説明

複数誘導性遺伝子調節系

【課題】同じ細胞中の2種以上の遺伝子の発現を同時に調節する手段を提供する。
【解決手段】複数誘導性遺伝子発現系で使用するための数種の遺伝子発現カセットを構築した。本法は、複数遺伝子調節が重要である用途において有用である。すなわち、遺伝子発現の分野における欠点を克服し、機能的ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクス、毒性スクリーニング、細胞系高処理能スクリーニングアッセイ、蛋白質製造および遺伝子治療等の分野において有用である。同じ細胞中での複数遺伝子の並行制御用の手段を提供し、当業者が、複数遺伝子または経路が含まれる複合的生物学的現象を分析し、また新規治療的用途を創造することを可能にする。バイオテクノロジーまたは遺伝子工学の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、複数遺伝子の定量的発現を同時に制御するために細胞内で機能する複数誘導性遺伝子調節系に関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個々に操作可能な遺伝子調節系を含む複数誘導性遺伝子調節系であって、
a)個々に操作可能な遺伝子調節系の各々が、
i)A)DNA結合ドメイン、
B)リガンド結合ドメイン、および
C)トランス活性化ドメイン、
を含む受容体複合体をコードする一種以上のポリヌクレオチド;
ii)リガンド;および
iii)A)外因性または内因性ポリヌクレオチド、および
B)応答エレメント、
を含むポリヌクレオチド;
を含み、ここで、
A)外因性または内因性ポリヌクレオチドは応答エレメントに操作可能に結合し;さらに
B)リガンドの存在下または非存在下における、応答エレメントへのDNA結合ドメインの結合が、外因性もしくは内因性ポリヌクレオチドの活性化または抑制を生じさせ;さらに
b)個々に操作可能な遺伝子調節系の各々が、複数誘導性遺伝子調節系において存在する他の個々に操作可能な遺伝子調節系に対してオルトゴナルである、
前記複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項2】
操作可能な遺伝子発現調節系の各々が下記a)、b)またはc)を含む請求項1に記載の複数誘導性遺伝子調節系:
a)
i)トランス活性化ドメイン、その発現が調節されるべき遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメイン、および核受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む第1の遺伝子発現カセット、
ii)リガンド、および
iii)A)第1の遺伝子発現カセットのコードされたポリペプチドのDNA結合ドメインにより認識される応答エレメント、B)第1の遺伝子発現カセットのコードされたポリペプチドのトランス活性化ドメインにより活性化されるプロモータ、およびC)その発現が調節されるべき遺伝子、を含む第2の遺伝子発現カセット;
b)
i)トランス活性化ドメイン、その発現が調節されるべき遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメイン、および核受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、を含む第1の遺伝子発現カセット、
ii)脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、ウルトラスパイラクル蛋白質リガンド結合ドメイン、および、キメラリガンド結合ドメイン(当該キメラリガンド結合ドメインは、2つのポリペプチドフラグメントを含み、ここで第1のポリペプチドフラグメントが、脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインまたはウルトラスパイラクル蛋白質リガンド結合ドメインからのものであり、また第2のポリペプチドフラグメントが、異なる脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインまたはウルトラスパイラクル蛋白質リガンド結合ドメインからのものである)からなる群より選択される第2の核受容体リガンド結合ドメイン、
iii)リガンド、および
iv)A)第1の遺伝子発現カセットのコードされたポリペプチドのDNA結合ドメインにより認識される応答エレメント、B)第1の遺伝子発現カセットのコードされたポリペプチドのトランス活性化ドメインにより活性化されるプロモータ、およびC)その発現が調節されるべき遺伝子、を含む第2の遺伝子発現カセット;または
c)
i)その発現が調節されるべき遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメインおよび核受容体リガンド結合ドメインを含む第1のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む第1の遺伝子発現カセット、
