説明

複数ビーム式光記録のためのシステム及び方法

【目的】 複数の光ビームを使用した書込み直後読取り(DRAW)方式の記録システムにおいて、その部品点数を低減し必要とされるスペースを縮小する。
【構成】 レーザ・アレイ12から、互いに近接した複数の光ビーム16、17を発生させ、それらをディスク記録媒体66へ入射させる。ディスク媒体から反射した互いに近接したビームないしビーム・セット150、152を、ファセット面92を形成したプリズム90を用いて分離し、単一の光検出器アレイ110へ入射させる。この光検出器アレイと検出回路とで検出を行なう。検出回路からは、データ信号、出力信号、トラッキング信号、及びフォーカス信号を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録システムに関するものであり、より詳しくは、複数本の光ビームを使用する光記録システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式によれば、データを消去可能に記憶させることができる。この方式では、媒体上のあるスポットにレーザ・ビームを合焦させて、その媒体の磁区を変化させることができる温度にまで、その媒体の光磁気材料を加熱する。そして、双方向のうちのいずれか一方向へ磁界を印加することによって、そのスポットの磁区の向きを、上向きと下向きとのいずれかへ向けるようにする。
【0003】ディスクから読取りを行なうには、低出力の偏光レーザ・ビームを、そのディスクの光磁気材料の上に合焦させるようにする。すると、カー効果により、そのスポットの磁化の向きが上向きか下向きかに応じて、反射光ビームの偏光面が時計方向か、或いは反時計方向かの、いずれか一方向に回転する。この回転における相違を検出して、データの「1」と「0」とを表わすのである。
【0004】最近の一般的なシステムでは、出力を可変とした1つのレーザ発生器を使用して、書込みと読取りとの両方を行なうようにしている。この場合、記録したデータの検証(ベリフィケーション)を行なうためには、1本のトラックへ記録する毎にディスクを2回転させなければならない。即ち、そのうちの1回転は、トラックへ書込みを行なうために必要とされ、もう1回転は、その書込みをしたばかりのトラックの読取りを行なって検証をするために必要とされている。
【0005】この記録のプロセスを高速化するためのシステムとして、書込み直後読取り式(direct read after write:DRAW)システムが提案されている。この種のシステムは、2つのレーザ発生器を備えている。一方のレーザ発生器は、トラックへ書込みを行なうためのものであり、他方のレーザ発生器は、トラックに書込みを行なった直後にそのトラックから読取りを行なうためのものである。従ってDRAWシステムでは、ディスクを1回転させるだけで、1本のトラックへの書込みとその検証とを行なうことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このDRAWシステムにこれまで付随していた問題は、第2のレーザ発生器が付加されるために、光チャネルの構成が著しく複雑化することであった。同時に同じトラックの上に複数本の光ビームを合焦させ、しかも、収差やケラレ(光ビームが一部遮られること)等の悪影響が生じないようにするためには、それらの光ビームどうしを互いに近接させておかなければならない。しかしながら、光ビームどうしを近接させると、それら光ビームの分離並びに検出が困難になる。必要なビーム分離を達成するためには、しばしば、更に光学部材を追加することが要求され、また余分なスペースも要求される。従って、部品点数をできる限り少なくしたDRAWシステムが求められている。
【0007】
【発明の概要】本発明においては、レーザ・アレイから、第1偏光ビームと第2偏光ビームとを発生させるようにしている。円形化用のプリズムによって、それら第1偏光ビーム及び第2偏光ビームの形状を円形にする。それら偏光ビームをディスク媒体へ入射させ、このディスク媒体からは、第1反射光ビームと第2反射光ビームとが返される。それら反射光ビームの各々を、ウォラストン・プリズムによって、2つの直線偏光成分に分離する。続いてそれらビームを、ファセット面を形成したプリズムによって離散させ、単一の光検出器アレイへ入射させる。この光検出器アレイからは、データ情報、レーザ出力情報、フォーカス情報、及びトラッキング情報が発生される。
