説明

見開き状クリアポケットファイル及びその製造方法

【課題】見開いた後に閉じたときに被挟体に正確に折り目をつけることができる、見開き状クリアポケットファイルを提供する。
【解決手段】見開き状クリアポケットファイルは、表紙体18と、シート状ポケット群20とを備え、シート状ポケット群は、複数のシート状ポケット22により構成され、前記各シート状ポケット22は、第1ポケット構成シート30と、開口縁42を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シート40とを有し、第1ポケット構成シート30は、それぞれ単独で、隣接する第1ポケット構成シートとの間に間隔をおいて溶着縁32にて表紙体18に固着され、第2ポケット構成シート40は、第1ポケット構成シート30の溶着縁と並ぶ開口縁42を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接するシート状ポケット22の開口縁52と対向して開口されるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、見開き状クリアポケットファイル及びその製造方法に関し、特に、たとえば、クリヤーブックなどの背表紙部の両側に表表紙部と裏表紙部が連設され、大きめサイズの書類などを見開いて見ることができるように表表紙側と裏表紙側との間に跨って収納できる、透明ポケットが固着されたファイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明のファイルムでポケットを形成した透明ポケットファイルがある。
それには、ポケットが表紙に溶着固定されたファイルにおいてポケットが見開いた状態でつくられ、それを数枚重ねたものの中央部を、溶解して表紙の背部に溶着又は綴じ具に綴じることにより、ポケットを綴じたファイルがある(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−039458号公報
【特許文献2】特開2002−331784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のファイルでは、そして、ポケット1枚1枚をそれぞれ表紙に融着したものであっても、ポケット枚数が増えるに従い、見開いた時、ポケットの厚み、書類の厚みにより見開きが中央にゆくに従ってフラットからどんどんカーブしていき、結果的に見開きが悪くなってしまう。
表表紙部側と裏表紙部側との間に跨って挟み込まれた書類などに、本来の折り目と異なる折り目がついてしまう。
また、特許文献2のファイルでは、ポケット1枚1枚が分割されていることにより、各ポケットが動いて特許文献1と同様の問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、見開き状クリアポケットファイルを見開いた後に閉じたときに被挟体に正確に折り目をつけることができる、見開き状クリアポケットファイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1にかかる見開き状クリアポケットファイルは、表紙体と、前記表紙体の中間領域で表紙体の内面に固着された透明性を有するシート状ポケット群とを備えた、見開き状クリアポケットファイルであって、シート状ポケット群は、複数のシート状ポケットにより構成され、前記各シート状ポケットは、表紙に溶着するための溶着縁を備えた第1ポケット構成シートと、開口縁を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シートとを有し、第1ポケット構成シートは、それぞれ単独で、隣接する第1ポケット構成シートとの間に間隔をおいて溶着縁にて表紙体に固着され、第2ポケット構成シートは、底縁及び上縁において、表紙に溶着された溶着縁と交差する第1ポケット構成シートにおける底縁及び上縁と連続して封止されるとともに、底縁と交差し且つ第1ポケット構成シートの溶着縁と並ぶ開口縁を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シートの第2ポケット構成シートの開口縁と対向して開口されるように形成された、見開き状クリアポケットファイルである。
この発明の請求項2にかかる見開き状クリアポケットファイルは、シート状ポケットは、第1ポケット構成シートのA面に設けられた第2ポケット構成シートと、第1ポケット構成シートのB面に設けられた第3ポケット構成シートとを備え、第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとは、一枚のシートからなり、幅方向における中間領域において、底縁から上縁にかけて折り返されて、第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとの間に挟まれた第1ポケット構成シートにおける底縁と交差し溶着縁と相対する側縁に、第2ポケット構成シート及び第3ポケット構成シートの折り返されて構成された側縁が並んで固定された、請求項1に記載の見開き状クリアポケットファイルである。
この発明の請求項3にかかる見開き状クリアポケットファイルは、A面側の第2ポケット構成シートの開口部は、隣接するシート状ポケットのB面側の第3ポケット構成シートと近くに位置して対向し、第1ポケット構成シートと第2ポケット構成シートとの間に形成された収容部に収容される被挟体を、A面側シート状ポケットの収容部とB面側のシート状ポケットの収容部に跨って収容され、被挟体の幅方向における中央領域を隣接するA面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとの中間に位置させて、被挟体の折り曲げ部を隣接するA面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとの中間において高さ方向に第1ポケット構成シートの溶着縁に沿ってのびるように、A面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとは、第1ポケット構成シートの溶着縁において表紙体に固着された、請求項1または請求項2に記載の見開き状クリアポケットファイルである。
この発明の請求項4にかかる見開き状クリアポケットファイルは、第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとは、一枚の長尺状樹脂シートを折り返されて、対向するように構成され、第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとの対向する面の間に第1ポケット構成シートを挟み込み、第1ポケット構成シート,第2ポケット構成シート及び第3ポケット構成シートを幅方向に溶着切断して、ポケットシートの底縁及び上縁を封止するように形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の見開き状クリアポケットファイルである。
この発明の請求項5にかかる見開き状クリアポケットファイルの製造方法は、表紙体と、前記表紙体の中間領域で表紙体の内面に固着された透明性を有するシート状ポケット群とを備えた、見開き状クリアポケットファイルの製造方法であって、シート状ポケット群を、複数のシート状ポケットにより構成するために、前記各シート状ポケットは、表紙に溶着するための溶着縁を備えた第1ポケット構成シートと、開口縁を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シートとを有し、第2ポケット構成シートを、溶着縁と交差する第1ポケット構成シートにおける底縁及び上縁において、第1ポケット構成シートの底縁及び上縁と連続して封止するとともに、底縁と交差し且つ第1ポケット構成シートの溶着縁と並ぶ開口縁を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シートの第2ポケット構成シートの開口縁と対向して開口されるように形成し、前記各シート状ポケットを構成する第1ポケット構成シートを、それぞれ単独で、表紙に溶着するための溶着縁により、隣接する第1ポケット構成シートとの間に間隔をおいて溶着縁にて表紙体に固着し、底縁と交差し且つ第1ポケット構成シートの溶着縁と並ぶ開口縁を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シートの第2ポケット構成シートの開口縁と対向して開口されるように形成した、見開き状クリアポケットファイルの製造方法である。
この発明の請求項6にかかる見開き状クリアポケットファイルの製造方法は、第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとは、一枚の長尺状樹脂シートを折り返し、対向するように構成し、第2ポケット構成シートと第2ポケット構成シートとの対向する面の間に第1ポケット構成シートを挟み込み、第1ポケット構成シート,第2ポケット構成シート及び第3ポケット構成シートを幅方向に溶着切断して、ポケットシートの底縁及び上縁を封止するように形成した、請求項5に記載の見開き状クリアポケットファイルの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、被挟体の幅方向における中央領域を、隣接するA面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとの中間に位置させ、被挟体の折り曲げ部が隣接するA面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとの中間において高さ方向に第1ポケット構成シートの溶着縁に沿ってのび、見開いた状態でシート状ポケットの収容部に挿入されるように構成されているので、被挟体の中央に正確に折り目を形成できる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明からいっそう明らかとなろう。
この明細書及び特許請求の範囲において、ファイルの表紙の高さ、表紙の幅及び背幅は、一般的に用いられている表現を用いているが、念のために、図13において、表紙の高さをH、表紙の幅をW、背幅をTとして示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施の形態であるポケットファイルの斜視図解図である。
【図2】図1図示ポケットファイルの開いた状態における断面図解図である。
【図3】図1図示ポケットファイルの開いた状態における断面図解図である。
【図4】図1図示ポケットファイルの閉じた状態における横断面図解図である。
【図5】図1図示ファイルの製法を示す斜視図解図である。
【図6】図1図示ファイルの製法を示す斜視図解図である。
【図7】図1図示ファイルの製法を示す斜視図解図である。
【図8】図1図示ファイルの製法を示す斜視図解図である。
【図9】図1図示ファイルの製法を示す斜視図解図である。
【図10】図1図示ファイルの製法を示す断面図解図であり、シート状ポケット群の準備状態を示す図である。
【図11】図1図示ファイルの製法を示す断面図解図であり、シート状ポケット群と連結体との連結方法を示す図である。
【図12】図1図示ファイルの製法を示す断面図解図であり、シート状ポケット群と連結体との連結方法を示す図である
【図13】この発明にかかるファイルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、この発明の一実施の形態である見開き状クリアポケットファイルの斜視図解図であり、図2は、図1図示見開き状クリアポケットファイルの開いた状態における斜視図解図である。図3は、図1図示見開き状クリアポケットファイルの閉じた状態における縦断面図解図である。
ファイル10は、見開き状クリアポケットファイルである。
ファイル10は、ポリプロピレン等の合成樹脂シートからなる表表紙部12と、裏表紙部14と、前記表表紙部12と裏表紙部14との間に連設された背表紙部16とを有する表紙体18と、シート状ポケット群20を構成する第1ポケット構成シート30の溶着縁32において溶着されて連結されたシート状ポケット群20とを備えている。
【0011】
ファイル10は、前記表表紙部12と裏表紙部14との間に連設された背表紙部16の内側において、シート状ポケット群20を構成する第1ポケット構成シート30の溶着縁32を、溶着固定されている。
【0012】
表表紙部12及び裏表紙部14は、表表紙部12及び裏表紙部14の高さ方向において上端から下端に亘って連続する直線状の表折り曲げ部24及び裏折り曲げ部26を介して、ほぼ直角に交差するように、背表紙部16に連設されている。
【0013】
前記シート状ポケット22は、背表紙部16に固着された直線状部位から上の部位の間において、柔軟に形成されている。
シート状ポケット22は、背表紙部16に固着された直線状部位と直交する底縁部22aと底縁部22aに相対する上縁部22b及び背表紙部16に固着された直線状部位に相対する側縁部22cとを備えている。
【0014】
ファイル10は、表紙体18と、前記表紙体18の中間領域で表紙体18の内面に固着された透明性を有するシート状ポケット群20とを備えた、見開き状クリアポケットファイルであって、シート状ポケット群20は、複数のシート状ポケット22により構成されている。
【0015】
前記各シート状ポケット22は、表紙に溶着するための溶着縁32を備えた第1ポケット構成シート30と、開口縁42を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シート40と、開口縁52を備えた、透明性を有する第3ポケット構成シート50とを有する。
第2ポケット構成シート40は、第1ポケット構成シート30を挟んでA面(表紙)側に位置し、第3ポケット構成シート50は、第1ポケット構成シート30を挟んでB面(表紙)側に位置している。
【0016】
第1ポケット構成シート30は、平面視方形状で、溶着縁32と交差する底縁34と溶着縁32と交差する上縁36と溶着縁32と相対する側縁38とを備える。
第1ポケット構成シート30は、それぞれ単独で、隣接する第1ポケット構成シート30との間に間隔をおいて、溶着縁32にて表紙体18に固着されている。
【0017】
第2ポケット構成シート40は、平面視方形状であり、開口縁42と交差する底縁44及び該底縁44と相対する上縁46と、底縁44及び上縁46と交差する側縁48とを備える。
第2ポケット構成シート40は、底縁44において、表紙に溶着された溶着縁32と交差する第1ポケット構成シート30における底縁34と連続して封止されている。
底縁44と交差し且つ第1ポケット構成シート30の溶着縁32と並ぶ開口縁42は、第1ポケット構成シート30の溶着縁32を溶着された表紙体18に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シート30の第3ポケット構成シート50の開口縁52と対向して開口されるように形成されている。
【0018】
第3ポケット構成シート50は、平面視方形状であり、開口縁52と交差する底縁54及び該底縁54と相対する上縁56と、底縁54及び上縁56と交差する側縁58とを備える。
第3ポケット構成シート50は、底縁54において、表紙に溶着された溶着縁32と交差する第1ポケット構成シート30における底縁34と連続して封止されている。
底縁54と交差し且つ第1ポケット構成シート30の溶着縁32と並ぶ開口縁52は、第1ポケット構成シート30の溶着縁32を溶着された表紙体18に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シート30の第2ポケット構成シート40の開口縁42と対向して開口されるように形成されている。
【0019】
シート状ポケット22は、第1ポケット構成シート30のA面に設けられた第2ポケット構成シート40と、第1ポケット構成シート30のB面に設けられた第3ポケット構成シート50とを備え、第2ポケット構成シート40と第3ポケット構成シート50とは、一枚のシートからなり、幅方向における中間領域において、底縁44及び底縁54から上縁46及び上縁56にかけて折り返されたもので構成されている。
第2ポケット構成シート40と第3ポケット構成シート50との間に挟まれた第1ポケット構成シート30における底縁34と交差し溶着縁32と相対する第1ポケット構成シート30の側縁38に、第2ポケット構成シート40及び第3ポケット構成シート50を折り返されて構成された第2ポケット構成シート40の側縁48及び第3ポケット構成シート50の側縁58が並んで固定されている。
【0020】
第2ポケット構成シート40と第3ポケット構成シート50とは、図5に示すように、一枚の長尺状樹脂シートを折り返されて、対向するように構成され、第2ポケット構成シート40と第2ポケット構成シート40との対向する面の間に第1ポケット構成シート30を挟み込み、第1ポケット構成シート30,第2ポケット構成シート40及び第3ポケット構成シート50を幅方向に溶着切断して、ポケットシートの底縁34,底縁44及び底縁54並びに上縁36,上縁46及び上縁56を封止するように形成されている。
もっとも、第2ポケット構成シート40と第3ポケット構成シート50とは、図8及び図9に示すように、一枚の樹脂シートを折り返されて、対向するように構成され、第2ポケット構成シート40と第2ポケット構成シート40との対向する面の間に第1ポケット構成シート30を挟み込み、第1ポケット構成シート30,第2ポケット構成シート40の開口縁42及び第3ポケット構成シート50の開口縁52を除く、底縁44及び底縁54と第1ポケット構成シート30の底縁34とを溶着し、上縁46及び上縁56と第1ポケット構成シート30の上縁36とを溶着して、ポケットシートの底縁34,底縁44及び底縁54並びに上縁36,上縁46及び上縁56を封止するように形成されてもよい。
【0021】
この実施の形態においては、シート状ポケット22は、底縁部22aが底縁34,底縁44及び底縁54で構成され、上縁部22bが上縁36,上縁46及び上縁56で構成され、側縁部22cが側縁38,側縁48及び側縁58で構成されている。
【0022】
A面側の第2ポケット構成シート40の開口部は、隣接するシート状ポケット22のB面側の第3ポケット構成シート50と近くに位置して対向し、第1ポケット構成シート30と第2ポケット構成シート40との間に形成された収容部80に収容される被挟体Sを、A面側シート状ポケット22の収容部80とB面側のシート状ポケット22の収容部80に跨って収容され、被挟体Sの幅方向における中央領域を、隣接するA面側のシート状ポケット22とB面側のシート状ポケット22との中間に位置させる。
そして、被挟体Sの折り曲げ部S1が隣接するA面側のシート状ポケット22とB面側のシート状ポケット22との中間において高さ方向に第1ポケット構成シート30の溶着縁32に沿ってのびるように、A面側のシート状ポケット22とB面側のシート状ポケット22とは、第1ポケット構成シート30の溶着縁32において表紙体18に固着されている。
【0023】
次に、この発明にかかる見開き状クリアポケットファイルの製造方法について、主として図5ないし図9に基づいて説明する。
まず、表紙体18と、前記表紙体18の中間領域で表紙体18の内面に固着された透明性を有するシート状ポケット群20とを準備する。
【0024】
シート状ポケット群20を、複数のシート状ポケット22により構成するために、前記各シート状ポケット22は、表紙に溶着するための溶着縁32を備えた第1ポケット構成シート30と、開口縁42を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シート40と、開口縁52を備えた、透明性を有する第3ポケット構成シート50とを準備する。
そして、第2ポケット構成シート40及び第3ポケット構成シート50を、開口縁42及び開口縁52と交差する底縁44及び底縁54において、表紙に溶着される溶着縁32と交差する第1ポケット構成シート30の底縁34と接続して封止するとともに、開口縁42及び開口縁52と交差する上縁46及び上縁56において、表紙に溶着される溶着縁32と交差する第1ポケット構成シート30の上縁36と接続して封止する。
【0025】
次に、底縁44と交差し且つ第1ポケット構成シート30の溶着縁32と並ぶ開口縁42を、第1ポケット構成シート30の溶着縁32と溶着された表紙体18に対向する位置で、シート状ポケット22の第3ポケット構成シート50の開口縁52と隣接するシート状ポケット22の第2ポケット構成シート40の開口縁42と対向して開口されるように、前記各シート状ポケット22を構成する第1ポケット構成シート30を、それぞれ単独で、表紙に溶着するための溶着縁32により、隣接する第1ポケット構成シート30との間に間隔をおいて溶着縁32にて表紙体18に固着する。
【0026】
更に、底縁34と交差し且つ第1ポケット構成シート30の溶着縁32と並ぶ開口縁42を、第1ポケット構成シート30の溶着縁32を溶着された表紙体18に対向する位置で、シート状ポケット22の第3ポケット構成シート50の開口縁52と隣接するシート状ポケット22の第2ポケット構成シート40の開口縁42と対向して開口されるように、表紙に溶着するための溶着縁32により、隣接する第1ポケット構成シート30との間に間隔をおいて溶着縁32にて表紙体18に固着する。
【0027】
第2ポケット構成シート40と第3ポケット構成シート50とは、図5において示すように、一枚の長尺状樹脂シートを折り返し、対向するように構成し、第2ポケット構成シート40と第3ポケット構成シート50との対向する面の間に第1ポケット構成シート30を挟み込み、第1ポケット構成シート30,第2ポケット構成シート40及び第3ポケット構成シート50を幅方向に溶着切断して、シート状ポケット22の底縁34,底縁44及び底縁54並びに上縁36,上縁46及び上縁56を封止するように形成する。
【0028】
次に、本発明にかかるシート状ポケット22を表紙体18に溶着する製法について、図10ないし図12に基づいて説明する。
【0029】
製本装置1000は、図10に示すように、多数枚のシート状ポケット22を保持するシート状ポケット保持機構1002と、表紙体18を保持する表紙体用保持機構1004と、発熱体1006(H)と、この発熱体1006(H)をシート状ポケット22と表紙体18との間に介在または抜き出し可能とするシリンダ機構(図示せず)とを備えている。
【0030】
シート状ポケット保持機構1002は、テーブル1010に固定のシート状ポケット押圧部1008と、図示しないねじやピストン等の駆動手段でテーブル1010上を可動する可動シート状ポケット押圧部1012と、固定のシート状ポケット押圧部1008と可動シート状ポケット押圧部1012とによってシート状ポケット22をクランプするように構成されている。
【0031】
また、表紙体用保持機構1004は、表紙体18の内面を下向きにして取り付け可能に構成されたものであり、図示しない昇降手段により上下動可能に構成されている。
【0032】
発熱体1006(H)は、内部にシーズヒータ等が内蔵された板状のものであるが、発熱体1006(H)はこれに限らず、熱エネルギーを放出可能な種々の手段が考えられる。
【0033】
前記の製本装置1000を使用してファイルを製本する方法について説明する。
まず、図10に示すように、多数枚のシート状ポケット22を重合し、その重なり端面を固定のシート状ポケット押圧部1008と可動シート状ポケット押圧部1012とでクランプし、且つ、表紙体用保持機構1004により、表紙体18の内面を下側にした状態で、表紙体18を保持し、表紙体用保持機構1004を下降させてシート状ポケット群20の溶着縁32の上面と表紙体18の内面とを対向させるとともに、その間に発熱体1006(H)を介在させることができる位置まで接近させる。
そして、発熱体1006(H)を両者の間に介在させ、表紙体18の内面と第1ポケット構成シート30の溶着縁32の上部のつき合せ端縁とを同時に溶融させる。
【0034】
その溶融温度は、ポリプロピレンの溶融温度が、120〜130℃であるため、170〜180℃前後の発熱体1006を使用して4〜5秒前後の時間で、表紙体18の内面と第1ポケット構成シート30の溶着縁32の上縁のつき合せ端縁とを同時に溶融させる。
その後、表紙体18と溶着縁32との間から発熱体1006(H)を引き抜き、背表紙部16を第1ポケット構成シート30の溶着縁32に接触させて両者を接合する(図12参照)。
【0035】
そして、適宜、溶着部位を冷却して、完全に表紙体18の背表紙部16の内面と第1ポケット構成シート30の溶着縁32のつき合せ端縁とを固着する。
【0036】
実際の使用においては、第1ポケット構成シート30と第2ポケット構成シート40との間に形成された収容部80に収容される被挟体Sを、第2ポケット構成シート40の開口縁42及び第3ポケット構成シート50の開口縁52より第2ポケット構成シート40の収容部80及び第3ポケット構成シート50の収容部82に挿入し、被挟体SをA面側シート状ポケット22の収容部80とB面側のシート状ポケット22の収容部82に跨って収容する。
而して、表表紙部12と裏表紙部14とを開き、見開いた状態で、シート状ポケット22の収容部80及び収容部82に挿入された被挟体Sを閲覧できる。
そして、表表紙部12と裏表紙部14を閉じたときは、被挟体Sの幅方向における中央領域を、隣接するA面側のシート状ポケット22とB面側のシート状ポケット22との中間に位置させ、被挟体Sの折り曲げ部S1が隣接するA面側のシート状ポケット22とB面側のシート状ポケット22との中間において高さ方向に第1ポケット構成シート30の溶着縁32に沿ってのび、見開いた状態でシート状ポケット22の収容部80及び収容部82に挿入されるように構成されているので、被挟体Sの中央に正確に折り目を形成できる。
【符号の説明】
【0037】
10 ファイル
12 表表紙部
14 裏表紙部
16 背表紙部
18 表紙体
20 シート状ポケット群
22 シート状ポケット
22a 底縁部
22b 上縁部
22c 側縁部
24 表折り曲げ部
26 裏折り曲げ部
30 第1ポケット構成シート
32 溶着縁
34 底縁
36 上縁
38 側縁
40 第2ポケット構成シート
42 開口縁
44 底縁
46 上縁
48 側縁
50 第3ポケット構成シート
52 開口縁
54 底縁
56 上縁
58 側縁
80 収容部
82 収容部
1000 製本装置
1002 シート状ポケット保持機構
1004 表紙体用保持機構
1006 発熱体
1008 シート状ポケット押圧部
1010 テーブル
1012 可動シート状ポケット押圧部
S 被挟体
1 折り曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙体と、前記表紙体の中間領域で表紙体の内面に固着されたシート状ポケット群とを備えた、見開き状クリアポケットファイルであって、
シート状ポケット群は、複数のシート状ポケットにより構成され、
前記各シート状ポケットは、表紙に溶着するための溶着縁を備えた第1ポケット構成シートと、開口縁を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シートとを有し、
第1ポケット構成シートは、それぞれ単独で、隣接する第1ポケット構成シートとの間に間隔をおいて溶着縁にて表紙体に固着され、
第2ポケット構成シートは、底縁及び上縁において、表紙に溶着された溶着縁と交差する第1ポケット構成シートにおける底縁及び上縁と連続して封止されるとともに、底縁と交差し且つ第1ポケット構成シートの溶着縁と並ぶ開口縁を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接するシート状ポケットの開口縁と対向して開口されるように形成された、見開き状クリアポケットファイル。
【請求項2】
シート状ポケットは、第1ポケット構成シートのA面に設けられた第2ポケット構成シートと、第1ポケット構成シートのB面に設けられた第3ポケット構成シートとを備え、
第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとは、一枚のシートからなり、幅方向における中間領域において、底縁から上縁にかけて折り返されて、第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとの間に挟まれた第1ポケット構成シートにおける底縁と交差し溶着縁と相対する側縁に、第2ポケット構成シート及び第3ポケット構成シートの折り返されて構成された側縁が並んで固定された、請求項1に記載の見開き状クリアポケットファイル。
【請求項3】
A面側の第2ポケット構成シートの開口部は、隣接するシート状ポケットのB面側の第3ポケット構成シートと近くに位置して対向し、第1ポケット構成シートと第2ポケット構成シートとの間に形成された収容部に収容される被挟体を、A面側シート状ポケットの収容部とB面側のシート状ポケットの収容部に跨って収容され、被挟体の幅方向における中央領域を隣接するA面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとの中間に位置させて、被挟体の折り曲げ部を隣接するA面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとの中間において高さ方向に第1ポケット構成シートの溶着縁に沿ってのびるように、A面側のシート状ポケットとB面側のシート状ポケットとは、第1ポケット構成シートの溶着縁において表紙体に固着された、請求項1または請求項2に記載の見開き状クリアポケットファイル。
【請求項4】
第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとは、一枚の長尺状樹脂シートを折り返されて、対向するように構成され、
第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとの対向する面の間に第1ポケット構成シートを挟み込み、
第1ポケット構成シート,第2ポケット構成シート及び第3ポケット構成シートを幅方向に溶着切断して、ポケットシートの底縁及び上縁を封止するように形成された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の見開き状クリアポケットファイル。
【請求項5】
表紙体と、前記表紙体の中間領域で表紙体の内面に固着された透明性を有するシート状ポケット群とを備えた、見開き状クリアポケットファイルの製造方法であって、
シート状ポケット群を、複数のシート状ポケットにより構成するために、
前記各シート状ポケットは、表紙に溶着するための溶着縁を備えた第1ポケット構成シートと、開口縁を備えた、透明性を有する第2ポケット構成シートとを有し、
第2ポケット構成シートを、溶着縁と交差する第1ポケット構成シートにおける底縁及び上縁において、第1ポケット構成シートの底縁及び上縁と連続して封止するとともに、底縁と交差し且つ第1ポケット構成シートの溶着縁と並ぶ開口縁を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シートの第2ポケット構成シートの開口縁と対向して開口されるように形成し、
前記各シート状ポケットを構成する第1ポケット構成シートを、それぞれ単独で、表紙に溶着するための溶着縁により、隣接する第1ポケット構成シートとの間に間隔をおいて溶着縁にて表紙体に固着し、
底縁と交差し且つ第1ポケット構成シートの溶着縁と並ぶ開口縁を、第1ポケット構成シートの溶着縁を溶着された表紙体に対向する位置で、隣接する第1ポケット構成シートの第2ポケット構成シートの開口縁と対向して開口されるように形成した、見開き状クリアポケットファイルの製造方法。
【請求項6】
第2ポケット構成シートと第3ポケット構成シートとは、一枚の長尺状樹脂シートを折り返し、対向するように構成し、
第2ポケット構成シートと第2ポケット構成シートとの対向する面の間に第1ポケット構成シートを挟み込み、
第1ポケット構成シート,第2ポケット構成シート及び第3ポケット構成シートを幅方向に溶着切断して、ポケットシートの底縁及び上縁を封止するように形成した、請求項5に記載の見開き状クリアポケットファイルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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