ii)トランス活性化ドメインおよび核受容体リガンド結合ドメインを含む第2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む第2の遺伝子発現カセット、
iii)リガンド、および
iv)A)第1の遺伝子発現カセットの第1のポリペプチドのDNA結合ドメインにより認識される応答エレメント、B)第2の遺伝子発現カセットの第2のポリペプチドのトランス活性化ドメインにより活性化されるプロモータおよびC)その発現が調節されるべき遺伝子、を含む第3の遺伝子発現カセット;
ここで、c)i)またはc)ii)の核受容体リガンド結合ドメインの一つはH群核受容体リガンド結合ドメインである。
【請求項3】
請求項1に記載の複数遺伝子調節系を含むウイルス。
【請求項4】
請求項1に記載の複数遺伝子調節系を含む細胞。
【請求項5】
請求項4に記載の細胞の一種以上を含むトランスジェニック生物体。
【請求項6】
受容体複合体をコードするポリヌクレオチドの一種以上が核受容体複合体をコードする、請求項1に記載の複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項7】
受容体複合体をコードするポリヌクレオチドの一種以上が非哺乳動物受容体複合体をコードする、請求項1に記載の複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項8】
受容体複合体がエクジソン受容体複合体である、請求項6に記載の複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項9】
複数の個々に操作可能な遺伝子調節系を含む複数誘導性遺伝子調節系であって、
a)個々に操作可能な遺伝子調節系の各々が
i)一種以上の受容体複合体であって、各々が、
A)DNA結合ドメイン、
B)リガンド結合ドメイン、および
C)トランス活性化ドメイン、
を含む当該受容体複合体;
ii)リガンド;
iii)
A)外因性または内因性遺伝子、および
B)応答エレメント、
を含むポリヌクレオチド;
を含み、
ここで、
A)外因性または内因性遺伝子は応答エレメントの制御下にあり;さらに
B)リガンドの存在下または非存在下における応答エレメントへのDNA結合ドメインの結合が、遺伝子の活性化または抑制を生じさせ;さらに、
b)個々に操作可能な遺伝子調節系の各々が、複数誘導性遺伝子調節系において存在する他の個々に操作可能な遺伝子調節系に対してオルトゴナルである、
前記複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項10】
操作可能な遺伝子発現調節系の各々が下記a)、b)またはc)を含む請求項9に記載の複数誘導性遺伝子調節系:
a)
i)トランス活性化ドメイン、その発現が調節されるべき遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメイン、および核受容体リガンド結合ドメイン、を含むポリペプチド、
ii)リガンド、および
iii)A)a)i)のポリペプチドのDNA結合ドメインにより認識される応答エレメント、B)a)i)のポリペプチドのトランス活性化ドメインにより活性化されるプロモータ、およびC)その発現が調節されるべき遺伝子、を含む遺伝子発現カセット;
b)
i)トランス活性化ドメイン、その発現が調節されるべき遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメイン、および核受容体リガンド結合ドメインを含むポリペプチド、
ii)脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、ウルトラスパイラクル蛋白質リガンド結合ドメイン、および、キメラリガンド結合ドメイン(当該キメラリガンド結合ドメインは、2つのポリペプチドフラグメントを含み、ここで第1のポリペプチドフラグメントが、脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインまたはウルトラスパイラクル蛋白質リガンド結合ドメインからのものであり、また第2のポリペプチドフラグメントが、異なる脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメイン、無脊椎動物レチノイドX受容体リガンド結合ドメインまたはウルトラスパイラクル蛋白質リガンド結合ドメインからのものである)からなる群より選択される第2の核受容体リガンド結合ドメイン、
iii)リガンド、および
iv)A)b)i)のポリペプチドのDNA結合ドメインにより認識される応答エレメント、B)b)i)のポリペプチドのトランス活性化ドメインにより活性化されるプロモータ、およびC)その発現が調節されるべき遺伝子を含む遺伝子発現カセット;または
