説明

複数の物理層の間での干渉を緩和した無線通信システム

【課題】 発明は、複数の物理層を有する無線通信システムにおける物理層間の干渉を緩和できるシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の無線通信システムは、基本的には、チャネル割り当て、プリアンブルフォーマット、フレームフォーマットを共通のものとし、このような共通のプラットフォームを用いることで、異なる物理層を複数有している通信端末を用いた無線通信においても、物理層間の干渉を効果的に緩和できるという知見に基づくものである。基地局(1)は、チャネル設計手段(2)と、プリアンブル設計手段(3)と、フレームフォーマット設計手段(4)とを含む。基地局がこれらの手段を有するため、共通プラットフォームを達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物理層の間での干渉を緩和した無線通信システムなどに関する。本発明の無線通信システムは、共通のプラットフォームを用いるので、複数の種類の物理層を有する端末を用いた場合であっても干渉を緩和できる。
【背景技術】
【0002】
IEEEのような主要標準化団体における主な無線通信規格は、単独の物理層構成を採用している。そのようなIEEEのワーキンググループとして、802.11や802.16がある。一方、システムの性能を向上させるといった目的のため、代わりとなる物理層が追加される場合がある。物理層が追加される例は、IEEE802.11a、IEEE.11b、及びIEEE802.16eなどにみられる。一方、全ての種類の物理層は、それぞれ長所と短所とを有する。たとえば、SC(シングルキャリア)は、処理量が少ないものの、簡単な構成で済むという利点がある。OFDMシステムは、複雑で高価な回路を必要とするものの、多くの情報を処理できるという利点がある。
【0003】
このような事情の下、複数の物理層を同時にサポートできる単一システムの構成が望まれる。複数の物理層を有するワイヤレス通信システムは、様々な種類の物理層の利点を組合わせることができるので、構成デザインの柔軟性に富み、多様なスペックを達成できる。実際に、複数の物理層を有するシステム構成が、IEEE802.15.3cにおいて提案されている。
【0004】
複数の物理層を有するシステムでは、物理層同士における干渉がシステムの性能を悪くする主な要素となっている。図1は、複数の物理層を有する単一のシステムを説明するための図である。図1に示されるように、同じ物理層をサポートするネットワークコントローラ(NC)と装置は通信できる状態とされている。一方、物理層Aと物理層BとをサポートするNCや装置が存在するため、これを介して物理層AをサポートするNCと、物理層BをサポートするNCとの間でも通信を行うことができる。図1中、符号10は、物理層AをサポートするNCを示し、符号11は物理層BをサポートするNCを示し、符号12は物理層Aと物理層BをサポートするNCを示す。符号15は、物理層Aをサポートする装置を示し、符号16は物理層Bをサポートする装置を示し、符号17は物理層Aと物理層Bをサポートする装置を示す。図2は、同一領域に、異なる物理層をサポートするネットワークコントローラが存在する場合に、物理層間における干渉が生じる様子を示す図である。図2中、図1と同じ要素には同じ符号を付してある。図2の斜線部に示されるように、異なる物理層をサポートするネットワークコントローラが存在する領域において、物理層間における干渉(IPI)が生ずる。なお、この領域はIPI領域とよばれる。図2に示されるように装置(15)は、物理層B由来のIPIを受ける。一方、装置(16)は、物理層A由来のIPIを受ける。
【0005】
異なる物理層において、それぞれ、異なる符号器と復号器の組み合わせが用いられている。よって、ある物理層は、異なる物理層における信号を判別することができない。このように異なる物理層における信号を判別できないことは、層ごとの符号器及び復号器を必要とさせる。よって、物理層の間での干渉を回避できなくさせている。そこで、複数層の物理層(PHY)を有するワイヤレス通信システムにおいて、干渉を緩和する技術が望まれる。
【0006】
たとえば、特表2006−527959号公報(下記特許文献1)には、単一周波数のOFDMAチャネルを使用するセルラ・ワイヤレス・システムが開示されている。そして、このシステムでは、基地局が周波数および時間空間の同期手段を含む。これにより、干渉を防止するとされている。