【0008】
【実施例】本発明の特質並びに効果を更に明瞭に理解するために、添付図面に即した以下の詳細な説明を参照されたい。
【0009】図1は、本発明の書込み直後読取りシステム(DRAWシステム)を図示したものであり、同システムには、その全体に対して引用符号10を付してある。ダイオード・レーザ・アレイ12は、一対のダイオード・レーザ14と15を備えており、一対の偏光ビーム16と17を発生する。コリメーション用レンズ20が、それらビーム16、17を夫々に平行化して、光路22に沿って出射するようにしている。それらビーム16、17は、それらのビーム発生点が同一位置にはないため、レンズ20を通過した後には、完全には互いに平行にならず、ある角度をもって互いから離れて行くが、ただしそれらビームの間の角度は非常に小さい。
【0010】円形化用プリズム30は、複数の表面32、34、36、及び38を備えたプリズムである。表面32には、多層誘電体コーティングを施してあり、それによって光の内部反射率を高めてある。プリズム30の中には、2本のビーム光路40と42とが存在する。ダイオード・レーザ14と15から出射した夫々の光ビームは、そのビーム断面形状が楕円形となっている。そこで、表面32がビーム光路22に対して、相対的にある角度を持つようにすることによって、ビーム光路40の中の光ビームの、ビーム断面形状が円形となるようにしている。尚、ビーム光路50は、プリズム30とミラー52とを結ぶビーム光路である。
【0011】図2は、図1の2−2線に沿って描いた、システム10の図を示したものである。光路54はミラー52と合焦用レンズ56とを結ぶ光路である。レンズ56は、一対の光ビーム60、62を、光磁気(MO)記録ディスク66の、記録面64の上に合焦させるレンズである。
【0012】再び図1に関し、プリズム30は、ビーム光路70によって、アナモルフィック・レンズ72と結ばれている。このレンズ72は、ビーム光路74によって、ウォラストン・プリズム76と結ばれている。更に、このプリズム76は、ビーム光路78によって、ファセット面を形成したプリズム90と結ばれている。このプリズム90は、好ましくはガラス製ないしは透明プラスチック製とするのが良い。このプリズム90のファセット形成側面92は、画成面94と画成面96とを備えており、それら画成面によって、このファセット形成側面92は全体として凹面となっている。軸線ということもできる交線98は、画成面94と画成面96とが交わった線である。この交線98は、図1の紙面に対して、垂直方向に延在している。プリズム90の底面100は、光検出器110の上に位置している。
【0013】図3は、図1の3−3線に沿って描いた、光検出器110の上面図を示したものである。この光検出器110は、複数のセクション120、122、124、126、128、130、132、及び134を含んでいる。セクション120は更に、複数のサブセクション120A、120B、120C、及び120Dに分割してある。図4は、この光検出器の、セクション120を更に詳細に示したものである。
【0014】これより、このシステム10の作用について説明する。レーザ・アレイ12は光ビーム16と17を発生する。ビーム16は、読取り及び書込み(R/W)に用いるものであり、一方、ビーム17は、書込み直後読取り(DRAW)機能のために用いるものである。レーザ・ダイオード14と15との間の離隔距離は、好ましくは、25〜200マイクロメートルとする。これらのレーザ14と15との間の離隔距離を大きくし過ぎると、ビーム16及び17に、収差の問題や、ケラレの問題が生じてしまう。これらいずれの問題も、それらビームのいずれかが、レンズ20やレンズ56の中心軸から大きく離れ過ぎたときに、生じるものである。
【0015】レンズ20は、ビーム16と17を夫々に平行化した上で、それらビーム16と17を光路22に沿って円形化用プリズム30へ向けて射出する。このプリズム30の表面32は、それらビームの光を円形化し、円形化された光は、光路40をたどって表面34へ達する。一般的に、ダイオード・レーザから射出される光は、その光ビームの断面形状が楕円形をしているため、プリズム30でそのビームを屈折させることによって、屈折後のビーム断面形状が円形になるようにしているのである。表面34においては、その光のうちの僅かな部分が反射して、光路40に沿って元の方向へ戻る。このようにして反射する2本の反射光ビームは、ゴースト・ビームと呼ばれているものであり、それらのビームは、本来のビームからは、僅かにずれるようにしてある。即ち、このずれを発生させるために、表面34の向きを、ビーム光路40に対して垂直な向きから、0.5ないし2度、傾けておくようにしている。本来のビームは、この表面34を通過して、光路50をたどって更に先へ進む。
