説明

複数箱構造を有する車輪ケーシング

【課題】本発明は着陸装置(20)の固定と着陸装置により受ける応力回復が行われる複数箱(2,3,4,5)構造からなる航空機(100)の着陸装置(20)向けの小体積の車輪ケーシング(1)に関する。
【解決手段】複数箱構造には特に着陸手段を取り付ける支承(10,11)の受け入れ手段が含まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機に収納される着陸装置のための複数箱付き車輪ケーシングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機の車輪ケーシングは着陸装置の車輪を受け入れるとともに外部圧力を受けることの多い航空機から内側空間を分離することを機能とする。
【0003】
これらのケーシングが受ける応力、すなわち、着陸時に車輪により伝達される路面応力の内部加圧による圧縮応力のため、かつ同時に、元の位置に車輪を受け入れなくてはならないため、先行技術の車輪ケーシングには胴体骨組部品が延びると同時にケーシングの長さ方向に沿って割りつけられかつ車輪ケーシングを取り囲むアーチ形状の補強骨組が含まれる。該補強骨組により壁面パネルは補剛され補剛平面壁面パネルが形成される。
【0004】
これらの先行技術のパネルにより着陸装置の支承部が受け入れられると同時に車輪ケーシングの区域の防水が確保される。この構造では着陸装置のケーシングの空間がかさばると同時に重くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は路面応力と加圧応力の2つのタイプの外力に応じて最適化される小体積の車輪ケーシングの製作を目的とするとともに、これを達成するため、着陸装置の取付けならびに着陸装置が受ける応力の回復が行われる複数箱構造を含む航空機の着陸装置用の小体積の車輪ケーシングを提案するものである。
【0006】
車輪ケーシングには構造外殻が含まれて複数箱構造の上部に配されるのが有利である。
【0007】
複数箱構造をなす箱は覆いの縁にできるだけ集中して配される。
【0008】
この枠内で、本発明はその支承部が胴体外殻に最も近く配置される着陸装置に特に応用される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような着陸装置に関して複数箱構造は空間のかさばりの点で大きなプラスとなり得る。特に、圧力伸縮方杖付きの前方車輪の着陸装置については、着陸装置の支承部が胴体外殻の近傍に配置されることにより収納体勢での着陸装置の空気のかさばりの抑制が可能となる。
【0010】
その他の特徴と本発明の利点は図面を参照した非限定的な本発明の実施例に関する以下に続く記述を読めばさらに良く理解されよう。すなわち、
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示された本発明による車輪ケーシング1は航空機100の着陸装置20を受け入れる空間が低減された車輪ケーシングである。
【0012】
示された着陸装置は航空機100の鼻先、つまりは寸法が低減された航空機の一部に受け入れられると同時に数多くの装備品が含まれる前方着陸装置である。
【0013】
空間のかさばりが小さな車輪のケーシングの構造が提案される本発明を可能にする航空機のこの部分における車輪ケーシングの空間と重量を低減することが特に有利な点である。
【0014】
本発明による車輪ケーシングが鼻先に設置された航空機は特に、追加の装備品の受け入れが可能であり、しかもこれらの装備品の配置や手入れもより容易である。
【0015】
図1に示されるように、本発明の車輪のケーシングには複数箱2,3,4,5が含まれる。
【0016】
着陸装置20の取付は着陸装置が受けるこの応力回復構造上に実施される。
【0017】
複数箱構造には車輪1のケーシングの前方横架材を形成するその区間が図1に示される前方箱2、車輪ケーシング1の横側面を形成する横部箱3,5、ならびに車輪ケーシング1の後部横架材を形成する後部箱4が含まれる。
【0018】
箱2,3,4,5は胴体構造と緩い変化域がつけられるようかつこれらの剛性が増すように外形が決められる。
【0019】
これらの箱は組立補剛壁パネルをもとにしたアルミニウムのような軽量の材料で製作されるかあるいは、複合構造の航空機の場合には、予め、箱状構造の箱は複合材料、特に、補剛材32を形成する芯材33の複合織布により製作可能である。
【0020】
本発明の複数箱構造は、航空機における高さの車輪ケーシングにより占められる空間をさらに大きく低減するために特に航空機の外殻19の最も近くに着陸装置取り付け支承部の配置を可能にするよう適合される。
【0021】
着陸装置20の取付を可能にするため、複数箱構造には着陸装置取付支承部10,11の受入れ手段が含まれる。
【0022】
図5には横側箱3,5に固定されると同時に着陸装置の支承部10,11用の軸受けまたは軸つば24を受け入れる例えば挿入材7により構成されるこの手段の実施例が挙げられる。
【0023】
さらに、本発明による車輪のケーシングは少なくとも1本の伸縮式方杖15,151,152が含まれる着陸装置20と組み合わせて利用されるよう特に適合され、該複数箱構造には胴体外殻近傍に前記方杖の支承部13,14の受け入れ手段が含まれ、これらの手段は着陸装置の支承の受け入れ手段と同じであっても良い。
【0024】
特に、後部伸縮方杖15の場合には、図1および図2の例により、後部箱4には方杖15が中で展開される受け溝30が設置され、この受け溝30の横壁により方杖15の1本または2ヵ所の支承が受け入れられる。
