説明

見かけ年齢の客観的モデル、方法および使用

見かけ年齢を客観的に割り当てるまたは予測するための式の開発方法が開示される。有利には、客観的見かけ年齢の式は、特定の集団または亜集団において見かけ皮膚老化の全てまたはほとんどを説明する形で組み合わされた、比較的少数の重要なパラメータに基づくものである。比較的小さいデータ収集の要件にもかかわらず、本発明に含まれる見かけ年齢の客観的モデルは、製品の評価に有用であり、処置結果を予測するのに有用であり、また、増悪要因の影響を予測するのに有用である。客観的見かけ年齢スコアの定式化は、個体の見かけ年齢に主として影響を与える生物物理学的および生化学的パラメータを同定することを可能にし、また、視覚的に成功する見込みが高い特定の老化防止処置を選択するために使用することができる。さらに、客観的見かけ年齢スコアはマーケティング要求を裏付けるためにも使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品および皮膚科学に関し、特に、見かけ年齢を個体に割り当てるための客観的モデルに関する。さらに、本発明はそのようなモデルを作成する方法およびそれらの使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
皮膚老化の臨床症状としては、乾いた皮膚、鱗状の皮膚、皮膚の変色、大小のしわ、開いた毛穴、皮膚の菲薄化、皮膚のたるみ、および皮膚の弾力性低下が挙げられる。臨床検査、バイオエンジニアリング(生体工学)ツールおよび生化学的分析によって、こうした加齢に伴う症状の発生を量的に評価することが可能である。
【0003】
ヒトの皮膚は外因性または内因性の要因によって影響を受けており、いくつかの要因は有益であると推定されるが、その多くは悪化させる傾向がある。皮膚の老化は経時損傷の蓄積であると考えることができる。皮膚において、この損傷は正常な生理的プロセス、環境要因、遺伝的素質、生活様式の選択および外用製剤の使用の結果でありうる。
【0004】
環境要因としては、日光への暴露、環境汚染、受動喫煙、重力、刺激物質などが挙げられる。生活様式の選択肢としては、食事、運動、睡眠量、喫煙、職業上の危険性、機械的操作(すなわち、マッサージ)などが挙げられる。遺伝的素質にはビタミンまたはミネラルの欠乏症または疾患が含まれる。外用製剤には、化粧品、外皮用薬品、および医薬品が含まれる。皮膚老化に影響を与えるその他の要因として、心的外傷、精神的ストレスおよび医学的介入が挙げられる。これらの要因のいくつかは炎症反応を引き起こして、皮膚にフリーラジカルを放出する可能性がある。フリーラジカルは皮膚の老化を早める役割を果たす。その他のこうした要因はタンパク質の非酵素的糖化を促進させ、かつ/または皮膚における他の糖酸化的損傷を引き起こす。これらの要因のいくつかと関連した皮膚の構造的変化には、皮膚の表層におけるコラーゲンとエラスチンの網状構造の崩壊が含まれる。この崩壊によって皮膚の弾力性と張りが失われる。これらの要因の累積的影響が皮膚の外観の悪化である。皮膚の外観の悪化速度には個体差があるが、皮膚の悪化の主な兆候は大小のしわ、皮膚のたるみ、皮膚のしみの形成でありうる。こうした兆候が出現すると、人は実年齢(暦年齢)が示唆するよりも老けて見られることがある。例えば、喫煙者の推定または見かけ年齢は非喫煙者より高いことが報告されており(Kennedy et al, 2003)、また、日光により多くさらされた中年女性の推定または見かけ年齢は、日光にあまりさらされていない中年女性の年齢より高いことが報告されている(Warren et al, 1991)。さらに、ビタミンCの摂取量がより多いことや、脂肪と炭水化物の摂取量がより少ないことは、良好な皮膚老化の外観と結びついている(Cosgrove et al, 2007)。
【0005】
異なる年齢測定
「実年齢」または「暦年齢」とは、人間の実際の生存期間(ライフスパン)を意味する。「見かけ年齢」または「見た目年齢」とは、身体的外観、特に顔全体の外観に基づいて、視覚的に推定される年齢を意味する。実年齢と見かけ年齢は一般に年月で測定される。
【0006】
老化防止用スキンケア製品の目標の1つは、実年齢に対して見かけ年齢を低くすること、好ましくは見かけ年齢を実年齢より低く下げて、実際の生存期間より若く見えるようにすることである。この目標を達成する製品は、皮膚への損傷を予防しかつ/または加齢促進要因により誘発される損傷を取り除くことができるものである。
【0007】
1. 主観的見かけ年齢
見かけ上の年齢は、意識的にまたは無意識のうちに、いつでも、通常の社会的交流の一部として使用されており、我々一人一人が見かけ年齢に基づいて他者による評価を受けている。問題は、この種の見かけ年齢が主観的であって、社会規範や期待を基礎としていることである。この主観性のため、一貫して一様に適用することができず、その結果、さまざまな観察者が同一個体に対して広範囲に異なる年齢を見積もる可能性がある。したがって、より若く見えるように皮膚を変えるスキンケア製品の有効性の評価は主観的となり、主観的な見かけ年齢だけを用いて評価を行う場合には、正確な数量化ができない。そのため、ある処置計画の有効性を別の処置計画と比較すること、あるいは複数の異なる個体に対する1つの処置計画の有効性を比較することが非常に難しくなっている。
【0008】
同様に、主観的な見かけ年齢のみを用いる場合は、より老けて見えるように皮膚を変えるさまざまな要因の増悪作用が正確な数量化を阻んでいる。そのため、増悪作用を相互に、または個体ごとに、比較することが困難であるか、または不可能である。皮膚を悪化させる各要因があらゆる個体に同じ影響を及ぼすならば、1個体の見かけ年齢はその個体の実年齢と密接に相関するだろう。しかし、これは必ずしもそうではない。それゆえ、実年齢とより密接に相関する、皮膚の外観の「客観的」評価方法があるに越したことはない。したがって、個体の見かけ年齢を予測または説明するために使用でき、処置の有効性および/または増悪要因を評価するために使用でき、かつ見かけ年齢の変化を予測するために使用できる、意味のある客観的な年齢の数量化が必要とされている。見かけ年齢は訓練を受けたまたは専門の臨床医によって評価されることがある。それによっていくらかの主観性は取り除かれるが、経験が示すように、これまで達成されたよりも高度の客観性、一貫性および再現性で見かけ年齢を判定する必要性が依然として存在している。
【0009】
2. 客観的見かけ年齢
「客観的見かけ年齢」とは、いくつかの関連するパラメータの測定に基づいて推定される年齢を意味する。測定は機器の使用によって、および/または専門の臨床医による観察によって行うことができる。客観的見かけ年齢は従来の見かけ年齢よりも主観的要素が大幅に軽減されており、また、客観的見かけ年齢はより一貫して一様に適用することができる。それゆえ、個体の見かけ年齢を予測または説明するために、また、製品や処置計画の有効性または加齢に関連した要因の影響を評価するために、客観的見かけ年齢を使用することが好ましいだろう。
【0010】
3. 年齢の評価に用いるパラメータ
真に有用であるためには、客観的見かけ年齢の計算に用いる関連パラメータの数は多すぎてはならない;パラメータは明確に定義された再現性のある方法によって測定可能でなければならない;また、測定値のセットは観察された皮膚老化の全てまたは統計的に有意な量を説明しなければならない。1つの問題は、何百ものそのようなパラメータを提案することができ、そしてすでに提案されている、ことである。かくして、見かけの皮膚老化の全てまたはほとんどを説明する形で組み合わされた比較的少数の重要なパラメータに基づいて、身体的外観を客観的に評価する必要性がまだ存在している。本発明者らはこの客観的評価を「客観的見かけ年齢スコア」(Objective Apparent Age Score: OAAS)と呼ぶが、それは当技術分野において新規である。
【0011】
