説明

襟用吸汗シート

【課題】衣服を着たままでも衣服の襟元に貼着しやすくした襟用吸汗シートを提供する。
【解決手段】裏面シート2と表面シート3との間に吸収体4が介在され、裏面シート2の外面側に衣服の襟元に貼着するための粘着剤層6が形成されるとともに、前記粘着剤層6が剥離紙7によって剥離可能に覆われた襟用吸汗シートである。
前記粘着剤層6は、長手方向中央部において短手方向の一方側に偏倚する領域に形成するとともに、長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大する領域に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌と接する衣服の襟元の内側に貼着して汗や皮脂などを吸収することにより、衣服の襟元が汚れるのを防止した襟用吸汗シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、節電意識の高まりから企業においてクールビズやサマータイムが取り入れられ、エアコンの使用時間の短縮、設定温度の見直し等が図られている。そんな中、職場や外出先で汗をかく機会が多くなり、首周りのべたつきや汗じみによる不快感を解消したいというニーズが高まっており、その対策として各種の襟用吸汗シートが市販されている。
【0003】
従来より、かかる襟用吸汗シートとして、少なくとも吸液性シートを含み、裏面側のほぼ全面に、衣服の襟元に貼着するための粘着剤層が形成されるとともに、前記粘着剤層が剥離紙によって剥離可能に覆われたものが知られている。
【0004】
この種の襟用吸汗シートとして、下記特許文献1には、装着時の装着性を向上させるため、襟の下部に対応する保護用布の下端3〜10mmには全長に亘って接着層が塗着形成されていないものが開示されており、これによって接着層のない部分が3〜10mmであるため保護用布が上方にめくれ上がることがなく、接着層が保護用布に閉じ込められて、人体あるいは下着と接触することがないという効果が記載されている。また、下記特許文献2には、取り付けを簡単にするため、襟の内側に貼り付ける粘着面を保護するシートの中央部に切れ目を設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3052219号
【特許文献2】特開2010−261139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載のものでは、シャツを着たままシートを襟の内側に貼着させようとすると、襟元の髪の毛が粘着剤層にくっついて、粘着剤層と襟との間に挟まってしまい、髪の毛が引っ張られて痛い思いをしたり、貼着不良によりシートがずれたりする問題があった。
【0007】
また、粘着剤層が下端の一部を除いてほぼ全面に設けられているにもかかわらず、この粘着剤層が1枚の剥離紙によって覆われているため、装着前に剥離紙を剥がして、粘着剤層の全面を露出させてから襟に貼着しなければならなかった。このような襟用吸汗シートをシャツを着たまま貼着しようとすると、着用者の襟首に当たる襟の後側に貼着するという作業が必要になるため、全面が露出した粘着剤層が意図しない部分に貼着したり、粘着剤層同士がくっついたりする問題があった。
【0008】
一方、上記特許文献2記載のものでは、粘着面保護シートの中央部に切れ目が設けられているため、一方側の保護シートを剥がし、襟の内側に貼着した後、他方側の保護シートを剥がしてさらに貼着させるというように、片方ずつ取り付けることが可能となり、上述の問題が解決できるようにも思われるが、粘着剤層がほぼ全面に形成されているため、シャツを着たまま他方側の保護シートを剥がそうとすると抵抗力が大きくなり、一度貼着したはずの一方側が剥がれたりずれたりして、スムーズに貼着できないという問題があった。
【0009】
そこで本発明の主たる課題は、衣服を着たままでも衣服の襟元に貼着しやすくした襟用吸汗シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、少なくとも吸液性シートを含み、裏面側に衣服の襟元に貼着するための粘着剤層が形成されるとともに、前記粘着剤層が剥離紙によって剥離可能に覆われた襟用吸汗シートであって、
前記粘着剤層は、長手方向中央部において短手方向の一方側に偏倚する領域に形成されるとともに、長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大する領域に形成されていることを特徴とする襟用吸汗シートが提供される。
【0011】
上記請求項1記載の発明では、襟用吸汗シートの裏面側に形成される粘着剤層として、長手方向中央部において短手方向の一方側に偏倚する領域に形成するとともに、この長手方向中央部から連続して長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大する領域に形成する構造としている。すなわち、粘着剤層が裏面側の全面に亘って形成されるのではなく、長手方向中央部において短手方向の一方側に偏倚した領域に形成してある。かかる襟用吸汗シートを装着するには、短手方向のうち粘着剤層が形成された一方側を下側とし、粘着剤層が形成されない他方側を上側として、長手方向を襟の首周りに沿って衣服の襟元の内側に貼着する。これにより、シャツを着たまま襟用吸汗シートを貼着する際、長手方向中央部の上側には粘着剤層が形成されていないため襟元の髪の毛が粘着剤層と襟の間に挟まって邪魔になることがなく、髪の毛が引っ張られたり貼着不良を生じることがなくなる。従って、衣服を着たままでも衣服の襟元に襟用吸汗シートを貼着しやすくなる。
