複数コイルステープルおよびステープルアプライヤ
【課題】外科的手順を容易にし、外傷の少ない新規なステープル留め器具を提供する。
【解決手段】複数コイルステープル100であって:上面および底面を有するバックスパン110;第1の脚112および第2の間隔を置いた脚114であって、第1の脚が上記バックスパンの1つの端部から下方に延び、そして第2の脚が該バックスパンの他方の端部から下方に延びる脚;を備え、ここで、上記バックスパンの底面が、該ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後に該ステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含み、該1つ以上のポケットが、第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態である。
【解決手段】複数コイルステープル100であって:上面および底面を有するバックスパン110;第1の脚112および第2の間隔を置いた脚114であって、第1の脚が上記バックスパンの1つの端部から下方に延び、そして第2の脚が該バックスパンの他方の端部から下方に延びる脚;を備え、ここで、上記バックスパンの底面が、該ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後に該ステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含み、該1つ以上のポケットが、第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本発明は、2005年6月2日に出願された「複数コイルステープルおよびステープルアプライヤ」と題する米国仮特許出願第60/686,773号の利益およびそれへの優先権を主張しており、その全体の内容は、本明細書中に参考として援用されている。
【背景技術】
【0002】
(背景)
1.技術分野
本開示は、ファスナーおよびファスナーアプライヤに関する。より詳細には、本開示は、種々の厚みを有する組織の連結を容易にするためにステープル脚の湾曲またはコイル巻きのための構造を備えたステープルおよび/またはステープルアプライヤに関する。
2.関連する技術の背景
外科用ステープルおよびステープル留め器具は、外科技術分野では周知であり、そして多くの救命外科的手順にとって重要になってきている。迅速かつ効率的な様式組織または組織セグメントを連結するためにステープルを付与するためのステープル留め器具の使用は、これらの外科的手順、例えば、吻合手順で組織または組織セグメントを手動で縫合する時間を浪費するステップを未然に防ぐ。外科用ステープル留め器具を用いてこれらの外科的手順を実施するために必要な減少された時間は、患者に減少した外傷およびリスクをもたらす。
【0003】
代表的には、外科用ステープルは、バックスパンおよび1対の間隔をおいた脚を含む。これら脚は、組織を通ってアンビル中に駆動され、このステープルを所望の形態、例えば、B字形状ステープルに変形し、組織または組織セグメントの止血を行う。公知のステープルおよびステープルアプライヤにともなう1つの問題は、ステープルが所定の組織厚みの組織セグメントを固定するか、または狭い範囲の所定の厚み内で組織セグメントを固定するような寸法またはサイズであることである。ステープルまたはステープルアプライヤのいずれも、特定サイズステープルのための所定の範囲の外側の厚みを有する組織の有効な止血を容易にするために、ステープルを変形または再形態化するよう適合されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、より広い範囲の厚みを有する組織を固定する際の使用に適切である様式で、外科用ステープルを適合または再形態化し得る外科用ステープルおよび/またはステープルアプライヤの継続する必要性が手術の分野で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
本開示によれば、複数コイルステープルが提供され、これは、上面および底面を有するバックスパン、および第1の脚および第2の脚を含む。この第1の脚は、このバックスパンの1つの端部から下方に延び、そしてこの第2の脚は、このバックスパンの他方の端部から下方に延びる。このバックスパンの底面は、ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後にこのステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含む。この1つ以上のポケットは、上記第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態である。1つの実施形態では、この1つ以上のポケットは、上記ステープルの第1の脚を受容するよう位置決めされた第1のポケット、および上記ステープルの第2の脚を受容するよう位置決めされた第2のポケットを含む。
【0006】
この第1のポケットおよび第2のポケットは、それぞれ、上記第1の脚および第2の脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり得る。1つの実施形態では、この第1のポケットが、第1の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のポケットは、この第1の方向とは反対の第2の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態である。上記バックスパンは、1つ以上のポケットを収容するための増加した幅の領域を含み得る。
【0007】
複数コイルステープルアプライヤもまた開示され、これは、ステープルスロットを規定するハウジング、ステープルスロット内に位置決めされ、そしてバックスパンおよび1対
の間隔をおいた脚を有するステープル、およびステープルスロット内にスライド可能に受容されるような寸法のプッシャーを含む。このプッシャーは、遠位面を有する遠位端を有し、この遠位面は、このステープルのバックスパンおよび1つ以上のステープル変形ポケットで係合するように位置決めされるステープル係合面を規定する。この1つ以上のステープル変形ポケットは、上記ステープル脚のコイル巻きを誘導するような形態である。1つの実施形態では、この1つ以上のステープル変形ポケットは、第1および第2のステープル変形ポケットを含む。この第1および第2のステープル変形ポケットは、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である得る。1つの実施形態では、上記第1のステープル変形ポケットは、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットは、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である
上記ステープル係合面および上記1つ以上のステープル変形ポケットは、互いから側方にずれ得る。
【0008】
1つの実施形態では、上記1つ以上のステープル変形ポケットは、上記ステープル係合面の1つの側面上に位置決めされる、第1および第2のステープル変形ポケットを含む。1つの実施形態では、この1つ以上のステープル変形ポケットは、上記ステープル係合面の反対側面上に位置決めされる第1および第2のステープル変形ポケットを含む。この第1および第2のステープル変形ポケットの各々は、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり得る。
【0009】