【0016】ミラー52は、こうして到達した2本の偏光ビームを、光路54に沿ってレンズ56へ入射させる。これら2本のビーム60と62は、ディスク66の、同じ1本のトラックの上に合焦させられる。ビーム60はR/Wビームであり、トラックが図中の左方へ運動するため、DRAWビーム62より先に進む。これら光ビームは、ディスク66で反射してレンズ56へ戻り、更に光路54をたどり、ミラー52で反射し、光路50をたどってプリズム30へ入射する。これら2本の光ビームは、表面34を通過して光路40へ入る。光路40は、これによって計6本のビームを含むことになる。即ち、先ず、最初に入射した、ディスク66へ向う一対のビームが、この光路40を表面34へ向かって通過する。また、ディスク66から返ってきた一対の反射ビームが、この光路40を表面34から逆方向へ通過する。そして、表面34で直接反射された、一対のゴースト・ビームが通過する。
【0017】一対の反射ビームと一対のゴースト・ビームとは、表面32で反射して、光路42をたどる。これら4本のビームは表面36を通過してプリズムの外へ出て、光路70をたどってアナモルフィック・レンズ72へ入射する。それらビームの光は、このレンズ72によって合焦され、光路74をたどってウォラストン・プリズム76へ入射する。従って、光路74には4本のビームが含まれ、それらは2本の反射ビームと、2本のゴースト・ビームである。
【0018】ウォラストン・プリズム76は、1本の偏光ビームを、一対の互いに直交する直線偏光ビームへ分解するものである。光路74をたどってきた4本のビームは全て偏光ビームであるため、結局、このプリズム76からは、8本の直線偏光ビームが出射して、ビーム光路78を進むことになる。従って、ビーム光路78には、読み書き用レーザ(R/Wレーザ)14に関係した4本の光ビームから成る光ビームの組150と、DRAW用レーザ15に関係した4本の光ビームから成る光ビームの組152とが含まれている。
【0019】プリズム90の交線98は、レンズ72の第1焦点(近焦点)に位置するようにしてある。ビーム60と62とが、合焦状態にあってしかもトラック上に位置しているときには、ビームの組(ビーム・セット)150と152の各々を構成している複数本のビームの、レンズ72の第1焦点(近焦点)におけるビーム断面形状が、楕円形を呈するようにしてある。また、それらビーム・セット150と152に含まれている複数本のビームは、その楕円形のビーム形状の長軸が、交線98と平行になるようにしてある。レンズ72の焦点位置においては、ビーム・セット150と152とは互いに非常に近接しているため(約20〜30マイクロメートル程度)そのままでは光検出器を用いた検出を行なうことはできない。この問題を解決しているのが、プリズム90である。ビーム・セット150は画成面94へ入射し、一方、ビーム・セット152は画成面96へ入射するようにしてあり、それによって、それら2組の光ビーム・セットを、互いから離散するように方向付けている。
【0020】画成面94ないし96が、ビーム・セット150ないし152の中心線に対して成す角度と、プリズム90の、その交線98と底面100との間の高さ寸法とは、光検出器110上における必要な分離距離と、レンズ72の2つの焦点面の間の距離とに応じて決定されるものである。光検出器110上における、ビーム・セット150と152の、夫々の中心線の間の分離距離は、好ましくは50〜100マイクロメートルであるようにするのが良い。好適実施例においては、プリズム90の、交線98から底面100までの距離は0.8ミリメートルとし、また、その画成面94とビーム・セット150の中心線との間の角度と、画成面96とビーム・セット152の中心線との間の角度とは、いずれも40度にしてある。
