説明

複数の作業ポートを有する操作可能な多関節装置

【課題】操作可能な多関節装置を提案する。
【解決手段】装置には、第1の多関節機構12(複数の連結部を有する機構)および第2の多関節機構14が含まれる。前記第1の機構には、第1の複数の溝が形成されている。前記第2の機構には、第2の複数の溝が形成されている。前記第1の複数の溝および前記第2の複数の溝は協動して当該装置の長手方向に沿って少なくとも2つの作業ポートを形成する。前記第1の機構および前記第2の機構の少なくとも1つは操作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年8月14日付けで出願された米国仮特許出願第60/822,280号の優先権を主張するものである。また本願は、2006年10月24日付で出願された米国仮特許出願第60/862,636号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、全体として、また種々の実施形態において、複数の作業ポートを有する操作可能な多関節(連結部が複数ある)装置(steerable multi−linked device)に関連する発明について開示している。
【背景技術】
【0003】
操作可能な多関節装置は多種存在し、そのような装置は、いくつかの用途で利用されている。それら用途の一部では、複数の装置(カメラ、光ファイバー、手術用具など)を、操作可能な多関節装置の第1の端部から、当該装置の第2の端部へ渡すことが望ましい。操作可能な多関節装置の一部は、当該装置の一端から当該装置の他端へ延在する中心経路を画成するが、そのような中心経路は、一般にただ1つの装置を通過させるよう構成されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
全般的な1つの観点において、本願は、操作可能な多関節装置について開示している。種々の実施形態によれば、本装置には、第1の多関節機構(複数の連結部を有する機構)および第2の多関節機構が含まれる。前記第1の多関節機構は、第1の複数の溝を画成する。前記第2の多関節機構は、第2の複数の溝を画成する。前記第1の複数の溝および前記第2の複数の溝は協動し、当該装置の長手方向に沿って少なくとも2つの作業ポートを画成する。前記第1の機構および前記第2の機構の少なくとも一方は、操作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書では、本発明の種々の実施形態を、以下の図と併せ、例をとって説明している。
【図1A】図1Aおよび1Bは、操作可能な多関節装置の種々の実施形態を例示した図である。
【図1B】図1Aおよび1Bは、操作可能な多関節装置の種々の実施形態を例示した図である。
【図2】図2は、図1の装置の第1の機構の種々の実施形態を例示した図である。
【図3A】図3A〜3Cは、図2の第1の機構の第1の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図3B】図3A〜3Cは、図2の第1の機構の第1の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図3C】図3A〜3Cは、図2の第1の機構の第1の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図4A】図4A〜4Cは、図2の第1の機構の中間連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図4B】図4A〜4Cは、図2の第1の機構の中間連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図4C】図4A〜4Cは、図2の第1の機構の中間連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図5A】図5A〜5Cは、図2の第1の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図5B】図5A〜5Cは、図2の第1の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図5C】図5A〜5Cは、図2の第1の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図6】図6は、図1の装置の第2の機構の種々の実施形態を例示した図である。
【図7A】図7A〜7Cは、図6の第2の機構の第1の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図7B】図7A〜7Cは、図6の第2の機構の第1の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図7C】図7A〜7Cは、図6の第2の機構の第1の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図8A】図8A〜8Cは、図6の第2の機構の中間連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図8B】図8A〜8Cは、図6の第2の機構の中間連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図8C】図8A〜8Cは、図6の第2の機構の中間連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図9A】図9A〜9Dは、図6の第2の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図9B】図9A〜9Dは、図6の第2の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図9C】図9A〜9Dは、図6の第2の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図9D】図9A〜9Dは、図6の第2の機構の第2の連結部の種々の実施形態を例示した図である。
【図10】図10は、図1の装置の動きのシーケンスの種々の実施形態を例示した図である。
【図11】図11は、曲率の小さい経路を移動している状態の操作可能な多関節装置の種々の実施形態を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の図および説明の少なくとも一部は、本発明の明確な理解を助けるため重要な要素に主眼を置き、一方、明瞭化のため、当業者であれば本発明の一部を構成すると理解する他の要素を排除するため、単純化されていることが理解される。ただし、そのような要素は当該技術分野でよく知られており、また必ずしも本発明の理解を促進するわけではないため、本明細書では説明していない。
【0007】
図1Aおよび1Bは、操作可能な多関節装置10の種々の実施形態を例示したものである。本明細書における用語「操作可能な」(steerable)とは、この装置10の端部が、この装置10の別の一部に対し、いくつかの方向(上下左右など)に誘導可能なことを意味する。この装置10の種々の実施形態は、医療処置(低侵襲的処置など)、監視用途、検査用途、探索、救助用途などに利用できる。以下本明細書では、明瞭化するという目的のみにおいて、当該装置10の実用性について、医療処置へ適用される場合を想定して説明する。ただし、当業者であれば、この装置10が様々な異なる用途で利用可能なことが理解されるであろう。
【0008】
前記装置10は、第1の機構12および第2の機構14を有する。種々の実施形態によれば、前記第2の機構14は、図1Bに示すように、前記第1の機構12を受容しこれを取り囲むよう構築および構成されている。このような実施形態の場合、前記第1の機構12は内部機構またはコア機構、前記第2の機構14は外部機構またはスリーブ機構と見なすことができる。他の実施形態によれば、これら第1の機構12および第2の機構14は、同軸関係以外の関係を有するよう構築および構成することができる。例えば当業者であれば、種々の実施形態に従い、前記第1の機構12および前記第2の機構14が、並列式(横並び)の構成で動作し、当該第1の機構12が当該第2の機構14の調整動作を行うよう、構築および構成できることが理解されるであろう。以下詳述するように、前記第1の機構12は剛性モードまたは柔軟モードで動作し、前記第2の機構14も剛性モードまたは柔軟モードで動作し、これら第1の機構12および第2の機構14は互いに独立して動作できる。
【0009】
本明細書における用語「柔軟な」(limp)は、高度に柔軟であることを意味する。そのため、前記第1の機構12または前記第2の機構14が柔軟モードの場合、その柔軟機構は、その周囲と同じ形状になり、または再成形が可能である。なお、本明細書における用語「柔軟な」は、重力および環境形状に応じて受動的に特定の構成になる構造を示さないことに注意すべきである。むしろ、前記第1の機構12または前記第2の機構14が柔軟モードの場合、柔軟機構は、本装置10の作業者が希望する配置および構成を取ることが可能である。従って、弛緩した受動的なものではなく連接され制御されるものである。
【0010】
前記第1の機構12および前記第2の機構14は、どちらも操作可能な機構であってよい。そのため、当該装置10を利用すると、管腔空間および空洞内空間の任意の3次元経路をナビゲートできることが理解されるであろう。当該装置10は、第1のケーブル16と、第2のケーブル18と、第3のケーブル20と、第4のケーブル22とを有することもできる。前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20はステアリングケーブル、前記第4のケーブル22は、張力調整ケーブル(テンショニングケーブル)と見なすことができる。