【特許文献1】特表2006−527959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数の物理層を有する無線通信システムにおける物理層間の干渉を緩和できるシステムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、さらに、ネットワークコントローラと接続された装置間の時間理割り当てを効果的に行い、通信衝突を避けることができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の通信端末が、それぞれ異なる物理層を複数層有している場合であっても、物理層間の干渉を緩和できる無線通信システムなどに関する。本発明の無線通信システムは、基本的には、チャネル割り当て、プリアンブルフォーマット、フレームフォーマットを共通のものとし、このような共通のプラットフォームを用いることで、異なる物理層を複数有している通信端末を用いた無線通信においても、物理層間の干渉を効果的に緩和できるという知見に基づくものである。
【0010】
本発明の第1の側面は、無線通信システムに関する。この無線通信システムは、基地局と、基地局と無線通信できる複数の通信端末と含む。そして、それぞれの通信端末は複数の種類の物理層を含む。なお、通信端末に1種類の物理層のみが含まれるものも含まれていてもよい。
【0011】
基地局は、チャネル設計手段と、プリアンブル設計手段と、フレームフォーマット設計手段とを含む。基地局がこれらの手段を有するため、共通プラットフォームを達成できる。
【0012】
チャネル設計手段は、複数の通信端末へ送信する物理層用チャネルを、共通のチャネル様式を用いて設計する。
【0013】
プリアンブル設計手段は、基地局が送信するプリアンブルを共通のフォーマットとなるように設計する
【0014】
フレームフォーマット設計手段は、前記基地局が送信するフレームのフォーマットが共通となるように設計する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の物理層を有する無線通信システムにおける物理層間の干渉を緩和できるシステムを提供することができる。
【0016】
本発明によれば、ネットワークコントローラと接続された装置間の時間理割り当てを効果的に行い、適切にスケジューリングすることで、通信衝突を避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
物理層間における干渉(IPI)を軽減するため、本発明においては、共通プラットフォームを用いる。本発明では、全ての関連する物理層を設計する際に、以下の3つの基準を採用する。その第1の基準は、全ての物理層は特定のチャネル化(chanelization)を行うというものである。第2の基準は、全ての物理層は、特定のプリアンブルデザインを有するというものである。第3の基準は、全ての物理層は、同じフレームフォーマットを有するというものである。
【0018】
共通のチャネル設計
全ての物理層を、あるチャネル設計様式に基づいて設計する。これは、たとえば、物理層のタイミングをつかさどる水晶振動子(クリスタルオシレータ)を同一のもの又は類似のものとする。つまり、駆動周波数が全ての物理層において同一となるようにする。このように駆動周波数を同一とすることで、異なる物理層のチャネル間の干渉を緩和できる。図3は、チャネルを標準化しない場合に起こる干渉を説明するための図である。図3では、標準化していないNチャンネルを有する多数物理層システムの概要を示す。図3において横軸は周波数を示す。図3において、符号21は物理層A用のチャネル1を示す。符号22は物理層A用のチャネル2を示す。符号24は物理層B用のチャネル2を示す。符号25は物理層A用のチャネルNを示す。図3では、いくつかのチャネルが省略されておりこれが点線で表現されている。符号26は物理層A用のチャネル2と物理層B用のチャネル2とのIPI領域を示す。図3に示されるように、物理層(PHY)Aのチャネル2と、物理層Bのチャネル2との間で、物理層間における干渉(IPI)が生じている。物理層Aと物理層Bのチャネル様式を同一とすることで、IPIを軽減することができる。すなわち、チャネル設計様式とは、各物理層に割り当てられる周波数帯域を意味する。つまり、ある期間に送信される物理層用の複数のチャネルがそれぞれ異なる周波数帯域を有するように設計する。このために、全ての装置に送信されるフレームの同期を取り、それぞれのフレームのタイミングを制御する。そして、ある期間における全てのチャネルの周波数帯域を異なるものとする。特に,異なる種類の物理層のチャネルについては,ある時間に送信されるフレームの周波数帯域が異なるように設計する。このようにすることで,図3の斜線部で示されるようなIPI領域(26)を防止できる。
【0019】
共通のプリアンブル構成
次に共通のプリアンブル構成について説明する。プリアンブルの主要な役割の一つは、受信機における受信したフレームのタイミング検出である。図4は、本発明のプリアンブルの設計例を示す図である。図4中、符号41は、パケット同期用のフィールドを示し、符号43はスタートフレームデリミネータ用のフィールドを示し、符号45はチャネル推定(チャネルエスチメイション)用のフィールドを示す。本発明の好ましい例では、タイミング検出のためのコード列が、プリアンブル中のパケット同期部分に位置する。このように設計することで、複数の物理層由来のフレームについて正確にタイミング検出を行うことができる。これにより、それらのフレームを正確に検出することができ、正確にスーパーフレームにおいてスケジューリングできるので、フレーム間の干渉を防止できる。