1つの実施形態では、上記第1のステープル変形ポケットが、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットは、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせん巻きを誘導するような形態である。
【0010】
複数コイルステープルもまた開示され、これは、バックスパン、ならびに第1の脚および第2の脚を備える。このバックスパンは、上面および底面を有し、ここでこの底面は、1つ以上のステープル脚変形ポケットを有する。1つの実施形態では、この1つ以上のステープル脚変形ポケットは、第1および第2のステープル脚変形ポケットを含む。このバックスパンは、1つ以上のステープル脚変形ポケットを収容するための増加した幅の領域を含む。
【0011】
ステープルアプライヤとの使用のためのステープルプッシャーもまた開示され、これは、遠位面を有する遠位端を有する本体を含む。この遠位面は、ステープルのバックスパンを係合するように位置決めされるステープル係合面、およびステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態の1つ以上のステープル変形ポケットを有する。1つの実施形態では、上記1つ以上のステープル変形ポケットは、第1および第2のステープル変形ポケットを含む。
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
複数コイルステープルであって:
上面および底面を有するバックスパン;
第1の脚および第2の間隔を置いた脚であって、上記第1の脚が上記バックスパンの1つの端部から下方に延び、そして上記第2の脚が上記バックスパンの他方の端部から下方に延びる脚;を備え、
ここで、上記バックスパンの底面が、上記ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後に上記ステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含み、上記1つ以上のポケットが、上記第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態である、複数コイルステープル。
(項目2)
上記1つ以上のポケットが、上記第1の脚を受容するよう位置決めされた第1のポケット、および上記第2の脚を受容するよう位置決めされた第2のポケットを含む、項目1に記載の複数コイルステープル。
(項目3)
上記第1のポケットおよび第2のポケットが、それぞれ上記第1の脚および第2の脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目2に記載の複数コイルステープル。
(項目4)
上記第1のポケットが、第1の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のポケットが、上記第1の方向とは反対の第2の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目3に記載の複数コイルステープル。
(項目5)
上記バックスパンが増加した幅の領域を含み、上記少なくとも1つのポケットが上記増加した幅の領域中に形成される、項目1に記載の複数コイルステープル。
(項目6)
複数コイルステープルアプライヤであって:
ステープルスロットを規定するハウジング;
上記ステープルスロット内に位置決めされ、そしてバックスパンおよび1対の間隔をおいた
脚を有するステープル;
上記ステープルスロット内にスライド可能に受容されるような寸法のプッシャーであって、上記プッシャーが、遠位面を有する遠位端を有し、上記遠位面が、上記ステープルのバックスパンおよび1つ以上のステープル変形ポケットを係合するように位置決めされるステープル係合面を規定し、上記1つ以上のステープル変形ポケットが上記ステープル脚のコイル巻きを誘導するような形態である、プッシャーを備える、複数コイルステープルアプライヤ。
(項目7)
上記1つ以上のステープル変形ポケットが、第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目6に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目8)
上記第1および第2のステープル変形ポケットが、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目7に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目9)
上記第1のステープル変形ポケットが、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットが、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目8に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目10)
上記ステープル係合面および上記1つ以上のステープル変形ポケットが互いから側方にずれている、項目6に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目11)
上記1つ以上のステープル変形ポケットが、上記ステープル係合面の1つの側面上に位置決めされる、第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目10に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目12)
上記1つ以上のステープル変形ポケットが、上記ステープル係合面の反対側面上に位置決めされる第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目10に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目13)
上記第1および第2のステープル変形ポケットの各々が、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目12に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目14)
上記第1のステープル変形ポケットが、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットが、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目13に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目15)
複数コイルステープルであって:
バックスパン、ならびに第1の脚および第2の脚を備え、上記バックスパンが上面および底面を有し、上記底面が1つ以上のステープル脚変形ポケットを有する、複数コイルステープル。
(項目16)
上記1つ以上のステープル脚変形ポケットが、第1および第2のステープル脚変形ポケットを含む、項目15に記載の複数コイルステープル。
(項目17)
上記バックスパンが、増加した幅の領域、上記増加した幅の領域に形成されている1つ以上のステープル脚変形ポケットを含む、項目15に記載の複数コイルステープル。
(項目18)
ステープルアプライヤとの使用のためのステープルプッシャーであって、
遠位面を有する遠位端を有する本体を備え、上記遠位面が、ステープルのバックスパンを係合するように位置決めされるステープル係合面、およびステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態の1つ以上のステープル変形ポケットを有する、ステープルプッシャー。
(項目19)
上記1つ以上のステープル変形ポケットか、第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目18に記載のステープルプッシャー。
【発明の効果】
【0012】
複数コイルステープルであって:上面および底面を有するバックスパン;第1の脚および第2の間隔を置いた脚であって、第1の脚が上記バックスパンの1つの端部から下方に延び、そして第2の脚が該バックスパンの他方の端部から下方に延びる脚;を備え、ここで、上記バックスパンの底面が、該ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後に該ステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含み、該1つ以上のポケットが、第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態であるので、外科的手順を容易にし、外傷の少ない新規なステープル留め器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ステープルおよびステープルアプライヤの側面概略図である。
【図2】図2は、現在開示される複数コイルステープルの1つの実施形態の横からの斜視図である。
【図2a】図2aは、図2に示される複数コイルステープルの側面図である。
【図3】図3は、図2に示される複数コイルステープルの底面図である。
【図4】図4は、相対的に大きな厚みの組織を通って位置決めされた図2に示される複数コイルステープルの側面図である。
【図5】図5は、相対的に中程度の厚みの組織を通って位置決めされた図2に示される複数コイルステープルの側面図である。
【図6】図6は、複数コイルステープルの別の実施形態のステープルポケットの拡大底面図である。
【図7】図7は、現在開示される複数コイルステープラアプライヤの1つの実施形態のプッシャーの遠位端の底面図である。
【図8】図8は、図7に示される複数コイルステープルアプライヤによって変形されたステープルの平面図である。
【図9】図9は、相対的により大きな厚みを有する組織中に位置決めされる図8に示されるステープルの側面図である。
【図9a】図9aは、図9に示される変形されたステープルの平面図である。
【図10】図10は、相対的に中程度の厚みを有する組織に位置決めされた図8に示されるステープルの側面図である。
【図11】図11は、現在開示される複数コイルステープルアプライヤの別の実施形態のプッシャーの遠位端の底面図である。
【図12】図12は、図11に示される複数コイルステープルアプライヤにより変形されたステープルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
現在開示される複数コイルステープルの種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示されている。
【0015】
(実施形態の詳細な説明)
現在開示される複数コイルステープルおよび/またはステープルアプライヤの実施形態は、ここで、図面を参照して詳細に説明され、ここで、同様の番号は、いくつかの図面の各々において、同一または対応する要素を指定している。
【0016】
図1を参照して、外科用ステープラは、代表的には、ハウジング10、1つ以上のステープル12およびステープル変形面14aを有するアンビル14を含む。カートリッジとしての形態であり得るハウジング10は、ステープル12をスライド可能に受容するような寸法である少なくとも1つのステープル受容スロット16を含み得る。多くのステープラでは、プッシャーまたはドライバー18が、個々のステープル12の背後でスロット16内にスライド可能に位置決めされる。アクチュエーター(図示せず)は、プッシャー18をスロット16を通じて進行し、そしてステープル12を、カートリッジ10の出口側面20からアンビル14の変形面またはアンビルポケット14a中に射出するために提供される。変形面14aは、ステープルを、所望の形状、例えば、B字形態に変形するような形態であり得る。
【0017】
図2〜4を参照して、概して100として示される、現在開示される複数コイルステープルの1つの実施形態では、ステープル100は、バックスパン110ならびに1対の間隔を置いた脚112および114を含む。脚112および114の各々は、先端部112aおよび114aを含む。1つの実施形態では、先端部112aおよび114aは、組織貫通を容易にするために内方にテーパー状であるか、または角度をなす。あるいは、組織貫通を容易にするその他の先端部形態、例えば、円錐形、外方にテーパー状、非テーパー状などが想定される。
【0018】
図2aに示されるように、脚112および114は、互いからわずかに外方に反っている。あるいは、これら脚が実質的に平行または内方に集まるような場合であるその他のステープル形態が想定される。脚112および114は、実質的に矩形の断面形状を有し得る。脚112および114の断面形状は、卵形、円形、方形、三角形、台形などを含むその他の形態を含み得ることもまた想定される。このステープルはまた、本明細書中にその全体が参考として援用される、2001年11月5日に出願された米国特許出願番号第09/972,594号中に開示されるような方向がずれたステープル(directionally biased staple)のような形態であり得る。
【0019】
図2〜3を参照して、1つの実施形態では、バックスパン110は、広がった部分、または、増加した幅、すなわち、バックスパン110の残りの部分より大きい幅の領域120を含み、これは上面120aおよび底面120bを有する。底面120bは、1つ以上の形成バケットまたはポケット122を含む(図3)。本明細書で用いられるとき、用語形成ポケットは、上記ステープル脚の変形を行うためにステープル脚の一方または両方を受容するような形態の、任意の窪み、凹部、バケット、溝などを意味する。形成ポケット122は、脚112および114の曲げ、またはコイル巻きを誘導するようなステープル100の形成の間に、ステープル100の先端部112aおよび114bをバックスパン110上で係合するように位置決めおよび配置される。ポケット122は、上記脚の先端部が、バックスパン110の実質的に平坦な底面に係合するように除去される。さらに、バックスパン110は、広くなった部分を有する必要はない。あるいは、ポケットを形成することは、通常サイズのバックスパンのステープルの底面中に形成され得る。
【0020】
図4を参照して、ステープル100が、相対的に厚い組織を通ってステープル留め器具(図示せず)から発射されるとき、脚112および114は、組織セグメントT1およびT2を通って通過し、そしてステープル留めデバイス器具のアンビル(図1を参照のこと)によって、バックスパン110の底面120bに向かって上方に曲げられる。図4に示されるように、組織セグメントT1およびT2は相対的に厚いので、組織セグメントT1およびT2は接近され、そして、先端部112aおよび114aが形成ポケット122に係合または接近するときまでに、止血が行われる。しかし、図5に示されるように、組織セグメントT1およびT2が中程度の厚みである場合、先端部112aおよび114aは、ステープル形成の間にポケット122を係合する。ポケット122は、コイル脚112および114を下方に再方向付けする。結果として、脚112および114はコイル巻きにされ、それ故、バックスパン110が脚112および114の各々の組織保持部分130に接近することを可能にし、組織セグメントT1およびT2の接近を維持し、そして止血を行う。本明細書で用いられるとき、用語「組織保持部分」は、ステープルが変形されるときこのステープルのバックスパンとは反対側の組織または組織セクションの外面に係合するステープル脚の部分をいう。