c)
i)その発現が調節されるべき遺伝子と関連する応答エレメントを認識するDNA結合ドメインおよび核受容体リガンド結合ドメインを含む第1のポリペプチド、
ii)トランス活性化ドメインおよび核受容体リガンド結合ドメインを含む第2のポリペプチド、
iii)リガンド、および
iv)A)c)i)の第1のポリペプチドのDNA結合ドメインにより認識される応答エレメント、B)c)ii)の第2のポリペプチドのトランス活性化ドメインにより活性化されるプロモータおよびC)その発現が調節されるべき遺伝子、を含む遺伝子発現カセット;
ここで、c)i)またはc)ii)の核受容体リガンド結合ドメインの一つがH群核受容体リガンド結合ドメインである。
【請求項11】
請求項9に記載の複数遺伝子調節系を含むウイルス。
【請求項12】
請求項9に記載の複数遺伝子調節系を含む細胞。
【請求項13】
請求項12に記載の細胞の一種以上を含むトランスジェニック生物体。
【請求項14】
受容体複合体の一種以上がH群受容体複合体である、請求項9に記載の複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項15】
H群受容体複合体がエクジソン受容体複合体である、請求項14に記載の複数誘導性遺伝子調節系。
【請求項16】
a)インクリメンタルファルマコフォアエレメント変化に基づいて、種々に改変されたリガンドの組を定める工程、
b)各受容体ポリペプチドが、下記i)〜v)であるリガンド結合ドメインを含む受容体ポリペプチドの第1の組を調製する工程、
i)天然に存在するもの、
ii)欠失、挿入または突然変異により改変されたもの、
iii)キメラ、
iv)合成物、または
v)これらの組み合わせ、
c)任意に、受容体ポリペプチドを細胞内に導入する工程、
d)種々に改変されたリガンドの組を用いて、c)の細胞内でまたはインビトロで、遺伝子調節について、もしくはリガンド結合ドメインの結合について、または両方について、受容体ポリペプチドを検査する工程、
e)受容体ポリペプチド/リガンド組み合わせのオルトゴナリティーを決めて、種々の遺伝子調節特性を有するリガンドのサブセットを定める工程、
f)任意に、改変されたリガンドの組および改変された受容体ポリペプチドの組を用いて工程a)〜e)を繰り返す工程、
g)各受容体ポリペプチドが、下記i)〜v)であるDNA結合ドメインを含む受容体ポリペプチドの第2の組を調製する工程、
i)天然に存在するもの、
ii)欠失、挿入または突然変異により改変されたもの、
iii)キメラ、
iv)合成物、または
v)これらの組み合わせ、
h)外因性または内因性遺伝子および、下記i)〜v)である応答エレメントを含むDNA構造体の組を調製する工程:
i)天然に存在するもの、
ii)欠失、挿入または突然変異により改変されたもの、
iii)キメラ、
iv)合成物、または
v)これらの組み合わせ、
i)受容体ポリペプチドの第1の組、受容体ポリペプチドの第2の組およびDNA構造体をクローニングし、次にクローンを細胞内に導入する工程、
j)工程e)で同定されたリガンドへの共反応性について細胞をアッセイする工程、および
k)オルトゴナルな組の、リガンド、リガンド結合ドメイン、DNA結合ドメイン、および応答エレメントを、工程e)およびj)の結果に基づいて選択して、複数誘導性遺伝子調節系を構成する工程
を含む複数遺伝子調節系を開発する方法。
【請求項17】
受容体ポリペプチドの一種以上が核受容体ポリペプチドである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
受容体ポリペプチドの一種以上が非哺乳動物受容体ポリペプチドである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
核受容体ポリペプチドの一種以上がH群核受容体ポリペプチドである請求項17に記載の方法。
【請求項20】
核受容体ポリペプチドの一種以上がエクジソン受容体ポリペプチドである請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−48623(P2013−48623A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−221173(P2012−221173)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2002−532644(P2002−532644)の分割
【原出願日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願人】(508087044)イントレキソン コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】