一般的に、身体的外観を数量化するために用いるパラメータはもともと臨床的、生物物理学的または生化学的でありうるが、被験者へのフィードバックを考慮に入れることもできる。ひとたび1セットのパラメータが選択されて測定されると、「客観的見かけ年齢スコア」を引き出すための意味のある形で、それらの測定値を組み合わせる必要がある。厳選されたセットのパラメータが適切に組み合わされると、どの加齢促進要因が個体または集団に存在するかにかかわらず、それは客観的な、一貫した、再現性のある身体的外観の測定値をもたらすだろう。そのようなパラメータのセットとそれらを組み合わせるための規則は、処置の有効性を評価するために、または処置の結果を予測するために使用することができる。それはまた、どのパラメータが最も重要であるかを識別することによって、新しい処置法や製品の開発につなげることもできる。かくして、本明細書中で定義する「客観的見かけ年齢スコア」は、人の見かけ年齢を理解するための、つまり、人の見かけ年齢を最も増加させる要因を同定するための、第一級のモデルである。
【0012】
上述したように、少なくとも3つのタイプの測定を行うことができる:専門臨床医による臨床評価(視覚的または触覚的でよい);機器の使用による生物物理学的評価;および機器の使用による生化学的評価。第4の情報源は被験者へのフィードバックまたは心理学的フィードバックである。
【0013】
先行技術におけるパラメータ
見かけ年齢に到達するための臨床パラメータの1つの使用例は、顔面皮膚の特徴の視覚的および触覚的パラメータの測定値を組み合わせることによる、認証された「肌年齢スコア」(Skin Age Score: SAS)を用いることである(Guinot et al 2002: Relative contribution of intrinsic and extrinsic factors to skin aging as determined by a validated Skin Age Score (認証された「肌年齢スコア」により判定される皮膚老化に対する内因性および外因性要因の相対的関与). Arch Dermatol. 138:1454-1460参照)。この研究では、361人の白人女性(年齢18〜80才)の顔面皮膚の62の特徴が臨床分析(CA)により評価された。最終的に、24の特徴が実年齢と線形の関連性を有するとして同定され、それらのみが引き続き維持された。それゆえ、この研究の目的は、肌年齢の臨床評価と実年齢との関連性を見つけることであった。これら24の特徴に基づいて構成された肌年齢スコアは実年齢と線形の関係を示したが、肌年齢スコアと実年齢との個々の不一致を説明することはできなかった。例えば、著者らの報告によれば、スキンフォトタイプ(skin phototype)、肥満度指数、閉経状態、生涯日光暴露度および喫煙年数は、肌年齢スコアと実年齢との不一致の10%を説明するにすぎなかった。したがって、見かけ年齢を数量化する上で、これら24の臨床パラメータの排他的使用は実年齢を説明するのに不十分であるようである。結局、著者らは次のように結論づけている:「認証された環境要因、生活様式および生物学的要因は肌年齢スコア(SAS)と実年齢との不一致の10%ほどしか説明しなかったので、老化に寄与する追加の要因を探し出すことが実際に必要となる」。対照的に、本発明は、臨床的に評価される見かけ年齢と実年齢との関連性には関係がない。しかし、本発明の方法は有利には、Guinotらの研究の臨床マーカーの一部を含むが、その他を排除し、そして新しいパラメータを同定して、それらを含むものである。
【0014】
非視覚的に評価される生物物理学的パラメータ(例えば、皮膚の張り、皮膚の弾力性、皮膚の密度または皮膚のきめ)は、見かけ年齢を客観的に評価する上で役割を担うことが示唆されている。既存の生体計測法を用いて種々の非視覚的パラメータを測定することができる(Waller and Maibach, 2005: Age and skin structure and function, a quantitative approach (I): blood flow, pH, thickness, and ultrasound echogenicity (年齢および皮膚の構造と機能、定量的アプローチ(I):血流、pH、厚さ、および超音波エコー輝度). Skin Res Technol.11 : 221-235参照; さらに、Waller and Maibach, 2006: Age and skin structure and function, a quantitative approach (II): protein, glycosaminoglycan, water, and lipid content and structure (年齢および皮膚の構造と機能、定量的アプローチ(II):タンパク質、グリコサミノグリカン、水、および脂質の含量と構造). Skin Res Technol.12 : 145-514参照)。しかし、これらの非視覚的パラメータの、加齢に伴う変化は、大きな個体間変動により影響されそうである。本発明の方法は有利には、個体の見かけ年齢を数量化する上でこれらの生物物理学的マーカーの一部を含むが、その他を排除するものである。
【0015】
皮膚の状態の変化と因果関係がある特定の生化学的パラメータもまた、見かけ年齢と相関することが期待される。例えば、真皮および表皮構造の損傷をもたらす生化学的メカニズムが解析されている。炎症反応に起因するフリーラジカル介在酸化反応は真皮の老化促進の根本原因であると結論づけられた(Giacomoni, 2005: Ageing, science and the cosmetics industry. The micro-inflammatory model serves as a basis for developing effective anti-ageing products for the skin (老化、科学および化粧品産業:ミクロ炎症モデルは効果的な皮膚用老化防止製品を開発するための基礎として役立つ). EMBO Rep. 6 Spec No:S45-S48; およびGiacomoni and Rein, 2001: Factors of skin ageing share common mechanisms (皮膚老化の要因は共通の作用機序を有する). Biogerontology 2 : 219-229参照)。
【0016】
その他の生化学的要因は老年性黒子(lentigo senilis)や他の変色を引き起こすことがある。さらに、糖の体内蓄積および糖化の破壊的影響が明確に実証されている(Monnier 1989: Toward a Maillard reaction theory of aging (老化のMaillard反応理論に関して). Prog Clin Biol Res. 304: 1-22; およびDyer et al, 1993: Accumulation of Maillard reaction products in skin collagen in diabetes and aging (糖尿病および老化における皮膚コラーゲン中のMaillard反応産物の蓄積). J Clin Invest. 91 : 2463-2469)。さらにまた、終末糖化産物(advanced glycation end-products)はV-CAM 1の合成を促進し、それゆえ炎症誘発性であることも示されている(Schmidt et al, 1995: Advanced glycation end products interacting with their endothelial receptor induce expression of V-CAM 1 in cultured human endothelial cells and in mice (内皮受容体と相互作用する終末糖化産物は培養ヒト内皮細胞およびマウスにおけるV-CAM 1の発現を誘発する) J. Clin. Invest. 96 : 1395-1403)。本発明の方法は有利には、個体の見かけ年齢を数量化する上でこれらの生化学的マーカーの一部を含むが、その他を排除するものである。
【0017】
留意すべきことは次の点である。すなわち、生物学的プロセスまたは生物物理学的提示が皮膚の外観に影響を与えることが知られているからという理由だけで、そのようなプロセスまたは提示を見かけ年齢の客観的予測モデルに含めるべきである、ということにはならない。なぜなら、そのようなプロセスまたは提示は見かけ年齢の推進力でない可能性がある。より深い根本的な要因があるかもしれない。したがって、ヒト皮膚の見かけ年齢の正確な客観的モデルの必要性が依然存在している。本発明は、より深い根本的な要因を同定する一方で、当初は含めることが明白なように思われた、いくつかのパラメータを除外するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の主な目的は、ヒト皮膚の見かけ年齢の客観的モデルを作成することである。
【0019】
本発明の別の目的は、製品の有効性を評価するために使用できる、年齢の客観的数量化を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、さまざまな要因が皮膚に及ぼす影響を評価するために、客観的皮膚年齢スコアを使用することである。
【0021】
別の目的は、人の外観が老化していく速度を予測する方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、皮膚処置製品およびプロトコールの結果を予測するために、客観的皮膚年齢スコアを使用することである。
【0023】
本発明の別の目的は、見かけ老化速度を遅くする製品および処置を開発するために、客観的皮膚年齢スコアを使用することである。
【0024】
本発明の別の目的は、特定の集団に特異的である客観的皮膚年齢スコアの式を開発する方法を提供することである。
【0025】
別の目的は、製品の有効性に関する市場または消費者の要求を検証するために、見かけ年齢の客観的モデルを使用することである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、3部構成の予備的研究における客観的見かけ年齢に対する寄与要因を示すパイチャートである。
【図2】図2は、白人女性の3部構成研究における客観的見かけ年齢に対する寄与要因を示すパイチャートである。
【図3】図3は、白人女性の4部構成研究における客観的見かけ年齢に対する寄与要因を示すパイチャートである。
【図4】図4は、日本人女性の3部構成研究における客観的見かけ年齢に対する寄与要因を示すパイチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、見かけ年齢を個体に割り当てるための客観的方法を包含する。この「客観的見かけ年齢スコア」は、見かけ年齢と実年齢の差を最小化する製品を効率的に開発するために使用することができる。本明細書全体を通して、「差を最小化する」とは数学的意味において理解され、したがって、マイナスの差は差がないより小さくなる。本発明者らの見かけ年齢の客観的評価は、特定の集団または亜集団での観察可能な皮膚老化の全てまたはほとんどを説明する形で組み合わされた、比較的少数の重要なパラメータに基づいている。比較的少ないデータ収集の要件にもかかわらず、本発明に含まれる見かけ年齢のモデルは、製品の評価に有用であり、処置の結果を予測するのに有用であり、また、増悪要因の影響を予測するのに有用である。客観的見かけ年齢スコアの定式化は、個体の見かけ年齢に主に影響する生物物理学的および生化学的パラメータを同定することを可能にする。ひとたびそのようなパラメータが同定されると、それらは、皮膚の見かけ年齢を最大に低下させる老化防止用の特定の処置または化粧品を選択するために使用することができる。
【0028】
「3部構成研究」とは、臨床的、生物物理学的および生化学的パラメータのみが測定されたことを意味する;被験者へのフィードバックは含まれなかった。100人のボランティアの3部構成の予備的研究では、77の臨床的、生物物理学的および生化学的パラメータが、適切な機器と明確なプロトコールを用いて測定された。その後、要因分析を用いて、任意の2つのパラメータ間の関連性の程度を決定した。要因分析とは、要因と呼ばれる少数の代表的変数に関して、観察された変数間の変動(ばらつき)を説明する統計的手法を意味する。重回帰分析を用いて、重要な独立変数として作用するパラメータのサブセットを同定した。これらの変数によって、100人のボランティア集団で観察された皮膚老化の大部分が説明された。
【0029】
この予備的研究から学んだ教訓を活かして、より大きい3部構成の研究(500人以上)を行って、ボランティア集団で観察された皮膚老化の大部分を説明する重要変数を同定した。これらの変数を一次式で組み合わせて、研究に参加した特定の集団のための、客観的見かけ年齢スコアを作成した。最後に、被験者へのフィードバックを含めて、それを4部構成の研究とした場合には、予測できる皮膚老化の程度がほんの少し増加した。
【実施例1】
【0030】
予備的研究
100人の白人女性ボランティアが参加する3部構成の予備的研究を実施し、見かけ年齢に独立して寄与する変数を同定した。観察された皮膚老化の大部分を説明する変数の数が「小さい」場合、本発明者らは、客観的皮膚老化の便利で信頼性の高いモデルが考案され得るのか疑いをもった。
【0031】
関連する変数を同定するため、初期セットの77のパラメータの測定を行った(表1参照)。これら77のパラメータは、我々の経験に従って、皮膚老化の外見的兆候の発生と多かれ少なかれ密接に関連することがわかっている臨床的、生物物理学的および生化学的マーカーの中から選択された。
【表1】


【0032】
1. 予備的研究に参加するための基準
予備的研究に参加するために、ボランティアは次の基準を満たす必要があった:年齢が20〜79才である;白人である(FitzpatrickスキンタイプI、IIおよびIII);全ての肌タイプ(ノーマル、ドライまたはオイル);一般的に良好な健康状態にある;研究者に協力するという意志表示をする;彼女が信頼でき、研究計画に従うことを研究者に納得させる;研究の目的とそれを意味のある結論へと導くために彼女に求められることを理解する能力を証明する;参加にどのようなリスクが伴うかを理解する能力を証明する;インフォームドコンセント文書中の全ての項目を読み取りかつ理解する能力を証明する;インフォームドコンセント文書に彼女の自由意志で無条件に署名する。
【0033】
面接と検査により次のいずれかが明らかになった場合には、参加予定者を除外した:参加禁止とした全身疾患;試験面における皮膚疾患;試験面の症状のため皮膚科医の治療を受けている;妊娠中または授乳中;過去1年間におけるレチン-A、レチノールまたはAHAの使用;美容目的の処置(注入用しわ取り製品、顔の美容整形、レーザー治療など)。この予備的研究において、年齢分布は20〜79の範囲にわたり、均質ではなかった。
【0034】
2. 測定のためのボランティアの準備
全てのパネリストを制御環境条件(室温70°F (21℃);相対湿度40%)下で試験前30分にわたり順応させた。研究の前の晩と翌朝にはスキンケアまたはメーキャップ化粧品を使用しないように彼女らに指示した。
【0035】
3. 77のうちの一部のパラメータの測定方法の説明
一般には、3つのタイプの測定を行った:専門家パネルによる臨床評価;機器の使用による生物物理学的評価;および機器の使用による生化学的評価。全ての測定は当技術分野で採用される技術に従って行った。こうした技術のいくつかを以下で説明する。
【0036】
皮膚の湿潤性は、Nova Meter DPM 9003 (NOVA Technology社, Portsmouth, NH)により測定した。Novaは皮膚の湿潤性を皮膚表面の水分量増加の関数として測定する。この機器はMhz周波数範囲で皮膚の電気容量に比例する出力を測定するものである。データ収集はソフトウェアで制御される。皮膚の水分量が高いほど、電気容量も高くなり、それゆえ皮膚の湿潤性が増す。
【0037】
皮膚のバリア強度は、経皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss: TEWL)により評価される。Cortex Technology社(Hadsund, デンマーク)によるDermaLab TEWLプローブを用いてTEWLを測定した。TEWLの測定は蒸気勾配(オープンチャンバ)原理に基づくものである。オープンチャンバの設計は、測定領域上の環境を妨げることなく、表面からの自由な自然蒸発を維持し、したがって偏りのない正確な読み取りが可能である。被験者は楽な傾斜位置をとって、会話することまたは興奮することは許されなかった。経皮水分蒸散量は自動的に記録され、15秒のデータ収集期間を含む45秒の総測定時間に設定された。被験者を相対湿度40%、70°F (21℃)の環境室内で15〜20分間順応させた。顎のラインに近い右下の頬に5cm2面積のマークを入れ、1列に約1cm離して3箇所で経皮水分蒸散量(TEWL)の最初の測定を行った。5cmのTessa(登録商標)セロハンテープをマークした面積の皮膚の上に配置した。頬の上方から開始して、テープを皮膚に平行にして下方向にやさしく引き剥がして取り去った。この手順を繰り返して、バリアが破壊されるまで(3箇所のうちの1つで最低18g/m2/hrにより示される)、5回のストリップごとにTEWLを測定した。
【0038】
皮膚の密度は、Dermascan C(登録商標)超音波計測器(Cortex Technology社, Hadsund, デンマーク)を用いて測定した。二次元での皮膚の断面画像を得るためにBモードでのパルス20MHz放射を選択した。テンプレートと1mmゲル層を用いて画像の再現性を確保する。1枚の画像を左右の眼角から撮影した。内臓式画像解析プログラムが真皮の密度を計算する。
【0039】
皮膚表面の皮脂は、Sebumeter SM810 (Courage and Khazaka社, Cologne, ドイツ)を用いて測定した。Sebumeterは、専用の半透明プラスチックストリップが皮脂で覆われると、そのストリップの透明度が増すことを光度的に測定するものである。プラスチックストリップは厚さが約0.1mmで、面積が64mm2である。ストリップはミラーで支えられ、それをバネ手段により10Nの一定圧力で関係する皮膚に押し付ける。この機器は30秒の測定を可能にする時限装置を含む。ストリップの透明度をマイクロプロセッサにより評価して、平方センチメートルあたりの皮脂量μgとしてデジタル機器から直接読み取る。被験者には、普段の皮脂レベルが記録されるように、洗浄の少なくとも3時間後の試験を報告するように指示した。部位ごとに3回読み取って、平均値を求めた。
【0040】
機器により測定される目尻のしわ(crow's feet)(外眼角の大小のしわ) - 眼領域における大小のしわのシリコンレプリカを回収するにあたって、各眼角に接着性リングを配置した。レプリカを作成するために歯科用シリコンレプリカ材料SILFLO (Flexico社, 英国)を用いた。約5gのSILFLOをアルミ皿に注入し、数滴の触媒を加える。SILFLOと触媒の混合物を激しく混合し、リングの内側に塗り広げる。シリコンが乾いたらすぐに(約2〜3分)、レプリカを取り出して、パネリストの名前と訪問を記したラベルを貼る。この研究の終了時に、レプリカをデジタル画像解析により大小のしわについて解析する。各レプリカをPanasonic CCD白黒カメラの真下の同じ位置に設置し、固定した低い角度でNikon光ファイバ光源から照射した。カメラは各レプリカを解析するZeiss KS400画像解析装置にインターフェースで接続した。積分光学濃度(Integrated Optical Density: IOD)を測定することで大小のしわを評価する。より低いIODは大小のしわがより少ないことを表し、その逆も言える。
【0041】
皮膚の色調の均質性は、次のように機器で測定した。研究の開始時に、各パネリストの頬上の特定の領域にマークをつけた。顔のその特定部分の画像は倍率20×(約1cm2)で光ファイバ顕微鏡(Hi-Scope)を用いて取得した。各頬から3つの画像を記録した。保存したRGB画像をデジタル化し、画像解析プログラムOptimas 6.51を用いて解析した。3つのカラーチャンネルのそれぞれの平均グレー値(Gray value)の標準偏差を決定した。これは色に関して画像の変化量を示す尺度である。より低い変化はより均質な皮膚の色調と関連しており、その逆も言える。
【0042】
機器により測定される毛穴の大きさは、光ファイバ顕微鏡(Hi-Scope)を倍率20×(約1cm2)で用いて評価した。3つの偏光画像を鼻唇溝(ほうれい線)または顎の領域から取得し、画像解析プログラムOptimas 6.51を用いて解析した。
【0043】
皮膚の臨床的特徴は、10点アナログスケール(0=老化の兆候なし、10=深刻な老化の兆候)を用いて、健康な皮膚の臨床評価において訓練を受けた10人の治験医師の専門家パネルにより顔面で評価された。訓練の目的は、客観的に評価するように特別に訓練されているヒト判定者を用いて、皮膚パラメータの特徴を同定し、数量化することであった。訓練を受けた評価者は、広範な知覚語彙を有し、共通の参照枠(common frame of reference)を利用し、スケール使用の経験があり、標準化された評価手法を採用するものとする。
【0044】
Canfield社製のVISIA-CRTM顔画像撮影装置は、皮膚のさまざまな特徴の臨床評価に適する高品質で再現性のある顔画像をもたらす。顔画像撮影用ブースは異なる間隔で撮影した画像のばらつきを最小限に抑え、時間の経過とともに変化する顔の特徴の比較評価を可能にする。VISIA-CRTMを備えたCanfield顔画像撮影用ブースは、ベースラインからエンドポイントまでの各被写体の適切な再配置を確保するために、固定ヘッドサポートと画像プレビューツールから構成される。このシステムは複数の内臓型照明モードを装備し、ユーザー定義可能な撮影テンプレートから1度に7枚までの画像を得ることができる。指定した皮膚の特徴の可視化を増強するために標準光、UV、直交偏波(cross-polarization)、平行偏波(parallel-polarization)、またはこれらの任意の組み合わせを用いて、被写体を撮影することが可能である。カメラは頭の周りを180°回転可能であり、また、カメラ位置を固定するために回転に沿ってロック停止が装備される。写真撮影は、顎と額の定置サポートを使って被験者の頭を再現性よく位置づけ、研究訪問ごとにカメラと照明の一貫した設定を保持することによって行った。VISIA-CRTMで撮影した画像はCanfield社製Mirrorソフトウェアの電子記録に直接保存される。
【0045】
皮膚の張り(硬さ)は、顔の両側の眼角領域でバリストメータ(ballistometer)を用いて評価した。バリストメータは皮膚表面での硬質物体のリバウンドの測定によって皮膚の動的特性を評価する機器である。これは、非常に軽量の振り子(例えば、1〜5g)を皮膚表面に落下させて、振り子のリバウンドパターンをコンピュータで測定することにより、皮膚の弾力性を測定するものである。プローブが皮膚の表面にあたると、落下する物体の運動エネルギーが皮膚の内側に蓄えられ、その後解放されて、最初のスタート位置より低い高さでプローブをリバウンドさせる。振り子と皮膚の相互作用を特徴づけるために、最初のリバウンドの振幅の差が解析される。
【0046】
皮膚のきめ - 皮膚のきめ(skin texture)のシリコンレプリカを回収するにあたって、各頬の上に接着性リングを配置した。レプリカを作成するために歯科用シリコンレプリカ材料SILFLO (Flexico社製, 英国)を用いた。約5gのSILFLOをアルミ皿に注入し、数滴の触媒を加える。SILFLOと触媒の混合物を激しく混合し、リングの内側に塗り広げる。シリコンが乾いたらすぐに(約2〜3分)、レプリカを取り出して、パネリストの名前と訪問を記したラベルを貼った。この研究の終了時に、レプリカを皮膚のきめについてデジタル画像解析により解析した。各レプリカをPanasonic CCD白黒カメラの真下の同じ位置に設置し、固定した低い角度でNikon光ファイバ光源から照射した。カメラは各レプリカを解析するZeiss KS400画像解析装置にインターフェースで接続する。皮膚のきめは、面積で表される平均Harlickテクスチャパラメータを測定することにより評価した。より大きいHarlick面積は皮膚のきめが良好であることを示しており、その逆も言える。
【0047】
細胞増殖および糖化 - 増殖に関連するin vivo蛍光および糖化に関連するin vivo蛍光は蛍光分光分析により測定した。ヒト皮膚の内因性蛍光分光は非侵襲的臨床ツールであって、皮膚構造の変化についての情報を提供する。特定の蛍光励起/発光バンドは皮膚内の特定のフルオロフォアに起因すると考えられる。例えば、波長の組合せλex/λem=295/345nmは、トリプトファンに由来すると推測される。in vivoトリプトファン蛍光は、報告によると、表皮の増殖が高まるときに増加し、例えば、UV暴露や機械的傷害によって生じる炎症状態で増加する。こうして、このシグナルは表皮の増殖のマーカーとして使用できることが示唆されている。
【0048】
さらに、波長の組合せλex/λem=370/440nmは、皮膚内の終末糖化産物(Advanced Glycation End product: AGE)のマーカーとして提案されている。表皮と真皮の両方の蛍光の、加齢に伴う変化は架橋コラーゲンの増加と関連している。
【0049】
皮膚自己蛍光データは、光ファイバケーブルを装備したLS 50B蛍光分光計(PerkinElmer社, Waltham, MA, USA)を用いてin vivoで集めた。同じ部位で、皮膚の色をクロマメータ(chromameter) (Minolta社, 大阪, 日本)により測定し、ITA°(Individual Typology Angle)として表した。
【0050】
4. 統計解析
本発明に係る方法の有用性は、見かけ年齢の客観的評価に真に重要なパラメータを、初期のパラメータセットから同定することにかかっていた。100人の予備的研究において、皮膚老化の兆候に独立して寄与するパラメータは、要因分析により、任意の2つの変数の関連度(vis-a-vis相関)を測定し、その後、観察された結果を説明するのに独立要因がいくつ必要であるかを順次決定することにより、同定された。要因分析から最も高い負荷を示す変数を利用して、23の生物学的マーカー変数、5つの生体計測(bioinstrumentation)変数および4つの臨床評価変数が回帰分析に加わった。回帰分析を利用して、独立測定値と従属測定値の関係(vis-a-vis相関値)を決定し、また、推定式を開発した。この式によって、独立測定値の関数としての従属変数の変化を予測することが可能である。ベストフィット分析では係数の値が得られたが、この場合各係数の値は客観的見かけ年齢スコアと専門臨床医により割り当てられた見かけ年齢との差を最小限にする値として算出された。この操作の結果として、研究対象の集団では、観察可能な皮膚老化の全てまたはほとんどに関与するものとして7つのパラメータが同定された。これらの独立パラメータの線形結合(linear combination)が提唱された。いくつかの特定集団については、正確かつ有用な客観的見かけ年齢スコアが独立変数の非線形結合によって達成されることがあるかもしれない。所定の亜集団については、独立変数の最良の組合せがルーチンの統計的手法によって明らかになるかもしれない。
【0051】
予備的研究で得られた客観的見かけ年齢スコア(OAAS)の式は次のとおりであった:
式1:
OAAS = −428.48(BI-皮膚のきめ) + −0.64(BM-前腕の細胞増殖関連蛍光) +
30.66(BM-前腕の肌色について補正した糖化関連蛍光) + 1.24(CA-外眼角のしわ)
+ 1.74(CA-色調) + 2.34(CA-額のしわ) + 1.19(CA-毛穴) + 61.465701
ここで、さまざまなパラメータの数値は、本研究で用いる測定装置または臨床医スケールにより測定された数値として表される。BIは生体計測機器により測定される生物物理学的パラメータを示し、BMは生化学的パラメータを示し、そしてCAは専門臨床医の評価により測定されるパラメータを示す。この式の出力は客観的年齢としての数値年齢である。
【0052】
いったんこの式が決定されたら、係数の絶対値を合計する。その後、各係数をこの合計で割って、各要因からの相対的寄与率(%)を求める。この情報はパイチャート(円グラフ)で最もよく表示される。図1は、予備的研究でOAASを決定する際の各要因の相対強度を表すパイチャートである。研究対象の集団では、機器測定された皮膚のきめが最も重要であり、その後に、臨床評価された額のしわ、肌色について補正した糖化関連蛍光などが続いた。
【0053】
実施例1の予備的研究において、調査した集団では、独立変数として、それゆえ、観察可能な皮膚老化の全てまたはほとんどに関与するものとして、7つのパラメータが同定された。実際、これらの解析から、観察可能な皮膚老化の大部分(76.1%)はこれら7つのパラメータによって説明できることが示唆された。しかし、異なる特定の集団では、独立変数の数とタイプならびに関連係数が一般に異なるだろう。同様に、本研究で使用したものと異なる機器またはキャリブレーションを用いる場合には、係数の値が本明細書中で示したものと異なるかもしれない。それにもかかわらず、少数の測定可能なパラメータに基づいて、客観的見かけ年齢スコアに到達するための方法論は、本明細書に記載したものと同じになるだろう。
【0054】
この段階で、本発明者らは、OAASを開発するために用いたサンプルが年齢の点でより均質に分布していたならば、測定パラメータの数を少なく維持したままで、説明できる皮膚老化の割合が増加するだろう、と予測した。以下は、より均質な大きい集団サンプルに適用された、本方法論の適用例である。
【実施例2】
【0055】
均質な年齢分布の白人女性の3部構成研究
次に、500人の白人女性ボランティアが参加する2回目の研究を行った(452人がこの研究を終了した)。各ボランティアの全体的な外観または見かけ年齢を、12人の訓練された専門臨床医のパネルにより評価した。実年齢も記録され、20のパラメータ(表2参照)の測定値をボランティアから集めた。
【表2】

【0056】
1. この研究に参加するための基準
500人の研究に参加するために、ボランティアは年齢が20〜69才でなければならず、次の年齢分布が維持された:年齢20〜29から100人のパネリスト、年齢30〜39から100人のパネリスト、年齢40〜49から100人のパネリスト、年齢50〜59から100人のパネリスト、年齢60〜69から100人のパネリスト。この分布基準は予備的研究に含まれなかった。その他の全ての基準は上記のとおりであった。
【0057】
2. 測定のためのボランティアの準備
全てのパネリストを制御環境条件(室温70°F (21℃);相対湿度40%)下で試験前30分にわたり順応させた。研究の前の晩と翌朝にはスキンケアまたはメーキャップ化粧品を使わないように彼女らに指示した。
【0058】
3. 11の独立パラメータの測定方法の説明
全ての測定は当技術分野で利用される技術に従って行った。いくつかのパラメータの測定に関する説明は上に示される。
【0059】
4. 客観的見かけ年齢スコア
得られた客観的見かけ年齢スコア(OAAS)の式は次のとおりであった:
式2:
OAAS = 1.41(CA-目の下のしわ) + 0.76(CA-目尻のしわ) + 0.60(CA-皮膚のしみ) +
2.33(CA-張り) + 1.34(CA-額のしわ) + 0.57(CA-毛穴) + 0.93(CA-唇のしわ)
+ −0.02(BI-目尻のしわ) + −0.92(BI-張り) + −83.58(BI-皮膚のきめ) +
−0.01(BM-細胞増殖) + 2.13(BM-糖化) + 45.93
この場合も、この式の出力は客観的に判定された年齢である。BI、BMおよびCAは上記のとおりである。この研究において、調査した集団では、独立変数として、それゆえ、観察可能な皮膚老化の全てまたはほとんどに関与するものとして、12のパラメータが同定された。実際、予備的研究での76.1%と比較して、観察可能な皮膚老化の大部分(87.1%)はこれら12のパラメータによって説明できることが解析から示唆された。予備的研究と比較して、臨床評価された皮膚の色調(CA-色調)が本研究では4つの臨床パラメータにより置き換えられた:目の下のしわ、皮膚のしみ、皮膚の張り、および唇のしわ。これら2つの研究の主な相違点は、本研究ではボランティアの年齢分布が均質であること、およびサンプル数がより大きいことである。
【0060】
図2は、本研究でOAASを決定する際の各要因の相対強度を表すパイチャートである。研究対象の集団では、臨床評価された顎の皮膚の張りが最も重要であり、その後に、機器測定された外眼角の皮膚の張り、臨床評価された額のしわ、臨床評価された目の下のしわ、糖化に関連したin vivo蛍光、臨床評価された唇のしわ、機器評価された皮膚のきめなどが続いた。
【実施例3】
【0061】
均質な年齢分布の白人女性の4部構成研究
実施例2に記載した同じ試験集団に包括的なアンケートを実施した。アンケートは、経歴に関する12の質問、顔面皮膚に関する14のマルチパート質問、使用化粧品に関する1つのマルチパート質問、毛髪に関する9のマルチパート質問、身体の皮膚に関する3つのマルチパート質問、一般的な健康および生活様式に関する32のマルチパート質問、ならびに精神的健康に関する6のマルチパート質問を含んでいた。
【0062】
被験者の応答を統計解析に含める場合、得られた白人女性に関する客観的見かけ年齢スコア(OAAS)の式は次のとおりであった:
式3:
OAAS = 1.73(CA-目の下のしわ) + 2.64(CA-張り) + 1.26(CA-額のしわ) +
1.24(CA-唇のしわ) − 0.86(BI-張り) − 72.91(BI-皮膚のきめ) +
1.95(BM-糖化) + 1.70(Q-顔色) + 2.49(Q-目尻のしわ) + 2.41(Q-顔のしみ)
−2.37(Q-敏感肌) − 1.74(Q-日中の眠気) + 38.21
BI、BMおよびCAは上記のとおりである。ここで、Qはアンケートにより得られたデータを示す。多くの質問のうち、以下の質問のみが要因分析により保持された:
Q-顔色: 「あなたはあなたの顔色をどのように説明しますか?」
非常に色白=1、色白=2、中位=3、色黒=4
Q-目尻のしわ: 「あなたは目の角にしわがありますか?」
ある=1、なし=0
Q-顔のしみ: 「あなたは顔にしみや変色がありますか?」
ある=1、なし=0
Q-敏感肌: 「あなたは敏感肌ですか?」
はい=1、いいえ=0
Q-日中の眠気: 「あなたは日中眠気を感じますか?」
はい=1、いいえ=0
【0063】
この4部構成研究では、実施例2の3部構成研究での87.1%および実施例1の予備的研究での76.1%と比較して、12のパラメータが観察可能な皮膚老化の大部分(87.7%)を説明することができた。
【0064】
図3は、4部構成研究でOAASを決定する際の各要因の相対強度を表すパイチャートである。研究対象の集団では、臨床評価された顎(jowl)の皮膚の張りが最も重要であり、その後に、臨床評価された目の下のしわ、機器測定された外眼角の皮膚の張り、臨床評価された額のしわ、臨床評価された唇のしわ、糖化に関連したin vivo蛍光、機器評価された皮膚のきめなどが続いた。したがって、3部構成(実施例2)および4部構成(実施例3)の研究は、たった12の変数を測定するだけで87%を上回る皮膚老化を説明することができた。さらに、両研究では、最も重要な7つの変数が、順序の入れ替えは多少あるものの、同じである。これら7つの変数は、臨床評価される顎の皮膚の張り、機器測定される外眼角の皮膚の張り、臨床評価される額のしわ、臨床評価される目の下のしわ、糖化に関連したin vivo蛍光、臨床評価される唇のしわ、および機器評価される皮膚のきめである。
【0065】
実施例2の3部構成研究において、最も重要な次の2つの要因(臨床評価される目尻のしわおよび臨床評価されるしみ)が、4部構成研究では次の2つの最重要要因(自己判定される目尻のしわおよび自己判定される顔のしみ)と、ほぼ同じ重みで、置き換えられた。観察者の身元(臨床医または被験者)はこの場合にほとんど影響を及ぼさないので、これらの要因を「視覚的に評価される」目尻のしわおよびしみと呼ぶことができる。
【0066】
実施例2の3部構成研究において、3つの最下位の要因(臨床評価される毛穴、細胞増殖に関連したin vivo蛍光、および機器測定される目尻のしわ)が、実施例3の4部構成研究では、3つの最下位の要因(自称される顔色、敏感肌および眠気)と置き換えられた。
【0067】
したがって、この研究への心理学的要素の導入は、少なくとも調査した集団に関して、客観的見かけ年齢スコアにほとんど変化を起こさなかった(0.6%の改善)。このことは、被験者へのフィードバックまたは自己評価が他の集団にとって重要ではない、ということを意味するものではない。
【実施例4】
【0068】
均質な年齢分布の日本人女性の3部構成研究
493人の日本人女性のボランティアが参加する研究を行った。この研究は2009年に日本で実施した。臨床評価されるパラメータは、日本人の年齢および外観の認知に慣れている日本人の専門家により評価された。測定および評価は上の表2に記載したように行ったが、10の臨床パラメータのリストに、4つがさらに追加された。これらは、瞼のたるみ、鼻唇溝(ほうれい線)、マリオネットライン、および目の下のむくみ、の存在および/または深刻度である。さらに、この場合にはバリストメータの代わりにキュートメータ(cutometer)を用いた。日本人女性のサンプルは次の年齢グループに均質に分布していた:20〜29、30〜39、40〜49、50〜59、60+。上記の統計解析および要因分析の後に、得られた日本人女性に関する客観的見かけ年齢スコア(OAAS)の式は次のとおりである:
式4:
OAAS = 1.60 (CA-頬のしわ) + 2.17 (CA-鼻唇溝) + 0.97 (CA-しみ) +
1.08 (CA-瞼のたるみ) − 80.98 (BI-皮膚のきめ) − 9.61 (BI-皮膚の密度) +
1.14 (CA-マリオネットライン) − 22.82 (弾力性) + 0.91 (CA-毛穴) +
1.00 (CA-目の下のむくみ) − 14.16 (BI-緩和時間) + 0.19 (BI-目尻のしわ)
−0.73 (BI-皮膚の色調) + 0.56 (CA-額のしわ) + 0.57 (CA-色調) + 75.89
【0069】
図4は、日本人女性の3部構成研究において客観的見かけ年齢に寄与する要因を示すパイチャートである。図示されるように、日本人女性の見かけ年齢に関係する要因はアメリカの白人女性と大きく異なっている。老化の約50%は、臨床評価される鼻唇溝、臨床評価されるマリオネットライン、臨床評価されるしみ、臨床評価される頬のしわ、臨床評価される瞼のたるみ、機器測定される皮膚のきめ、および機器測定される皮膚密度に起因していた。機器測定される皮膚の弾力性、臨床評価される毛穴、臨床評価される目の下のむくみ、および臨床評価される皮膚の色調を含めるならば、それは約75%に上昇する。示した15の要因を全て用いると、観察された老化の87.6%を説明することができた。
