説明

複数分節構造式導管組立体

使用者の気道に供給される呼吸用気体流の通路を形成する導管組立体(18)。第1の端部及び第2の端部を備え、第1の端部から第2の端部に延伸する第1の内部空洞が形成された可撓性を有する第1の導管片(34a,52a,84a)が導管組立体に設けられる。第3の端部及び第4の端部を備え、第3の端部から第4の端部に延伸する第2の内部空洞が形成された可撓性を有する第2の導管片(34b,52b,84b)も導管組立体に設けられる。第1の導管片が、第2の導管片に対して回転できるように、第1の旋回接続部(36a,54,86a)は、第1の導管片の第2の端部と第2の導管片の第3の端部とに連結される。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2006年3月9日に出願された米国仮出願第60/780,587号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、気体流供給装置に使用される導管組立体、特に、互いに回転可能に連結されかつ導管組立体に沿うトルク(捻りモーメント)の伝達を防止する可撓性を有する複数の導管片(区画室又は分割部分)を備える導管組立体に関連する。
【背景技術】
【0003】
気体流供給装置は、患者(被験者又は使用者)の気道に気体流を供給するのに使用される。患者に気体を供給する気体流供給装置は、通常医療分野で使用される。医療分野の気体流量供給装置は、例えば、患者の呼吸を換気若しくは補充する換気装置又は人工呼吸器と、高い気体圧力で患者の気道に気体流を供給して閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)等の医療疾患を治療する圧力補助(支援)装置とを備える。多呼吸周期間に患者の気道に一定の呼吸気体陽圧を供給する持続気道陽圧(CPAP)装置と、患者に供給される気体流の圧力を変更できる可変圧力装置とが圧力補助装置に含まれるが、圧力補助装置は、例示する装置には限定されない。
【0004】
可変圧力補助装置は、患者の監視状態に基いて、患者に供給される基本圧力又は圧力特性を変更できる自動滴定(タイトレーション)装置を含む。呼吸周期間に気体流の圧力を変更する他の可変圧力補助装置も存在する。比例補助換気装置(PAV[登録商標])、比例気道陽圧装置(PPAP[登録商標])、シーフレックス装置(C-Flex[トレードマーク]、呼気時に呼吸気体圧力を低下して違和感を軽減する機能)、バイフレックス装置(Bi-Flex[トレードマーク]、吸気時及び呼気時に呼吸気体圧力をそれぞれ上昇し、低下して違和感を軽減する機能)及びペンシルベニア州ピッツバーグに所在のレスピロニクス社が製造・販売するバイパップ(BiPAP[登録商標])装置は、可変圧力補助装置に含まれる。バイパップ装置は、患者の呼吸周期の進行に従い患者に供給される圧力を変化させて、呼気間に供給される圧力よりも高い圧力で吸気間に呼吸気体を供給する2段階圧力補助装置である。
【0005】
通常の気体流供給装置は、患者に供給される気体流を発生する圧力/流量発生装置と、患者に気体流を搬送する搬送装置とを備える。後者の搬送装置は、圧力/流量発生装置に接続される第1の端部と、患者が着用する患者界面組立体を介して患者の気道に連結される第2の端部とを備える。空気管又は患者回路と言われる可撓性の導管は、気体流供給装置の動作時に圧力発生装置からの気体流を搬送する通路を形成する。ヘッドギアにより使用者に取り付けられる通常鼻マスク、口マスク又は鼻/口マスク等の患者界面組立体は、患者回路から患者の気道に気体流を案内する導管の第2の端部に連結される。
【0006】
通常1.8m(6フィート)の長さを有する従来の患者回路は、患者回路内を流れる気体の流れ抵抗を最小化する円滑な内部表面を有する。患者回路の圧潰を防止する連続的な螺旋部が、通常患者回路の外部に設けられる。患者回路の支持構造体となる螺旋部は、患者回路の取り扱いに関する問題を生じる。特に、螺旋部の構造支持力が増大すると、患者回路の一部に発生する応力、負荷及び捩れは、患者回路の全長に沿って伝播又は伝達される。使用者が装着する患者界面体(患者界面組立体)に患者回路の一端が前記のように連結されるので、応力、負荷及び捩れの伝達は、特に問題となる。このように、従来の患者回路上の一点に発生するトルク又は捩れは、患者界面体に直ちに伝達される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の患者界面体は、患者回路を通じて患者界面体に伝達されるトルクに通常耐えることがでない。