記組成物を高速加熱し、光起電性の導電性フィーチャの形成のために十分な時間にわたって変換温度に保持する場合、単一段階で行ってもよい。加熱は、炉、光源(例えば、加熱ランプおよび/またはレーザ)を用いて達成することができる。前記光起電性の導電性フィーチャは、その形成後、後処理することができる。例えば、レーザ処理等により、存在する相の結晶化度を増加させることができる。前記後処理において、電子フィーチャの洗浄および/または封入あるいは他の改質を含めてもよい。
【0058】
一態様において、前記組成物を堆積させる前に、前記表面改質材料に対し、処理、例えば加熱、または紫外線露光(前記表面改質材料が紫外線硬化材料である場合)を行う。その後、後続の処理ステップにおいて前記組成物を処理、例えば加熱する。別の実施形態において、前記表面改質材料を堆積させ、中間処理、例えば加熱ステップ無しに前記組成物を堆積させる。この後者の実施形態において、前記処理、例えば加熱ステップは好適には、前記表面改質材料および前記組成物双方を堆積させた後に行うとよい。したがって、この態様においては、前記表面改質材料および前記組成物双方を単一の加熱ステップにおいて加熱する。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記光起電性の導電性フィーチャを形成し、および/またはエッチャントによる前記基板のエッチングを発生させる処理は、前記組成物を約400℃〜約1000℃、例えば約700℃〜約1000℃、約750℃〜約900℃の温度で加熱して、前記光起電性の導電性フィーチャを前記基板上に形成し、および/または、前記基板をエッチングすることが含まれる。上記した温度において前記組成物を加熱すると、好適には前記金属ナノ粒子が焼結し、これにより、均等かつ高密度の金属相が得られる。前記粒子がセラミック材料を含む場合、その結果得られた光起電性部は、金属粒子のパーコレーションネットワークだけでなくセラミック材料も含む。前記組成物が前記金属に対する金属前駆体を含む場合、前記組成物を上記した温度で加熱すると、前記金属が形成され、これにより、前記光起電性部が得られる。
【0060】
いくつかの実施形態において、組成物の加熱中に、金属ナノ粒子上に存在するセラミック材料によりエッチングすることが可能な層、例えば、nシリコンウェハ上の窒化ケイ素層のような保護層を含む基板上に、光起電性の導電性フィーチャを堆積させる。
【0061】
前記粒子がセラミック材料を含む場合、本発明の組成物およびプロセスは、従来の光起電性の導電性フィーチャよりもセラミック含量が少ない光起電性部を形成する能力を提供する。好適な実施形態において、前記導電性フィーチャ中に、前記セラミック材料は10重量%未満、例えば5重量%未満、2重量%未満、および1重量%未満の量で存在する。セラミック含量が比較的低いため、本発明の組成物およびプロセスは、従来の光起電性の導電性フィーチャよりも導電性が向上した光起電性の導電性フィーチャを形成する能力を提供する。例えば、いくつかの例示的かつ好適な実施形態において、前記パーコレーションネットワークの抵抗は、前記金属のバルク抵抗の5倍未満、例えば前記金属のバルク抵抗の3倍未満、2倍未満、または1.5倍未満である。いくつかの実施形態において、前記パーコレーションネットワークの抵抗は8μΩ・cm未満、例えば5μΩ・cm未満、または2μΩ・cm未満である。
【0062】
本発明によるいくつかの実施形態において、前記導電性フィーチャの厚さは0.5μmよりも大きい、例えば1μmよりも大きいかまたは5μmよりも大きい。このような肉厚の導電性フィーチャは、例えば前記組成物を複数回印刷することにより形成され得る。他の実施形態において、前記導電性フィーチャの厚さは、約50nm〜約1μm、例えば約50nm〜約200nm、および約100nm〜約500nmである。いくつかの実施形態において、前記導電性フィーチャは、1組のフィンガーラインと、前記フィンガーラインに対して実質的に直角に堆積されたバスバーとを含む。特定の印刷プロセス(例えばインクジェットプロセス)を用いた場合、線幅が比較的細い導電性フィーチャが形成され得る。いくつかの実施形態において、例えば、平行フィンガーラインまたはコレクターラインのいずれかまたは双方の幅は、200μm未満、100μm未満、または50μm未満である。
【0063】
本発明の実施形態の光起電性の導電性フィーチャ中に含まれる金属は、金属ナノ粒子に由来する場合、および/または前記金属に対する金属前駆体に由来する場合、銀、銅、金、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト、亜鉛、モリブデン、タングステン、ルテニウム、チタン、およびその合金から自由選択的に選択される。いくつかの実施形態において、前記金属は、ルテニウム、チタン、およびその合金から選択される。前記粒子がセラミック材料を含む場合、本発明の実施形態の光起電性の導電性フィーチャ中に含まれるセラミック材料は、複数の金属酸化物の混合物、例えばシリコン、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ルテニウム、スズおよびセリウムから選択された少なくとも1つの元素の酸化物を含むセラミック材料から選択される。他の実施形態において、前記セラミック材料は、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ルテニウム、スズおよびセリウムから選択された少なくとも1つの元素の2つ以上の酸化物を含む。さらに他の実施形態において、前記セラミック材料は、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、リンおよびホウ素から選択された少なくとも1つの元素の酸化物を含む。他の実施形態において、前記セラミック材料は、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、リンおよびホウ素から選択された少なくとも1つの元素の2つ以上の酸化物を含む。好適には、前記光起電性のフィーチャ中に含まれる金属は銀を含み、前記セラミック材料は、シリカ、ビスマス、または鉛を含む。
【0064】
前記金属ナノ粒子の性質および前記金属に対する金属前駆体の性質(それらが存在する場合)に応じて、光起電性の導電性フィーチャ以外の導電性フィーチャを、本明細書中記載のプロセスを用いて作製することができる。したがって、例えば、本発明のプロセスを用いて、光学用途、電子用途、ディスプレイ用途および燃料電池用途において使用可能な導電性フィーチャを製造することができる。例えば、2006年5月31日に出願された米国シリアル番号第11/443,131号,2006年1月13日に出願された米国第11/331,231号、2006年1月13日に出願された米国第11/331,186号、2006年1月13日に出願された米国第11/331,237号、2006年1月13日に出願された米国第11/331,190号、2006年1月13日に出願された米国第11/331,239号、2006年1月13日に出願された米国第11/331,187号、および2002年10月4日に出願された米国第10/265,179号を参照されたい。本明細書中、これらの文献全てを参照により援用する。
【0065】