【0020】
共通のフレームフォーマット
次に、全ての物理層が同じフレームフォーマットを有する点について説明する。図5は、フレームフォーマットの例を示す図である。図5に示されるように、このフォーマットでは、プリアンブル、ヘッダ、ヘッダチェック列、ペイロード、及びフレームチェック列がこの順で形成される。このようにフォーマットを統一することで、あらゆる物理層においてフレームを認識できることとなる。ヘッダ列は、さらに物理層ヘッダとMACヘッダとに分かれている。このフォーマットが異なっていると、フレームを作成し直す必要が生じる。また、スケジューリングし直すこと生じる。このため,システムの動作が複雑になる。ヘッダチェック列は、物理層ヘッダとMACヘッダに含まれる誤りを検出するための符号列である。フレームチェック列は、ペイロードに含まれる誤りを検出するための符号列である。全ての関連する物理層設計をサポートすることができるように、共通のフレームフォーマットを用いて変調を行い、また誤り修正を行う。なお、この物理層ヘッダには、次のフレームに関する情報が含まれていることが好ましい。
【0021】
時間分割の様式は、いわゆるスーパーフレームとよばれるフォーマットを用いる。図6は、スーパーフレームフォーマットの例を示す図である。図6に示されるように、スーパーフレームは、ビーコン期間BPと、これに続くCSMA/CA用のコンテンションアクセス期間(CAP)と、これに続くTDMA用のチャネル時間割当期間(CTAP)とからなる。
【0022】
まず、複数の物理層におけるチャネル設計様式は、先に説明したとおりである。これにより複数の物理層間における干渉を緩和できる。BPにおいては、共通のフォーマットを用いた共通のプラットフォームにより、ネットワークコントローラNCによりビーコンが転送される。そのNCが物理層Aと物理層Bとに用いることができるものである場合、ビーコンフレームは物理層Aによっても物理層Bによっても認識されうる。
【0023】
ビーコン期間にコンテンションアクセス期間(CAP)が続く。CAPでは、結合、非結合、時間分割要求などが続く。同様に、CAPにおける全ての情報の伝達も、共通のプリアンブルを有する共通のフォーマットデザインを有する共通プラットフォームにおける低速の信号伝達により行う。CAPにおいて、ネットワークコントローラNCは、全ての接続可能な装置と情報の伝達を行う。この際、相当する物理層を介して情報の伝達を行う。NCは、これら装置から得られた情報に従って、CTAPにおける情報伝達路の調整やスケジューリングを行う。
【0024】
そして、チャネル時間割当期間(CTAP)においては、ストリーミングが起こる。CAPにおいて全ての情報伝達について時間割当てがなされているので、フレームを多数交換するといったことが起こらない。そして、CTAPにおいて、実際のデータ通信が行われる。これにより、装置間の異なる物理層の間で生じる干渉を緩和することができる。このような共通プラットフォームは、通信状況が良くない場合の付加的手段として用いても良い。
【0025】
図7は、無線通信システムの基本構成を示す概念図である。この無線通信システム(71)では、通信局(72)で変調され、送信された無線信号を無線端末(73)が受信し、復調する。この無線端末は、本明細書における装置に相当する。そして、無線信号は、複数のフレームを含む。通信局の好ましい例は、複数のフレームのあるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームに関する情報を付加する手段を有する。このため、通信局は、複数のフレームのあるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームに関する情報を付加することができる。そして、無線端末は、物理層ヘッダに含まれる次のフレームに関する情報を用いて無線信号の処理条件を調整する調整手段を含む。このため、無線端末は、物理層ヘッダに含まれる次のフレームに関する情報を用いて、この次のフレームを処理するための条件を事前に調整することができる。そして、無線端末の例は、携帯電話、携帯式ゲーム、携帯式モジュール、ブルートゥース(登録商標)を搭載したモジュール、携帯式パソコン、及びPDAがあげられる。通信端末は複数の種類の物理層を含む。このような複数の種類の物理層の例として,シングルキャリアの物理層と,OFDM(直交波周波数分割多重)用の物理層があげられる。すなわち,異なる符合化方式や複合化方式に対応するためには異なる種類の物理層が用いられるので,本発明は様々な通信方式に対応した物理層を含む装置を用いることができる。