【0021】図3は、プリズム90を透して見た光検出器110の上面図である。ビーム・セット150を構成している4本のビーム160、162、164、及び166は、プリズム90の画成面94におけるそれらビームの夫々の中心点が、引用符号170、172、174、及び176で示した点に位置している。これら4本のビームは図中の左方へ偏向されるため、それら各ビーム160、162、164、及び166の中心は、夫々、光検出器128、130、132、及び134の中心へ入射する。一方、ビーム・セット152を構成している4本のビーム180、182、184、及び186の、画成面96における夫々の中心点は引用符号190、192、194、及び196で示した点に位置している。これらビーム180、182、184、及び186は図中の右方へ偏向されるため、これら各ビーム180、182、184、及び186の中心は、夫々、光検出器120、122、124、及び126の中心へ入射する。
【0022】ビーム180と182とは、元々は、媒体66で反射された1本の読み書き用ビームである。これらビーム180と182の各々は、記録済みの媒体66の磁化の状態に応じて異なった偏光性を持つ。それゆえ、検出器120の出力から検出器122の出力を減じることによって、読み書きデータ信号が得られる。ビーム184と186とは、読み書き用ビームのゴースト・ビームである。それゆえ検出器124の出力と、検出器126の出力とを加え合わせることによって、レーザ14の出力に比例したレーザ出力信号が得られる。ビーム160と162とは、媒体66で反射されたDRAW用ビームである。これらビーム160と162の各々は、記録済みの媒体66の磁化の状態に応じて異なった偏光性を持つ。それゆえ、検出器128の出力から検出器130の出力を減じることによって、DRAWデータ信号が得られる。ビーム164と166とは、DRAW用ビームのゴースト・ビームである。それゆえ検出器132の出力と、検出器134の出力とを加え合わせることによって、レーザ15の出力に比例したレーザ出力信号が得られる。
【0023】図4は、検出器120を拡大して詳細に示したものである。ビーム180は、フォーカス信号及びトラッキング信号を得るためにも利用される。即ち、レンズ56が媒体66上に適切に合焦した状態にある時には、ビーム180は、検出器120上において、円形のパタン200として観察される。一方、レンズ56が合焦状態からいずれかの方向へずれている場合、即ち、非合焦状態にある場合には、ビーム180は、202或いは204のように楕円形のパタンとして観察される。それゆえ、フォーカス信号は、検出器120Aの出力と検出器120Dの出力とを加え合わせた和から、検出器120Bの出力と検出器120Cの出力とを加え合わせた和を減じることによって得られる。
【0024】一方、ビーム60がディスク66上のトラックから外れた状態にある時には、ビーム180は、検出器120A及び120Bの方向か、或いは検出器120C及び120Dの方向へ偏位する。それゆえトラッキング信号は、検出器120Aの出力と検出器120Bの出力とを加え合わせた和から、検出器120Cの出力と検出器120Dの出力とを加え合わせた和を減じることによって得られる。
【0025】図5は検出回路300の回路図を示したものである。この検出回路300は複数の増幅器302、304、306、及び308を備えており、それらは夫々、検出器120A、120B、120C、及び120Dに接続してある。更に、増幅器302と308とは、加算増幅器310に接続してある。また、増幅器304と306とは、加算増幅器312に接続してある。そして、それら加算増幅器310と312とは、差動増幅器314に接続してある。この差動増幅器314の出力がフォーカス信号である。
【0026】また更に、増幅器302と304とは、加算増幅器320に接続してある。増幅器306と308とは、加算増幅器322に接続してある。そして、それら加算増幅器320と322とは、差動増幅器324に接続してある。この差動増幅器324の出力信号がトラッキング信号である。
【0027】更に、複数の増幅器330、334、及び336を備えており、それらは夫々検出器122、128、及び130に接続してある。一方、上述の4つの増幅器302、304、306、及び308は、加算増幅器340に接続してある。そして、増幅器330と加算増幅器340とは差動増幅器342に接続してある。この差動増幅器342の出力が、読み書きデータ信号である。また、増幅器334と336とは差動増幅器344に接続してある。この差動増幅器344の出力が、DRAWデータ信号である。