【0021】
ポケットまたは複数のポケット122の形態は、ステープル脚コイル巻きの方向および/または形状を制御するために改変され得る。例えば、図6に示されるように、バックスパン110’の底面120b’上の1つ以上のポケット122’の変形面のピッチまたは角度は、ステープル110の脚112および114らせん曲げまたはコイル巻きを行うように変更され得る。その他のポケット形態が、異なるタイプのステープル脚変形を行うたに想定され得、例えば、隣接ポケット122のピッチは、反対方向にある脚112および114のらせんコイル巻きを行うために逆転され得る。
【0022】
図8は、複数コイルステープルアプライヤの現在開示されるプッシャーの1つの実施形態を示す(図1)。この実施形態では、ステープラポケットの位置は、以下により詳細に説明されるように、ステープルからステープルプッシャーまで移動される。上記の図1に関して論議されたように、ステープルアプライヤは、代表的には、ステープルチャネルまたはスロット16を規定するハウジング10、プッシャー18およびアンビル14を含む。現在開示されるステープルアプライヤでは、プッシャー214は、ステープル218を駆動するために提供される。ハウジング10は、1つ以上のステープル218を支持するためのカートリッジハウジングのような形態であり得るか、またはハウジング10は、外科用ステープル218のための射出ポートを規定する外科用ステープラの一部のような形態であり得る。プッシャー214は、ステープルカートリッジ中のステープルと関連するプッシング要素、または外科用ステープラの駆動部材のような形態であり得る。
【0023】
プッシャー214は、近位端および遠位端214bを含む。近位端は、外科用ステープラの駆動部材(図示せず)と作動可能に関連している。この駆動部材は、ステープル218をハウジング10からアンビル14のステープルポケット14a中に駆動するために、チャネル16(図1)に沿ってプッシャー214を進行するために作動可能である。プッシャー214の遠位端214bは、ステープル係合面220(図7)を規定する遠位面、および特定または所望の方向で下方にステープル脚218bおよび218cを再方向付けするような形態の1つ以上のポケット222を有する。ステープル係合面220は、ステープル218のバックスパン218aを係合するような形態であり得、例えば、係合面220は、ステープル218のバックスパン218aの一部を受容するための凹面(図示せず)を含み得る。1つの実施形態では、2つのプッシャーポケット222が、プッシャー214の遠位端214bの遠位面上に提供される。ポケット222は、両方が係合面220の1つの側面に側方に対しオフセット位置にある。
【0024】
使用において、プッシャー214が、チャネル16(図1)に進行する場合、ステープル218は、プッシャー214によってチャネル16から、ステープル218の脚218bおよび218cが侵入し、そしてアンビルポケット14aによって上方および側方に曲げられるように押される。ステープル218の脚218bおよび218cが上方に移動するとき、脚218bおよび218cは、プッシャー214のポケット222に侵入し、脚をアビル14に向かって下方に戻して曲げまたは湾曲する。アンビルポケット14およびプッシャーポケット222の組み合わさった効果は、係合面220の側方に、ステープル脚218bおよび218cを湾曲または螺旋にする(図9を参照のこと)。
【0025】
図9および10を参照して、プッシャー218を含むステープルアプライヤは、相対的に大きな厚みを有する組織セクションT1およびT2(図9)および相対的に小さな厚みを有する組織セクションT1およびT2(図10)を固定するために用いられ得る。これは、そのようにステープル218の脚218bおよび218cを湾曲するためであり、ステープル218のバックスパン218aは、ステープル218の組織保持部分230に接近し得る。すなわち、組織セクションT1およびT2は、バックスパン218aおよびステープル脚の保持部分230との間に圧縮され、そしてこれらステープル脚を湾曲することはバックスパン218aと保持部分230との間の距離を変更し、組織厚みを変更することは、上記ステープル脚を湾曲することにより単一サイズのステープルを用いることにより固定され得る。
【0026】
図11および12は、図7〜10に示される複数コイルステープルアプライヤのプッシャーの代替の実施形態である。図11および12に示されるように、プッシャー314の遠位端314bは、係合面326、係合面326の1つの側面に対して側方にオフセット位置にいる第1のステープルポケット322aおよび係合面326の他方の側面に対して側方にオフセット位置にある第2のステープルポケット322bを含む。アンビル14のアンビルポケット14a(図1)は、ステープル318のステープル脚318bを上方に、そして第1のステープルポケット322aに向かって側方に曲げ、そしてステープル318のステープル脚318cを上方に、そして第2のステープルポケット322bに向かって曲げるような形態である。プッシャー314のポケット322aおよび322bは、ステープル318のステープル脚318bおよび318cを受容するよう位置決めされ、バックスパン318aの1つの側面に脚318bを曲げ、そして図12に示されるように、脚318cをバックスパン318aの他方の側に曲げる。
【0027】
現在開示される複数のコイルステープルおよび/またはステープルアプライヤは、開放器具および内視鏡器具の両方、ならびに連続的、単一、および複数の発射器具を含む公知の外科用ステープル留め器具中に取り込まれ得る。このような器具の例は、以下の米国特許に開示され、これらは、それらの全体が本出願中に参考として援用される:米国特許第6,045、560号、同第5,964,394号、同第5,894,979号、同第5,878、937号、同第5,915,616号、同第5、836,503号、同第5,865,361号、同第5,862,972号、同第5,817,109号、同第5,797,538号および同第5,782,396号。複数コイルステープルおよび/またはステープルアプライヤの現在開示される実施形態はまた、ロボットで作動される外科用ステープラ中に取り込み得る。
【0028】
本明細書に開示される実施形態に種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、上記の記載は、制限的として解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
外科技術分野で用いられる新規な外科用ステープルおよびステープル留め器具が提供される。
【0030】
(要約)
複数コイルステープルが提供され、これは、バックスパンおよび1対の間隔を置いた脚を含む。このバックスパンは、このステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態の1つ以上のポケットを含む。複数コイルステープルアプライヤもまた提供され、これは、ステープル係合面を規定する遠位面および1つ以上のステープル変形ポケットを有するプッシャーを含む。各ステープル変形ポケットは、ステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態である。この複数コイルステープルおよびステープルアプライヤは、単一サイズのステープルを用いるより広い範囲を有する組織の連結を容易にする。