【0026】
図8は,基地局の構成例を示すブロック図である。図8に示されるように,基地局(1)は、チャネル設計手段(3)と、プリアンブル設計手段(5)と、フレームフォーマット設計手段(7)とを含む。そして,各手段は情報の授受を行うことができるようにバスなどで接続されている。チャネル設計手段は、複数の通信端末へ送信する物理層用チャネルを、共通のチャネル様式を用いて設計する。プリアンブル設計手段は、基地局が送信する、プリアンブルを共通のフォーマットとなるように設計する。フレームフォーマット設計手段は、前記基地局が送信するフレームのフォーマットが共通となるように設計する。このような設計指針に基づき,公知の基地局が有するシステムを用いて本発明の通信方式を達成できる。
【0027】
無線通信システムは、たとえば、ネットワーク(74)にアクセスポイント(75)が有線により接続される。そして、このアクセスポイントと複数の無線端末とが無線により接続されている。アクセスポイントおよび無線端末はネットワークとは別個のネットワークである無線LANを形成する。このようにアクセスポイントを用いてネットワークを形成する通信形態をインフラストラクチャモードとよぶ。ネットワークには複数のアクセスポイントを設けることもできる。この場合、各無線端末は、あるアクセスポイントからネットワークに接続する他のアクセスポイントを介して他の無線LANに属する無線端末と通信を行うことができる。なお、無線LANの通信形態としては、アクセスポイントを設けず端末同士が直接通信するアドホックモードも存在する。
【0028】
無線端末は、無線通信部と、変復調部と、MAC処理部と、プロセッサと、メモリとを有する。そして、それぞれの要素は、バスにより接続され、信号の授受を行うことができるようにされている。メモリにはインターフェース部が接続されている。また、この無線端末は電源供給部を有しており、この電源供給部から電源線によって無線端末内の各部に電源が供給される。
【0029】
無線通信部は、無線端末の外部との間で無線通信を行うためのものである。無線通信部は、無線信号を受信する受信部と、無線信号を送信する送信部と、無線信号を送受信するための周波数信号を発生する周波数シンセサイザと、受信部および送信部の間でアンテナを切替えるアンテナ切替器とを有する。周波数シンセサイザとして、例えば、PLL回路(位相同期回路)が使用される。また、周波数シンセサイザにはアンテナが接続される。
【0030】
変復調部は、無線通信部における送受信信号と無線端末内部のデジタル信号との間の変換を行うものである。変復調部は、受信部から受け取った信号を復調する復調部と、送信対象の信号を変調して送信部に与える変調部とを有する。無線LANにおける変調方式は一次変調と二次変調に分かれている。一次変調としては、ASK(振幅変調)、FSK(周波数変調)、PSK(位相変調)、QAM(直交振幅変調)、CCK(相補符号変調)などがある。二次変調としては、スペクトラム拡散技術を用いた周波数ホッピング方式(FHSS)、直接拡散方式(DSSS)や直交周波数分割多重方式(OFDM)などがある。
【0031】
MAC処理部は、MAC副層における処理を行うMAC制御部と、復調部からの信号を保持する受信データバッファと、変調部への信号を保持する送信データバッファとを備える。また、MAC処理部は、復調部からの信号について、プリアンブルを検査するプリアンブル検査部と、PLCPヘッダを処理するPLCPヘッダ処理部と、MACヘッダを処理するMACヘッダ処理部とを有する。
【0032】
プロセッサは、無線端末の全体の制御を行う。メモリは、プロセッサが処理を行うための作業領域を保持する。インターフェース部は、無線端末と他のコンピュータや携帯機器とを接続するためのものである。これら他の機器は物理的に無線端末の外部に接続されるものでもよく、また、無線端末が他の機器に内蔵されるような接続形態でもよい。
【0033】
そして、無線端末は、物理層ヘッダに含まれる次のフレームに関する情報を用いて無線信号の処理条件を調整する。このため、無線端末は、物理層ヘッダに含まれる次のフレームに関する情報を用いて、この次のフレームを処理するための条件を事前に調整することができる。
【0034】