【0028】更に、複数の増幅器350、352、354、及び356を備えており、それら増幅器は夫々、検出器124、126、132、及び134に接続してある。そして、増幅器350と352とは加算増幅器360に接続してある。この加算増幅器360の出力が、読み書き用レーザ14のレーザ出力信号である。また、増幅器354と356とは、加算増幅器362に接続してある。この加算増幅器362の出力が、DRAW用レーザ15のレーザ出力信号である。
【0029】図6は、図1のプリズム90及び光検出器110の替わりに使用することのできる、ファセット面を形成したプリズム400と、光検出器402とを示したものである。プリズム400のファセット形成側面410は、このファセット形成側面410が凸面となるように形成した第1画成面412と第2画成面414とを備えている。2組のビーム・セット420及び422は、プリズム400の内部でそれらビームが互いに交差するように偏向され、それによって、光検出器402上において、所望の分離距離が得られるようにしてある。画成面412及び414の角度と、プリズム400の高さ寸法とは、光検出器402上における所望のビーム分離距離と、レンズ72の2つの焦点面の間の距離とに応じて決定するようにする。好適実施例においては、画成面412と画成面414とは、互いの間の角度が220度の角度となるように形成し、また、底面430から交線423までの高さ寸法は、1.2ミリメートルにしてある。
【0030】図7は、図1のプリズム90及び光検出器110の替わりに使用することのできる、ファセット面を形成したプリズム450と、光検出器452とを示したものである。プリズム450のファセット形成側面460は、第1画成面462と第2画成面464とを備えている。画成面462を成している平面は、ビーム・セット470及び472の中心線に対して略々垂直を成すようにしてある。ビーム・セット470は画成面462によって偏向されることはないが、ビーム・セット472は画成面464によって、ビーム・セット470から離れるように偏向される。好ましくは、ビーム・セット470の方を、読み書き機能のために用いるビーム・セットにするのが良い。画成面462及び464の角度と、プリズム450の高さ寸法とは、光検出器452上におけるビームの所望の分離距離に応じて決定するようにする。好適実施例においては、画成面462と画成面464とは、互いの間の角度が140度となるように形成し、また、底面480から交線482までの高さ寸法は、0.8ミリメートルにしてある。
【0031】図8は、3つのレーザを備えた型式のシステムにおいて使用するための、ファセット面を形成したプリズム500と、光検出器502とを示したものである。プリズム500のファセット形成側面510は、3つの画成面512、514、及び516を備えている。画成面514は、3組のビーム・セット520、522、及び524の中心線に対して略々垂直を成すようにしてある。また、それらビーム・セット520、522、及び524は、夫々、画成面512、514、及び516に入射する。それらのうち、ビーム・セット520と524とは、ビーム・セット522から離れるように、夫々が反対の方向へ偏向される。画成面512、514、及び516の角度とプリズム500の高さ寸法とは、光検出器502上において所望のビーム分離距離が得られるように定める。好適実施例においては、画成面514から底面530までの距離は0.8ミリメートルにしてある。また、好適実施例においては、画成面512と画成面516の夫々の平面は、画成面514に対して40度の角度を成すようにし、しかも、それらを互いに反対の方向へ向けて傾斜させることによって、ファセット面510を全体として凹面形状にしている。
【0032】以下に利点について説明する。ファセット面を形成したプリズムを備えているため、2つ以上のレーザ発生器を備えた光学系において発生される、互いに近接した複数のビーム・セットどうしを、正確に分離することができる。しかも、使用する光学部材の部品点数が極めて少なく、また、必要なスペースも極めて小さなものでありながら、光検出が可能なようにビームを分離することができる。また更には、プリズムの下に備えた単一の集積形の光検出器によって、レーザ出力情報、フォーカス情報、及びトラッキング情報を得ることができ、それによっても省スペースを達成することができる。