【0012】
一方、粘着剤層が長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大する領域に形成されているため、長手方向両端部では襟の上側から下側までしっかりと固定できるようにしてある。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記剥離紙は、長手方向中央部で分割されるか、あるいは分割可能な分割線が設けられている請求項1記載の襟用吸汗シートが提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明では、粘着剤層を剥離可能に覆う剥離紙として、長手方向中央部で分割してあるか、あるいは分割可能な分割線(例えばミシン目)を設けたものを用いている。かかる襟用吸汗シートを装着するには、前記分割部分又は分割線の一方側(粘着剤層が形成された側)の端部から、少しだけ剥離紙をめくって粘着剤層の一部を露出させておき、この露出した粘着剤層を衣服の仮止め用として襟用吸汗シートを所定の位置に仮止めしておき、その後更に左右に剥離紙を剥がすことによってしっかりと貼着する。このように、剥離紙の長手方向中央部に分割部分又は分割線を設けておくことによって、剥離紙を全て剥がさずに襟用吸汗シートを固定することができるため、粘着剤層が髪の毛にくっついたり、粘着剤層同士がくっついたりすることがなくなり、衣服を着たままでも衣服の襟元に貼着しやすくなる。
【0015】
更に、襟用吸汗シートを襟元に仮止め後、剥離紙を左右に剥がす際、粘着剤層が長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大する領域に形成されているため、粘着剤層を全面に形成したときより剥離時の抵抗力が小さくなり、スムーズに剥離することができ、仮止めした吸汗シートが剥がれたりずれたりすることなく、スムーズな貼着作業が可能になる。
【0016】
請求項3に係る本発明として、前記粘着剤層には、前記剥離紙の分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち前記粘着剤層が設けられている側の端部に、該粘着剤層が形成されない非形成部が設けられている請求項2記載の襟用吸汗シートが提供される。
【0017】
上記請求項3記載の発明では、剥離紙の分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち粘着剤層が設けられている側(短手方向の一方側)の端部に、粘着剤層が形成されない非形成部を設けてあるため、この非形成部から剥離紙がめくりやすくなる。
【0018】
請求項4に係る本発明として、前記粘着剤層は、前記剥離紙を剥がす方向とほぼ同じ方向に沿う縞状に形成されている請求項1〜3いずれかに記載の襟用吸汗シートが提供される。
【0019】
上記請求項4記載の発明では、粘着剤層を、剥離紙を剥がす方向とほぼ同じ方向に沿う縞状に形成してあるため、剥離紙を剥離する際の抵抗力が低減し、剥離紙を縞状の粘着剤層の長手方向に沿って剥がしやすくなり、スムーズな貼着作業が可能になる。
【0020】
請求項5に係る本発明として、前記剥離紙は、長手方向中央部で分割され、長手方向中央部において重なり代を持つように配設されている請求項1〜4いずれかに記載の襟用吸汗シートが提供される。
【0021】
上記請求項5記載の発明では、剥離紙として長手方向中央部で分割されたものを用いた場合において、この分割部分で左右の剥離紙が互いに重なり代を持つように配設することにより、剥離紙の端部が摘みやすくなり、剥離紙の剥離がしやすくなる。
【0022】
請求項6に係る本発明として、前記剥離紙は、幅方向中央部で分割されるか、あるいは分割可能な分割線が設けられるとともに、前記分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち前記粘着剤層が設けられている側の端部に切欠き部が設けられている請求項1〜5いずれかに記載の襟用吸汗シートが提供される。
【0023】
上記請求項6記載の発明では、剥離紙として幅方向中央部で分割されるかあるいは分割可能な分割線が設けられたものを使用した場合、前記分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち粘着剤層が設けられている側(短手方向の一方側)の端部に切欠き部を設けるようにしている。このため、この切欠き部から剥離紙を剥がしやすくなり、貼着作業がしやすくなる。
【発明の効果】
【0024】
以上詳説のとおり本発明によれば、衣服を着たままでも衣服の襟元に貼着しやすくした襟用吸汗シートが提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る襟用吸汗シート1の一部破断表面図である。
【図2】その裏面図である。
【図3】襟用吸汗シート1の装着状態を示す図である。