患者界面体に伝達されるトルクが原因で、患者界面体が使用者から外れ又は患者界面体と使用者の表面との間の気密構造が損われて、使用者の表面で気体流装置からの気体が漏洩する可能性がある。また、患者界面体上のトルクにより、使用者の顔面の特定部位に加えられるべき所望の押圧力より高い押圧力が顔面に加えられて、マスクが使用者に不快感を与えることがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、従来の患者回路の欠点を解決する患者回路を提供することが本発明の目的である。第1の端部及び第2の端部を備え、第1の端部から第2の端部まで延伸する第1の内部空洞が形成された可撓性を有する第1の導管片を設けた患者回路を提供する本発明の一実施の形態により、この目的が達成される。また、第3の端部及び第4の端部を備え、第3の端部から第4の端部まで延伸する第2の内部空洞が形成された可撓性を有する第2の導管片が患者回路に設けられる。最後に、可撓性を有する第1の導管片と可撓性を有する第2の導管片とを設け、第1の導管片を第2の導管片に対して回転できるように、第1の旋回接続部は、第1の導管片の第2の端部と、第2の導管片の第3の端部とに連結される。回転可能な第1の旋回接続部は、患者回路上の特定部位で発生するトルクの他の部位への伝達を防止する。
【0009】
本発明の更に別の目的は、前記患者回路を備えかつ使用者に呼吸用気体を供給する供給装置を提供することにある。本発明の例示的な実施の形態では、気体流を発生する気体流発生装置、患者界面組立体及び導管組立体が供給装置に設けられる。気体流発生装置は、気体流出口が外部に設けられるハウジングを有する。導管組立体の第1の端部は、ハウジングの出口に作動連結され、導管組立体の第2の端部は、患者界面組立体に作動連結される。導管組立体は、気体流発生装置の動作時に気体流発生装置からの気体流を搬送する。導管組立体は、可撓性を有する複数の導管片と、複数の導管片のうち、互いに隣接する複数の導管片間に配置される旋回接続部とを備え、旋回接続部は、隣接する複数の導管片を接合し、隣接する可撓性の導管片は、互いに回転することができる。前記のように、旋回接続部は、導管組立体に沿う特に患者界面組立体へのトルクの伝達を防止する。
【0010】
同一の参照符号により各図の対応部分を示す添付図面に関する以下の説明、特許請求の範囲及び本明細書の全構成部分により、本発明の前記目的及び他の目的、特徴及び特性、構造の関連要素の操作法及び機能、部品の組み合わせ並びに製造経済性は、明らかとなろう。しかしながら、図面は、図示及び説明の目的に過ぎず、発明の範囲を制限しないものであることは、明確に理解できよう。別途明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」の単数形は、複数の対象を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、患者の気道に気体流を供給する気体流供給装置10を示す。気体流供給装置10は、気体流を発生する圧力及び/又は流量発生装置12と、圧力/流量発生装置12の出口16に着脱可能に連結される任意の加湿器14とを備える。本発明の原理による導管組立体18は、加湿器14の出口20に連結される。加湿器14を省略するとき、圧力/流量発生装置12の出口16に導管組立体18を勿論連結できよう。
【0012】
圧力/流量発生装置12は、周辺大気圧力を超える高い圧力で気体流若しくは気体を使用者の気道に供給するのに使用される如何なる従来の換気装置(人工呼吸器)、圧力補助装置又は他の装置でもよい。本発明を限定しない圧力補助装置の例は、例えば、自動滴定(タイトレーション)装置、比例補助換気(PAV[登録商標])装置、比例気道陽圧(PPAP[登録商標])装置、シーフレックス(C-Flex[商標]、呼気時に呼吸気体圧力を低下して違和感を軽減する機能)装置、バイフレックス(Bi-Flex[商標]、吸気時及び呼気時に呼吸気体圧力をそれぞれ上昇及び低下して違和感を軽減する機能)装置、若しくはバイパップ(BiPAP[登録商標]、2段階気道陽圧)装置等の人工呼吸器、持続気道陽圧(CPAP)装置、可変圧力装置又は他の圧力補助装置を含み、ペンシルベニア州ピッツバーグに所在のレスピロニクス社が製造及び販売されるバイパップ装置は、患者の呼吸周期の進行と共に患者に供給する圧力を変化させ、呼気間に供給する圧力よりも高い圧力を吸気間に供給する働きがある。本発明での使用に適しかつ患者の気道に気体流を供給する他の装置には、分泌間隔(排痰)又は弛緩の目的で、高圧力と低圧力又は陽圧及び負圧を気道に加える装置も含む。