【0033】本発明は、上記以外の他の用途にも使用することができるものである。例えば本発明は、ここに示した光磁気システムのDRAWヘッドに使用する以外にも、光位相変化形(optical phase change)システムや、一回書込み/多数回読取り形(write once read many: WORM)システムのDRAWヘッドにも使用することができる。更には、本発明のファセット面を形成したプリズムは、複数チャネル形システムにおいて、その複数のビームを分離させるためにも利用することができる。複数チャネル形システムとは、例えば、レーザ・アレイを使用することによって、ディスクの互いに平行な複数本のトラックに対して同時に読み書きを行なうシステム等である。本発明は更に、データ検出方式、トラッキング・エラー検出方式、フォーカス・エラー検出方式、それにレーザ出力検出方式等が、異なっているものにも使用可能である。
【0034】以上に本発明をその好適実施例に即して具体的に図示し説明してきたが、当業者には理解されるように、それら実施例に対しては、本発明の概念及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部構造についての種々の変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDRAWシステムの模式図である。
【図2】図1のDRAWシステムの一部分の模式図である。
【図3】図1のDRAWシステムの光検出器の模式図である。
【図4】図3の光検出器の一部分の模式図である
【図5】本発明における検出回路の回路図である。
【図6】プリズムと光検出器との組合体についての別実施例の模式図である。
【図7】非対称形に形成したファセット形成側面を有するプリズムを備えた別実施例の模式図である。
【図8】3つの画成面を有するファセット形成側面を有するプリズムを備えた更に別の実施例の模式図である。
【符号の説明】
10 書込み直後読取り(DRAW)システム
12 レーザ・アレイ
14、15 ダイオード・レーザ
16、17 偏光ビーム
20 コリメーション用レンズ
30 円形化用プリズム
66 記録用ディスク
76 ウォラストン・プリズム
90 ファセット面形成プリズム
92 ファセット形成側面
94、96 画成面
110 光検出器
150、152 ビーム・セット
400 ファセット面形成プリズム
402 光検出器
410 ファセット形成側面
412、414 画成面
420、422 ビーム・セット
450 ファセット面形成プリズム
452 光検出器
460 ファセット形成側面
462、464 画成面
470、472 ビーム・セット
500 ファセット面形成プリズム
502 光検出器
510 ファセット形成側面
512、514、516 画成面
520、522、524 ビーム・セット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 光記録システムにおいて、複数本の光ビームを発生する、光発生手段と、前記複数本の光ビームが入射し複数本の反射光ビームが出射するようにした、データ記憶媒体と、複数の画成面を有するファセット形成側面を備えたプリズムであって、前記複数本の反射光ビームの各々がそれら複数の画成面のうちの1つに入射することによって、それら複数の反射光ビームが互いに離散するようにした、前記プリズムと、を備えたことを特徴とする光記録システム。
【請求項2】 前記プリズムの第2の側面に配置した複数の光検出器であって、それら複数の光検出器の各々へ前記離散する複数本の光ビームのうちの1本の光ビームが入射するようにした前記複数の光検出器を、更に備えたことを特徴とする請求項1のシステム。
【請求項3】 前記複数の光検出器に接続した、データ信号、出力モニタ信号、フォーカス信号、及びトラッキング信号を発生する検出回路を、更に備えたことを特徴とする請求項2のシステム。
【請求項4】 光記録システムにおいて、複数本の光ビームを発生する、光発生手段と、前記複数本の光ビームの形状を円形にする、円形化手段と、前記複数本の光ビームが入射し複数本の反射光ビームが出射するようにした、記録媒体と、前記複数本の反射光ビームを互いに離散させる、プリズムと、を備えたことを特徴とする光記録システム。