【符号の説明】
【0031】
10 ハウジング
12 ステープル
16 スロット
18 プッシャー
100 ステープル
110 バックスパン
112、114 脚
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本発明は、2005年6月2日に出願された「複数コイルステープルおよびステープルアプライヤ」と題する米国仮特許出願第60/686,773号の利益およびそれへの優先権を主張しており、その全体の内容は、本明細書中に参考として援用されている。
【背景技術】
【0002】
(背景)
1.技術分野
本開示は、ファスナーおよびファスナーアプライヤに関する。より詳細には、本開示は、種々の厚みを有する組織の連結を容易にするためにステープル脚の湾曲またはコイル巻きのための構造を備えたステープルおよび/またはステープルアプライヤに関する。
2.関連する技術の背景
外科用ステープルおよびステープル留め器具は、外科技術分野では周知であり、そして多くの救命外科的手順にとって重要になってきている。迅速かつ効率的な様式組織または組織セグメントを連結するためにステープルを付与するためのステープル留め器具の使用は、これらの外科的手順、例えば、吻合手順で組織または組織セグメントを手動で縫合する時間を浪費するステップを未然に防ぐ。外科用ステープル留め器具を用いてこれらの外科的手順を実施するために必要な減少された時間は、患者に減少した外傷およびリスクをもたらす。
【0003】
代表的には、外科用ステープルは、バックスパンおよび1対の間隔をおいた脚を含む。これら脚は、組織を通ってアンビル中に駆動され、このステープルを所望の形態、例えば、B字形状ステープルに変形し、組織または組織セグメントの止血を行う。公知のステープルおよびステープルアプライヤにともなう1つの問題は、ステープルが所定の組織厚みの組織セグメントを固定するか、または狭い範囲の所定の厚み内で組織セグメントを固定するような寸法またはサイズであることである。ステープルまたはステープルアプライヤのいずれも、特定サイズステープルのための所定の範囲の外側の厚みを有する組織の有効な止血を容易にするために、ステープルを変形または再形態化するよう適合されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、より広い範囲の厚みを有する組織を固定する際の使用に適切である様式で、外科用ステープルを適合または再形態化し得る外科用ステープルおよび/またはステープルアプライヤの継続する必要性が手術の分野で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
本開示によれば、複数コイルステープルが提供され、これは、上面および底面を有するバックスパン、および第1の脚および第2の脚を含む。この第1の脚は、このバックスパンの1つの端部から下方に延び、そしてこの第2の脚は、このバックスパンの他方の端部から下方に延びる。このバックスパンの底面は、ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後にこのステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含む。この1つ以上のポケットは、上記第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態である。1つの実施形態では、この1つ以上のポケットは、上記ステープルの第1の脚を受容するよう位置決めされた第1のポケット、および上記ステープルの第2の脚を受容するよう位置決めされた第2のポケットを含む。
【0006】
この第1のポケットおよび第2のポケットは、それぞれ、上記第1の脚および第2の脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり得る。1つの実施形態では、この第1のポケットが、第1の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のポケットは、この第1の方向とは反対の第2の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態である。上記バックスパンは、1つ以上のポケットを収容するための増加した幅の領域を含み得る。
【0007】
複数コイルステープルアプライヤもまた開示され、これは、ステープルスロットを規定するハウジング、ステープルスロット内に位置決めされ、そしてバックスパンおよび1対
の間隔をおいた脚を有するステープル、およびステープルスロット内にスライド可能に受容されるような寸法のプッシャーを含む。このプッシャーは、遠位面を有する遠位端を有し、この遠位面は、このステープルのバックスパンおよび1つ以上のステープル変形ポケットで係合するように位置決めされるステープル係合面を規定する。この1つ以上のステープル変形ポケットは、上記ステープル脚のコイル巻きを誘導するような形態である。1つの実施形態では、この1つ以上のステープル変形ポケットは、第1および第2のステープル変形ポケットを含む。この第1および第2のステープル変形ポケットは、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である得る。1つの実施形態では、上記第1のステープル変形ポケットは、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットは、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である
上記ステープル係合面および上記1つ以上のステープル変形ポケットは、互いから側方にずれ得る。
【0008】
1つの実施形態では、上記1つ以上のステープル変形ポケットは、上記ステープル係合面の1つの側面上に位置決めされる、第1および第2のステープル変形ポケットを含む。1つの実施形態では、この1つ以上のステープル変形ポケットは、上記ステープル係合面の反対側面上に位置決めされる第1および第2のステープル変形ポケットを含む。この第1および第2のステープル変形ポケットの各々は、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり得る。
【0009】
1つの実施形態では、上記第1のステープル変形ポケットが、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットは、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせん巻きを誘導するような形態である。
【0010】
複数コイルステープルもまた開示され、これは、バックスパン、ならびに第1の脚および第2の脚を備える。このバックスパンは、上面および底面を有し、ここでこの底面は、1つ以上のステープル脚変形ポケットを有する。1つの実施形態では、この1つ以上のステープル脚変形ポケットは、第1および第2のステープル脚変形ポケットを含む。このバックスパンは、1つ以上のステープル脚変形ポケットを収容するための増加した幅の領域を含む。
【0011】
ステープルアプライヤとの使用のためのステープルプッシャーもまた開示され、これは、遠位面を有する遠位端を有する本体を含む。この遠位面は、ステープルのバックスパンを係合するように位置決めされるステープル係合面、およびステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態の1つ以上のステープル変形ポケットを有する。1つの実施形態では、上記1つ以上のステープル変形ポケットは、第1および第2のステープル変形ポケットを含む。