【0013】
図1に示すように、導管組立体18は、第1の端部22と、第2の端部26とを有し、加湿器14の出口24(又は加湿器14を省略するとき、圧力/流量発生装置12の出口16)に第1の端部22が作動連結される。気体流発生装置の動作時に、第1の端部22から第2の端部26まで延伸して患者回路内に形成される内部空洞を通じて、気体流が加湿器14又は圧力発生装置から患者に供給される。
【0014】
通常マスク30を含む患者界面組立体28、ヘッドギア32及び導管連結部33は、導管組立体18の第2の端部26に連結される。即ち、患者界面組立体28の導管連結部33は、第2の端部26に連結される。本発明の例示的な実施の形態では、患者界面組立体28は、患者の鼻孔周辺を密封する鼻マスクである。しかしながら、患者回路から患者の気道に気体流を供給する鼻マスク、鼻枕、鼻/口のマスク、全面型面体(フルフェイスマスク若しくは全面マスク)、フード、気管内チューブ、気管内挿入管又は他の如何なる装置も、患者界面組立体28として使用できることは、理解されよう。通常の導管連結部33は、マスク30の外殻に回転可能に連結されるエルボである。しかしながら、本発明は、他の如何なる構造を有する導管連結部33を使用し又は導管連結部33を完全に省略できることも企図する。
【0015】
様々な構成部材を導管組立体18内に設け又はこれに連結できることも、理解されよう。例えば、細菌濾過器、圧力制御弁、流量制御弁、圧力/流量/温度/湿度センサ、計器、圧力濾過器、加湿器、及び/又は加熱器を導管組立体内に設け又はこれに取り付けることができる。
【0016】
図1に示す気体流供給装置10は、導管組立体18に設けられて圧力発生装置を患者界面組立体28に接続する単一の気体供給導管を意味する単一アーム装置である。患者が吐出する気体等の気体を装置から排気する排気組立体(図示せず)が単一アーム装置の患者導管に設けられる。患者界面組立体28及び/又は患者回路に設けられる排気組立体には、圧力補助装置から気体を排気する所望の方法に基づく多種多様な構造を付与することができる。
【0017】
本発明は、患者の気道に作動接続される供給導管と、排気導管とを備える2アーム装置を気体流発生装置に設けることも企図する。患者からの排気を搬送する排気導管を2アーム装置に設ける点で単一アーム装置と2アーム装置とは、根本的に相違する。患者から遠位の排気導管の端部にも排気弁が通常設けられる。排出弁に設けられる可動部の作動を標準的に積極的に制御して、呼気終末陽圧(PEEP)として公知の所望圧力レベルにアーム装置内の圧力が維持される。別の密閉回路からの排気気体の流量を制御することにより、これが実現される。
【0018】
可撓性を有する複数の導管片34a,34b,34cが導管組立体18に設けられる。図1に示す実施の形態では、可撓性を有する3つの導管片34a,34b,34cが導管組立体18に設けられる。可撓性を有する各導管片34a,34b,34cは、旋回接続部36a,36bを介して隣接する導管片34aと34b,34bと34cに連結される。導管組立体18の第1の端部22に出口接続部38が設けられ、第2の端部26に患者界面材接続部40が設けられる。出口接続部38と患者界面材接続部40の各詳細な特徴を後述する。
【0019】
本発明の例示的な実施の形態では、患者界面材接続部40は、患者界面組立体28に隣接する可撓性の導管片を導管連結部33に対して回転できる旋回接続部となる。また、出口接続部38は、固定位置で圧力補助装置の出口に取り付けられるゴム製カフである。患者界面材接続部40を出口接続部38と交換して圧力補助装置の出口に取り付けることができ、逆に出口接続部38と交換した患者界面材接続部40を導管連結部33に回転可能に取り付けられることは、理解されよう。本発明は、マスクの外殻等の患者界面装置を可撓性の導管片に直接取り付けて、導管連結部33と患者界面材接続部40とを省略することも企図する。
【0020】
旋回接続部36a,36bを使用して、隣接する可撓性の導管片に対して可撓性の各導管片を回転できる構造を採用することにより、導管組立体18の一部に加えられるトルクを阻止し又は導管組立体18の端部に設けられる患者界面組立体28等の他の部位へのトルクの伝達を阻止することができる。即ち、導管組立体18上のある位置で発生するトルクにより、使用者上に装着される患者界面組立体28が外れ又は離脱する可能性があるとき、トルクにより可撓性の導管片が回転して、患者界面組立体28にトルクが伝達されない。旋回接続部36a,36bによりトルクの伝達を完全には阻止できなくても、旋回接続部36a,36bは、導管組立体18の長さ方向に沿って伝達するトルク量を最小限にすることができる。
