説明

複数の糸を巻き取るための方法及び装置

【課題】糸に対応配置された複数のトラバースユニット7.1,7.2と、これらのトラバースユニットとボビンスピンドル3.1との間に配置された圧着ローラ6とを備えており、ボビンスピンドル3.1とトラバースユニットと圧着ローラ6とがそれぞれ独立した構造群として、機械枠1の枠部1.1,1.3,1.4によって保持され、各構造群がそれぞれ所定の固有振動数を有している形式の、複数の糸21を、駆動可能なボビンスピンドル3.1に設けられたボビン5に巻き取るための装置を改良して、糸をボビンに巻き取る間に構造群内で発生する許容できない振動をほぼ完全に避けるようにする。
【解決手段】糸の巻き取り作業中に当該の構造群の固有振動数を変えるために、少なくとも1つの枠部1.1,1.3,1.4が、枠(1.3の剛性に影響を与える手段10を有していることを特徴とする、複数の糸を巻き取るための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の糸を、回転するボビンスピンドルに設けられたボビンに巻き取るための方法であって、糸をボビンに当て付ける前にそれぞれ所属のトラバースユニットによって糸を往復移動ガイドし、かつ回転する圧着ローラの外周面に部分的に糸を巻き掛けてガイドし、この際に、ほぼ一定の巻取り速度を維持するために、ボビンが大きくなるのに伴ってボビンスピンドルの駆動回転数を変化させ、ボビンスピンドルとトラバースユニットと圧着ローラとをそれぞれ独立した構造群として機械枠の枠部によって保持し、各構造群にそれぞれ所定の固有振動数を与える方法、並びに駆動可能なボビンスピンドルに設けられたボビンに複数の糸を巻き取るための装置であって、糸に配属された複数のトラバースユニットと、これらのトラバースユニットとボビンスピンドルとの間に配置された圧着ローラとを備えており、ボビンスピンドルとトラバースユニットと圧着ローラとが別個の構造群として、機械枠の枠部によって保持され、各構造群がそれぞれ所定の固有振動数を有している形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた形式の、複数の糸をボビンに巻き取るための方法及び装置は、ドイツ連邦共和国特許公開第4240920号明細書により公知である。
【0003】
このような装置は、合成繊維糸を製造する際に、紡績後にそれぞれボビンに巻き取るために使用される。このような紡績プロセス中に高い糸引き出し速度を得るために、ボビンを受容するために設けられたボビンスピンドルを、ボビンの直径に関連して、最大で30000回転/分までの非常に高い回転数範囲で回転させる必要があるので、特にボビンを備えたボビンスピンドルのダイナミズムによって強い振動が生ぜしめられる。このような振動は、機械枠に、又はボビン及びボビンスピンドルと直接協働する構造群に伝達される。この構造群とは、特に巻き取り機の、糸ガイド及び糸移動を行う構造群である。一般的にこのような形式の構造群は、機械枠の枠部によって保持され、それによって枠部と共に振動しやすいシステムを形成している。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許公開第4240920号明細書によれば、このような形式の構造群に、特に共振発生によって生ぜしめられる振動を減衰するために振動減衰器を対応配置することが公知である。この場合、励振周波数が構造群の固有振動数と一致した場合に、共振が発生する。しかしながらこのような形式の振動減衰器は、一般的な形式で、非常に狭い周波数範囲内でしか作用せず、この場合、共振が発生する回転数範囲は、周半数に関連して変化する。従って、固有振動数範囲内で構造群を運転することができるようにするためには、非常に高価な技術的費用がかかる。
【0005】
ドイツ連邦共和国特許公開第10060593号明細書により公知の巻き取り機においては、振動を減衰するために構造群内に圧電エレメント(ピエゾエレメント)が使用される。このような形式の圧電エレメントは、圧電アクチュエータと圧電センサとから成っており、この場合、構造群の振動によって生ぜしめられる形状変化が、圧電アクチュエータを作動させるために用いられる。この場合も、構造群内で共振発生に基づいて生じる振動を減衰するために、非常に高価な費用が必要となる。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第4240920号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許公開第10060593号明細書
【特許文献3】ドイツ連邦共和国特許公開第10128077号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式の、複数の糸をボビンに巻き取るための方法及び装置を改良して、糸をボビンに巻き取る間に構造群内で発生する許容できない振動をほぼ完全に避けることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決した本発明の方法の手段によれば、少なくとも1つの構造群の固有振動数を、枠部の切換可能な補強部材によってボビンスピンドルの運転回転数に関連して変えるようにした。
【0008】
またこの課題を解決した本発明の装置の手段によれば、糸の巻き取り作業中に当該の構造群の固有振動数を変えるために、少なくとも1つの枠部が、枠部の剛性に影響を与える手段を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有利な実施態様は、従属請求項に記載した特徴及びこれらの特徴の組み合わせによって規定される。
【0010】
本発明は、ドイツ連邦共和国特許公開第10128077号明細書により公知の装置とも異なるものである。この公知の装置においては、アンバランス発生又はそれに起因する振動を補償質量体の位置変化によって減少させるために、回転体に補償質量体が可動にガイドされる。しかしながら、これによって生ぜしめられた、回転体の固有振動数の周波数変化は、励振周波数の発生を阻止することはできない。従って励振周波数は、妨げられることなく、隣接する枠部又は構造群に伝達され、共振が発生する。
【0011】
本発明による方法及び装置は、糸を巻き取る際に、駆動されているボビンスピンドル及び、このボビンスピンドルの外周面に保持されたボビンによって発生する振動が励振周波数を、多かれ少なかれ隣接する構造群及び枠部に伝達するということから出発している。構造群内の励振周波数が許容されない振動を生ぜしめることがないようにするために、本発明によれば、ボビンスピンドルの運転回転数に関連して構造群の固有振動数を変えるために、構造群に配属(対応配置)された枠部に、切換可能な補強部材(schaltbare Versteifung)が設けられる。このために、構造群の枠部は、枠部の剛性に影響を与えるための手段を有している。従って構造群には、付加的な減衰装置は配属されていない。何故ならば構造群は、共振が発生しない周波数範囲内で駆動され、従って共振発生が避けられるからである。
【0012】
枠部の補強部材を接続又はしゃ断することによって、固有振動数を、振動数範囲を上昇させるためにも、また低下させるためにも変位させることができる。所定の回転数範囲内においては、枠部の所定の柔軟性を有する構造の方が剛性の構造よりも好都合に作用するか、又はそれとは逆に枠部の剛性の構造の方が所定の柔軟性を有する構造よりも好都合に作用することが、確認された。それによって枠部は、選択的に柔軟な構造としても又は剛性な構造としても影響を及ぼすことができる。
【0013】
ボビンスピンドルの励振は、ボビンスピンドルの長さ、及びボビンスピンドルにおいて巻き取られるボビンの数に関連している。従って例えば、トラバースユニットによって形成された構造群の共鳴振動は、有利には、1500mmのボビンスピンドル長さ、及び8個のボビンにおいて、構造群の固有振動数が巻取り運動開始後に所定の時点まで、補強部材を接続することによって値Eから値Eに高められる。
【0014】
そうでなければ、運転回転数が高くなると所定の時点で柔軟構造に切り換えるために、巻取り運動開始を、補強された構造群によって行う必要がある。
【0015】
巻き取り過程を監視し、かつ共鳴振動を避けるために、有利な実施態様によれば、ボビンスピンドルの運転回転数を連続的に監視し、ボビンスピンドルによって生ぜしめられる励振周波数が構造群の固有振動数と一致する前に、枠部の補強部材の接続又はしゃ断を開始するようになっている。
【0016】
この場合、枠部の補強は、有利な形式で、枠部の2つのフレーム支持体を互いに連結する少なくとも1つの連結部材によって行われる。
【0017】
作動させるために、連結部材に有利にはアクチュエータが配属(対応配置)されている。
【0018】
特に糸を巻き取るために必要な、トラバースストローク内における糸の往復ガイドを高い正確性及び精度で実施することができるようにするために、本発明の実施態様によれば、トラバースユニットの枠部を、切換可能な補強部材を備えたトラバース支持体によって形成し、それによって、ラバースユニットの固有振動数を変えるようにした。
【0019】
複数の構造群の隣接し合う複数の枠部間に、切換可能な補強部材を設けてもよい。
【0020】
本発明の装置によれば、枠部の剛性に影響を与えるための手段が少なくとも1つのアクチュエータを有しており、このアクチュエータが制御装置に接続されていて、この制御装置によってボビンスピンドルの駆動が監視されるようになっている。これによって、所定の回転数範囲内で、装置の最適な枠構造を常に考慮しながら、糸の巻き取りが可能である。
【0021】
制御振動を生ぜしめるために、本発明による装置は有利な形式で、制御装置が、データメモリーとコンパレータとを有しており、該コンパレータは、ボビンスピンドルによって生ぜしめられる励振周波数と構造群の固有振動数との間の調整を常に行うようになっている。この場合、発生しそうな励振周波数が、検知され、補強部材の切換によって予防的に避けられるようになっている。
【0022】
特に糸の供給運動に影響を及ぼすトラバースユニットを、できるだけ振動しないように保持するために、変化する枠部としてトラバース支持体が設けられている。このトラバース支持体は、機械枠内にボビンスピンドルに対して平行に保持されていて、少なくとも2つの細長い、両端部が結合されているフレーム支持体を有しており、この場合、フレーム支持体の少なくとも中央領域内に連結部材が配置されている。
【0023】
この場合、連結部材とアクチュエータとは、有利な形式で、ピストン・シリンダユニットによって形成されており、このピストン・シリンダユニットは、フレーム支持体のうちの一方に固定されていて、ピストンロッドの自由端部で他方のフレーム支持体に緊締可能である。
【0024】
以下に、図面に示した本発明による装置の実施例を用いて本発明を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1及び図2には、本発明による装置の第1実施例が示されている。この場合、図1は装置の概略的な側面図を示していて、図2は装置の概略的な横断面図を示している。以下の説明は、指摘がない限りは図1及び図2の両方に当てはまる。
【0026】
この装置は、組み立てられた複数の枠部1.1,1.2,1.3より成る機械枠1を有している。各枠部1.1〜1.4は、糸をボビンに巻取る作業に関与する装置を支持している。従って枠部1.1内にボビンリボルバ2が回転可能に支承されている。ボビンリボルバ2に、このボビンリボルバ2から長く突き出した2つのボビンスピンドル3.1,3.2が互いにずらして配置されている。ボビンスピンドル3.1,3.2の自由端部にそれぞれ複数のボビン巻管4が相前後して被せ嵌められていて、緊締可能に保持されている。ボビンリボルバ2によって運転領域内で保持されているボビンスピンドル3.1に被せ嵌められたボビン巻管4に糸21が巻き取られてボビン5が形成される。この実施例では、この装置は互いに隣接して配置された全部で3つの巻取り部を有している。この場合、巻取り部の数は1つの例である。このような形式の装置は、10箇所、12箇所又は16箇所の、互いに隣接し合う巻取り部を有することができる。
【0027】
ボビンスピンドル3.1及び3.2は、その軸受端部でそれぞれスピンドル駆動装置15.1及び15.2に結合されている。
【0028】
枠部1.1の上側に、枠部1.2,1.3及び1.4がボビンスピンドル3.1,3.2に対してほぼ平行に保持されている。揺り腕(ウィング)として構成された枠部1.4は、旋回軸12によって枠部1.2に結合されている。枠部1.4には、揺り腕の自由端部に圧着ローラ6が回転可能に支承されている。圧着ローラ6は、糸を巻き取る間はボビン5の外周面で支えられている。
【0029】
圧着ローラ6の上側には、複数のトラバースユニット7.1〜7.3を備えたトラバース装置7が配置されている。トラバース装置7は枠部1.3に保持されている。枠部1.3は枠部1.4に結合されている。トラバース支持体8として構成された枠部1.3は、互いに間隔を保って配置された2つのフレーム支持体8.1,8.2を有しており、これらのフレーム支持体は、両端部において結合されていて、それによってトラバース支持体8を形成している。フレーム支持体8.1,8.2を選択的に互いに緊締するために、トラバース支持体8の中央の領域には連結部材10が設けられている。この場合、連結部材10は、互いに間隔を保って配置された2つの緊張エレメント11.1,11.2によって形成されており、これらの緊張エレメントは、それぞれ1つのアクチュエータ9.1,9.1によってフレーム支持体8.1と8.2との間で緊締可能である。アクチュエータ9.1及び9.2並びに緊張エレメント11.1,11.2は、例えばピストン・シリンダユニットによって形成することができる。ピストン・シリンダユニットが作動することによって、シリンダの外側でガイドされる緊張エレメントとしてのピストンロッドは、向き合って位置するフレーム支持体8.2に対して直接緊締される。
【0030】
アクチュエータ9.1,9.2は、制御ラインを介して制御装置14に接続されている。制御装置14は回転数センサ13に接続されており、この回転数センサは、巻取り過程中の圧着ローラ6の回転数を検出する。この場合、回転数センサ13の信号は、制御装置14内で、スピンドル駆動装置15.1又は15.2がボビンの巻取り中に、ボビンの周速度をほぼ一定に維持するように、制御するために用いられる。
【0031】
糸21を巻き取るために、糸はいわゆる糸端部センサ16を介して装置に供給される。各糸21は、ボビン5に当て付けるためにトラバースユニット7.1〜7.3の糸ガイドによってトラバースストローク内で往復運動せしめられ、圧着ローラ6の外周面に部分的に巻き掛けた後でボビン5にガイドされる。
【0032】
糸21をボビン5に巻き取るために、ボビンスピンドル3.1がスピンドル駆動装置15.1を介して駆動される。この場合、ボビンスピンドル3.1の駆動回転数に関連して変化する励振周波数で振動が励起される。振動はこの励振周波数で隣接する構造群に直接的に、又は機械枠1を介して間接的に伝達される。隣接する構造群としては、まず枠部1.4を有する圧着ローラ6が挙げられる。その他の隣接する構造群としての、トラバース支持体8を備えたトラバース装置7は振動にさらされる。この場合、トラバース支持体8を形成する枠部1.3は、枠部の剛性に影響を及ぼすための手段を有している。この手段は連結部材10によって形成されている。図1及び図2に示した状態において、連結部材10は作動されていないので、枠部1.3は柔軟な(weich)構造を有している。
【0033】
図1及び図2に示した装置の機能をさらに説明するために、図3に示した、枠部3.1に配属されたアクチュエータ9.1,9.2を作動させるための概略的な制御図が参照される。この場合、制御装置14は少なくとも1つのデータメモリー17とコンパレータ18とを有している。データメモリー17に、トラバース装置7と枠部1.3とから成る構造群の固有振動数が記憶されている。この場合、枠部1.3の補強なしの状態の構造群の固有振動数が、値Eで表されている。枠部1.3の補強された構造を有する構造群の固有振動数は値Eで表されている。
【0034】
構造群を監視及び制御するために、制御装置14でボビンスピンドル3.1の運転回転数が連続的に検出され、この場合、運転回転数は符号nで表されている。ボビンスピンドルnの運転回転数から直接、構造群に作用する励振周波数Eが得られる。コンパレータ18において、励振周波数Eと、構造群の記憶された固有振動数E又はEとの間の調整が行われる。
【0035】
これによって図1及び図2に示された状態で、まず励振周波数が、補強なしの構造群のために重要な固有振動数Eに合わせられる。臨界状態に達すると、共振発生を避けるために、制御装置14においてアクチュエータ9.1,9.2を作動させるための制御信号が発信される。
【0036】
図1及び図2に示されているように、アクチュエータ9.1,9.2が作動されると、緊張エレメント11.1,11.2が伸張して、互いに向き合う2つのフレーム支持体8.1,8.2を緊張支持(突っ張り支持)するように作用し、それによってトラバース支持体8は補強され、ひいては構造群内において固有振動数を変えるように作用する。この場合、構造群に関連して、固有振動数が低下又は上昇せしめられる。
【0037】
長さが1500mmで、全部で8つの巻取り部を有する、本発明による装置の1実施例においては、枠部を補強することによって、10Hzの大きさの周波数変化が得られる。これによって構造群内における臨界的な共振発生は有利な形式で避けられる。
【0038】
図1及び図2に示した実施例では、選択的に、連結部材が隣接し合う2つの枠部間で作用する可能性が得られる。このために、図2には、緊張エレメント11.1,11.2が枠部1.4と1.3との間に配置されている、アクチュエータ9.1,9.2の位置が示されている。これによって、例えば隣接し合う構造群の固有振動数を同時に変えることができる。この隣接し合う構造群とは、圧着ローラ6及び枠部1.4を備えた構造群、並びにトラバース装置7及びトラバース支持体8を備えた構造群である。
【0039】
図3及び図4には、切換可能な補強部材を備えた枠部の別の実施例が示されている。この場合、枠部は枠プレート19によって形成されており、この枠プレート19に、図示されていない複数のトラバースユニットを保持することができる。枠プレート19は、U字形の補強湾曲部材20に結合されており、この補強湾曲部材20は、枠プレート19のほぼ全長に亘って延びていて、その自由な脚端部が枠プレート19に固定されている。補強湾曲部材20の全長に亘って、作動可能な緊張エレメント11.1,11.2を備えた複数のアクチュエータ9.1,9.2が配置されている。枠プレート19の剛性を高めるために、アクチュエータ9.1,9.2が作動せしめられ、それによってベースフレーム19が緊張エレメント11.1,11.2を介して補強湾曲部材20に緊張支持される。
【0040】
図1〜図4に示した、枠部の剛性に影響を与えるための手段の構成は例として示されているだけある。基本的に本発明は、枠部の構造が柔軟な(weich)状態と硬い(starr)状態との間で変化することができる手段に適用される。従って例えば2つのフレーム支持体の連結は、電磁石によって又は緊締部材によって行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による装置の実施例の概略的な側面図である。
【図2】図1に示した実施例の概略的な横断面図である。
【図3】図1に示した実施例の制御装置の制御を示す概略図である。
【図4】切換可能な補強部材を備えた枠部の実施例を示す概略的な側面図である。
【図5】切換可能な補強部材を備えた枠部の実施例を示す概略的な側平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 機械枠、 1,1.1,1.2,1.3,1.4 枠部、 2 ボビンリボルバ、 3.1,3.2 ボビンスピンドル、 4 巻管、 5 ボビン 6 押し付けローラ、 7 トラバース装置、 7.1,7.2,7.3 トラバースユニット、 8 トラバース支持体、 8.1,8.2 フレーム支持体、 9 アクチュエータ、 10 連結部材、 11 緊張エレメント、 12 旋回軸、 13 回転数センサ、 14 制御装置、 15.1,15.2 スピンドル駆動装置、 16 糸端部センサ、 17 データメモリー、 18 コンパレータ、 19 枠プレート、 20 補強湾曲部材、 21 糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸を、回転するボビンスピンドルに設けられたボビンに巻き取るための方法であって、糸をボビンに当て付ける前にそれぞれ所属のトラバースユニットによって糸を往復移動ガイドし、かつ回転する圧着ローラの外周面に部分的に糸を巻き掛けてガイドし、この際に、ほぼ一定の巻取り速度を維持するために、ボビンが大きくなるのに伴ってボビンスピンドルの駆動回転数を変化させ、ボビンスピンドルとトラバースユニットと圧着ローラとをそれぞれ独立した構造群として機械枠の枠部によって保持し、各構造群にそれぞれ所定の固有振動数を与える方法において、
少なくとも1つの構造群の固有振動数を、枠部の切換可能な補強部材によってボビンスピンドルの運転回転数に関連して変えることを特徴とする、複数の糸を巻き取るための方法。
【請求項2】
構造群の固有振動数を、枠部の補強部材を接続又はしゃ断することによって高くするか又は低くする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
構造群の固有振動数を、巻取り運動の開始後に、補強部材を接続することによって、値Eから値Eに高くする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
構造群の固有振動数を、巻取り運動の開始後に、補強部材をしゃ断することによって、値Eから値Eに低くする、請求項2記載の方法。
【請求項5】
ボビンスピンドルの運転回転数を連続的に監視し、ボビンスピンドルによって生ぜしめられる励振周波数が構造群の固有振動数と一致する前に、枠部の補強部材の接続又はしゃ断を開始する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
枠部の2つのフレーム支持体を互いに連結する少なくとも1つの連結部材によって枠部を補強する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
連結部材を制御可能なアクチュエータによって操作する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
トラバースユニットの固有振動数を変え、この際に、トラバースユニットの枠部を、切換可能な補強部材を備えたトラバース支持体によって形成する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
切換可能な補強部材が、複数の構造群の、互いに隣接し合う複数の枠部間に作用するようにする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
複数の糸(21)を、駆動可能なボビンスピンドル(3.1)に設けられたボビン(5)に巻き取るための装置であって、糸に対応配置された複数のトラバースユニット(7.1,7.2)と、これらのトラバースユニット(7.1,7.2)とボビンスピンドル(3.1)との間に配置された圧着ローラ(6)とを備えており、これらのボビンスピンドル(3.1)とトラバースユニット(7.1,7.2,7.3)と圧着ローラ(6)とがそれぞれ独立した構造群として、機械枠(1)の枠部(1.1,1.3,1.4)によって保持され、各構造群がそれぞれ所定の固有振動数を有している形式のものにおいて、
糸の巻き取り作業中に当該の構造群の固有振動数を変えるために、少なくとも1つの枠部(1.1,1.3,1.4)が、枠部(1.3)の剛性に影響を与える手段(10)を有していることを特徴とする、複数の糸を巻き取るための装置。
【請求項11】
枠部の剛性に影響を与える手段(10)は、構造群(7,8)の固有振動数が枠部(1.3)の補強を接続又はしゃ断することによって変えられるように、構成されている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
枠部の剛性に影響を与える手段(10)が、この手段(10)を作動させるためのアクチュエータ(9.1)を有しており、該アクチュエータ(9.1)が制御装置(14)に接続されていて、この制御装置(14)によって、ボビンスピンドル(3.1)の駆動が監視されるようになっている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記制御装置(14)が、データメモリー(17)とコンパレータ(18)とを有しており、該コンパレータ(18)は、ボビンスピンドル(3.1)によって生ぜしめられる励振周波数と構造群(7,8)の固有振動数との間の調整を常に行うようになっており、この場合、励振周波数が構造群(7,8)の固有振動数と合致する前に、アクチュエータ(9.1)を作動させるための制御信号が発信されるようになっている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
枠部の剛性に影響を与える手段が連結部材(10)によって形成されており、該連結部材(10)によって、枠部(1.3)の2つのフレーム支持体(8.1,8.2)が互いに連結可能である、請求項10から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
枠部(1.3)が、トラバースユニット(7.1,7.2)を受容するためのトラバース支持体(8)によって形成されている、請求項10から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
トラバース支持体(8)が、ボビンスピンドル(3.1)に対して平行に機械枠(1)内で保持されていて、長く延びる少なくとも2つのフレーム支持体(8.1,8.2)を有し、これら2つのフレーム支持体が両端部で互いに結合されており、少なくともフレーム支持体(8.1,8.2)の中央領域内に連結部材(10)が配置されている、請求項15記載の装置。
【請求項17】
連結部材(10)とアクチュエータ(9.1)とがピストン・シリンダユニットによって形成されており、シリンダが、フレーム支持体(8.1)のうちの一方に固定されていて、緊張エレメント(11.1)が他方のフレーム支持体(8.2)に緊締可能である、請求項14から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
枠部の剛性に影響を与えるための手段が、互いに隣接し合う2つの枠部(1.3,1.4)間で作用する連結部材(10)によって形成される、請求項10から17までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−206327(P2006−206327A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20883(P2006−20883)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】