説明

複数点の電圧と温度の計測方法

【課題】プローブ内の複数点の電圧及び/又は温度の計測方法の提供。
【解決手段】プローブ1(材質A、例:コンスタンタン)内の複数点P1,P2,・・Pnに、プローブ1と異なった材質(材質B、例:クロメル)の電圧計測線Pa,Pb,・・Pnを接触させる。プローブ1と接触させていない電圧計測線Pa〜Pnの他端は、計測器2でプローブ基準線1aと接触させる。プローブ1内の複数の接触点P1,P2,・・Pnの電圧を、計測器2で測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブ内の複数点の電圧と温度を精度よく計測するに関する。
【背景技術】
【0002】
プローブ内の電圧を計測する手法としては、一般的には4端子法で測定されることが多い。しかしながら、この手法では、プローブと電圧計測線との接触している2点間の電圧差しか計測することができない。
【0003】
プローブ内の複数点の温度を計測する手法として、熱電対をプローブに直接接触させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、プローブの小型化に対応できない。
【0004】
そこで、小型化したプローブ内の複数点における電圧と温度を測定できる技術の開発が求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2008−057144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決するものであり、プローブ内の複数点の電圧と温度を計測する手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、プローブ内の複数点の電圧を計測する手法として、プローブと電圧計測線とを接続すれば熱電対として機能でき、接触点の電圧を測定することができることに気がつき、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の電圧と温度の同時計測方法は、プローブと電圧計測線の接触点を熱電対の計測点とすることを特徴とする。
【0009】
本発明の電圧計測方法は、プローブ内の複数点のそれぞれに一端を接触させた、プローブと異なった材質からなる電圧計測線のそれぞれの他端と、プローブに一端を接触させた、プローブと同じ材質からなるプローブ基準線の他端とを計測器で接続させて熱電対として機能させ、プローブと電圧計測線との複数の接触点の電圧を計測することを特徴とする。
【0010】
プローブ内に複数の電圧計測線を接触させることにより、複数点の電圧計測を精度よく行うことができる。
【0011】
前記プローブ内の複数点の電圧計測を上記電圧計測方法を用いて行い、プローブ及びプローブ基準線に使われている材料と電圧計測線の材料との間の起電圧差の温度依存性が既知である時に、プローブ基準線と電圧計測線とが接触している計測器の温度を計測することにより、プローブ内の複数点の温度を計測することを特徴とする。
【0012】
プローブと同じ材質のプローブ基準線と、この材質と異なった材質の電圧計測線とを計測器で接続し、2つの材質の起電圧差の温度依存性と計測器の温度を基準としてプローブ内の温度計測を精度よく行うことができる。
【0013】
本発明の電圧及び温度の計測方法は、プローブ内の複数点のそれぞれに一端を接触させた、プローブと異なった材質からなる電圧計測線のそれぞれの他端と、プローブに一端を接触させた、プローブと同じ材質からなるプローブ基準線の他端とを計測器で接続させて熱電対として機能させ、プローブと電圧計測線との複数の接触点の電圧を計測し、次いでプローブ及びプローブ基準線に使われている材料と電圧計測線の材料との間の起電圧差の温度依存性が既知である時に、プローブ基準線と電圧計測線とが接触している計測器の温度を計測することにより、プローブ内の複数点の温度を計測することを特徴とする。
【0014】
かくして、プローブ内の複数点の電圧計測と温度計測とを精度よく同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プローブ内の複数点の電圧及び/又は温度を精度よく計測することができるという効果を奏する。プローブ内複数点の温度からプローブ先端部の温度評価をすることに役立ち、プローブ内の温度測定に基づいた装置の発展に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
プローブ内の電圧計測の様子を図1に示す。プローブ(材質A、例:コンスタンタン)1と、複数の電圧計測線(材質B、例:クロメル)Pa、Pb、Pc、Pd・・・Pnの一端とを接触させる。プローブ1と接触させていない電圧計測線Pa〜Pnの他端は、計測器2でプローブ基準線(材質A、例:コンスタンタン)1aと接続させる。プローブ内の複数の接触点P、P、P、P・・・・Pの電圧を、計測器で測定できるように構成されている。
【0018】
計測器2内の温度Tを計測すると、プローブ内の接触点P〜Pの電圧は、計測器2の温度と接触点の温度との温度差による起電圧に対応する。プローブ基準線(材質A、例:コンスタンタン)1aと電圧計測線(材質B、例:クロメル)Pa〜Pnとの間の起電圧差の温度依存性を用いて接触点の温度に換算する。例の場合、プローブ内の接触点温度は、クロメルーコンスタンタンのE熱電対として計測する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電圧及び温度の計測装置の模式的構成図。
【符号の説明】
【0020】
1 プローブ 2 計測器
1a プローブ基準線 P〜P接触点
Pa〜Pn 電圧計測線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ内の複数点のそれぞれに一端を接触させた、該プローブと異なった材質からなる電圧計測線のそれぞれの他端と、該プローブに一端を接触させた、該プローブと同じ材質からなるプローブ基準線の他端とを計測器で接続させて熱電対として機能させ、該プローブと電圧計測線との複数の接触点の電圧を計測することを特徴とする電圧計測方法。
【請求項2】
前記プローブ内の複数点の電圧計測を請求項1記載の電圧計測方法を用いて行い、プローブ及びプローブ基準線に使われている材料と電圧計測線の材料との間の起電圧差の温度依存性が既知である時に、プローブ基準線と電圧計測線とが接触している計測器の温度を計測することにより、プローブ内の複数点の温度を計測することを特徴とする温度計測方法。
【請求項3】
プローブ内の複数点のそれぞれに一端を接触させた、該プローブと異なった材質からなる電圧計測線のそれぞれの他端と、該プローブに一端を接触させた、該プローブと同じ材質からなるプローブ基準線の他端とを計測器で接続させて熱電対として機能させ、該プローブと電圧計測線との複数の接触点の電圧を計測し、次いで該プローブ及びプローブ基準線に使われている材料と該電圧計測線の材料との間の起電圧差の温度依存性が既知である時に、該プローブ基準線と電圧計測線とが接触している計測器の温度を計測することにより、プローブ内の複数点の温度を計測することを特徴とする電圧及び温度の計測方法。



【図1】
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【公開番号】特開2009−257847(P2009−257847A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105161(P2008−105161)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(000192383)アルバック理工株式会社 (26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】