【0021】
2種類のトルクが患者界面組立体28に作用することを更に理解すべきである。第1のトルクは、モーメントアームとして作用する一連の旋回接続部36a,36bを通じて導管組立体18の重量により患者界面組立体28に作用するトルクである。導管組立体18の全ての垂下部又は支持のない不安定部は、このトルクが生じる要因となる。第2のトルクは、末端の着用者の移動時に導管組立体18の軸周りに発生する導管組立体18の捩り運動又は捻り運動により、患者界面組立体28に作用するトルクである。複数分節構造(マルチセグメント)式導管組立体18は、第2のトルクを最小限にする。
【0022】
本発明は、可撓性を有する僅か2つの導管片を含む導管組立体と、可撓性を有する3つ以上の導管片を含む導管組立体とを企図する。即ち、可撓性を有する如何なる数の導管片を使用しても、導管組立体18を形成することができる。医療業界で通常の患者回路は、医療業界で標準の予め決められた長さを有する。導管組立体18の形態のみならず、導管組立体18の長さは、導管組立体18の長さに沿う圧力降下値を決定する。圧力補助装置が適切な圧力レベルの呼吸気体を供給するように、多くの圧力補助装置に対して、一定の範囲内に前記圧力降下値を抑制しなければならない。このように、業界で標準の長さと内径寸法が採用されてきた。このため、本発明は、組み立てられる可撓性の複数の導管片が業界の標準に適合して、特定の長さを有する導管組立体18を形成することを企図する。
【0023】
導管組立体18とその導管片とを全体的に管状形態で図示するが、本発明は、一箇所から他の箇所に流体流を搬送する機能を果たす限り、非円筒状等他の如何なる形状を導管組立体又はその導管片に付与できることも企図する。また、導管組立体18を形成する他の導管片とは異なる長さ、直径又は形態を各導管片に付与することができる。導管組立体18の端部に設けられる連結部材を他の形態に形成できることも、本発明が企図することを理解すべきである。
【0024】
可撓性を有する2つの導管片52a,52bのみを設ける導管組立体50の詳細な構造を図2〜図5に示す。可撓性を有するより少ない数の導管片と旋回接続部を設ける点を除き、導管組立体50は、図1の導管組立体18と同様の構造を有する。可撓性を有する導管片52a,52bと、旋回接続部54と、導管の第1の端部22に設けられる出口接続部38と、第2の端部26に設けられる患者界面材接続部40との構造上の特徴は、図1の導管組立体18に使用する構造と同様である。
【0025】
旋回接続部54を介して互いに連結される可撓性の第1の導管片52aと可撓性の第2の導管片52bとが導管組立体50に設けられる。圧力/流量発生装置12を取り付ける導管組立体50の第1の端部22に出口接続部38が設けられる。患者界面組立体28を取り付ける導管組立体の第2の端部26に患者界面材接続部40が設けられる。
【0026】
可撓性を有する各導管片52a,52bは、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルエラストマー等の材料から形成される比較的柔軟な可撓性部材56を含む。可撓性部材56により形成される管又は導管は、導管組立体50内を通過する気体の流路となる内部空洞58a,58bを有する。選択される材料及び/又はその寸法に基づき、可撓性部材56のみが可撓性の導管片52a,52bを形成する。しかしながら、本発明は、可撓性部材56を比較的軽量に形成しかつ導管組立体50を強固な構造に形成するため、可撓性部材56の周辺に螺旋状の支持部60を設けることを企図する。
【0027】
例示的な実施の形態では、可撓性部材56より高い剛性の可撓性材料により螺旋状の支持部60が形成される。エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレン又はポリエステルエラストマーが可撓性材料の例に含まれる。全ての適切な材料又は組み合わせ材料により、螺旋状の支持部60を形成できることは、理解されよう。例えば、本発明は、螺旋状の支持部60を形成する材料内に埋設される単一又は多数の導線(ワイヤ)を含む螺旋状の材料の使用を企図する。前記導線を使用して、導管組立体50を加熱し又は信号を伝達することができる。本発明の原理を維持しながら、螺旋状の支持部60内の埋設される材料の形状、材料、単位長さ当たりの巻数、位置、寸法又は螺旋状の支持部60の他の全ての特徴も変更することができる。