【図4】襟用吸汗シート1の使用方法を示す裏面図である。
【図5】襟用吸汗シート1の他の形態例(その1)を示す裏面図である。
【図6】襟用吸汗シート1の他の形態例(その2)を示す裏面図である。
【図7】襟用吸汗シート1の他の形態例(その3)を示す裏面図である。
【図8】襟用吸汗シート1の他の形態例(その4)を示す裏面図である。
【図9】襟用吸汗シート1の他の形態例(その5)を示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0027】
(襟用吸汗シート1の基本構造)
本襟用吸汗シート1は、例えば図1及び図2に示されるように、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、汗や皮脂などの体液を速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2、3間に介在された綿状パルプ又は合成パルプなどからなる吸収体4と、前記吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、前記裏面シート2の裏面側に形成され、衣服の襟元に貼着するための粘着剤層6と、前記粘着剤層6を剥離可能に覆う剥離紙7とから構成されている。
【0028】
以下、さらに前記襟用吸汗シート1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
【0029】
次いで、前記表面シート3としては、コットン繊維が100%のコットン不織布を用いることが好ましい。この表面シート3の坪量は20〜40、好ましくは30〜40g/mのものが好ましい。前記コットン不織布は、スパンレース法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができるが、柔軟性を持たせ肌当たりをよくするためスパンレース法が好ましい。また、前記表面シート3として、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどを用いることもでき、この不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。
【0030】
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、必要に応じて高吸水性樹脂を混入したパルプ繊維を予めシート状に加工したものが好適に使用され、厚み1〜3mm、高吸水性樹脂を混入した場合の配合はパルプ繊維10〜200g/m、高吸水性樹脂0〜100g/mのものが好適に使用される。前記パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記吸収体4としては、パルプシート以外に、パルプ繊維や親和性に優れた樹脂、例えばポリウレタンなどの樹脂を発泡させたスポンジ状の発泡樹脂を基材とする吸収性材料などを用いることができる。前記吸収体4は、図示のように、形状保持、および汗や皮脂等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した汗や皮脂等の逆戻りを防止するためにクレープ紙5によって囲繞するのが望ましい。
【0031】
前記粘着剤層6を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
【0032】
前記粘着剤層6を剥離可能に覆う剥離紙7としては、紙以外にプラスチックフィルム等の材料を用いることも可能である。前記剥離紙7の剥離処理は、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布することによって行うことができる。なお、特別に離型処理をしなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであっても、不織布そのものであっても良い。
【0033】
(粘着剤層6及び剥離紙7の構造)
粘着剤層6は、図2に示されるように、裏面シート2の裏面側に対して、襟用吸汗シート1の長手方向中央部において短手方向の一方側(装着時に下側となる側)に偏倚する領域に形成されるとともに、襟用吸汗シート1の長手方向両端部に向けて短手方向の他方側(装着時に上側となる側)に漸次拡大する領域に形成されている。ここで、「長手方向」とは、平面視ほぼ長方形状に形成される襟用吸汗シート1の長軸方向に沿う方向であり、装着時に首周りに相当する方向である。「短手方向」とは、平面視ほぼ長方形状に形成される襟用吸汗シート1の短軸方向に沿う方向であり、装着時に首の上下方向に相当する方向である。
【0034】