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
複数コイルステープルであって:
上面および底面を有するバックスパン;
第1の脚および第2の間隔を置いた脚であって、上記第1の脚が上記バックスパンの1つの端部から下方に延び、そして上記第2の脚が上記バックスパンの他方の端部から下方に延びる脚;を備え、
ここで、上記バックスパンの底面が、上記ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後に上記ステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含み、上記1つ以上のポケットが、上記第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態である、複数コイルステープル。
(項目2)
上記1つ以上のポケットが、上記第1の脚を受容するよう位置決めされた第1のポケット、および上記第2の脚を受容するよう位置決めされた第2のポケットを含む、項目1に記載の複数コイルステープル。
(項目3)
上記第1のポケットおよび第2のポケットが、それぞれ上記第1の脚および第2の脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目2に記載の複数コイルステープル。
(項目4)
上記第1のポケットが、第1の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のポケットが、上記第1の方向とは反対の第2の方向にらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目3に記載の複数コイルステープル。
(項目5)
上記バックスパンが増加した幅の領域を含み、上記少なくとも1つのポケットが上記増加した幅の領域中に形成される、項目1に記載の複数コイルステープル。
(項目6)
複数コイルステープルアプライヤであって:
ステープルスロットを規定するハウジング;
上記ステープルスロット内に位置決めされ、そしてバックスパンおよび1対の間隔をおいた
脚を有するステープル;
上記ステープルスロット内にスライド可能に受容されるような寸法のプッシャーであって、上記プッシャーが、遠位面を有する遠位端を有し、上記遠位面が、上記ステープルのバックスパンおよび1つ以上のステープル変形ポケットを係合するように位置決めされるステープル係合面を規定し、上記1つ以上のステープル変形ポケットが上記ステープル脚のコイル巻きを誘導するような形態である、プッシャーを備える、複数コイルステープルアプライヤ。
(項目7)
上記1つ以上のステープル変形ポケットが、第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目6に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目8)
上記第1および第2のステープル変形ポケットが、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目7に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目9)
上記第1のステープル変形ポケットが、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットが、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目8に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目10)
上記ステープル係合面および上記1つ以上のステープル変形ポケットが互いから側方にずれている、項目6に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目11)
上記1つ以上のステープル変形ポケットが、上記ステープル係合面の1つの側面上に位置決めされる、第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目10に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目12)
上記1つ以上のステープル変形ポケットが、上記ステープル係合面の反対側面上に位置決めされる第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目10に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目13)
上記第1および第2のステープル変形ポケットの各々が、上記ステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目12に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目14)
上記第1のステープル変形ポケットが、第1の方向にある上記第1のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態であり、そして上記第2のステープル変形ポケットが、第1の方向とは反対の第2の方向にある上記第2のステープル脚のらせんコイル巻きを誘導するような形態である、項目13に記載の複数コイルステープルアプライヤ。
(項目15)
複数コイルステープルであって:
バックスパン、ならびに第1の脚および第2の脚を備え、上記バックスパンが上面および底面を有し、上記底面が1つ以上のステープル脚変形ポケットを有する、複数コイルステープル。
(項目16)
上記1つ以上のステープル脚変形ポケットが、第1および第2のステープル脚変形ポケットを含む、項目15に記載の複数コイルステープル。
(項目17)
上記バックスパンが、増加した幅の領域、上記増加した幅の領域に形成されている1つ以上のステープル脚変形ポケットを含む、項目15に記載の複数コイルステープル。
(項目18)
ステープルアプライヤとの使用のためのステープルプッシャーであって、
遠位面を有する遠位端を有する本体を備え、上記遠位面が、ステープルのバックスパンを係合するように位置決めされるステープル係合面、およびステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態の1つ以上のステープル変形ポケットを有する、ステープルプッシャー。
(項目19)
上記1つ以上のステープル変形ポケットか、第1および第2のステープル変形ポケットを含む、項目18に記載のステープルプッシャー。
【発明の効果】
【0012】
複数コイルステープルであって:上面および底面を有するバックスパン;第1の脚および第2の間隔を置いた脚であって、第1の脚が上記バックスパンの1つの端部から下方に延び、そして第2の脚が該バックスパンの他方の端部から下方に延びる脚;を備え、ここで、上記バックスパンの底面が、該ステープルの第1の脚および第2の脚が変形した後に該ステープルの第1の脚および第2の脚を受容するように位置決めされる1つ以上のポケットを含み、該1つ以上のポケットが、第1の脚および第2の脚のコイル巻きを誘導するような形態であるので、外科的手順を容易にし、外傷の少ない新規なステープル留め器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、ステープルおよびステープルアプライヤの側面概略図である。
【図2】図2は、現在開示される複数コイルステープルの1つの実施形態の横からの斜視図である。
【図2a】図2aは、図2に示される複数コイルステープルの側面図である。