【0028】
本発明の例示的な実施の形態では、ゴム又はシリコーン等の可撓性材料により形成される出口接続部38内に、圧力/流量発生装置12の雄型出口部を摩擦嵌合し、又はポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポリカーボネート等の比較的高い剛性の材料により標準的な取付寸法に形成した出口接続部38内に、圧力/流量発生装置12の円錐テーパ状に形成した雄型出口部を嵌合してもよい。出口接続部38は、対応する可撓性の導管片52aの可撓性部材56の端部に接着又は接合される。例示的な実施の形態では、熱溶着等の接着若しくは溶着又はオーバーモールド等の外側被覆成形等の融着により、出口接続部38は、可撓性部材56に接合される。螺旋状の支持部60を収容する複数の溝65(図7)が出口接続部38に設けられる。剛性のある材料、無剛性材料若しくは半剛性材料を含む何らかの適切な材料又は組み合わせ材料により、出口接続部38を形成できることは、理解されよう。また、所期の目的に適合する限り、あらゆる形状、寸法又は形態を出口接続部38に付与することができる。
【0029】
患者界面材接続部40は、対応する可撓性の導管片52bの可撓性部材56の端部に接着される第1のスリーブ62と、第1のスリーブ62に回転可能に連結される第2のスリーブ64とを備える。即ち、第1のスリーブ62は、第2のスリーブ64と同軸であり、この中心軸周りに一方を他方に対して回転できる。熱溶着等の接着若しくは溶着又はオーバーモールド等の外側被覆成形等の融着等の何らかの従来技術を使用して、患者界面材接続部40の第1のスリーブ62が可撓性部材56上に接着される。また、本発明は、螺旋状の支持部60を収容する複数の溝65を第1のスリーブ62に設けることを企図する。あらゆる従来の方法を使用して、第2のスリーブ64に第1のスリーブ62を連結することができる。例えば、舌片61と、舌片61を嵌合する溝63の組み合わせ構造を使用して、2つのスリーブ62,64を連結することができる。
【0030】
所期の目的に適合する限り、あらゆる形状、寸法又は形態の患者界面材接続部40又はその構成部材を使用することができる。剛性、無剛性若しくは半剛性を有する材料を含むあらゆる適切な材料又は組み合わせ材料により、患者界面材接続部40及び/又はその構成部材を形成することができる。本発明は、相対的な回転が必要な多数の構成部材又は単一の構成部材により、患者界面材接続部40を形成することも企図する。出口接続部38について説明した形態で、患者界面材接続部40を構成することもできる。逆に、患者界面材接続部40について説明した形態で、出口接続部38を構成することもできる。
【0031】
前記のように、旋回接続部54は、可撓性のある第1の導管片52aの一端と、可撓性のある導管片52bの隣接する端部とに接続される。図4及び図5は、旋回接続部36,54の詳細な構造を示す断面図である。図示の例示的な実施の形態では、可撓性の導管片52aの端部に接着される第1のスリーブ66と、可撓性の導管片52bの端部に接着される第2のスリーブ68とが旋回接続部54に設けられる。また、第1のスリーブ66は、第2のスリーブ68に回転可能に連結される。即ち、第1のスリーブ66と第2のスリーブ68の一方は、中心軸69の周りに他方に対して回転できるように、第1のスリーブ66は、第2のスリーブ68と同軸に配置されかつ連結される。2つのスリーブ66,68間で相対的に回転可能に、何らかの従来の方法で第1のスリーブ66が第2のスリーブ68に連結される。例えば、舌片70と溝72との組み合わせ構造により、2つのスリーブ66,68を連結できる。スナップ嵌合により、舌片70と溝72とを係合することができる。
【0032】
図5に示す実施の形態では、第1のスリーブ66の旋回接続部54の周縁には突出する複数の当接部73が設けられる。当接部73が無ければ、2つのスリーブ66,68間で完全な面対面接触又は周縁部で線接触が生ずるが、その代わり、当接部73は、第2のスリーブ68の端面75に点接触で接触して、2つのスリーブ66,68間の摩擦力を減少し又は最小化する。図示の実施の形態では、第1のスリーブ66に4つの当接部73が設けられる。より多い又は少ない数の当接部73を設けること及び他の形態で当接部73を形成できることは、理解されよう。
【0033】