図示例の粘着剤層6について更に詳細に説明すると、粘着剤層6は、襟用吸汗シート1の裏面側のほぼ中央部に襟用吸汗シート1の外縁より若干内側に長方形状の粘着剤層形成エリアAを画成するとともに、この粘着剤層形成エリアAを、襟用吸汗シート1の長手方向に対して中央部A1とその長手方向両側の両端部A2、A2との3つのエリアに画成した上で、前記長手方向中央部A1において、粘着剤層形成エリアAの短手方向の一方側端から所定の幅で長手方向に沿って帯状の領域に形成するとともに、前記長手方向両端部A2、A2において、前記長手方向中央部A1の粘着剤層6から連続して、長手方向両端に向けて短手方向の他方側端に直線状に拡大する領域に形成されている。粘着剤層6が拡大する角度は、剥離紙7を長手方向中央部から両端部に剥がす際の手の動きと平行になるような角度で形成することが好ましく、具体的には長手方向線との成す角度が30°〜70°、好ましくは50°程度とすることが好ましい。図2に示される例では、上述のように形成された領域に対して全面に粘着剤を塗布することにより粘着剤層6が形成されているが、後段で詳述するように、この領域に対して縞状に粘着剤を塗布したり、あるいはドット状、格子状など離散状に粘着剤を塗布することで粘着剤層6を形成してもよい。
【0035】
このように、本襟用吸汗シート1では、粘着剤層6として、平面視で、長手方向中央部A1において短手方向の一方側(装着時の下側)に偏倚して形成するとともに、この長手方向中央部A1から連続して長手方向両端部A2、A2に向けて短手方向の他方側(装着時の上側)に漸次拡大して形成し、粘着剤層形成エリアAの全面に亘って形成されるのではなく、長手方向中央部において短手方向の一方側(装着時の下側)に偏倚して形成してあるため、シャツを着たまま襟用吸汗シート1を装着する際、図3に示されるように、長手方向中央部の上側に粘着剤層が形成されないので襟元の髪の毛が粘着剤層と襟の間に挟まって邪魔になることがなく、髪の毛が引っ張られたり貼着不良を生じるような事態がなくなる。従って、衣服を着たままでも衣服の襟元に襟用吸汗シート1を貼着しやすくなる。一方、粘着剤層6が長手方向両端部に向けて短手方向の他方側(装着時の上側)に漸次拡大するように形成されているため、長手方向両端部では襟の上側から下側までしっかりと固定できるようにしてある。
【0036】
図2に示されるように、長手方向中央部A1における粘着剤層6の塗工幅(襟用吸汗シート1の短手方向長さ)L1は、粘着剤層形成エリアAの短手方向長さhの1/3程度の長さが好ましい。また、長手方向中央部A1の塗工長さ(襟用吸汗シート1の長手方向長さ)L2は、粘着剤層形成エリアAの長手方向長さbの1/2程度の長さが好ましい。この範囲に粘着剤層を形成することにより、多少の圧力がかかっても剥がれたりずれたりしにくくなるとともに、髪の毛がくっつくおそれが軽減する。
【0037】
このとき粘着剤層6を覆う剥離紙7は、全体として、粘着剤層形成エリアAを覆う一回り大きな長方形状とすることが望ましい。一方で、粘着剤層6の形状に沿ってこれより一回り大きな形状で形成することも可能である。
【0038】
前記剥離紙7は、襟用吸汗シート1の長手方向中央部で予め分割されたものを用いるか、あるいは図2に示されるように長手方向中央部に短手方向に沿って分割可能な分割線(図示例ではミシン目8)が設けられたものを用いることが好ましい。
【0039】
このミシン目8が設けられた剥離紙7を備えた襟用吸汗シート1を装着するには、図4に示されるように、ミシン目8の粘着剤層6が形成された一方側の端部から、少しだけ剥離紙をめくって粘着剤層6の一部を露出させておき、この露出した粘着剤層6を衣服の仮止め用として襟用吸汗シート1を所定の位置に仮止めし、その後更に左右に剥離紙7を剥がすことによってしっかりと襟元に貼着する。このように、剥離紙7の長手方向中央部にミシン目8を設けておくことによって、剥離紙7を全て剥がさずに襟用吸汗シート1を固定することができるため、粘着剤層6が髪の毛にくっついたり、粘着剤層6同士がくっついたりすることがなくなり、衣服を着たままでも衣服の襟元に貼着しやすくなる。
【0040】
更に、襟用吸汗シート1を襟元に仮止め後、剥離紙7を左右に剥がす際、粘着剤層6が長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大するように形成されているため、粘着剤層6を粘着剤層形成エリアAの全面に形成したときより剥離時の抵抗力が各段に小さくなり、スムーズに剥離することができ、仮止めした吸汗シートが剥がれたりずれたりすることなく、スムーズな貼着作業が可能になる。
【0041】
ところで、前記粘着剤層6及び剥離紙7は、種々の形態で形成することができる。図5に示されるように、粘着剤層6には、剥離紙7の分割部分又は分割線(ミシン目8)を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち粘着剤層6が設けられている一方側の端部に、該粘着剤層6が形成されない非形成部9を設けるようにしてもよい。この非形成部9を設けることにより、この部分から剥離紙7をめくりやすくすることができる。
【0042】
また、図6及び図7に示されるように、粘着剤層6は、前述の粘着剤層6の形成領域において、剥離紙7を剥がす方向とほぼ同じ方向に沿う縞状に形成してもよい。図6に示される例は、剥離紙7が長手方向中央部で分割されるか、あるいは分割可能な分割線が設けられた場合であり、粘着剤層6の縞は、長手方向中央部の短手方向一方側(装着時の下側)から、長手方向両端部の短手方向他方側(装着時の上側)に向けて形成されている。これにより、粘着剤層6と剥離紙7との接着抵抗が低減されるため、分割部分又は分割線の下端から両側の斜め上方に剥離紙を剥離する際に小さな力でも剥離できるようになり、剥離紙7が剥がしやすくなる。ここで、粘着剤層6の縞の角度は、長手方向両端部における粘着剤層6の漸次拡大する角度とほぼ同じ角度で形成することが好ましい。具体的な縞の角度としては、長手方向線との成す角度が30°〜70°、好ましくは50°程度とする。