【0025】
図3および図4の例によると、着陸装置には着陸装置に対して十字に配置されると同時に、着陸装置の補強棒31,32に接続される2本の伸縮前方方杖151,152が含まれる。
【0026】
これらの十字方杖にはそれぞれ支承部13,14が設置され、これらの方杖の支承部は着陸装置の支承部として横箱3,5に受け入れられる。
【0027】
本発明による車輪ケーシングには加圧応力の回復のため複数箱構造上に配置される外殻構造6が含まれるのが都合良い。
【0028】
この外殻6は特にこのような応力回復用に丸くなった形状の覆いである。
【0029】
本発明の車輪ケーシングにはこのように構造部分と航空機内側空間の防護部分との間が分離される構造が設置される。
【0030】
車台上に配置される構造外殻6が構造の防護部分を構成すると同時に加圧応力の回復をはかるのに対して、着陸装置を受け入れる空間の周囲に配置される箱類は着陸装置の取付と応力の回復を確保する車台の骨組を形成しながら車輪ケーシングの構造部分を構成する。
【0031】
本発明は示された例類に限定されないと同時に特に、複数の箱はこれらを航空機の構造に組み込む前に一式の骨組形態に組立可能であるだけでなく、さらに車輪ケーシングの開閉機構を受け入れることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による車輪ケーシングを備えた航空機の鼻先断面の斜視図である。
【図2】図1の車輪ケーシングの側面断面図である。
【図3】本発明の車輪ケーシングに関する代替実施形態の正面斜視図である。
【図4】図3の着陸装置に応用される図1の車輪ケーシングの側面断面図である。
【図5】本発明による支承部の受け入れ手段の実施例の詳細断面である。
【符号の説明】
【0033】
1 車輪ケーシング
2 前方箱
3 横部箱
4 後部箱
5 横部箱
6 構造外殻
7 挿入材
10、11、13、14 支承部
15、151、152 伸縮式方杖
19 外殻
20 着陸装置
24 軸つば
30 溝
31、32 補強棒
33 芯材
100 航空機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着陸装置(20)の取付けならびに該着陸装置が受ける応力回復が行われる複数箱構造(2,3,4,5)からなることを特徴とする航空機(100)の着陸装置(20)用の小体積車輪ケーシング(1)。
【請求項2】
前記複数箱構造に着陸装置取付の支承部(10,11)の受け入れ手段が含まれることを特徴とする請求項1記載の車輪ケーシング。
【請求項3】
少なくとも1個の伸縮式方杖(15,151,152)からなる前記着陸装置(20)の前記複数箱構造の胴体外殻近傍に該方杖の支承部(13,14)の受け入れ手段が含まれることを特徴とする請求項2記載の車輪ケーシング。
【請求項4】
前記複数箱構造に前記車輪ケーシング(1)の前方横架材を形成する前方箱(2)が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項5】
前記複数箱構造に前記車輪ケーシング(1)の横側面を形成する横部箱(3,5)が含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項6】
前記複数箱構造に前記車輪ケーシング(1)の後方横架材を形成する後部箱(4)が含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項7】
前記方杖が後方方杖(15)であることならびに該後方方杖に前記後方方杖(15)の受け入れ溝(30)が含まれることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項8】
前記着陸装置に横部箱(3,5)内に受け入れられる前記支承部(13,14)が設置される2本の前方伸縮式方杖(151,152)が含まれることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項9】
前記箱構造の補剛材(32)を形成する芯材(33)が複合織布の複合材料で製作されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項10】
前記複数箱構造(2,3,4,5)により前記着陸装置の取付と応力回復が確保されると同時に前記車輪ケーシングの構造部分を形成する車台の骨組が構成されて、該車台上にもたらされる構造外殻(6)により加圧応力の回復構造の防護部分が構成されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の車輪ケーシング。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の車輪ケーシングが設置された航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−516611(P2009−516611A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540561(P2008−540561)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067849
【国際公開番号】WO2007/057288
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)