【請求項5】 前記プリズムから前記複数本の反射光ビームが入射するようにした複数の光検出器を、更に備えたことを特徴とする請求項4のシステム。
【請求項6】 前記プリズムが凹形側面を有するプリズムであることを特徴とする請求項4のシステム。
【請求項7】 前記プリズムが凸形側面を有するプリズムであることを特徴とする請求項4のシステム。
【請求項8】 前記プリズムが、全体として1つの凹面を成すように形成した3つの画成面を有する側面を備えたプリズムであることを特徴とする請求項4のシステム。
【請求項9】 前記プリズムが、複数の画成面を備えた1つのファセット形成側面を有するプリズムであり、それら複数の画成面が、互いに角度が異なった平面を有していることを特徴とする請求項4のシステム。
【請求項10】 光記録のための方法において、第1光ビーム及び第2光ビームを発生するステップと、光伝達手段を用いて、前記第1光ビーム及び前記第2光ビームを記録媒体へ伝達し、且つ、その記録媒体から第1反射光ビーム及び第2反射光ビームを受取るステップと、ファセット形成側面を有するプリズムを用いて、前記第1反射光ビームと前記第2反射光ビームとを、互いに分離して光検出器へ導くステップと、を含んでいることを特徴とする光記録のための方法。
【請求項11】前記光伝達手段が、円形化用プリズムを含んでいることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項12】 前記プリズムの前記ファセット形成側面が複数の画成面を備えており、それら複数の画成面が、互いに角度が異なった平面を有していることを特徴とする請求項10の方法。
【請求項13】 光記録システムにおいて、第1偏光ビーム及び第2偏光ビームを発生するレーザ・アレイと、前記レーザ・アレイに光学的に結合した、前記第1偏光ビーム及び前記第2偏光ビームを伝達するための光伝達手段と、前記光伝達手段に光学的に結合した光記録媒体であって、前記第1偏光ビーム及び前記第2偏光ビームが入射し、且つ、第1反射光ビーム及び第2反射光ビームが前記光伝達手段へ向かって出射するようにした前記光記録媒体と、前記光伝達手段に光学的に結合した偏光分離手段であって、前記第1反射光ビーム及び前記第2反射光ビームが入射し、且つ、前記第1反射光ビームの第1偏光成分と第2偏光成分とを含んだ第1ビーム・セットと、前記第2反射光ビームの第1偏光成分と第2偏光成分とを含んだ第2ビーム・セットとが出射するようにした前記偏光分離手段と、前記偏光分離手段に光学的に結合したファセット面形成プリズムであって、その第1側面に、第1画成平面と第2画成平面とを備えており、前記第1画成平面は、前記第1ビーム・セットが入射し、その入射した第1ビーム・セットが第1方向へ偏向するようにしてあり、前記第2画成平面は、前記第2ビーム・セットが入射し、その入射した第2ビーム・セットが第2方向へ偏向するようにしてある、前記ファセット面形成プリズムと、前記ファセット面形成プリズムに光学的に結合した、前記第1ビーム・セットと前記第2ビーム・セットとが入射するようにした光検出器と、を備えたことを特徴とする光記録システム。
【請求項14】 前記光検出器が4つのセクションを含んでおり、それらセクションの各々へ、前記第1ビーム・セットと前記第2ビーム・セットとの、いずれかのビーム・セットの偏光成分が入射するようにしたことを特徴とする請求項13のシステム。
【請求項15】 前記光検出器の前記セクションのうちの1つのセクションが、4つのサブセクションを備えていることを特徴とする請求項14のシステム。
【請求項16】 前記光検出器に接続した、データ信号と、出力モニタ信号と、フォーカス信号と、トラッキング信号とを発生する検出回路を、更に備えたことを特徴とする請求項15のシステム。

【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開平5−128575
【公開日】平成5年(1993)5月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−211964
【出願日】平成3年(1991)8月23日
【出願人】(390009531)インターナシヨナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレイシヨン (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION