説明

要素構造体の特徴識別指標設定方法及び同装置、分子/分子集合体の特徴識別指標設定方法及び同装置、要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号用光データ生成方法及び同装置、要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号生成装置、要素構造体から得られた音情報に基づいて発光制御される発光装置、並びにコンピュータ読み取り可能な記録媒体及びコンピュータに実行させるためのプログラム

【課題】数値処理の手法を駆使した信号処理的アプローチを主として用いることにより、音による対象の特徴の識別を可能とする
【解決手段】1つの要素または複数の要素からなり、1つの要素または複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、要素の変化に伴って生じた要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段31と、数値データ化手段31で得られた要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段32と、音データ変換手段32で得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴を、要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段34とをそなえたことを特徴とする、要素構造体の特徴識別指標設定装置30を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の調査や分析を実施する場合において、情報の処理に音を利用する可聴化(Sonification)技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代文明は視覚から得られる情報の処理に多くを頼って成り立っている。とくに材料の設計や改良、あるいは生体の快・不快を判断するためのデータとして、スキーム、グラフ、写真などの視覚的データに変換されたものに立脚した活動がなされている。
従来より、情報の処理に可聴化(Sonification)いう聴覚情報を持ち込もうとする試みが知られている。
【0003】
可聴化(Sonification)の典型例として、人が物を叩いてその破損状態を把握しようとする経験的な習慣があり、これは聴覚が情報の処理に古くから用いられていたことを示している。また、回転機器に代表される工具・機械においては聴覚情報に基づく動的状態の把握が重要である。また、乗り物たとえば自動車や電車などの異常音は危険を知らせてくれる。定常稼動状態をモニターするために音が簡便にして特異的なシグナルを与えることは既に経験知として定着している。近年ではガイガーカウンターや電気聴診器など、音を用いて視覚的には得がたい情報を活用する思想を実現したものは世の中に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音楽や、芸術としての音響、上に述べた状態モニターとしての経験知、そして騒音処理など、音を直接あつかう技術分野は今日では目覚しく発展している。一方、これまで可聴化(Sonification)は可視化(Visualization)に比べて上述のことく経験的にとどまっており、その規模、適用分野のバリエーションが限られている。
【0005】
世にいう「百聞は一見に若かず」という諺は今後も真実であるが、しかし、科学技術の進歩に伴い、人類は新たな可能性を開きつつある。それは「百見して見えざると雖も、一聞にて会得せり」という新たな次元の存在である。デジタルコンピュータの出現は、数値データを音に変換することを容易にした。これによって、過去には不可能であったが、今日では、見ただけでは何とも解りにくい自然の本質を音によって、新たなやり方で理解する手がかりを得る可能性が開けている。
しかし、現状は音の秘める潜在的可能性がまだまだ十分に開花させられていない状態である。
【0006】
本発明は、このような状況下において創作されたもので、経験的な域を脱して、数値処理の手法を駆使した信号処理的アプローチを主として用いることにより、音による対象の特徴の識別を可能とすることを目的とする。
【0007】
また、本発明は、数値処理の手法を駆使した信号処理的アプローチにより得られた音情報を、更に光情報に変換して、この光情報を発光制御のために用いることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明では、要素構造体の要素の状態を先ず数値データ化し、数値データにディジタル処理を施して音データに変換することを特徴としている。
【0009】
(1)即ち、本発明の要素構造体の特徴識別指標設定方法は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、該数値データ化ステップで得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、該音データ変換ステップで得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0010】
(2)また、本発明の要素構造体の特徴識別指標設定方法は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、該数値データ化ステップで得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、該音データ変換ステップで得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生ステップと、該音発生ステップで発生する音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0011】
(3)また、本発明の要素構造体の特徴識別指標設定装置は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、該数値データ化手段で得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、該音データ変換手段で得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段とをそなえたことを特徴としている。
【0012】
(4)また、本発明の要素構造体の特徴識別指標設定装置は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、該数値データ化手段で得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、該音データ変換手段で得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生手段と、該音発生手段で発生する音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0013】
(5)また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。
【0014】
(6)また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換し、さらに該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。
【0015】
(7)また、本発明のプログラムは、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させることを特徴としている。
【0016】
(8)また、本発明のプログラムは、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換し、さらに該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させることを特徴としている。
【0017】
(9)また、本発明の分子/分子集合体の特徴識別指標設定方法は、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、該数値データ化ステップで得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、該音データ変換ステップで得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0018】
(10)また、本発明の分子/分子集合体の特徴識別指標設定方法は、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、該数値データ化ステップで得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、該音データ変換ステップで得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生ステップと、該音発生ステップで発生する音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0019】
(11)また、本発明の分子/分子集合体の特徴識別指標設定装置は、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、該数値データ化手段で得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、該音データ変換手段で得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段とをそなえたことを特徴としている。
【0020】
(12)また、本発明の分子/分子集合体の特徴識別指標設定装置は、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、該数値データ化手段で得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、該音データ変換手段で得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生手段と、該音発生手段で発生する音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段とをそなえたことを特徴としている。
【0021】
(13)また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。
【0022】
(14)また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。
【0023】
(15)また、本発明のプログラムは、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させることを特徴としている。
【0024】
(16)また、本発明のプログラムは、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させることを特徴としている。
【0025】
(17)また、本発明の要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号用光データ生成方法は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、該数値データ化ステップで得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、該音データ変換ステップで得られた該音データに、ディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得ステップとをそなえたことを特徴としている。
【0026】
(18)また、本発明の素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号用光データ生成装置は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、該数値データ手段で得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、該音データ変換手段で得られた該音データに、ディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得手段とをそなえたことを特徴としている。
【0027】
(19)また、本発明の要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号生成装置は、前記発光制御信号用光データ生成装置で得られた該光データの情報に基づいて、該光データの情報を有する発光制御信号を生成する発光制御信号生成手段と、該発光制御信号生成手段で生成された該発光制御信号を、発光体側へ出力しうる出力手段とをそなえたことを特徴としている。
【0028】
(20)また、本発明の要素構造体から得られた音情報に基づいて発光制御される発光装置は、前記発光制御信号生成装置と、該発光制御信号生成装置からの発光制御信号を受けて発光する発光体とをそなえたことを特徴としている。
【0029】
(21)また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、さらにディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴としている。
【0030】
(22)また、本発明のプログラムは、1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、さらにディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得ステップを、コンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、要素構造体の要素の状態や、分子または分子集合体の状態を先ず数値データ化し、数値データにディジタル処理を施して音データに変換し、さらに音データの特徴を抽出することで、要素構造体の特徴や、分子または分子集合体の特徴を弁別し、その機能と寿命、つまり要素構造体や分子または分子集合体の有用性をカテゴリーに分類し、さらに時間空間発展してゆく可能性を分類することができる。
【0032】
また、本発明によれば、要素構造体の要素の状態や、分子または分子集合体の状態を先ず数値データ化し、数値データにディジタル処理を施して音データに変換し、さらに音データを光データに変換して、この光データに基づいて発光させることで、マッサージ効果や、リラックス効果など、人為的に作曲されたものとは違った快適さを与える効果を見込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】は、実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図2】は、実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置の機能ブロックを模式的に示す図である。
【図3】は、実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置における特別識別指標設定処理処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】は、実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置及び発光装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図5】は、実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図6】は、実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置における光データ取得処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】は、実施形態の一例としての発光制御信号生成装置及び発光装置における発光処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】は、キャラクターポリゴン(CP)特徴図を説明するための図である。
【図9】(a)〜(c)は、実施例1に係るシクロブテン(CB)分子の半古典MDダイナミクスの数値データから得られた音データのスペクトログラムを示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、実施例1に係るシクロブテン(CB)分子の半古典MDダイナミクスの数値データから得られた音データの周波数解析を示す図である。
【図11】(a)〜(f)は、実施例2に係る糖鎖分子の分解過程の数値データから得られた音データのスペクトログラムを示す図である。
【図12】(a)〜(f)は、実施例2に係る糖鎖分子の分解過程の数値データから得られた音データの評価をCPのパターンとして示す図である。
【図13】(a)〜(f)は、実施例2に係る糖鎖分子の分解過程の数値データから得られた音データを譜面にした図である。
【図14】(a)〜(c)は、実施例3に係るRasRaf結合体のMD計算によって得られたの数値データから得られた音データのスペクトログラムを示す図である。
【図15】(a)〜(c)は、実施例3に係るRasRaf結合体のMD計算によって得られたの数値データから得られた音データの評価をCPのパターンとして示す図である。
【図16】は、実施例5に係るフラクタル性を持った図である。
【図17】は、実施例5に係るフラクタル性を持った図から得られたスペクトログラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[1.特徴識別指標設定手法について]
本手法は、可聴化(Sonification)を最大限に実現することをめざして、要素構造体や分子または分子集合体の時間変化、空間変化を先ず数値情報とし、それらをデジタルコンピューターを用いて独自の信号処理をして、音情報に変換するものである。音に変換する過程にはなんら音楽的要素・芸術的要素を持ちこむことなく数値処理を行う。
本特徴識別指標設定手法は三段階の手順から成り立っている。
【0035】
第一段階(数値データ化ステップ)では、1つの要素または複数の要素からなり、1つの要素または複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、要素の変化に伴って生じた要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエア(以下、ソフトウェア、コンピュータプログラム、プログラムとも言うが、これらは同じものを指すものとする。)を用いて、数値データ化する。
【0036】
次に第二段階(音データ変換ステップ)では、数値データ化ステップで得られた要素の状態に関する数値データに、音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施すことにより、音データに変換する。このとき、音データに基づいて音を発生させることも出来る(音発生ステップ)。
【0037】
最後の第三段階(特徴識別指標設定ステップ)では、音データ変換ステップで得られた音データ、又は音発生ステップで発生する音について、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いてパターン認識処理を施すことにより、要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴を、要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する。
【0038】
なお、本発明における要素構造体とは、上述のごとく、1つの要素または複数の要素からなり、1つの要素または複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化するものであるが、生物、物質、あるいは現象(以上まとめて万象と呼ぶ)であって、時間経過または空間経過に伴って、そのものが有する要素の変化を起こすものも、この要素構造体である。従って、この要素構造体には、分子または複数の分子が集合した分子集合体もその定義の中に含まれる。
そして、この分子または分子集合体に着目して、本手法を述べると以下のようになる。
【0039】
第一段階(数値データ化ステップ)では、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて数値データ化する。
【0040】
次に第二段階(音データ変換ステップ)では、数値データ化ステップで得られた分子または分子集合体の状態に関する数値データに、音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施すことにより、音データに変換する。このとき、音データに基づいて音を発生させることも出来る(音発生ステップ)。
【0041】
最後の第三段階(特徴識別指標設定ステップ)では、音データ変換ステップで得られた音データ、又は音発生ステップで発生する音について、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いてパターン認識処理を施すことにより、分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された分子または分子集合体の特徴を、分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する。
上記の各手順は以下の項で詳しく説明する。
【0042】
[1−1.数値データ化ステップ]
第一段階 数値データ化ステップ
要素構造体の要素の変化に伴って生じた要素の状態、または、分子もしくは分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子もしくは分子集合体の状態を、数値データ化用コンピューターソフトを用いて、数値データを得る方法は既に存在する。例えば、第一原理計算としての分子科学計算の代表的な方法、古典分子動力学や、半古典動力学、そして量子動力学は、分子や材料の物理化学的な研究や、工学的な目的のために盛んに活用されている。例えば、上記数値データ化用コンピュータソフトとして、MOLPRO、AMBER、CHARM、Gaussian、Gamesなどという著名なソフトウエアが存在しており、ライセンス取得など一定の手続きを経れば誰でも活用すること可能である。
【0043】
そして、その出力結果として、分子のエネルギー(例えば、ポテンシャルエネルギー、運動エネルギー、等)や、化学および構造幾何学的特性(例えば電荷、化学結合の長さ、複数の化学結合がなす角度、等)、並びに空間変化(幾何学的、形態学的変化、表面あるいは任意の深さの方向の特性変化)を数値的に得ることができる。
【0044】
数値データとしては、分子科学に限定されるものではなく、固体物理学の計算、流体計算や有限要素法、強度計算、地震波シミュレーション、あるいは量子色力学、原子核の計算などであってもよい。
【0045】
第一原理に立脚したシミュレーションが経験的に好ましいが、大気の気圧変化、環境の温度や湿度変化、化学実験装置内で起こっている反応途上の温度、吸光度、生体が発するバイタルリズム(例えば心拍、脈拍、血圧の時間変化、血糖値の時間変化)などであってもよい。
【0046】
空間的数値データはさらに一般的に容易に入手することが可能である。例えば2次元の画像を一方向にスキャンしてその画素密度、輝度、色彩などの画像処理的プロファイルを採ることもできるし、3次元的な立体の表面の凹凸プロファイルたるアスペクト比に代表される情報を数値化したものであっても良い。
このようして、横軸に時間、空間の数値データを、縦軸に特性を与える数値データが準備される。
【0047】
[1−2.音データ変換ステップ]
第二段階 音データ変換ステップ
時間データの処理:
上記の数値データ化ステップによって、問題とする対象の数値データ(横軸t時間、縦軸x特性)を音に変換するには、以下のようにして行う。
【0048】
以下の音変換手段は、例えば、あるタンパク質について薬候補の低分子化合物5つについて、それぞれ分子間相互作用を分子動力学で計算した数値データのデータセットを5つとする例を用いて説明するが、この例に限らず、他の例にも同様に適用できるものである。
【0049】
まず、横軸である時間tの扱いは、次の通りである。
1.全体の時間間隔をデータの時間軸から計算する(分子によって直ぐ解離するものもあり、停留するものもあり、例えば、それぞれの分子特有のイベントに要する時間が違う)
2.変換した音源時間が、例えば2〜5分になるようにシミュレーションする
3.時間が0から始まるよう、データの時間情報を加減算する(始めをt=0とする)
4.一番長いデータを基準にして、それぞれの時間を比例配分して音源時間を決める
5.変換した音源の時間精度は、例えば1/1000000秒とする
【0050】
さらに、音高を決める手順は次の通りである、
1.倍音を持たない、精度の高いサイン波を使用する
2.用いる周波数範囲を可聴域内で設定する
3.比較対象サンプル内の最大値、最小値を取得し、0〜1の範囲で各データに数値を与え、それぞれの周波数を求める(ある時間tの特性xに周波数が割り当てられる)
4.変換した音源の周波数精度は、例えば1/1000000Hzとする
こうして、考察対象の数値データのデータセットが音データ情報として準備された。
上述の音変換処理は、コンピュータを用いて、音データ変換用コンピュータソフトウェアによるディジタル処理を施されることにより実行される。
【0051】
[1−3.特徴識別指標設定ステップ]
第三段階 特徴識別指標設定ステップ
以上の2段階を経て数値化されたデータが音データに変換された。この次に、更にこの音データに基づいて、音を発生させても良い(このようにして発生せしめた音を、「発生音」ということがある)。そして、これらの音データあるいは発生音が内包するものを分類し、カテゴリーに分ける方法としてスペクトログラムと周波数解析を用いることができる。なお、場合によっては譜面にして行うことも可能である。スペクトログラムとはすでに音響関連技術分野で定着した方法であり、音データあるいは発生音からなる信号をグラフ化する方法である。横軸に時間をとり、縦軸に周波数を示す。さらにグラフの色あいで音の強さも示すことができる。周波数解析も周波数の分布を与える汎用手法であり、横軸に周波数、縦軸にその頻度をヒストグラムとして示す。
【0052】
こうしてグラフ化された音データあるいは発生音について、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いてパターン認識処理を施して、グラフの形状、振幅、モチーフ、パターンとして要素構造体の特徴または分子もしくは分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴の特徴を、要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴の特徴を識別するための指標として設定する。
【0053】
上記のグラフ化された音データを見て、または発生音を聴いて、グラフ化させた音データの特徴や発生音の特徴をパターン認識手法を用いて識別し、グラフの形状、振幅、モチーフパターンとして要素構造体の特徴または分子もしくは分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴の特徴を、要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴の特徴を識別するための指標として設定することもできる。そして、上記のようにして得られたグラフ化された音データの特徴や発生音の特徴に基づいて、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアの作成を行うことも出来る。
【0054】
音の分類、カテゴリー化として、通常の自然科学技術の遂行に用いられる方法は勿論、適宜用いることができる。例えば得られた音源を周波数解析すること、Wavelet解析、最大エントロピー法、ゆらぎ解析などで、信号処理的に扱う方法は有用である。さらには、もうひとつの手段は、音を楽曲と見做して譜面にしてその特徴を得ることもできる。譜面にできれば、歴史的に音楽学として蓄積された知見にしたがって、分類、カテゴリー化することができるのは自明である。
【0055】
[1−4.CP評価]
分類された効果を判断する定性的な方法として、キャラクターポリゴン(以降、CPということがある)と呼ぶ特徴図(図8)を用いるCP評価を行っても良い。これは味覚の効果判定を参考に、新たに音に関しても適用する方法である。下にその模式図を五角形の例をとって示す。評価軸となる頂点は5個でなくとも、それ以下でもそれ以上であってもよいが、多くの人の納得性を鑑みると3から6個が好ましい。CP五角形の特徴図は中心から外側に行くに従ってその頂点に示された特性が増大することを示している。つまり、音にして再生した結果、その音を聞いたものが感じたそれぞれの特性の評価を、各評価軸にとり表わしたものである。中心から頂点に向かって外側にあるほど、相対的に、その傾向が際立っていることを示している。
【0056】
CPの頂点に示した評価軸の項目について説明する。これらの示す内容は、温度や圧力などの物理量とは違い、数値化する定義が確立していない。しかし、ひとまとまりの音を数例、聞いてみれば、明確にその内容と個別の違いが存在する。目的と対象を限定すれば、個別に数値化の仕方を定義することも可能であるが、本発明で主張するところは特定物に対することではない。これらの項目は、「確かに存在する実体」であり、それらの相対的な強さは、疑いなく確認できる。
【0057】
このように、特性の相対的な強さを確認できるということは、音発生ステップで発生する音について、このCP評価法を適用したパターン認識処理を施せば、要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を、要素構造体の特徴、または分子もしくは分子集合体の特徴を識別するための指標として設定することが出来るのである。
そして、このようにして得られた発生音の特徴に基づいて、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアの作成を行うことが出来ることは言うまでも無い。
【0058】
この相対的評価の背後に横たわる事情を、人の性格の相対的評価に擬えて説明する。例えば、人を数人まとめて観察すれば、愛くるしさや、溌剌さ、落ち着きの有り無し、などの特性は、万人にとって、明確にその相対的な強度が判別できる。観察者によって優劣が分かれる程度の差は、ほぼ同じとして扱うので、ここでは問題にしない。このような特性を温度や圧力を計る態度で数値化しようとすると、「愛情に値段を付ける」が如き愚かさに陥ってしまう。それはデリケートな事の本質を逃してしまうので、むしろ不適切かもしれない。本発明で問題にする「実体」もこの喩えに習って、音化された情報を相対的に比べるという態度で扱う。
【0059】
各頂点に示した評価の軸となる概念を説明する。(1)流麗(滑らか)とは、滑らかに音高が推移しているかどうかである。自然さとも通じている概念である。それは、とっぴさの反対、意外性や不快さを与えない、印象である。(2)作曲性とは作曲性(メロディとアンサンブル)音楽的な作曲性、作意性が感じられるか、である。複数のデータの相関関係に音楽的要素が見出せるかどうかでもある。「あたかも作曲家が存在するかのような音のまとまり」である。例えば、波の音、鳥の声、風の音など、自然さは大きくとも、我々はそこに人為的な作曲の跡を感じ取ることはない。分子動力学の数値データという分子科学の手順から得られたデータをはじめ、本発明で扱う数値データを音に変換したものには、不思議なことに、恰も、背後に誰かが作曲したかのような印象をあたえることがある。(3)モチーフ(主題)とは、類似するパターンがデータ内に複数見出せるかどうか、である。(4)周期性とは繰り返しの規則性があるかどうか、である。(5)マクロトレンドとは例えば中長期的な上下動などの方向性があるかどうか、である。図8は、以上の5つの要素からなる五角形ペンタゴンであるが、ポリゴンは六角形であってもよい、例えば第六番目の要素として、急激な変化の傾向、急激に変化する前後の傾向を特に観察する(対称性/非対称性/予兆/ねばり)を追加することができる。対象の特性に応じて、適宜追加することができる。
【0060】
<第一実施形態>
次に、本発明の第一実施形態として、特徴識別指標設定方法に係る特徴識別指標設定装置、並びに特徴識別指標設定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、及び同プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体について説明する。
【0061】
[2.特徴識別指標設定装置]
[2−1.特徴識別指標設定装置の構成例]
図1は本発明の第一実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。図2は実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置の機能ブロックを模式的に示す図である。
【0062】
本特徴識別指標設定装置1は、図1に示すように、情報処理装置20、外部メモリ11、マイクロフォン(以下、「マイク」ということがある)12、スキャナ13、キーボード14、音発生部15、プリンタ16、ディスプレイ17を備えている。情報処理装置20は、入力インターフェース21、バス22、CPU(Central Processing Unit)23、メモリ24、出力インターフェース25を備えたコンピュータである。
【0063】
外部メモリ11は、入力インターフェース21に繋がれ、情報処理装置20へ、要素構造体の要素の状態、分子もしくは分子集合体の状態、数値データ、又は音データを読み出し、または情報処理装置20から要素構造体の要素の状態、分子もしくは分子集合体の状態、数値データ、又は音データを書き込むことができる。また、この外部メモリ11には、数値データ化用コンピュータソフトウェアや、音データ変換用コンピュータソフトウェアや、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを記録することもできる。この場合、これらのコンピュータソフトウェアを必要に応じて、メモリ11から読み出して、情報記憶装置20にダウンロード出来るようになっている。
【0064】
マイク12は、入力インターフェース21に繋がれ、音声及び周囲の音を取得して音響信号に変換し、この音響信号を情報処理装置20に入力するものである。
スキャナ13は、入力インターフェース21に繋がれ、撮像素子により文字、絵、写真等の画像を取り込んで画像信号に変換し、この画像信号を情報処理装置20に入力するものである。
【0065】
キーボード14は、入力インターフェース21に繋がれている情報入力装置であり、オペレータはこのキーボード14を操作して、情報処理装置20及び本特徴識別指標設定装置1の操作を行う。
【0066】
入力インターフェース21は、情報処理装置20と外部との情報をやりとりするユニットであり、上述のように各部11〜14が繋がれ、各部11〜14から情報(信号)を受信したら、バス22を介して情報処理装置20内の各部23〜24に信号を適宜送信するようになっている。
【0067】
CPU23は、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ24に格納された、数値データ化用コンピュータソフトウェアや、音データ変換用コンピュータソフトウェアや、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを実行することにより、種々の機能を実現する。そして、CPU23が、これらのコンピュータプログラムを実行することにより、図2で後述する数値データ化手段31、音データ変換手段32、(必要に応じて音発生手段33の一部機能、)特徴識別指標設定手段34として機能する。
【0068】
なお、これらの数値データ化手段31、音データ変換手段32、(必要に応じて音発生手段33の一部機能、)特徴識別指標設定手段34としての機能を実現するためのプログラム(数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェア)は、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体(例えば、外部メモリ11)に記録された形態で提供される。そして、情報処理装置20はその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置(例えば、メモリ24)または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の図示しない記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介して情報処理装置20に提供するようにしてもよい。
【0069】
数値データ化手段31、音データ変換手段32、(音発生手段33の一部機能)、特徴識別指標設定手段34としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態ではメモリ24)に格納されたプログラムが情報処理装置20のマイクロプロセッサ(本実施形態ではCPU23)によって実行される。このとき、外部の記録媒体(例えば外部メモリ11)に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0070】
ここで、数値データ化用コンピュータソフトウェアとは、要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の変化に伴って生じた要素の状態を数値データ化したり、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた分子の状態変化に伴って生じた分子または分子集合体の状態を数値データ化するものである。この数値データ化コンピュータソフトウェアとしては、上述のごとくMOLPRO、AMBER、CHARM、Gaussian、Gamesが挙げられる。
【0071】
音データ変換用コンピュータソフトウェアとは、要素の状態または分子もしくは分子の集合体の状態に関する数値データを音データに変換するもので、この音データ変換用コンピュータソフトウェアを実行することで、上述の[1−2.音データ変換ステップ]で説明したような処理がディジタル処理で施されることになる。
【0072】
特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアとは、要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた音データ(発生音を含む)について、パターン認識処理を施して、要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴を、要素構造体の特徴を識別するための指標として設定するものであり、また、分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた音データ(発生音を含む)について、パターン認識処理を施して、分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された分子または分子集合体の特徴を分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定するものである。この特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを実行することにより、上記のごとくパターン認識処理が施されることになる。
【0073】
そして、この数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアが、上記のコンピュータ読み取り可能な各種の記録媒体と格納されるのである。
【0074】
なお、本実施形態において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。又、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを備えている。
【0075】
メモリ24は、種々のデータやプログラムを格納する記憶部であって、例えば、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリや、ROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現される。本実施形態では、メモリ24には、CPU23に実行させる、数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、特徴識別指標設定用プログラムソフトウェアや、数値データ、音データが格納される。
【0076】
出力インターフェース25は、情報処理装置20と外部との情報をやりとりするユニットであり、後述するように各部15〜17が繋がれ、情報処理装置20内の各部21、23、24からバス22を介して情報(信号)を受信したら、各部15〜17に信号を送信するようになっている。
【0077】
音発生部15は、出力インターフェース21に繋がれ、CPU23により得られる音データに基づいて音を発生させるものである。音発生部としては、音を発生させられるものであれば限定されるものでは無いが、例えばスピーカー、イヤフォン、ヘッドフォン等が用いられる。なお、この音発生部15には、音発生用の駆動回路(ドライバ)等も含まれる。
【0078】
プリンタ16、ディスプレイ17は、出力インターフェース25に繋がれ、CPU23の処理により得られた情報を、オペレータに対して印字あるいは表示を行うものである。もちろん、これらプリンタ16、ディスプレイ17にも、印字あるいは表示用の駆動回路(ドライバ)等も含まれる。
なお、上記の音発生部15は、必要に応じて省略することも出来る。
【0079】
[2−2.特徴識別指標設定装置の機能構成]
次に、特徴識別指標設定装置の機能構成について説明する。
図2は、実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置の機能ブロックを模式的に示す図である。
【0080】
特徴識別指標設定装置30を機能的に表わすとき、特徴識別指標設定装置30は、図2に示すように、数値データ化手段31と、音データ変換手段32と、音発生手段33と、特徴識別指標設定手段34とを備える。これら数値データ化手段31、音データ変換手段32、(必要に応じて音発生手段33の一部機能、)及び特徴識別指標設定手段34は、コンピュータプログラムによるソフトウエアとして設けられており、メモリ24に格納され、CPU23により読み出されて実行される。
【0081】
数値データ化手段31は、要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の状態、または、分子もしくは分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子もしくは分子集合体の状態を、上記の数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて数値データ化する。
【0082】
音データ変換手段32は、数値データ化手段31で得られた要素の状態、または分子もしくは分子集合体の状態に関する数値データに、上記の音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施し、音データに変換する。
音発生手段33は、音データ変換手段32で得られた音データに基づいて、音発生部15を介して音を発生させる。
【0083】
特徴識別指標設定手段34は、音データ変換手段32で得られた音データについて、上記の特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いて、パターン認識処理を施すことにより、要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴を、要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する。または、特徴識別指標設定手段34は、発生手段33で発生する音について、マイク12で集音を行ったものに上記の特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いて、パターン認識処理を施すことにより、要素構造体の特徴、または分子もしくは分子集合体中の分子の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴、または分子もしくは分子集合体中の分子の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する。
なお、音の発生は省略することも可能である。
【0084】
[2−3.特徴識別指標設定装置の動作]
図3に示すフローチャートに従って、実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置の動作を説明する。
図3は、実施形態の一例としての特徴識別指標設定装置における特別識別指標設定処理を説明するためのフローチャートである。
【0085】
要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の状態のデータ、または分子もしくは分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた分子または分子集合体の状態のデータが数値データ化手段31に入力されると、数値データ化手段31は、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、要素の状態または分子もしくは分子集合体中の分子の状態のデータを数値データ化して音データ変換手段32に出力する(ステップS11)。
【0086】
音データ変換手段32は、数値データ化手段31から入力された数値データを、音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施し、音データに変換する(ステップS12)。
【0087】
ここで、特徴識別指標設定処理に音の発生を要するか否かの判断がなされる(ステップS13)。音の発生を行うかどうかは、オペレータにより任意に決めることができ、音の発生を行うかどうかをキーボード14を介して情報処理装置20に入力する。または、予め音の発生を行うかを入力しておき、入力内容に応じて音の発生を行うかを決めても良い。
【0088】
音の発生を行う場合(ステップS13のYesルート)、音発生手段33は、音データ変換手段32で得られた音データに基づいて、音を発生させる(ステップS14)。
マイク12により発生した音を収録(集音)し(ステップS15)、特徴識別指標設定手段34は、収録された音を利用して、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いて特徴識別指標設定処理を行う(ステップS16)。
【0089】
一方、ステップS13において、音の発生を要さないと判断された場合には(Noルート)、特徴識別指標設定手段34は、音データ変換手段32で得られた音データに基づいて、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアを用いて特徴識別指標設定処理を行う(ステップS17)。
【0090】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態として、要素構造体(この要素構造体は、分子または分子集合体を含む。以下、この第二実施形態において、要素構造体というときは、特に断らない限り、分子又は分子集合体を含むものとする)に基づく発光制御方法、発光制御方法に係る発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置、並びに発光制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムについて説明する。
本発明に係る発光制御方法は四段階の手順から成り立っている。
【0091】
第一段階(数値データ化ステップ)では、1つの要素または複数の要素からなり、1つの要素または複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、要素の変化に伴って生じた要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する。
【0092】
次に第二段階(音データ変換ステップ)では、数値データ化ステップで得られた要素の状態に関する数値データに、音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施すことにより、音データに変換する。
【0093】
第三段階(光データ取得ステップ)では、音データ変換ステップで得られた音データについて、さらに発光制御信号用光データ生成用コンピュータソフトウェア(以降、単に光データ生成用コンピュータソフトウェアということがある)を用いてディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する。
【0094】
第四段階(発光制御信号生成ステップ)では、光データ取得ステップで得られた光データの情報に基づいて、例えばDSP(Digital Signal Processing)処理(デジタル信号処理)等を施して、光データの情報を有する発光制御信号を生成する。この発光制御信号により、発光体の発光制御を行う。
【0095】
なお、第二実施形態における第一段階(数値データ化ステップ)及び第二段階(音データ変換ステップ)は、上述した第一実施形態における数値データ化ステップ及び音データ変換ステップを用いることが出来る。また、なお、第二実施形態における第三段階(光データ取得ステップ)は、公知の手法を用いることが出来る。
【0096】
[3.発光制御信号用光データ生成装置及び発光装置]
[3−1.発光制御信号用光データ生成装置の構成例]
図4は本発明の第二実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置のハードウェア構成を模式的に示す図である。図5は実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置及び発光装置の機能ブロックを模式的に示す図である。
【0097】
発光制御信号用光データ生成装置2は、図4に示すように、情報処理装置50、外部メモリ41、スキャナ42、キーボード43、プリンタ44、ディスプレイ45を備えている。情報処理装置50は、入力インターフェース51、バス52、CPU53、メモリ54、出力インターフェース55を備えたコンピュータである。
【0098】
外部メモリ41は、入力インターフェース51に繋がれ、情報処理装置50へ、要素構造体の要素の状態、数値データ、又は音データを読み出し、または情報処理装置50から要素構造体の要素の状態、又は音データを書き込むことができる。また、この外部メモリ41には、数値データ化用コンピュータソフトウェアや、音データ変換用コンピュータソフトウェアや、光データ生成用コンピュータソフトウェアを記録することもできる。この場合、これらのコンピュータソフトウェアを必要に応じて、外部メモリ41から読み出して、情報記憶装置20にダウンロード出来るようになっている。
【0099】
スキャナ42は、入力インターフェース51に繋がれ、撮像素子により文字、絵、写真等の画像を取り込んで画像信号に変換し、この画像信号を情報処理装置20に入力するものである。
【0100】
キーボード43は、入力インターフェース51に繋がれている情報入力装置であり、オペレータはこのキーボード43を操作して、情報処理装置50及び発光制御信号用光データ生成装置2の操作を行う。
【0101】
入力インターフェース51は、情報処理装置50と外部との情報をやりとりするユニットであり、上述のように各部41〜43が繋がれ、各部41〜43から情報(信号)を受信したら、バス52を介して情報処理装置50内の各部53〜54に適宜信号を送信するようになっている。
【0102】
CPU53は、種々の制御や演算を行なう処理装置であり、メモリ54に格納された、数値データ化用コンピュータソフトウェアや、音データ変換用コンピュータソフトウェアや、光データ生成用コンピュータソフトウェアを実行することにより、種々の機能を実現する。そして、CPU53が、これらのコンピュータプログラムを実行することにより、図5で後述する数値データ化手段71、音データ変換手段72、光データ取得手段73として機能する。
【0103】
なお、これらの数値データ化手段71、音データ変換手段72、光データ取得手段73としての機能を実現するためのプログラム(数値データ化用コンピュータソフトウェア、、音データ変換用コンピュータソフトウェア、光データ生成用コンピュータソフトウェア)は、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体(例えば、外部メモリ11)に記録された形態で提供される。そして、情報処理装置50はその記録媒体からプログラムを読み取って図示しない内部記憶装置(例えば、メモリ54)または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の図示しない記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介して情報処理装置50に提供するようにしてもよい。
【0104】
数値データ化手段71、音データ変換手段72、光データ取得手段73としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態ではメモリ54)に格納されたプログラムが情報処理装置50のマイクロプロセッサ(本実施形態ではCPU53)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置50が読み取って実行するようにしてもよい。
【0105】
ここで、数値データ化用コンピュータソフトウェアとは、要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の変化に伴って生じた要素の状態を数値データ化するものである。
【0106】
音データ変換用コンピュータソフトウェアとは、要素の状態に関する数値データを音データに変換するもので、この音データ変換用コンピュータソフトウェアを実行することで、ディジタル処理が施されることになる。
【0107】
これらの数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェアは、上述の第一実施形態で用いたものと同じものを用いることが出来る。
【0108】
発光制御信号用光データ生成用コンピュータソフトウェア(光データ生成用コンピュータソフトウェア)とは、要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた音データについて、さらにディジタル処理を施して光データに変換するものである。この光データ生成用コンピュータソフトウェアを実行することにより、上記のごとく発光体の発光制御信号を作成するための光データが得られることになる。
【0109】
そして、この数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、光データ生成用コンピュータソフトウェアが、上記のコンピュータ読み取り可能な各種の記録媒体と格納されるのである。
【0110】
なお、本実施形態においても、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。又、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを備えている。
【0111】
メモリ54は、種々のデータやプログラムを格納する記憶領域であって、例えば、RAMなどの揮発性メモリや、ROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリによって実現される。本実施形態では、メモリ54には、CPU53に実行させる数値データ化用コンピュータソフトウエア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、光データ生成用コンピュータソフトウェアや、数値データ、音データが格納される。
【0112】
出力インターフェース55は、情報処理装置50と外部との情報をやりとりするユニットであり、後述するように各部44、45が繋がれ、情報処理装置50内の各部51、53、54からバス52を介して情報(信号)を受信したら、各部44、45に信号を送信するようになっている。
【0113】
プリンタ45、ディスプレイ46は、出力インターフェース55に繋がれ、CPU53の処理により得られた情報を、オペレータに対して印字あるいは表示を行うものである。なお、これらプリンタ16、ディスプレイ17には、印字あるいは表示用の駆動回路(ドライバ)等が含まれる。
【0114】
[3−2.発光装置の構成例]
発光装置3は、図4に示すように、発光制御信号生成部61、発光体62、メモリ63を備えている。
【0115】
発光制御信号生成部61は、発光制御信号用光データ生成装置2で得られた光データの情報に基づいて、光データの情報を有する発光制御信号を生成を行い、発光制御信号を発光体側へ出力する。また、発光制御信号生成部61は、発光体62の駆動回路を兼ねている。
【0116】
発光体62は、発光制御信号生成部61から出力された発光制御信号に基づき、発光を行うもので、発光体62としては、発光により照明として用いられるものであれば良く、LED、電球、蛍光灯等を用いることが出来る。
【0117】
メモリ63は、発光制御信号生成部61に繋がれ、メモリ63に格納されている光データ又は発光制御信号が読み出されることで、メモリ63に格納されている光データ又は発光制御信号に応じて発光体62を発光させることができる。
【0118】
なお、ここでは発光制御信号生成部61を、発光装置3の一部としているが、発光制御信号生成部61を発光制御信号生成装置として、独立した機器として構成しても良い。
【0119】
[3−3.発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置の機能構成]
次に、発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置の機能構成について説明する。
図5は、実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置の機能ブロックを模式的に示す図である。
【0120】
発光制御信号用光データ生成装置70を機能的に表わすとき、発光制御信号用光データ生成装置70は、図5に示すように、数値データ化手段71と、音データ変換手段72と、光データ取得手段73とを備える。これら数値データ化手段71と、音データ変換手段72と、光データ取得手段73はコンピュータプログラムによるソフトウエアとして設けられており、メモリ54に格納され、CPU53により読み出されて実行される。
【0121】
数値データ化手段71は、要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の状態、または、分子もしくは分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子もしくは分子集合体の状態を、上記の数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いてを数値データ化する。
【0122】
音データ変換手段72は、数値データ化手段71で得られた要素の状態、または分子もしくは分子集合体の状態に関する数値データに、上記の音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施し、音データに変換する。
【0123】
光データ取得手段73は、音データ変換手段72で得られた音データに基づいて、音データ変換手段で得られた音データに、光データ生成用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施し、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する。
【0124】
また、図5に示すように、発光装置90は、発光制御信号生成部としての発光制御信号生成装置80と、発光体91とからなる。発光制御信号生成装置80は、発光制御信号生成手段81と、出力手段82とからなり、図4の発光制御信号部61に相当する。この場合、これらの発光制御信号生成用コンピュータソフトウェアを必要に応じて、メモリ63から読み出して、発光装置60にダウンロード出来るようになっている。
【0125】
発光制御信号生成手段81は、発光制御信号用光データ生成装置で得られた光データの情報に基づいて、上記の光データ生成用コンピュータソフトウェアと協働したDSP処理等により、光データの情報を有する発光制御信号を生成する。
出力手段82は、発光制御信号生成手段で生成された発光制御信号を、発光体91へ出力を行う。
発光体91は、発光制御信号生成装置からの発光制御信号を受けて発光するもので、図4の発光体に62に相当する。
【0126】
[3−4.発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置の動作]
図6、7に示すフローチャートに従って、実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置、発光制御信号生成装置、及び発光装置の動作を説明する。
図6は、実施形態の一例としての発光制御信号用光データ生成装置における光データ取得処理を説明するためのフローチャートである。
【0127】
要素構造体における要素の変化に伴って生じた要素の状態のデータ、または分子もしくは分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた分子または分子集合体の状態のデータが数値データ化手段71に入力されると、数値データ化手段71は、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、要素の状態または分子もしくは分子集合体中の分子の状態のデータを数値データ化して音データ変換手段72に出力する(ステップS21)。
【0128】
音データ変換手段72は、数値データ化手段71から入力された数値データを、音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いてディジタル処理を施し、音データに変換する(ステップS22)。
【0129】
光データ取得手段73は、音データ変換手段72で得られた音データに基づいて光データ生成用コンピュータソフトウェアを用いて、光データを取得する(ステップS23)。
【0130】
図7は、実施形態の一例としての発光制御信号生成装置及び発光装置における発光処理を説明するためのフローチャートである。
【0131】
まず、光データを発光制御信号生成手段81に入力する(ステップS31)。ここで、光データは、発光制御信号用光データ生成装置の光データ取得手段73によって取得されたものでもよく、メモリ63から読み込まれるものであっても良い。
【0132】
発光制御信号生成装置80は、発光制御信号生成手段により、光データから発光制御信号を生成する(ステップS32)。
出力手段82は、発光体91へ、発光制御信号を出力する(ステップS33)。
発光体91は、出力手段82から出力された発光制御信号に基づいて発光を行う(ステップS34)。
【実施例】
【0133】
以下、本発明の実施例を述べるが、本発明の範囲はその趣旨を超えないかぎり、以下の例に限定されるものではない。
実施例1〜5は、第一実施形態に係るものであり、分子科学計算等から得られた数値データを音に変換し、この音データについて特徴の抽出を行ったものである。
【0134】
<実施例1>
(音データ変換ステップ)
【0135】
図9にはシクロブテン分子(CB)の光励起後の緩和過程ダイナミクスを音に変換したスペクトログラムを示す。つまり光照射で生成した励起状態が基底状態に緩和する過程を半古典論的(核の運動は古典力学的に、電子のそれは量子力学的に計算した)分子動力学MD計算によって計算して得た各時間のポテンシャルエネルギーを数値データにして音化したもののグラフである。これを求める手順とその効用を詳細に述べる。
【0136】
この例は気相で起こる光化学反応の半古典論動力学(MD)シミュレーションであり、初期状態の違いによって、N026、N001、N021の3種に分けている。すなわち、同じ分子に同じ光刺激を与えたものでも、(a)結果として反応しなかった(熱としてエネルギーを放出してしまった)(N026:図9(a)参照)、(b)分解反応が起こり分解生成物を与えた(N001:図9(b)参照)、(c)開環生成物(反応する前のシクロブテンは環状である)を与えた(N021:図9(c)参照)、という3つの例である。
【0137】
反応物シクロブテンが光で励起された結果できる励起状態は公開されている量子化学ソフトMOLPROを用いて求めた。励起状態が時間発展しながら緩和して最終的には基底状態の生成物に至るのが光反応である。上記、3つの違う反応結果にいたる数値データを求めた。MOLPROで与えられる波動関数を用いて時間発展の過程で励起状態から基底状態に緩和する半古典MDシミュレーションの詳細は我々が過去に報告した文献 T.Kobayashi, M.Shiga, A.Murakami, S.Nakamura, “Ab initio Study of Ultrafast Photochemical Reaction Dynamics of Phenol Blue”, J.Am.Chem.Soc., 2007, 129, 6405-6424.に詳しい記載がある。併せて今回の計算にはさらにC.Zhu, A.W.Jasper, D.Truhlar., ”Non-Born-Oppenheimer trajectories with self-consistent decay of mixing", J.Chem.Physics,2004,120,5543-5557.に記載された方法も用いた。こうして得られた数値データの一部を表1に示す。左列は時間(tim)(フェムト秒単位)であり、右列はポテンシャルエネルギー(E_pot)(原子単位)である。縦に並んだ数値は1000以上の時間ステップのうち30程を例示したものである。
【0138】
【表1】

【0139】
N026、N001、N021の3つの光反応について、同様の数値データを準備したのち、音データ変換ステップに従って音データに変換した。この手順は、単純な基礎数学的操作であるから、関数電卓によって逐次計算することも可能であるが、膨大な量であるからコードを作成して上述の音データ変換用プログラムを用いたディジタル処理を施すことにより行った。既存のコードを工夫して用い、同じ操作をすることも勿論可能である。
【0140】
(スペクトログラム評価)
こうして得られた音データをスペクトログラムの形にしたものが図9(a)〜(c)である。
図9(a)〜(c)において、スペクトログラムの特徴を抽出して、スペクトログラムの特徴を有する箇所に符号を付した。各々のスペクトログラムの示す特徴について以下に説明する。なお、スペクトログラムにおいて、共通する特徴を有する箇所が現れている場合には、それぞれの箇所に同一の符号を付している。
【0141】
111:下降上昇の連続したパターンがみられる(持ち直す傾向にあり)
112:2/3を1つの周期としてみると、周期が徐々に短くなっていく。
113:緩やかに下降している中で、変化幅が急激に広がり、その後収束した後にまた広がる
114:全体として下降傾向の初期段階で元に戻そうとする力が働いているように見受けられる
121:2回上がって急降下するモチーフが随所に見られる
122:全体としてなだらかに推移しつつ下降傾向にある
123:モチーフを繰り返しつつ、2段階で下降している
124:2段階で下降している
131:1/3の安定した状態から、急激に振れ幅が大きくなる
132:なにかが壊れたようなイメージ
133:大きく振れたあとに収束しようとしている傾向にある
【0142】
上記3つの光反応(N026、N001、N021)は初期条件の違いを反映し、光励起したのち緩和してゆく過程で落ち着く先の違う生成物を与える。N026はそのままCB分子の形を保って緩和する。N021は2つのフラグメント分子に分解してしまい、最後のN021は環構造であるCB分子が開烈して棒状の分子となった。従来の量子化学計算と半古典MD計算を終了しその結果を詳細に調べれば、シミュレーションの結果としてそれぞれは、違う生成物に至っており、違うパターンの反応であったことが解る。本発明では音データのスペクトログラムの特徴と、要素構造体(シクロブテン分子)の特徴としてのシミュレーションの結果とを対応付けることで、音データに変換した要素構造体の特徴と、要素構造体が本来有する特徴とを対応付けることが出来る。
【0143】
すなわち、音データについて、例えば上記111〜133で示す箇所の特徴に関しパターン認識処理を施して、要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴(例えば、上記111〜133で示す箇所の識別)を要素構造体の特徴を識別するための指標として設定することが出来る。
【0144】
さらに、この数値データを音にすれば、詳細に調べる手間をかけなくとも聴覚情報としてそれぞれが違うパターンの反応であることが知覚できるという簡便な区別・判別方法を与えることも出来る。聞き分ければ一目瞭然、いやむしろ、「一聞瞭然」であるが、実際に音を再生して判断する手法と併用して、図9のスペクトログラムを用いてそれぞれ特徴的な音のパターンを示すことが可能である。図9にはその音を実際に聞いてその定性的特徴を書き入れた。リアルタイムで音を聞きながら時間発展の途上の特徴を聞き取ることもできる。
【0145】
(周波数解析)
次に、図10(a)〜(c)に、この3つの光反応(N026、N001、N021)の数値データをもうひとつのやりかた周波数解析によって弁別するための結果を示す。これは、横軸に周波数、縦軸にその出現頻度を示したものである。スペクトログラムとは違う表現方法であるが、3つの違う反応パターンに対応して音にしたものが違うパターンに成っていることを如実に示している。
【0146】
「聞けば解る」内容を、聴覚を使わず、視覚的に訴えようとすると図9(a)〜(c)、図10(a)〜(c)を使っても已然として冗長であり、かつ「りんごの味は文章では書きつくせない」に似て、完全に意を尽くすことは困難である。その事実こそ可視化(Visualization)だけでなく可聴化(Sonification)が今後重要であることを示唆しているとも言えよう。
【0147】
同じCB分子に同じ光刺激を与える反応であっても、沢山の分子はどれひとつとっても初期条件が同じでは無いという事実によって、実験結果として光反応のパターンが変わることが知られている。コンピュータシミュレーションによっても、初期条件の違う沢山の半古典MDシミュレーションをすれば、それに対応し、それ違う反応生成物を与える。今回このなかから、3つの違う(ゼロ点振動など初期条件の違う)結果をとりだして、その数値データを音に変換した結果、その音のパターンは違う情報を与えている。数回の繰り返しの結果、この音のパターンと反応パターンが対応していることが示された。
【0148】
ここではCBを扱ったが、別の物質ならばまたその反応パターンに対応した音パターンの違いが得られであろう。よって、一度コントロールデータを得ておけば、シミュレーションの反応がどの結果に行き着いたかという情報を音化によって非常にわかりやすく簡便に得ることができる。
【0149】
このように、通常は視覚的に判断しようとすると手間を要し、複雑な別の手順を要するような対象物、つまり「音無きもの」であっても、本手法のように「音(声)無きものの音(声)を聞くべく」、聴覚に訴えるために音に変換して扱えば、違う角度から区別が鮮明に認識される指標を与えることが出来る。リアルタイムに音を聞きながら行えばこの鮮明さが、なお際立って感じられる。この鮮明な弁別を可能にする詳細メカニズム解明には、生理学、医学、人間学、認知科学、そして脳科学の今後の進歩に待たねばならない。しかし、ここでは少なくとも、明確に解っている事実つまり刺激検出時間の差が鮮明な弁別能を説明する背景(の一端)であろう。通常、人間の視覚刺激の検出は180から200ミリ秒を要するとされているが、聴覚刺激の検出に要する時間は刺激から140〜160ミリ秒とされている(勝浦哲夫、佐藤陽彦、栃原裕、横山真太郎「人間工学基準数値数式便覧」(技報堂出版)1992)。この160と180ミリ秒の差に横たわる20ミリ秒は大きな意味を持つと言えよう。換言すれば、この差を争う情報ならば、視覚的にはひとつの刺激と見えるものでも、聴覚ならば聞き分けが可能であるということである。畢竟要するに、我々の認識においては視覚より聴覚反応の方が応答に要する解像度が高いということである。
【0150】
本発明のもうひとつ大きな意義は、この手法を「視覚の不自由な人」のために活用すれば、新たな認知手段を提供しているということである。つまり、物理化学的実体である化合物、集合体、材料などの特徴を分子科学で確立した手段によって計算し、その数値データを音に変換することにより、あらたな認識の方法を提供していることにある。
【0151】
<実施例2>
(音データ変換ステップ)
この実施例2では、糖鎖分子が質量分析計の中で分解する反応過程を用いる。その反応の計算結果から得られる数値データを音データに変換した。半古典分子動力学(MD)計算を量子化学の汎用ソフトGaussian90によって計算した。MD計算を行うと時間の関数として、数多くの数値データが得られる。例えば上記に用いたポテンシャルエネルギー、構造変化のパラメータ(結合の長さ、結合の成す角度、元素上の電荷の値、等)である。種々のパラメータを選ぶことができ、かつ複数のパラメータを選んでそれぞれ音データにする(言わば協奏曲的な音化)ことも可能である。本例では音データに変換する数値データを各時間における運動エネルギーの値を用いた。
【0152】
Data1〜6の合計6個のシミュレーションを実行した。実施例1と同じように、おのおのの初期条件の違いにより反応の分解生成物が違う。ここではData1,3はエポキシ分子へ、Data2,6はケトンへ、そしてData4,5はエテンへと分解してゆくデータである。
【0153】
(スペクトログラム評価)
その計算結果を音データに変換して比べると、簡便に反応のパターンが分類できる。図11(a)〜(f)はData1から6までの数値データを音に変換して得られたもののスペクトログラムである。
【0154】
図11(a)〜(f)において、スペクトログラムの特徴を抽出して、スペクトログラムにおいて得られた特徴を時間経過にしたがって符号を付した。各々のスペクトログラムの示す特徴について以下に説明する。なお、スペクトログラムにおいて、共通する特徴を有する箇所が現れている場合には、それぞれの箇所に同一の符号を付している。
【0155】
211,242:ダウントレンド(途中山あり)
212,232,251:状態を維持した後になだらかに下降する
213:半音で落ちているように聴こえる
214:滑らかで半音階で推移しているように聴こえる
215:膨らみが見受けられる
216:4音でのモチーフが見受けられる
217:複数のモチーフが混合している
221:分散しながら落ちていく
222,231:振れ幅の中心があり、その後上がってから急激に降下する
223:常に上下動しながら下降している
224:モチーフと作曲性を感じる
225:6音のモチーフで上昇していく
226:モチーフが短くなっていく
233:ランダムウォーク関数のように聴こえる
234:時々短い上昇パターンが繰り返し出現する
241,252:上下高のパターンが近い
243:10音ほどでできた二山のモチーフが繰り返しながら上昇していく
253,261:落ち方が似ている(なだらかに急激に落ちる)
254:ほとんどフラット
255:さらに下がりつつ、上下動がある
256:Data4に近いフレーズが上昇せずに繰り返していく
262:上がりつつ、上下動がある
263:上昇下降が淡泊
【0156】
この図11(a)〜(f)に示されたスペクトログラムそのもののパターンを比べてみれば、つまり音データ化された情報のパターンを比べると、(Data1,Data3)、(Data2、Data6)、そして(Data4、Data5)がそれぞれ、確かに対となって音化されている様子がわかる。具体的には、Data1とData3は初期の山を示したあと、低い値を低迷して推移し、最後にのぼり始める。一方、Data2とData6は始めから下降して長らくそれが継続する。最後のData4とData5は低迷の推移のあと上下振動が特徴である。このように、音データの特徴は要素構造体の特徴を反映したものであるため、音データの特徴を、要素構造体(糖鎖分子)の特徴を識別するための指標として設定することが可能であることが分かる。
【0157】
(CP評価)
このように音化したあとのパターン分類は、生データであるエネルギー値を視覚的に判断して読み取ったものとは異質のものである。そもそも、物理量としての視覚と聴覚の情報は同じ単位系の座標軸に乗せられないからである。しかも、そればかりでなく、人間の視力認識には視感度といわれる特徴があり、聴覚にも同様な特徴があるから、脳が認識する実体に違いがあることは明らかであろう。この事情は、実施例1とも共通し、実時間でリアルタイムに聞きながら、かつスペクトログラムを見ながら判断すると、鮮明である。
【0158】
次に、これらの結果を総合評価するために、上に述べたCPを用いてみよう。スペクトログラムからは時間とともに推移するパターンが読み取られる客観データであるが、CPは全時間を積算した特徴として、聞き終わったあと、人間への効果を図示するものである。図11(a)〜(f)のデータに対応して、図12(a)〜(f)にそれぞれの最終印象に重きを置いてCPを示した。これから(Data1,Data3)、(Data2、Data6)、そして(Data4、Data5)の対応が音情報全体の印象としてCPに反映されている。例えば、(Data4,Data5)が造るペアは流麗さ(滑らかさ)を大きく保ちつつ、マクロトレンドと作曲性が相当程度あるような、音の塊であると記述することができよう。このように、一聞すれば解る違いを、最後に効果として聞き分け分類することも可能である。このように、CPは聞き終わったあとの総合所感を示すことができる。さらに、部分的にCPを求めることも可能である。前半、中盤、後半、など適宜分割して聞き比べ、それをCPに表せば詳細な特徴を時間分割して鮮明にとりだすことができる。
【0159】
すなわち、図11(a)〜(f)で得られた各Data1〜6についてのパターン上の特徴を有する音データパターンと、図12(a)〜(f)に示す各Data1〜6についてのCP評価結果が一致していることが分かるのである。
【0160】
このように、音データパターンとCP評価結果の一致を確認できるということは、音発生ステップで発生する音について、このCP評価法を適用したパターン認識処理を施せば、要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を、要素構造体の特徴、または分子もしくは分子集合体の特徴を識別するための指標として用いることが出来るのである。
(譜面の評価)
【0161】
次に、分子が放った音を音楽と見做せば、それを譜面にすることができる。下に示した図13(a)〜(f)は上記Data1から6までを譜面にしたものである。これは、化学反応のプロセスを半古典MD計算によって数値データ化し、それを音に変換すれば、音楽とすることができることを示している。よって自然界の法則に従った分子の運動は音なき現象かもしれないが、これを音化すれば、その演奏は人々に感動と憩いを提供することができる。本発明の趣旨は、それだけでなく、化学反応プロセスを明確に音楽として区別することができるという主張である。特に図13(d)のData4に示した丸で示した部分の譜面は、客観的に、同じ音楽的フレーズ(3音の上昇フレーズ)が繰り返され、伸縮しながら次第に発生する間隔が短くなって行くことを示している。
これは「確かに存在する何か(実体)を人間が相対的に判断できる」とうことを意味するのである。
【0162】
このように、譜面から相対的に判断できるということは、音発生ステップで発生する音について、この譜面の評価を適用したパターン認識処理を施せば、要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を、要素構造体の特徴、または分子もしくは分子集合体の特徴を識別するための指標として用いることが出来るのである。
【0163】
<実施例3>
(音データ変換ステップ)
分子動力学計算(MD)によって、分子生物学でよく知られているRasタンパクとRafタンパクが結合してひとつのタンパクとなった結合体を計算機上で作成した。RasとRafについて公知のX線構造解析結果をもとにして、結合体の初期構造を作成した。分子動力学ソフトAMBERを用いて、初期構造が平衡に達するまで調整したあと、時間変化を追跡するため10ナノ秒(ns)の分子動力学計算を実行しRMSD(Root Mean Square Distance)を求めた。それらを初期構造の違によってRasRaf4、5、6と呼び、時間を横軸にし、縦軸をRSMDとして3つのデータセットが得られた。これらが音変換に用いる数値データである。これらのうち、RasRaf6だけは、10nsの計算時間範囲内で構成成分タンパクRasとRafに解離することが動力学計算の結果として予め解っている。しかし以下に述べる分類、カテゴリー化のための試聴の被験者にはそれは知らされていない。このデータセットを上に述べた手順に従って、音データ変換用コンピュータソフトウェアを用いて音データに変換した。
【0164】
(スペクトログラム評価)
これら音データを視覚情報に直したスペクトログラムとして図14(a)〜(c)に示す。
【0165】
図14(a)〜(c)において、スペクトログラムの特徴を抽出して、スペクトログラムの特徴を有する箇所に符号を付した。各々のスペクトログラムの示す特徴について以下に説明する。
【0166】
311:停滞と変化の繰り返し
312:平静を守ろうとする、コンサーバティブな動き
313,322,324:変化幅が大きくなり始める
321:平坦(維持)の時間が4に比べて長い
323:平坦+変化というパターンが見受けられる
331:決まったパターンが薄く、ランダム性が強い
332:常に変化幅が大きく、なだらかな上昇トレンド
【0167】
図14(a)〜(c)は音に変換した数値データをスペクトログラムにしたものである。初期値の違いにより(a)RasRaf4、(b)RasRaf5、そして(c)RasRaf6の3者が10nsの計算時間内に違う挙動を示すことに対応して異なるプロファイルが見られる。
【0168】
始めの二つ(a)RasRaf4(図14(a)参照),(b)RasRaf5(図14(b)参照)と比べて、最後の(c)RasRaf6(図14(c)参照)は、異なった傾向が見られており、違う特徴をもった音として表されていることがわかる。
【0169】
すなわち、上記311〜332で示す箇所の特徴に関し、パターン認識処理を施して、要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体の特徴を要素構造体の特徴を識別するための指標として設定することが出来る。
【0170】
(CP評価)
この効果を明示的に示すための、音を再生させ聴覚によって判断した。予め結果を知らされていない、試聴者を4〜5人選定し(試聴者は音楽的素養を要する人、化学者、電気工学者、学生などからなる)客観的に聞き分けた結果、概ね、図15(a)〜(c)に対応するキャラクターポリゴン特徴図を得た。これは聞き手の年齢や性別などによらず、概ね一般性をもつことがわかった。それによって判断した結果、図14の(a)から(c)の特徴を「違う物として弁別」することが可能となった。
【0171】
図14、15に示した例は、分子動力学(MD)による数値計算データを音に変換して聞き分けた結果、それぞれを弁別した特徴が図15のCPとして人間の耳には違って聞こえることを示している。つまり音にして再生した結果、中心から頂点に向かって外側にあるほど、相対的に、その傾向が際立っていることを示し、今回用いたデータがそれぞれ違うパターンを示している。特に所見される顕著な違いとして図14(a)と(c)のトレンドの差は、(a)は停滞トレンドで離れたら引き戻し、(c)は上昇トレンドである。つまり図14(a)と(b)は維持トレンド、(c)は上昇トレンドと言えよう。図14(a)と(c)の違いを示すもう一つのポイントは、モチーフが図14(c)の方が弱いという点である。換言すれば図14(c)の方がランダムということがいえる。
【0172】
すなわち、図14(a)〜(c)で得られたRasRaf4、RasRaf5、RasRaf6についてのパターン上の特徴を有する音データパターンと、図15(a)〜(c)に示すRasRaf4、RasRaf5、RasRaf6についてのCP評価結果が一致していることが分かるのである。
【0173】
このように、音データパターンとCP評価結果の一致を確認できるということは、音発生ステップで発生する音について、このCP評価法を適用したパターン認識処理を施せば、要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された要素構造体または分子もしくは分子集合体の特徴を、要素構造体の特徴、または分子もしくは分子集合体の特徴を識別するための指標として用いることが出来るのである。
【0174】
MD計算の結果を詳細に調べれば、(c)だけがRasとRafの解離と対応することが解るが、本発明は、聴覚に訴えることでそのことが簡易に明確にわかることを示すものである。本発明の趣旨は「タンパクの解離という物理化学的現象と最下段の音パターン(c)が対応する」という主張をしているのではない。タンパク結合体についての化学的な種々のデータ、つまり乖離しやすさ、タンパクの熱に対する安定性、薬となる物質との相互作用など、と音化されたプロファイルが如何なる相関を有するかについての厳密な考察は今後の科学的検証の対象となるであろう。本発明は、そのような複雑な現象を解析するために、これまでに無かった新しい方法を提供しているのである。現時点では、図14、図15に示したような特徴を他の方法で表現することは不可能であり、バイオテクノロジーの発展を始めとして、分子材料が持つ潜在的可能性を活かす手がかり与えるためにユニークで有用な手段を提供することが本発明の趣旨である。併せて、視覚不自由者への情報伝達方法の提案でもある。
【0175】
本実施例はタンパク結合体についてのMD計算数値データを音データ化した例である。これは分子材料の多くについて同じ操作をすれば、それぞれについて、新しい評価と効果を得ることができる。それを他の手段で得られているデータと相関させて用いることができる。例えば、材料の耐久性、薬物への耐性、などなど、種々の特性の評価として用いることができるが、応用は総て容易類推できるものであろう。
【0176】
CPが材料の特性や耐久性、化学を離れた応用にも用いることができる。こうしてMD計算から得られた特徴は、一例として、環境音楽の分別方法、あるいは音楽療法の分類法への適用が考えられ、今後のストレス社会にとって非常に期待が持たれる。分子動力学計算の数値データを音化して聞いた結果、「恰もその背後に作曲家が居るかのような音楽性」が感じられる。音高を音程情報に変換し(MIDI情報)譜面作成ソフトによって、譜面に自動変換し譜面にすることが可能であるから、通常の音楽的扱いができる。これを演奏した結果多くの場合に絶妙のゆらぎ含まれており、マッサージ効果や、リラックス効果など、人為的に作曲されたものとは違った快適さを与える効果を見込むことができる。昨今、モーツアルトの楽音が心理的な病をはじめ幾つかの音楽療法として用いられているが、その複雑なメカニズムの解明がここでは重要であるわけではなく、効能の有無が重要であるとすれば、本発明の特徴図を音楽療法へ応用できることは容易に類推されよう。
【0177】
<実施例4>
音に変換された情報をリアルタイムで複数同時に相互比較することにより、もとの数値データに内在する違いが、区別できることを見出した。プレイヤーの「マルチモード」を使用し、3台の指向性を考慮されたスピーカー(Musikelectronic Geithain ムジーク・エレクトロニク・ガイザイン社 RL 904またはRL 901(聴取者との距離、及び変換音源の周波数帯域によって選択))から発音させ、以下の条件で比較を行った。まず、反射音の少ない音響環境の部屋において、水平に90°以内の中心的な指向性を持つスピーカーを用い、スピーカー距離(間隔)が2m程度にして、被験者はどのスピーカーとも同じ距離に着席し、スピーカーは被験者を中心とする円上に配置する。それぞれの音を選択したり、ある部分の比較をしたり、全体及びリアルタイムに表示されるスペクトログラムをみながら分析する。複数の被験者によって、同一見解かどうか確認する。このやりかたで、複数の音化されたデータの聞き比べを行うと、鮮明に音として区別することが可能であった。
【0178】
これは、要素構造体に起因する各音データあるいは各発生音についてパターン認識処理を施して、要素構造体に起因する各音データあるいは各発生音の特徴を抽出し、この特徴を特徴識別指標として設定できることを意味している。
【0179】
これは、これまで経験的に行われてきた、運転中の音モニター、回転機器の稼動状況の音によるモニターなどの可聴化(Sonification)を、一般化するものである。つまり、見た目では弁別できないもの、他の方法ではなかなか区別ができないもの、「音なきもの」としての化学反応の経過と結果、等等、を数値データに変換することにより、音で聞けば、区別できるという方法論の提示である。
【0180】
「音」にすることによって明確によりわかりやすくなり、今回評価軸としてあげた「滑らかさ」、「作曲性」、「モチーフ」、「周期性」、「マクロトレンド」という視点を併せて考慮すると、相乗効果により、より特徴が明確になる。把握としてスペクトログラムを追いながら聴くか、併せて譜面を見ながら、音楽を聴いて特徴を掴んでいるような、分析的聴取方法を行えば、視聴覚の双方に訴えた総合的の認識も可能となった。
【0181】
<実施例5>
公開された科学技術論文のなかから、図16に示すようなフラクタル性をもった図(この図で示す画像は複数の画素から成り、これらの画素が空間経過に伴い変化する要素構造体として定義することが出来る)を任意に選びだし、画像処理して、音データ化を行い、この音データをスペクトログラムにより図17に示した。画像処理は、各々の画像を、通常の画像処理用ソフトウェアを使用して数値データ化することで行った。音データ化は前記各実施例と同様の音データ変換ステップにより音データ化した。なお、図16の図は、Crystal.Growth & Design, Vol. 8. No.6,2008.1849-1854のFig.2を使用している。
【0182】
ここからも、視覚だけから与えられる印象とは対照的な、あるいは相補的な可聴化(Sonification)情報が抽出され、音データについて上記の例とほぼ同様の手法でパターン認識処理を施して、画像の特徴を抽出し、この抽出された画像の特徴を画像の特徴を識別するための指標として設定することが出来ることが分かる。この実施例5の容易に類推される用途としてデザインを分類する補助的ツール、写真や絵画の区別ツール、心理療法で用いられる絵の分類方法、音楽療法と併用される画像情報の選別ツールなどが考えられる。
【0183】
この技術の応用として、医療で用いられる脳、臓器などの断層写真(この写真も複数の画素から成り、これらの画素が方向変化する要素構造体として定義することが出来る)を音に変換することが考えられ、診断補助ツール、簡略化ツールとして活用が期待される。さらに、ポリマーや、無機材料など、材料の特性改善や設計の途上で得られるSEM写真、TEM写真に対してこの特徴図を用いれば、耐久性や機能の評価に有用なツールとなるものと考えられる。
【0184】
<実施例6>
実施例6は、第二実施形態に係るものであり、得られた音情報を光にして、発光体としてのLEDによる照明として用いたものである。
まず、数値データを音データ変換ステップにより、音データに変換した。
次に、音データとなった周波数を、低、中、高の3つに分類し、そのそれぞれのなかでは平均化を行った。すなわち、音化されたデータに対し、スペクトラムアナライザーを用いて分析した。具体的には、得られた音のうち20Hz〜20kHzの音をスペクトラムアナライザーで1/3オクターブ分析(30の特定周波数の音圧レベルを測定)した。この30分割(30バンド)を、周波数の低いものから「低、中、高」の3帯域に等分し、各帯域に相当する音の音圧レベルの平均値を、33msec(映像の1フレームに相当)単位で求めた。
【0185】
さらに、この音圧レベルの平均値を発光体としてのLEDが発する光粒子の数に対応させ、周波数を色温度に低、中、高と対応させるようにして、音データにディジタル処理を施して光データに変換して、この光データから発光体の発光制御信号を作成し、それを例えば5x5の平面におかれたLEDにランダムに振り分けて、ゆらぐ照明を得た。
【0186】
より詳細に説明すると、「光粒子」とは、音によって発光する単位面積を表す。通常は、LED光源1個か、あるいは複数個で構成される円形の領域を表すものである。
【0187】
平均音圧レベルが高い(=音が大きい)周波数帯域に対応する発光としては、光粒子を多数発光させ、平均音圧レベルが低い(=音が小さい)周波数帯域に対応する発光としては、光粒子を少数発光させた。なお、数値は光粒子の発光強度(明るさ)に対応させてもよく、例えば平均音圧レベルが高い周波数帯域に対応する発光を明るく、逆に平均音圧レベルが低い周波数帯域に対応する発光を暗くしてもよい。
【0188】
「周波数を色温度に低、中、高と対応させ」とは、例えば低周波数帯域に相当する音=低色温度に対応させ「赤色」、中周波数の音は中程度の色温度に対応させ「橙色」、高周波数の音は高い色温度に対応させ「白色」に発光させることにより行った。
【0189】
「5x5の平面におかれたLEDにランダムに振り分けて」とは、具体的には10cm角の正方形LEDランプを5×5個並べて設置し、これら25個のランプ表面全体に、光粒子(光の円)が重なり合わないように適度に分散させて、光らせることで行った。
【0190】
こうして、得られたゆらぐ照明は、1/fゆらぎによって発生した周波数や、乱数で生じた周波数を用いた照明とはちがい、焚き火の炎のように、自然で、落ち着いた揺らぎをあたえた。音に変換する前の数値データから音化を経ないで直接的に光情報に変換しても良いが、音という変換を経たものは、独特の風味が加味されていると感じられた。
【0191】
上記の実施例は発光体としてLEDを用いた例であるが、発光体はLED等の照明に限るものではない。例えば自然の光源を用いてもよく、太陽光シャッターの開閉、ブラインド開閉のタイミングに、この独自のゆらぎを用いることができる。
(その他)
【0192】
上記の実施形態や実施例において、特徴識別の設定は、所望のコンピュータソフトウェアを用いてパターン認識処理をする例を示したが、前記において説明したようにこれをコンピュータを用いない手動方式によって実現することももちろん可能である。
【0193】
また、上記の実施形態や実施例においては、数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、特徴識別指標設定用コンピュータソフトウェアををパッケージ化したものを記録媒体に記録したものを例として挙げたが、それぞれのコンピュータソフトウェアを単独で、又は適宜組み合わせて記録媒体に記録してももちろん可能である。
【0194】
また、上記の実施形態や実施例においては、数値データ化用コンピュータソフトウェア、音データ変換用コンピュータソフトウェア、光データ生成用コンピュータソフトウェアをパッケージ化したものを記録媒体に記録したものを例として挙げたが、それぞれのコンピュータソフトウェアを単独で、又は適宜組み合わせて記録媒体に記録してももちろん可能である。
【産業上の利用可能性】
【0195】
工業材料の機能や寿命・耐久性を知る助けとして、意匠、デザイン、装飾などの文化的価値を付加する手段として、人体、および生体が疲労の度合いや個性にあった機能を発揮しているかどうか判断の助けとなる手段として、例えば本発明は用いられる。畢竟すれば、本発明は、生物や物質が活かされて用いられているかどうか、その最適条件を把握するために用いて好適である。特に本発明は、生物や物質が放つシグナルである数値データを音に変換し、その状態を分類区別するために用いて好適である。さらに、他の知覚情報と聴覚情報の相互変換を進めることにより、分析精度が高まり、視力が不自由な人であっても聴覚に変換することにより不便さが解消され、自然科学者、技術者にとっては、視覚を偏重するあまり気がつきにくかった「灯台下暗し」と比喩できる領域に一筋の光を当てることができる。物と人を活かし、より快適な生活の質(Quality Of Life)を達成するための広い意味の健康と快適さを提供するものである。
【符号の説明】
【0196】
1 特徴識別指標設定装置
2 発光制御信号用光データ生成装置
3 発光装置
11,41 外部メモリ
12 マイク
13,42 スキャナ
14,43 キーボード
15 音発生手段
16,44 プリンタ
17,45 ディスプレイ
20,50 情報処理装置
21,51 入力インターフェース
22,52 バス
23,53 CPU
24,54 メモリ
25,55 出力インターフェース
30 特徴識別指標設定装置
31 数値データ化手段
32 音データ変換手段
33 音発生手段
34 特徴識別指標設定手段
61 発光制御信号生成部
62 発光体
63 メモリ
70 発光制御信号用光データ生成装置
71 数値データ化手段
72 音データ変換手段
73 光データ取得手段
80 発光制御信号生成装置
81 発光制御信号生成手段
82 出力手段
90 発光装置
91 発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、
該数値データ化ステップで得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、
該音データ変換ステップで得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップと
をそなえたことを特徴とする、要素構造体の特徴識別指標設定方法。
【請求項2】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、
該数値データ化ステップで得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、
該音データ変換ステップで得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生ステップと、
該音発生ステップで発生する音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップと
をそなえたことを特徴とする、要素構造体の特徴識別指標設定方法。
【請求項3】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、
該数値データ化手段で得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、
該音データ変換手段で得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段と
をそなえたことを特徴とする、要素構造体の特徴識別指標設定装置。
【請求項4】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、
該数値データ化手段で得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、
該音データ変換手段で得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生手段と、
該音発生手段で発生する音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップと
をそなえたことを特徴とする、要素構造体の特徴識別指標設定装置。
【請求項5】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換し、さらに該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換し、さらに該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記要素構造体の特徴を抽出し、この抽出された上記要素構造体の特徴を、上記要素構造体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、
該数値データ化ステップで得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、
該音データ変換ステップで得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップと
をそなえたことを特徴とする、分子/分子集合体の特徴識別指標設定方法。
【請求項10】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、
該数値データ化ステップで得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、
該音データ変換ステップで得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生ステップと、
該音発生ステップで発生する音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップと
をそなえたことを特徴とする、分子/分子集合体の特徴識別指標設定方法。
【請求項11】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、
該数値データ化手段で得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、
該音データ変換手段で得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段と
をそなえたことを特徴とする、分子/分子集合体の特徴識別指標設定装置。
【請求項12】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、
該数値データ化手段で得られた上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、
該音データ変換手段で得られた該音データに基づいて、音を発生させる音発生手段と、
該音発生手段で発生する音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定手段と
をそなえたことを特徴とする、分子/分子集合体の特徴識別指標設定装置。
【請求項13】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
分子または分子集合体中の分子の状態変化に伴って生じた上記の分子または分子集合体の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記の分子または分子集合体の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データに基づいて、発生した音について、パターン認識処理を施して、上記の分子または分子集合体の特徴を抽出し、この抽出された上記の分子または分子集合体の特徴を、上記の分子または分子集合体の特徴を識別するための指標として設定する、特徴識別指標設定ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化ステップと、
該数値データ化ステップで得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換ステップと、
該音データ変換ステップで得られた該音データに、ディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得ステップと
をそなえたことを特徴とする、要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号用光データ生成方法。
【請求項18】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化する、数値データ化手段と、
該数値データ手段で得られた上記要素の状態に関する数値データに、ディジタル処理を施して、音データに変換する、音データ変換手段と、
該音データ変換手段で得られた該音データに、ディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得手段と
をそなえたことを特徴とする、要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号用光データ生成装置。
【請求項19】
請求項18記載の発光制御信号用光データ生成装置で得られた該光データの情報に基づいて、該光データの情報を有する発光制御信号を生成する発光制御信号生成手段と、
該発光制御信号生成手段で生成された該発光制御信号を、発光体側へ出力しうる出力手段と
をそなえたことを特徴とする、要素構造体から得られた音情報に基づく発光制御信号生成装置。
【請求項20】
請求項19記載の発光制御信号生成装置と、
該発光制御信号生成装置からの発光制御信号を受けて発光する発光体と
をそなえたことを特徴とする、要素構造体から得られた音情報に基づいて発光制御される発光装置。
【請求項21】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、さらにディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項22】
1つの要素または複数の要素からなり、該1つの要素または上記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素が変化する要素構造体における、上記要素の変化に伴って生じた上記要素の状態を、数値データ化用コンピュータソフトウエアを用いて、数値データ化された、上記要素の状態に関する数値データに、さらにディジタル処理を施して、音データに変換することにより、得られた該音データについて、さらにディジタル処理を施して、光データに変換し、発光体の発光制御信号を作成するための光データを取得する、光データ取得ステップを、コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−226472(P2012−226472A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91955(P2011−91955)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(507212768)株式会社三菱ケミカルホールディングス (8)
【出願人】(503060178)有限会社エル・プロデュース (2)