【0011】
図2は、前記装置10の前記第1の機構12の種々の実施形態を例示したものである。この第1の機構12は多関節機構であり、第1の端部24および第2の端部26を含む。前記第1の端部24は近端、また前記第2の端部26は遠端と見なすことができる。この第1の機構12は、第1の連結部28と、第2の連結部30と、これら第1の連結部28および第2の連結部30の間の任意数の中間連結部32とを有する。前記第1の連結部28は近位の連結部、また前記第2の連結部30は遠位の連結部と見なすことができる。
【0012】
図3A〜3Cは、前記第1の機構12の前記第1の連結部28(内部の近位連結部)の種々の実施形態を例示したものである。この第1の連結部28は、第1の端部34および第2の端部36を含み、図3Bに示すように、前記第1の連結部28には前記第1の端部34の中心および前記第2の端部36の中心を貫通する長手方向の軸38が形成されている。この第1の連結部28は、任意の適切な材料で製作できる。種々の実施形態によれば、この第1の連結部28は、G10/FR4 Garolite(登録商標)などの繊維強化材料で製作される。外側が略円柱形であるこの第1の連結部28については、以降より詳しく説明する。
【0013】
前記第1の連結部28は、第1の部分40および第2の部分42を有する。前記第1の部分40は近位の部分、また前記第2の部分42は遠位の部分と見なすことができる。前記第1の部分40は、前記第2の部分42と一体的に作製できる。前記第1の部分40は、外側が円柱形で、当該第1の連結部28の前記第1の端部34から当該第1の連結部28の前記第2の端部36へと延長する。種々の実施形態によれば、この第1の部分40の直径は、約6.35ミリメートルのオーダーである。
【0014】
前記第2の部分42は、外側が略円柱形である。この第2の部分42は、外側が円柱形になっている部分で前記第1の部分40に接触し、当該第1の連結部28の前記第2の端部36へ向かってテーパーがかかっている。この第2の部分42は、当該第1の連結部28の前記第2の端部36において、全体として、分割(セグメント化)された半球の形態に成形できる。種々の実施形態によれば、この第2の部分42の直径は、前記第1の部分40に接触する位置で、約4.75ミリメートルのオーダーである。
【0015】
前記第2の部分42は、第1の表面44を有する。この第1の表面44は、当該第2の部分42の外面と見なすことができる。当該第2の部分42には、前記第1の表面44に沿って前記長手方向の軸38に平行な第1の溝46と、前記第1の表面44に沿って前記長手方向の軸38に平行な第2の溝48と、前記第1の表面44に沿って前記長手方向の軸38に平行な第3の溝50とが形成されている。これら第1の溝46、第2の溝48、第3の溝50は、それぞれ前記第1の表面44に沿って、当該第1の連結部28の前記第2の端部36へと延在する。これら第1の溝46、第2の溝48、第3の溝50は半管形にでき、図3Cに示すように、当該第1の連結部28の前記第2の部分42の前記第1の表面44に沿って均等に離間できる。種々の実施形態によれば、前記第1の溝46、前記第2の溝48、前記第3の溝50は、分割された円筒形状に構成できる。これら溝46、48、50の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記第1の溝46および第2の溝48は、約1.25ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部(セグメント)として構成され、前記第3の溝50は、約2.50ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部として構成される。当該第1の連結部28の長さは、約65ミリメートルのオーダーにできる。ただし当業者であれば、この第1の連結部28の長さは用途に基づいて異なってよいことが理解されるであろう。
【0016】
また、当該第1の連結部28には、図3Bに示すように、前記第1の端部34から前記第2の端部36へ前記長手方向の軸38に沿って延在する経路52が形成されている。この経路52は、その中を前記第4のケーブル22が貫通できるようにする上で十分なサイズのものである。種々の実施形態によれば、前記経路52は、全体として複雑な形状に構成され、この形状は、前記第1の端部34から前記第2の端部36へ延長する第1の円筒形54と、前記第1の円筒形54から前記第2の端部36へ延長する第2の円筒形56との組み合わせを有する。前記第1の円筒形54の直径は、前記第2の円筒形56の直径より大きい。例えば種々の実施形態によれば、前記第1の円筒形54の直径は、約3.20ミリメートルオーダーであり、前記第2の円筒形56の直径は、約1.50ミリメートルオーダーである。
【0017】
図4A〜4Cは、前記第1の機構12の前記中間連結部32の1つ(内部の中間連結部)の種々の実施形態を例示したものである。この中間連結部32は、他の前記中間連結部32の代表的なものである。この中間連結部32は、第1の端部58および第2の端部60を含み、図4Bに示すように、当該中間連結部32には、前記第1の端部58の中心および前記第2の端部60の中心を貫通する長手方向の軸62が形成されている。この中間連結部32は、任意の適切な材料で製作できる。種々の実施形態によれば、この中間連結部32は、G10/FR4 Garolite(登録商標)などの繊維強化材料で製作される。外側が略弾丸形であるこの中間連結部32については、以降より詳しく説明する。
【0018】
前記中間連結部32は、第1の部分64および第2の部分66を有する。前記第1の部分64は近位の部分、また前記第2の部分66は遠位の部分と見なすことができる。前記第1の部分64は、前記第2の部分66と一体的に作製できる。前記第1の部分64は、外側が略円柱形で、当該中間連結部32の前記第1の端部58から当該中間連結部32の前記第2の端部60へと延長する。種々の実施形態によれば、前記第2の部分66は、外側が略円柱形になっている部分で前記第1の部分64に接触し、当該中間連結部32の前記第2の端部60へ向かってテーパーがかかっている。前記第2の部分66の外側は、全体として、分割された半球の形態に構成されている。種々の実施形態によれば、この中間連結部32の直径は、前記第1の端部58において、約4.75ミリメートルのオーダーである。当該中間連結部32の長さは、約5.85ミリメートルのオーダーにできる。ただし当業者であれば、この中間連結部32の長さは用途に基づいて異なってよいことが理解されるであろう。
【0019】
また、前記中間連結部32は、当該中間連結部32の前記第1の端部58から当該中間連結部32の前記第2の端部60へと延長する第1の表面68を有する。この第1の表面68は、当該中間連結部32の外面と見なすことができる。また当該中間連結部32には、前記第1の表面68に沿って前記長手方向の軸62に平行な第1の溝70と、前記第1の表面68に沿って前記長手方向の軸62に平行な第2の溝72と、前記第1の表面68に沿って前記長手方向の軸62に平行な第3の溝74とが形成されている。これら第1の溝70、第2の溝72、第3の溝74は、それぞれ前記第1の表面68に沿って、当該中間連結部32の前記第1の端部58から当該中間連結部32の前記第2の端部60へと延在する。これら第1の溝70、第2の溝72、第3の溝74は半管形にでき、図4Cに示すように、当該中間連結部32の前記第1の表面68に沿って均等に離間できる。種々の実施形態によれば、前記第1の溝70、前記第2の溝72、前記第3の溝74は、分割された円筒形状に構成できる。これら溝70、72、74の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記第1の溝70および第2の溝72は、当該中間連結部32の前記第1の端部58で約1.75ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部(セグメント)として構成され、前記第3の溝74は、当該中間連結部32の前記第1の端部58で約2.50ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部として構成される。これら第1の溝70、第2の溝72、第3の溝74は、それぞれ様々な用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)のいずれかを受容しこれを一部取り囲むよう構成され、その工具は、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26へと通過する。
【0020】
また、当該中間連結部32には、図4Bに示すように、前記第1の端部58から前記第2の端部60へ前記長手方向の軸62に沿って延在する経路76が形成されている。この経路76は、その中を前記第4のケーブル22が貫通できるようにする上で十分なサイズのものである。種々の実施形態によれば、この経路76は、全体として複雑な形状に構成され、この形状は、前記中間連結部32の前記第1の端部58から前記第2の端部60へ延在する第1の分割された半球78と、前記第1の分割された半球78から前記第2の端部60へ延在する第2の分割された半球80と、前記第2の分割された半球80から前記第2の端部60へ延在する円筒形82と、前記円筒形82から前記第2の端部60へ延在する第3の分割された半球84との組み合わせを有する。種々の実施形態によれば、前記第1の分割された半球78は、約4.75ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表し、前記第2の分割された半球80は、約2.25ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表し、前記円筒形82は、約1.0ミリメートルオーダーの直径を有し、前記第3の分割された半球84は、約2.25ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表す。
【0021】
前記経路76の前記第1の分割された半球78は、前記第1の連結部28が前記中間連結部32に連結された場合に、前記第1の連結部28の前記第2の端部36を受容するよう構成されている。同様に、所与の中間連結部32についても、その経路76の第1の分割された半球78は、前記所与の中間連結部32が別の中間連結部32に連結された場合に、その別の中間連結部32の第2の端部60を受容するよう構成されている。前記第3の分割された半球84は、中間連結部32の1つがそれに隣接して連結された中間連結部32に対し動いたとき、前記第4のケーブル22が圧迫または束縛されるのを軽減するよう作用可能である。同様に、前記第2の連結部30が所与の中間連結部32に連結された場合、その第3の分割された半球84は、前記第2の連結部30がそれに連結された所与の中間連結部32に対し動いたとき、前記第4のケーブル22が圧迫または束縛されるのを軽減するよう作用可能である。
【0022】
上記の構造により、前記第1の連結部28は、その前記第2の端部36を、前記中間連結部32の前記経路76の前記第1の分割された半球78内に着座させることにより、前記中間連結部32に連結できる。前記第1の連結部28の前記第2の端部36の凸型構成は、全体として、前記中間連結部32の前記経路76の前記第1の分割された半球78の凹型構成に対応するため、前記第1の連結部28は前記中間連結部32に連結でき、その場合、前記第1の連結部28の前記長手方向の軸38と、前記第1の溝46と、前記第2の溝48と、前記第3の溝50とが、前記中間連結部32の前記長手方向の軸62と、前記第1の溝70と、前記第2の溝72と、前記第3の溝74とにそれぞれ位置合わせされる。前記中間連結部32は、その前記長手方向の軸62が、前記第1の連結部28の前記長手方向の軸38に整列していない状態で、前記第1の連結部28に対して動くことができる。種々の実施形態によれば、前記第1の連結部28および前記中間連結部32の構成により、前記中間連結部32は、前記第1の連結部28の前記長手方向の軸38と、前記中間連結部32の前記長手方向の軸62とが、互いに最高約25°の角度をなすよう、当該中間連結部32の連結先である前記第1の連結部28に対して動くことができる。同様に、中間連結部32の1つは、その第2の端部60を別の中間連結部32の経路76の第1の分割された半球78内に着座させることにより、前記別の中間連結部32と連結することができる。前記中間連結部32の前記第2の端部60の凸型構成は、全体として、前記中間連結部32の前記経路76の前記第1の分割された半球78の凹型構成に対応するため、前記中間連結部32同士は連結でき、その場合、当該中間連結部32の前記長手方向の軸62同士、前記第1の溝46同士、前記第2の溝48同士、および前記第3の溝50同士がそれぞれ位置合わせされる。互いに連結された前記中間連結部32同士は、それらの長手方向の軸62が互いに整列していない状態で、相対的に動くことができる。種々の実施形態によれば、連結された前記中間連結部32同士の構成により、中間連結部32の1つは、前記長手方向の軸62同士が互いに最高約25°の角度をなすよう、隣接した連結先である別の中間連結部32に対し動くことができる。
【0023】
図5A〜5Cは、前記第1の機構12の前記第2の連結部30(内部の遠位連結部)の種々の実施形態を例示したものである。この第2の連結部30は、第1の端部86および第2の端部88を含み、図5Bに示すように、前記第2の連結部30には前記第1の端部86の中心および前記第2の端部88の中心を貫通する長手方向の軸90が形成されている。この第2の連結部30は、任意の適切な材料で製作できる。種々の実施形態によれば、この第2の連結部30は、Delrin(登録商標)などの熱可塑性材料で製作される。
【0024】
前記第2の連結部30は、第1の部分92および第2の部分94を有する。前記第1の部分92は近位の部分、また前記第2の部分94は遠位の部分と見なすことができる。前記第1の部分92は、前記第2の部分94と一体的に作製できる。前記第1の部分92は、外側が略円柱形で、当該第2の連結部30の前記第1の端部86から当該第2の連結部30の前記第2の端部88へと延長する。種々の実施形態によれば、前記第2の部分94は、外側が略円柱形になっている部分で前記第1の部分92に接触し、当該第2の連結部30の前記第2の端部88へ向かってテーパーがかかっている。前記第2の部分64の外側は、全体として、分割された円錐形の形態に構成されている。種々の実施形態によれば、当該第2の連結部30の直径は、その第1の端部86において約4.75ミリメートルオーダーであり、前記第2の部分94のテーパーは、前記第1の部分92の外側に対し約30°の角度をなしている。当該第2の連結部30の長さは、約5.90ミリメートルのオーダーにできる。ただし当業者であれば、この第2の連結部30の長さは用途に基づいて異なってよいことが理解されるであろう。
【0025】
また、前記第2の連結部30は、当該第2の連結部30の前記第1の端部86から当該第2の連結部30の前記第2の端部88へと延長する第1の表面96を有する。この第1の表面96は、当該第2の連結部30の外面と見なすことができる。当該第2の連結部30には、前記第1の表面96に沿って前記長手方向の軸90に平行な第1の溝98と、前記第1の表面96に沿って前記長手方向の軸90に平行な第2の溝100と、前記第1の表面96に沿って前記長手方向の軸90に平行な第3の溝102とが形成されている。これら第1の溝98、第2の溝100、第3の溝102は、それぞれ前記第1の表面96に沿って、当該第2の連結部30の前記第1の端部86から当該第2の連結部30の前記第2の端部88へ向かい延在する。これら第1の溝98、第2の溝100、第3の溝102は半管形にでき、図5Cに示すように、当該第2の連結部30の前記第1の表面96に沿って均等に離間できる。種々の実施形態によれば、前記第1の溝98、前記第2の溝100、前記第3の溝102は、分割された円筒形状に構成できる。これら溝98、100、102の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記第1の溝98および第2の溝100は、当該第2の連結部30の前記第1の端部86で約1.25ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部(セグメント)として構成され、前記第3の溝102は、当該第2の連結部30の前記第1の端部86で約2.50ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部として構成される。これら第1の溝98、第2の溝100、第3の溝102は、それぞれ様々な用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)のいずれかを受容しこれを一部取り囲むよう構成され、その用具または器具は、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26へと通過する。
【0026】
また、当該第2の連結部30には、図5Bに示すように、前記第1の端部86から前記第2の端部88へ前記長手方向の軸90に沿って延在する経路104が形成されている。この経路104は、その中を前記第4のケーブル22が貫通できるようにする上で十分なサイズのものである。種々の実施形態によれば、この経路104は、全体として複雑な形状に構成され、この形状は、前記第1の端部86から前記第2の端部88へ延在する第1の分割された半球106と、前記第1の分割された半球106から前記第2の端部88へ延在する第2の分割された半球108と、前記第2の分割された半球108から前記第2の端部88へ延在する円筒形110との組み合わせを有する。種々の実施形態によれば、前記第1の分割された半球106は、約4.75ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表し、前記第2の分割された半球108は、約2.25ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表し、前記円筒形110は、約1.0ミリメートルオーダーの直径を有する。前記経路104の前記第1の分割された半球106は、中間連結部32が前記第2の連結部30に連結された場合に、前記中間連結部32の第2の端部60を受容するよう構成されている。
【0027】
上記の構造により、中間連結部32は、その前記第2の端部60を、前記第2の連結部30の前記経路104の前記第1の分割された半球106内に着座させることにより、前記第2の連結部30に連結できる。前記中間連結部32の前記第2の端部60の凸型構成は、全体として、前記第2の連結部30の前記経路104の前記第1の分割された半球106の凹型構成に対応するため、前記中間連結部32は前記第2の連結部30に連結でき、その場合、前記中間連結部32の前記長手方向の軸62と、前記第1の溝70と、前記第2の溝72と、前記第3の溝74とが、前記第2の連結部30の前記長手方向の軸90と、前記第1の溝98と、前記第2の溝100と、前記第3の溝102とにそれぞれ位置合わせされる。前記第2の連結部30は、前記長手方向の軸62および90が互いに整列していない状態で、当該第2の連結部30の連結先である前記中間連結部32に対し動かすことができる。種々の実施形態によれば、前記第2の連結部30の構成により、それに連結された中間連結部32は、前記長手方向の軸62および90が互いに最高約25°の角度をなすよう、前記第2の連結部30に対し動くことができる。
【0028】
図6は、前記装置10の前記第2の機構14の種々の実施形態を例示したものである。この第2の機構14は多関節機構であり、第1の端部120および第2の端部122を含む。前記第1の端部120は近端、また前記第2の端部122は遠端と見なすことができる。この第2の機構14は、第1の連結部124と、第2の連結部126と、これら第1の連結部124および第2の連結部126の間の任意数の中間連結部128とを有する。前記第1の連結部124は近位の連結部、また前記第2の連結部126は遠位の連結部と見なすことができる。
【0029】
図7A〜7Cは、前記第2の機構14の前記第1の連結部124(外部の近位連結部)の種々の実施形態を例示したものである。この第1の連結部124は、第1の端部130および第2の端部132を含み、図7Bに示すように、当該第1の連結部124には、前記第1の端部130の中心および前記第2の端部132の中心を貫通する長手方向の軸134が形成されている。この第1の連結部124は、任意の適切な材料で製作できる。種々の実施形態によれば、この第1の連結部124は、316ステンレス鋼などのステンレス鋼材料で製作される。外側が略弾丸形であるこの第1の連結部124については、以降より詳しく説明する。
【0030】
前記第1の連結部124は、第1の部分136および第2の部分138を有する。前記第1の部分136は近位の部分、また前記第2の部分138は遠位の部分と見なすことができる。前記第1の部分136は、前記第2の部分138と一体的に作製できる。前記第1の部分136は、外側が円柱形で、当該第1の連結部124の前記第1の端部130から当該第1の連結部124の前記第2の端部132へと延長する。種々の実施形態によれば、この第1の部分136の直径は、約12.70ミリメートルのオーダーである。
【0031】
前記第2の部分138は、外側が略円柱形である。この第2の部分138は、外側が円柱形になっている部分で前記第1の部分136に接触し、当該第1の連結部124の前記第2の端部132へ向かってテーパーがかかっている。この第2の部分138は、当該第1の連結部124の前記第2の端部132において、全体として、分割(セグメント化)された半球の形態に成形できる。種々の実施形態によれば、この第2の部分138の直径は、前記第1の部分136に接触する位置で、約9.50ミリメートルのオーダーである。
【0032】
前記第2の部分138は、第1の表面140を有する。この第1の表面140は、当該第2の部分138の外面と見なすことができる。当該第2の部分138には、前記第1の表面140に沿って第1の溝142が形成され、前記第1の表面140に沿って第2の溝144が画成され、また前記第1の表面140に沿って第3の溝146が形成されている。これら第1の溝142、第2の溝144、第3の溝146は、それぞれ前記長手方向の軸134に対し斜角をなしており、前記第1の表面44に沿って、当該第1の連結部124の前記第2の端部132へと延在する。種々の実施形態によれば、これらの溝142、144、146は、それぞれ前記長手方向の軸134に対し約15°オーダーの角度で配向される。図7Cに示すように、これら第1の溝142、第2の溝144、第3の溝146は、当該第1の連結部124の前記第1の表面140に沿って均等に離間できる。種々の実施形態によれば、前記第1の溝142、前記第2の溝144、前記第3の溝146は、分割された円筒形状に構成できる。これら溝142、144、146の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば種々の実施形態によれば、これら溝142、144、146は、それぞれ直径約3.0ミリメートルオーダーの円筒形の一部(セグメント)として構成されている。これら第1の溝142、第2の溝144、第3の溝146は、それぞれ種々の用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)を前記多関節装置10内へ容易に導入できるよう構成されている。当該第1の連結部124の長さは、約18.5ミリメートルのオーダーにできる。ただし当業者であれば、この第1の連結部124の長さは用途に基づいて異なってよいことが理解されるであろう。
【0033】
また、当該第1の連結部124には、図7Bに示すように、前記第1の端部130から前記第2の端部132へ前記長手方向の軸134に沿って延在する経路148が形成されている。この経路148は、その中を前記第1の機構12が貫通できるようにする上で十分なサイズのものである。種々の実施形態によれば、この経路148は、全体として複雑な形状に構成され、この形状は、当該第1の連結部124の前記第1の端部130から前記第2の端部132へ延在する分割された円錐形150と、前記分割された円錐形150から前記第2の端部132へ延在する円筒形152との組み合わせを有する。種々の実施形態によれば、前記分割された円錐形150の直径は、当該第1の連結部124の前記第1の端部130で約7.0ミリメートルオーダーであり、前記長手方向の軸134に対し約45°オーダーの角度でテーパーがかかっている。前記円筒形152の直径は、約5.50ミリメートルのオーダーである。
【0034】
また、当該第1の連結部124には、第1の孔154と、第2の孔156と、第3の孔158とが形成されている(図7Cを参照)。前記第1の孔154は、前記長手方向の軸134に実質的に平行で、前記第1の部分136から前記第2の端部132へと延長し、前記経路148と前記第1の表面140との間に配置されている。前記第2の孔156は、前記長手方向の軸134に実質的に平行で、前記第1の部分136から前記第2の端部132へと延長し、前記経路148と前記第1の表面140との間に配置されている。前記第3の孔158は、前記長手方向の軸134に実質的に平行で、前記第1の部分136から前記第2の端部132へと延長し、前記経路148と前記第1の表面140との間に配置されている。これら第1の孔154、第2の孔156、および第3の孔158は、略円柱形である。種々の実施形態によれば、これらの孔154、156、158は、図7Cに示すように、互いに均等に離間される。これら孔154、156、158の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記孔154、156、158に伴う各直径は、それぞれ約1.20ミリメートルオーダーであってよい。前記第1の孔154は、前記第1のケーブル16を受容しこれを取り囲むよう構成されている。前記第2の孔156は、前記第2のケーブル18を受容しこれを取り囲むよう構成されている。前記第3の孔158は、前記第3のケーブル20を受容しこれを取り囲むよう構成されている。これら第1の孔154、第2の孔156、および第3の孔158は、前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20が動けるようにするための誘導路として作用する。
【0035】
図8A〜8Cは、前記第2の機構14の前記中間連結部128の1つ(外部の中間連結部)の種々の実施形態を例示したものである。この中間連結部128は、他の前記中間連結部128の代表的なものである。この中間連結部128は、第1の端部160および第2の端部162を含み、図8Bに示すように、当該中間連結部128には前記第1の端部160の中心および前記第2の端部162の中心を貫通する長手方向の軸164が形成されている。この中間連結部128は、任意の適切な材料で製作できる。種々の実施形態によれば、この中間連結部128は、ポリスルホンなどの高分子熱可塑性材料で製作される。外側が略弾丸形であるこの中間連結部128については、以降より詳しく説明する。
【0036】
前記中間連結部128は、第1の部分166および第2の部分168を有する。前記第1の部分166は近位の部分、また前記第2の部分168は遠位の部分と見なすことができる。前記第1の部分166は、前記第2の部分168と一体的に作製できる。前記第1の部分166は、外側が略円柱形で、当該中間連結部128の前記第1の端部160から当該中間連結部128の前記第2の端部162へと延長する。種々の実施形態によれば、前記第2の部分168は、外側が略円柱形になっている部分で前記第1の部分166に接触し、当該中間連結部128の前記第2の端部162へ向かってテーパーがかかっている。前記第2の部分168の外側は、全体として、分割された半球の形態に構成されている。種々の実施形態によれば、当該中間連結部128の直径は、前記第1の端部160において、約9.65ミリメートルのオーダーである。当該中間連結部128の長さは、約8.40ミリメートルのオーダーにできる。ただし当業者であれば、この中間連結部128の長さは用途に基づいて異なってよいことが理解されるであろう。
【0037】
また、前記中間連結部128は、当該中間連結部128の前記第1の端部160から当該中間連結部128の前記第2の端部162へと延長する第1の表面170と、当該中間連結部128の前記第1の端部160から当該中間連結部128の前記第2の端部162へと延長する第2の表面170とを有する。前記第1の表面170は当該中間連結部128の外面、前記第2の表面172は当該中間連結部128の内面と見なすことができる。当該中間連結部32には、前記第2の表面172に沿って前記長手方向の軸164に平行な第1の溝174と、前記第2の表面172に沿って前記長手方向の軸164に平行な第2の溝176と、前記第2の表面172に沿って前記長手方向の軸164に平行な第3の溝178とが形成されている。これら第1の溝174、第2の溝176、第3の溝178は、それぞれ前記第2の表面172に沿って、当該中間連結部128の前記第2の端部162へと延在する。これら第1の溝174、第2の溝176、第3の溝178は半管形にでき、図8Cに示すように、当該中間連結部128の前記第2の表面172に沿って均等に離間できる。種々の実施形態によれば、前記第1の溝174、前記第2の溝176、前記第3の溝178は、分割された円筒形状に構成できる。これら溝174、176、178の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記第1の溝174および第2の溝176は、当該中間連結部128の前記第1の端部160で約1.75ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部(セグメント)として構成され、前記第3の溝178は、当該中間連結部128の前記第1の端部160で約2.50ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部として構成される。これら第1の溝174、第2の溝176、第3の溝178は、それぞれ様々な用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)のいずれかを受容しこれを一部取り囲むよう構成され、その用具または器具は、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26へと通過する。
【0038】
また、当該中間連結部128には、図8Bに示すように、前記第1の端部160から前記第2の端部162へ前記長手方向の軸164に沿って延在する経路180が形成されている。この経路180は、その中を前記第1の機構12が貫通できるようにする上で十分なサイズのものである。種々の実施形態によれば、この経路180は、全体として複雑な形状に構成され、この形状は、前記中間連結部128の前記第1の端部160から前記第2の端部162へ延在する分割された半球182と、前記分割された半球182から前記第2の端部162へ延在する第1の分割された円錐形184と、前記第1の分割された円錐形184から前記第2の端部162へ延在する円筒形186と、前記円筒形186から前記第2の端部162へ延在する第2の分割された円錐形188との組み合わせを有する。種々の実施形態によれば、前記分割された半球182は、約9.65ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表し、前記第1の分割された円錐形184は、前記長手方向の軸164に対し約15°オーダーの角度でテーパーがかかっており、円筒形186は、約5.50ミリメートルオーダーの直径を有し、第2の分割された円錐形188は、前記長手方向の軸164に対し約15°オーダーの角度でテーパーがかかっている。前記経路180の前記分割された半球182は、前記第1の連結部124が当該中間連結部128に連結された場合に、前記第1の連結部124の前記第2の端部132を受容するよう構成されている。同様に、所与の中間連結部128についても、その経路180の分割された半球182は、前記所与の中間連結部128が別の中間連結部128に連結された場合に、その別の中間連結部128の第2の端部162を受容するよう構成されている。
【0039】
また、前記中間連結部128には、第1の孔190と、第2の孔192と、第3の孔194とが形成されている(図8Cを参照)。前記第1の孔190は、前記長手方向の軸164に実質的に平行で、前記第1の部分166から前記第2の端部162へと延長し、前記経路180と前記第1の表面170との間に配置されている。前記第2の孔192は、前記長手方向の軸164に実質的に平行で、前記第1の部分166から前記第2の端部162へと延長し、前記経路180と前記第1の表面170との間に配置されている。前記第3の孔194は、前記長手方向の軸164に実質的に平行で、前記第1の部分166から前記第2の端部162へと延長し、前記経路180と前記第1の表面170との間に配置されている。これら第1の孔190、第2の孔192、および第3の孔194は、略円柱形である。種々の実施形態によれば、これらの孔190、192、194は、互いに均等に離間される。これら孔190、192、194の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記孔190、192、194に伴う各直径は、それぞれ約1.25ミリメートルオーダーであってよい。前記第1の孔190は、前記第1のケーブル16を受容しこれを取り囲むよう構成されている。前記第2の孔192は、前記第2のケーブル18を受容しこれを取り囲むよう構成されている。前記第3の孔194は、前記第3のケーブル20を受容しこれを取り囲むよう構成されている。これら第1の孔190、第2の孔192、および第3の孔194は、前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20が動けるようにするための誘導路として作用する。
【0040】
また前記中間連結部128は、図8Cに示すように、前記第2の部分168に伴うテーパーと、前記第1の溝174、前記第2の溝176、前記第3の溝178の構成および配向との組み合わせが一部理由となり、前記第2の端部162において、第1の凹陥部(インデント)196、第2の凹陥部198、および第3の凹陥部200が形成されている。これら第1の凹陥部196、第2の凹陥部198、第3の凹陥部200は、図8Cに示すように、当該中間連結部128の前記第2の端部162に沿って均等に離間できる。これら第1の凹陥部196、第2の凹陥部198、第3の凹陥部200は、当該第2の機構14の前記中間連結部128の1つが、それに連結された別の中間連結部128に対し動かされた場合に、種々の用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)が圧迫または束縛されるのを軽減するよう作用可能である。
【0041】
また前記中間連結部128には、前記第2の部分168に伴うテーパーと、前記第1の孔190、前記第2の孔192、前記第3の孔194の構成および配向との組み合わせにより、前記第2の端部162において、第4の凹陥部202、第5の凹陥部204、および第6の凹陥部206が形成されている。これら第4の凹陥部202、第5の凹陥部204、および第6の凹陥部206は、図8Cに示すように、当該中間連結部128の前記第2の端部162に沿って均等に離間でき、前記第1の凹陥部196、前記第2の凹陥部198、および前記第3の凹陥部200からも均等に離間できる。これら第4の凹陥部202、第5の凹陥部204、および第6の凹陥部206は、当該第2の機構14の前記中間連結部128の1つが、それに連結された別の中間連結部128に対し動かされた場合に、前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20が圧迫または束縛されるのを軽減するよう作用可能である。
【0042】
種々の実施形態によれば、中間連結部128には、その前記第2の表面172から若しくは前記溝174、176、178の1つから、前記第1の表面170へ延在する開口部(図示せず)も形成可能である。前記中間連結部128は、このような開口部を任意の数有することができ、このような開口部を有することができる前記中間連結部128の数は任意である。前記開口部は、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26まで通過する用具(工具)または器具の出口点として利用できる。そのような実施形態の場合、各前記中間連結部128は、当該第2の機構14の第2の連結部126に近接して配置できる。前記開口部は、前記中間連結部128の前記長手方向の軸134に対し、任意の角度に配向できる。前記第1の機構12を前記第2の機構14から取り出して、当該第2の機構14の前記第1の端部120から当該第2の機構14の前記第2の端部122へ比較的大きな用具(工具)または器具を前進させる場合、第2の用具(工具)または器具(光ファイバーケーブルなど)には、当該第2の機構14の前記第2の端部122を貫通するだけの十分な空間が残されていないおそれがある。そのような場合は、前記中間連結部128の1つの開口部から、前記第2の用具(工具)または器具を出すことができる。
【0043】
上記の構造により、前記第1の連結部124は、その前記第2の端部132を、前記中間連結部128の前記経路180の前記分割された半球182内に着座させることにより、前記中間連結部128に連結できる。前記第1の連結部124の前記第2の端部132の凸型構成は、全体として、前記中間連結部128の前記経路180の前記分割された半球182の凹型構成に対応するため、前記第1の連結部124は前記中間連結部128に連結でき、その場合、前記第1の連結部124の前記長手方向の軸134と、前記第1の溝142と、前記第2の溝144と、前記第3の溝146と、前記第1の孔154と、前記第2の孔156と、前記第3の孔158とが、前記中間連結部128の前記長手方向の軸164と、前記第1の溝174と、前記第2の溝176と、前記第3の溝178と、前記第1の孔190と、前記第2の孔192と、前記第3の孔194とにそれぞれ位置合わせされる。前記中間連結部128は、その前記長手方向の軸164が、前記第1の連結部124の前記長手方向の軸134に整列していない状態で、前記第1の連結部124に対して動くことができる。種々の実施形態によれば、前記第1の連結部124および前記中間連結部128の構成により、前記中間連結部128は、前記第1の連結部124の前記長手方向の軸134と、前記中間連結部128の前記長手方向の軸164とが、互いに最高約10°の角度をなすよう、当該中間連結部128の連結先である前記第1の連結部124に対して動くことができる。同様に、中間連結部128の1つは、その第2の端部162を別の中間連結部128の経路180の分割された半球182内に着座させることにより、前記別の中間連結部128と連結することができる。前記中間連結部128の前記第2の端部162の凸型構成は、全体として、前記中間連結部128の前記経路180の前記分割された半球182の凹型構成に対応するため、前記中間連結部128同士は連結でき、その場合、当該中間連結部128の前記長手方向の軸164同士、前記第1の溝174同士、前記第2の溝176同士、前記第3の溝178同士、前記第1の孔190同士、前記第2の孔192同士、および前記第3の孔194同士がそれぞれ位置合わせされる。互いに連結された前記中間連結部128同士は、それらの長手方向の軸164が互いに整列していない状態で、相対的に動くことができる。種々の実施形態によれば、連結された前記中間連結部128同士の構成により、中間連結部128の1つは、前記長手方向の軸164同士が互いに最高約10°の角度をなすよう、当該中間連結部128の連結先である別の中間連結部128に対し動くことができる。
【0044】
図9A〜9Cは、前記第2の機構14の前記第2の連結部126(外部の遠位連結部)の種々の実施形態を例示したものである。この第2の連結部126は、第1の端部208および第2の端部210を含み、図9Cに示すように、当該第2の連結部126には、前記第1の端部208の中心および前記第2の端部210の中心を貫通する長手方向の軸212が形成されている。この第2の連結部126は、任意の適切な材料で製作できる。種々の実施形態によれば、この第2の連結部126は、Delrin(登録商標)などの熱可塑性材料で製作される。
【0045】
前記第2の連結部126は、第1の部分214および第2の部分216を有する。前記第1の部分214は近位の部分、また前記第2の部分216は遠位の部分と見なすことができる。前記第1の部分214は、前記第2の部分216と一体的に作製できる。前記第1の部分214は、外側が略円柱形で、当該第2の連結部126の前記第1の端部208から当該第2の連結部126の前記第2の端部210へと延長する。種々の実施形態によれば、この第1の部分214の直径は、約4.80ミリメートルのオーダーである。
【0046】
種々の実施形態によれば、前記第2の部分216は、外側が略円柱形になっている部分で前記第1の部分214に接触し、当該第2の連結部126の前記第2の端部210へ向かってテーパーがかかっている。前記第2の部分216の外側は、全体として、分割された円錐形の形態に構成されている。種々の実施形態によれば、前記第2の部分216の外側は、当該第2の連結部126の前記第1の部分214から前記第2の端部210へ向かって、前記第1の部分214の外側に対し約20°オーダーの角度でテーパーがかかっている。当該第2の連結部126の長さは、約15ミリメートルのオーダーにできる。ただし当業者であれば、この第2の連結部126の長さは用途に基づいて異なってよいことが理解されるであろう。
【0047】
また、前記第2の連結部126は、当該第2の連結部126の前記第1の端部208から当該第2の連結部126の前記第2の端部210へと延長する第1の表面218と、当該第2の連結部126の前記第1の端部208から当該第2の連結部126の前記第2の端部210へと延長する第2の表面220とを有する。前記第1の表面218は当該第2の連結部126の外面、前記第2の表面220は当該第2の連結部126の内面と見なすことができる。
【0048】
また、前記第2の連結部126には、第1のポート222と、第2のポート224と、第3のポート226とが形成されている(図9Bを参照)。前記第1のポート222は、前記第2の表面220から前記第1の表面218へ延在し、前記長手方向の軸212に実質的に平行である。前記第2のポート224は、前記第2の表面220から前記第1の表面218へ延在し、前記長手方向の軸212に実質的に平行である。前記第3のポート226は、前記第2の表面220から前記第1の表面218へ延在し、前記長手方向の軸212に実質的に平行である。これら第1のポート222、第2のポート224、第3のポート226は円柱形にでき、図9Dに示すように、当該第2の連結部126の前記長手方向の軸212の周りで均等に離間できる。これらポート222、224、226の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記第1のポート222および第2のポート224は、約1.50ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形の一部(セグメント)として構成され、前記第3のポート226は、約2.50ミリメートルオーダーの直径を有する円筒形として構成される。これら第1のポート222、第2のポート224、第3のポート226は、それぞれ様々な用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)のいずれかを受容しこれを取り囲むよう構成され、その用具または器具は、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26へと通過する。
【0049】
また、前記第2の連結部126には、第1の孔228と、第2の孔230と、第3の孔232とが形成されている(図9Bを参照)。前記第1の孔228は、前記第2の表面220から前記第1の表面218へ延在し、前記長手方向の軸212に実質的に平行である。前記第2の孔230は、前記第2の表面220から前記第1の表面218へ延在し、前記長手方向の軸212に実質的に平行である。前記第3の孔232は、前記第2の表面220から前記第1の表面218へ延在し、前記長手方向の軸212に実質的に平行である。これら第1の孔228、第2の孔230、および第3の孔232は、略円柱形である。種々の実施形態によれば、これらの孔228、230、232は、図9Dに示すように、互いに均等に離間される。これら孔228、230、232の各サイズは、互いに同一でも、または互いに異なるものであってもよい。例えば、種々の実施形態によれば、前記孔228、230、232に伴う各直径は、それぞれ約1.25ミリメートルオーダーであってよい。前記第1の孔228は、前記第1のケーブル16を受容しこれを取り囲むよう構成されている。前記第2の孔230は、前記第2のケーブル18を受容しこれを取り囲むよう構成されている。前記第3の孔232は、前記第3のケーブル20を受容しこれを取り囲むよう構成されている。
【0050】
また、当該第2の連結部126には、図9Cに示すように、前記第1の端部208から前記第2の端部210へ前記長手方向の軸212に沿って延在する凹部234が形成されている。種々の実施形態によれば、前記凹部234は、全体として複雑な形状に構成され、この形状は、当該第2の連結部126の前記第1の端部208から前記第2の端部210へ延在する第1の分割された半球236と、前記第1の分割された半球236から前記第2の端部210へ延在する第2の分割された半球238との組み合わせを有する。種々の実施形態によれば、前記第1の分割された半球236は、約9.50ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表し、前記第2の分割された半球238は、約7.0ミリメートルオーダーの直径を有する球体の一部を表す。前記凹部234の前記第1の分割された半球236は、中間連結部128が前記第2の連結部126に連結された場合に、前記中間連結部128の第2の端部162を受容するよう構成されている。
【0051】
上記の構造により、中間連結部128は、その前記第2の端部162を、前記第2の連結部126の前記凹部234の前記第1の分割された半球236内に着座させることにより、前記第2の連結部126に連結できる。前記中間連結部128の前記第2の端部162の凸型構成は、全体として、前記第2の連結部126の前記凹部234の前記第1の分割された半球236の凹型構成に対応するため、前記中間連結部128は前記第2の連結部126に連結でき、その場合、前記中間連結部128の前記長手方向の軸164と、前記第1の溝174と、前記第2の溝176と、前記第3の溝178と、前記第1の孔190と、前記第2の孔192と、前記第3の孔194とが、前記第2の連結部126の前記長手方向の軸212と、前記第1のポート222と、前記第2のポート224と、前記第3のポート226と、前記第1の孔228と、前記第2の孔230と、前記第3の孔232とにそれぞれ位置合わせされる。前記第2の連結部126は、前記長手方向の軸164および212が互いに整列していない状態で、当該第2の連結部30の連結先である前記中間連結部128に対し動かすことができる。種々の実施形態によれば、前記第2の連結部126の構成により、それに連結された中間連結部128は、前記長手方向の軸164および212が互いに最高約10°の角度をなすよう、前記第2の連結部126に対し動くことができる。
【0052】
前記第1の機構12を前記第2の機構14に挿入すると、前記第1の機構12の前記中間連結部32の前記第1の溝70と、前記第2の溝72と、前記第3の溝74とは、前記第2の機構14の前記中間連結部128の前記第1の溝174と、前記第2の溝176と、前記第3の溝178とに実質的に位置合わせ可能となり、前記第1の機構12の前記第2の連結部30の前記長手方向の軸90と、前記第1の溝98と、前記第2の溝100とは、前記第2の機構14の前記第2の連結部126の前記第1のポート222と、前記第2のポート224と、前記第3のポート226とに実質的に位置合わせ可能となる。前記第1の機構12の前記中間連結部32の前記第1の溝70が、前記第2の機構14の前記中間連結部128の前記第1の溝174に位置合わせされて組み合わさることにより、前記第1の溝70および174は、集合的に、前記第2の機構14の前記第2の連結部126の前記第1のポート222に実質的に位置合わせされた第1の作業ポートとして作用することができる。本明細書における用語「作業ポート」とは、装置(カメラ、光ファイバー、アブレーションツール、手術器具など)が通過できる経路をいう。前記第1の溝70は前記第1の作業ポートの内側部分、前記第1の溝174は前記第1の作業ポートの外側部分と見なすことができる。
【0053】
同様に、前記第1の機構12の前記中間連結部32の前記第2の溝72が、前記第2の機構14の前記中間連結部128の前記第2の溝176に位置合わせされて組み合わさることにより、前記第2の溝72および176は、集合的に、前記第2の機構14の前記第2の連結部126の前記第2のポート224に実質的に位置合わせされた第2の作業ポートとして作用することができ、前記第1の機構12の前記中間連結部32の前記第3の溝74が、前記第2の機構14の前記中間連結部128の前記第3の溝178に位置合わせされて組み合わさることにより、前記第3の溝74および178は、集合的に、前記第2の機構14の前記第2の連結部126の前記第3のポート226に実質的に位置合わせされた第3の作業ポートとして作用することができる。前記第2の溝72は前記第2の作業ポートの内側部分、前記第2の溝176は前記第2の作業ポートの外側部分と見なすことができる。前記第3の溝74は前記第3の作業ポートの内側部分、前記第3の溝178は前記第3の作業ポートの外側部分と見なすことができる。前記第1の作業ポート、前記第2の作業ポート、前記第3の作業ポートの各々を利用すると、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26へ、種々の用具(工具)または器具(アブレーションツールなど)を通過させることができる。上記の例示的なサイズの場合、前記第3の作業ポートは、前記第1の作業ポートおよび第2の作業ポートより大きい。そのため、前記第3の作業ポートは、前記第1の作業ポートまたは第2の作業ポートを通過させるには大きすぎる特定の用具(工具)または器具を通過させる上で利用できる。
【0054】
各前記中間連結部32および128の各前記溝70、72、74、174、176、178が位置合わせされて、集合的に前記種々の用具(工具)または器具を取り囲んだ場合、前記溝70、72、74、174、176、178と、前記種々の用具(工具)または器具とを組み合わせたものは、前記第1の機構12および前記第2の機構14の相対的な回転を制限し若しくは防ぐよう作用することができる。
【0055】
前記第2の機構14の前記中間連結部128の前記経路180の直径は、前記第1の機構12のいずれの部分の直径よりも大きいため、当該第1の機構12が当該第2の機構14に受容されると(図1Bを参照)、当該第1の機構12と当該第2の機構14との間には3次元の空間240が存在する。種々の実施形態によれば、この空間240を利用すると、配線、用具(工具)、器具などを、当該多関節装置10の前記第1の端部24から当該多関節装置10の前記第2の端部26まで通過させることができる。
【0056】
前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20は、任意の適切な材料で製作できる。例えば、種々の実施形態によれば、これら第1のケーブル16、第2のケーブル18、および第3のケーブル20は、Spectra(登録商標)などのポリエチレンファイバーケーブルで製作してよい。これら第1のケーブル16、第2のケーブル18、および第3のケーブル20を利用すると、当該多関節装置10の動きを制御することができる。例えば、前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20の各々に実質的に等しい張力を与えると、前記連結部28、30、32、124、126、128の各々の前記長手方向の軸38、62、90、134、164、212がすべて整列する方向に、前記第1の機構12および/または前記第2の機構14を操作することができる。前記第1のケーブル16、前記第2のケーブル18、および前記第3のケーブル20のうち1若しくはそれ以上に異なる張力を与えると、前記連結部28、30、32、124、126、128の各々の前記長手方向の軸38、62、90、134、164、212がまったく整列し合わない方向に、前記第1の機構12および/または前記第2の機構14を操作することができる。また、前記ケーブル16、18、20を利用すると、前記第2の相機構14の対的な状態を制御することもできる。例えば、これらのケーブル16、18、20に均一な張力を与えると、前記第2の機構14は「剛性の」(rigid)状態になり、当該ケーブル16、18、20への張力を緩めると、前記第2の機構14は「柔軟な」(limp)状態になる。種々の実施形態によれば、これらのケーブル16、18、20は、前記第2の機構14の前記第1の連結部124の前記第1の端部130で、例えば各々のストッパーノットにより、各々の滑車(図示せず)に取り付けることができる。前記ケーブル16、18、20は、例えば各々のストッパーノットにより、前記第2の機構14の前記第2の連結部126の前記第2の端部132に取り付けることができる。当業者であれば、他の実施形態に従って、前記第1の機構12および/または前記第2の機構14にねじり力をかけることにより、または当該技術分野で公知の他の任意態様により、上記の「剛性の」状態および「柔軟な」状態を達成できることが理解されるであろう。
【0057】
前記第4のケーブル22は、任意の適切な材料で製作できる。例えば、種々の実施形態によれば、このケーブル22は、Spectra(登録商標)などのポリエチレンファイバーケーブルで製作してよい。このケーブル22を利用すると、前記第1の機構12の相対的な状態を制御することができる。例えば、この第4のケーブル22を強く引くと、前記第1の機構12は「剛性の」状態になり、この第4のケーブル22を弛緩させると、前記第1の機構12は「柔軟な」状態になる。種々の実施形態によれば、この第4のケーブル22は、前記第1の機構12の前記第1の連結部28の前記第1の端部34で、例えばストッパーノットにより、滑車(図示せず)に取り付けることができる。この第4のケーブルは、例えばストッパーノットにより、前記第1の機構12の前記第2の連結部30の前記第2の端部88に取り付けることができる。
【0058】
図10は、当該操作可能な多関節装置10の動きのシーケンスの種々の実施形態を例示したものである。このシーケンスの開始時には、図10の工程「a」で示すように、前記第2の機構14が前記第1の機構12を取り囲み、前記第1の機構12の前記連結部28、30、32の各々の前記長手方向の軸38、62、90が、前記第2の機構14の前記連結部124、126、128の各々の前記長手方向の軸134、164、212と実質的に整列し、前記第1の機構12の前記第2の端部26が、前記第2の機構14の前記第2の端部122と実質的に同じ位置にある。前記第4のケーブルが強く引かれているため、当該第1の機構12は剛性モードになっている。前記ケーブル16、18、20は強く引かれていないため、前記第2の機構14は柔軟モードになっている。
【0059】
次に、前記第2の機構14が前方に動かされることにより、その第2の連結部126が、図10の工程「b」に示すように、前記第1の機構12の前記第2の端部24より連結部約1つ分だけ前方に位置付けられる。前記ケーブル16、18、20を利用すると、前記第2の連結部126を特定の配向にでき、その場合、前記第1の連結部124の前記長手方向の軸134は、もはや前記第2の機構14の前記中間連結部128の前記長手方向の軸164にも前記第1の機構12の前記第2の連結部30の前記長手方向の軸90にも整列していない。前記第2の連結部126が望ましい位置および配向になったのち、前記第2の機構14を剛性モードにしてその位置および配向を維持するよう、前記ケーブル16、18、20が同一の力で引張られる。
【0060】
次いで、前記第4のケーブル22を引く力が解除され、前記第1の機構12が柔軟モードになる。この第1の機構12は、柔軟モードになった後、図10の工程「c」に示すように、この第1の機構12の前記第2の連結部30が、前記第1の機構14の第2の連結部122と実質的に同じ位置になるよう、前方に動かされる。前記第1の機構12の前記第2の連結部30が望ましい位置および配向になったのち、前記第4のケーブル22が強く引かれて前記第1の機構12が再び剛性モードになることで、前記第1の機構12の位置および配向が保たれる。
【0061】
次に、前記ケーブル16、18、20を引く力が解除され、前記第2の機構14が再び柔軟モードになる。再び柔軟モードになった前記第2の機構14が前方に動かされ、これにより、当該第2の機構14の第2の連結部126は、図10の工程「d」に示すように、前記第1の機構12の前記第2の端部26より連結部約1つ分だけ前方に位置付けられる。前記第2の連結部126が望ましい位置および配向になると、前記第2の機構14を剛性モードにしてその位置および配向を維持するよう、前記ケーブル16、18、20が同一の力で引張られる。
【0062】
次いで、前記第4のケーブル22を引く力が解除され、前記第1の機構12が再び柔軟モードになる。この第1の機構12は、再び柔軟モードになった後、図10の工程「e」に示すように、この第1の機構12の前記第2の連結部30が、再び前記第1の機構14の第2の連結部122と実質的に同じ位置になるよう、前方に動かされる。前記第1の機構12の前記第2の連結部30が望ましい位置および配向になったのち、前記第4のケーブル22が強く引かれて前記第1の機構12が再び剛性モードになることで、前記第1の機構12の位置および配向が保たれる。上記の全般的な動きのシーケンスは、任意の回数繰り返すことができ、前記第2の機構14の前記第2の連結部126は、任意の方向に任意の配向で前進できる。当業者であれば、当該多関節装置10を使うと、任意数の動きのシーケンスを利用できることが理解されるであろう。例えば、種々の実施形態によれば、前記第2の機構14は、任意数の連結部を前記第1の機構12より前方へ動かすことができる。
【0063】
上記の例示的サイズは、全般的に相対的なものであり、当業者であれば、前記多関節装置10が拡大(スケールアップ)または縮小(スケールダウン)可能であることが理解されるであろう。例えば、上述した実施形態の場合、当該多関節装置10の前記中間連結部128の最大部における直径は約9.65ミリメートルのオーダーであるが、当業者であれば、他の実施形態では、当該多関節装置10の前記中間連結部128の最大部における直径が約1.0ミリメートルのオーダーになるよう、前記中間連結部128をスケールダウンできることが理解されるであろう。そのような実施形態では、当該多関節装置10の他の構成要素も、それぞれ比例的にスケールダウンされることになる。
【0064】
前記第1の機構12を有する各前記連結部28、30、32の独特の構成と、前記第2の機構14を有する各前記連結部124、126、128の独特の構成との組み合わせにより、比較的小さい半径を有する円周により形成される経路を移動する能力が、前記多関節装置10にもたらされる。例えば、上記の例示的サイズの場合、当該多関節装置10は、約40ミリメートルオーダーの半径を有する円周により形成される経路を移動することができる。そのような小さい曲率でナビゲートする当該多関節装置10の例は、図11に示した。当該多関節装置10の前記中間連結部128の最大部が約1.0ミリメートルオーダーの実施形態では、当該多関節装置10は、45ミリメートルより著しく小さい半径を有する円周により形成される経路を移動することができる(約4.0ミリメートルオーダーなど)。言い換えると、当該多関節装置10は、当該装置10の外径の約4倍の半径を有する円周により形成される経路を移動することができる。当業者であれば、そのような小さい曲率をナビゲートする能力により、当該多関節装置10は、管腔空間および腔内空間(空洞内空間)の双方におけるいくつかの異なる低侵襲的処置での使用に適していることが理解されるであろう。
【0065】
以上、例をとって本発明の実施形態をいくつか説明したが、当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態について種々の変更形態、修正形態、および適応形態が実現可能であることが理解されるであろう。例えば、当業者であれば、前記多関節装置10が任意数の作業ポートを有してよいことが理解されるであろう。また、前記第1の機構12に、前記第4のケーブル22の代わりに孔およびケーブルをさらに設け、当該第1の機構12を操作可能にしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作可能な多関節装置であって、
第1の複数の溝を形成する第1の多関節機構と、
第2の複数の溝を形成する第2の多関節機構と
を有し、
前記第1の複数の溝および前記第2の複数の溝は協動して当該装置の長手方向に沿って少なくとも2つの作業ポートを形成し、
前記第2の多関節機構は前記第1の多関節機構を受容し、且つ取り囲むものであり、
前記第1の多関節機構および前記第2の多関節機構のうちの少なくとも1つは操作可能である
多関節装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、当該装置は、管腔空間および腔内(空洞内)空間をナビゲートするよう構成されるものである。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、前記第1の多関節機構および前記第2の多関節機構は、互いに独立的に動作可能である。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、前記第1の多関節機構および前記第2の多関節機構は、それぞれ剛性モードおよび柔軟モードで動作するよう構成されるものである。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、前記第1の多関節機構と前記第2の多関節機構との間には間隔が形成されているものである。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、前記第1の多関節機構は、
第1の連結部と、
複数の中間連結部であって、当該中間連結部の1つが前記第1の連結部に移動可能に連結されているものである、前記複数の中間連結部と、
前記複数の中間連結部のうちの別の1つに移動可能に連結された第2の連結部と
を有するものである。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、前記第1の連結部には、長手方向の軸に沿って当該第1の連結部の第1の端部から当該第1の連結部の第2の端部へ延在する経路が形成され、前記長手方向の軸は、前記第1の端部の中心および前記第2の端部の中心を貫通するものである。
【請求項8】
請求項6記載の装置において、前記中間連結部の少なくとも1つには、長手方向の軸に沿って当該中間連結部の少なくとも1つの第1の端部から当該中間連結部の少なくとも1つの第2の端部へ延在する経路が形成され、前記長手方向の軸は、前記第1の端部の中心および前記第2の端部の中心を貫通するものである。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、前記経路の少なくとも一部は、分割(セグメント化)された半球として構成されるものである。
【請求項10】
請求項6記載の装置において、前記第2の連結部には、長手方向の軸に沿って当該第2の連結部の第1の端部から当該第2の連結部の第2の端部へ延在する経路が形成され、前記長手方向の軸は、前記第1の端部の中心および前記第2の端部の中心を貫通するものである。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、前記経路の少なくとも一部は、分割された半球として構成されるものである。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、前記第2の多関節機構は、
第1の連結部と、
複数の中間連結部であって、当該中間連結部の1つが前記第1の連結部に移動可能に連結されているものである、前記複数の中間連結部と、
前記複数の中間連結部のうちの別の1つに移動可能に連結された第2の連結部と
を有するものである。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、前記第1の連結部には、長手方向の軸に沿って当該第1の連結部の第1の端部から当該第1の連結部の第2の端部へ延在する経路が形成され、前記長手方向の軸は、前記第1の端部の中心および前記第2の端部の中心を貫通するものである。
【請求項14】
請求項12記載の装置において、前記中間連結部の少なくとも1つには、長手方向の軸に沿って当該中間連結部の少なくとも1つの第1の端部から当該中間連結部の少なくとも1つの第2の端部へ延在する経路が形成され、前記長手方向の軸は、前記第1の端部の中心および前記第2の端部の中心を貫通するものである。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、前記経路の少なくとも一部は、分割された半球として構成されるものである。
【請求項16】
請求項14記載の装置において、前記経路の少なくとも一部は、分割された円錐形として構成されるものである。
【請求項17】
請求項14記載の装置において、前記中間連結部の少なくとも1つには、前記第2の溝の1つに近接した位置で、当該中間連結部の少なくとも1つの第1の表面から当該中間連結部の少なくとも1つの第2の表面へ貫通する開口部が形成されているものである。
【請求項18】
請求項12記載の装置において、前記中間連結部の少なくとも1つには、当該中間連結部の少なくとも1つの端部に近接した位置において少なくとも2つの凹陥部(インデント)が形成されているものである。
【請求項19】
請求項12記載の装置において、前記第2の連結部は、長手方向の軸に沿って当該第2の連結部の第1の端部から当該第2の連結部の第2の端部へ延在する凹部が形成され、前記長手方向の軸は、前記第1の端部の中心および前記第2の端部の中心を貫通するものである。
【請求項20】
請求項19記載の装置において、前記凹部の少なくとも一部は、分割された半球として構成されるものである。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−232147(P2012−232147A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−149021(P2012−149021)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2009−524761(P2009−524761)の分割
【原出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【出願人】(509044556)メドロボティクス コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】