【0043】
他方、図7に示される例は、剥離紙7として、分割されず且つ分割線が形成されないものであって、粘着剤層6を一体的に覆うものを使用した場合であり、粘着剤層6の縞は、長手方向一方側端で短手方向一方側端(装着時の下側端)の隅から、長手方向他方側端で短手方向他方側端(装着時の上側端)の隅に向けて形成されている。この場合も同様に、長手方向一方側端で短手方向一方側端の隅から斜め上方に剥離紙7が剥がしやすくなる。
【0044】
ここで図6及び図7に示される縞の寸法は、粘着剤の塗布幅が3〜12mm、好ましくは5mm程度とし、粘着剤同士の離間幅が1〜5mm、好ましくは1mm程度とする。これにより、剥離紙7を剥離する時の抵抗力が小さくなりスムーズに剥離することができ、かつ粘着力も維持できるので、多少の圧力がかかっても剥がれたりずれたりしにくくなる。
【0045】
図8に示されるように、剥離紙7が長手方向中央部で分割される場合、左右の剥離紙7が長手方向中央部において重なり代10を持つように配設してもよい。これにより、重なり代10の部分で上方に重なった一方の剥離紙7の端部が摘みやすくなり、剥離紙7の剥離がしやすくなる。重なり代10の幅は、3〜10mm、好ましくは5mmとするのがよい。
【0046】
図9に示されるように、剥離紙7として幅方向中央部で分割されるか、あるいは分割可能な分割線が設けられたものを用いた場合、剥離紙7は、前記分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち粘着剤層6が設けられている側の端部に切欠き部11を設けることができる。これにより、切欠き部11から剥離紙7を剥がしやすくなる。切欠き部11の短手方向端部からの切込み深さは、剥離紙7の短手方向長さの1/5程度とするのが好ましい。
【0047】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、襟用吸汗シート1は、裏面シート2と表面シート3との間に吸収体が介在された構造としたが、少なくとも吸液性を有するシートが含まれていれば良く、不織布シートやコットンシート単独の構造でも構わない。
(2)上記形態例では、長手方向中央部A1において、粘着剤層形成エリアAの短手方向の一方側端から所定の幅で長手方向に沿って帯状の領域に形成するとともに、長手方向両端部A2、A2において、前記長手方向中央部A1の粘着剤層6から連続して、長手方向両端に向けて短手方向の他方側端に直線状に拡大する領域に形成されるようにしたが、長手方向両端部A2、A2において、長手方向両端部に向けて短手方向の他方側端に曲線状に拡大する領域に形成してもよい。また、長手方向中央部A1及び長手方向両端部A2が特に判別できないような長手方向に連続して湾曲するような曲線状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…襟用吸汗シート、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…粘着剤層、7…剥離紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも吸液性シートを含み、裏面側に衣服の襟元に貼着するための粘着剤層が形成されるとともに、前記粘着剤層が剥離紙によって剥離可能に覆われた襟用吸汗シートであって、
前記粘着剤層は、長手方向中央部において短手方向の一方側に偏倚する領域に形成されるとともに、長手方向両端部に向けて短手方向の他方側に漸次拡大する領域に形成されていることを特徴とする襟用吸汗シート。
【請求項2】
前記剥離紙は、長手方向中央部で分割されるか、あるいは分割可能な分割線が設けられている請求項1記載の襟用吸汗シート。
【請求項3】
前記粘着剤層には、前記剥離紙の分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち前記粘着剤層が設けられている側の端部に、該粘着剤層が形成されない非形成部が設けられている請求項2記載の襟用吸汗シート。
【請求項4】
前記粘着剤層は、前記剥離紙を剥がす方向とほぼ同じ方向に沿う縞状に形成されている請求項1〜3いずれかに記載の襟用吸汗シート。
【請求項5】
前記剥離紙は、長手方向中央部で分割され、長手方向中央部において重なり代を持つように配設されている請求項1〜4いずれかに記載の襟用吸汗シート。
【請求項6】
前記剥離紙は、幅方向中央部で分割されるか、あるいは分割可能な分割線が設けられるとともに、前記分割部分又は分割線を含む長手方向中央部であって、短手方向のうち前記粘着剤層が設けられている側の端部に切欠き部が設けられている請求項1〜5いずれかに記載の襟用吸汗シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−28882(P2013−28882A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166577(P2011−166577)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)