通信局は、無線通信システムにおける通常の構成を有するものを用いればよい。本発明では、チャネル設計手段は、複数の通信端末へ送信する物理層用チャネルを、共通のチャネル様式を用いて設計する。プリアンブル設計手段は、基地局が送信する、プリアンブルを共通のフォーマットとなるように設計する。フレームフォーマット設計手段は、前記基地局が送信するフレームのフォーマットが共通となるように設計する。また、本発明の好ましい例は、複数のフレームのあるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームに関する情報を付加する。この作業は、無線通信システムにおける通信局が情報を変調して送信するのと同様の装置を用いて達成できる。一方、あるフレームの物理層ヘッダを変調する際に、次のフレームに関する情報を把握する。このためには、通信局は、たとえば通信環境を把握するなど、あるフレームを通信する際の、ネットワークの状況を把握して、それを次のフレームに反映させる。つまり、把握した次のフレームに関する情報を用いて、あるフレームの物理層ヘッダを変調する。これは、たとえば、標準化されている物理層ヘッダの変調方式におけるフィールドに加えて、フレームに関する情報を有するフィールドを付加すればよい。このため、通信局は、複数のフレームのあるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームに関する情報を付加することができる。
【0035】
たとえば、通信局は、あるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームのペイロード長さに関するフィールドを付加する。すなわち、通信局は、ある情報を変調する際に、その情報をいくつかのペイロードに分割する。そして、通信局は、分割したペイロードの長さを記憶する。そして、記憶したペイロードの長さを利用して、たとえば、第1のペイロードを含むフレーム(第1のフレーム)の物理層ヘッダに、第2のペイロードの長さを示すフィールドを付加する。
【0036】
すると、無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信し、復調する。この無線信号には、複数のフレームが含まれている。そして、第1のフレームを復調する際に、第1の物理層ヘッダから、第2のペイロードの長さに関するフィールドを抽出し、復調する。これにより、第2のフレームのペイロード長を把握する。そして、第2のフレームのチャネル時間割当における割当時間を計算する。そして、第1のフレームが含まれるCTAに、第2のフレームが含めた場合の、割当時間を計算する。そして、これらの時間が、CTAに含まれる場合は、同じCTAに含まれるフレームとして処理を行う。
【0037】
また、たとえば、通信局は、あるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームのプリアンブル長さに関するフィールドを付加する。すなわち、通信局は、ある情報を変調する際に、その情報をいくつかのペイロードに分割する。そして、通信局は、分割したペイロードに同期を取るための情報であるプリアンブルを付加する。通信局は、たとえば、第1のフレームを変調する前に、第2のフレームのプリアンブル長に関する情報を得る。そして、第1のフレームを変調する際に、第1のプリアンブルを含むフレーム(第1のフレーム)の物理層ヘッダに、第2のプリアンブルの長さを示すフィールドを付加する。
【0038】
すると、無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信し、復調する。この無線信号には、複数のフレームが含まれている。そして、第1のフレームを復調する際に、第1の物理層ヘッダから、第2のフレームのプリアンブルの長さに関するフィールドを抽出し、復調する。これにより、第2のフレームのプリアンブル長を把握する。そして、第2のフレームのチャネル時間割当における割当時間を計算する。そして、第1のフレームが含まれるCTAに、第2のフレームが含めた場合の、割当時間を計算する。そして、これらの時間が、CTAに含まれる場合は、同じCTAに含まれるフレームとして処理を行う。
【0039】
また、たとえば、通信局は、あるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームのIFSの長さに関するフィールドを付加する。すなわち、通信局は、ある情報を変調する際に、その情報をいくつかのペイロードに分割する。そして、通信局は、公知の方法に従って、分割したペイロードのIFSに関する情報を求める。たとえば、第1のフレームを変調する前に、第2のフレームのIFSに関する情報を得る。そして、第1のフレームを変調する際に、第1のプリアンブルを含むフレーム(第1のフレーム)の物理層ヘッダに、第2のIFSを示すフィールドを付加する。このIFSを示すフィールドは、SIFSかMIFSかの2値情報であってもよいし、多段階のものであってもよい。
【0040】
すると、無線端末は、基地局から送信された無線信号を受信し、復調する。この無線信号には、複数のフレームが含まれている。そして、第1のフレームを復調する際に、第1の物理層ヘッダから、第2のフレームのIFSに関するフィールドを抽出し、復調する。これにより、第2のフレームのIFSを把握する。そして、第2のフレームのチャネル時間割当における割当時間を計算する。そして、第1のフレームが含まれるCTAに、第2のフレームが含めた場合の、割当時間を計算する。そして、これらの時間が、CTAに含まれる場合は、同じCTAに含まれるフレームとして処理を行う。