熱溶着等の接着若しくは溶着又はオーバーモールド等の外側被覆成形等の融着等の何らかの従来技術を使用して、旋回接続部54の第1のスリーブ66と第2のスリーブ68は、対応する各可撓性部材56に接着される。また、本発明は、螺旋状の支持部60を収容する複数の溝71を第1のスリーブ66及び/又は第2のスリーブ68に設けることを企図する。所期の目的に適合する限り、あらゆる形状、寸法又は形態で旋回接続部54又はその構成部材を形成することができる。剛性、無剛性若しくは半剛性の材料を含むあらゆる適切な材料又は組み合わせ材料により、旋回接続部54及び/又その構成部材を形成することができる。
【0034】
図8及び図9は、本発明の原理による導管組立体80の第2の実施の形態を示す。気体流/圧力(圧力/流量)発生装置12を備える気体流供給装置82に導管組立体80が設けられる。前記実施の形態のように、可撓性を有する複数の導管片84a,84b,84cが導管組立体80に設けられる。可撓性を有する隣接する導管片84a,84b,84cを互いに回転可能に連結する旋回接続部86a,86bも、導管組立体80に設けられる。患者界面装置90は、第2の端部26に連結される。
【0035】
図8及び図9に示す実施の形態では、導管組立体80の第2の端部26を患者界面装置90に連結する一対の連結導管92a,92bが患者界面装置90に設けられる。第1の脚部96aと第2の脚部96bを有する第2の端部26に設けられる分流接続部、即ちY型接続部94は、各連結導管92a,92bに連結される。
【0036】
図9に示す例示的な実施の形態では、対応する可撓性の導管片84cの可撓性部材の端部に接着される第1のスリーブ98と、第1のスリーブ98に回転可能に連結される第2のスリーブ100とがY型接続部94に設けられる。特に、第1のスリーブ98と第2のスリーブ100の一方を中心軸周りに他方に対して回転できるように、第1のスリーブ98は、第2のスリーブ100と同軸に連結される。熱溶着等の接着技術又は融着技術等の何らかの従来技術を使用して、Y型接続部94の第1のスリーブ98は、可撓性部材に接着される。本発明は、螺旋状の支持部を収容する複数の溝を第1のスリーブ98に設けることも企図する。あらゆる従来の方法により、第1のスリーブ98は、第2のスリーブ100に連結される。例えば、舌片-溝構造を使用して、2つのスリーブ98,100を連結できる。
【0037】
所期の目的に適合する限り、あらゆる形状、寸法又は形態をY型接続部94又はその構成部材に付与することができる。剛性、無剛性若しくは半剛性を有する材料を含むあらゆる適切な材料又は組み合わせ材料により、Y型接続部94及び/又その構成部材を形成できる。本発明は、相対的な回転を要する多数の構成部材又は単一の構成部材により、Y型接続部94を形成することも企図する。
【0038】
現在最も実用的かつ好適と思われる実施の形態を図示して詳記したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。例えば、何れかの実施の形態の単一又は複数の特徴を他の何れかの実施の形態の単一又は複数の特徴に可能な範囲内で組み合わせられることも、本発明が企図することを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の原理による導管組立体の第1の実施の形態を適用した圧力補助装置の斜視図
【図2】本発明の原理による導管組立体の2つの節を示す側面図
【図3】図2に示す導管組立体の断面図
【図4】図1の導管組立体に使用する旋回接続部の断面図
【図5】図1の導管組立体に使用する旋回接続部の断面斜視図
【図6A】図1の導管組立体に使用する非連結位置にある旋回接続部を示す部分斜視図
【図6B】図1の導管組立体に使用する連結位置にある旋回接続部を示す部分斜視図
【図7】図1の導管組立体に使用する患者界面材接続部の断面を示す斜視図
【図8】本発明の原理による導管組立体の第2の実施の形態を適用した圧力補助装置の斜視図
【図9】図8に示す導管組立体の断面図
【符号の説明】
【0040】
(12)・・圧力補助装置、 (14)・・加湿器、 (18,50)・・導管組立体、 (28)・・患者界面組立体、 (33)・・連結部材、 (34a,52a,84a)・・第1の導管片、 (34b,52b,84b)・・第2の導管片、 (36a,54,86a)・・第1の旋回接続部、 (56)・・可撓性部材、 (60)・・支持部、 (66)・・第1のスリーブ、 (68)・・第2のスリーブ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び第2の端部を備え、第1の端部から第2の端部に延伸する第1の内部空洞が形成された可撓性を有する第1の導管片(34a,52a,84a)と、