【図3】図3は、図2に示される複数コイルステープルの底面図である。
【図4】図4は、相対的に大きな厚みの組織を通って位置決めされた図2に示される複数コイルステープルの側面図である。
【図5】図5は、相対的に中程度の厚みの組織を通って位置決めされた図2に示される複数コイルステープルの側面図である。
【図6】図6は、複数コイルステープルの別の実施形態のステープルポケットの拡大底面図である。
【図7】図7は、現在開示される複数コイルステープラアプライヤの1つの実施形態のプッシャーの遠位端の底面図である。
【図8】図8は、図7に示される複数コイルステープルアプライヤによって変形されたステープルの平面図である。
【図9】図9は、相対的により大きな厚みを有する組織中に位置決めされる図8に示されるステープルの側面図である。
【図9a】図9aは、図9に示される変形されたステープルの平面図である。
【図10】図10は、相対的に中程度の厚みを有する組織に位置決めされた図8に示されるステープルの側面図である。
【図11】図11は、現在開示される複数コイルステープルアプライヤの別の実施形態のプッシャーの遠位端の底面図である。
【図12】図12は、図11に示される複数コイルステープルアプライヤにより変形されたステープルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
現在開示される複数コイルステープルの種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に開示されている。
【0015】
(実施形態の詳細な説明)
現在開示される複数コイルステープルおよび/またはステープルアプライヤの実施形態は、ここで、図面を参照して詳細に説明され、ここで、同様の番号は、いくつかの図面の各々において、同一または対応する要素を指定している。
【0016】
図1を参照して、外科用ステープラは、代表的には、ハウジング10、1つ以上のステープル12およびステープル変形面14aを有するアンビル14を含む。カートリッジとしての形態であり得るハウジング10は、ステープル12をスライド可能に受容するような寸法である少なくとも1つのステープル受容スロット16を含み得る。多くのステープラでは、プッシャーまたはドライバー18が、個々のステープル12の背後でスロット16内にスライド可能に位置決めされる。アクチュエーター(図示せず)は、プッシャー18をスロット16を通じて進行し、そしてステープル12を、カートリッジ10の出口側面20からアンビル14の変形面またはアンビルポケット14a中に射出するために提供される。変形面14aは、ステープルを、所望の形状、例えば、B字形態に変形するような形態であり得る。
【0017】
図2〜4を参照して、概して100として示される、現在開示される複数コイルステープルの1つの実施形態では、ステープル100は、バックスパン110ならびに1対の間隔を置いた脚112および114を含む。脚112および114の各々は、先端部112aおよび114aを含む。1つの実施形態では、先端部112aおよび114aは、組織貫通を容易にするために内方にテーパー状であるか、または角度をなす。あるいは、組織貫通を容易にするその他の先端部形態、例えば、円錐形、外方にテーパー状、非テーパー状などが想定される。
【0018】
図2aに示されるように、脚112および114は、互いからわずかに外方に反っている。あるいは、これら脚が実質的に平行または内方に集まるような場合であるその他のステープル形態が想定される。脚112および114は、実質的に矩形の断面形状を有し得る。脚112および114の断面形状は、卵形、円形、方形、三角形、台形などを含むその他の形態を含み得ることもまた想定される。このステープルはまた、本明細書中にその全体が参考として援用される、2001年11月5日に出願された米国特許出願番号第09/972,594号中に開示されるような方向がずれたステープル(directionally biased staple)のような形態であり得る。
【0019】
図2〜3を参照して、1つの実施形態では、バックスパン110は、広がった部分、または、増加した幅、すなわち、バックスパン110の残りの部分より大きい幅の領域120を含み、これは上面120aおよび底面120bを有する。底面120bは、1つ以上の形成バケットまたはポケット122を含む(図3)。本明細書で用いられるとき、用語形成ポケットは、上記ステープル脚の変形を行うためにステープル脚の一方または両方を受容するような形態の、任意の窪み、凹部、バケット、溝などを意味する。形成ポケット122は、脚112および114の曲げ、またはコイル巻きを誘導するようなステープル100の形成の間に、ステープル100の先端部112aおよび114bをバックスパン110上で係合するように位置決めおよび配置される。ポケット122は、上記脚の先端部が、バックスパン110の実質的に平坦な底面に係合するように除去される。さらに、バックスパン110は、広くなった部分を有する必要はない。あるいは、ポケットを形成することは、通常サイズのバックスパンのステープルの底面中に形成され得る。
【0020】
図4を参照して、ステープル100が、相対的に厚い組織を通ってステープル留め器具(図示せず)から発射されるとき、脚112および114は、組織セグメントT1およびT2を通って通過し、そしてステープル留めデバイス器具のアンビル(図1を参照のこと)によって、バックスパン110の底面120bに向かって上方に曲げられる。図4に示されるように、組織セグメントT1およびT2は相対的に厚いので、組織セグメントT1およびT2は接近され、そして、先端部112aおよび114aが形成ポケット122に係合または接近するときまでに、止血が行われる。しかし、図5に示されるように、組織セグメントT1およびT2が中程度の厚みである場合、先端部112aおよび114aは、ステープル形成の間にポケット122を係合する。ポケット122は、コイル脚112および114を下方に再方向付けする。結果として、脚112および114はコイル巻きにされ、それ故、バックスパン110が脚112および114の各々の組織保持部分130に接近することを可能にし、組織セグメントT1およびT2の接近を維持し、そして止血を行う。本明細書で用いられるとき、用語「組織保持部分」は、ステープルが変形されるときこのステープルのバックスパンとは反対側の組織または組織セクションの外面に係合するステープル脚の部分をいう。
【0021】
ポケットまたは複数のポケット122の形態は、ステープル脚コイル巻きの方向および/または形状を制御するために改変され得る。例えば、図6に示されるように、バックスパン110’の底面120b’上の1つ以上のポケット122’の変形面のピッチまたは角度は、ステープル110の脚112および114らせん曲げまたはコイル巻きを行うように変更され得る。その他のポケット形態が、異なるタイプのステープル脚変形を行うたに想定され得、例えば、隣接ポケット122のピッチは、反対方向にある脚112および114のらせんコイル巻きを行うために逆転され得る。
【0022】
図8は、複数コイルステープルアプライヤの現在開示されるプッシャーの1つの実施形態を示す(図1)。この実施形態では、ステープラポケットの位置は、以下により詳細に説明されるように、ステープルからステープルプッシャーまで移動される。上記の図1に関して論議されたように、ステープルアプライヤは、代表的には、ステープルチャネルまたはスロット16を規定するハウジング10、プッシャー18およびアンビル14を含む。現在開示されるステープルアプライヤでは、プッシャー214は、ステープル218を駆動するために提供される。ハウジング10は、1つ以上のステープル218を支持するためのカートリッジハウジングのような形態であり得るか、またはハウジング10は、外科用ステープル218のための射出ポートを規定する外科用ステープラの一部のような形態であり得る。プッシャー214は、ステープルカートリッジ中のステープルと関連するプッシング要素、または外科用ステープラの駆動部材のような形態であり得る。