【0041】
本発明において、あるフレームの物理層ヘッダに、次のフレームのペイロード長、プリアンブル長、及びIFS長に関するフィールドのいずれかのみを付加してもよいし、2つ以上のフィールドを付加してもよい。その場合、無線端末は、予め定められた変調方式に対する復調を行えるようにしておけばよい。そのようにすることで、あるフレームを復調する際に、次のフレームに関する情報を入手することができる。また、次のフレームに関する情報として、本明細書において説明したものの他、次のフレームに関する様々な情報を付加してもよい。また、あるフレームの物理ヘッダに、次のフレームに関する情報だけではなく、次のフレームの次のフレームに関するフィールドをも付加してもよい。また、処理時間を考慮して、あるフレームの物理ヘッダに、次のフレームのさらに次のフレームに関するフィールドを付加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、無線通信の分野で利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、複数の物理層を有する単一のシステムを説明するための図である。
【図2】図2は、同一領域に、異なる物理層をサポートするネットワークコントローラが存在する場合に、物理層間における干渉が生じる様子を示す図である。
【図3】図3は、チャネルを標準化しない場合に起こる干渉を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明のプリアンブルの設計例を示す図である。
【図5】図5は、フレームフォーマットの例を示す図である。
【図6】図6は、スーパーフレームフォーマットの例を示す図である。
【図7】図7は、無線通信システムの基本構成を示す概念図である。
【図8】図8は,基地局の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1 基地局
2 チャネル設計手段
3 プリアンブル設計手段
4 フレームフォーマット設計手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、前記基地局と無線通信できる複数の通信端末と含み、前記通信端末はそれぞれ複数の種類の物理層を含む、無線通信システムであって、
前記基地局は、チャネル設計手段と、プリアンブル設計手段と、フレームフォーマット設計手段とを含み、

前記チャネル設計手段は、前記複数の通信端末へ送信する物理層用チャネルを、共通のチャネル様式を用いて設計し、

前記プリアンブル設計手段は、前記基地局が送信する、プリアンブルを共通のフォーマットとなるように設計し、

前記フレームフォーマット設計手段は、前記基地局が送信するフレームのフォーマットが共通となるように設計する、

無線通信システム。
【請求項2】
前記チャネル様式は、各チャネルの周波数帯域及び信号期間を含む様式であり、
前記チャネル設計手段は、
前記複数の通信端末へ送信する物理層用チャネルを、共通のチャネル様式を用いて設計し、ある期間に送信する複数のチャネルの周波数帯域が互いに重なり合わないように制御する、

請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記プリアンブルはパケット同期部分を含み、
前記パケット同期部分には、タイミング検出のためのコード列が含まれる、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記フレームのフォーマットは、プリアンブル、ヘッダ、ヘッダチェック列、ペイロード、及びフレームチェック列がこの順で形成されるフォーマットであり、
前記ヘッダは、物理層ヘッダとMACヘッダとを含む、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記物理層ヘッダは、次のフレームに関する情報を含む、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
基地局と、前記基地局と無線通信できる複数の通信端末と含み、前記通信端末はそれぞれ複数の種類の物理層を含む、無線通信システムを用いた無線通信方法であって、
前記基地局は、
前記複数の通信端末へ送信する物理層用チャネルを、共通のチャネル様式を用いて設計し、
プリアンブルを共通のフォーマットとなるように設計し、
フレームのフォーマットが共通となるように設計する、
無線通信システム通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−11088(P2010−11088A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168005(P2008−168005)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】