【実施例5】
【0070】
均質な年齢分布の白人女性の拡張した3部構成研究
実施例2の研究を拡張するにあたって、4つの追加の臨床パラメータをその後含めた:瞼のたるみ、鼻唇溝、マリオネットライン、および目の下のむくみ。これら4つの臨床変数の測定は、実施例2の最初の測定のときに撮った写真から後日行った。上記の統計解析および要因分析に従うことにより、白人女性に関する客観的見かけ年齢スコアの式を上に示したように作成することができる。実施例5では、新しい要因が見かけ年齢を理解する上で重要になるとき、どのようにして本発明の方法論を拡張できるか、が示される。
【0071】
見かけ年齢の客観的モデル
「見かけ年齢の客観的モデル」とは、本明細書において、見かけ年齢の50%以上が「客観的に測定される」パラメータに起因する、見かけ年齢の判定方法を意味する。見かけ年齢の好ましい客観的モデルでは、見かけ年齢の少なくとも75%が客観的に測定されるパラメータに起因し、さらに好ましいモデルでは、見かけ年齢の少なくとも85%が客観的に測定されるパラメータに起因する。「客観的に測定される」とは、本明細書において、測定が当技術分野でその作業に適すると認められた機器および/または訓練を受けた「専門」臨床医によって実施されることを意味する。
【0072】
この「見かけ年齢の客観的モデル」の定義は、本明細書に記載した方法論に従うことから得られるあらゆる数式を含む。例えば、式1〜4は本発明者らの「見かけ年齢の客観的モデル」の数学的実施形態である。当然ながら、式1〜4は、皮膚老化のかなりの部分を依然説明しつつ、係数を変えることによって、ある程度変更することができる。言い換えれば、式1〜4のいずれかで始まって、1つまたは複数の係数が±50%変えられるときには、有用なOAASがまだ得られる可能性がある。そのような変化は本発明の範囲内である。
【0073】
さらに、実施例2の3部構成研究と実施例3の4部構成研究がどちらも同じ7つの最重要変数を同定したので、アメリカの白人女性に関する見かけ年齢の有用かつ客観的なモデルは、客観的に測定される顎の皮膚の張り、外眼角の皮膚の張り、額のしわ、目の下のしわ、糖化に関連したin vivo蛍光、唇のしわ、および皮膚のきめのいくつかの組合せを含むことが今回わかった。さらに具体的には、本発明は、顎の皮膚の張り、外眼角の皮膚の張り、額のしわ、目の下のしわ、糖化に関連したin vivo蛍光、唇のしわ、および皮膚のきめの数量的測定の線形結合を含む、白人女性の見かけ年齢の客観的モデルを包含する。
【0074】
本明細書に記載した方法によって、まだ見かけ老化を説明していない追加の関連変数を同定することが可能である。1つ以上の特定の集団のための見かけ年齢モデルを構築する上で重要となる追加のパラメータの例は、目の強膜、目の周りのくま、頬や目の毛細血管の損傷、酒さ(rosacea)、くま、くすみなどである。実際、疑われるさまざまな加齢マーカーを、大部分の見かけ年齢を説明する上での有用性について試験することができる。その秘訣は見かけ年齢のほとんどを説明する管理しやすい数を見つけることである。20〜69才の白人女性に関しては、見かけ年齢の87%以上が上記の式2および3によって解釈され得る。これは見かけ年齢のかなりの量であり、また、式2および3は管理しやすく、非常に有用である。20〜60+才の日本人女性に関しては、見かけ年齢の87%以上が上記の式4によって解釈され得る。これは見かけ年齢のかなりの量であり、また、式4は管理しやすく、非常に有用である。
【0075】
さらに、本明細書に開示した方法によって、いずれかの特定した亜集団のために式を開発することができる。そうした式は式1〜4に類似しているだろうが、要因分析によって、亜集団ごとに異なるパラメータおよび異なる重み付けが同定されるだろう。例えば、目の周りのくまは日本人女性とアメリカ白人女性とでは異なって進行することが知られている。亜集団は年齢、民族性、性別、経済状態、宗教、環境要因(日光への暴露、環境汚染、受動喫煙、重力、刺激物など)、生活様式の選択(食事、運動、睡眠量、喫煙、職業上の危険性、機械的操作(すなわち、マッサージ)など)、遺伝的情報(例えば、ビタミンまたはミネラルの欠乏症または疾患)、外用製剤の使用(例えば、化粧品、外皮用薬品、および医薬品)に基づくことができ、亜集団のどのような意味のある分類を採用してもよい。しかし、理想的には、亜集団の見かけ年齢のかなりの部分を説明するために必要な要因の数は、処置を容易に評価できかつ有効な製品をより迅速に開発できるように、管理しやすい少ない数とすべきである。
【0076】
一般的に、より狭く特定した亜集団から始めることによって、本明細書に記載した方法はより正確なOAAS式をもたらすだろう。それは、彼/彼女が見かけ老化の主原因を正確に突き止められるという点で、亜集団内の個体に有益である。それはまた、処置(手入れ)製品の開発者がより具体的に消費者のニーズに対応できるようにするだろう。例えば、それぞれの白人女性について、老化に最も寄与する要因を式2または3から同定して、その要因に対処することができる。最重要の要因に基づいて処置を処方することができ、また、式2または3を再適用することによって処置の進行状況をモニタリングすることができる。同様に、日本人女性に関しては、老化に最も寄与する要因を式4から同定することができる。したがって、製品(処置)の有効性を評価する方法は以下を含む:式2もしくは3または4に類似する式で具体化される、見かけ年齢の客観的モデルを用意すること;1人以上の個体の各々について、客観的モデルを用いて第1の客観的見かけ年齢を判定すること;それらの個体に、客観的モデル中の少なくとも1つの要因に影響を与える処置のコースを施すこと;各個体について、客観的モデルを用いて第2の客観的見かけ年齢を判定すること;各個体について、第2の見かけ年齢から第1の見かけ年齢を差し引くこと。その結果得られる差がマイナスである場合、その処置は客観的見かけ年齢を低下させるという点で効果があった。それ以外の場合は、処置に効果がなかった。マイナスの差が大きければ大きいほど、処置はより効果的である。
【0077】
一方、狭く特定された亜集団ごとに処置(手入れ)製品を開発することは実現可能でないかもしれない。その場合には、中間的なアプローチを取って、大多数の消費者タイプ向けに2〜3の製品を開発し、それでもまだ見かけ老化の最重要要因の多くに対処できるようにする。例えば、30代の白人、アフリカ人およびアジア人女性の間で、客観的見かけ老化の1つまたは2つの要因は共通している可能性がある。こうした要因に影響を与える単一の製品は3つ全ての亜集団に適している。
【0078】
また、本発明者らの推測によれば、亜集団から統計的に有意なデータ(客観的見かけ皮膚年齢に対する各種処置の効力の程度を含む)を蓄積した後で、皮膚処置(肌手入れ)製品およびプロトコールの結果を予測することが可能であろう。例えば、処置の結果を予測する方法は以下を含む:ある個体を、見かけ年齢の客観的モデルがすでに確立されている特定の亜集団に属する個体として同定すること;その亜集団向けのモデルに基づいて、その個体の客観的見かけ年齢を判定すること;処置結果のデータが入手できる、同じ客観的見かけ年齢を有する亜集団のメンバーを同定すること;これらのメンバーについて以前に得られた客観的見かけ年齢の低下に注目すること;その個体に対して同じことを予測すること。
【0079】
さらに、亜集団から統計的に有意なデータ(見かけ皮膚老化の速度を含む)を蓄積した後で、個体の外観が老化していく速度を予測することができると考えられる。例えば、皮膚老化の速度を予測する方法は以下を含む:ある個体を、見かけ年齢の客観的モデルがすでに確立されている特定の亜集団に属する個体として同定すること;その亜集団向けのモデルに基づいて、その個体の客観的見かけ年齢を判定すること;客観的見かけ老化の速度がわかっている、同じ客観的見かけ年齢を有する亜集団のメンバーを同定すること;その個体に対して同じ客観的見かけ老化の速度を予測すること。
【0080】
本発明の別の用途は、化粧品、外皮用薬品または医薬品の有効性に関する市場または消費者の要求を裏付けることである。そうした要求は「肌を5才若く見えるようにする」ことであるかもしれない。これまで「より若く見える」を測定するための信頼できる便利な方法がまったくなかったので、この要求は通常の要求よりも具体的である。今や、被験者グループの客観的見かけ年齢を化粧品や外皮用薬品の処方適用の前後に判定することが可能である。式2、3または4のような式によって計算される客観的見かけ年齢の低下がいくらかでも認められるならば、その低下は、そのような要求をするときに規制当局が必要とする裏付けを提供することができる。したがって、本発明は、製品の有効性に関する市場または消費者の要求を検証するための見かけ年齢の客観的モデルの使用を包含する。
【0081】
最後に、本発明者らは、有用な客観的見かけ年齢は「少ない」数の容易に測定可能なパラメータに基づく必要があることに注目している。OAASは20より少ない数のパラメータに基づくことが好ましく、15より少ない数のパラメータがより好ましく、10より少ない数のパラメータが最も好ましい。これらの数は、製品の開発や要求の具体化に必要な仕事量を、管理しやすい経済的レベルに維持することができる。
【0082】
以下の特許請求の範囲では、上記の特定の定義が適用されねばならない。これらは以下のとおりである:
1. 「客観的測定」 - 当技術分野でその作業に適すると認められた機器および/または訓練を受けた「専門」臨床医によって実施される測定;
2. 「見かけ年齢の客観的モデル」 - 見かけ年齢の50%以上が客観的に測定されるパラメータに起因する、見かけ年齢の判定方法。この定義はこの方法論に従うことから得られるあらゆる数式を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト皮膚の見かけ年齢の少なくとも85%が、客観的に測定されるパラメータに起因している、ヒト皮膚の見かけ年齢の客観的モデル。
【請求項2】
20より少ない数のパラメータを含む数式により構成される、請求項1に記載の客観的モデル。
【請求項3】
顎の皮膚の張り、外眼角の皮膚の張り、額のしわ、目の下のしわ、糖化に関連したin vivo蛍光、唇のしわ、および皮膚のきめの数量的測定の線形結合を含む、ヒト皮膚の見かけ年齢の客観的モデル。
【請求項4】
視覚的に評価される目尻のしわおよび皮膚のしみの線形結合をさらに含む、請求項3に記載の客観的モデル。
【請求項5】
式2または3で表される、請求項4に記載の客観的モデル。
【請求項6】
臨床評価される鼻唇溝、臨床評価されるマリオネットライン、臨床評価されるしみ、臨床評価される頬のしわ、臨床評価される瞼のたるみ、機器測定される皮膚のきめ、および機器測定される皮膚密度の数量的測定の線形結合を含む、ヒト皮膚の見かけ年齢の客観的モデル。
【請求項7】
機器測定される皮膚の弾力性、臨床評価される毛穴、臨床評価される目のむくみ、および臨床評価される皮膚の色調の線形結合をさらに含む、請求項6に記載の客観的モデル。
【請求項8】
式4で表される、請求項7に記載の客観的モデル。
【請求項9】
見かけ年齢の客観的モデルを開発する方法であって、
モデルになる亜集団を識別すること;
その亜集団において見かけ皮膚年齢に関連するパラメータのセットを同定すること;
亜集団内の1セットの個体について前記パラメータを客観的に測定してデータセットを作成すること;
そのデータセットに要因分析を適用して、観察された皮膚老化の少なくとも50%を説明する要因を同定すること;
回帰分析を適用して、そのデータに最良適合する要因の線形結合を決定すること;
を含む上記方法。
【請求項10】
前記亜集団が年齢、性別、民族性、宗教、経済状態、日光への暴露、環境汚染、受動喫煙、食事、運動、睡眠量、喫煙、または化粧品、外皮用薬品もしくは医薬品の使用の1以上に基づいて識別される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
処置の有効性を評価する方法であって、
請求項9に従って見かけ年齢の客観的モデルを用意すること;
亜集団内の1人以上の個体の各々について、客観的モデルを用いて第1の見かけ年齢を判定すること;
その個体に、客観的モデル中の少なくとも1つの要因に影響を与える処置のコースを施すこと;
各個体について、客観的モデルを用いて第2の見かけ年齢を判定すること;
各個体について、第2の見かけ年齢から第1の見かけ年齢を差し引くこと;
マイナスの差を有効な処置と関連づけること;
を含む上記方法。
【請求項12】
見かけ年齢を低下させる外用製品を開発する方法であって、
請求項9に従って見かけ年齢の客観的モデルを用意すること;
亜集団内の1人以上の個体の各々について、客観的モデルを用いて第1の見かけ年齢を判定すること;
各個体の顔に、客観的モデル中の少なくとも1つの要因に影響を与える外用製品を塗布すること;
各個体について、客観的モデルを用いて第2の見かけ年齢を判定すること;
各個体について、第2の見かけ年齢から第1の見かけ年齢を差し引いて、見かけ年齢の低下を確認すること;
見かけ年齢のより大きな低下をもたらす外用製品を再処方すること;
場合により、所望の年齢の低下が達成されるまで再処方の工程を繰り返すこと;
を含む上記方法。
【請求項13】
ある要因が1人以上の個体の見かけ年齢に及ぼす影響を評価する方法であって、
請求項9に従って見かけ年齢の客観的モデルを用意すること;
亜集団内の1人以上の個体の各々について、客観的モデルを用いて第1の見かけ年齢を判定すること;
各個体を、皮膚に影響を与える要因にさらすこと;
各個体について、客観的モデルを用いて第2の見かけ年齢を判定すること;
各個体について、第2の見かけ年齢から第1の見かけ年齢を差し引くこと;
プラスの差を加齢増悪要因と関連づけること;
を含む上記方法。
【請求項14】
処置の結果を予測する方法であって、
ある個体を、見かけ年齢の客観的モデルがすでに確立されている特定の亜集団に属する個体として同定すること;
その亜集団向けのモデルに基づいて、その個体の見かけ年齢を判定すること;
処置結果のデータが入手できる、その個体と同じ見かけ年齢を有する亜集団のメンバーを同定すること;
これらのメンバーについて以前に得られた見かけ年齢の低下に注目すること;および
その個体に対して同じ見かけ年齢の低下を予測すること;
を含む上記方法。
【請求項15】
個体の外観が老化していく速度を予測する方法であって、
ある個体を、見かけ年齢の客観的モデルがすでに確立されている特定の亜集団に属する者として同定すること;
その亜集団向けのモデルに基づいて、その個体の見かけ年齢を判定すること;
見かけ老化の速度がわかっている、その個体と同じ見かけ年齢を有する亜集団のメンバーを同定すること;
その個体に対して同じ見かけ老化の速度を予測すること;
を含む上記方法。
【請求項16】
製品の有効性に関する市場または消費者の要求を検証するための、見かけ年齢の客観的モデルの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−501753(P2012−501753A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526229(P2011−526229)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056043
【国際公開番号】WO2010/028247
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】