【0023】
プッシャー214は、近位端および遠位端214bを含む。近位端は、外科用ステープラの駆動部材(図示せず)と作動可能に関連している。この駆動部材は、ステープル218をハウジング10からアンビル14のステープルポケット14a中に駆動するために、チャネル16(図1)に沿ってプッシャー214を進行するために作動可能である。プッシャー214の遠位端214bは、ステープル係合面220(図7)を規定する遠位面、および特定または所望の方向で下方にステープル脚218bおよび218cを再方向付けするような形態の1つ以上のポケット222を有する。ステープル係合面220は、ステープル218のバックスパン218aを係合するような形態であり得、例えば、係合面220は、ステープル218のバックスパン218aの一部を受容するための凹面(図示せず)を含み得る。1つの実施形態では、2つのプッシャーポケット222が、プッシャー214の遠位端214bの遠位面上に提供される。ポケット222は、両方が係合面220の1つの側面に側方に対しオフセット位置にある。
【0024】
使用において、プッシャー214が、チャネル16(図1)に進行する場合、ステープル218は、プッシャー214によってチャネル16から、ステープル218の脚218bおよび218cが侵入し、そしてアンビルポケット14aによって上方および側方に曲げられるように押される。ステープル218の脚218bおよび218cが上方に移動するとき、脚218bおよび218cは、プッシャー214のポケット222に侵入し、脚をアビル14に向かって下方に戻して曲げまたは湾曲する。アンビルポケット14およびプッシャーポケット222の組み合わさった効果は、係合面220の側方に、ステープル脚218bおよび218cを湾曲または螺旋にする(図9を参照のこと)。
【0025】
図9および10を参照して、プッシャー218を含むステープルアプライヤは、相対的に大きな厚みを有する組織セクションT1およびT2(図9)および相対的に小さな厚みを有する組織セクションT1およびT2(図10)を固定するために用いられ得る。これは、そのようにステープル218の脚218bおよび218cを湾曲するためであり、ステープル218のバックスパン218aは、ステープル218の組織保持部分230に接近し得る。すなわち、組織セクションT1およびT2は、バックスパン218aおよびステープル脚の保持部分230との間に圧縮され、そしてこれらステープル脚を湾曲することはバックスパン218aと保持部分230との間の距離を変更し、組織厚みを変更することは、上記ステープル脚を湾曲することにより単一サイズのステープルを用いることにより固定され得る。
【0026】
図11および12は、図7〜10に示される複数コイルステープルアプライヤのプッシャーの代替の実施形態である。図11および12に示されるように、プッシャー314の遠位端314bは、係合面326、係合面326の1つの側面に対して側方にオフセット位置にいる第1のステープルポケット322aおよび係合面326の他方の側面に対して側方にオフセット位置にある第2のステープルポケット322bを含む。アンビル14のアンビルポケット14a(図1)は、ステープル318のステープル脚318bを上方に、そして第1のステープルポケット322aに向かって側方に曲げ、そしてステープル318のステープル脚318cを上方に、そして第2のステープルポケット322bに向かって曲げるような形態である。プッシャー314のポケット322aおよび322bは、ステープル318のステープル脚318bおよび318cを受容するよう位置決めされ、バックスパン318aの1つの側面に脚318bを曲げ、そして図12に示されるように、脚318cをバックスパン318aの他方の側に曲げる。
【0027】
現在開示される複数のコイルステープルおよび/またはステープルアプライヤは、開放器具および内視鏡器具の両方、ならびに連続的、単一、および複数の発射器具を含む公知の外科用ステープル留め器具中に取り込まれ得る。このような器具の例は、以下の米国特許に開示され、これらは、それらの全体が本出願中に参考として援用される:米国特許第6,045、560号、同第5,964,394号、同第5,894,979号、同第5,878、937号、同第5,915,616号、同第5、836,503号、同第5,865,361号、同第5,862,972号、同第5,817,109号、同第5,797,538号および同第5,782,396号。複数コイルステープルおよび/またはステープルアプライヤの現在開示される実施形態はまた、ロボットで作動される外科用ステープラ中に取り込み得る。
【0028】
本明細書に開示される実施形態に種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、上記の記載は、制限的として解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および思想内でその他の改変を想定する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
外科技術分野で用いられる新規な外科用ステープルおよびステープル留め器具が提供される。
【0030】
(要約)
複数コイルステープルが提供され、これは、バックスパンおよび1対の間隔を置いた脚を含む。このバックスパンは、このステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態の1つ以上のポケットを含む。複数コイルステープルアプライヤもまた提供され、これは、ステープル係合面を規定する遠位面および1つ以上のステープル変形ポケットを有するプッシャーを含む。各ステープル変形ポケットは、ステープルの脚のコイル巻きを誘導するような形態である。この複数コイルステープルおよびステープルアプライヤは、単一サイズのステープルを用いるより広い範囲を有する組織の連結を容易にする。
【符号の説明】
【0031】
10 ハウジング
12 ステープル
16 スロット
18 プッシャー
100 ステープル
110 バックスパン
112、114 脚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9a】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9a】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−101098(P2012−101098A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285588(P2011−285588)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2006−155440(P2006−155440)の分割
【原出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2006−155440(P2006−155440)の分割
【原出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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