第3の端部及び第4の端部を備え、第3の端部から第4の端部に延伸する第2の内部空洞が形成された可撓性を有する第2の導管片(34b,52b,84b)と、
第2の導管片に対して第1の導管片を回転できるように、第1の導管片の第2の端部及び第2の導管片の第3の端部に連結される第1の旋回接続部(36a,54,86a)とを備え、使用者の気道に供給される呼吸用気体流の通路を形成することを特徴とする導管組立体(18,50)。
【請求項2】
第1の導管片の第1の端部を圧力補助装置(12)の出口に連結した請求項1に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項3】
第2の導管片の第4の端部を患者界面組立体(28)に連結した請求項1に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項4】
患者界面組立体に取り付けられる連結部材(33)に第2の導管片の第4の端部を連結した請求項3に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項5】
第2の可撓性導管片の第4の端部を患者界面組立体に回転可能に連結した請求項3に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項6】
第1の導管片及び第2の導管片は、可撓性部材(56)と、可撓性部材の周辺に配置される螺旋状の支持部(60)とを備える請求項1に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項7】
旋回接続部は、第1の導管片の第2の端部に強固に連結される第1のスリーブ(66)と、第2の導管片の第3の端部に強固に連結される第2のスリーブ(68)とを備え、
第2のスリーブに第1のスリーブを回転可能に連結した請求項1に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項8】
第1の導管片、第2の導管片又はその両方に加熱部材を取り付けた請求項1に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項9】
加熱部材は、第1の内部空洞、第2の内部空洞又はその両方に配置される加熱導線を備える請求項8に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項10】
患者界面組立体は、
第1の側部及び第2の側部を有する外殻と、
外殻の第1の側部に連結される連結部材と、
外殻の第2の側部に連結される緩衝体とを備え、
導管組立体の第2の端部を患者界面組立体の連結部材に連結した請求項3に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項11】
患者界面組立体の外殻に連結部材を回転可能に連結し、患者界面組立体の連結部材に第2の導管片組立体の第4の端部を回転可能に連結し又は患者界面組立体の外殻に連結部材を回転可能に連結しかつ患者界面組立体の連結部材に第2の導管片組立体の第4の端部を回転可能に連結した請求項10に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項12】
旋回接続部は、第1の導管の第2の端部に強固に連結される第1のスリーブ(66)と、第2の導管の第3の端部に強固に連結される第2のスリーブ(68)とを備え、
第2のスリーブに第1のスリーブを回転可能に連結した請求項10に記載の導管組立体(18,50)。
【請求項13】
加湿器入口及び加湿器出口を有する加湿器(14)用の空洞部を更に備え、
圧力補助装置(12)のハウジングの出口に加湿器入口を作動連結し、
導管組立体の第1の端部に加湿器出口を作動連結した請求項10に記載の導管組立体(18,50)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−529378(P2009−529378A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558552(P2008−558552)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/063686
【国際公開番号】WO2007/104045
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)