特定の実施形態を参照することにより、本発明を説明および例示したが、当業者であれば、本発明において、必ずしも本明細書中に例示されているわけではない改変が可能であることを理解する。この理由により、本発明の真の範囲を決定するためには、添付の特許請求の範囲のみが参照されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電性の導電性フィーチャを形成するプロセスであって、
(a)シリコン層上に配置された保護層を含む基板を提供するステップと、
(b)紫外線硬化性材料を含む表面改質材料を堆積させるステップと、
(c)前記紫外線硬化性材料を硬化させて硬化材料を形成するステップと、
(d)前記硬化材料のうち少なくとも一部の上に、金属または前記金属に対する金属前駆体を含む金属ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む組成物を堆積させるステップと、
(e)前記硬化材料または前記組成物のうち少なくとも1つが前記保護層の一領域をエッチングし、かつ、前記シリコン層と電気接触する光起電性の導電性フィーチャの少なくとも一部を前記組成物が形成するように、前記硬化材料および前記組成物を加熱するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記硬化材料が、前記組成物の拡散を抑制する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記硬化材料は、前記保護層をエッチングしてエッチングされた領域を形成するエッチャントを含み、前記組成物は、前記エッチングされた領域上に堆積される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記表面改質材料を硬化させるステップは、前記組成物を加熱するステップと同時に行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記紫外線硬化性材料は、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテルおよびエポキシからなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記組成物は、前記表面改質材料のうち少なくとも一部の上に堆積される、前記請求項のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項7】
前記組成物は前記金属ナノ粒子を含む、前記請求項のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項8】
前記金属ナノ粒子は、連続的なまたは非連続的なキャップまたはコーティングを前記金属ナノ粒子の上に含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記キャップまたはコーティングは、有機キャップまたはコーティング、ポリマー、真性導電性のポリマー、スルホン化パーフルオロハイドロカーボンポリマー、ポリスチレン、ポリスチレン/メタクリレート、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)スルホサクシネート、テトラ−n−オクチル−臭化アンモニウム、アルカンチオレートまたはPVPを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記キャップまたはコーティングはセラミック材料を含み、前記セラミック材料は複数の金属酸化物の混合物を含み、前記金属酸化物のうち少なくとも1つは、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ルテニウム、スズ、セリウム、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、ホウ素、リチウムまたはリンの酸化物を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記キャップまたはコーティングはガラスを含み、前記金属は銀を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記組成物は前記金属前駆体を含む、前記請求項のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項13】
前記組成物は、金属ナノ粒子を実質的に含まない、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記金属前駆体はアニオンを含み、前記アニオンは前記保護層をエッチングする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記金属は、銀、銅、金、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト、亜鉛、モリブデン、タングステン、ルテニウム、チタン、およびその合金からなる群から選択される、請求項1から10および12〜14のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項16】
前記表面改質材料および前記組成物のうち少なくとも1つは、セラミック粒子をさらに含み、前記セラミック粒子は複数の金属酸化物の混合物を含み、前記金属酸化物のうち少なくとも1つは、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ルテニウム、スズ、セリウム、鉛、ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、ビスマス、ホウ素、リチウムまたはリンの酸化物を含む、前記請求項のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項17】
前記光起電性の導電性フィーチャは、1組のフィンガーライン、および前記フィンガーラインに対して実質的に直角に堆積されたバスバーを含み、前記平行フィンガーラインの幅は200μm未満であり、前記光起電性の導電性フィーチャの厚さは0.5μmよりも大きい、前記請求項のいずれか1つに記載のプロセス。
【請求項18】
前記組成物は、リソグラフィー印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、光パターニング印刷、ドロップオンデマンド印刷、シリンジ印刷およびエアロゾル噴射、スクリーン印刷、直接描画印刷およびインクジェット印刷からなる群から選択された方法により堆積される、前記請求項のいずれか1つに記載のプロセス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−507233(P2011−507233A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536946(P2010−536946)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/013458
【国際公開番号】WO2009/075805
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】